JP2018178251A - 円筒型スパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents
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本願は、2017年4月7日に日本に出願された特願2017−076471号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
この接合においては、接合面となる円筒型バッキングチューブの外周面及び円筒型ターゲットの内周面に下地処理として接合材と同じまたは類似の被膜を超音波ウェルダー(超音波はんだコテ)によるウェルダー処理にて形成し、その後、円筒型ターゲットに円筒型バッキングチューブを挿入して、両者の間に接合部のための隙間を設け、その隙間に接合材を供給して隙間を充填する接合方法が知られている。また、接合材としてインジウム(In)を用いることも知られている。
ここでターゲットとバッキングチューブの下地処理について説明すると、下地処理はターゲット及びバッキングチューブを下地処理接合材の融点以上に加熱し、超音波はんだコテを用い、バッキングチューブの外周面及びターゲットの内周面へ下地処理接合材を塗布する工程である。
この下地処理接合材の表面の酸化膜の形成により、充填する接合材と下地処理接合材との接触が阻害され、接合不良が生じやすく、接合後の超音波探傷検査において所定の接合面積率が確保できず、製品の品質が不合格となることがある。
このような品質が不合格となったスパッタリングターゲットは、全体を加熱して接合材を融解させた後、ターゲットをバッキングチューブから取り外し、再度、接合をやり直す作業が必要となる。一方、スパッタされる基板の大型化に伴い、円筒型ターゲットは長尺化しており、接合強度の向上も望まれている。
この場合、前記充填用接合材は、錫を15質量%以下含むインジウム合金であるとよい。
不活性雰囲気により酸化を極力防止することができ、接合強度のさらなる向上を図ることができる。この場合、下地処理工程では、少なくとも下地処理接合材の塗布開始から冷却完了までの間、また、接合工程では、少なくとも加熱開始から充填用接合材の充填完了までの間で、不活性雰囲気に維持されればよい。
本発明の円筒型スパッタリングターゲットの製造方法のさらに好ましい態様として、前記接合工程は、前記円筒型ターゲットと、該円筒型ターゲット内に挿入した前記バッキングチューブと、を前記充填用接合材の融点または固相線温度以上、前記下地処理接合材の融点または固相線温度未満の温度で再加熱する再加熱工程を備えても良い。
円筒型スパッタリングターゲット1は、図1及び図2に示すように、円筒型ターゲット2内に円筒型バッキングチューブ3が挿入され、これら円筒型ターゲット2の内周面と円筒型バッキングチューブ3の外周面との間が接合部4を介して接合されている。この場合、円筒型ターゲット2と円筒型バッキングチューブ3とは中心軸が一致した状態で配置される。
特に限定されないが、接合部4に含まれるインジウムの位置P2での含有量の上限値は、99.99質量%である。同様に特に限定されないが、接合部4の位置P2での好ましいインジウム含有量は、90.00質量%〜99.97質量%であり、より好ましくは95.00質量%〜99.95質量%である。
特に限定されないが、接合部4に含まれる錫の位置P2での含有量の下限値は0.01質量%である。同様に特に限定されないが、好ましい接合部4に含まれる錫の含有量は0.1質量%〜5.0質量%であり、より好ましくは0.2質量%〜1.0質量%である。
特に限定されないが、S1/S2の上限値は1500である。同様に特に限定されないが、好ましいS1/S2の範囲は5≦(S1/S2)<1000であり、さらに好ましくは20≦(S1/S2)<100である。
次に、円筒型スパッタリングターゲット1の製造方法について、その第1実施形態を説明する。この第1実施形態では、図4のフローチャートに示すように、円筒型バッキングチューブ3及び円筒型ターゲット2の加熱工程、下地処理接合材による下地処理工程、下地処理接合材冷却工程、円筒型ターゲット2への円筒型バッキングチューブ3の挿入および両者の間に接合材用隙間を形成した状態に組み立てる組立工程、円筒型ターゲット2及び円筒型バッキングチューブ3の再加熱工程、充填用接合材を隙間に充填する接合材充填工程、そして接合材冷却工程の順に施される。以下、工程順に説明する。
円筒型ターゲット2及び円筒型バッキングチューブ3を加熱し、これらの接合面となる円筒型ターゲット2の内周面及び円筒型バッキングチューブ3の外周面を下地処理接合材の融点(又は液相線温度)以上の温度に加熱する。例えば下地処理接合材として純錫(純度:99.8質量%以上)を用いる場合には232℃以上に加熱する。
加熱工程において加熱状態とした円筒型ターゲット2の内周面及び円筒型バッキングチューブ3の外周面に、それぞれ溶融状態の下地処理接合材を塗り込む。この場合、ヒータを搭載した超音波はんだコテ(図示略)で超音波振動を加えながら下地処理接合材を塗り込むことにより、円筒型ターゲット2の内周面及び円筒型バッキングチューブ3の外周面における汚れや酸化膜の除去などが促進され、これらの表面に下地処理接合材をなじませることができる。下地処理接合材としては、純錫、又は錫含有量が90質量%以上の錫合金が用いられる。
錫合金としては、15質量%以下のインジウムを含有するインジウム錫合金が好適である。インジウム添加量が15質量%を越える錫合金は、融点(液相線温度)が180℃以下となり、接合の際の加熱により接合表面での酸化が進行し、接合部に酸化膜が巻込まれ接合強度が低下するおそれがある。
特に限定されないが、下地処理接合材の錫含有量の上限値は100質量%である。同様に特に限定されないが、好ましい下地処理接合材の錫含有量は90質量%〜100質量%であり、より好ましくは95質量%〜100質量%である。
下地処理接合材として、その他に、0.7質量%以下の銅(例えばSn−0.7Cuの合金)を含有する銅錫合金、9質量%以下の亜鉛を含有する錫亜鉛合金、3.5質量%以下の銀を含有する銀錫合金なども用いることができる。
この下地処理工程はアルゴン、窒素等の不活性雰囲気にて実施すると、下地処理接合材によって形成される下地処理層の表面の酸化を抑制することができる。この不活性雰囲気は、少なくとも、下地処理材の塗布開始から、次の下地処理接合材冷却工程において下地処理接合材の冷却が完了するまでの間、維持するとよい。
下地処理接合材を塗布した円筒型ターゲット2及び円筒型バッキングチューブ3を常温(20℃)まで冷却して、下地処理接合材を固化する。これにより、円筒型ターゲット2の内周面及び円筒型バッキングチューブの外周面に下地処理層11が形成された状態となる。この下地処理層11の厚さとしては特に限定されるものではないが、10μm以上200μm以下が適切である。下地処理層11の厚さが10μm未満の場合は、円筒型ターゲット2及び円筒型バッキングチューブ3に下地処理接合材を十分になじませることが難しく、また、円筒型ターゲット2および円筒型バッキングチューブ3の素材表面が露出しやすくなり、その後に充填用接合材を充填した際に接合不良を生じやすくなる。下地処理層11の厚さが200μmを越えると、下地処理後に重力により接合材が下方に集積し、組立時において円筒型ターゲット2に円筒型バッキングチューブ3を通すことができなくなり、製造が困難となることがある。
特に限定されないが、より好ましい下地処理層11の厚さは30μm〜150μmであり、さらにより好ましくは50μm〜100μmである。
なお、この下地処理接合材冷却工程において、固化した後の下地処理層11の表面の酸化物を室温において機械的に除去することとしてもよい。あるいは、下地処理層11表面の酸化物に、酸化物の下の接合材までに達する傷を付けることとしてもよい。このように下地処理層11の表面の酸化物を室温において、全部あるいは一部除去することにより、接合材充填工程において下地処理接合材と充填用接合材とのなじみがさらに良好となる。
図5に示すように、まず、円筒型バッキングチューブ3の端部を配置可能な凹部13aを有する固定台13に、その凹部13aを囲むように円筒型ターゲット2を載置する。次に、円筒型ターゲット2内に円筒型バッキングチューブ3を挿入し、これらの間に周方向に一定の隙間をあけた状態で同軸上に配置する。周方向に一定の隙間とするために、円筒型ターゲット2と円筒型バッキングチューブ3との間にスペーサ6を配置する。このスペーサ6としては、銅又はステンレス鋼等の金属からなるワイヤが好適であり、円筒型ターゲット2と円筒型バッキングチューブ3との間の隙間に応じた外径のものを用いる。このスペーサ6を隙間の周方向に等間隔で複数本、例えば3本挿入することにより、円筒型ターゲット2と円筒型バッキングチューブ3とを周方向に一定の隙間で同軸上に配置する。
前述のように組み立てられた円筒型ターゲット2と円筒型バッキングチューブ3とをヒータ(図示略)により加熱し、充填用接合材の融点(又は液相線温度)以上で、下地処理接合材の融点(又は固相線温度)以下の温度に設定する。このように、円筒型ターゲット2と円筒型バッキングチューブ3とを充填用接合材の融点(又は液相線温度)以上で、下地処理接合材の融点(又は固相線温度)以下の温度に加熱することにより、下地処理層11は溶融することがなく、加熱による酸化を抑制することができる。
特に限定されないが、好ましい再加熱工程の加熱温度は145℃以上200℃未満であり、より好ましくは160℃以上180℃未満である。
同様に、好ましい再加熱工程の加熱時間は10分間〜3時間であり、より好ましくは30分間〜2時間である。
加熱状態の円筒型ターゲット2と円筒型バッキングチューブ3とを上下方向に沿って配置し、その隙間の下端部をパッキン5によって閉塞した状態で、隙間の上方から図5の矢印Bで示すように溶融状態の充填用接合材を充填する。充填用接合材は、スペーサ6により保持された隙間の下部に溜まり、徐々に上部に向かって充填される。隙間の上端には、隙間からあふれる充填用接合材を受けるための受皿12を設けておき、この受皿12に充填用接合材があふれるまで充填する。
この充填用接合材を円筒型ターゲット2と円筒型バッキングチューブ3との間の隙間に充填すると、前述したように下地処理層11の主成分は錫であり、充填用接合材の主成分はインジウムであることから、これら錫とインジウムとが共晶反応の効果で濡れ性が向上する。また、下地処理層表面の酸化物は錫の酸化物であるから、充填用接合材に比べて密度が小さく、隙間の最上端で接合材を溢れさせることにより、酸化物を浮上させて隙間から除去することができる。このため、接合部に酸化物が残留しにくい。
充填用接合材としては、前述したインジウム合金だけでなく、下地処理接合材との組み合わせとして、表1のものを適用できる。
また、接合材及び酸化物の密度については表2に示す通りである。
円筒型ターゲット2と円筒型バッキングチューブ3との隙間に充填用接合材を充填した後、これを冷却して固化させ、不要な付着物等を除去して清掃することにより、円筒型ターゲット2と円筒型バッキングチューブ3とが接合部4により一体化した円筒型スパッタリングターゲット1が完成する。
この円筒型スパッタリングターゲット1は、錫を主成分とする下地処理層11を形成した後に、インジウムを主成分とする充填用接合材で一体化したものであるため、接合部4には、前述したように、その厚さ方向に錫とインジウムとの濃度勾配が生じている。また、下地処理層11表面の酸化物の残留が抑制されているので、下地処理層11が接合部4になじんで一体化しており、接合不良が低減し、接合強度を向上させることができる。
その場合のフローチャートを図6に示す。(加熱工程)から(下地処理接合材冷却工程)までは、前述した第1実施形態の製造方法の場合と同様である。その後、円筒型ターゲット2を載置する固定台13に代えて、溶融状態の充填用接合材を溜める凹部を有する治具を用いて、この治具14の上に、凹部15の真上に配置されるように円筒型ターゲット2をパッキン5を介して垂直に支持する。また、治具14の凹部15にて接合材を加熱し、予め溶融状態で溜めておく(接合材溶融工程)。そして、図7(a)に示すように、下端部をダミー栓16によって閉塞状態とした円筒型バッキングチューブ3を円筒型ターゲット2内に挿入し、円筒型ターゲット2と円筒型バッキングチューブ3とをヒータ(図示略)により加熱し、充填用接合材の融点(又は液相線温度)以上で、下地処理接合材の融点(又は固相線温度)以下の温度に設定する(再加熱工程)。次に、この円筒型バッキングチューブ3と円筒型ターゲット2との間の隙間に、溶融状態の充填用接合材Fを下方から徐々に充填する。図7(b)に示すように、円筒型ターゲット2の上端の受皿12に充填用接合材Fがあふれ出したら充填完了である(接合材充填工程)。この実施形態では、接合材充填工程が、円筒型ターゲット2と円筒型バッキングチューブ3とを組み立てる工程でもある。
ボロン(B)をドープしたシリコン(Si)の円筒型ターゲット(比抵抗0.05Ω・cm、内径:137mm、外径:157mm、長さ:200mm、以下Si−TGと称す)を10ピース、純チタン(Ti)製の円筒型バッキングチューブ(内径:125mm、外径:135mm、長さ:600mm、以下Ti−BTと称す)を5本準備した。
Si−TGは外周面を、マントルヒーターを用いて、Si−TGの内周面温度が240〜260℃に達するまで加熱した。250℃前後に温度を保持し、純錫(Sn)を下地処理接合材として、大気雰囲気中にてSi−TGの内周面に超音波はんだコテで下地処理した後、常温まで冷却した。
Ti−BTは、内周面に熱風を循環させTi−BTの外周面温度が240〜260℃に達するまで加熱する。250℃前後に温度を保持し、純錫(Sn)を下地処理接合材として、大気雰囲気中にてTi−BTの外周面に超音波はんだコテにて下地処理し、常温まで冷却した。
下地処理後、Si−TGを2ピースずつTi−BTの所定の位置に配置した。円筒型ターゲット間は接合材充填中に接合材が漏れないように、耐熱性のフッ素樹脂製のパッキン(厚さが約0.6mm)を挟んだ。尚、Ti−BTとSi−TGとの組立は、直径:0.6mm銅製ワイヤ(スペーサ)を約120°の間隔で3か所挿入し、Si−TGとTi−BTとの間に接合材充填用の隙間を形成した。
隙間形成後の接合材の充填は、大気中にてSi−TGの外周面をマントルヒーターにて加熱しTi−BTの内周面温度を180℃前後に保持した後、特開2014−37619号に示す方法(図6及び図7に示す方法)で純インジウム(In)を接合材として下部から上部に向かって充填した。最上部では接合材を溢れさせ、酸化物を浮上させた。同様の工程を用い、No.1〜5の計5本の円筒型スパッタリングターゲットを製造した。
冷却後、超音波探傷検査装置により接合面積率を計測した。接合面積率は、Si−TGとTi−BTとの接合面の総面積に対して、接合不良個所を除いた接合済面積の比率である。接合面積率が95%以上であった場合、合格と評価した。この場合、1回の接合で合格とならなかった場合は、接合材を融解して除去した後、再度接合し直し、接合面積率を計測した。
また、No.1の試料から断面組織観察用試料を作成し、倍率2000倍にて接合界面を観察した。Ti−BTの接合界面およびSi−TGの接合界面のそれぞれから約10μmの範囲内(図3の位置P1)で、ビーム径:約1μmにて錫(Sn)濃度をEPMAで定量分析を実施した。この場合、Ti−BTの接合界面側をBT側界面、Si−TGの接合界面側をTG界面とし、BT側界面付近の位置P1の錫濃度をSB、TG側界面付近の位置P1の錫濃度をSTとし、これらの平均値(ST+SB)/2をS1とした。さらに、同じ試料の中で充填用接合材の中心部(各接合界面から約0.5mmの位置:図3の位置P2)の錫(Sn)濃度(S2)をEPMAにて定量分析し、S1/S2を求めた。
下地処理接合材として、Sn−1重量%In(No.6、融点224℃)、Sn−5重量%In(No.7、融点215℃)、Sn−10重量%In(No.8、融点200℃)を用い、下地処理温度をそれぞれ240℃、230℃、および215℃とする以外は実施例1と同様な方法で円筒型スパッタリングターゲットを製造し、冷却後超音波探傷検査装置により接合面積率を計測した。また超音波探傷検査終了後、実施例1と同様に接合強度測定用試料および断面観察用試料を作成し、引っ張り試験およびEPMAによる錫(Sn)濃度の定量分析を実施した。
下地処理接合材として、Sn−3.5重量%Ag(No.9、融点221℃)、Sn−9重量%Zn(No.10、融点198℃)、Sn−0.7重量%Cu(No.11、融点227℃)を用い、下地処理温度をそれぞれ240℃、215℃、および240℃とする以外は実施例1と同様な方法で円筒型スパッタリングターゲットを製造し、冷却後超音波探傷検査装置により接合面積率を計測した。また超音波探傷検査終了後、実施例1と同様に接合強度測定用試料および断面観察用試料を作成し、引っ張り試験およびEPMAによる錫(Sn)濃度の定量分析を実施した。
充填用接合材として、In−5重量%Sn,(No.12、融点150℃)、In−10重量%Sn(No.13、融点144℃)、In−15重量%Sn(No.14、融点140℃)を用い、接合温度をそれぞれ165℃、160℃、および155℃とする以外は実施例1と同様な方法で円筒型ターゲットを製造し、冷却後超音波探傷検査装置により接合面積率を計測する。また超音波探傷検査終了後、実施例1と同様に接合強度測定用試料および断面観察用試料を作成し、引っ張り試験およびEPMAによる錫(Sn)濃度の定量分析を実施した。
下地処理工程および/または接合工程を窒素雰囲気とする以外は、実施例1と同様の方法で円筒型スパッタリングターゲット3本(No.15〜17)を製造した。
冷却後、超音波探傷検査装置により接合面積率を計測した。
また、No.15の試料より、実施例1と同様に接合強度測定用試料および断面観察用試料を作成し、引っ張り試験およびEPMAによる錫(Sn)濃度の定量分析を実施した。
Si−TGの外周面を、マントルヒーターを用いて加熱し、Si−TGの外周面温度を180℃前後に温度を保持し、純インジウム(In)を下地処理接合材として、大気中にてSi−TGの内周面に超音波はんだコテにて下地処理した。
Ti−BTは、内周面に熱風を循環させTi−BTの外周面温度も180℃前後に温度を保持し、純インジウム(In)を下地処理接合材として、Ti−BTの外周面に超音波はんだコテにて下地処理した。
下地処理後、Si−TGを1個ずつTi−BTの所定の位置に挿入した。円筒型ターゲット間は接合中に接合材が漏れないように、耐熱性のフッ素樹脂製のパッキン(約0.6mm)を挟んだ。尚、Ti−BTとSi−TGとの組立は、直径:0.6mm銅製ワイヤ(スペーサ))を約120°の間隔で3か所挿入し、Si−TGとTi−BTとの間に接合材充填用の隙間を形成した。
隙間形成後の接合材の充填は、Si−TGの外周面をマントルヒーターにて加熱しTi−BTの内周面温度を180℃前後に保持した後、特開2014−37619号に示す方法(図6及び図7に示す方法)で純インジウム(In)を接合材として下部から上部に向かって充填した。最上部では接合材を溢れさせ、酸化物を浮上させた。同様の工程を用い、5本の円筒型ターゲットを製造した(No.18〜No.22)。
冷却後、超音波探傷検査装置により接合面積率を計測した。
また、No.18の試料から直径:20mmの接合部を含む接合強度測定用サンプルを任意の位置から20個作成し引っ張り試験に供した。
Si−TG、Ti−BTとも、下地処理接合材として、Sn−20重量%In(No.23、融点136℃)、Sn−30重量%In(No.24、融点125℃)を用い、下地処理温度をそれぞれ160℃、および135℃とする以外は実施例1と同様な方法で円筒型ターゲットを製造し、冷却後超音波探傷検査装置により接合面積率を計測した。また超音波探傷検査終了後、実施例1と同様に接合強度測定用試料および断面観察用試料を作成し、引っ張り試験およびEPMAによる錫(Sn)濃度の定量分析を実施した。
なお、表3において、下地処理接合材が合金の場合の融点は、固相線温度または共晶点を示し、充填用接合材が合金の場合の融点は液相線温度を示している。表3に記載される製造条件のうち、下地処理工程の雰囲気及び充填工程の雰囲気については、採用された雰囲気を「チェックマーク」で示し、非採用の雰囲気を、適用不可を意味する「N/A」(Not Applicable)で示している。
また、表4に示されるように、下地処理接合材の錫含有量が90質量%以上で、充填用接合材のインジウム含有量が85質量%以上であると、接合部の錫濃度分布(S1/S2)が1.5以上となり、高い接合強度を得られている。
2 円筒型ターゲット
2a ターゲット材
3 円筒型バッキングチューブ
4 接合部
5 パッキン
6 スペーサ
11 下地処理層
12 受皿
13 固定台
14 治具
15 凹部
16 ダミー栓
Claims (5)
- 円筒型バッキングチューブの外周面と円筒型ターゲットの内周面とを接合面とし、接合面間に設けた隙間を接合材で充填し接合する円筒型スパッタリングターゲットの製造方法であって、前記円筒型ターゲットの接合面である内周面と前記円筒型バッキングチューブの接合面である外周面との少なくとも一方に下地処理接合材を塗布して下地処理層を形成する下地処理工程と、下地処理工程の後、前記円筒型ターゲットと該円筒型ターゲット内に挿入した前記バッキングチューブとの間の隙間に充填用接合材を充填して固化する接合工程とを含み、前記下地処理接合材の融点または固相線温度が前記充填用接合材の融点または固相線温度を超えていることを特徴とする円筒型スパッタリングターゲットの製造方法。
- 前記下地処理接合材は錫含有量が90質量%以上の純錫又は錫合金であり、前記充填用接合材はインジウム含有量が85質量%以上の純インジウム又はインジウム合金であることを特徴とする請求項1記載の円筒型スパッタリングターゲットの製造方法。
- 前記下地処理工程又は前記接合工程の少なくともいずれかを不活性雰囲気にて実施することを特徴とする請求項1又は2記載の円筒型スパッタリングターゲットの製造方法。
- 前記接合工程は、
前記円筒型ターゲットと、該円筒型ターゲット内に挿入した前記バッキングチューブと、を前記充填用接合材の融点または固相線温度以上、前記下地処理接合材の融点または固相線温度未満の温度で再加熱する再加熱工程を備ることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の円筒型スパッタリングターゲットの製造方法。 - 円筒型ターゲット内に円筒型バッキングチューブが挿入され、円筒型バッキングチューブの外周面と円筒型ターゲットの内周面との間にインジウムと錫を含む接合部が形成されており、前記円筒型バッキングチューブの中心軸に対し垂直な前記接合部の断面において、円筒型ターゲットと前記接合部との接合界面及び円筒型バッキングチューブと前記接合部との接合界面のうちの少なくとも一方の接合界面から接合部内部へ10μmの厚さの範囲内の錫濃度をS1質量%とし、前記接合部の厚さ方向の中央部の錫濃度をS2質量%としたとき、(S1/S2)≧1.5であることを特徴とする円筒型スパッタリングターゲット。
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