JP2001269820A - ワイヤ放電加工用電極線の製造方法 - Google Patents

ワイヤ放電加工用電極線の製造方法

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JP2001269820A
JP2001269820A JP2000088564A JP2000088564A JP2001269820A JP 2001269820 A JP2001269820 A JP 2001269820A JP 2000088564 A JP2000088564 A JP 2000088564A JP 2000088564 A JP2000088564 A JP 2000088564A JP 2001269820 A JP2001269820 A JP 2001269820A
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JP2000088564A
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Hiromitsu Kuroda
洋光 黒田
Koichi Tamura
幸一 田村
Masayoshi Aoyama
正義 青山
Katsunori Sawahata
勝憲 沢畠
Takamitsu Kimura
孝光 木村
Takahiro Sato
隆裕 佐藤
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Hitachi Cable Ltd
Original Assignee
Hitachi Cable Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産コストが安価で、かつ所望のZn濃度を
有するCu−Zn合金層を確実に得ることができる新規
なワイヤ放電加工用電極線の製造方法の提供。 【解決手段】 心線材1の外周にZn層2を被覆形成す
ると共に、その外周にCu−Zn合金層3を被覆し、伸
線加工後、熱処理を施して上記Zn層2中のZnをCu
−Zn合金層3側に拡散させてそのCu−Zn層3中の
Zn濃度を所望の濃度まで高める。これによって、所望
のZn濃度を有するCu−Zn合金層を確実に得ること
ができると共に、一括して熱処理して製造できるため、
生産性及び高速加工性等に優れたワイヤ放電加工用電極
線を容易に得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤ放電加工に
用いられる電極線の製造方法に係り、特に、銅又は銅合
金からなる心線材の外周にCu−Zn層を被覆した被覆
型のワイヤ放電加工用電極線の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、ワイヤ放電加工に用いられる電極
線としては、32〜36重量%のZn(亜鉛)を含む銅
合金(例えば、Cu−35重量%Zn合金(65/35 黄銅
線))からなる単一合金線が多用されている。
【0003】このワイヤ放電加工用電極線は、加工速
度、加工精度等の放電特性に優れており、かつコスト的
にも有利な特質を有しているが、近年の加工性向上に伴
って要求されるさらなる高速加工性を満足することが困
難になってきた。
【0004】そのため、近年ではこのような従来の単一
合金線からなる電極線に代わる電極線として、いわゆる
被覆型のワイヤ放電加工用電極線が提案されている(特
開平5−339664号等)。
【0005】すなわち、この被覆型のワイヤ放電加工用
電極線は、例えば、Cu−2. 0重量%Sn合金や、C
u−0. 3重量%Sn合金等の銅合金からなる心線材の
上に、従来よりもZn濃度の高いCu−Zn合金を被覆
したものであり、この被覆層の存在によって電極線の耐
熱特性を向上させ、大電流を流しても溶断等を招くこと
なく高速加工性を可能としたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
従来の被覆型のワイヤ放電加工用電極線にあっては、被
覆層中のZn濃度を38〜49重量%といった極めて高
濃度とする必要があるため、被覆層の被覆形成に際して
は熱間押出に依存せざるを得ないが、熱間押出によると
製造コストが非常に高くなるといった欠点がある。ま
た、Zn濃度を高濃度とすることによって被覆層が急激
に脆弱化してしまうため、伸線加工性が著しく悪化し、
生産性にも劣ってしまうといった問題がある。
【0007】そのため、予め伸線加工を行った銅合金か
らなる心線材上にZnを被覆し、その後、その被覆線材
を加熱した炉の中に順次通過させることによって心線材
表面にZnを拡散させてその表面にZn濃度の高いCu
−Zn合金層を形成する方法が提案されている。
【0008】しかしながら、この方法では熱拡散処理自
体に長時間を要するため、生産性の改善を図ることがで
きない上に、熱処理時の高温によって表面のZnが蒸発
してしまい、所望の高濃度のCu−Zn合金層を得るこ
とが難しいといった欠点がある。
【0009】また、生産性向上のために予め被覆線材を
ボビンに巻き付けた後、一括して熱処理する方法が検討
されているが、この状態で一括して熱処理すると隣接し
て互いに接触しているZn層同士が相互に拡散して接着
してしまい、その後の加工が困難になるといった問題が
発生する。
【0010】そこで、本発明はこのような課題を有効に
解決するために案出されたものであり、その目的は、生
産コストが安価で、かつ所望のZn濃度を有するCu−
Zn合金層を確実に得ることができ、さらに伸線加工性
を犠牲にしない優れた新規なワイヤ放電加工用電極線の
製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に第一の発明は請求項1に示すように、Cu又はCu合
金からなる心線材の外周にZn層を被覆形成した後、そ
のZn層の外周にCu−Zn合金層を被覆して被覆線材
を形成し、その直後、あるいはこの被覆線材を伸線加工
した後に、この被覆線材に熱処理を施して上記Zn層中
のZnをその外周のCu−Zn合金層側に拡散させてそ
のCu−Zn層中のZn濃度を所望の濃度まで高めるよ
うにしたものである。
【0012】すなわち、本発明方法は、従来提案されて
いる製造方法のように単に心線材の外周にZn層を被覆
し、Zn層が露出した状態でそのまま熱処理するのでは
なく、さらにこのZn層の外周にCu−Zn合金層を被
覆してから熱処理を施すようにしたものである。そし
て、本発明方法によれば、熱処理時の高温によってZn
層のZnが蒸発してしまうことがなくなり、効果的にC
u−Zn合金層側に拡散させることができる。また、生
産性向上のために予めその被覆線材をボビンに巻き付け
た後、一括して熱処理した場合でもそのZn層がCu−
Zn合金層を被覆された状態となっているため、隣接す
るZn層同士が相互に拡散して接着してしまい、その後
の加工が困難になるといった不都合も確実に回避するこ
とができる。
【0013】これによって、所望の亜鉛濃度を有するC
u−Zn合金被覆層を有し、かつ伸線加工性及び高速加
工性に優れた新規なワイヤ放電加工用電極線を低コスト
で生産性良く製造することができる。
【0014】また、第二及び第三の発明は、請求項2及
び3に示すように、Cu又はCu合金からなる心線材の
外周にZnテープを螺旋状に巻き付けるか、あるいはZ
nを連続的に押し出し被覆してZn層を被覆形成すると
共に、そのZn層の外周にCu−Zn合金テープを縦添
してCu−Zn層を被覆形成した後、その突き合わせ部
を溶接して複合被覆線材を形成し、その後、この複合被
覆線材に熱処理を施して上記Zn層中のZnをその外周
のCu−Zn層側に拡散させてそのCu−Zn層中のZ
n濃度を所望の濃度まで高めるようにしたものである。
【0015】これによって、Zn層及びCu−Zn合金
層を容易に心線材の外周に被覆形成できると共に、その
被覆厚さやZn濃度を精度良くコントロールすることが
可能となり、高品質のワイヤ放電加工用電極線を容易に
得ることができる。
【0016】また、第四の発明は、請求項4に示すよう
に、上記心線材を構成するCu合金として、Cu−0.02
〜0.2 重量%Zr合金、Cu−0.15〜0.25重量%Sn−
0.15〜0.25重量%In合金、Cu−0.15〜0.70重量%S
n合金、Cu−5〜30重量%Zn合金、Cu−5〜3
0重量%Zn合金中にZr,Cr,Si,Mg,Al,
Fe,P,Ni,Ag,Snのいずれか1種又は2種以
上添加した合金のうち、いずれかを用いたものである。
すなわち、これらいずれかのCu合金を心線材の材料と
して用いることによって放電加工性を向上させるために
心線材に要求される導電性及び耐熱性を高次元で両立す
ることができる。
【0017】また、第五の発明は、上記熱処理後のCu
−Zn層のZn濃度が40〜50重量%になるように熱
処理を施したものである。すなわち、Zn濃度が40重
量%以下では放電加工性の向上が望めず、反対に50重
量%を超えると伸線加工性が著しく悪化するためであ
る。
【0018】より望ましくは、請求項6に示すように、
上記熱処理後のCu−Zn層のZn濃度が最外層で36
%以下であり、その内層側で40〜50重量%になるよ
うに熱処理を施すことでCu−Zn層の脆弱化を防止で
き、Zn濃度を高くした際の伸線加工性の悪化を効果的
に回避することができる。
【0019】また、第7の発明は、請求項7に示すよう
に 上記第一から第六の発明で得られたワイヤ放電加工
用電極線の外周にさらに新たなZn層を被覆形成するよ
うにしたものであり、これによって、放電加工性能をさ
らに向上させることが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明方法を実施する好適
一形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0021】本発明の製造方法は、先ず、図1に示すよ
うにCu(銅)又はCu合金からなる断面真円形の心線
材1の周囲に、Zn(亜鉛)テープを螺旋状に巻き付け
てZn層2を被覆形成すると共に、さらにそのZn層2
の周囲にCu−Zn合金テープを縦添えしてCu−Zn
合金層3を被覆形成した後、その突き合わせ部を溶接し
て被覆線材4を形成し、その後、この被覆線材4を熱処
理してZn層2中のZnをその外側のCu−Zn合金層
3側に拡散させてそのCu−Zn合金層3のZn濃度を
40〜50重量%まで高めることで、図2に示すように
表層部にZnが高濃度に存在するCu−Zn合金層5を
備えた被覆線材8であるワイヤ放電加工用電極線を得る
ようにしたものである。
【0022】そして、このような製造方法によって得ら
れたワイヤ放電加工用電極線にあっては、その表層部に
は、Zn高濃度のCu−Zn合金層5が形成されるた
め、近年要求されるレベルの高速加工性を充分満足でき
ることは勿論、被覆線材4表層部がCu−Zn合金層3
で均一に覆われるようになっていることから、その製造
過程において、被覆線材4をボビン等に巻き付けて接触
した状態で一括して熱処理しても被覆線材4同士の接着
を確実に防止できるため、優れた生産性を発揮すること
ができる。
【0023】加えてこの熱処理に際してZn層2からの
蒸発によるZnの減少を防止することができるため、そ
の表層部に所望のZn濃度のCu−Zn合金層5を確実
に形成することが可能となり、高速加工性に優れた高品
質のワイヤ放電加工用電極線を確実に得ることができ
る。
【0024】ここで、この心線材1を構成する金属材料
としては上述したように導電性及び耐熱性に優れたCu
又はCu合金が用いられるが、Cu合金を用いる場合に
は、さらにCu−0.02〜0.2 重量%Zr合金、Cu−0.
15〜0.25重量%Sn−0.15〜0.25重量%In合金、Cu
−0.15〜0.70重量%Sn合金、Cu−5〜30重量%Z
n合金、Cu−5〜30重量%Zn合金中にZr,C
r,Si,Mg,Al,Fe,P,Ni,Ag,Snの
いずれか1種又は2種以上添加した合金のうち、いずれ
かを用いたことによって、さらに優れた導電性及び耐熱
性を得ることができる。尚、この心線材1の径としては
特に限定するものではないが、伸線加工する場合には、
一般に2.0mm〜8.0mmのものが用いられ、伸線
加工せずにそのまま用いる場合には、0.1mm〜0.
3mmのものが用いられる。
【0025】また、Zn層2及びCu−Zn合金層3の
被覆厚さも使用する心線材1の材質や径等に応じて変わ
ってくるため特に限定されるものではないが、一般に、
Zn層2にあっては、0.05mm〜1.0mmが適当
であり、Cu−Zn合金層3にあっては、0.3mm〜
3.0mm程度が最適である。また、このZn層2及び
Cu−Zn合金層3を形成する金属テープの厚さや幅及
び巻き付け,縦添え方法も特に限定されるものでなく、
手作業及び機械によって行われる。尚、このZn層2や
Cu−Zn合金層3は、押出し被覆によって形成しても
良い。
【0026】さらに、熱処理前のCu−Zn合金層3中
のZn濃度は、できるだけ高い方が望ましいが、高すぎ
ると脆弱となって被覆形成が困難となり、反対に低すぎ
ると所望の濃度に達するまでの熱処理時間が長くなるた
め、例えば20重量%〜36重量%程度のものを用いる
ことが望ましい。
【0027】また、熱処理条件としては、上述したよう
に少なくともCu−Zn合金層3の内側のZn濃度が4
0〜50重量%となるような条件であれば、特に限定す
るものではないが、Zn濃度が35重量%等のCu−Z
n合金層3を用いた場合には、例えば、温度400℃〜
600℃、1〜30時間程度で熱処理を行うことが好ま
しい。
【0028】次に、図3及び図4は、本発明方法の他の
実施の形態を示したものである。
【0029】先ず、図3は、上記実施の形態で得られた
被覆線材4に熱処理を施し、熱処理後のCu−Zn合金
層3の最外層側にZn濃度が36重量%以下の低濃度層
6を設け、内層側にZn濃度が高い高濃度層5を設けた
被覆線材9を示したものである。すなわち、前述したよ
うに、Cu−Zn合金層3のZn濃度が高すぎると脆弱
となって伸線加工性が劣ってしまうが、本実施の形態の
ように、最外層にZn濃度が低い低濃度層6を設けるこ
とによって、上記のように優れた生産性及び高速加工性
を発揮しつつ伸線加工性の低下を効果的に抑制すること
が可能となる。尚、このようにCu−Zn合金層3のZ
n濃度に分布を持たせるには、熱処理時間及び温度を調
整することによって容易に達成することができる。
【0030】一方、図4は、上記実施の形態で得られた
被覆線材8の最外層にさらに新たなZn層7を被覆した
被覆線材10であり、これによって放電加工性をさらに
著しく向上させることが可能となる。尚、このZn層7
は、電気めっき法、溶融めっき法等の常用的に用いられ
る公知のめっき法によって容易に被覆形成することが可
能である。
【0031】
【実施例】以下、本発明方法の具体的実施例を比較例及
び従来例と共に説明する。尚、以下に示す各成分の単位
は全て重量%である。
【0032】(実施例1)心線材として直径4. 0mm
のCu−0.19Sn−0.2 In合金線を用い、その外周に
厚さ0. 2mm、幅25mmのZnテープを螺旋状に均
一に巻き付けた後、その外周に厚さ0. 5mmの黄銅テ
ープ(Cu−35Zn)を縦添えし、突き合わせ部を溶接
して直径が5. 4mmの被覆線材を形成した。その後、
この被覆線材に450℃×20hrの熱処理を施してC
u−49Znの合金層を形成し、最後にこの被覆線材を伸
線ダイスに通して縮径加工して、線径が0. 25mmの
電極線を製造した。そして、このようにして得られた電
極線の伸線加工性、放電加工速度、生産性についてそれ
ぞれ評価を行い、その結果を以下の表1に示す。
【0033】(実施例2)心線材として直径4. 0mm
のCu−0.19Sn−0.2 In合金線を用い、その外周に
厚さ0. 2mm、幅25mmのZnテープを螺旋状に均
一に巻き付けた後、その外周に厚さ0. 5mmの黄銅テ
ープ(Cu−35Zn)を縦添えし、突き合わせ部を溶接
して直径が5. 4mmの被覆線材を形成した。その後、
この被覆線材に450℃×15hrの熱処理を施してそ
の最外層にCu−35Znの合金層を形成し、内層にCu
−49Znの合金層を形成し、最後にこの被覆線材を伸線
ダイスに通して縮径加工して、線径が0. 25mmの電
極線を製造し、実施例1と同様な評価を行った。
【0034】(実施例3)心線材として直径4. 0mm
のCu−0.19Sn−0.2 In合金線を用い、その外周に
厚さ0. 2mm、幅25mmのZnテープを螺旋状に均
一に巻き付けた後、その外周に厚さ0. 5mmの黄銅テ
ープ(Cu−35Zn)を縦添えし、突き合わせ部を溶接
して直径が5. 4mmの被覆線材を形成した。その後、
この被覆線材に450℃×20hrの熱処理を施してC
u−49Znの合金層を形成した後、さらに最外層に0.
1mmのZnを被覆し、最後にこの被覆線材を伸線ダイ
スに通して縮径加工して、線径が0. 25mmの電極線
を製造し、実施例1と同様な評価を行った。
【0035】(実施例4)心線材としてCu−0.16Zr
を用いた以外は実施例1と同様にして線径が0.25m
mの電極線を製造し、実施例1と同様な評価を行った。
【0036】(実施例5)心線材としてCu−0.16Zr
を用いた以外は実施例2と同様にして線径が0.25m
mの電極線を製造した。
【0037】(実施例6)心線材としてCu−0.16Zr
を用いた以外は実施例3と同様にして線径が0.25m
mの電極線を製造し、実施例1と同様な評価を行った。
【0038】(実施例7)心線材としてCu−0.30Sn
を用いた以外は実施例1と同様にして線径が0.25m
mの電極線を製造し、実施例1と同様な評価を行った。
【0039】(実施例8)心線材としてCu−0.30Sn
を用いた以外は実施例2と同様にして線径が0.25m
mの電極線を製造し、実施例1と同様な評価を行った。
【0040】(実施例9)心線材としてCu−0.30Sn
を用いた以外は実施例3と同様にして線径が0.25m
mの電極線を製造し、実施例1と同様な評価を行った。
【0041】(比較例1)心線材として直径4. 0mm
のCu−0.19Sn−0.2 In合金線を用い、その外周に
厚さ0. 8mmの黄銅テープ(Cu−35Zn)を縦添え
し、突き合わせ部を溶接して直径が5. 6mmの被覆線
材を形成した。その後、この被覆線材にZnを被覆し、
850℃の加熱炉中を通過させて熱処理を施してCu−
43Znの合金層を形成し、最後にこの被覆線材を伸線ダ
イスに通して縮径加工して線径が0. 25mmの電極線
を製造し、実施例1と同様な評価を行った。
【0042】(比較例2)心線材として直径4. 0mm
のCu−0.19Sn−0.2 In合金線を用い、その外周に
厚さ0. 8mmの黄銅テープ(Cu−35Zn)を縦添え
し、突き合わせ部を溶接して直径が5. 6mmの被覆線
材を形成した。その後、この被覆線材にZnを被覆し、
850℃の加熱炉中を通過させて熱処理を施してCu−
43Znの合金層を形成した後、さらにその最外層に0.
1mmのZnを被覆し、最後にこの被覆線材を伸線ダイ
スに通して縮径加工して線径が0. 25mmの電極線を
製造し、実施例1と同様な評価を行った。
【0043】(従来例1,2)Cu−35Znの合金によ
り構成された直径0. 25mmの単一構成による電極線
(従来例1)と、Cu−40Znの合金により構成された
直径0. 25mmの単一構成による電極線(従来例2)
を作成し、それぞれの電極線に対して実施例1と同様な
評価を行った。
【0044】
【表1】
【0045】この結果、表1からも明らかなように、本
発明方法に係る実施例1〜9の放電加工用電極線の放電
加工性は、いずれも従来例は勿論、比較例1,2よりも
優れた数値を発揮し、特に実施例1〜3では従来例1に
比べて約30〜40%高い放電加工性を示した。尚、こ
の放電加工速度は従来例1を1. 00としたときの指数
で表したものである。
【0046】また、生産性の点についても本発明方法に
係る実施例1〜9の放電加工用電極線は、比較例1の生
産性を1.0とした場合に、その比較例1よりも3〜6
倍の優れた生産性を発揮した。
【0047】そして、本発明方法に係る実施例1〜9の
放電加工用電極線にあっては、上記のように優れた放電
加工性と生産性を有するにも拘わらず、伸線加工性の点
についても、従来例及び比較例と同等以上を発揮できる
ことがわかり、伸線加工性を殆ど犠牲にすることがない
ことがわかった。
【0048】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、心線材上
に被覆されたZn層の外周にCu−Zn合金層を被覆し
てから熱処理を施すようにしたことから、熱処理時の熱
によってZn層のZnが蒸発してしまうことがなくな
り、効果的にCu−Zn合金層側に拡散させることでZ
n濃度の高いCu−Zn合金層を確実に得ることができ
る。また、熱処理時に隣接するZn層同士が相互に接着
してしまうことがなくなるため、その後の加工が困難に
なるといった不都合も確実に回避することができる。
【0049】この結果、所望の亜鉛濃度を有するCu−
Zn合金被覆層を有し、かつ伸線加工性及び高速加工性
に優れた新規なワイヤ放電加工用電極線を低コストで生
産性良く製造することができる等といった優れた効果を
発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】心線材の外周にZn層を被覆し、さらにそのZ
n層の外周にCu−Zn合金層を被覆した状態の被覆線
材を示す拡大断面図である。
【図2】図1の被覆線材に熱処理を施してZn層中のZ
nをCu−Zn合金層側に拡散させた状態の被覆線材を
示す拡大断面図である。
【図3】図1の被覆線材に熱処理を施し、熱処理後のC
u−Zn合金層の最外層側にZn濃度の低い層を形成
し、その内層側にZn濃度の高い層を形成した状態の被
覆線材を示す拡大断面図である。
【図4】図2で得られた被覆線材の外周にさらに新たな
Zn層を被覆した状態の被覆線材を示す拡大断面図であ
る。
【符号の説明】
1 心線材 2 Zn層 3 Cu−Zn合金層(Zn低濃度) 4 被覆線材(熱処理前) 5 Cu−Zn合金層(Zn高濃度) 6 最外層(Zn低濃度) 7 Zn層(外層側) 8 被覆線材(熱処理後) 9 被覆線材(Zn濃度分布) 10 被覆線材(最外層Zn)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 10/52 C23C 10/52 (72)発明者 青山 正義 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日立 電線株式会社総合技術研究所内 (72)発明者 沢畠 勝憲 茨城県日立市川尻町4丁目10番1号 日立 電線株式会社豊浦工場内 (72)発明者 木村 孝光 茨城県日立市川尻町4丁目10番1号 日立 電線株式会社豊浦工場内 (72)発明者 佐藤 隆裕 茨城県日立市川尻町4丁目10番1号 日立 電線株式会社豊浦工場内 Fターム(参考) 3C059 AA01 AB05 DA06 DB03 DC02 4E070 AA04 AB14 AC01 BG03 BG15 FA02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cu又はCu合金からなる心線材の外周
    にZn層を被覆形成した後、そのZn層の外周にCu−
    Zn合金層を被覆して被覆線材を形成し、その直後、あ
    るいはこの被覆線材を伸線加工した後に、この被覆線材
    に熱処理を施して上記Zn層中のZnをその外側のCu
    −Zn合金層側に拡散させてそのCu−Zn層中のZn
    濃度を所望の濃度まで高めるようにしたことを特徴とす
    るワイヤ放電加工用電極線の製造方法。
  2. 【請求項2】 Cu又はCu合金からなる心線材の外周
    にZnテープを螺旋状に巻き付けてZn層を被覆形成す
    ると共に、そのZn層の外周にCu−Zn合金テープを
    縦添えしてCu−Zn層を被覆形成した後、その突き合
    わせ部を溶接して被覆線材を形成し、その後、この被覆
    線材に熱処理を施して上記Zn層中のZnをその外側の
    Cu−Zn層側に拡散させてそのCu−Zn層中のZn
    濃度を所望の濃度まで高めるようにしたことを特徴とす
    るワイヤ放電加工用電極線の製造方法。
  3. 【請求項3】 Cu又はCu合金からなる心線材の外周
    にZnを連続的に押し出し被覆してZn層を被覆形成す
    ると共に、そのZn層の外周にCu−Zn合金テープを
    縦添えしてCu−Zn層を被覆形成した後、その突き合
    わせ部を溶接して被覆線材を形成し、その後、この被覆
    線材に熱処理を施して上記Zn層中のZnをその外側の
    Cu−Zn層側に拡散させてそのCu−Zn層中のZn
    濃度を所望の濃度まで高めるようにしたことを特徴とす
    るワイヤ放電加工用電極線の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記心線材を構成するCu合金として、
    Cu−0.02〜0.2 重量%Zr合金、Cu−0.15〜0.25重
    量%Sn−0.15〜0.25重量%In合金、Cu−0.15〜0.
    70重量%Sn合金、Cu−5 〜30重量%Zn合金、Cu
    −5 〜30重量%Zn合金中にZr,Cr,Si,Mg,
    Al,Fe,P,Ni,Ag,Snのいずれか1種又は
    2種以上添加した合金のうち、いずれかを用いたことを
    特徴とする請求項1〜3に記載のワイヤ放電加工用電極
    線の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記熱処理後のCu−Zn層のZn濃度
    が40〜50重量%になるように熱処理を施したことを
    特徴とする請求項1〜4に記載のワイヤ放電加工用電極
    線の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記熱処理後のCu−Zn層のZn濃度
    が最外層側で36%以下であり、その内層側で40〜5
    0重量%になるように熱処理を施したことを特徴とする
    請求項1〜4に記載のワイヤ放電加工用電極線の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 上記請求項1〜6で得られたワイヤ放電
    加工用電極線の外周にさらにZn層を被覆形成するよう
    にしたことを特徴とする複合ワイヤ放電加工用電極線の
    製造方法。
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