JP3644539B2 - スポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、TAB(Tape Automated Bonding)テープ、T−BGA(Tape-Ball Grid Array)テープ、CSP(Chip Size Package)テープ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)テープ等の電子部品実装用フィルムキャリアテープ上に電子部品を実装する工程及びこれに付随する工程等において前記電子部品実装用フィルムキャリアテープを巻き取るスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リールに関し、特に、アルミニウム又はアルミニウム合金(以下、総称してアルミニウム材という)からなるスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、パーソナルコンピュータ、液晶テレビ、電子手帳、ワードプロセッサ等の電子機器の小型化、軽量化、高機能化が要望されている。このため、IC(集積回路)、LSI(大規模集積回路)等の電子部品を実装する方法として、TABテープ等の電子部品実装用フィルムキャリアテープを使用する実装方法が多く採用されている。
【0003】
この電子部品実装用フィルムキャリアテープ(以下、テープという)においては、樹脂からなるフィルムキャリアテープ上に銅からなる配線が形成されている。電子部品の実装は、この電子部品の電極を前記配線に圧着して接続することにより行われる。
【0004】
このテープは専用のリール、即ち電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リール(以下、リールという)に巻装されており、前記電子部品の実装工程及びこれに付随する工程においては、テープが複数のリール間を搬送され、この搬送に伴いリールによるテープの巻取り及び巻きほどきが繰り返される。
【0005】
従来、このリール(電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リール)には、合成樹脂製のリールが使用されてきた。しかしながら、合成樹脂製のリールには以下に示す問題点がある。近時、電子部品の実装工程の生産性を向上させるため、リールの大型化が進んでいる。リールが大型化すると、合成樹脂製のリールは剛性が保てなくなるという問題点がある。電子部品の実装は、例えば0.5乃至5μmといった極めて高い精度が要求されるため、リールの形状にも高い精度が要求される。このため、リールが剛性を保てずに変形すると、電子部品の実装が不可能になる。また、リールの剛性を向上させるために樹脂を厚肉化すると、リールの質量が増加する。これにより、リールを回転させるステッピングモータのトルクが不足しがちになるため、ステッピングモータの大型化が必要になり、設備コスト及びランニングコストが増加する。更に、リールの大型化に伴い射出成形が困難になると共に、歪みが発生しやすくなり、リールの加工精度が低下するという問題点がある。
【0006】
また、電子部品の実装工程においては、レジストの焼付け及びテープの乾燥に伴い、リールが130乃至180℃程度の温度に加熱される。しかしながら、合成樹脂製のリールは耐熱性が低く、温度の上昇に伴いリールの強度が低下してリールが変形するという問題点がある。これにより、テープがリールの軸方向にずれ、精密な位置決めが困難になる。その結果、電子部品の実装に際してリード線と電極の位置がずれると共に、テープの巻取り及び巻き戻しが困難になる。また電子部品がテープから剥離することもある。
【0007】
更に、合成樹脂製のリールは耐摩耗性が低いため、使用に伴ってリールが摩耗するという問題点がある。これにより、リールの形状が狂い、電子部品の実装の精度が低下すると共に、テープ及びテープ間に挿入される緩衝材に巻き擦れが発生し製品(電子部品及びテープ)を傷つける。また、リールが摩耗すると摩耗粉が発生し、この摩耗粉が電子部品及びテープを傷つける。電子部品の実装工程においては塵及び埃による害が極めて大きいため、作業はクリーンルーム内で行われる。従って、リールからの摩耗粉の発生は極めて深刻な問題となる。
【0008】
上述のような合成樹脂製のリールの問題点を解決するために、近時、ステンレス製のリールが使用されている。ステンレス製のリールは合成樹脂製のリールと比較して、剛性、加工精度及び耐摩耗性が優れている。しかしながら、ステンレス製のリールは合成樹脂製のリールよりも重いという問題点がある。このため、リールを回転させるステッピングモータのトルクが不足しがちになり、ステッピングモータ及びその周辺設備の大型化が必要となる。特に、リールを大型化するとこの問題点が顕著になる。
【0009】
このようなステンレス製のリールの問題点を解決するために、特開平11−245988号公報にはチタン製のリールが開示されている。特開平11−245988号公報に記載されたリールは、1対のフランジ部、軸心ハブ部及び巻取りハブ部からなるフランジ型TAB用リールであり、少なくともフランジ部がチタン又はチタン合金により構成されている。これにより、ステンレス製のリールと比較して、リールの質量をある程度軽減することができる。
【0010】
チタン製のリールは、ステンレス製のリールと比較するとある程度軽量化されているが、軽量化の程度はまだ不十分である。また、チタン及びチタン合金は機械加工が難しく、加工コストが高く、加工精度が低く、且つ耐摩耗性が劣るという問題点がある。更に、チタン及びチタン合金は材料コストが高いという問題点がある。
【0011】
そこで、コア、リング及びスポークの全てをアルミニウム又はアルミニウム合金(アルミニウム材)製とすることにより、ステンレス製リール、チタン又はチタン合製リールと比較して、リールを軽量化することができると共に、合成樹脂製リールと比較して、リールの剛性、耐熱性及び耐摩耗性を向上させることができる。
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述の従来の技術には以下に示すような問題点がある。アルミニウム材は軽量であり機械加工性が優れるが、反面、ステンレスと比較すると強度及び耐摩耗性が劣る。特に、スポークは前記スポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リールを構成する部品の中でも特に大きな力が印加される部品であり、また棒状の形状を持つため変形しやすく、テープが直接接触するため摩耗しやすい。
【0013】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、軽量であり、剛性、耐熱性及び耐摩耗性が優れたスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リールを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リールは、電子部品実装用フィルムキャリアテープが巻き付けられるコアと、前記コアから放射状に延びるように前記コアの幅方向両端部に夫々複数個固定された2組のスポークと、前記コアと同心に配置されるように各組の前記スポークの先端に固定された1対のリングとがアルミニウム又はアルミニウム合金からなるスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リールにおいて、前記スポークが、耐力が250N/mm2以上、180℃の温度に100時間保持したときの高温耐力が100N/mm2以上であるアルミニウム又はアルミニウム合金により製造されていることを特徴とする
【0015】
本発明においては、スポークを構成するアルミニウム材の耐力を250N/mm2以上とすることにより、スポークの剛性を向上させ、リールの製造工程及び電子部品の実装工程におけるスポークの変形を防止することができる。また、アルミニウム材の高温耐力を100N/mm2以上とすることにより、スポークの耐熱性が良好になり、電子部品の実装工程においてレジストの焼付け及びテープの乾燥に伴う加熱によるスポークの変形を防止できる。
【0016】
更に、クリープ強さを100N/mm2以上とすることにより、長期間の使用に伴うスポークの変形をより確実に防止でき、リールの寿命を延ばすことができる。このため、スポークを構成するアルミニウム材のクリープ強さを100N/mm2以上とすることが好ましい。なお、本発明において、クリープ強さとは温度が150℃のときクリープ速度が1.0%/1000時間になる応力値をいう。
【0017】
また、前記リングは、耐力が80乃至350N/mm2、伸びが10%以上、180℃の温度に100時間保持したときの高温耐力が50N/mm2以上であるアルミニウム材により製造されていることが好ましい。
【0018】
リングを構成するアルミニウム材の耐力を80N/mm2以上とすることにより、リングの剛性を向上させてリールの回転中にリングが撓むことを防止できる。また、耐力を350N/mm2以下、伸びを10%以上とすることにより、リールの製造工程においてリングを曲げ加工により成形することができる。更に、高温耐力を50N/mm2以上とすることにより、電子部品の実装工程においてレジストの焼付け及びテープの乾燥に伴う加熱によるリングの変形を防止できる。更にまた、クリープ強さを50N/mm2以上とすることにより、長期間の使用に伴うリングの変形をより確実に防止でき、リールの寿命を延ばすことができる。
【0019】
更に、前記コアは、JISH4000に記載されている3000系、6000系又は7000系アルミニウム合金であって、耐力が80N/mm2以上、180℃の温度に100時間保持したときの高温耐力が50N/mm2以上であるアルミニウム材により製造されていることが好ましい。
【0020】
コアを構成するアルミニウム材の耐力を80N/mm2以上とすることにより、コアの剛性が向上し、リールの製造工程及び電子部品の実装工程におけるコアの変形を防止することができる。また、高温耐力を50N/mm2以上とすることにより、電子部品の実装工程においてレジストの焼付け及びテープの乾燥に伴う加熱によるコアの変形を防止できる。更に、クリープ強さを50N/mm2以上とすることにより、長期間の使用に伴うコアの変形をより確実に防止でき、リールの寿命を延ばすことができる。更にまた、前記コアの素材としてJISH4000に記載されている3000系、6000系又は7000系アルミニウム合金を使用することにより、前記各特性が得られると共に、ポートホール押出し性が良好になる。
【0021】
前記スポークは、Si:4.6乃至13.5質量%、Cu:2.0乃至5.0質量%、Mg:0.2乃至1.5質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金により製造することができる。
【0022】
このアルミニウム合金は、強度、耐力及び切削性が優れているため、スポークの剛性、耐摩耗性及び加工精度が向上する。また、スポーク表面の摩擦係数が低下すると共に、焼付きを防止することができる。なお、このアルミニウム合金は、不可避的不純物として、Fe、Mn、Zn、Ti、Cr及びZrからなる群から選択される1種又は2種以上の元素を、夫々0.1質量%以下含有していてもよい。
【0023】
また、前記スポークは、Si:4.6乃至13.5質量%、Cu:2.0乃至5.0質量%、Mg:0.2乃至1.5質量%を含有し、更に、Fe:0.1乃至1.0質量%、Mn:0.2乃至1.0質量%、Ti:0.001乃至0.05質量%、Cr:0.05乃至0.3質量%及びZr:0.05乃至0.25質量%からなる群より選択された1種又は2種以上の元素を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金により製造することができる。
【0024】
このアルミニウム合金の強度、耐力及び切削性が優れていると共に、耐熱性が高いため、スポークの剛性、耐摩耗性、加工精度及び耐熱性が向上する。また、スポーク表面の摩擦係数が低下すると共に、焼付きを防止することができる。
【0025】
前記スポークは、温度が25℃のときの線膨張係数が2.3×10−5/deg以下であるアルミニウム材により製造されていることが好ましい。これにより、スポークの熱変形を抑制し、リングの形状が狂うことを抑制することができる。
【0026】
また、前記スポーク、コア、リングのうち少なくとも1つは、押出し法により形成されていることが好ましい。
【0027】
これにより、鋳造法により形成する場合と比較して、コアを薄肉化することができ、より軽量化することができる。また、鋳造法により形成する場合と比較して、リールを低コストで精度よく製造することができる。更に、スポーク、コア、リングの全てを押出し法により形成すれば、製造設備を1ヶ所にまとめることができ、設備コスト及び製造設備間のリールの輸送コストを削減することができる。
【0028】
また、各組の前記スポークにおける他の組の前記スポークの方向を向いている面及び前記1対のリングにおける互いに対向する面に耐摩耗性皮膜を形成してもよい。これにより、スポーク及びリングにおけるテープが接触する面に耐摩耗性皮膜が形成されることになるため、リールの耐摩耗性をより向上させることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照して具体的に説明する。図1(a)及び(b)は、本発明の実施例に係るスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リールの構成を示す側面図及び正面断面図である。図2(a)及び(b)は、夫々図1(a)及び(b)に示すA断面及びB断面の構成を示す断面図である。
【0030】
図1(a)及び(b)に示すように、本実施例に係るスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リール1は、コア2、スポーク3及びリング4から構成されている。コア2、スポーク3及びリング4はアルミニウム又はアルミニウム合金(アルミニウム材)により構成されている。コア2は二重円筒構造を有し、リール1の中心に配置されている。スポーク3は棒状の形状を有し、8本設けられ2本ずつ対になりコア2を挟むようにコア2に連結されている。この4対のスポーク3は夫々の一端がコア2に連結されコア2を中心に放射状に延びるように配置されている。換言すれば、スポーク3は4本を1組として2組に分けられ、この2組が夫々コア2の幅方向両端部において同一平面を形成するように配置されている。スポーク3の他端には1対のリング4が連結されている。リング4は円環状の形状を有し、コア2と同軸に配置され、リール1の外縁部を構成している。
【0031】
図2(a)に示すように、リング4の形状は断面形状が曲げ加工が容易な平板形状である。また、図2(b)に示すように、スポーク3の形状は押出性が優れる丸形である。
【0032】
本実施例において、コア2を二重円筒構造とする理由を以下に説明する。コア2の外面にはTABテープ等のテープ(電子部品実装用フィルムキャリアテープ)が巻き付けられるが、このテープにはある程度剛性があるため、例えばコア2の外径が100mm未満ではテープが破損する可能性がある。一方、テープの製造設備におけるシャフト径は通常25乃至70mm程度である。従って、コア2の内径はシャフトと嵌合するようにシャフト径と同程度にする必要がある。このため、コア2を一重円筒構造にしようとすると、肉厚が厚くなり質量が増加してしまう。従って、コア2は二重円筒構造とする。コア2の外径は、巻き取るテープの種類により異なるが、例えば約120mmである。コア2の幅はテープの幅により決定され、例えば40乃至60mm程度が一般的である。
【0033】
また、本実施例において、コア2はポートホール押出し法により製造されている。この理由を以下に説明する。コア2を鋳造法により製造しようとすると、湯流れを確保するため、各部の肉厚を10mm以上にする必要がある。このため、コア2の質量が増加する。また、鋳造法は生産性が低く、品質が安定しない。更に、鋳造材は表面処理が困難であるという問題点がある。一方、コア2は二重円筒構造を持つため、マンドレル押出し法により製造することができない。これに対して、ポートホール押出し法によれば、薄肉の二重円筒構造を持つコア2を生産性良く製造することができる。更に、コア2をポートホール押出し法により製造することにより、コア2を押出し管の形態で保管し、注文に応じて所定の幅に切断して出荷することができる。これにより、製品の納期を短縮化できると共に、在庫管理が効率的になる。従って、コア2はポートホール押出し法により製造する。
【0034】
従って、コア2には、ポートホール押出し性、剛性、機械加工性(切削性)及び耐熱性が要求される。このため、コア2を構成するアルミニウム材は、耐力が80N/mm2以上、180℃の温度に100時間保持したときの高温耐力が50N/mm2以上であることが好ましい。この理由を以下に詳しく説明する。
【0035】
コアを構成するアルミニウム材の耐力:80N/mm 2 以上
耐力を80N/mm2以上とすると、コアの切削加工工程、リール組み立て工程及びテープ製造工程におけるリールハンドリング作業時にコアが変形することを確実に防止することができる。従って、コアを構成するアルミニウム材の耐力は80N/mm2以上であることが好ましい。より好ましくは、100N/mm2以上である。
【0036】
コアを構成するアルミニウム材の高温耐力:50N/mm 2 以上
電子部品の実装工程において、レジストの焼付け及びテープの乾燥に伴いリールが加熱される。一般に、高温になるとアルミニウム材は焼きなまされ強度が低下する。強度低下に伴い、リールに印加される外力によりリールの各部品が変形する。この変形によりテープの傷付き及び電子部品の実装精度の低下が起こるため、テープの巻取りが困難又は不可能になる。リールが加熱される温度は、電子部品の実装に使用するレジストの種類、焼付炉とリールとの間の距離及び気温等により異なるが、およそ130乃至180℃程度である。このため、180℃の温度に100時間保持したときの高温耐力が50N/mm2以上であれば、前記変形を防止できる。従って、高温耐力は50N/mm2以上であることが好ましい。
【0037】
なお、リールには形状凍結性が必要であるが、前述の如く長時間に渡り高温雰囲気中で外力が印加され続けることにより、リールの各部にクリープ変形が発生する。クリープ強さを50N/mm2以上とすることにより、加熱によるコアの変形をより確実に防止でき、リールの寿命を延ばすことができる。従って、クリープ強さは50N/mm2以上であることが好ましい。
【0038】
上述の性能を満たすアルミニウム材として、JISH4000に記載されている3000系合金、6000系合金、7N01合金及び7003合金等が好適である。これに対して、JISH4000に記載されている2000系合金、4000系合金及び5000系合金はポートホール押出しが困難であるため、本実施例におけるコアの材料としては好ましくない。
【0039】
スポーク3には、押出し性、剛性、機械加工性(切削性)、耐熱性及び耐摩耗性が要求される。特に、スポーク3の形状は棒状であり他の部品と比較して変形しやすいため、高い剛性が要求される。また、リール1によるテープの巻取り及び巻きほぐしに伴い、スポーク3にはテープの端縁が直接接触するため、スポーク3には特に高い耐摩耗性が要求される。スポーク3が摩耗すると、対向するスポーク3間の間隔が広くなり、テープが蛇行するようになって、実装精度が低下すると共に巻き擦れが発生する。このため、スポーク3を構成するアルミニウム材は、耐力が250N/mm2以上、180℃の温度に100時間保持したときの高温耐力が100N/mm2以上であることが必要である。また、25℃における線膨張係数が2.3×10−5/deg以下であることが更に好ましい。上述の数値限定理由を以下に説明する。
【0040】
スポークを構成するアルミニウム材の耐力:250N/mm 2 以上
耐力を250N/mm2以上とすると、スポークの切削加工工程、リール組み立て工程及びテープ製造工程におけるリールハンドリング作業時におけるスポークの変形を防止することができる。従って、スポークを構成するアルミニウム材の耐力は250N/mm2以上であることが必要である。
【0041】
スポークを構成するアルミニウム材の高温耐力:100N/mm 2 以上
電子部品の実装工程において、レジストの焼付け及びテープの乾燥に伴いり−−ルが加熱される。180℃の温度に100時間保持したときの高温耐力が100N/mm2以上であれば、この加熱による変形を防止できる。従って、高温耐力は100N/mm2以上であることが必要である。好ましくは、200N/mm2以上である。
【0042】
なお、クリープ強さを100N/mm2以上とすることにより、長時間の高温加熱によるスポークの変形をより確実に防止でき、リールの寿命を延ばすことができる。従って、クリープ強さは100N/mm2以上であることが好ましい。より好ましくは、200N/mm2以上である。
【0043】
スポークを構成するアルミニウム材の25℃における線膨張係数:2.3×10 −5 /deg以下
リールが加熱されることにより、リールが熱膨張し形状精度が低下する場合がある。また、リール内の各部が相互に異なる温度に加熱されると、熱膨張の違いからリールが変形する。特にスポークの形状は棒状であるため、長手方向の膨張が他の部品と比較して顕著である。25℃における線膨張係数が2.3×10−5/deg以下であればこのような変形を確実に防止できる。従って、25℃における線膨張係数は2.3×10−5/deg以下であることが好ましい。
【0044】
上述の性能を満たすアルミニウム材として、例えば、JISH4000に記載されている2000系合金、4000系合金及び7000系合金等が好適である。特に、Si:4.6乃至13.5質量%、Cu:2.0乃至5.0質量%、Mg:0.2乃至1.5質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金が適している。また、このアルミニウム合金は更に、Fe:0.1乃至1.0質量%、Mn:0.2乃至1.0質量%、Ti:0.001乃至0.05質量%、Cr:0.05乃至0.3質量%及びZr:0.05乃至0.25質量%からなる群より選択された1種又は2種以上の元素を含有していてもよい。このような合金の例として、4000系の開発合金であるAl−10質量%Si−2.7質量%Cu−0.7質量%Mg系合金が挙げられる。以下、前述の数値限定理由を説明する。
【0045】
Si:4.6乃至13.5質量%
Siはアルミニウム材に添加することにより、耐摩耗性を向上させると共に、Mg2Siを析出させて表面の摩擦係数を低下させる効果がある。これにより、テープの接触による摩耗を軽減することができる。Siを4.6質量%以上添加することにより前記効果が十分に発揮される。一方、13.5質量%を超えて添加すると切削性が低下すると共に、初晶Siが析出して押出し性が低下する。また、靭性及び疲労強度が低下する。従って、Si含有量は4.6乃至13.5質量%であることが好ましい。
【0046】
Cu:2.0乃至5.0質量%
CuはAl2Cu及びAl−Cu−Mg系析出物を生成してアルミニウム材を析出強化すると共に、Mg2Siを微細化して強度、切削性、焼付き防止性及び耐摩耗性を向上させる効果がある。Cuを2.0質量%以上添加することにより前記効果が十分に発揮される。一方、5.0質量%を超えて添加すると、加工性及び押出し性が低下する。従って、Cu含有量は2.0乃至5.0質量%であることが好ましい。
【0047】
Mg:0.2乃至1.5質量%
Mgはアルミニウム材の強度を向上させる効果がある。また、Siと共にMg2Siを析出させ、アルミニウム材の摩擦係数を低下させる効果がある。Mgを0.2質量%以上添加することにより前記効果が十分に発揮される。一方、1.5質量%を超えて添加すると、耐摩耗性が低下すると共に、加工性及び押出し性が低下する。従って、Mg含有量は0.2乃至1.5質量%であることが好ましい。
【0048】
また、前記スポーク用のアルミニウム合金に、Fe:0.1乃至1.0質量%及びMn:0.2乃至1.0質量%のうち少なくとも一方を添加することにより、耐摩耗性及び耐熱性をより向上させることができる。また、Mnにはアルミニウム合金の金属組織を繊維状にして機械的性質を向上させる効果もある。この効果を得るための好適添加範囲は0.3乃至0.7質量%である。更に、Tiを0.001乃至0.05質量%添加することにより、アルミニウム合金の鋳塊組織を微細化して機械的性質を安定化させることができる。更にまた、Cr:0.05乃至0.3質量%及びZr:0.05乃至0.25質量%の少なくとも一方を添加することにより、アルミニウム合金の金属組織を繊維状にして機械的性質を向上させることができる。
【0049】
更にまた、前記アルミニウム材の鋳塊の溶製に際し、Na、Sr及びPのうち少なくとも1種の元素を添加することにより、Siを微細化し球状化することができる。
【0050】
リング4は押出し法により平板形状の部材を形成し、これを長手方向に沿って円環状に湾曲させ長手方向両端部を突き合せて溶接することにより製造されている。従って、リング4には、押出し性、剛性、曲げ加工性、耐熱性及び溶接性が要求される。このため、リング4を構成するアルミニウム材は、耐力が80乃至350N/mm2、伸びが10%以上、180℃の温度に100時間保持したときの高温耐力が50N/mm2以上であることが好ましい。この理由を以下に詳しく説明する。
【0051】
リングを構成するアルミニウム材の耐力:80乃至350N/mm 2
耐力を80N/mm2以上とすると、強度不足により回転中にリングが撓むことを確実に防止することができる。一方、耐力を350N/mm2以下とすることにより、良好な曲げ加工性を確保し、曲げ加工時の材料の破断を防止すると共に加工精度を向上させることができる。従って、リングを構成するアルミニウム材の耐力は80乃至350N/mm2であることが好ましい。
【0052】
リングを構成するアルミニウム材の伸び:10%以上
伸びを10%以上とすると、より良好な曲げ加工性を実現することができる。従って、このアルミニウム材の伸びを10%以上とすることが好ましい。
【0053】
リングを構成するアルミニウム材の高温耐力:50N/mm 2 以上
電子部品の実装工程において、レジストの焼付け及びテープの乾燥に伴いリールが加熱される。180℃の温度に100時間保持したときの高温耐力が50N/mm2以上であれば、前記加熱に起因するリングの変形を確実に防止できる。従って、高温耐力は50N/mm2以上であることが好ましい。
【0054】
なお、クリープ強さを50N/mm2以上とすることにより、長時間の高温加熱によるリングの変形をより確実に防止でき、リールの寿命を延ばすことができる。従って、クリープ強さは50N/mm2以上であることが好ましい。
【0055】
上述の性能を満たすアルミニウム材として、例えば、JISH4000に記載されている5000系合金、6000系合金及び7000系合金の一部等が好適である。これに対して、JISH4000に記載されている1000系合金及び3000系合金は強度が低い。また、4000系合金は強度が高すぎて曲げ加工性が劣る。更に、2000系合金及び7000系合金の一部は溶接割れが発生する。更にまた、1000系合金及び4000系合金は薄肉のアングル部材の押出し加工が困難である。従って、これらのアルミニウム合金は、本実施例におけるリングの材料としては好ましくない。
【0056】
また、本実施例においては、少なくともスポーク3における互いに対向する面及びリング4における互いに対向する面に、耐摩耗性皮膜を形成してもよい。耐摩耗性皮膜としては、例えば、陽極酸化法、溶射法、アークプレーティング法、電気めっき法、無電解めっき法等の湿式及び乾式のめっき方法により形成された硬質アルマイト皮膜、TiN皮膜、CrN皮膜、Cr皮膜及びNi−P皮膜等がある。これにより、スポーク3及びリング4におけるテープが接触する面に耐摩耗性皮膜が形成されるため、リール1の耐摩耗性をより向上させることができる。
【0057】
本実施例においては、コア2、スポーク3及びリング4の全てをアルミニウム材により構成しているため、リール1はステンレス製リール、チタン又はチタン合製リールと比較して軽量である。また、アルミニウム材は機械加工性が優れるため、リール1の加工精度が良好である。更に、コア2、スポーク3及びリング4の素材となるアルミニウム材の性質を夫々前述のように規定しているため、リング1全体の剛性、耐熱性及び耐摩耗性が良好であり寿命が長い。更に、コア2、スポーク3及びリング4を押出し法により形成しているため、生産性が優れると共に薄肉化が可能である。
【0058】
【実施例】
以下、本発明の実施例の効果について、その特許請求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明する。先ず、共通の評価方法について説明する。押出し性の評価は、ビレットから所定の形状へ押出し加工を行い、このとき、押出し速度が3m/分以上で押出し可能であったものを◎、押出し速度が2m/分以上3m/分未満で押出し可能であったものを○、押出し速度が1m/分以上2m/分未満で押出し可能であったものを△、押出し加工が不可能であったものを×とした。押出し形状を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
耐摩耗性の評価は、大越式摩耗試験機を使用し、相手材が鋳鉄、線速度が0.2m/秒、荷重が3.2kgfの条件で摩耗試験を行い、比摩耗量を測定して行った。また、溶接性の評価は、溶接試験を行い溶接性が良好であったものを○、溶接性がやや劣るものを△、溶接性が劣るものを×とした。
【0061】
曲げ加工性の評価は、幅が30mm、厚さが3mmの平板形状の試験片を使用し、曲げ半径が250mmの180°曲げを行い、試験片の外観を観察した。試験片に割れが認められた場合を×、割れが認められなかった場合を○とした。
【0062】
耐テープ摩耗性の評価は、外径が30mm、幅が50mmの円筒形状の試験片を使用し、この試験片を円筒形の軸を回転軸として回転速度が50rpmになるように回転させた。この回転している円筒形状の試験片の外周面に、銅ポリエステルラミネートテープを接触させた。この銅ポリエステルラミネートテープは、銅層の厚さが50μm、ポリエステル層の厚さが100μmである。所定の時間接触させた後、試験片の接触面(外周面)の表面粗さを測定した。耐テープ摩耗性をWSとし、接触試験前の試験片の外周面の平均粗さをR0(μm)とし、接触試験後の試験片の外周面の平均粗さをR(μm)とするとき、下記数式1により耐テープ摩耗性が与えられる。
【0063】
【数1】
WS=1−R/R0
【0064】
切削性の評価は、外径が30mm、長さが300mmの丸棒形状の試験片を使用し、この試験片を削り速度0.1mm/分で10分間切削し、切削後のバイトの後退距離を測定して評価した。
【0065】
剛性及び耐熱性の評価は、リールの変形を評価する方法によって行った。評価対象となるアルミニウム材を使用してスポーク、リング又はコアを加工し、このスポーク、リング又はコアを使用してリールを作製した。次いで、このリールにTABを満巻し、この満巻した状態で24時間放置した後、TABを巻きほぐして空リールとし、スポーク、リング又はコアの変形の有無を観察した。
【0066】
第1試験例
本試験例はスポークについての試験例である。表2に本試験例において使用するアルミニウム材の組成及び調質条件を示す。表2に示す組成のアルミニウム材を溶製し、所定の寸法に加工して各試験片を作製した。その後、この試験片について引張強度、耐力(常温耐力)、伸び、高温耐力、線膨張係数及びビッカース硬さを測定した。その後、耐摩耗性の評価を行った。更に、前記アルミニウム材を使用してスポークを作製し、このスポークを使用してリールを組み立て、このリールの変形を観察した。評価結果を表3に示す。
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
表2及び3に示すNo.1乃至6は請求項1に記載の発明の実施例である。実施例No.1乃至6は、いずれも耐力が250N/mm2以上であり、高温耐力が100N/mm2以上であるため、リールの変形が認められず、剛性及び耐熱性が優れていた。更に、比摩耗量が少なく、耐摩耗性が良好であった。
【0070】
これに対して、表2及び3に示すNo.7及び8は比較例である。比較例No.7は耐力が145N/mm2と低く剛性が劣っており、リールが変形した。また、比摩耗量が多く耐摩耗性が劣っていた。また、比較例No.8は耐力が70N/mm2と低く剛性が劣っており、リールが変形した。また、比摩耗量が多く耐摩耗性が劣っていた。
【0071】
第2試験例
本試験例はリングについての試験例である。表4に本試験例において使用するアルミニウム材の組成及び調質条件を示す。表4に示す組成のアルミニウム材を溶製し、押出し法により所定の寸法に加工して各試験片を作製した。このとき、各アルミニウム材の押出し性を評価した。但し、表4に示すNo.16のアルミニウム材は押出し法による加工が不可能であったため、鋳造法により試験片を加工した。その後、この試験片について引張強度、耐力(常温耐力)、伸び、高温耐力及び線膨張係数を測定した。その後、溶接性及び曲げ加工性を測定した。また、前記アルミニウム材を使用してリングを作製し、このリングを使用してリールを組み立て、このリールの変形を観察した。評価結果を表5に示す。
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
表4及び5に示すNo.9乃至12は請求項2に記載の発明の実施例である。実施例No.9乃至12は、いずれも耐力が80乃至350N/mm2であり、伸びが10%以上であり、高温耐力が50N/mm2以上であるため、剛性、耐熱性及び曲げ加工性が優れていた。また、溶接性及び押出し性が良好であった。
【0075】
これに対して、表4及び5に示すNo.13乃至16は比較例である。比較例No.13は伸びが8%と低いため、曲げ加工性が劣っていた。また、溶接性も劣っていた。比較例No.14は耐力が415N/mm2と高く、曲げ加工性が劣っており、曲げ加工自体が困難であった。また、溶接性が劣っていた。比較例No.15は耐力が43N/mm2と低いため、リールに変形が認められ、剛性が劣っていた。また、押出し性がやや劣っていた。比較例No.16は、伸びが5%未満と低いため、曲げ加工性が劣っていた。また、押出し性及び剛性も劣っていた。
【0076】
第3試験例
本試験例はコアについての試験例である。表6に本試験例において使用するアルミニウム材の組成及び調質条件を示す。表6に示す組成のアルミニウム材を溶製し、押出し法により所定の寸法に加工して各試験片を作製した。このとき、各アルミニウム材の押出し性を評価した。但し、表6に示すNo.24のアルミニウム材は、鋳造法により試験片を加工した鋳造材である。その後、これらの試験片について引張強度、耐力(常温耐力)、高温耐力及び線膨張係数を測定した。また、前記アルミニウム材を使用してコアを作製し、このコアを使用してリールを組み立て、このリールの変形を観察した。評価結果を表7に示す。
【0077】
【表6】
【0078】
【表7】
【0079】
表6及び7に示すNo.17乃至19は請求項3に記載の発明の実施例である。実施例No.17乃至19は、いずれも耐力が80N/mm2以上であり、高温耐力が50N/mm2以上であるため、剛性及び耐熱性が優れていた。また、押出し性が良好であった。
【0080】
これに対して、表6及び7に示すNo.20乃至24は比較例である。比較例No.20は耐力が70N/mm2と低いため、剛性が劣っていた。また、比較例No.21は耐力が43N/mm2と低く、高温耐力が26N/mm2と低いため、剛性及び耐熱性が劣っていた。比較例No.22はJISH4000に記載の2000系合金であり、ポートホール押出し加工ができなかった。比較例No.23はJISH4000に記載の5000系合金であり、ポートホール押出し加工ができなかった。比較例No.24は、高温耐力が41N/mm2と低く、耐熱性が劣っていた。
【0081】
第4試験例
本試験例においては、スポークを構成するアルミニウム材の組成がスポークの性能に及ぼす影響を示す。表8乃至10に本試験例におけるアルミニウム材の組成を示す。表8乃至10に示す組成のアルミニウム材を溶製し、所定の寸法に加工して各試験片を作製した。その後、この試験片について摩擦係数、耐摩耗性、耐テープ摩耗性、切削性(工具摩耗性)、押出し性、引張強度及び耐力を測定した。評価結果を表8乃至10に示す。
【0082】
【表8】
【0083】
表8はSiの影響についての評価結果を示す。表8に示すNo.27乃至29は請求項4に記載の発明の実施例である。実施例No.27乃至29は、いずれもアルミニウム合金中のSi含有量が4.6乃至13.5質量%、Cu含有量が2.0乃至5.0質量%、Mgが0.2乃至1.5質量%の範囲内にあり、残部がAl及び不可避的不純物であるため、比摩耗量が1×10−6mm2/kg以下、耐テープ摩耗性が0.20以下と耐摩耗性が良好であった。また、摩擦係数が0.20以下と良好であった。更に、切削性が30μm以下であり良好であった。更にまた、押出し性も良好であった。
【0084】
これに対して、表8に示すNo.25、26及び30は比較例である。比較例No.25及び26は、Si含有量が4.6質量%未満であるため、比摩耗量が1×10−6mm2/kgを超え、耐テープ摩耗性が0.20を超え耐摩耗性が劣っていた。また、摩擦係数が0.20を超え大きかった。比較例No.30はSi含有量が13.5質量%を超えているため、切削性が30μmを超え劣っていた。また、押出し性が劣っていた。
【0085】
【表9】
【0086】
表9はCuの影響についての評価結果を示す。表9に示すNo.32は請求項5に記載の発明の実施例である。実施例No.32はアルミニウム合金中のSi含有量が4.6乃至13.5質量%、Cu含有量が2.0乃至5.0質量%、Mg含有量が0.2乃至1.5質量%、Fe含有量が0.1乃至1.0質量%の範囲内にあり、残部がAl及び不可避的不純物であるため、耐テープ摩耗性が0.20以下と耐摩耗性が良好であった。また、切削性も30μm以下であり良好であった。また、No.33は請求項4に記載の発明の実施例である。実施例No.33はアルミニウム合金中のSi含有量が4.6乃至13.5質量%、Cu含有量が2.0乃至5.0質量%、Mg含有量が0.2乃至1.5質量%の範囲内にあり、残部がAl及び不可避的不純物であるため、耐テープ摩耗性が0.20以下と耐摩耗性が良好であった。また、切削性も30μm以下であり良好であった。
【0087】
これに対して、表9に示すNo.31及び34は比較例である。比較例No.31は、Cu含有量が1.00質量%と少ないため、耐テープ摩耗性が0.20を超え劣っていた。また、比較例No.34はCu含有量が7.00質量%と多いため、切削性が劣っていた。
【0088】
【表10】
【0089】
表10はMgの影響についての評価結果を示す。表10に示すNo.36は請求項5に記載の発明の実施例である。実施例No.36はアルミニウム合金中のSi含有量が4.6乃至13.5質量%、Cu含有量が2.0乃至5.0質量%、Mg含有量が0.2乃至1.5質量%、Fe含有量が0.1乃至1.0質量%の範囲内にあり、残部がAl及び不可避的不純物であるため、摩擦係数が0.20以下と低く、耐テープ摩耗性が0.20以下と良好であった。また、耐力も250N/mm2以上であり良好であった。
【0090】
これに対して、表10に示すNo.35及び37は比較例である。比較例No.35は、Mg含有量が0.10質量%と少ないため、耐力が240N/mm2と低かった。また、摩擦係数が0.20を超えると共に耐テープ摩耗性が0.20を超え劣っていた。比較例No.37はMg含有量が2.00質量%と多いため、耐テープ摩耗性が0.20を超え劣っていた。
【0091】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、アルミニウム又はアルミニウム合金から構成されるため軽量で、更に、剛性、耐熱性及び耐磨耗性が優れたスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は、本発明の実施例に係るスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リールの構成を示す側面図及び正面断面図である。
【図2】(a)及び(b)は、夫々図1(a)及び(b)に示すA断面及びB断面の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1;リール
2;コア
3;スポーク
4;リング
Claims (10)
- 電子部品実装用フィルムキャリアテープが巻き付けられるコアと、前記コアから放射状に延びるように前記コアの幅方向両端部に夫々複数個固定された2組のスポークと、前記コアと同心に配置されるように各組の前記スポークの先端に固定された1対のリングとがアルミニウム又はアルミニウム合金からなるスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リールにおいて、前記スポークが、耐力が250N/mm2以上、180℃の温度に100時間保持したときの高温耐力が100N/mm2以上であるアルミニウム又はアルミニウム合金により製造されていることを特徴とするスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リール。
- 前記リングが、耐力が80乃至350N/mm2、伸びが10%以上、180℃の温度に100時間保持したときの高温耐力が50N/mm2以上であるアルミニウム又はアルミニウム合金により製造されていることを特徴とする請求項1に記載のスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リール。
- 前記コアが、JISH4000に記載されている3000系、6000系又は7000系アルミニウム合金であって、耐力が80N/mm2以上、180℃の温度に100時間保持したときの高温耐力が50N/mm2以上であるアルミニウム又はアルミニウム合金により製造されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リール。
- 前記スポークが、Si:4.6乃至13.5質量%、Cu:2.0乃至5.0質量%、Mg:0.2乃至1.5質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金により製造されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リール。
- 前記スポークが、Si:4.6乃至13.5質量%、Cu:2.0乃至5.0質量%、Mg:0.2乃至1.5質量%を含有し、更に、Fe:0.1乃至1.0質量%、Mn:0.2乃至1.0質量%、Ti:0.001乃至0.05質量%、Cr:0.05乃至0.3質量%及びZr:0.05乃至0.25質量%からなる群より選択された1種又は2種以上の元素を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金により製造されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リール。
- 前記スポークが、温度が25℃のときの線膨張係数が2.3×10−5/deg以下であるアルミニウム又はアルミニウム合金により製造されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リール。
- 前記スポークが押出し法により形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リール。
- 前記コアが押出し法により形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リール。
- 前記リングが押出し法により形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リール。
- 各組の前記スポークにおける他の組の前記スポークの方向を向いている面及び前記1対のリングにおける互いに対向する面に耐摩耗性皮膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のスポーク型電子部品実装用フィルムキャリアテープ用リール。
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