JP2002277879A - 液晶装置及び液晶装置用基板の製造方法 - Google Patents

液晶装置及び液晶装置用基板の製造方法

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JP2002277879A JP2001074355A JP2001074355A JP2002277879A JP 2002277879 A JP2002277879 A JP 2002277879A JP 2001074355 A JP2001074355 A JP 2001074355A JP 2001074355 A JP2001074355 A JP 2001074355A JP 2002277879 A JP2002277879 A JP 2002277879A
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孝昭 田中
Yasushi Yamazaki
泰志 山崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画素ピッチが20μm以下であっても、配向
膜の下地層の段差部の近傍に無機材料の蒸着不良領域が
生じることがなく、蒸着不良領域の発生に起因する液晶
の配向不良が起こることを防止し得る液晶装置の提供。 【解決手段】 互いに対向する一対の基板10、20に
挟持された液晶層50側の表面に無機配向膜36、42
がそれぞれ設けられ、無機配向膜36の下地層は表面に
段差部80を有し、無機配向膜36は傾斜した無機材料
の柱状構造物からなる第一の無機斜方蒸着膜36aと、
段差部80の近傍領域80aと第一の無機斜方蒸着膜3
6a上に形成された傾斜した無機材料の柱状構造物から
なる第二の無機斜方蒸着膜36bとからなり、第一の無
機斜方蒸着膜36aを構成する無機材料の柱状構造物の
傾斜方向と、第二の無機斜方蒸着膜36bを構成する無
機材料の柱状構造物の傾斜方向とは少なくとも上記基板
の面内方向に沿った方位角方向が異なる液晶装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶装置及び液晶
装置用基板の製造方法に関し、特に、液晶プロジェクタ
の投射型ライトバルブ等に用いて好適な液晶装置及び液
晶装置用基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶プロジェクタ等の投射型液晶表示装
置には、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色
に対応して液晶パネルを3枚使用する3板式のものと、
1枚の液晶パネルと色生成手段とから構成される単板式
のものがある。この投射型液晶表示装置の構成要素であ
る液晶パネルは、例えば、アクティブマトリクス型液晶
ライトバルブとその前後に配置される偏光板とから構成
されている。図18は、この種の液晶ライトバルブの構
成の一例を示す断面図である。
【0003】液晶ライトバルブは、図18に示すよう
に、透明な2枚の基板間に液晶が封入されたものであ
り、一方の基板をなす薄膜トランジスタ(Thin Film Tr
ansistor、以下、TFTと略記する)アレイ基板10
と、これに対向配置された他方の基板をなす対向基板2
0とを備えている。TFTアレイ基板10は、複数本の
走査線3aに対して複数本のデータ線6aが交差して格
子状に配設されている。走査線3aとデータ線6aの交
差部に対応して画素スイッチング用TFT30が設けら
れている。該TFT30の半導体層1a上には絶縁薄膜
2を介して走査線3aが交差し、半導体層1aとの交差
領域にはチャネル領域1a’が形成されている。走査線
3a上を交差するデータ線6aは、コンタクトホール5
を介して半導体層1aのソース領域1dに電気的に接続
されている。また、データ線6aの上層には、走査線3
aとデータ線6a等で囲まれた領域に画素電極9aが形
成され、コンタクトホール8を介して半導体層1aのド
レイン領域1eに電気的に接続されている。そして、画
素電極9a上にはラビング処理で配向処理された配向膜
16が形成されている。なお、配向膜16はポリイミド
の有機膜から形成されている。
【0004】このようなTFTアレイ基板10は、画素
電極9aが形成される領域と比較して、非画素領域でも
ある、TFT30が形成される領域、走査線3aが形成
される領域、データ線6aが形成される領域は、配線や
それらを絶縁するための層間絶縁膜4、7等が積層され
ているために層厚が厚くなり、配向膜16の表面に段差
部が形成される。特に、TFT30が形成される領域と
画素電極9aが形成される領域との段差が大きい。ま
た、表示品位を高めるために、容量線3bや、TFT3
0を遮光するためにTFT30の下層に第1遮光膜11
aを形成すると、段差部も顕著に現れる傾向となる。
【0005】近年、液晶プロジェクタの高精細化、高輝
度化に伴う液晶ライトバルブの小型化に伴って、画素電
極等の画素ピッチを微細化するようになってきている。
ところが、画素ピッチが20μm程度に微細になってく
ると、ポリイミド膜の有機膜から構成した配向膜を使用
した液晶ライトバルブでは、配向膜の下地層の段差部に
起因して配向膜にラビングがかからない領域(ラビング
不良領域)が生じてしまい、この付近で液晶の配向乱れ
が生じ、これが表示不良の原因となることがあった。こ
のような問題は、画素ピッチをさらに微細化すると、一
層顕著に生じてしまう。
【0006】また、液晶プロジェクタの高輝度化等に伴
う液晶ライトバルブの小型化に伴って、ライトバルブに
入射させる光の強度が強くなってきている。そのためポ
リイミド膜等の有機膜から構成した配向膜は、光や熱に
よって劣化し、その結果、配向膜による液晶分子の配向
規制力が低下して、液晶分子の配向状態が乱れ、コント
ラスト比が低下する等の表示不良が生じることがある。
このような問題が生じる原因は、ポリイミドの有機膜は
400nmから450nm付近の可視光領域で若干の吸
収があるため、この吸収に起因して配向膜が劣化し、図
18の符号59で示した箇所のように配向膜の劣化した
付近で液晶の配向乱れが生じ、これが表示不良につなが
るからである。
【0007】そこで、このような問題を解決するため
に、配向膜を、ポリイミドの有機膜でなく、酸化シリコ
ン(SiO)などの無機材料からなる無機斜方蒸着膜に
より構成し、この無機斜方蒸着膜の表面形状効果により
液晶分子を配向させるようにした液晶ライトバルブが提
案されている。この無機斜方蒸着膜からなる配向膜は、
基板をある角度で固定して一方向から無機材料を蒸着、
具体的には基板から10度から30度程度傾けた方向か
ら無機材料を蒸着させて、基板に対して所定の角度で配
列された柱状結晶を成長させる斜方蒸着法により形成す
ることができる。このようして形成した配向膜は無機斜
方蒸着膜から構成されているため、ポリイミド等の有機
膜から構成したものに比べて、耐光性や耐熱性に優れて
おり、液晶ライトバルブの耐久性を向上することがで
き、また、画素ピッチが20μm以下と微細になっても
ポリイミド等の有機膜から構成したもののようにラビン
グ不良部分に起因する液晶配向乱れがないという利点を
有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのアク
ティブマトリクス型の液晶ライトバルブにおいても、図
19に示すように無機斜方蒸着膜から構成した配向膜2
6の下地層としての画素電極9等の配線や第3層間絶縁
膜7は段差部40を有したものとなっている。この段差
部40は、高さ(段差)hの大きいところでは200n
mから600nm程度となっている。
【0009】このような段差部40がある下地層表面に
上記のように一方向Sから無機材料を斜方蒸着すると、
図19に示すように段差部40の近傍には図19の符号
60で示した箇所のように無機材料の蒸着ムラや蒸着さ
れない蒸着不良領域ができてしまうことがあり、この蒸
着不良領域が配向膜の不良領域となってしまう。上記の
ような無機材料の蒸着不良領域がある無機配向膜を使用
した液晶ライトバルブでは、この蒸着不良領域付近で図
18の符号59で示した箇所と同様の液晶の配向乱れが
生じ、コントラスト比の低下等の表示不良が生じるとい
う問題があった。
【0010】以上の問題は、TFT素子に代表される3
端子型素子を用いるアクティブマトリクス型の液晶装置
に限った問題ではなく、TFD(Thin-Film Diode)素
子に代表される2端子型素子を用いるアクティブマトリ
クス型の液晶装置など、表面に段差部がある下地層上に
形成した無機斜方蒸着膜からなる配向膜を使用した液晶
装置においても生じる問題である。
【0011】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、画素ピッチが20μm程度以下と
微細であっても、配向膜の下地層の段差部の近傍に無機
材料の蒸着不良領域が生じることがなく、無機材料の蒸
着不良領域による配向膜異常に起因して液晶の配向不良
が起こることを防止し、表示不良の発生を抑制し得る液
晶装置およびこのような液晶装置用基板の製造方法を提
供することを目的とする。また、上記のような無機材料
の蒸着不良領域に起因する液晶の配向不良による表示不
良の発生を抑制し得る液晶装置を用いた表示品位の高い
投射型表示装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、無機斜方蒸
着膜から形成した配向膜の下地層の段差部やその近傍に
生じた無機材料の蒸着不良領域による配向膜異常を防止
すべく、種々の実験及び検討を重ねた結果、上記のよう
な問題が起こる原因は、複数の配線や複数の絶縁膜を形
成した素子基板をある角度で固定して一方向から無機材
料を蒸着して配向膜を形成する際に、配向膜の下地層表
面の段差部の影となる領域は無機材料が蒸着されにく
く、蒸着不良領域となってしまうことが分かった。
【0013】さらに、本発明者は、種々の実験及び検討
を重ねた結果、基板上に形成した無機斜方蒸着膜からな
る無機配向膜の下地層が表面に段差部を有するものであ
る場合に、無機材料の斜方蒸着を二回以上行い、その
際、斜方蒸着方向の少なくとも基板の面内方向に沿った
方位角方向を変更することにより、詳細には、表面に段
差部を有する下地層が形成された基板に一方向から無機
材料を斜方蒸着して第一の無機斜方蒸着膜を形成し、上
記第一の斜方蒸着膜の形成工程の無機材料の斜方蒸着方
向とは少なくとも上記基板の面内方向に沿った方位角方
向が異なる方向から無機材料を斜方蒸着して上記段差部
の近傍領域と上記第一の無機斜方蒸着膜上に第二の無機
斜方蒸着膜を形成することにより、上記第一と第二の無
機斜方蒸着膜はそれぞれ傾斜した無機材料の柱状構造物
から形成されてなり、上記第一の無機斜方蒸着膜を構成
する無機材料の柱状構造物の傾斜方向と、上記第二の無
機斜方蒸着膜を構成する無機材料の柱状構造物の傾斜方
向とは、少なくとも上記基板の面内方向に沿った方位角
方向が異なるものが得られ、このような第一と第二の無
機斜方蒸着膜を有する無機配向膜が形成された液晶装置
によれば、上記の問題を解決できることを究明し、本発
明を完成したのである。
【0014】なお、液晶パネルの配向膜をSiOの斜方
蒸着膜から形成する場合に、斜方蒸着を2回行う方法と
しては、M. R. Johnson and P. A. Penz: IEEE Trans.
Electron devices, Vol. ED-24(7), 805(1977) が知ら
れているが、この技術が対象とする液晶装置は単純マト
リックス方式の直視型液晶パネルであり、本発明のよう
に液晶プロジェクタの投射型ライトバルブ用液晶装置の
ように小型で、画素電極等の画素ピッチが20μm程度
以下と微細で、配向膜の下地層が走査線やデータ線等に
よる段差部を有するようなアクティブマトリックス方式
の液晶パネルを対象とするものではない。また、上記の
斜方蒸着を2回行う技術の課題は、単純マトリックス方
式の直視型液晶パネルにおいて液晶分子のプレティルト
角を20度より小さくすることであり、本発明のように
無機配向膜の下地層表面の段差が大きい場合に、この段
差部の近傍に無機材料の蒸着不良領域が生じることを防
止することを課題とするものでない。
【0015】上記の目的を達成するために、本発明の液
晶装置は、互いに対向する一対の基板間に液晶層が挟持
されてなり、上記一対の基板の液晶層側の表面に無機配
向膜がそれぞれ設けられ、これら無機配向膜のうち少な
くとも一方の無機配向膜の下地層は表面に段差部を有す
るものであり、該段差部を有する下地層上に形成された
無機配向膜は、第一の無機斜方蒸着膜と、上記段差部の
近傍領域と上記第一の無機斜方蒸着膜上に形成された第
二の無機斜方蒸着膜とからなり、上記第一と第二の無機
斜方蒸着膜はそれぞれ傾斜した無機材料の柱状構造物か
ら形成されてなり、上記第一の無機斜方蒸着膜を構成す
る無機材料の柱状構造物の傾斜方向と、上記第二の無機
斜方蒸着膜を構成する無機材料の柱状構造物の傾斜方向
とは、少なくとも上記基板の面内方向に沿った方位角方
向が異なることを特徴とする。
【0016】かかる構成の液晶装置によれば、上記段差
部を有する下地層上に形成された無機配向膜が、傾斜し
た無機材料の柱状構造物から形成された第一の無機斜方
蒸着膜と、第一の無機斜方蒸着膜の柱状構造物の傾斜方
向とは無機材料の柱状構造物の傾斜方向が少なくとも方
位角方向が異なる第二の無機斜方蒸着膜とから構成され
ており、しかもこの第二の無機斜方蒸着膜は上記段差部
の近傍領域に形成されているので、画素ピッチが20μ
m程度以下と微細化されていても、上記段差部の近傍領
域に無機材料の蒸着ムラや蒸着されない蒸着不良領域が
生じるのが改善でき、従って、画素ピッチが20μm程
度以下と微細であっても、表面に段差部を有する下地層
上に形成した無機配向膜に異常がなく、配向膜異常に起
因する液晶の配向不良を防止でき、コントラスト比の低
下等の表示不良の発生を防止できる。このような効果
は、画素ピッチが15μm以下とさらに微細になっても
同様に得られる。
【0017】また、本発明の液晶装置は、互いに対向す
る一対の基板間に液晶が挟持されてなり、該一対の基板
のうちの一方の基板上に、マトリクス状に配置された複
数の画素電極と、該複数の画素電極をそれぞれ駆動する
複数のスイッチング手段と、該複数のスイッチング手段
にそれぞれ接続された複数のデータ線および複数の走査
線が備えられるとともに、該一対の基板のうちの他方の
基板上には対向電極が備えられ、上記一対の基板の液晶
層側の表面に無機配向膜がそれぞれ設けられ、これら無
機配向膜のうち少なくともスイッチング手段が設けられ
た基板側の無機配向膜の下地層は表面に段差部を有する
ものであり、該段差部を有する下地層上に形成された無
機配向膜は、第一の無機斜方蒸着膜と、上記段差部の近
傍領域と上記第一の無機斜方蒸着膜上に形成された第二
の無機斜方蒸着膜とからなり、上記第一と第二の無機斜
方蒸着膜はそれぞれ傾斜した無機材料の柱状構造物から
形成されてなり、上記第一の無機斜方蒸着膜を構成する
無機材料の柱状構造物の傾斜方向と、上記第二の無機斜
方蒸着膜を構成する無機材料の柱状構造物の傾斜方向と
は、少なくとも上記基板の面内方向に沿った方位角方向
が異なることを特徴とする。
【0018】かかる構成の液晶装置においても、上記段
差部を有する下地層上に形成された無機配向膜が、傾斜
した無機材料の柱状構造物から形成された第一の無機斜
方蒸着膜と、第一の無機斜方蒸着膜の柱状構造物の傾斜
方向とは無機材料の柱状構造物の傾斜方向が少なくとも
方位角方向が異なる第二の無機斜方蒸着膜とから構成さ
れており、しかもこの第二の無機斜方蒸着膜は上記段差
部の近傍領域に形成されているので、上記段差部の近傍
領域に無機材料の蒸着ムラや蒸着されない蒸着不良領域
が生じるのを低減でき、従って、画素ピッチが20μm
程度以下と微細になっても、表面に段差部を有する下地
層上に形成した無機配向膜に異常がなく、配向膜異常に
起因する液晶の配向不良を防止でき、コントラスト比の
低下等の表示不良の発生を防止できる。このような効果
は、画素ピッチが15μm以下とさらに微細になっても
同様に得られる。なお、本発明において画素構成要素
は、例えば、スイッチング手段が設けられた基板側は、
走査線(ゲート)及びデータ線、それらに接続されたス
イッチング手段、画素電極、および補助容量(蓄積容
量)等であり、対向電極が設けられた基板側は、遮光膜
(ブラックマトリックス)、対向電極等である。画素ピ
ッチは、例えば、画素電極ピッチ等である。
【0019】また、上記のいずれかの構成の本発明の液
晶装置において、上記第一の無機斜方蒸着膜を構成する
無機材料の柱状構造物の傾斜方向と、上記第二の無機斜
方蒸着膜を構成する無機材料の柱状構造物の傾斜方向と
は、上記方位角方向が略90度異なるものであってもよ
い。通常のアクティブマトリクス型液晶装置の場合、デ
ータ線と走査線が略直交してマトリクス状に形成されて
いるので、方位角方向が90度異なる方向から2回の蒸
着を行うことにより、互いに直交する各段差部の近傍に
確実に配向膜を形成できる。
【0020】また、上記のいずれかの構成の本発明の液
晶装置において、上記第一の無機斜方蒸着膜の厚みは5
nm〜16nmの範囲内であり、上記第二の無機斜方蒸
着膜の厚みは10nm〜40nmの範囲内であることが
好ましい。上記第一の無機斜方蒸着膜の厚みが5nm未
満であると液晶分子にプレティルト角が付与されず、デ
ィスクリネーションの要因となってしまい、16nmを
越えると第二の無機斜方蒸着膜の効果が薄れて液晶分子
のプレティルト角が20度以上となってしまう。
【0021】上記第二の無機斜方蒸着膜の厚みが10n
m未満であるとこの第二の無機斜方蒸着膜の柱状構造物
が第一の無機斜方蒸着膜を構成する無機材料の柱状構造
物の隙間を埋めるという効果が小さく、液晶分子のプレ
ティルト角が20度以上となってしまい、40nmを越
えると第一の無機斜方蒸着膜を構成する無機材料の柱状
構造物の隙間が埋め尽くされて液晶分子にプレティルト
が付与されず、プレティルトのない配向状態となってし
まう。
【0022】また、上記のいずれかの構成の本発明の液
晶装置において、上記液晶層の液晶分子の平均プレティ
ルト角が5度〜15度の範囲内であることが好ましい。
また、上記のいずれかの構成の本発明の液晶装置におい
て、上記無機配向膜としては、酸化シリコンからなる斜
方蒸着膜を用いることができる。
【0023】本発明の液晶装置用基板の製造方法は、基
板上に形成した表面に段差部を有する下地層に無機材料
を斜方蒸着して無機配向膜を形成する液晶装置用基板の
製造方法において、表面に段差部を有する下地層が形成
された基板に一方向から無機材料を斜方蒸着して第一の
無機斜方蒸着膜を形成する第一の斜方蒸着工程と、上記
第一の斜方蒸着工程の無機材料の斜方蒸着方向とは少な
くとも上記基板の面内方向に沿った方位角方向が異なる
方向から無機材料を斜方蒸着して上記段差部の近傍領域
と上記第一の無機斜方蒸着膜上に第二の無機斜方蒸着膜
を形成する第二の斜方蒸着工程とを有することを特徴と
する。かかる構成の液晶装置用基板の製造方法では、第
一と第二の斜方蒸着工程を設け、この第一の斜方蒸着工
程の無機材料の斜方蒸着向と第二の斜方蒸着工程の無機
材料の斜方蒸着向が少なくとも上記基板の面内方向に沿
った方位角方向が異なるようにしたことにより、第一の
斜方蒸着工程で無機材料が蒸着されていない領域があっ
ても、この領域には第二の斜方蒸着工程により無機材料
を蒸着できる。それは、第一の斜方蒸着工程では上記段
差部の近傍領域は段差部の影となって第一の無機斜方蒸
着膜が形成されていない領域ができてしまうことがある
が、第二の斜方蒸着工程で、無機材料の斜方蒸着方向を
上記第一の斜方蒸着工程とは少なくとも方位角方向を変
更して斜方蒸着することにより、第一の斜方蒸着工程で
段差部の影となって無機斜方蒸着膜が形成されていない
領域に無機材料を蒸着して第二の無機斜方蒸着膜を形成
することができる。また、この第二の斜方蒸着工程で
は、第二の無機斜方蒸着膜は、上記段差部の近傍領域だ
けでなく、少なくとも上記段差部の両側の第一の無機斜
方蒸着膜上にも形成される。かかる構成の液晶装置用基
板の製造方法によれば、上記のいずれかの構成の本発明
の液晶装置に備えることができる液晶装置用基板を製造
できる。
【0024】また、上記の構成の本発明の液晶装置用基
板の製造方法においては、上記第一の斜方蒸着工程の無
機材料の斜方蒸着方向と、上記第二の斜方蒸着工程の無
機材料の斜方蒸着方向とは上記方位角方向が略90度異
なるようにすることが、第一の無機斜方蒸着膜を良好に
形成でき、上記段差部の近傍領域と上記第一の無機斜方
蒸着膜上に第二の無機斜方蒸着膜を良好に形成できる点
で好ましい。通常のアクティブマトリクス型液晶装置の
場合、データ線と走査線が略直交してマトリクス状に形
成されているので、方位角方向が90度異なる方向から
2回の蒸着を行うことにより、互いに直交する各段差部
の近傍に確実に配向膜を形成できる。
【0025】また、上記のいずれかの構成の本発明の液
晶装置用基板の製造方法においては、上記第一の斜方蒸
着工程の無機材料の斜方蒸着方向の基板からの蒸着角度
は5度〜10度の範囲内とし、上記第二の斜方蒸着工程
の無機材料の斜方蒸着方向の基板からの蒸着角度は25
度〜30度の範囲内とすることが好ましい。上記第一の
斜方蒸着工程の斜方蒸着方向の基板からの蒸着角度が5
度未満であると、形成される柱状構造物の密度が低すぎ
るために液晶分子の配向方向が不安定となり、基板の面
内方向に沿った面内での配向方向のばらつきが大となっ
てしまい、斜方蒸着方向の基板からの蒸着角度が10度
を越えると形成される柱状構造物の密度が高くなるため
に第二の無機斜方蒸着膜の柱状構造物で第一の無機斜方
蒸着膜の柱状構造物の隙間を埋めるという効果が得られ
難くなり、その結果、この基板を用いて液晶装置を作製
すると液晶分子の配向にプレティルトの全くない領域が
大きくなってしまう。上記第二の斜方蒸着工程の斜方蒸
着方向の基板からの蒸着角度が25度未満であると、第
二の無機斜方蒸着膜の柱状構造物で第一の無機斜方蒸着
膜の柱状構造物の隙間を埋めるという効果が得られ難
く、斜方蒸着方向の基板からの蒸着角度が30度を越え
ると形成される膜表面の異方性が乏しくなり、液晶分子
を配向させる機能がなくなってしまう。
【0026】また、上記のいずれかの構成の本発明の液
晶装置用基板の製造方法においては、上記第一の斜方蒸
着工程と第二の斜方蒸着工程のうち少なくとも一方の工
程において、無機材料を斜方蒸着する際、上記下地層の
表面に形成された段差部の構造または配置位置に応じて
斜方蒸着方向を選択することが無機斜方蒸着膜を分けて
形成する効果(斜方蒸着を2回行う効果)を高めること
ができる点で好ましい。例えば、下地層の表面に高さが
大きい段差部と高さが小さい段差部がある場合、第一の
斜方蒸着工程では高さが小さい段差部側の方向から無機
材料を斜方蒸着し、第二の斜方蒸着工程では上記第一の
斜方蒸着工程の無機材料の斜方蒸着方向とは少なくとも
上記基板の面内方向に沿った方位角方向が異なる方向か
ら無機材料を斜方蒸着すると良い。上述したように第一
の斜方蒸着工程は基板面に対して小さい角度で、第二の
斜方蒸着工程は基板面に対して大きい角度で蒸着を行う
場合があり、その場合には、上の方法を用いれば、第一
の斜方蒸着工程で蒸着の影になる部分(蒸着膜が形成さ
れない領域)が小さくなるので、より確実に配向膜が形
成される。
【0027】また、上記の例のような方法により斜方蒸
着を行うのが好ましい理由は、以下のデータからもわか
る。図16に示すように基板10dの表面に、配線9c
を形成し、この基板10aの表面に一方向Sから酸化珪
素(SiO)を斜方蒸着を形成するときの、酸化珪素の
蒸着角度θと、配線9cと基板表面10aの段差の高さ
ΔZと、この段差の影となって無機斜方蒸着膜が形成さ
れない領域(無配向領域)の幅ΔLとの関係について調
べた。その結果を図17に示す。ここでの斜方蒸着方向
Sは、配線9cと直交する方向である。図17から斜方
蒸着方向Sがいずれの蒸着角度であっても段差の高さΔ
Zが大きくなるにつれて無機斜方蒸着膜が形成されない
領域(無配向領域)の幅ΔLが大きくなっていることか
ら、第一の斜方蒸着工程では高さが小さい段差部側の方
向から無機材料を斜方蒸着すれば、無機斜方蒸着膜が形
成されない領域の幅ΔLを小さくでき、すなわち、第一
の斜方蒸着工程でできるだけ広い範囲に配向膜を形成で
き、第二の斜方蒸着工程で補う必要がある領域を少なく
できるからである。
【0028】また、上記のいずれかの構成の本発明の液
晶装置用基板の製造方法においては、上記第一の斜方蒸
着工程において形成する無機斜方蒸着の厚みを5nm〜
16nmの範囲内とし、上記第二の斜方蒸着工程におい
て形成する第二の無機斜方蒸着膜の厚みを10nm〜4
0nmの範囲内とすることが好ましい。上記第一の無機
斜方蒸着膜の厚みが5nm未満であると液晶分子にプレ
ティルト角が付与されず、ディスクリネーションの要因
となってしまい、16nmを越えると第二の無機斜方蒸
着膜の効果が薄れて液晶分子のプレティルト角が20度
以上となってしまう。上記第二の無機斜方蒸着膜の厚み
が10nm未満であるとこの第二の無機斜方蒸着膜の柱
状構造物が第一の無機斜方蒸着膜を構成する無機材料の
柱状構造物の隙間を埋めるという効果が小さく、液晶分
子のプレティルト角が20度以上となってしまい、40
nmを越えると第一の無機斜方蒸着膜を構成する無機材
料の柱状構造物の隙間が埋め尽くされて液晶分子にプレ
ティルトが付与されず、プレティルトのない配向状態と
なってしまう。
【0029】また、上記のいずれかの構成の本発明の液
晶装置用基板の製造方法においては上記無機材料として
酸化シリコンを好適に用いることができる。
【0030】また、本発明の投射型表示装置は、上記の
いずれかの構成の本発明の液晶装置を備えた投射型表示
装置であって、光源と、該光源から出射された光を変調
する上記液晶装置と、該液晶装置により変調された光を
投射面に拡大投影する拡大投影光学系とを有することを
特徴とする。かかる構成の本発明の投射型表示装置によ
れば、上記のいずれかの構成の本発明の液晶装置を用い
たことにより、無機材料の蒸着不良領域に起因する液晶
の配向不良によるコントラスト比の低下等がなく、表示
品位の高い表示装置を実現することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】[第1の実施形態の液晶装置の構
成]本発明の第1の実施形態の液晶装置の構成につい
て、図1から図3を参照して以下説明する。図1は、液
晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成さ
れた複数の画素における各種素子、配線等の等価回路で
ある。図2は、データ線、走査線、画素電極等が形成さ
れたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面
図である。図3は、図2のA−A’線断面図であり、図
4は、図2のC−C’線断面図である。なお、図3と図
4においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度
の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならし
めてある。また、図3においては、液晶層の液晶分子の
配向状態は符号61の破線で囲まれた部分のみ模式的示
し、他の部分の液晶分子の配向状態は図示を略した。
【0032】図1に示すように、本実施形態の液晶装置
において、画像表示領域を構成するマトリクス状に形成
された複数の画素は、画素電極9aと当該画素電極9a
を制御するための画素スイッチング用TFT30がマト
リクス状に複数形成されており、画像信号を供給するデ
ータ線6aが当該TFT30のソース領域に電気的に接
続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、
S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わな
いし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グ
ループ毎に供給するようにしても良い。また、TFT3
0のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、所
定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G
1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するよう
に構成されている。画素電極9aは、画素スイッチング
用TFT30のドレイン領域に電気的に接続されてお
り、スイッチング素子である画素スイッチング用TFT
30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、
データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、
Snを所定のタイミングで書き込む。
【0033】画素電極9aを介して液晶に書き込まれた
所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基
板(後述する)に形成された対向電極(後述する)との
間で一定期間保持される。ここで、保持された画像信号
がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極
との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付
加する。例えば画素電極9aの電圧は、蓄積容量70に
よりソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間
だけ保持される。蓄積容量70を形成する方法として、
半導体層との間で容量を形成するための配線である容量
線3bを設けている。また、容量線3bを設ける代わり
に、画素電極9aと前段の走査線3aとの間で容量を形
成しても良い。
【0034】次に、図2に基づいて、本実施形態の液晶
装置のTFTアレイ基板の画素部(画像表示領域)内の
平面構造について詳細に説明する。図2に示すように、
液晶装置のTFTアレイ基板上には、マトリクス状に複
数の透明な画素電極9a(点線部9a’により輪郭が示
されている)が設けられており、画素電極9aの縦横の
境界に各々沿ってデータ線6a、走査線3aおよび容量
線3bが設けられている。データ線6aは、コンタクト
ホール5を介してポリシリコン膜からなる半導体層1a
のうち後述のソース領域に電気的に接続されており、画
素電極9aは、コンタクトホール8を介して半導体層1
aのうち後述のドレイン領域に電気的に接続されてい
る。画素電極ピッチは、20μm程度以下、好ましくは
15μm程度以下とされている。また、半導体層1aの
うち後述のチャネル領域(図中右上がりの斜線の領域)
に対向するように走査線3aが配置されており、走査線
3aはゲート電極として機能する。
【0035】容量線3bは、走査線3aに沿ってほぼ直
線状に伸びる本線部(即ち、平面的に見て、走査線3a
に沿って形成された第1領域)と、データ線6aと交差
する箇所からデータ線6aに沿って前段側(図中、上向
き)に突出した突出部(即ち、平面的に見て、データ線
6aに沿って延設された第2領域)とを有する。そし
て、図2中右上がりの斜線で示した領域には、複数の第
1遮光膜111が設けられている。より具体的には、第
1遮光膜111は、夫々、画素部において半導体層1a
のチャネル領域を含むTFTをTFTアレイ基板の側か
ら見て覆う位置に設けられており、更に、容量線3bの
本線部に対向して走査線3aに沿って直線状に伸びる本
線部と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6a
に沿って隣接する後段側(即ち、図中下向き)に突出し
た突出部とを有する。第1遮光膜111の各段(画素
行)における下向きの突出部の先端は、データ線6a下
において次段における容量線3bの上向きの突出部の先
端と重ねられている。この重なった箇所には、第1遮光
膜111と容量線3bとを相互に電気的接続するコンタ
クトホール13が設けられている。即ち、本実施形態で
は、第1遮光膜111は、コンタクトホール13により
前段あるいは後段の容量線3bに電気的に接続されてい
る。
【0036】次に、断面構造を見ると、図3に示すよう
に、本実施形態の液晶装置は、一対の透明基板を有して
おり、その一方の基板をなすTFTアレイ基板10と、
これに対向配置される他方の基板をなす対向基板20と
を備えている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基
板やハードガラスからなり、対向基板20は、例えばガ
ラス基板や石英基板からなるものである。TFTアレイ
基板10には、例えばITO膜等の透明導電性膜からな
る画素電極9aが設けられ、TFTアレイ基板10上の
各画素電極9aに隣接する位置に、各画素電極9aをス
イッチング制御する画素スイッチング用TFT30が設
けられている。画素スイッチング用TFT30は、LD
D(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線
3a、当該走査線3aからの電界によりチャネルが形成
される半導体層1aのチャネル領域1a’、走査線3a
と半導体層1aとを絶縁する絶縁薄膜2、データ線6
a、半導体層1aの低濃度ソース領域1bおよび低濃度
ドレイン領域1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1
dおよび高濃度ドレイン領域1eを備えている。
【0037】また、上記走査線3a上、絶縁薄膜2上を
含むTFTアレイ基板10上には、高濃度ソース領域1
dへ通じるコンタクトホール5および高濃度ドレイン領
域1eへ通じるコンタクトホール8が各々形成された第
2層間絶縁膜4が形成されている。つまり、データ線6
aは、第2層間絶縁膜4を貫通するコンタクトホール5
を介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続されてい
る。さらに、データ線6a上および第2層間絶縁膜4上
には、高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホー
ル8が形成された第3層間絶縁膜7が形成されている。
つまり、高濃度ドレイン領域1eは、第2層間絶縁膜4
および第3層間絶縁膜7を貫通するコンタクトホール8
を介して画素電極9aに電気的に接続されている。これ
ら第3層間絶縁膜7や画素電極9aは後述する無機配向
膜36の下地層となっており、この下地層の表面は走査
線3aや容量線3bによる段差部80を有している。下
地層の表面にできる段差部80の高さZは、画素ピッチ
が15μm程度の場合、200nmから600nm程度
のものができている。なお、画素電極9aと高濃度ドレ
イン領域1eとは、データ線6aと同一のAl膜や走査
線3bと同一のポリシリコン膜を中継して電気的に接続
する構成としてもよい。
【0038】画素スイッチング用TFT30は、好まし
くは上述のようにLDD構造を持つが、低濃度ソース領
域1bおよび低濃度ドレイン領域1cに不純物イオンの
打ち込みを行わないオフセット構造を採っても良いし、
ゲート電極をマスクとして高濃度で不純物イオンを打ち
込み、自己整合的に高濃度ソースおよびドレイン領域を
形成するセルフアライン型のTFTであっても良い。ま
た本実施の形態では、画素スイッチング用TFT30の
走査線3aの一部からなるゲート電極をソース・ドレイ
ン領域間に1個のみ配置したシングルゲート構造とした
が、これらの間に2個以上のゲート電極を配置してもよ
い。この際、各々のゲート電極には同一の信号が印加さ
れるようにする。このようにデュアルゲート(ダブルゲ
ート)あるいはトリプルゲート以上でTFTを構成すれ
ば、チャネルとソース・ドレイン領域接合部のリーク電
流を防止でき、オフ時の電流を低減することができる。
これらのゲート電極の少なくとも1個をLDD構造ある
いはオフセット構造にしてもよい。また、半導体層はポ
リシリコンに限らず単結晶シリコン等でもよい。単結晶
シリコンでは、薄膜単結晶層を絶縁層上に形成したSO
I(Silicon on Insulator)構造が好ましい。
【0039】また、ゲート絶縁膜となる絶縁薄膜2を走
査線3aの一部からなるゲート電極に対向する位置から
延設して誘電体膜として用い、半導体層1aを延設して
第1蓄積容量電極1fとし、さらにこれらに対向する容
量線3bの一部を第2蓄積容量電極とすることにより、
蓄積容量70が構成されている。より詳細には、半導体
層1aの高濃度ドレイン領域1eが、データ線6aおよ
び走査線3aの下に延設され、同じくデータ線6aおよ
び走査線3aに沿って延びる容量線3b部分に絶縁薄膜
2を介して対向配置されて、第1蓄積容量電極1fとさ
れている。特に、蓄積容量70の誘電体としての絶縁薄
膜2は、高温酸化によりポリシリコン膜上に形成される
画素スイッチング用TFT30のゲート絶縁膜の場合、
薄くかつ高耐圧の絶縁膜とすることができ、蓄積容量7
0は比較的小面積で大容量の蓄積容量とすることができ
る。
【0040】また、図3に示すようにTFTアレイ基板
10表面の各画素スイッチング用TFT30に対応する
位置には、第1遮光膜111が設けられている。第1遮
光膜111は、TFTアレイ基板10上に設けられたメ
タル層M1と、メタル層M1の上に設けられたバリア層
B1とからなるものである。バリア層B1は、酸素元素
の無い無酸素系の高融点の金属単体または金属化合物か
らなるものであり、具体的には、窒素化合物、シリコン
化合物、タングステン化合物、タングステン、シリコン
のうちの1種からなるものとされる。また、メタル層M
1は、遮光性のある高融点の金属単体または金属化合物
であり、SiO2からなる絶縁層との化学反応により酸
素化合物になると遮光性の劣化が見られる金属単体また
は金属化合物のいずれか一方からなるものである。
【0041】また、第1遮光膜111と複数の画素スイ
ッチング用TFT30との間には、第1層間絶縁膜(絶
縁体層)12が設けられている。第1層間絶縁膜12
は、画素スイッチング用TFT30を構成する半導体層
1aを第1遮光膜111から電気的に絶縁するために設
けられるものである。さらに、第1層間絶縁膜12は、
TFTアレイ基板10の全面に形成されており、第1遮
光膜111パターンの段差を解消するために表面を研磨
し、平坦化処理を施してある。第1層間絶縁膜12は、
例えば、高絶縁性ガラス又は、酸化シリコン膜、窒化シ
リコン膜等からなる。この第1層間絶縁膜12により、
第1遮光膜111が画素スイッチング用TFT30等を
汚染する事態を未然に防ぐこともできる。本実施形態で
は、ゲート絶縁膜2を走査線3aに対向する位置から延
設して誘電体膜として用い、半導体膜1aを延設して第
1蓄積容量電極1fとし、更にこれらに対向する容量線
3bの一部を第2蓄積容量電極とすることにより、蓄積
容量70が構成されている。
【0042】より詳細には、半導体層1aの高濃度ドレ
イン領域1eが、データ線6a及び走査線3aの下に延
設されて、同じくデータ線6a及び走査線3aに沿って
伸びる容量線3b部分に絶縁膜2を介して対向配置され
て、第1蓄積容量電極(半導体層)1fとされている。
特に、蓄積容量70の誘電体としての絶縁膜2は、高温
酸化により単結晶シリコン層上に形成されるTFT30
のゲート絶縁膜2に他ならないので、薄く且つ高耐圧の
絶縁膜とすることができ、蓄積容量70は比較的小面積
で大容量の蓄積容量として構成できる。さらに、蓄積容
量70においては、図2および図3から分かるように、
第1遮光膜111は、第2蓄積容量電極としての容量線
3bの反対側において第1蓄積容量電極1fに第1層間
絶縁膜12を介して第3蓄積容量電極として対向配置さ
れることにより(図3の右側の蓄積容量70参照)、蓄
積容量が更に付与されるように構成されている。すなわ
ち、本実施形態では、第1蓄積容量電極1fを挟んで両
側に蓄積容量が付与されるダブル蓄積容量構造が構築さ
れており、蓄積容量がより増加する。
【0043】上記第1遮光膜111(およびこれに電気
的に接続された容量線3b)は、定電位源に電気的に接
続されており、第1遮光膜111および容量線3bは、
定電位とされる。したがって、第1遮光膜111に対向
配置される画素スイッチング用TFT30に対して、第
1遮光膜111の電位変動が悪影響を及ぼすことはな
い。また、容量線3bは、蓄積容量70の第2蓄積容量
電極として良好に機能し得る。この場合、定電位源とし
ては、当該液晶装置を駆動するための周辺回路(例え
ば、走査線駆動回路、データ線駆動回路等)に供給され
る負電源、正電源等の定電位源、接地電源、対向電極2
1に供給される定電位源等が挙げられる。このように周
辺回路等の電源を利用すれば、専用の電位配線や外部入
力端子を設ける必要なく、第1遮光膜111および容量
線3bを定電位にすることができる。
【0044】また、図2および図3に示したように、T
FTアレイ基板10に第1遮光膜111を設けるのに加
えて、コンタクトホール13を介して第1遮光膜111
は、前段あるいは後段の容量線3bに電気的に接続する
ように構成されている。したがって、各第1遮光膜11
1が、次段の容量線に電気的に接続される場合と比較し
て、画素部の開口領域の縁に沿って、データ線6aに重
ねて容量線3bおよび第1遮光膜111が形成される領
域の他の領域に対する段差が少なくて済む。このように
画素部の開口領域の縁に沿った段差が少ないと、当該段
差に応じて引き起こされる液晶のディスクリネーション
(配向不良)を低減できるので、画素部の開口領域を広
げることが可能となる。また、第1遮光膜111は、前
述のように直線状に伸びる本線部から突出した突出部に
コンタクトホール13が開孔されている。ここで、コン
タクトホール13の開孔箇所としては、縁に近い程、ス
トレスが縁から発散される等の理由により、クラックが
生じ難いことが判明されている。
【0045】また、前述のように、画素スイッチング用
TFT30の下側には、第1遮光膜111が設けられて
いるので、少なくとも半導体層1aのチャネル領域1
a’及びLDD領域1b、1cへの戻り光の入射を効果
的に防ぐことが出来る。なお、この実施形態では、相隣
接する前段あるいは後段の画素に設けられた容量線3b
と第1遮光膜111とを接続しているため、最上段ある
いは最下段の画素に対して第1遮光膜111に定電位を
供給するための容量線3bが必要となる。そこで、容量
線3bの数を垂直画素数に対して1本余分に設けておく
ようにすると良い。
【0046】他方、対向基板20には、TFTアレイ基
板10上のデータ線6a、走査線3a、画素スイッチン
グ用TFT30の形成領域に対向する領域、すなわち各
画素部の開口領域以外の領域に第2遮光膜23が設けら
れている。さらに、第2遮光膜23上を含む対向基板2
0上には、その全面にわたって対向電極(共通電極)2
1が設けられている。対向電極21もTFTアレイ基板
10の画素電極9aと同様、ITO膜等の透明導電性膜
から形成されている。第2遮光膜23の存在により、対
向基板20の側からの入射光が画素スイッチング用TF
T30の半導体層1aのチャネル領域1a’や低濃度ソ
ース領域領域1b、低濃度ドレイン領域1cに侵入する
ことはない。さらに、第2遮光膜23は、コントラスト
比の向上、色材の混色防止などの機能、いわゆるブラッ
クマトリクスとしての機能を有している。
【0047】そして、本実施の形態の場合、TFTアレ
イ基板10の画素スイッチング用TFT30、データ線
6aおよび走査線3aの形成領域にあたる第3層間絶縁
膜7上および画素電極9a上、すなわち表面に段差部8
0を有する上記の下地層上に無機斜方蒸着膜からなる無
機配向膜36が設けられている。ここでの段差部80
は、具体的には容量線3b上に形成された画素電極9a
の凸部81とこの凸部81の近傍の画素電極9の凹部8
2による段差等である。この無機配向膜36は、第一の
無機斜方蒸着膜36aと、第二の無機斜方蒸着膜36b
とからなるものである。
【0048】第一の無機斜方蒸着膜36aは、第1遮光
膜111、第1層間絶縁膜12、TFT30、第2と第
3層間絶縁膜4、7、画素電極9等を形成したTFTア
レイ基板10をある角度で固定して一方向から酸化シリ
コン等の無機材料を蒸着させ、基板に対して所定の角度
で配列された柱状構造物を成長させる第一の斜方蒸着工
程により形成されたものである。図2と図4中、符号S
Aは第一の斜方蒸着工程で第一の無機斜方蒸着膜36a
を形成した際の無機材料の斜方蒸着方向である。この斜
方蒸着方向SAは、走査線3aや容量線3bと直交する
方向で、図2の平面図の下側からの方向である。また、
斜方蒸着方向SAは、図8に示すようにTFTアレイ基
板10とのなす角度(蒸着角度)θ1が5度〜10度の
範囲内が好ましい。
【0049】第一の無機斜方蒸着膜36aは、段差部8
0の近傍領域80a(段差部80の影となる領域)を除
いた領域80bに形成されている。この第一の無機斜方
蒸着膜36aは、段差部80の近傍領域80aには殆ど
形成されていない。それは、上記のような斜方蒸着方向
SAから無機材料を斜方蒸着すると、段差部80の近傍
領域80a(凸部81の斜方蒸着方向SAに沿った方向
側の斜面及びその近傍)は、段差部80の影となって無
機材料が蒸着されにくいからである。
【0050】第二の無機斜方蒸着膜36bは、図2、図
8に示すように上記第一の斜方蒸着工程の無機材料の斜
方蒸着方向SAとは少なくとも上記基板の面内方向に沿
った方位角方向φが異なる方向SBから無機材料を斜方
蒸着させ、基板に対して所定の角度で配列された柱状構
造物を成長させる第二の斜方蒸着工程により形成された
ものである。この斜方蒸着方向SBは、走査線3aや容
量線3bに沿った方向で、図2の平面図の右側からの方
向である。この斜方蒸着方向SB と斜方蒸着方向SA
とは、方位角方向φが90度異なっていることが好まし
い。また、斜方蒸着方向SBは図8に示すようにTFT
アレイ基板10とのなす角度(蒸着角度)θ2が25度
〜30度の範囲内が好ましい。
【0051】この第二の無機斜方蒸着膜36bは、上記
第一の無機斜方蒸着膜36aが形成されていない上記段
差部80の近傍領域80aに形成されている。この第二
の無機斜方蒸着膜36bは、第一の無機斜方蒸着膜36
aが形成されていない上記段差部80の近傍領域80a
に形成されているが、上記下地層表面の段差部80の形
状や配置によっては第二の斜方蒸着工程で蒸着の影とな
る部分も生じることがあるため、第二の無機斜方蒸着膜
36bは第一の無機斜方蒸着膜36aの表面の全面に形
成されていない場合もある。すなわち第二の無機斜方蒸
着膜36bは、上記段差部80の近傍領域80と、少な
くとも段差部80の両側の第一の無機斜方蒸着膜36a
上に形成されていればよい。従って、上記下地層上に形
成される無機斜方蒸着膜36は、実際には、第一の無機
斜方蒸着膜36aのみが形成されている部分と、第一の
無機斜方蒸着膜36a上に第二の無機斜方蒸着膜36b
が形成されている部分と、第二の無機斜方蒸着膜36b
のみが形成されている部分が混在している。
【0052】図5は、実施形態の液晶装置の第一の無機
斜方蒸着膜36aのみが形成されている部分およびその
近傍部分の斜方蒸着方向SAに沿った断面構造を模式的
に示す図である。図6は、実施形態の液晶装置の段差部
80の近傍領域80aに形成された第一の無機斜方蒸着
膜36aが形成されている部分及びその近傍部分の斜方
蒸着方向SBに沿った断面構造を模式的に示す図であ
る。なお、第一の無機斜方蒸着膜36a上に第二の無機
斜方蒸着膜36bが形成されている部分の断面構造は、
形状が複雑になるため図示を略した。第一の無機斜方蒸
着膜36aは、図5に示すように傾斜した無機材料の柱
状構造物が疎に形成されており、隣接する柱状構造物間
に隙間37があいている。第二の無機斜方蒸着膜36b
は、図6に示すように傾斜した無機材料の柱状構造物が
密に形成されて後述の液晶層50側となる表面に溝構造
38を有している。また、この第二の無機斜方蒸着膜3
6bは少なくとも段差部80の両側の第一の無機斜方蒸
着膜36a上にも形成されており、この部分は、図5に
示す柱状構造物間の隙間37が第二の無機斜方蒸着膜3
6bの柱状構造物で埋められたような構造になってい
る。第一の無機斜方蒸着膜36aを構成する無機材料の
柱状構造物の傾斜方向と、第二の無機斜方蒸着膜36b
を構成する無機材料の柱状構造物の傾斜方向とは、少な
くとも上記基板の面内方向に沿った方位角度方向φが異
なっており、好ましくは方位角方向が90度異なってい
ることが望ましい。
【0053】第一の無機斜方蒸着膜36aの厚みは5n
m〜16nmの範囲内であることが好ましく、より好ま
しくは8nm〜10nmの範囲内である。第一の無機斜
方蒸着膜36aの厚みが5nm未満であると液晶分子5
0aにプレティルト角θpが付与されず、ディスクリネ
ーションの要因となってしまい、16nmを越えると第
二の無機斜方蒸着膜36bの効果が薄れて液晶分子50
aのプレティルト角θpが20度以上となってしまう。
【0054】また、第二の無機斜方蒸着膜36bの厚み
は10nm〜40nmの範囲内であることが好ましい。
第二の無機斜方蒸着膜36bの厚みが10nm未満であ
ると第二の無機斜方蒸着膜36bの柱状構造物が第一の
無機斜方蒸着膜36aを構成する無機材料の柱状構造物
の隙間37を埋めるという効果が小さく、液晶分子50
aのプレティルト角θpが20度以上となってしまい、
40nmを越えると第一の無機斜方蒸着膜36aを構成
する無機材料の柱状構造物の隙間37が埋め尽くされて
液晶分子50aにプレティルトが付与されず、プレティ
ルトのない配向状態となってしまう。無機配向膜36の
平均の厚みは、16〜22nm程度である。
【0055】他方、TFTアレイ基板10側の無機配向
膜36と対向する位置にあたる対向基板20の対向電極
21上にも、同様の材料からなる無機配向膜42が設け
られている。この無機配向膜42は、第2遮光膜23や
対向電極21等を形成した対向基板20をある角度で固
定して一方向から酸化シリコン等の無機材料を蒸着さ
せ、基板に対して所定の角度で配列された柱状構造物を
成長させる斜方蒸着に形成されたものである。
【0056】図2と図4中、符号SCは対向基板20側
の無機配向膜42を形成した際の無機材料の斜方蒸着方
向である。この斜方蒸着方向SCは、図11に示すよう
に対向基板20とのなす角度θ3が5度〜10度の範囲
内のものである。
【0057】この無機配向膜42の厚みは、5〜16n
m程度である。この無機配向膜42の下地層は、表面の
段差部の高さが小さいものであるので、無機材料を斜方
蒸着する際に段差部が影となっておらず、蒸着不良領域
が生じないため、TFTアレイ基板10側の無機配向膜
36のように無機材料の斜方蒸着を2回行わなくてもよ
い。
【0058】これらTFTアレイ基板10と対向基板2
0は、画素電極9aと対向電極21とが対向するように
配置されている。そして、これら基板10、20と後述
するシール材51(図13および図14参照)により囲
まれた空間に液晶が封入され、液晶層50が形成され
る。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加され
ていない状態(電圧無印加時)で無機配向膜36、42
の作用により所定の配向状態をとる。なお、本明細書に
おいて、「電圧無印加時」、「電圧印加時」とは、それ
ぞれ「液晶層への印加電圧が液晶のしきい値電圧未満で
あるとき」、「液晶層への印加電圧が液晶のしきい値電
圧以上であるとき」を意味している。
【0059】第一の無機斜方蒸着膜36aのみが形成さ
れている部分の近傍の液晶分子50aは、電界が印加さ
れていない状態(電圧無印加時)では図5に示すように
液晶分子50aの長軸は斜方蒸着方向SA に沿った方
向を含む面に配向しており、プレティルト角θp が2
5度から45度の範囲内が好ましい。このように液晶分
子50aが配向するのは、第一の無機斜方蒸着膜36a
は、先に述べたように傾斜した柱状構造物間に隙間37
を有する構造であり、この第一の無機斜方蒸着膜36a
の液晶層50側の表面形状効果によるものである。第二
の無機斜方蒸着膜36bが形成されている段差部80の
近傍領域の液晶分子50aは、電界が印加されていない
状態では図6に示すように液晶分子50aの長軸は斜方
蒸着方向SB に沿った方向を含む面に配向しており、
プレティルト角θp がほぼ0度の平行配向となってい
る。このように液晶分子50aが配向するのは、第二の
無機斜方蒸着膜36bは、先に述べたように傾斜した無
機材料の柱状構造物が密に形成されて得られた溝構造3
8が液晶層50側となる表面に有する構造であり、この
第二の無機斜方蒸着膜36bの液晶層50側の表面形状
効果によるものである。また、この第二の無機斜方蒸着
膜36bが第一の無機斜方蒸着膜36a上に形成された
部分(少なくとも段差部80の両側部分)の近傍の液晶
分子50aは、第一の無機斜方蒸着膜36aの近傍の液
晶分子50aのプレティルトと第二の無機斜方蒸着膜3
6bの液晶分子50aのプレティルトの間のティルト角
を有しているが、この部分の液晶分子50aのプレティ
ルト角度は第一と第二の無機斜方蒸着膜36a、36b
の膜厚比に依存する。このように液晶分子50aが配向
するのは、第二の無機斜方蒸着膜36bが第一の無機斜
方蒸着膜36a上に形成された部分は、先に述べたよう
に図5に示す柱状構造物間の隙間37が第二の無機斜方
蒸着膜36bの柱状構造物で埋められたような構造にな
っており、この構造の液晶層50側の表面形状効果によ
るものである。
【0060】上記液晶層50の液晶分子50aの平均プ
レティルト角θpが、5〜15度の範囲内、好ましくは
12度〜14度の範囲内とされていることが好ましい。
液晶分子50aの平均プレティルト角θpは、第一と第
二の無機斜方蒸着膜36a、36bの膜厚比や斜方蒸着
角度θ1、θ2をコントロールすることにより調整する
ことができる。上記液晶層50の液晶分子50aは、電
圧印加時には、配向状態を変化させ、これを光学的に識
別することにより表示をすることが可能な構造となって
いる。シール材51は、例えば、光硬化性樹脂や熱硬化
性樹脂からなる接着材であり、両基板間の距離を所定値
とするためのグラスファイバーあるいはガラスビーズ等
のスペーサが混入されている。
【0061】本実施形態の液晶装置は、段差部80を有
する下地層上に形成された無機配向膜36が、傾斜した
無機材料の柱状構造物から形成された第一の無機斜方蒸
着膜36aと、第一の無機斜方蒸着膜36aの柱状構造
物の傾斜方向とは無機材料の柱状構造物の傾斜方向が少
なくとも方位角方向が異なる第二の無機斜方蒸着膜36
bとから構成されており、しかも第二の無機斜方蒸着膜
36bは上記段差部80の近傍領域80aに形成されて
いるので、上記段差部80の近傍領域80aに無機材料
の蒸着ムラや蒸着されない蒸着不良領域が生じるのを低
減でき、従って、画素ピッチが20μm以下と微細にな
っても、表面に段差部を有する下地層上に形成した無機
配向膜に異常がなく、配向膜異常に起因する液晶の配向
不良を防止でき、コントラスト比の低下等の表示不良の
発生を防止できる。このような効果は、画素ピッチが1
5μm以下とさらに微細になっても同様に得られる。ま
た、無機配向膜36、42は、無機斜方蒸着膜から構成
されているので、ポリイミド等の有機膜から構成したも
のに比べて、耐光性や耐熱性が優れているので、耐久性
が向上した液晶装置とすることができる。
【0062】[第1実施形態の液晶装置の製造プロセ
ス]次に、上記構成を有する液晶装置の第1実施形態の
製造プロセスについて、図7から図12を参照して説明
する。なお、図7と図9は各工程におけるTFTアレイ
基板10側の各層を、図10と図12は各工程における
対向基板20側の各層を、図3と同様に図2のA−A’
断面に対応させて示す工程図である。
【0063】図7に示すように、石英基板、ハードガラ
スなどからなるTFTアレイ基板10上にメタル層M1
とバリア層B1とからなる第1遮光膜111、第1層間
絶縁膜12、コンタクトホール13、半導体層1a、チ
ャネル領域1a’、低濃度ソース領域1b、低濃度ドレ
イン領域1c、高濃度ソース領域1d、高濃度ドレイン
領域1e、第1蓄積容量電極1f、絶縁薄膜2、走査線
3a、容量線3b、第2層間絶縁膜4、データ線6a、
第3層間絶縁膜7、コンタクトホール8、画素電極9a
を従来と同様の方法などにより形成したものを用意す
る。画素電極9a等が形成されたTFTアレイ基板10
の表面(後述の無機配向膜36の下地層の表面)は段差
部80が形成されている。
【0064】次に、図8に示すように、表面に段差部8
0を有するTFTアレイ基板10の上面に一方向SAか
ら無機材料を斜方蒸着して図5に示すような第一の無機
斜方蒸着膜36aを厚みが5nm〜16nmの範囲内に
なるように形成する第一の斜方蒸着工程を行う。この第
一の無機斜方蒸着工程では、蒸着の影となる部分、すな
わち、段差部80の近傍領域80aには第一の無機斜方
蒸着膜36aが形成されいない。この第一の無機斜方蒸
着膜36aは段差部80の近傍領域80aを除いた領域
80bに形成されている。なお、図8は画素電極9a等
が形成されたTFTアレイ基板10を上面側(配向膜の
下地層の表面側)から見た図であり、画素電極9aやコ
ンタクトホール8、第3層間絶縁膜7の記載は省略され
ている。この斜方蒸着方向SAは、走査線3aや容量線
3bと直交する方向で、図2の平面図の下側からの方向
である。ここで斜方蒸着方向SA を走査線3aや容量
線3bと直交する方向で、図2の平面図の下側の方向と
したのは、図2のC−C’線付近の下地層表面の段差部
より、B−B’線付近の下地層表面の段差部の方が段差
が大きいため、図2の平面図の下側の方向から斜方蒸着
を行うことにより、段差部80の影となって無機斜方蒸
着膜が蒸着されない領域を少なくするためである。
【0065】また、この斜方蒸着方向SAは、図8に示
すようにTFTアレイ基板10とのなす角度(蒸着角
度)θ1が5度〜10度の範囲内が好ましい。第一の斜
方蒸着工程の無機材料の蒸着角度θ1が5度未満である
と、形成される柱状構造物の密度が低すぎるために液晶
分子50aの配向方向が不安定となり、基板の面内方向
に沿った面内での配向方向のばらつきが大となってしま
い、蒸着角度θ1が10度を越えると形成される柱状構
造物の密度が高くなるために第二の無機斜方蒸着膜36
bの柱状構造物で第一の無機斜方蒸着膜36aの柱状構
造物の隙間37を埋めるという効果が得られ難くなり、
その結果、この基板を用いて液晶装置を作製すると液晶
分子の配向にプレティルトの全くない領域が大きくなっ
てしまうからである。
【0066】次に、図8に示すように上記第一の斜方蒸
着工程の無機材料の斜方蒸着方向SAとは少なくとも上
記基板の面内方向に沿った方位角方向φが異なる方向S
Bから無機材料を斜方蒸着して上記第一の無機斜方蒸着
膜36aが形成されていない上記段差部80の近傍領域
80aと上記第一の無機斜方蒸着膜36a上に図6に示
すような第二の無機斜方蒸着膜36bを膜厚が10nm
〜40nmの範囲内となるように形成する第二の斜方蒸
着工程を行う。
【0067】この斜方蒸着方向SBは、走査線3aや容
量線3bに沿った方向で、図2の平面図の右側からの方
向である。この斜方蒸着方向SB と斜方蒸着方向SA
とは、方位角方向φが90度異なっていることが上記段
差部80の近傍領域80aを除いた領域80bに第一の
無機斜方蒸着膜36aを良好に形成でき、第一の無機斜
方蒸着膜36aが形成されていない上記段差部80の近
傍領域80aと第一の無機斜方蒸着膜36a上に第二の
無機斜方蒸着膜36bを良好に形成できる点で好まし
い。
【0068】また、斜方蒸着方向SBは図8に示すよう
にTFTアレイ基板10とのなす角度(蒸着角度)θ2
が25度〜30度の範囲内が好ましい。上記第二の斜方
蒸着工程の斜方蒸着方向SBの蒸着角度θ2が25度未
満であると、第二の無機斜方蒸着膜36bの柱状構造物
で第一の無機斜方蒸着膜36aの柱状構造物の隙間37
を埋めるという効果が得られ難く、蒸着角度θ2が30
度を越えると形成される膜表面の異方性が乏しくなり、
液晶分子を配向させる機能がなくなってしまう。このよ
うな第一の斜方蒸着工程と第二の斜方蒸着工程により図
9に示すような無機配向膜36が形成されたTFTアレ
イ基板10が得られる。
【0069】他方、図3の対向基板20については、ガ
ラス基板等が先ず用意され、第2遮光膜23および後述
の額縁としての第3遮光膜53(図13および図14参
照)を、例えば金属クロムをスパッタリングした後、フ
ォトリソグラフィー工程、エッチング工程を経て形成す
る。なお、これら遮光膜は、Cr、Ni(ニッケル)、
Alなどの金属材料の他、カーボンやTiをフォトレジ
ストに分散した樹脂ブラックなどの材料から形成しても
よい。
【0070】その後、図10に示すように対向基板20
の全面にスパッタリング等により、ITO等の透明導電
性膜を、約50〜200nmの厚さに堆積することによ
り、対向電極21を形成する。次に、図11に示すよう
に第2遮光膜23や対向電極21等を形成した対向基板
20をある角度で固定して一方向SCから酸化シリコン
等の無機材料を蒸着させ、基板に対して所定の角度で配
列された柱状構造物を成長させる斜方蒸着を行う。な
お、図11は対向電極21等が形成された対向基板20
を上面側(配向膜の下地層の表面側)から見た図であ
り、対向電極21の記載は省略されている。図11中、
符号SCは対向基板20側の無機配向膜42を形成する
際の無機材料の斜方蒸着方向である。この斜方蒸着方向
SCは、図11に示すように対向基板20とのなす角度
θ3が5度〜10度の範囲内のものである。このように
すると図12に示ように対向電極21上に無機配向膜4
2が設けられた対向基板20が得られる。ここでの斜方
蒸着方向SCは第一の無機配向膜36aを形成する際の
斜方蒸着方向SAと180度異なる方向である。
【0071】最後に、上述のように各層が形成されたT
FTアレイ基板10と対向基板20とを斜方蒸着方向が
反対(180°ずらす)になるように配置(TFTアレ
イ基板10と対向基板20とを所定の角度で配列された
柱状構造物の配列方向が反対になるように配置)し、セ
ル厚が4μmになるように後述のシール材51により貼
り合わせ、空パネルを作製する。液晶としてはフッ素系
のポジ型の液晶を使用し、この液晶をパネル内に封入
し、本実施形態の液晶装置が得られる。なお、本実施形
態では、対向基板10上に基板側から第2遮光膜23、
対向電極21、配向膜42の順に設けたため、液晶駆動
電圧を高くしなくて済むという利点がある。この構成に
代えて、対向電極21、第2遮光膜23、配向膜42の
順に設けても良い。その場合、第2遮光膜23と配向膜
42のパターニングを一括して行うことができ、製造工
程の簡略化が図れる、という利点が得られる。
【0072】本実施形態の液晶装置用基板の製造方法に
よれば、第一と第二の斜方蒸着工程を設け、この第一の
斜方蒸着工程の無機材料の斜方蒸着方向SAと第二の斜
方蒸着工程の無機材料の斜方蒸方向SBが少なくとも上
記基板の面内方向に沿った方位角方向φが異なるように
したことにより、第一の斜方蒸着工程で無機斜方蒸着膜
を形成できなかった領域に、第二の斜方蒸着工程で無機
斜方所着膜を形成できる。第一の斜方蒸着工程では上記
段差部80の近傍領域80aを除いた領域80bに第一
の無機斜方蒸着膜36aが形成されるが、上記段差部8
0の近傍領域80aは段差部80の影となって第一の無
機斜方蒸着膜36aが形成されていない領域ができてし
まう。そして、第二の斜方蒸着工程では、無機材料の斜
方蒸着方向SBを上記第一の斜方蒸着工程とは少なくと
も方位角方向φを変更することにより、第一の斜方蒸着
工程で段差部80の影となって無機斜方蒸着膜が形成さ
れていない領域80aに無機材料を蒸着して第二の無機
斜方蒸着膜36bを形成することができる。また、この
第二の斜方蒸着工程では、第二の無機斜方蒸着膜36b
は、少なくとも段差部80aの両側の第一の無機斜方蒸
着膜36a上にも形成される。かかる構成の液晶装置用
基板の製造方法によれば、本実施形態の液晶装置に備え
ることができる基板を製造できる。
【0073】なお、上記実施形態の液晶装置およびこの
液晶装置用基板の製造方法においては、本発明をTFT
素子に代表される3端子型素子を用いるアクティブマト
リクス型の液晶装置とこの液晶装置用基板の製造方法に
適用した場合について説明したが、TFD素子に代表さ
れる2端子型素子を用いるアクティブマトリクス型の液
晶装置およびこの液晶装置用基板の製造方法や、パッシ
ブマトリクス型の液晶装置及びこの液晶装置用基板の製
造方法にも適用できる。また、本発明は透過型の液晶装
置だけでなく、反射型の液晶装置にも適用可能である。
【0074】なお、上記実施形態の液晶装置の製造方法
においては、TFTアレイ基板10側の無機配向膜36
を第一と第二の斜方蒸着工程(方位角方向を変更して2
回蒸着する方法)により形成する場合について説明した
が、対向基板20側の無機配向膜42の下地層の表面の
段差部の高さが大きい場合には、無機配向膜36と同様
にを第一と第二の斜方蒸着工程(方位角方向を変更して
2回蒸着する方法)により形成してもよく、例えば、図
11に示すように対向電極21等を形成した対向基板2
0をある角度で固定して一方向SCから酸化シリコン等
の無機材料を蒸着させ、基板20に対して所定の角度で
配列された柱状構造物を成長させる斜方蒸着工程により
形成した後、上記斜方蒸着方向SCとは少なくとも上記
基板20の面内方向に沿った方位角方向φが異なる方向
SD 、好ましくは方位角方向φが略90度異なる方向
から無機材料を斜方蒸着させ、基板に対して所定の角度
で配列された柱状構造物を成長させる斜方蒸着工程によ
り形成すればよい。その場合の斜方蒸着方向SCの蒸着
角度θ3は5度〜10度の範囲内とし、斜方蒸着方向S
Dの蒸着角度θ3は25度〜30度の範囲内とすること
が好ましい。
【0075】また、本実施形態においてはTFTアレイ
基板上に形成された表面に段差部がある下地層上に無機
配向膜を形成する場合に本発明を適用した場合について
説明したが、素子側の基板が配線層等を埋め込んだもの
であり、無機配向膜の下地層が平滑な表面にコンタクト
ホール等による凹部(段差部)を有するものである場合
にも本発明を適用することができる。
【0076】[液晶装置の全体構成]次に、上記構成の
液晶装置の全体構成を図13および図14を参照して説
明する。なお、図13は、TFTアレイ基板10をその
上に形成された各構成要素とともに対向基板20の側か
ら見た平面図であり、図14は、対向基板20を含めて
示す図11のH−H’断面図である。なお、図13及び
図14では、無機配向膜36、42の記載は省略されて
いる。
【0077】図13において、TFTアレイ基板10の
上には、シール材51がその縁に沿って設けられてお
り、その内側に並行して、例えば第2遮光膜23と同じ
かあるいは異なる材料からなる額縁としての第3遮光膜
53が設けられている。シール材51の外側の領域に
は、データ線駆動回路101および外部回路接続端子1
02がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられて
おり、走査線駆動回路104がこの一辺に隣接する2辺
に沿って設けられている。走査線3aに供給される走査
信号遅延が問題にならないのならば、走査線駆動回路1
04は片側だけでも良いことは言うまでもない。
【0078】また、データ線駆動回路101を画像表示
領域の辺に沿って両側に配列してもよい。例えば、奇数
列のデータ線6aは画像表示領域の一方の辺に沿って配
設されたデータ線駆動回路から画像信号を供給し、偶数
列のデータ線は上記画像表示領域の反対側の辺に沿って
配設されたデータ線駆動回路から画像信号を供給するよ
うにしてもよい。このようにデータ線6aを櫛歯状に駆
動するようにすれば、データ線駆動回路の占有面積を拡
張することができるため、複雑な回路を構成することが
可能となる。さらに、TFTアレイ基板10の残る一辺
には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路
104間をつなぐための複数の配線105が設けられて
おり、更に、週辺見切りとしての第3遮光膜53の下に
隠れてプリチャージ回路を設けてもよい。また、対向基
板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、T
FTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通
をとるための導通材106が設けられている。そして、
図14に示すように、図13に示したシール材51とほ
ぼ同じ輪郭を持つ対向基板20が当該シール材51によ
りTFTアレイ基板10に固着されている。
【0079】以上、図1から図14を参照して説明した
各実施形態における液晶装置のTFTアレイ基板10上
には、さらに製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、
欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
また、データ線駆動回路101および走査線駆動回路1
04をTFTアレイ基板10の上に設ける代わりに、例
えばTAB(Tape Automated Bonding)基板上に実装さ
れた駆動用LSIに、TFTアレイ基板10の周辺部に
設けられた異方性導電フィルムを介して電気的および機
械的に接続するようにしてもよい。また、対向基板20
の投射光が入射する側およびTFTアレイ基板10の出
射光が出射する側には各々、例えば、TN(Twisted Ne
matic)モード、VA(Vertically Aligned)モード、P
DLC(Polymer Dipersed Liquid Crystal)モード等の
動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリー
ブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フ
ィルム、偏光手段などが所定の方向で配置される。
【0080】以上説明した各実施形態における液晶装置
は、例えばカラー液晶プロジェクタ(投射型表示装置)
に適用することができる。その場合、3枚の液晶装置が
RGB用のライトバルブとして各々用いられ、各ライト
バルブには各々RGB色分解用のダイクロイックミラー
を介して分解された各色の光が投射光として各々入射さ
れることになる。したがって、各実施形態では、対向基
板20に、カラーフィルタは設けられていない。しかし
ながら、第2遮光膜23の形成されていない画素電極9
aに対向する所定領域にRGBのカラーフィルタをその
保護膜とともに、対向基板20上に形成してもよい。こ
のようにすれば、液晶プロジェクタ以外の直視型や反射
型のカラー液晶テレビなどのカラー液晶装置に各実施形
態における液晶装置を適用できる。さらに、対向基板2
0上に1画素に1個対応するようにマイクロレンズを形
成してもよい。このようにすれば、入射光の集光効率を
向上することで、明るい液晶装置が実現できる。さらに
また、対向基板20上に、何層もの屈折率の相違する干
渉層を堆積することで、光の干渉を利用して、RGB色
を作り出すダイクロイックフィルタを形成してもよい。
このダイクロイックフィルタ付対向基板によれば、より
明るいカラー液晶装置が実現できる。また、各画素に設
けられるスイッチング素子としては、正スタガ型又はコ
プラナー型のポリシリコンTFTであるとして説明した
が、逆スタガ型のTFTやアモルファスシリコンTFT
等の他の形式のTFTに対しても、各実施形態は有効で
ある。
【0081】[電子機器]上記の本発明の実施形態の液
晶装置を用いた電子機器の一例として、投射型表示装置
の構成について、図15を参照して説明する。図15に
おいて、投射型表示装置1100は、上述した実施形態
の液晶装置を3個用意し、夫々RGB用の液晶装置96
2R、962Gおよび962Bとして用いた投射型液晶
装置の光学系の概略構成図を示す。本例の投射型表示装
置の光学系には、光源装置920と、均一照明光学系9
23が採用されている。そして、投射型表示装置は、こ
の均一照明光学系923から出射される光束Wを赤
(R)、緑(G)、青(B)に分離する色分離手段とし
ての色分離光学系924と、各色光束R、G、Bを変調
する変調手段としての3つのライトバルブ925R、9
25G、925Bと、変調された後の色光束を再合成す
る色合成手段としての色合成プリズム910と、合成さ
れた光束を投射面100の表面に拡大投射する投射手段
としての投射レンズユニット906を備えている。ま
た、青色光束Bを対応するライトバルブ925Bに導く
導光系927をも備えている。
【0082】均一照明光学系923は、2つのレンズ板
921、922と反射ミラー931を備えており、反射
ミラー931を挟んで2つのレンズ板921、922が
直交する状態に配置されている。均一照明光学系923
の2つのレンズ板921、922は、それぞれマトリク
ス状に配置された複数の矩形レンズを備えている。光源
装置920から出射された光束は、第1のレンズ板92
1の矩形レンズによって複数の部分光束に分割される。
そして、これらの部分光束は、第2のレンズ板922の
矩形レンズによって3つのライトバルブ925R、92
5G、925B付近で重畳される。したがって、均一照
明光学系923を用いることにより、光源装置920が
出射光束の断面内で不均一な照度分布を有している場合
でも、3つのライトバルブ925R、925G、925
Bを均一な照明光で照明することが可能となる。
【0083】各色分離光学系924は、青緑反射ダイク
ロイックミラー941と、緑反射ダイクロイックミラー
942と、反射ミラー943から構成される。まず、青
緑反射ダイクロイックミラー941において、光束Wに
含まれている青色光束Bおよび緑色光束Gが直角に反射
され、緑反射ダイクロイックミラー942の側に向か
う。赤色光束Rはこのミラー941を通過して、後方の
反射ミラー943で直角に反射されて、赤色光束Rの出
射部944から色合成プリズム910の側に出射され
る。次に、緑反射ダイクロイックミラー942におい
て、青緑反射ダイクロイックミラー941において反射
された青色、緑色光束B、Gのうち、緑色光束Gのみが
直角に反射されて、緑色光束Gの出射部945から色合
成光学系の側に出射される。緑反射ダイクロイックミラ
ー942を通過した青色光束Bは、青色光束Bの出射部
946から導光系927の側に出射される。本例では、
均一照明光学素子の光束Wの出射部から、色分離光学系
924における各色光束の出射部944、945、94
6までの距離がほぼ等しくなるように設定されている。
【0084】色分離光学系924の赤色、緑色光束R、
Gの出射部944、945の出射側には、それぞれ集光
レンズ951、952が配置されている。したがって、
各出射部から出射した赤色、緑色光束R、Gは、これら
の集光レンズ951、952に入射して平行化される。
このように平行化された赤色、緑色光束R、Gは、ライ
トバルブ925R、925Gに入射して変調され、各色
光に対応した画像情報が付加される。すなわち、これら
の液晶装置は、図示しない駆動手段によって画像情報に
応じてスイッチング制御されて、これにより、ここを通
過する各色光の変調が行われる。一方、青色光束Bは、
導光系927を介して対応するライトバルブ925Bに
導かれ、ここにおいて、同様に画像情報に応じて変調が
施される。なお、本例のライトバルブ925R、925
G、925Bは、それぞれさらに入射側偏光手段960
R、960G、960Bと、出射側偏光手段961R、
961G、961Bと、これらの間に配置された液晶装
置962R、962G、962Bとからなる液晶ライト
バルブである。
【0085】導光系927は、青色光束Bの出射部94
6の出射側に配置した集光レンズ954と、入射側反射
ミラー971と、出射側反射ミラー972と、これらの
反射ミラーの間に配置した中間レンズ973と、ライト
バルブ925Bの手前側に配置した集光レンズ953と
から構成されている。集光レンズ954から出射された
青色光束Bは、導光系927を介して液晶装置962B
に導かれて変調される。各色光束の光路長、すなわち、
光束Wの出射部から各液晶装置962R、962G、9
62Bまでの距離は青色光束Bが最も長くなり、したが
って、青色光束の光量損失が最も多くなる。しかし、導
光系927を介在させることにより、光量損失を抑制す
ることができる。各ライトバルブ925R、925G、
925Bを通って変調された各色光束R、G、Bは、色
合成プリズム910に入射され、ここで合成される。そ
して、この色合成プリズム910によって合成された光
が投射レンズユニット906を介して所定の位置にある
投射面100の表面に拡大投射されるようになってい
る。
【0086】本例において、液晶装置962R、962
G、962Bは、図1乃至図14を用いて説明した本発
明の実施形態の液晶装置である。さらに、液晶装置を投
射型表示装置のライトバルブに用いる場合、直視型液晶
表示装置として用いる場合に比べて入射光の強度が高
く、配向膜がポリイミド等の有機配向膜から構成されて
いると配向膜の劣化が顕著に起こりやすいが、配向膜を
酸化シリコン等の無機斜方蒸着膜から構成することによ
って、配向膜の劣化に起因する表示不良の発生を低減し
た本実施形態の液晶装置962R、962G、962B
が設けられているので、長時間の使用によっても表示品
位の高い投射型表示装置を実現することができる。ま
た、実施形態の液晶装置962R、962G、962B
は、上記したように段差部80を有する下地層上に無機
配向膜36を形成する際、無機材料を蒸着し易い領域
(上記段差部80の近傍領域80aを除いた領域80
b)と無機材料の蒸着不良領域ができやすい段差部80
の近傍領域80bに分けて形成したことにより、上記段
差部80の近傍領域を除いた領域80bに上記の第一の
無機斜方蒸着膜36aが形成されており、上記段差部8
0の近傍領域80aには第二の無機斜方蒸着膜36bが
形成されているので、上記段差部80の近傍領域80に
無機材料の蒸着ムラや蒸着されない蒸着不良領域が生じ
ることがない。従ってこのような液晶装置962R、9
62G、962Bが設けられた投射型表示装置によれ
ば、配向膜異常に起因する液晶の配向不良によるコント
ラスト比の低下等がなく、表示品位の高い表示装置を実
現することができる。
【0087】
【実施例】本発明者は、本発明の液晶装置の効果を実証
する実験を行った。以下、この実験結果について説明す
る。 (実験例1)第1の実施形態で示したTFT素子と画素
電極等が形成され、表面に段差部を有するTFTアレイ
基板の表面に一方向SAから酸化珪素(SiO)を膜厚
が10nmになるように斜方蒸着を行って第一の無機斜
方蒸着膜を形成する際、SiOの蒸着角度(蒸着方向と
基板とのなす角度)θ1を2.5度から15度の範囲で
変更し、次に、上記斜方蒸着方向SAとは方位角方向φ
が異なる方向SBから酸化珪素(SiO)を膜厚が20
nmになるように斜方蒸着を行って第二の無機斜方蒸着
膜を形成する際、SiOの蒸着角度(蒸着方向と基板と
のなす角度)θ2を25度から30度の範囲で変更し
た。ここでの斜方蒸着方向SAは、図2の走査線3aや
容量線3bと直交する方向で、図2の平面図の下側から
の方向とした。また、斜方蒸着方向SBは、図2の走査
線3aや容量線3bに沿った方向で、図2の平面図の右
側からの方向とした。ここでの斜方蒸着方向SB と斜
方蒸着方向SAとは、方位角方向φが90度異なる方向
とした。一方、第1の実施形態で示したブラックマトリ
ックス(遮光膜)と対向電極等が形成された対向基板の
表面に一方向SCから酸化珪素(SiO)を膜厚が10
nmになるように斜方蒸着を行って無機斜方蒸着膜を形
成した。ここでの斜方蒸着方向SCの蒸着角度(蒸着方
向と基板とのなす角度)θ3は5度とした。次に、上記
の無機斜方蒸着膜を形成した一方の基板の液晶層側とな
る側の面にシール印刷により液晶注入口を残してシール
部を形成し、TFTアレイ基板と対向基板を貼り合わせ
液晶パネルを作製し、液晶注入口からフッ素系のポジ型
の液晶をパネル内に注入し、注入口を封止材で塞ぐこと
により、種々の液晶装置を作製した。このように作製し
た種々の液晶装置の液晶の配向状態について調べた。そ
の結果を表1に示す。
【0088】 「表1」 1回目の斜方蒸着角度(°) 2.5 5 10 15 2回目の斜方蒸着角度(°) 20 × × × × 25 × ○ ○ × 30 × ○ ○ × 35 × × × ×
【0089】表1中、○は、酸化珪素が蒸着されない蒸
着不良領域がなく、配向膜異常に起因する液晶分子の配
向乱れがないもの、×は、酸化珪素が蒸着されない蒸着
不良領域があり、配向膜異常に起因する液晶分子の配向
乱れがあったものを示す。
【0090】表1の結果から第一の無機斜方蒸着膜を形
成するときの蒸着角度(1回目の蒸着角度)を2.5度
又は15度としたもの(5度から10度の範囲外とした
もの)は、第二の無機斜方蒸着膜を形成するときの蒸着
角度(2回目の蒸着角度)がいずれの角度であっても、
液晶分子の配向方向が乱れており、配向状態が不良であ
ることがわかる。第二の無機斜方蒸着膜を形成するとき
の蒸着角度(2回目の蒸着角度)を20度又は35度と
したもの(25度から30度の範囲外としたもの)は、
第一の無機斜方蒸着膜を形成するときの蒸着角度(1回
目の蒸着角度)がいずれの角度であっても、液晶分子の
配向方向が乱れており、配向状態が不良であることがわ
かる。
【0091】これに対して第一の無機斜方蒸着膜を形成
するときの蒸着角度(1回目の蒸着角度)を5度から1
0度の範囲とし、しかも、第二の無機斜方蒸着膜を形成
するときの蒸着角度(2回目の蒸着角度)を25度から
30度の範囲とした無機配向膜が備えられた液晶装置
は、液晶分子の配向方向に乱れがなく、配向状態が良好
であることがわかる。
【0092】(実験例2)第1の実施形態で示したTF
T素子と画素電極等が形成され、表面に段差部を有する
TFTアレイ基板の表面に一方向SAから酸化珪素(S
iO)を斜方蒸着して第一の無機斜方蒸着膜を形成する
際、膜厚が2.5nm〜20nmになるように変更し、
次に、上記斜方蒸着方向SAとは方位角方向φが異なる
方向SBから酸化珪素(SiO)を斜方蒸着を行って第
二の無機斜方蒸着膜を形成する際、膜厚が8nm〜45
nmになるように変更した。ここでの斜方蒸着方向SA
は、図2の走査線3aや容量線3bと直交する方向で、
図2の平面図の下側からの方向とし、SiOの蒸着角度
(蒸着方向と基板とのなす角度)θ1 は25度とし
た。また、斜方蒸着方向SBは、図2の走査線3aや容
量線3bに沿った方向で、図2の平面図の右側からの方
向とし、また、SiOの蒸着角度(蒸着方向と基板との
なす角度)θ2を25度とした。ここでの斜方蒸着方向
SB と斜方蒸着方向SAとは、方位角方向φが90度
異なる方向とした。一方、第1の実施形態で示したブラ
ックマトリックス(遮光膜)と対向電極等が形成された
対向基板の表面に一方向SCから酸化珪素(SiO)を
膜厚が10nmになるように斜方蒸着を行って無機斜方
蒸着膜を形成した。ここでの斜方蒸着方向SCの蒸着角
度(蒸着方向と基板とのなす角度)θ3は5度とした。
次に、上記の無機斜方蒸着膜を形成した一方の基板の液
晶層側となる側の面にシール印刷により液晶注入口を残
してシール部を形成し、TFTアレイ基板と対向基板を
貼り合わせ液晶パネルを作製し、液晶注入口からフッ素
系のポジ型の液晶をパネル内に注入し、注入口を封止材
で塞ぐことにより、種々の液晶装置を作製した。このよ
うに作製した種々の液晶装置の液晶分子の配向状態につ
いて調べた。その結果を表2に示す。
【0093】 「表2」 第一の無機斜方蒸着膜の膜厚(nm)2.5 5 10 16 20 第一の無機斜方蒸着膜の膜厚(nm) 8 × L L L L 10 S ○ ○ ○ L 40 S ○ ○ ○ L 45 S S S S S
【0094】表2中、Lは液晶分子の平均プレティルト
角が3度未満の低プレティルトの不良であるもの、Sは
液晶分子の平均プレティルト角が20度を越えた高プレ
ティルトの不良であるもの、○は、液晶分子の配向乱れ
がなく、平均プレティルト角が5〜15度の範囲内の良
好な配向状態であるもの、×は、液晶分子の配向乱れが
あったものを示す。
【0095】表2の結果から第一の無機斜方蒸着膜を形
成するときの膜厚を2.5nm又は20nmとしたもの
(5nmから16nmの範囲外としたもの)は、第二の
無機斜方蒸着膜を形成するときの膜厚がいずれの膜厚で
あっても、液晶分子が低プレティルトあるいは高いプレ
ティルトあるいは液晶分子の配向方向が乱れており、配
向状態が不良であることがわかる。第二の無機斜方蒸着
膜を形成するときの膜厚を8nm又は45nmとしたも
の(10nmから40nmの範囲外としたもの)は、第
一の無機斜方蒸着膜を形成するときの膜厚がいずれの膜
厚であっても、液晶分子が低プレティルトあるいは高い
プレティルトあるいは液晶分子の配向方向が乱れてお
り、配向状態が不良であることがわかる。
【0096】これに対して第一の無機斜方蒸着膜を形成
するときの膜厚を5nmから16nmの範囲とし、しか
も、第二の無機斜方蒸着膜を形成するときの膜厚を10
nmから40nmの範囲とした無機配向膜が備えられた
液晶装置は、液晶分子の配向乱れがなく、平均プレティ
ルト角が5〜10度の範囲内の良好な配向状態であるこ
とがわかる。
【0097】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
液晶装置によれば、上記段差部を有する下地層上に形成
された無機配向膜が、傾斜した無機材料の柱状構造物か
ら形成された第一の無機斜方蒸着膜と、第一の無機斜方
蒸着膜の柱状構造物の傾斜方向とは無機材料の柱状構造
物の傾斜方向が少なくとも方位角方向が異なる第二の無
機斜方蒸着膜とから構成されており、しかも上記の第二
の無機斜方蒸着膜は上記段差部の近傍領域に形成されて
いるので、上記段差部の近傍領域に無機材料の蒸着ムラ
や蒸着されない蒸着不良領域が生じるのを低減でき、従
って、画素ピッチが20μm程度以下と微細であって
も、表面に段差部を有する下地層上に形成した無機配向
膜に異常がなく、配向膜異常に起因する液晶の配向不良
を防止でき、コントラストの低下等の表示不良の発生を
防止できる。このような効果は、画素ピッチが15μm
程度以下とさらに微細になっても同様に得られる。そし
て、本液晶装置の採用により、表示品位の高い投射型表
示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態の液晶装置の画像表
示領域を構成するマトリクス状の複数の画素に設けられ
た各種素子、配線等の等価回路を示す図である。
【図2】 同、液晶装置のTFTアレイ基板の相隣接す
る複数の画素群を示す平面図である。
【図3】 図2のA−A’線断面図である。
【図4】 図2のC−C’線断面図である。
【図5】 実施形態の液晶装置の第一の斜方蒸着膜が形
成された部分およびその近傍部分の斜方蒸着方向SAに
沿った断面構造を模式的に示す図である。
【図6】 実施形態の液晶装置の段差部の近傍領域の第
二の斜方蒸着膜が形成された部分及びその近傍部分の斜
方蒸着方向SBに沿った断面構造を模式的に示す図であ
る。
【図7】 同、液晶装置の製造プロセスを順を追って示
す工程図である。
【図8】 同、工程図の続きである。
【図9】 同、工程図の続きである。
【図10】 同、工程図の続きである。
【図11】 同、工程図の続きである。
【図12】 同、工程図の続きである。
【図13】 各実施形態の液晶装置のTFTアレイ基板
をその上に形成された各構成要素とともに対向基板の側
から見た平面図である。
【図14】 図13のH−H’断面図である。
【図15】 液晶装置を用いた電子機器の一例である投
射型表示装置の概略構成図である。
【図16】 酸化珪素の蒸着角度θと、段差の高さΔZ
と、無機斜方蒸着膜が形成されない領域の幅ΔLとの関
係を調べるときの説明図である。
【図17】 酸化珪素の蒸着角度θと、段差の高さΔZ
と、無機斜方蒸着膜が形成されない領域の幅ΔLとの関
係を示す図である。
【図18】 従来の液晶装置の一例を示す断面図であ
る。
【図19】 無機斜方蒸着膜からなる配向膜を形成した
従来の液晶装置用基板の段差部近傍を示す概略図であ
る。
【符号の説明】
3a 走査線 6a データ線 9a 画素電極 10 TFTアレイ基板 20 対向基板 30 画素スイッチング用TFT 36,42 無機配向膜 36a 第一の無機斜方蒸着膜 36b 第二の無機斜方蒸着膜 50a 液晶分子 50 液晶層 80 段差部 80a 段差部の近傍領域 80b 段差部の近傍領域を除いた領域 SA 斜方蒸着方向 SB 斜方蒸着方向 θ1 蒸着角度 θ2 蒸着角度 φ 方位角方向 θp プレティルト角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H088 EA15 HA03 HA10 HA13 HA21 HA23 HA24 HA28 MA18 2H090 HB02Y HB03Y HB08Y MA06 MA11 MB01 MB06 2H092 JA25 JA26 JA34 JA37 JA41 JA46 JB22 JB31 KA05 MA04 NA01 NA04 NA25 NA29 PA02 PA07 PA08 PA09 PA11 PA12 PA13

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに対向する一対の基板間に液晶層が
    挟持されてなり、前記一対の基板の液晶層側の表面に無
    機配向膜がそれぞれ設けられ、これら無機配向膜のうち
    少なくとも一方の無機配向膜の下地層は表面に段差部を
    有するものであり、該段差部を有する下地層上に形成さ
    れた無機配向膜は、第一の無機斜方蒸着膜と、前記段差
    部の近傍領域と前記第一の無機斜方蒸着膜上に形成され
    た第二の無機斜方蒸着膜とからなり、 前記第一と第二の無機斜方蒸着膜はそれぞれ傾斜した無
    機材料の柱状構造物から形成されてなり、前記第一の無
    機斜方蒸着膜を構成する無機材料の柱状構造物の傾斜方
    向と、前記第二の無機斜方蒸着膜を構成する無機材料の
    柱状構造物の傾斜方向とは、少なくとも前記基板の面内
    方向に沿った方位角方向が異なることを特徴とする液晶
    装置。
  2. 【請求項2】 互いに対向する一対の基板間に液晶が挟
    持されてなり、該一対の基板のうちの一方の基板上に、
    マトリクス状に配置された複数の画素電極と、該複数の
    画素電極をそれぞれ駆動する複数のスイッチング手段
    と、該複数のスイッチング手段にそれぞれ接続された複
    数のデータ線および複数の走査線が備えられるととも
    に、該一対の基板のうちの他方の基板上には対向電極が
    備えられ、前記一対の基板の液晶層側の表面に無機配向
    膜がそれぞれ設けられ、これら無機配向膜のうち少なく
    ともスイッチング手段が設けられた基板側の無機配向膜
    の下地層は表面に段差部を有するものであり、該段差部
    を有する下地層上に形成された無機配向膜は、第一の無
    機斜方蒸着膜と、前記段差部の近傍領域と前記第一の無
    機斜方蒸着膜上に形成された第二の無機斜方蒸着膜とか
    らなり、 前記第一と第二の無機斜方蒸着膜はそれぞれ傾斜した無
    機材料の柱状構造物から形成されてなり、前記第一の無
    機斜方蒸着膜を構成する無機材料の柱状構造物傾斜方向
    と、前記第二の無機斜方蒸着膜を構成する無機材料の柱
    状構造物の傾斜方向とは、少なくとも前記基板の面内方
    向に沿った方位角方向が異なることを特徴とする液晶装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の液晶装置におい
    て、前記第一の無機斜方蒸着膜を構成する無機材料の柱
    状構造物の傾斜方向と、前記第二の無機斜方蒸着膜を構
    成する無機材料の柱状構造物の傾斜方向とは、前記方位
    角方向が略90度異なることを特徴とする液晶装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の
    液晶装置において、前記第一の無機斜方蒸着膜の厚みは
    5nm〜16nmの範囲内であり、前記第二の無機斜方
    蒸着膜の厚みは10nm〜40nmの範囲内であること
    を特徴とする液晶装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の
    液晶装置において、前記液晶層の液晶分子の平均プレテ
    ィルト角が5度〜15度の範囲内であることを特徴とす
    る液晶装置。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の
    液晶装置において、前記無機配向膜は、酸化シリコンか
    らなる斜方蒸着膜であることを特徴とする液晶装置。
  7. 【請求項7】 基板上に形成した表面に段差部を有する
    下地層に無機材料を斜方蒸着して無機配向膜を形成する
    液晶装置用基板の製造方法において、 表面に段差部を有する下地層が形成された基板に一方向
    から無機材料を斜方蒸着して第一の無機斜方蒸着膜を形
    成する第一の斜方蒸着工程と、前記第一の斜方蒸着工程
    の無機材料の斜方蒸着方向とは少なくとも前記基板の面
    内方向に沿った方位角方向が異なる方向から無機材料を
    斜方蒸着して前記段差部の近傍領域と前記第一の無機斜
    方蒸着膜上に第二の無機斜方蒸着膜を形成する第二の斜
    方蒸着工程とを有することを特徴とする液晶装置用基板
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記第一の斜方蒸着工程の無機材料の斜
    方蒸着方向と、前記第二の斜方蒸着工程の無機材料の斜
    方蒸着方向とは前記方位角方向が略90度異なるように
    することを特徴とする請求項7記載の液晶装置用基板の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 前記第一の斜方蒸着工程の無機材料の斜
    方蒸着方向の基板からの蒸着角度は5度〜10度の範囲
    内とし、前記第二の斜方蒸着工程の無機材料の斜方蒸着
    方向の基板からの蒸着角度は25度〜30度の範囲内と
    することを特徴とする請求項7又は8に記載の液晶装置
    用基板の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記第一の斜方蒸着工程と第二の斜方
    蒸着工程のうち少なくとも一方の工程において、無機材
    料を斜方蒸着する際、前記下地層の表面に形成された段
    差部の構造または配置位置に応じて斜方蒸着方向を選択
    することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に
    記載の液晶装置用基板の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記第一の斜方蒸着工程において形成
    する無機斜方蒸着の厚みを5nm〜16nmの範囲内と
    し、前記第二の斜方蒸着工程において形成する第二の無
    機斜方蒸着膜の厚みを10nm〜40nmの範囲内とす
    ることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に
    記載の液晶装置用基板の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記無機材料は、酸化シリコンである
    ことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一項に記
    載の液晶装置用基板の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至6のいずれか一項に記載
    の液晶装置を備えた投射型表示装置であって、光源と、
    該光源から出射された光を変調する前記液晶装置と、該
    液晶装置により変調された光を投射面に拡大投影する拡
    大投影光学系とを有することを特徴とする投射型表示装
    置。
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