JP6305083B2 - スパッタリングターゲット及び、それの製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、パッキングチューブもしくはバッキングプレートの表面に、主としてインジウムからなるターゲット本体を接合してなるスパッタリングターゲット及び、それの製造方法に関するものであり、特には、スパッタリングによって基板へ薄膜を形成する際の、バッキングチューブ等によるターゲット本体の冷却機能の低下に起因する異常の発生を防止することのできる技術を提案するものである。
太陽光発電に対する需要の増大に伴い、太陽電池の開発が進展する近年では、一般に、基板上に、裏面電極層、光吸収層、抵抗バッファ層、透明導電層を順次に配置して構成される太陽電池の光吸収層の光吸収能力を高めるための様々な研究がなされている。
ここで、光吸収層を形成するには、太陽光のスペクトルの範囲を広くカバーする波長を有し、光吸収能力の高いものとして知られているCIGS系合金を用いることがあり、具体的には、Cu、In、Ga、Se等からなるこのCIGS系合金をスパッタリングターゲットとして、ガラス基板等の基板に対し、スパッタリングすることにより行うことができる。
このような光吸収層等を形成するためのスパッタリングに際し、平板形状のバッキングプレート上にターゲット本体を接合してなる平型スパッタリングターゲットを用いたマグネトロンスパッタリングが主流である。しかしながら、この手法の場合、マグネットの配置により面内でスパッタされる量が異なるため、最もスパッタされやすい箇所がターゲット厚みまでスパッタされた時点でライフエンドとなる。そのため、使用されない部分も多く、使用効率が低くなる。
これに対し、ターゲット表面の利用効率を高めるため、たとえば図1に例示するような、円筒形状のバッキングチューブ101の外周面にターゲット本体102を接合した円筒型スパッタリングターゲット103を用いて、そのような円筒型スパッタリングターゲットの軸線周りの回転下でスパッタリングする、いわゆるロータリー型スパッタリングによるスパッタ技術が実用化されるに至っている。
なお、上述した平型及び円筒型のいずれのタイプのスパッタリングターゲットも、インジウム製ターゲット本体を主に溶解鋳造法によって鋳造して製造することが一般的である。たとえば特許文献1には、「バッキングプレートにインジウム、インジウム合金、錫あるいは錫合金の薄膜を形成した後に該薄膜の上にインジウム、インジウム合金、錫あるいはインジウム錫合金を流し込み鋳造することによってバッキングプレートと一体に形成することを特徴とするスパッタリング用ターゲットの製造方法」が提案されている。
ところで、インジウム製ターゲット本体と接合させるバッキングチューブもしくはプレートが銅からなる場合は、ターゲット本体との接合をもたらすロウ材として、インジウムスズを用いることにより、インジウムスズ中に銅が固溶することに基き、バッキングチューブもしくはプレートとターゲット本体との相互を、たとえば90%以上の比較的高い接着率で接合することができる。なお、この「接着率」は、後述する超音波探傷により測定したものである。
この一方で、バッキングチューブもしくはプレートが、銅以外の金属材料のなかでも、ステンレスやチタン、アルミニウムからなる場合は、特に、このようなバッキングチューブもしくはプレートを内部に設置した鋳型の鋳造空間に、たとえば200℃程度のインジウム溶湯を流し込んでターゲット本体を鋳造すると、低温ではステンレス等がインジウムに固溶せず、濡れ性が非常に悪いことに起因して、バッキングチューブもしくはプレートとターゲット本体とが低い接着率で接合されることになる。
そして、スパッタリングターゲットのそのような低い接着率は、スパッタリングを行う際に、たとえば、バッキングチューブもしくはプレートの内部通路への液体の通流による、ターゲット本体の冷却機能を低下させ、それによってスパッタリングの異常の発生を招くおそれがある。
ここで、特許文献2には、バッキングチューブとターゲット本体との接合性を高めるために、「ニッケルベースの接着剤層」を用いることが記載されている。より詳細には、「インジウムを溶融させ、そして190℃でるつぼから、支持管を取り囲む予熱された鋼の鋳型へと流し込み、その際、鋼の鋳型の脚部は、シーリング部品により支持管に接続された。・・・支持管へのインジウムの結合を改善するために、支持管は、先にインジウムはんだを備えられ、ニッケルベースの接着剤層を備えられた。」と記載されている。
特公昭63−44820号公報 特開2012−172265号公報
しかるに、ターゲット本体の形成に先立って、バッキングチューブもしくはプレートの表面に、特許文献2に記載されているように、ニッケルからなる下地層を設けた場合、インジウム中に固溶したニッケルが、不純物としてターゲット本体に大量に残留して、太陽電池性能を劣化させる懸念があった。このように、バッキングチューブもしくはプレートの表面にニッケル下地層を設けた場合、製造されるスパッタリングターゲットは、バッキングチューブないしプレート、ニッケル下地層、及び、ターゲット本体を含む三層以上の構造となる。
なお、ターゲット本体の鋳造前に単に、バッキングチューブ等の表面に、特許文献1に記載されているようなインジウム薄膜としての下地層を形成しただけでは、ターゲット本体の鋳造時に、バッキングチューブをインジウム融点以上に加熱させる目的で行う予備加熱によって、インジウム薄膜を設けたバッキングチューブ等の表面が酸化するので、バッキングチューブ等の、インジウム溶湯に対する濡れ性が低下し、その結果として、バッキングチューブ等とターゲット本体との接着率を有効に高めることができない。具体的に予備加熱時のバッキングチューブ温度は170〜180℃である。
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、インジウム製のターゲット本体への多量の不純物の混入なしに、ターゲット本体を、ステンレスやチタン、アルミニウムからなるバッキングチューブもしくはプレートに十分強固に接合させることにより、スパッタリングを行った際の異常の発生を防止することができるスパッタリングターゲット及び、それの製造方法を提供することにある。
この発明のスパッタリングターゲットは、ステンレス、チタンまたはアルミニウムのいずれかの材質からなるバッキングチューブもしくはバッキングプレートと、インジウムからなるターゲット本体との二層構造からなり、前記バッキングチューブもしくはバッキングプレートとターゲット本体との接着率を、超音波探傷により測定して95%以上としてなるものである。
この発明のスパッタリングターゲットでは、バッキングチューブもしくはバッキングプレートの、ターゲット本体との接合表面における表面粗さ、つまりJIS B0601に規定される算術平均粗さRaを4.0μm以上とすることが好ましい。
なおここで、ターゲット本体は、Ni、Fe、Cr、Ti、Al、Siから選択される少なくとも一種類を、一種類当たり10wtppm以下でさらに含有するものであってもよく、また、Cu、Gaから選択される少なくとも一種類を、一種類当たり10000wtppm以下でさらに含有するものであってもよい。
またこの発明の、スパッタリングターゲットの製造方法は、インジウムからなるターゲット本体を鋳造により、ステンレス、チタンまたはアルミニウムのいずれかの材質からなるバッキングチューブもしくはバッキングプレートの表面に、インジウム下地層を介して接合して、スパッタリングターゲットを製造するに当り、バッキングチューブもしくはバッキングプレートの表面に、インジウム下地層を形成し、その後、ターゲット本体の鋳造を実施するに先立ち、インジウム下地層付きのバッキングチューブもしくはバッキングプレートに対し、非酸化雰囲気下で予備加熱を施し、前記予備加熱を、ターゲット本体の鋳造用鋳型内にバッキングチューブもしくはバッキングプレートを配置した状態で行うこととし、非酸化雰囲気を当該予備加熱からターゲット本体の鋳造が終了するまで維持させることにある。
この発明のスパッタリングターゲットによれば、ステンレス、チタンまたはアルミニウムのいずれかの材質からなるバッキングチューブもしくはバッキングプレートと、インジウム製のターゲット本体との接着率を95%以上としたことにより、それを用いてスパッタリングを実施する際に、ターゲット本体に十分に密着するバッキングチューブもしくはプレートによって、ターゲット本体の冷却を有効に行わせることができるので、異常の発生のない良好なスパッタリングの実現に寄与することができる。
この発明の、スパッタリングターゲットの製造方法によれば、ステンレス、チタンまたはアルミニウムのいずれかの材質からなるバッキングチューブもしくはプレートの表面にインジウム下地層を形成し、ターゲット本体の鋳造に先立って、そのようなバッキングチューブもしくはプレートに対する予備加熱を、非酸化雰囲気の下で行うこととしたことにより、バッキングチューブもしくはプレートのインジウム下地層の酸化が抑制されることから、その後に鋳造されるインジウム製のターゲット本体との接着率を大きく高めることができる。
円筒型スパッタリングターゲットの一例を示す概略斜視図である。
以下に、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態に係るスパッタリングターゲットは、ステンレス、チタンまたはアルミニウムのいずれかの材質からなる、たとえば円筒状のバッキングチューブまたは円盤状のバッキングプレートと、円筒状バッキングチューブの外周面または円盤状バッキングプレートの表面に接合されて、インジウムを主材とするターゲット本体とを有するものである。
なおここで、図1に例示するような、いずれも円筒状のバッキングチューブ101及びターゲット本体102で構成される円筒型スパッタリングターゲット103としたときは、先述のロータリー型スパッタリングに供することができて、平板型スパッタリングターゲットと比較して使用効率を高めることができる。
このスパッタリングターゲットは、バッキングチューブないしプレートとターゲット本体との、互いに主成分の異なる二層構造になり、それらのバッキングチューブないしプレートとターゲット本体との間には、ニッケル等の他の材質からなる層が存在しない。
ここで、バッキングチューブまたはバッキングプレート、特に円筒型スパッタリングターゲットを構成するバッキングチューブは、この実施形態のスパッタリングターゲットのように、ステンレス、チタンまたはアルミニウムで形成することが多く、これにより、ターゲット本体を形成するインジウム中に固溶し難いステンレス、チタンないしアルミニウムの性質を利用して、ターゲット本体に存在する不純物を少なくすることができる。
この場合において、ターゲット本体を形成するに当り、上記のバッキングチューブもしくはプレートを配置した鋳型内へ200℃前後の溶融インジウムを流し込んで冷却硬化させることによる鋳造を行うと、上述したように、ステンレスやチタン、アルミニウム等の金属材料が200℃前後の低温ではインジウムとはほとんど固溶せず、当該金属材料がインジウムとの濡れ性に乏しいことに起因して、インジウムが鋳型内に配置したバッキングチューブもしくはプレートに、十分に強固に接合せずに、バッキングチューブもしくはプレートとターゲット本体との接着率が低くなる。
このような、バッキングチューブもしくはプレートとターゲット本体とが低い接着率で接合されたスパッタリングターゲットを、基板上への薄膜形成のためのスパッタリングに供した場合は、ターゲット本体を冷却するべく、バッキングチューブもしくはプレートの内部に設けられた通路へ冷却水を供給しても、ターゲット本体との低い接着率の故に、ターゲット本体の冷却を効果的に行い得なくなって、スパッタリングの異常が発生することになる。
このことに対処するため、この発明では、上記のバッキングチューブもしくはプレートとターゲット本体との接着率を、超音波探傷により測定した値で95%以上とする。それにより、スパッタリング時に、バッキングチューブもしくはプレートが、それに十分強固に接着されているターゲット本体を有効に冷却することになるので、ターゲット本体の冷却が不十分であることに起因する異常の発生を防止することができる。
ここで、バッキングチューブないしプレートとターゲット本体との接着率を測定するに当っては、超音波探傷機を用いて、平型ターゲットの場合は縦方向及び横方向、また円筒型ターゲットの場合は長手方向(軸方向)及び円周方向に、それぞれ所定のピッチで界面の全体をスキャンし、十分に接着されていない部分としての欠陥部の面積Adを求めた後、その欠陥部の面積Adと界面全体の面積Atより、式:Pa=100×(At−Ad)/Atから得られる値Pa(%)を接着率とすることができる。
またここで、主にインジウムからなるターゲット本体の不純物としては、Ni、Fe、Cr、Ti、Al、Siを挙げることができ、ターゲット本体は、それらの元素の一種類につき10wtppm以下であれば含むものであってもよい。ターゲット本体が上記の不純物を多く含む場合は、スパッタリングターゲットを用いて作製した太陽電池の変換効率が低下するので、不純物は少ないほうが望ましい。従って、ターゲット本体に含まれる不純物は、合計で100wtppm以下とすることがより好ましく、特に、80wtppm以下、さらには、50wtppm以下とすることが一層好ましい。ただし、Cu、GaはCIGS太陽電池の構成要素であるため、不純物としては除外するが、この発明の実施形態では、それらのCu、Gaから選択される少なくとも一種類を、それぞれ10000wtppm以下で含有するものとすることができる。
以上に述べたスパッタリングターゲットを製造するに当っては、たとえば、はじめに、ターゲット本体の形成前に、ステンレス、チタンもしくはアルミニウムからなる円筒状のバッキングチューブの外表面に、インジウム下地層を、めっきまたは溶射等によって形成する。なお、このようなインジウム下地層の形成に先立って、バッキングチューブの外表面にブラスト等を施して、当該外表面の表面粗さRaを4.0μm以上にしておくことが、インジウムとの接着率をより向上させるとの観点から好ましい。
次いで、インジウム下地層付きバッキングチューブを、鋳型内の所定位置で、その外表面が円筒状鋳造空間に露出するように配置し、鋳型内を、窒素または、アルゴンもしくはヘリウムその他の希ガス族元素としての不活性ガスで充満させた非酸化雰囲気とした上で、バッキングチューブに対して予備加熱を施す。このことによれば、予備加熱の実施に際し、非酸化雰囲気としたことにより、バッキングチューブの外表面に形成したインジウム下地層の酸化の進展を抑制することができる。ここで、「非酸化雰囲気」とは、充填されたガス中の酸素濃度が0.5vol%以下の状態にあるものをいうものとする。またここで、予備加熱時のバッキングチューブ温度は170〜180℃とすることができる。
そしてその後、鋳型の鋳造空間へ、溶融状態にさせた200℃程度のインジウム溶湯を流し込んで、たとえば鋳型の周囲に配置した冷却設備等により、鋳造空間で溶湯を冷却硬化させることで、バッキングチューブの外周側に、ターゲット本体を鋳造する。
ここでは、バッキングチューブ外表面のインジウム下地層が酸化していないことから、ターゲット本体がバッキングチューブの外表面に、インジウム下地層を介して強固に接合されることになり、たとえば、それらの接着率が95%以上のスパッタリングターゲットが製造することができる。なお、ターゲット本体を形成するインジウムには、4Nの原料を用いることができる。また、Cu、GaはCIGSの構成元素であるため、それぞれ10000wtppm以下含んでもよい。
またここでは、インジウム下地層が、鋳造時にターゲット本体と一体化するので、これにより製造されるスパッタリングターゲットは、バッキングチューブもしくはプレートを形成するステンレス、チタンまたはアルミニウムのいずれかの材質と、ターゲット本体及びインジウム下地層によるインジウムとの二層構造になる。
このような製造方法では、上述したように、ターゲット本体の鋳造に先立ち、バッキングチューブもしくはプレートの、ターゲット本体と接合させる接合表面に、インジウムを主成分とする下地層を形成することにより、インジウムの、バッキングチューブもしくはプレート表面に対する濡れ性が向上して、バッキングチューブもしくはプレートとターゲット本体との接合力を高めることができる。インジウム下地層は、バッキングチューブもしくはプレートの表面に、たとえば、厚みが1μm〜100μm程度の薄膜状で設けることができる。
しかもこの場合、下地層の主成分がターゲット本体と同じインジウムであることから、特許文献2に記載された方法で起こるような、ターゲット本体への下地層のニッケルの多量の混入によるスパッタ異常の発生を招くおそれがない。
また、バッキングチューブもしくはプレートの表面のうち、ターゲット本体と接合される接合表面は、ブラスト等による表面処理を事前に施すことによって、算術平均粗さRaで4.0μm以上に粗くすることが好ましい。これによれば、バッキングチューブもしくはプレートの粗くした表面の凹凸でのアンカー効果に基づき、バッキングチューブもしくはプレートとターゲット本体との接合強度を大きく高めることができる。このような観点から、バッキングチューブもしくはプレートの接合表面の粗さRaは、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは6μm以上とし、特に、7μm以上とすることが一層好ましい。なお、接合表面の粗さRaの好適な上限値は特にないが、20μm程度あれば十分である。
ここにおいて、インジウム下地層の酸化をより有効に抑制するとの観点からは、上記の予備加熱から、ターゲット本体の鋳造が終了するまでの間にわたって、バッキングチューブの周囲の、先述の非酸化雰囲気を維持することが好ましい。なおこの場合、鋳造空間へのインジウム溶湯の流し込みは、窒素ないし不活性ガスを吸引しつつ鋳型内部を減圧しながら行うことができる。
なお上述したところでは、円筒型スパッタリングターゲットの製造方法について例示説明したが、平型スパッタリングターゲットについても、実質的に同様の手順に従って製造できることは明らかである。
このようにして製造したスパッタリングターゲットは、CIGS系薄膜太陽電池の光吸収層の作製に好適に用いることができる。
次にこの発明のスパッタリングターゲットを試作し、その特性を評価したので以下に説明する。
実施例1のターゲットは次の方法にて製造した。表面粗さRaを4.0μmとしたSUS304製のバッキングチューブ(外径φ133mm、内径φ125mm、長さ640mm)の外表面にインジウム下地層を事前に形成した後、そのバッキングチューブをSUS304製の鋳型内に配置して、窒素による非酸化雰囲気下で予備加熱を行い、その後、非酸化雰囲気を維持したまま、純度4Nのインジウムを溶解させてなるインジウム溶湯を、前記鋳型の円筒状鋳造空間に流し込み、そこで冷却硬化させて、ターゲット本体をバッキングチューブに接合させたスパッタリングターゲットを製造した。なお、ターゲット外径は鋳造時がφ161mmであり、それを旋盤にてφ157mmまで切削することで最終形状(外径φ157mm、内径φ133mm、長さ600mm)とした。
実施例2のターゲットは、予備加熱を、アルゴンを充満させた非酸化雰囲気で行ったことを除いて、実施例1のターゲットと同様に製造した。実施例3のターゲットは、バッキングチューブの表面粗さRaを8μmとしたことを除いて、実施例1のターゲットと同様に製造した。実施例4のターゲットは、バッキングチューブの表面粗さRaを10μmとしたこと除いて、実施例1のターゲットと同様に作製した。実施例5のターゲットは、バッキングチューブ材質をチタンとした以外は、実施例1と同様に作製した。実施例6のターゲットは、バッキングチューブ材質をアルミとした以外は、実施例1と同様に作製した。
実施例7のターゲットは、アルミ製のバッキングプレート上に、実施例1と同様の下地処理を施した後、内寸130mm×510mmの枠を設置し、窒素置換したグローブボックス内に入れ、加熱した後、同じくグローブボックス内で加熱溶解しておいたインジウム溶湯を投入し、冷却、その後マシニングセンタにおいて、ターゲットサイズが127mm×508mm×5mmtまで切削加工して作製した。実施例8、9、10は、In中にCu、Gaを表1に記載の濃度で添加した原料を用いたことを除いて、実施例1と同様に作製した。
一方、比較例1のターゲットは、インジウム下地層に代えてニッケル下地層としたことを除いて、実施例1のターゲットと同様に製造した。比較例2は、予備加熱および鋳造を非酸化雰囲気ではなく大気中で行ったことを除いて、実施例1と同様に作製した。比較例3は予備加熱および鋳造を大気雰囲気で行い、かつバッキングチューブ表面の粗さRaを3μmとしたことを除いて、実施例1のターゲットと同様に製造した。比較例4は予備加熱および鋳造を大気雰囲気で行い、かつバッキングチューブ表面のRaを1μmとしたことを除いて、実施例1と同様に作製した。比較例5は、予備加熱を窒素中で行い、その後鋳型内を大気開放したのち鋳造を開始した以外は、実施例1と同様に作製した。
このようにして製造した各ターゲットに対し、日立エンジニアリング社製超音波探傷機FSLINEを使用して、超音波探傷を行い、先に述べた測定方法に基いて、バッキングチューブないしプレートとターゲット本体との接着率Paを測定した。より詳細には、円筒状インジウムターゲットを探傷器水槽内にセットして、長手方向に1mmピッチでスキャンした後、円周方向に1mmピッチとなるようにターゲットを回転させ、再度長手方向にスキャンするサイクルを繰り返し、全周分を測定した。測定には10MHzのプローブを用い、ゲイン30dBで測定した。なお、一般的には、超音波探傷では、用いる装置やプローブ、測定環境により得られるエコーが変化するため、事前に欠陥の有無が明確な標準サンプルを作製、測定した。具体的には、円筒状インジウムターゲットのバッキングチューブ内面側からターゲットに到達するようにφ1mmの穴を開け、これを欠陥部(十分に接着されていない部分)と見立てて、判別可能な条件にて探傷を行った。接着率Paは、先述の式により、接着面積(界面全体の面積Atから欠陥部の面積Adを引いて求めた)を、界面全体の面積Atで除し、100をかけることにより算出した。
また、上記の各ターゲットを用いて、下記スパッタ条件でスパッタリングを行って、アーキングの発生を調査した。ここでは、プレスパッタ終了後2hの平均値(回/h)を採用した。
・スパッタガス: Ar
・スパッタガス圧: 0.5Pa
・スパッタガス流量: 50SCCM
・スパッタリング温度: R.T.(無加熱)
・投入スパッタパワー密度: 1.3W/cm2
・プレスパッタ: 上記条件で1h
それらの結果を表1に示す。
Figure 0006305083
表1の結果から明らかなように、予備加熱および鋳造を非酸化雰囲気で行うものとした実施例1、2と比較例2を比較すると、非酸化雰囲気で予備加熱および鋳造を行った実施例の方が接着率が高いことがわかる。また、実施例1、3、4の比較から、バッキングチューブの表面粗さが粗い方がより良好に接着されていることがわかる。比較例1ではInの下地層の代わりにNiを下地層として用いているが、ターゲット中にNiが拡散してしまっていることが分かる。比較例2と5を比較すると、予備加熱時だけでなく、鋳造時にも非酸化性雰囲気であることにより、接着率が高くなっていることがわかる。また、実施例8、9、10から、CIGSの構成要素であるCuやGaを含んでいても、同様の接着率が得られていることが分かる。
以上のことから、非酸化雰囲気下で予備加熱を施すことにより、インジウム下地層の酸化が抑制されて、その後に鋳造されるインジウムターゲット本体との接着率を大きく向上できることが解かった。
101 バッキングチューブ
102 ターゲット本体
103 円筒型スパッタリングターゲット

Claims (6)

  1. ステンレス、チタンまたはアルミニウムのいずれかの材質からなるバッキングチューブもしくはバッキングプレートと、インジウムからなるターゲット本体との二層構造からなり、前記バッキングチューブもしくはバッキングプレートとターゲット本体との接着率を、超音波探傷により測定して95%以上としてなる、スパッタリングターゲット。
  2. 前記バッキングチューブもしくはバッキングプレートの、ターゲット本体との接合表面における表面粗さRaを4.0μm以上としてなる、請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
  3. 前記ターゲット本体が、Ni、Fe、Cr、Ti、Al、Siから選択される少なくとも一種類を、一種類当たり10wtppm以下でさらに含有してなる、請求項1または2に記載のスパッタリングターゲット。
  4. 前記ターゲット本体が、Cu、Gaから選択される少なくとも一種類を、一種類当たり10000wtppm以下でさらに含有してなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
  5. インジウムからなるターゲット本体を鋳造により、ステンレス、チタンまたはアルミニウムのいずれかの材質からなるバッキングチューブもしくはバッキングプレートの表面に、インジウム下地層を介して接合して、スパッタリングターゲットを製造するに当り、
    バッキングチューブもしくはバッキングプレートの表面に、インジウム下地層を形成し、その後、ターゲット本体の鋳造を実施するに先立ち、インジウム下地層付きのバッキングチューブもしくはバッキングプレートに対し、非酸化雰囲気下で予備加熱を施し、
    前記予備加熱を、ターゲット本体の鋳造用鋳型内にバッキングチューブもしくはバッキングプレートを配置した状態で行うこととし、当該予備加熱からターゲット本体の鋳造が終了するまで、非酸化雰囲気を維持させる、スパッタリングターゲットの製造方法。
  6. 前記ターゲット本体が、Ni、Fe、Cr、Ti、Al、Siから選択される少なくとも一種類を、一種類当たり10wtppm以下でさらに含有するものとする、請求項に記載の、スパッタリングターゲットの製造方法。
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