JP2017190523A - 円筒型スパッタリングターゲット - Google Patents

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Abstract

【課題】スパッタ時のパワー密度を高く設定した場合や、使用によりエロ—ジョンが進行した場合であっても、接合層の溶け出しを抑制することができ、安定して成膜を行うことが可能な円筒型スパッタリングターゲットを提供する。【解決手段】円筒形状をなすターゲット材と、このターゲット材の内周側に接合層を介して接合されたバッキングチューブと、を備えた円筒型スパッタリングターゲットであって、前記バッキングチューブにおける径方向の熱抵抗が6.5×10-5K/W以下とされていることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、円筒形状をなすスパッタリングターゲット材と、このスパッタリングターゲット材の内周側に接合層を介して接合されたバッキングチューブと、を備えた円筒型スパッタリングターゲットに関するものである。
金属膜や酸化物膜等の薄膜を成膜する手段として、スパッタリングターゲットを用いたスパッタ法が広く用いられている。
一般に、スパッタリングターゲットは、成膜する薄膜の組成に応じて形成されたスパッタリングターゲット材と、このスパッタリングターゲット材を保持するバッキング材とが、接合層を介して接合された構造とされている。
スパッタリングターゲット材とバッキング材との間に介在する接合層を構成する接合材としては、例えばIn、或いは、Sn−Pb合金等が挙げられる。接合時の作業性や歪を小さくするために、これら接合層を構成する接合材の融点は、例えば300℃以下と比較的低融点の材料が使用されている。
上述のスパッタリングターゲットとしては、例えば、平板型スパッタリングターゲット、及び、円筒型スパッタリングターゲットが提案されている。
平板型スパッタリングターゲットにおいては、平板形状のターゲット材と平板状のバッキング材(バッキングプレート)が積層された構造とされる。
また、円筒型スパッタリングターゲットにおいては、例えば特許文献1に記載されているように、円筒形状のターゲット材の内周側に円筒状のバッキング材(バッキングチューブ)が接合層を介して接合された構造とされる。なお、大型基板への成膜に対応するため、円筒型ターゲットのターゲット材の軸線方向長さを、例えば0.5m以上と比較的長く設定したものが提案されている。
平板型スパッタリングターゲットにおいては、ターゲット材の使用効率が20〜30%程度と低く、連続スパッタリングができないため、効率的に成膜ができなかった。
これに対して、円筒型スパッタリングターゲットは、その外周面がスパッタリング面とされており、ターゲットを回転しながらスパッタを実施することから、平板型スパッタリングターゲットを用いた場合に比べて連続成膜に適しており、かつ、エロ―ジョン部が周方向に広がるため、円筒形状のスパッタリングターゲット材の使用効率が60〜80%と高くなるといった利点を有している。
さらに、円筒型スパッタリングターゲットにおいては、バッキングチューブの内周側から冷却される構成とされており、上述のようにエロ―ジョン部が周方向に広がることから、円筒形状のスパッタリングターゲット材の温度上昇を抑制でき、スパッタリング時のパワー密度を上げることができ、成膜のスループットをさらに向上させることが可能となる。
特開2014−037619号公報
ところで、近年、液晶パネル、太陽電池パネル等においては、さらなる原価低減が求められていることから、スパッタリング時のパワー密度をさらに上げて成膜のスループットをさらに向上させることが求められている。
ここで、上述の円筒型スパッタリングターゲットにおいては、さらなるパワー密度の上昇により、スパッタリング時において円筒形状のスパッタリングターゲット材の表面温度が上昇し、In等の低融点金属で構成された接合層が溶け出してしまうといった問題があった。このため、従来の円筒型スパッタリングターゲットにおいては、さらなるパワー密度の上昇を実現することができなかった。
また、従来の円筒型スパッタリングターゲットにおいては、使用初期には問題がなくても、使用が進むにつれてエロ―ジョンが進行してスパッタリングターゲット材の肉厚が局所的に減少し、円筒形状のスパッタリングターゲット材の内周側に位置する接合層が溶け出してしまうおそれがあった。
しかしながら、さらなる原価低減の観点から、円筒形状のスパッタリングターゲット材の使用効率をさらに向上させて円筒型スパッタリングターゲットの交換頻度を少なくするために、エロ―ジョンが進行した場合でも使用可能な円筒型スパッタリングターゲットが求められている。
さらに、液晶パネル、太陽電池パネル等におけるさらなる原価低減のために、成膜する基板の大型化により、円筒型スパッタリングターゲットの軸線方向長さが長くなっているが、その径方向のサイズは大きく変更されていない。このため、スパッタリング時に発生した熱をバッキングチューブの内周側へ効率的に放散することができず、円筒型スパッタリングターゲットが温度上昇しやすくなっており、やはり、接合層の溶け出しが生じるおそれがあった。
また、上記の円筒型スパッタリングターゲットの温度上昇は、バッキングチューブの内部に冷却水を流すことにより冷却するが、スパッタリング装置によっては、円筒型スパッタリングターゲットの冷却に使用した冷却水を、別の円筒型スパッタリングターゲットの冷却に使用するものがあるために、円筒型スパッタリングターゲット全体が温度上昇しやすくなっているものがあり、円筒形状のスパッタリングターゲット材の内側にある接合層が溶け出しやすくなっている。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、スパッタリング時のパワー密度を高く設定した場合や、使用によりエロ―ジョンが進行した場合であっても、接合層の溶け出しを抑制することができ、安定して成膜を行うことが可能な円筒型スパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の円筒型スパッタリングターゲットは、円筒形状をなすスパッタリングターゲット材と、このスパッタリングターゲット材の内周側に接合層を介して接合されたバッキングチューブと、を備えた円筒型スパッタリングターゲットであって、前記バッキングチューブにおける径方向の熱抵抗が6.5×10-5K/W以下とされていることを特徴としている。
このような構成とされた本発明の円筒型スパッタリングターゲットによれば、前記バッキングチューブにおける径方向の熱抵抗が6.5×10-5K/W以下とされているので、円筒形状のターゲット材で発生した熱を前記バッキングチューブ側へ効率的に放散させることによって、円筒型スパッタリングターゲットの温度上昇を抑制でき、接合層の溶け出しを抑制することができる。よって、高いパワー密度でスパッタを行うことができ、成膜のスループットを向上させることができる。また、使用によりエロ―ジョンが進行して円筒形状のスパッタリングターゲット材の肉厚が局所的に薄くなっても、スパッタリング成膜を行うことが可能となる。
ここで、本発明の円筒型スパッタリングターゲットにおいては、前記接合層の外周面から前記バッキングチューブの内周面までの径方向の熱抵抗が1.2×10-4K/W以下とされていることが好ましい。
この場合、接合層及びバッキングチューブにおいて熱の伝導が促進され、円筒形状のスパッタリングターゲット材で発生した熱を前記バッキングチューブ側へさらに効率的に伝達することができ、接合層の溶け出しを抑制することができる。
また、本発明の円筒型スパッタリングターゲットにおいては、前記接合層と前記バッキングチューブとの接合強度が4MPa以上であることが好ましく、8MPa以上であることがより好ましい。
この場合、前記スパッタリングターゲット材と前記バッキングチューブとが接合層を介して確実に接合されており、円筒形状のスパッタリングターゲット材で発生した熱を前記バッキングチューブ側へ確実に伝達することができ、接合層の溶け出しを抑制することができる。
さらに、本発明の円筒型スパッタリングターゲットにおいては、前記バッキングチューブは、ビッカース硬さが100Hv以上であることが好ましい。
この場合、バッキングチューブの硬さが十分に確保されていることから、円筒型スパッタリングターゲットに曲げ応力等が作用した場合でも、バッキングチューブが変形することを抑制でき、接合層への負荷を低減することができる。よって、温度上昇によって接合層が軟化した場合であっても、接合層が押し出されることがない。
また、本発明の円筒型スパッタリングターゲットにおいては、前記バッキングチューブは、銅合金で構成されていることが好ましい。
この場合、バッキングチューブが銅合金で構成されているので、熱伝導性に優れており、前記バッキングチューブにおける径方向の熱抵抗を低くすることができる。
以上のように、本発明によれば、スパッタ時のパワー密度を高く設定した場合や、使用によりエロ―ジョンが進行した場合であっても、接合層の溶け出しを抑制することができ、安定して成膜を行うことが可能な円筒型スパッタリングターゲットを提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る円筒型スパッタリングターゲットの概略説明図である。(a)が軸線O方向に直交する断面図、(b)が軸線Oに沿った断面図である。 径方向の熱抵抗の計算方法を示す説明図である。 接合層とバッキングチューブとの接合強度の測定方法を示す説明図である。
以下に、本発明の実施形態である円筒型スパッタリングターゲットについて、添付した図面を参照して説明する。
本実施形態に係る円筒型スパッタリングターゲット10は、図1に示すように、軸線Oに沿って延在する円筒形状をなすスパッタリングターゲット材11と、このスパッタリングターゲット材11の内周側に挿入された円筒形状のバッキングチューブ12とを備えている。
そして、円筒形状のスパッタリングターゲット材11とバッキングチューブ12は、接合層13を介して接合されている。
スパッタリングターゲット材11は、成膜する薄膜の組成に応じた組成とされており、各種金属及び酸化物等で構成されている。
また、この円筒形状のスパッタリングターゲット材11のサイズは、例えば外径DTが0.15m≦DT≦0.17mの範囲内、内径dTが0.12m≦dT≦0.14mの範囲内、軸線O方向長さlTが0.5m≦lT≦3mの範囲内とされている。
バッキングチューブ12は、円筒形状のスパッタリングターゲット材11を保持して機械的強度を確保するために設けられたものであり、さらには円筒形状のスパッタリングターゲット材11への電力供給、及び、円筒形状のスパッタリングターゲット材11の冷却といった作用を有するものである。このため、バッキングチューブ12としては、機械的強度、電気伝導性及び熱伝導性に優れていることが求められており、例えばSUS304等のステンレス鋼、銅又は銅合金、チタン等で構成されている。具体的には、例えばCo:0.10mass%以上0.30mass%以下、P:0.030mass%以上0.10mass%以下、Sn:0.01mass%以上0.50mass%以下、Ni:0.02mass%以上0.10mass%以下、Zn:0.01mass%以上0.10mass%以下、を含み、残部がCu又は不可避不純物とされた組成の銅合金で構成することができる。
また、本実施形態においては、バッキングチューブ12は、ビッカース硬さが100Hv以上とされている。このビッカース硬さについては、バッキングチューブ12の材質や製造工程における熱処理条件等によって調整することができる。
さらに、本実施形態においては、バッキングチューブ12の導電率が60%IACS以上であることが好ましい。また、バッキングチューブ12の熱伝導率は200W/(m・K)以上であることが好ましい。
例えば、上述のCo、P、Sn、Ni、Znを含む銅合金においては、導電率を60〜80%IACS、熱伝導率を300W/(m・K)以上とすることができる。
ここで、このバッキングチューブ12のサイズは、例えば外径DBが0.12m≦DB≦0.14mの範囲内、内径dBが0.11m≦dB≦0.13mの範囲内、軸線O方向長さlBが0.5m≦lB≦3mの範囲内とされている。
円筒形状のスパッタリングターゲット材11とバッキングチューブ12との間に介在する接合層13は、接合材を用いて円筒形状のスパッタリングターゲット材11とバッキングチューブ12とを接合した際に形成されるものである。
接合層13を構成する接合材は、例えばIn等の溶融温度が157℃以下の低融点金属で構成されている。また、接合層13の厚さtは、0.0005m≦t≦0.004mの範囲内とされている。
また、本実施形態である円筒型スパッタリングターゲット10においては、接合層13とバッキングチューブ12との接合強度が4MPa以上とされている。なお、この接合強度は、径方向に積層された円筒形状のスパッタリングターゲット材11と接合層13との接合部を接着剤で固定した状態でスパッタリングターゲット材11とバッキングチューブ12とを積層方向(径方向)に引っ張った際の引張強度である。
そして、本実施形態においては、バッキングチューブ12の径方向(図1(a)において基準線r方向)の熱抵抗RBが6.5×10-5K/W以下とされている。具体的には、バッキングチューブ12の熱伝導率と基準線r方向厚さ(外径と内径の差)を考慮することによって、バッキングチューブ12における径方向の熱抵抗RBが6.5×10-5K/W以下とされているのである。
本実施形態では、バッキングチューブ12の熱伝導率が200W/(m・K)以上とされており、これに応じてバッキングチューブ12のサイズが設計されている。
さらに、本実施形態では、接合層13の外周面からバッキングチューブ12の内周面までの基準線r方向の熱抵抗が1.2×10-4K/W以下とされている。具体的には、バッキングチューブ12の熱伝導率とその基準線r方向厚さ(外径と内径の差)、接合層13の熱伝導率とその基準線r方向厚さ(外径と内径の差)を考慮することによって、接合層13の外周面からバッキングチューブ12の内周面までの基準線r方向の熱抵抗が1.2×10-4K/W以下とされている。
ここで、円筒型スパッタリングターゲット10における径方向の熱抵抗の算出方法について、図2を用いて説明する。
バッキングチューブ12の内周面の温度をT1、バッキングチューブ12の外周面(接合層13の内周面)の温度をT2、スパッタリングターゲット材11の内周面(接合層13の外周面)の温度をT3、スパッタリングターゲット材11の外周面の温度をT4とする。
また、バッキングチューブ12の内周面までの半径をr1、バッキングチューブ12の外周面(接合層13の内周面)までの半径をr2、スパッタリングターゲット材11の内周面(接合層13の外周面)までの半径をr3、スパッタリングターゲット材11の外周面までの半径をr4とする。
すると、バッキングチューブ12、接合層13、円筒形状のスパッタリングターゲット材11の各層の熱抵抗Riは、以下の式で表される。
Figure 2017190523
ここで、λ1はバッキングチューブ12の熱伝導率、λ2は接合層13の熱伝導率、λ3は円筒形状のスパッタリングターゲット材11の熱伝導率、lは円筒形状のスパッタリングターゲット材11の長さ(図1においてlT)である。円筒型スパッタリングターゲットが複数の円筒形状のスパッタリングターゲット材11から構成されている場合は、これら複数の円筒形状のスパッタリングターゲット11の長さの合計となる。
そして、円筒全体における熱の通過量Qは、以下の式で表され、この式の分母が円筒型スパッタリングターゲット10全体の熱抵抗Rtotalとなる。
Figure 2017190523
上述の式を用いて、バッキングチューブ12における基準線r方向の熱抵抗RB、接合層13における径方向の熱抵抗RJ、円筒形状のスパッタリングターゲット材11における径方向の熱抵抗RT、接合層13の外周面からバッキングチューブ12の内周面までの径方向の熱抵抗を算出し、上述の範囲内となるように、バッキングチューブ12、接合層13の材質、サイズを設計することになる。
なお、上述の各数式においては、長さlが考慮されているが、円筒型スパッタリングターゲット10においては、円筒形状のスパッタリングターゲット材11の長さ方向に対して均一に熱源が配置されるため、熱抵抗Rについては径方向(基準線r方向)の一次元で計算すればよい。そこで、本明細書においては、上述の各数式における長さlを1として、熱抵抗Rを計算している。
以上のような構成とされた本実施形態である円筒型スパッタリングターゲット10においては、バッキングチューブ12における基準線r方向の熱抵抗RBが6.5×10-5K/W以下とされているので、円筒形状のスパッタリングターゲット材11で発生した熱をバッキングチューブ12の内周側へと効率的に伝達することができ、低融点金属からなる接合層13の溶け出しを抑制することができる。よって、高いパワー密度でスパッタリングを行うことができ、成膜のスループットを向上させることができる。また、使用によりエロ―ジョンが進行して円筒形状のスパッタリングターゲット材11の肉厚が局所的に薄くなっても、継続して使用することが可能となる。
また、本実施形態においては、接合層13の外周面からバッキングチューブ12の内周面までの径方向の熱抵抗が1.2×10-4K/W以下とされているので、円筒形状のスパッタリングターゲット材11で発生した熱をバッキングチューブ12の内周側へとさらに効率的に伝達することができ、円筒形状のスパッタリングターゲット材11の温度上昇を抑制することができる。よって、低融点金属からなる接合層13の溶け出しを抑制することができる。
さらに、本実施形態においては、接合層13とバッキングチューブ12との接合強度が4MPa以上とされているので、円筒形状のスパッタリングターゲット材11とバッキングチューブ12とが接合層13を介して確実に接合されており、スパッタリングターゲット材11で発生した熱をバッキングチューブ12側へ確実に伝達することができ、接合層13の溶け出しを抑制することができる。
また、本実施形態においては、バッキングチューブ12のビッカース硬さが100Hv以上とされているので、円筒型スパッタリングターゲット10に曲げ応力等が作用した場合でも、バッキングチューブ12が変形することを抑制でき、接合層13への負荷を低減することができる。よって、温度上昇によって接合層13が軟化した場合であっても、接合層13が押し出されることがない。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本実施形態では、図1に示す円筒型スパッタリングターゲットを例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、円筒形状をなすスパッタリングターゲット材と、この円筒形状のスパッタリングターゲット材の内周側に接合層を介して接合されたバッキングチューブと、を備えた円筒型スパッタリングターゲットであればよい。
以下に、本発明に係る円筒型スパッタリングターゲットの作用効果を確認すべく実施した確認試験の結果について説明する。
実施例では、円筒型スパッタリングターゲットの接合層温度T3が最高温度に到達すると考えられる、円筒型スパッタリングターゲット交換直前を模擬している。具体的には、円筒形状のスパッタリングターゲット材の外径r4は、円筒形状のスパッタリングターゲット材の肉厚が平均的に減少し、かつ円筒形状のスパッタリングターゲットの使用効率約80%になるように設定している。
表1に示す円筒形状のスパッタリングターゲット材、バッキングチューブを準備し、表1に示す材質の接合層を介して、これら円筒形状のスパッタリングターゲット材とバッキングチューブを特開2014−37619に記載の方法で接合し、円筒型スパッタリングターゲットを得た。
表1に示す円筒形状のスパッタリングターゲット材のCuGaはGa32mass%、残部Cuまたは不可避不純物とされた組成の銅合金であり、AZOはAl231.0mass%,残部ZnOまたは不可避不純物とされた組成の酸化物である。
Cu合金製バッキングチューブは、Co:0.20mass%、P:0.06mass%、Sn:0.10mass%以上、Ni:0.05mass%、Zn:0.05mass%を含み、残部がCu又は不可避不純物とされた組成のCu合金であり、以下の製造条件を経ている。押出し前加工温度900℃,押出し後冷却開始温度870℃,上述の組成の鋳塊からの押出し後の断面収縮率96%の条件で、上述の組成の鋳塊の溶体化処理を含む熱間押出を行い、押出し素管を得る。押出から引抜き終了までの断面収縮率23%の条件で、押出し素管の冷間引抜を行い、その後500℃で3時間の熱処理を行うことにより、Cu合金製バッキングチューブ素管を製造し、このバッキングチューブ素管の加工を行うことによりCu合金製バッキングチューブを製造する。
なお、表1に示すCu製バッキングチューブは、純度99.99mass%のものを使用した。
表1に示すMo製バッキングチューブは、純度99mass%のものとした。
表1に示すAl合金製バッキングチューブは、JIS A 2017からなるものとした。
表1に示すTi製バッキングチューブは、JIS H 4600 2種からなるものとした。
(ビッカース硬さ)
バッキングチューブの硬さは、JIS Z 2244に準拠して測定を行った。具体的には、バッキングチューブから硬さ測定用の試料を採取し、測定面を研磨して、マイクロビッカース硬度計にて硬さ測定を行った。表1に、バッキングチューブの硬さを示す。
(熱伝導率)
バッキングチューブ、接合層、円筒形状のスパッタリングターゲット材の熱伝導率は、JIS R 1611に準拠して測定を行った。バッキングチューブ、接合層、円筒形状のスパッタリングターゲット材から熱伝導率測定用の試料を採取し、測定面を研磨して、レーザーフラッシュ法にて熱伝導率測定を行った。
(熱抵抗)
実施形態で説明した方法により、上記の熱伝導率の値を利用して円筒型スパッタリングターゲットの基準線r方向の熱抵抗を計算した。バッキングチューブにおける径方向の熱抵抗と、接合層の外周面からバッキングチューブの内周面までの径方向の熱抵抗を、表1に示す。
(接合層とバッキングチューブの接合強度)
図3(a)に示すように、ワイヤーカット又はバンドソー等を用いて、得られた円筒型スパッタリングターゲットの側面から円柱状のサンプルを切り出した。このサンプルの端面(外周面及び内周面)を切り落として平坦面とするとともに、サンプルの外周面を旋盤加工によって切削し、φ20mmの測定試料を得た。測定試料のスパッタリングターゲット材と接合層の接合部は、外側から接着剤を塗布することにより固定した。この測定試料を、引張試験機INSTORON5984(インストロンジャパン社製)を用いて引張強度を測定した。なお、最大荷重150kN、変位速度を0.1mm/minとした。この引張強度を接合層とバッキングチューブとの接合強度とした。測定された接合強度を表1に示す。
そして、これらの円筒型スパッタリングターゲットを用いて、先ずはプレスパッタリングを行った。プレスパッタリング条件は、全圧0.8Paで、表2に示すスパッタリング出力の1/10、1/5、1/3、1/2で各5分間スパッタリングを行う。その後に、表2に示す条件で8時間のスパッタを行い、スパッタ後に接合層の溶け出しの有無を確認した。
円筒形状のスパッタリングターゲット材の全端面に接している接合層の溶け出しがないものを「○」、円筒形状のスパッタリングターゲット材の全端面において、軸線O方向に1mm未満の接合層の溶け出しが2か所以下であったものを「△」、円筒形状のスパッタリングターゲット材の全端面において、軸線O方向に1mm未満の接合層の溶け出しが3ケ所以上或いは1mm以上の接合層の溶け出しが確認されたものを「×」、スパッタリングターゲット材のズレが確認されたものを「××」と評価した。
Figure 2017190523
Figure 2017190523
バッキングチューブにおける径方向の熱抵抗が本発明よりも大きい比較例については、スパッタリング試験の結果、接合層の溶け出しが確認された。
これに対して、バッキングチューブにおける径方向の熱抵抗が本発明の範囲内とされた本発明例においては、接合層の溶け出しが抑制されていた。
また、本発明例においては、いずれも接合層とバッキングチューブとの接合強度が4MPa以上とされており、スパッタリングターゲット材とバッキングチューブとが接合層を介して確実に接合されていることが確認された。
なお、バッキングチューブの硬さを100Hv以上としたものでは、特に接合層の溶け出しが抑制されていた。
10 円筒型スパッタリングターゲット
11 円筒形状のスパッタリングターゲット材
12 バッキングチューブ
13 接合層

Claims (5)

  1. 円筒形状をなすスパッタリングターゲット材と、このスパッタリングターゲット材の内周側に接合層を介して接合されたバッキングチューブと、を備えた円筒型スパッタリングターゲットであって、
    前記バッキングチューブにおける径方向の熱抵抗が6.5×10-5K/W以下とされていることを特徴とする円筒型スパッタリングターゲット。
  2. 前記接合層の外周面から前記バッキングチューブの内周面までの径方向の熱抵抗が1.2×10-4K/W以下とされていることを特徴とする請求項1に記載の円筒型スパッタリングターゲット。
  3. 前記接合層と前記バッキングチューブとの接合強度が4MPa以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の円筒型スパッタリングターゲット。
  4. 前記バッキングチューブは、ビッカース硬さが100Hv以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の円筒型スパッタリングターゲット。
  5. 前記バッキングチューブは、銅合金で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の円筒型スパッタリングターゲット。
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