JP2002277175A - 焼成用容器 - Google Patents

焼成用容器

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JP2002277175A
JP2002277175A JP2001083975A JP2001083975A JP2002277175A JP 2002277175 A JP2002277175 A JP 2002277175A JP 2001083975 A JP2001083975 A JP 2001083975A JP 2001083975 A JP2001083975 A JP 2001083975A JP 2002277175 A JP2002277175 A JP 2002277175A
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metal
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fired
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JP2001083975A
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Hisashi Nobunaga
尚志 延永
Takanobu Oishi
孝信 大石
Kinya Kamata
勤也 鎌田
Kazuo Abe
一雄 阿部
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Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐蝕性を向上した焼成用容器を提供する。 【解決手段】 少なくとも被焼成物7と接触する表面に
直接または他の層を介して耐蝕層5を形成し、耐蝕層5
が、少なくともケイ酸金属塩化合物、アルミン酸金属塩
化合物、及び金属フッ化物のいずれか1つからなる構成
の焼成用容器とする。これにより、耐蝕層がアルカリ金
属元素含有複合酸化物に含まれるアルカリ金属元素の反
応を抑制し、焼成用容器の耐蝕性を向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼成用容器に係
り、特に、アルカリ金属元素含有複合酸化物の焼成に好
適な焼成用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】アルカリ金属元素含有複合酸化物は、リ
チウムイオン電池、排ガス浄化用の触媒、熱電冷却素子
や熱電発電素子、光触媒など様々な用途に利用されてい
る。このようなアルカリ金属元素含有複合酸化物は、例
えばアルミナ質、ムライト質、コーディエライト質など
の耐火物からなる匣鉢つまり焼成用容器の上に積載さ
れ、約500℃〜1200℃の温度で焼成することによ
り製造される。
【0003】ところで、アルカリ金属元素含有複合酸化
物は、アルカリ元素が強い反応性を有することから、腐
蝕性を有する。このため、被焼成物であるアルカリ金属
元素含有複合酸化物と接触する焼成用容器では、焼成用
容器のアルカリ金属元素含有複合酸化物との接触部分で
腐蝕が生じ、その腐蝕の結果、焼成用容器への被焼成物
の付着の発生、焼成用容器の浸食やクラックなどの発
生、さらに、浸食やクラックによって焼成用容器の表面
などが剥離して被焼成物に混入してしまうなどの問題が
生じる場合がある。このようにアルミナ質、ムライト
質、コーディエライト質などの耐火物からなる焼成用容
器は、アルカリ金属元素含有複合酸化物の製造では、繰
り返して使用することには耐えられず、例えば製造バッ
チ毎など、頻繁に焼成用容器を交換しなければならな
い。したがって、焼成用容器の繰り返し使用を可能に
し、また焼成用容器の交換頻度を低減することなどのた
めに、耐蝕性を向上した焼成用容器が望まれている。
【0004】このような問題を解決するアルカリ金属元
素含有複合酸化物の焼成用容器として、耐熱セラミック
製の焼成用容器の表面をアルカリ金属元素含有複合酸化
物の反応を抑制する材料が被覆した焼成用容器が用いら
れている。このような焼成用容器では、アルカリ金属元
素含有複合酸化物による腐蝕を抑制する材料として銀、
酸化マグネシウム、コランダム、チタン酸アルミニウム
が用いられている。また、ステンレスなどの耐熱合金製
の焼成用容器を使用して上記問題を解決することも考え
られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような耐
熱セラミック製の容器の表面を銀、酸化マグネシウム、
コランダム、そしてチタン酸アルミニウムのいずれかで
被覆した焼成用容器でも十分に耐蝕性を向上することは
できない。例えば、酸化マグネシウム、コランダム、そ
してチタン酸アルミニウムを被覆した焼成用容器では、
初期的には十分な耐蝕性が得られるが、繰り返し使用す
るうちに、耐蝕性が低下し、焼成用容器のアルカリ金属
元素含有複合酸化物との接触部分で腐蝕が生じ、焼成用
容器への被焼成物の付着の発生、焼成用容器の浸食やク
ラックなどの発生が起こる。また、銀を被覆した焼成用
容器では、銀の融点である約960.5℃以下の製造条
件では耐蝕性を向上することができるが、銀の融点以上
の焼成温度で製造を行う場合には適用できず、さらに、
銀で被覆することにより焼成用容器のコストが増大して
しまい好ましくない。
【0006】一方、ステンレス製の焼成用容器は、低温
焼成、つまり約600℃よりも低い温度での焼成では耐
蝕性を向上することができるが、約600℃以上の温度
での焼成では耐蝕性を向上することができない。
【0007】本発明の課題は、焼成用容器の耐蝕性を向
上することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の焼成用容器は、
少なくとも被焼成物と接触する表面に直接または他の層
を介して耐蝕層を形成し、この耐蝕層が、少なくともケ
イ酸金属塩化合物、アルミン酸金属塩化合物、及び金属
フッ化物のいずれか1つからなる構成とすることにより
上記課題を解決する。
【0009】さらに、耐蝕層が少なくともケイ酸金属塩
化合物からなり、該ケイ酸金属塩化合物に含まれる金属
元素が、Mn、Co、Zn、Mg、Ca、Sr、Ba、
Li、Na、Kのうちの少なくとも1種である構成とす
る。
【0010】また、耐蝕層が少なくともアルミン酸金属
塩化合物からなり、このアルミン酸金属塩化合物に含ま
れる金属元素が、Mn、Co、Zn、Ca、Sr、B
a、Li、Na、Kのうちの少なくとも1種である構成
とする。
【0011】さらに、耐蝕層が少なくとも金属フッ化物
からなり、この金属フッ化物に含まれる金属元素が、M
g、Ca、Sr、Ba、Al、Sc、Y、La、Ce、
Pr、Nd、Sm、Eu、Li、Na、Kのうちの少な
くとも1種である構成とする。
【0012】このような構成とすれば、焼成用容器の少
なくとも被焼成物と接触する表面に形成された耐蝕層に
よりアルカリ金属元素含有複合酸化物に含まれるアルカ
リ金属元素の反応を抑制でき、焼成用容器の耐蝕性を向
上することができる。
【0013】また、焼成用容器の本体がAl質、
Al−SiO質、及びAl −SiO
MgO質のうちの少なくとも1種からなるか、または主
にAl質、Al−SiO質、及びAl
−SiO−MgO質のうちの少なくとも1種を含
んでいる構成とすれば、十分な熱衝撃抵抗性や熱サイク
ル耐性などを有する、つまり十分な耐熱性を有する焼成
用容器を得ることができるので好ましい。
【0014】また、被焼成物を載せるセッターを有し、
このセッターが、少なくともケイ酸金属塩化合物、アル
ミン酸金属塩化合物、及び金属フッ化物のいずれか1つ
で形成された構成とする。さらに、被焼成物を載せるセ
ッターを有し、このセッターが、少なくとも被焼成物と
接触する表面に直接または他の層を介して耐蝕層を形成
し、この耐蝕層が、少なくともケイ酸金属塩化合物、ア
ルミン酸金属塩化合物、及び金属フッ化物のいずれか1
つで形成された構成とする。このような構成にすれば、
セッターを用いる焼成用容器の場合に、セッターの耐蝕
性を向上することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用してなる焼成
用容器の一実施形態について図1を参照して説明する。
図1は、本発明を適用してなる焼成用容器の一部分の拡
大断面図である。
【0016】本実施形態の焼成用容器1は、図1に示す
ように、焼成用容器1の本体3の表面を耐蝕層5で覆っ
たものである。したがって、耐蝕層5の上にアルカリ金
属元素含有複合酸化物7が載せられてアルカリ金属元素
含有複合酸化物7の焼成が行われる。焼成用容器1の本
体3は、Al質、Al−SiO質、Al
−SiO−MgO質のうちの少なくとも1種で
形成する。これらに含まれる代表的な材料としては、ア
ルミナ、ムライト、アンダルサイト、コーディエライト
などが挙げられる。これにより、十分な熱衝撃抵抗性や
熱サイクル耐性などを有する、つまり十分な耐熱性を有
する焼成用容器を形成することができる。また、本体3
は、耐蝕層5との反応性や熱膨張係数の差などを考慮し
て、焼成用容器を形成する材料として、Al質、
Al−SiO質、Al−SiO−Mg
O質のうちの少なくとも1種に加えて、MgAl2O
4、MgO、SiO2、B2O3などを適宜添加した構
成とすることもできる。
【0017】耐蝕層5は、ケイ酸金属塩化合物、アルミ
ン酸塩金属化合物、そして金属フッ化物のいずれか1つ
で形成されている。ケイ酸金属塩化合物としては、フィ
ロケイ酸塩、メタケイ酸塩、オルトケイ酸塩などがあ
り、このようなケイ酸金属塩に含まれる金属元素は、M
n、Co、Zn、Mg、Ca、Sr、Ba、Li、N
a、Kのうちの少なくとも1種である。ケイ酸金属塩化
合物の代表的なものとしては、MnSiO、Mn
iO、CoSiO、ZnSiO、MgSiO
、MgSiO、CaSiO、CaSiO
CaSiO、CaSi、SrSiO、S
SiO、BaSiO、BaSiO 、BaS
、BaSiO、LiSiO、Na
iO、KSiOなどが挙げられ、ケイ酸金属塩化
合物の耐蝕層5は、上記のケイ酸金属塩化合物の1つま
たは2つ以上で形成されている。
【0018】アルミン酸塩金属化合物としては、メタア
ルミン酸塩、オルトアルミン酸塩などがあり、このよう
なアルミン酸金属塩に含まれる金属元素は、Mn、C
o、Zn、Ca、Sr、Ba、Li、Na、Kのうちの
少なくとも1種である。アルミン酸塩金属化合物の代表
的なものとしては、MnAl、CoAl
ZnAl、CaAl、CaAl
CaAl、Ca 12Al1435、SrAl
、BaAl、BaAl、LiAl
、NaAlO、KAlOなどが挙げられ、アル
ミン酸塩金属化合物の耐蝕層5は、上記のアルミン酸塩
金属化合物の1つまたは2つ以上で形成されている。
【0019】金属フッ化物に含まれる金属元素は、M
g、Ca、Sr、Ba、Al、Sc、Y、La、Ce、
Pr、Nd、Sm、Eu、Li、Na、Kのうちの少な
くとも1種である。金属フッ化物の代表的なものとして
は、MgF、CaF、SrF、BaF、AlF
、ScF、YF、LaF、CeF、Pr
、NdF、SmF、EuF、LiF、Na
F、KFなどが挙げられ、金属フッ化物の耐蝕層5は、
上記の金属フッ化物の1つまたは2つ以上で形成されて
いる。
【0020】また、耐蝕層5は、本体3との反応性や熱
膨張係数の差などを考慮して、ケイ酸金属塩化合物、ア
ルミン酸塩金属化合物、そして金属フッ化物のいずれか
1つと、SiOやBなどとを適宜含んだ構成に
することもできる。さらに、本体3と耐蝕層5との間に
中間層を設けた構成にすることもできる。中間層は、十
分な耐熱性を有する材料で形成するのが好ましく、さら
に、焼成用容器1の本体3の熱膨張係数と耐蝕層5の熱
膨張係数に対する差ができるだけ少ない熱膨張係数を有
する材料で形成することが好ましい。
【0021】耐蝕層5は、本体3の表面に塗布、溶射、
または蒸着によって膜状または層状に形成されている。
塗布によって耐蝕層5を形成する場合には、耐蝕層5の
原料、すなわちケイ酸金属塩化合物、アルミン酸塩金属
化合物、そして金属フッ化物のいずれか1つ、またはケ
イ酸金属塩化合物、アルミン酸塩金属化合物、そして金
属フッ化物のいずれか1つを主成分としてSiOやB
などとを適宜含んだものを水溶媒または有機溶媒
中に分散させ、これをコーティング液とする。このコー
ティング液をスプレーや刷毛などで本体3の表面に塗布
し、乾燥した後、熱処理することで耐蝕層5が形成され
る。このとき、原料としては、ケイ酸金属塩化合物やア
ルミン酸塩金属化合物自体を用いることもできるし、ケ
イ酸金属塩化合物やアルミン酸塩金属化合物の前駆材料
を用いることができる。
【0022】耐蝕層5の原料として前駆材料を用いる場
合、例えばケイ酸金属塩化合物であるSrSiOの耐
蝕層5を形成するとき、Srに対してSrO、SrCO
などが、Siに対してSiO、メチルシリケートな
どが前駆材料となる。また、例えばアルミン酸塩金属化
合物であるSrAlの耐蝕層5を形成するとき、
Srに対してSrO、SrCOなどが、Alに対して
Al、アルミニウムトリn−ブトキシドなどが前
駆材料となる。前駆材料としては、様々な材料を用いる
ことができ、熱処理後、最終的に目的の化合物を主成分
とする耐蝕層を形成できればよい。例えば、熱処理後、
最終的にSrSiOまたはSrAlを主成分と
する耐蝕層を形成できれば、上に例示した材料に限ら
ず、様々な材料を用いることができる。
【0023】蒸着によって耐蝕層5を形成する方法に
は、スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法
などが含まれる。
【0024】耐蝕層5の厚みは、耐久性の観点から、1
0μm以上300μm以下であることが好ましい。耐蝕
層5の厚みが10μm未満では、アルカリ金属元素によ
って比較的短い時間で浸食されてしまう場合があるため
好ましくない。また、耐蝕層5の厚みが300μmを超
えると、焼成用容器の本体3と耐蝕層5との間の熱膨張
率の差により、耐蝕層5でクラックや剥離などの損傷が
発生する場合があるため好ましくない。
【0025】また、本実施形態では、焼成用容器1の本
体3の表面を耐蝕層5で覆っているが、耐蝕層5は、本
体3の少なくともアルカリ金属元素含有複合酸化物と接
触する部分を覆っていればよい。
【0026】また、本実施形態では、焼成用容器1の本
体3の表面に耐蝕層5を形成した構成を示しているが、
セッターを用い、焼成用容器1表面に載せたセッター上
にアルカリ金属元素含有複合酸化物を置いて焼成を行う
場合には、セッターをケイ酸金属塩化合物、アルミン酸
塩金属化合物、そして金属フッ化物のいずれか1つで形
成した構成、またはケイ酸金属塩化合物、アルミン酸塩
金属化合物、そして金属フッ化物のいずれか1つを主に
含む構成とする。さらに、このとき、セッターの表面に
ケイ酸金属塩化合物、アルミン酸塩金属化合物、そして
金属フッ化物のいずれか1つで形成するか、またはケイ
酸金属塩化合物、アルミン酸塩金属化合物、そして金属
フッ化物のいずれか1つを主に含む耐蝕層を形成した構
成とすることもできる。
【0027】
【実施例】(第1の実施例)以下、ケイ酸金属塩化合物
で耐蝕層を形成した第1の実施例について説明する。な
お、本実施例では、本発明を適用した実施例1〜7まで
の構成の試験片と、本発明を適用していない比較例1〜
7までの構成の試験片とを作成し、それらの試験片を用
いて耐蝕性の試験を行った。焼成用容器の本体に相当す
る試験片の本体は、大きさが幅50mm×奥行き50m
m×厚み10mmであり、下記のA、B、Cのいずれか
の組成となっている。
【0028】 A:アルミナ/コーディエライト/ムライト=16/1
8/66(wt%) B:アルミナ/ムライト=10/90(wt%) C:マグネシア 耐蝕層は、MgSiO、SrSiO、Co
iO、BaSiO 、LiSiO、ZrSiO
の6種のケイ酸金属塩化合物、またはAlTiO
のいずれかで形成した。これらの耐蝕層は、上記Aまた
はBの組成の本体表面に塗布または溶射によって形成し
た。実施例3と比較例7では、溶射により耐蝕層を形成
しており、平均粒径が40μmのMgSiOを溶射
被膜材とし、大気雰囲気でプラズマ溶射することにより
耐蝕層を形成した。その他の実施例と比較例では、塗布
によって耐蝕層を形成しており、平均粒径が1μm〜4
0μmのケイ酸金属塩化合物粒子またはAlTiO
を蒸留水に分散させてコーティング液とし、このコーテ
ィング液をスプレー塗装によって試験片の本体表面に塗
布し、乾燥後、空気中において1300℃で5時間熱処
理して耐蝕層を形成した。
【0029】このようにして得られた各試験片に対し
て、LiCoOの焼成により耐食性試験を実施した。
被焼成物としてLiとCoとをモル比で
3:2で混合した粉体を、内径φ24のパイプ状の型を
使用して4gを各試験片の上に載せ、空気中において1
000℃で10時間加熱した。加熱終了後、室温まで冷
却し、室温にて凝塊化した被焼成物を試験片から除去し
た。このとき、被焼成物の試験片との付着の状況、そし
て被焼成物への試験片からの剥離物の付着の状況を目視
により検査した。その後、再度被焼成物を試験片の上に
載せ、上記の焼成条件で繰り返し20回焼成を行い、各
焼成毎に被焼成物の試験片との付着、そして被焼成物へ
の試験片からの剥離物の付着の発生回数を計数した。ま
た、付着や剥離が少ない試験片については、上記の焼成
条件で50回まで繰り返し焼成を行った後、付着や剥離
を検査した。この試験の結果を表1に示す。
【0030】
【表1】 表1に示すように、実施例1〜7の試験片、すなわちA
またはBの組成の本体にMgSiO、SrSiO
、CoSiO、BaSiO、またはLi
iOの耐蝕層を形成した試験片では、20回の焼成の
繰り返しにおいて被焼成物の試験片への付着が実施例
1、2、7で1、2回見られたのみであり、十分な耐蝕
性が得られている。さらに、50回の焼成の繰り返しに
おいても被焼成物の試験片への付着や試験片の剥離はほ
とんど見られず、本発明を適用した実施例1〜7の試験
片では、耐蝕性が向上されていることを示している。
【0031】これに対し、比較例1〜3の耐蝕層を形成
していない試験片では、被焼成物の試験片への付着や試
験片の剥離が多く発生している。比較例4の耐蝕層を金
属元素としてZrを含むケイ酸金属塩化合物、つまりZ
rSiOで形成した試験片では、試験片の剥離が多く
発生しており、耐蝕性を向上することはできない。比較
例5の耐蝕層をケイ酸金属塩化合物でないAlTiO
で形成した試験片でも、被焼成物の試験片の剥離が多
く発生しており、耐蝕性を向上することはできない。比
較例6は、実施例1、3と同様に、Aの組成の本体にM
SiOの耐蝕層を形成した試験片であるが、耐蝕
層の厚みが5μmと薄過ぎるため、被焼成物の試験片の
剥離が多く発生し、耐蝕性を向上することはできない。
また、比較例7も、実施例1、3と同様に、Aの組成の
本体にMgSiOの耐蝕層を形成した試験片である
が、耐蝕層の厚みが347μmと厚過ぎるため、耐蝕層
にクラックが発生し、さらに耐蝕層が膨れて剥離してし
まい、焼成回数6回で試験を中止した。
【0032】このように、アルカリ金属元素含有複合酸
化物の焼成用容器の被焼成物と接触する表面に少なくと
もケイ酸金属塩化合物からなる耐蝕層を形成すれば、焼
成用容器の耐蝕性を向上できる。
【0033】(第2の実施例)以下、アルミン酸金属塩
化合物で耐蝕層を形成した第2の実施例について説明す
る。なお、本実施例では、第1の実施例と同じ構成や試
験方法に関しては説明を省略し、第1の実施例と異なる
点について記載する。
【0034】本実施例では、本発明を適用した実施例8
〜13までの構成の試験片と、本発明を適用していない
比較例8〜14までの構成の試験片とを作成し、それら
の試験片を用いて耐蝕性の試験を行った。焼成用容器の
本体に相当する試験片の本体の大きさや組成は、第1の
実施例と同じである。
【0035】耐蝕層は、SrAl、BaAl
、BaAl、LiAlO 、MgAl
の5種のアルミン酸金属塩化合物、またはAlTiO
のいずれかで形成した。これらの耐蝕層は、Aまたは
Bの組成の本体表面に塗布または溶射によって形成し
た。実施例13と比較例14では、溶射により耐蝕層を
形成しており、平均粒径が40μmのSrAl
溶射被膜材とし、大気雰囲気でプラズマ溶射することに
より耐蝕層を形成した。その他の実施例と比較例では、
塗布によって耐蝕層を形成しており、平均粒径が1μm
〜40μmのアルミン酸金属塩化合物またはAlTi
粒子を蒸留水に分散させてコーティング液とした以
外第1の実施例と同様にして耐蝕層を形成した。なお、
実施例12では、試験片上に主としてCoSiO
らなる中間層と、この中間層の上に積層された主として
LiAlOからなる耐蝕層との2層を上記の塗布によ
る方法で形成した。
【0036】各試験片の耐蝕性の試験方法は第1の実施
例と同じであり、この試験の結果を表2に示す。
【0037】
【表2】 表2に示すように、実施例8〜13の試験片、すなわち
AまたはBの組成の本体にSrAl、BaAl
、BaAl、またはLiAlOの耐蝕層
を形成した試験片では、20回の焼成の繰り返しにおい
て被焼成物の試験片への付着または試験片の剥離が実施
例8、12、13で1〜3回見られたのみであり、十分
な耐蝕性が得られている。さらに、50回の焼成の繰り
返しにおいても被焼成物の試験片への付着や試験片の剥
離はほとんど見られず、本発明を適用した実施例8〜1
3の試験片では、耐蝕性が向上されていることを示して
いる。
【0038】これに対し、比較例8〜10の耐蝕層を形
成していない試験片では、被焼成物の試験片への付着や
試験片の剥離が多く発生している。比較例11の耐蝕層
を金属元素としてMgを含むアルミン酸金属塩化合物、
つまりMgAlで形成した試験片では、被焼成物
の試験片への付着や試験片の剥離が多く発生しており、
耐蝕性を向上することはできない。比較例12の耐蝕層
をアルミン酸金属塩化合物でないAlTiOで形成
した試験片でも、被焼成物の試験片の剥離が多く発生し
ており、耐蝕性を向上することはできない。比較例13
は、実施例8、13と同様に、Aの組成の本体にSrA
の耐蝕層を形成した試験片であるが、耐蝕層の
厚みが6μmと薄過ぎるため、被焼成物の試験片の剥離
が多く発生し、耐蝕性を向上することはできない。ま
た、比較例14も、実施例8、13と同様に、Aの組成
の本体にSrAlの耐蝕層を形成した試験片であ
るが、耐蝕層の厚みが363μmと厚過ぎるため、耐蝕
層にクラックが発生し、さらに耐蝕層が膨れて剥離して
しまい、焼成回数9回で試験を中止した。
【0039】このように、アルカリ金属元素含有複合酸
化物の焼成用容器の被焼成物と接触する表面に少なくと
もアルミン酸金属塩化合物からなる耐蝕層を形成すれ
ば、焼成用容器の耐蝕性を向上できる。
【0040】さらに、実施例12の試験片のように、焼
成用容器の本体の表面に中間層を形成し、この中間層の
上に耐蝕層を形成する構成にすることでも耐蝕性を向上
することができる。
【0041】(第3の実施例)以下、金属フッ化物で耐
蝕層を形成した第3の実施例について説明する。なお、
本実施例では、第1及び第2の実施例と同じ構成や試験
方法に関しては説明を省略し、第1及び第2の実施例と
異なる点について記載する。
【0042】本実施例では、本発明を適用した実施例1
4〜18までの構成の試験片と、本発明を適用していな
い比較例15〜20までの構成の試験片とを作成し、そ
れらの試験片を用いて耐蝕性の試験を行った。焼成用容
器の本体に相当する試験片の本体の大きさや組成は、第
1及び第2の実施例と同じである。
【0043】耐蝕層は、CaF、SrF、CeF
の3種の金属フッ化物、またはAl TiOのいずれ
かで形成した。これらの耐蝕層は、AまたはBの組成の
本体表面に塗布または溶射によって形成した。実施例1
6、比較例19では、塗布によって耐蝕層を形成してお
り、平均粒径が1μm〜40μmの金属フッ化物である
CeF粒子を蒸留水に分散させてコーティング液と
し、このコーティング液をスプレー塗装によって試験片
の本体表面に塗布し、乾燥後、空気中において1100
℃で5時間熱処理して耐蝕層を形成した。比較例18で
は、AlTiO 粒子を蒸留水に分散させてコーティ
ング液とし、このコーティング液をスプレー塗装によっ
て試験片の本体表面に塗布し、乾燥後、空気中において
1300℃で5時間熱処理して耐蝕層を形成した。その
他の実施例と比較例では、溶射により耐蝕層を形成して
おり、平均粒径が40μmの金属フッ化物を溶射被膜材
とし、大気雰囲気でプラズマ溶射することにより耐蝕層
を形成した。
【0044】各試験片の耐蝕性の試験方法は第1及び第
2の実施例と同じであり、この試験の結果を表3に示
す。
【0045】
【表3】 表3に示すように、実施例14〜18の試験片、すなわ
ちAまたはBの組成の本体にCaF、SrF、また
はCeFの耐蝕層を形成した試験片では、20回の焼
成の繰り返しにおいて被焼成物の試験片への付着が実施
例17で2回見られたのみであり、十分な耐蝕性が得ら
れている。さらに、50回の焼成の繰り返しにおいても
被焼成物の試験片への付着や試験片の剥離はほとんど見
られず、本発明を適用した実施例14〜18の試験片で
は、耐蝕性が向上されていることを示している。
【0046】これに対し、比較例15〜17の耐蝕層を
形成していない試験片では、被焼成物の試験片への付着
や試験片の剥離が多く発生している。比較例18の耐蝕
層を金属フッ化物でないAlTiOで形成した試験
片では、被焼成物の試験片の剥離が多く発生しており、
耐蝕性を向上することはできない。比較例19は、実施
例14、16と同様に、Aの組成の本体にCeFの耐
蝕層を形成した試験片であるが、耐蝕層の厚みが5μm
と薄過ぎるため、被焼成物の試験片の剥離が多く発生
し、耐蝕性を向上することはできない。また、比較例2
0も、実施例14、16と同様に、Aの組成の本体にC
eFの耐蝕層を形成した試験片であるが、耐蝕層の厚
みが355μmと厚過ぎるため、耐蝕層にクラックが発
生し、さらに耐蝕層が膨れて剥離してしまい、焼成回数
15回で試験を中止した。
【0047】このように、アルカリ金属元素含有複合酸
化物の焼成用容器の被焼成物と接触する表面に少なくと
も金属フッ化物からなる耐蝕層を形成すれば、焼成用容
器の耐蝕性を向上できる。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、焼成用容器の耐蝕性を
向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなる焼成用容器の一実施形態
の一部分を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
1 焼成用容器 3 本体 5 耐蝕層 7 アルカリ金属元素含有複合酸化物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鎌田 勤也 岡山県玉野市玉3丁目1番1号 三井造船 株式会社玉野事業所内 (72)発明者 阿部 一雄 東京都中央区築地5丁目6番4号 三井造 船株式会社内 Fターム(参考) 4K055 AA08 HA02 HA21 HA25 HA27

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも被焼成物と接触する表面に直
    接または他の層を介して耐蝕層を形成し、該耐蝕層が、
    少なくともケイ酸金属塩化合物、アルミン酸金属塩化合
    物、及び金属フッ化物のいずれか1つからなる焼成用容
    器。
  2. 【請求項2】 前記耐蝕層が少なくともケイ酸金属塩化
    合物からなり、該ケイ酸金属塩化合物に含まれる金属元
    素が、Mn、Co、Zn、Mg、Ca、Sr、Ba、L
    i、Na、Kのうちの少なくとも1種であることを特徴
    とする請求項1に記載の焼成用容器。
  3. 【請求項3】 前記耐蝕層が少なくともアルミン酸金属
    塩化合物からなり、該アルミン酸金属塩化合物に含まれ
    る金属元素が、Mn、Co、Zn、Ca、Sr、Ba、
    Li、Na、Kのうちの少なくとも1種であることを特
    徴とする請求項1に記載の焼成用容器。
  4. 【請求項4】 前記耐蝕層が少なくとも金属フッ化物か
    らなり、該金属フッ化物に含まれる金属元素が、Mg、
    Ca、Sr、Ba、Al、Sc、Y、La、Ce、P
    r、Nd、Sm、Eu、Li、Na、Kのうちの少なく
    とも1種であることを特徴とする請求項1に記載の焼成
    用容器。
  5. 【請求項5】 焼成用容器の本体が焼成用容器の本体が
    Al質、Al −SiO質、及びAl
    −SiO−MgO質のうちの少なくとも1種からな
    るか、または主にAl質、Al−SiO
    質、及びAl −SiO−MgO質のうちの少な
    くとも1種を含んでいることを特徴とする請求項1乃至
    4のいずれか1項に記載の焼成用容器。
  6. 【請求項6】 被焼成物を載せるセッターを有し、該セ
    ッターが、少なくともケイ酸金属塩化合物、アルミン酸
    金属塩化合物、及び金属フッ化物のいずれか1つで形成
    された焼成用容器。
  7. 【請求項7】 被焼成物を載せるセッターを有し、該セ
    ッターが、少なくとも被焼成物と接触する表面に直接ま
    たは他の層を介して耐蝕層を形成し、該耐蝕層が、少な
    くともケイ酸金属塩化合物、アルミン酸金属塩化合物、
    及び金属フッ化物のいずれか1つで形成された焼成用容
    器。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007051031A (ja) * 2005-08-18 2007-03-01 Ngk Insulators Ltd 耐食性部材及びその製造方法
CN109467422A (zh) * 2018-04-20 2019-03-15 湖南德景源科技有限公司 一种锂电专用高循环特种陶瓷坩埚及其制备方法
JP2019163877A (ja) * 2018-03-19 2019-09-26 日本碍子株式会社 焼成用セッター

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