JP2002275291A - プリプレグ及び積層板の製造方法 - Google Patents

プリプレグ及び積層板の製造方法

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JP2002275291A
JP2002275291A JP2001077508A JP2001077508A JP2002275291A JP 2002275291 A JP2002275291 A JP 2002275291A JP 2001077508 A JP2001077508 A JP 2001077508A JP 2001077508 A JP2001077508 A JP 2001077508A JP 2002275291 A JP2002275291 A JP 2002275291A
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Kido Murakawa
喜堂 村川
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大気汚染が無く、省資源化することができ、
品質上も安定で良好な積層板を低コストで得ること。 【解決手段】 湿式、高圧の微粒・分散化装置を用いて
得られた微粒子状熱硬化性樹脂を必須成分とする高濃度
のスラリーをシート状繊維基材の少なくとも表面に存在
させることを特徴とするプリプレグの製造方法、及びこ
のプリプレグを、1枚又は複数枚重ね合わせ、加熱加圧
することを特徴とする積層板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプリプレグ及び積層
板の製造方法、特に電気機器、電子機器、通信機器等に
使用される印刷回路板用として好適なプリプレグ及び積
層板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プリント回路板については小型化、高機
能化の要求が強くなる反面、価格競争が激しく、特にプ
リント回路板に用いられる多層積層板やガラス布基材エ
ポキシ樹脂積層板、あるいはガラス不織布を中間層基材
としガラス織布を表面層基材とした積層板は、いずれも
価格の低減が大きな課題となっている。従来これらに用
いられるプリプレグや積層板の製造工程では、多量の溶
剤が用いられてきた。これは、樹脂ワニスの調製が容易
で、基材への樹脂の塗布・含浸が均一で容易なためであ
る。この溶剤は塗布後の乾燥工程で蒸発して製品中に存
在せず、多くは、燃焼装置等で処理され、あるいはその
まま大気中に放出されてきた。この為地球温暖化や大気
汚染の一因となることが指摘されるようになってきた。
一方では、溶剤使用量の削減が種々検討されているが、
基材への樹脂塗布・含浸などの製造上の問題からこの削
減は困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】溶剤を使用しないプリ
プレグ及び積層板の製造のために、低融点の樹脂や液状
の樹脂を加熱混合して均一化して基材へ塗布する研究
(ホットメルト方式)が以前からなされているが、均一
混合が十分に出来ない、連続生産時加熱温度の低下によ
る設備への樹脂固結、加熱中の熱硬化性樹脂のゲル化、
これによる設備の掃除等の問題があり、連続的な生産が
困難であった。
【0004】一方粉末状樹脂をそのまま塗布する方法も
提案されている。粒子径数十〜数百μmの粉末を用いた
場合には均一な混合及び塗布が困難であった。そのため
部分的な硬化が生じたり、基材への含浸が不十分である
などの問題があり、実用化には至っていない。周知の通
り、粒子径が小さいほど均一分散は容易である。粒子径
が1/10になれば、比表面積は10倍となり、樹脂と
硬化剤の接触点が増加するため硬化反応の均一化が期待
されるが、乾式の粉砕方法では平均粒子径10μm以下
の微粒化物を量産規模で得る事は実用上困難であった。
【0005】そこで、水中に粉末状樹脂混合物を分散さ
せる事で、基材への含浸を向上させる試みも行なわれた
が、平均粒子径150μmの粗粉を用いた場合の重力に
よる沈降速度は極めて速く、攪拌等の補助を得ても分散
状態を保つことは難しく、流動性を維持できる固形分濃
度も55wt%が上限であり、従来の溶剤を用いた場合
と比較して、加熱含浸時水を蒸発除去するために2倍以
上の熱量が必要となった。また平均粒子径150μmの
粗粉では基材の繊維間への侵入は物理的に困難である等
の多くの問題が残された。
【0006】なお、水を用いた場合には蒸発除去するた
めに溶剤と比較してより多くの熱量が必要な事は言うま
でもない。水は従来用いられていた一般的な溶剤と比較
して、沸点での比熱が2倍以上(水:1.01 Kcal/k
g、アセトン:0.31 Kcal/kg)であり、蒸発熱は実
に4倍以上(水:586Kcal/kg、アセトン:120Kca
l/kg)である。従って、加熱含浸におけるエネルギーコ
ストの増加と設備の大型化がこれまで水ワニス及びスラ
リー検討に消極的な理由の一つでもあった。
【0007】一方、水性ワニスについての研究も種々な
されているが、低分子量の液状樹脂を乳化分散させたO
/W型エマルジョン化、あるいは水性塗料に代表される
ような水に可溶な樹脂を用いた場合には、基材への含浸
性は溶剤を用いた場合と同等であるが、その他積層板と
して要求される電気特性・機械特性等を満足する事が困
難であり、更に極めて限定された原材料から選択せざる
を得ず、溶剤を用いた場合と比較してコスト高になるこ
とが常であった。
【0008】そこで本発明は、無溶剤化を実現するため
に、これまでなされてきたホットメルト、粗粉体、粗粉
スラリー、水性樹脂等の種々の研究を基に、これらの利
点を併せ、欠点を克服する方法として新たに提案された
ものである。即ち、従来製造が困難であった溶剤を使用
しない樹脂によるプリプレグ及びこのプリプレグを使用
した積層板を得んとして研究した結果、平均粒子径10
μm以下の微粒子状熱硬化性樹脂混合物を水に均一分散
させたスラリーを基材含浸時に使用することで、基材へ
の含浸性が従来の溶剤を使用した樹脂の場合と同等であ
るとの知見を得たためであり、高圧湿式での高速粉砕処
理により10μm以下の微粒化物が容易に大量生産可能
である事が見出されたためでもある。またこれまでの溶
剤ワニスに用いられてきた水に不溶な樹脂組成物をその
まま使用できるため、積層板としての特性を維持するこ
とが容易であり、微粒化による高濃度化とそれに伴う加
熱含浸時のエネルギー節約が可能であるとの知見が得ら
れたためでもある。更にこの知見に基づき種々研究を進
めて本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1) 微粒
子状熱硬化性樹脂を必須成分としてなる樹脂混合物を水
に均一分散させて得られたスラリーを、シート状繊維基
材の少なくとも表面に存在させることを特徴とするプリ
プレグの製造方法、(2) 微粒子状熱硬化性樹脂が、
高圧ホモジナイザーにより微粒・分散化して得られる微
粒子状熱硬化性樹脂である(1)記載のプリプレグの製
造方法、(3) 微粒子状熱硬化性樹脂を必須成分とし
てなる樹脂混合物が、平均粒子径10μm以下の樹脂混
合物である(1)又は(2)記載のプリプレグの製造方
法、(4) 樹脂混合物をシート状繊維基材の繊維内部
へ機械的に圧入含浸させることを特徴とする(1)
(2)又は(3)記載のプリプレグの製造方法、(5)
(1)(2)(3)又は(4)記載の方法により得ら
れたプリプレグを1枚又は複数枚重ね合わせ、加熱加圧
することを特徴とする積層板の製造方法、(6)
(1)(2)(3)又は(4)記載の方法により得られ
たプリプレグを1枚又は複数枚と、1枚又は複数枚の金
属箔とを重ね合わせ、加熱加圧することを特徴とする金
属箔張積層板の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において用いられる微粒子
状熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂など
から必要に応じて選択された熱硬化性樹脂を微粒子状に
したものである。また、選択された熱硬化性樹脂が硬化
剤を必要とする場合、熱硬化性樹脂と硬化剤の混合物を
微粒子状にして用いることもできる。硬化剤としては、
耐熱性や電気特性の点から、アミン系、特にジシアンジ
アミドと芳香族アミン、テトラメチレンヘキサミン及び
ノボラック樹脂等を好適に用いることができ、硬化促進
剤としては、イミダゾール化合物、第3級アミン等を好
適に用いることができるが、これらの各成分は上記のも
のに限定されるものではない。本発明において用いられ
る基材含浸前の微粒子状熱硬化性樹脂は、平均粒子径1
0μm以下であり、好ましくは6μm以下である。
【0011】これまでに検討がなされてきた乾式での粉
体組成物を用いた積層板の製造方法において、平均粒子
径で100μmを越えると、ワニスの粒子重量に対して
の表面積が小さくなり、熱硬化性樹脂、硬化剤や硬化促
進剤等各成分の互いの接点が少なくなり、均一分散が困
難となるため、反応の目標比率とは異なった比率で反応
したり、均一な反応が行われないおそれがあるとの知見
が得られているが、一般に平均粒子径の小さな粉体原料
を用いた場合ほど均一な分散及び反応が容易となる。本
発明の微粒子状熱硬化性樹脂を必須成分としてなる樹脂
混合物(以下、微粒化物と略す)は平均粒子径で10μ
m以下であり、そうした不均一が解消されるに至った。
【0012】更に微粒化物の平均粒子径で6μm以下で
あれば、水に分散した状態で粒子のミクロブラウン運動
が支配的となり、重力沈降速度の極めて緩やかなコロイ
ド分散系が得られ、スラリーの分散状態を長時間均一に
保つことができる。同時に、濃縮により固形分濃度70
wt%以上の高濃度化が可能となり、加熱含浸時に水を
蒸発除去するための熱量が溶剤を用いた場合とほぼ等し
くなり、従来の加熱乾燥炉で十分に対応することができ
る。
【0013】また、用いる基材の種類により若干の条件
は異なるが平均粒子径10μm以下の微粒化物であれば
例えば、一般的に使用される厚み180μmのガラス
クロスを用いて、コンマコータ−等機械的圧入の補助に
より基材繊維内部への侵入が容易に可能であり、加熱後
含浸良好なプリプレグを得ることができる。逆に平均粒
子径10μmを超えると、粒子の基材繊維間への侵入が
難しく、得られたプリプレグの含浸性が不十分である場
合が見受けられる。
【0014】かかる熱硬化性樹脂混合物を微粒化し、水
に分散したスラリー状で得るための処理装置として、高
圧ホモジナイザーとして一般に知られるものが好適に使
用される。あらかじめ平均粒子径50〜150μmの粗
紛砕された熱硬化性樹脂混合物を水に分散させた被処理
流体を200〜3000kg/cm2、の高圧で高速処
理することで微粒化物を連続的に得る事ができる。かか
る圧力条件は、機種による各種の装置定数や処理する粗
粒の種類、粒径、濃度等から最も効率の良い条件を適宜
決定して用いることができる。
【0015】微粒子状熱硬化性樹脂混合物等の各成分
は、原材料の形状が塊状やビーズ状では高圧絞り部を通
過することができないため、高圧ホモジナイザー処理の
前に、予め、粗粉砕しておく必要がある。高圧ホモジナ
イザーの種類にもよるが、平均粒子径50〜150μm
が好適である。150μm以上では沈降速度が極めて速
いため被処理スラリーの分散状態を均一に保つことが難
しい。一方で敢えて工数をかけ50μ以下まで処理する
必要はない。具体的な粉砕機としては、樹脂組成物を粗
粉砕可能なものであればいかなるものでもよく、例え
ば、ハンマーミル、アトマイザー、ジェットミル等があ
る。
【0016】かかる、処理において、目的とする平均粒
子径を達成するために連続で複数回処理する事ができ
る。初回処理時と、2回目以降処理時で圧力条件、高圧
絞り部の間隙等を必要に応じて任意に調節すればよい。
高圧絞り部の間隙については連続処理での閉塞を避ける
ため、好ましくは被処理粒子の平均粒子径以上であり、
より好ましくは、最大粒子径以上である。圧力条件につ
いては、高いほど粉砕効率の上で有利であるが、同時に
樹脂組成物の熱溶融を引き起こし易くなる。特に被処理
粒子の内、高圧絞り部の間隙よりも粒子径の大きな粒子
が一部でも含まれている場合には、壁面とのせん断摩擦
熱により溶融し、閉塞する傾向が見られるため、微粒化
が進むにつれ、圧力を順次増していくことが粉砕効率と
安定生産のバランスの上で実用上好ましい。
【0017】かかる処理装置には大きく分類すると粉砕
機構の違いから対向衝突型と非衝突型のものがある。高
圧ホモジナイザーの代表例を具体的に例示すると、対向
衝突型のナノマイザー(株)社製の商品名;ナノマイザ
ー、マイクロフルイディスク社製の商品名;マイクロフ
ルイダイザー、スギノマシン社製のアルティマイザー、
日本BEE社製のDEBEE及び非衝突型のAPVラニ
ー社製の商品名ゴーリンホモジナイザーなどを挙げる事
ができる。
【0018】対向衝突型では一旦2つの流路に分岐し加
圧された液を互いに対向して衝突させる。非衝突型に比
較し、微粒化効率が高くエマルションの系では極めて有
効であるが、スラリーにおいては長時間の連続処理を行
なった場合に、対向部で閉塞が発生することがあり実用
上解決すべき問題点がある。しかしながら、複数回の連
続処理を考えた場合には、いずれの方式の装置を用いて
もよく、適宜選択することができる。
【0019】図1は非衝突型のものを示す。プランジャ
ーポンプにより増圧された被処理流体はシート1とバル
ブ2の間を通過しようとする。バルブ2はスプリングに
よりシート1へ押し付けられており、被処理流体は高圧
下で圧縮された後、シート1とバルブ2の間の微細間隙
を超音速域の高速流となって通過し大気中に放出され
る。この圧力降下は数μ秒の瞬間に引き起こされキャビ
テーション効果を発生させる。更に被処理流体と壁面と
の衝突も加わり、高速流により促進される衝撃力やせん
断力により流体中の粒子を破砕し微粒化が進行する。な
お、ここで言うキャビテーション効果とは高圧絞り部で
の高速流において局部的に液温の飽和蒸気圧より低くな
るため、液体の一部が蒸発して無数の気泡を生じ、それ
が流速の減少に伴い崩壊する現象のこと。
【0020】かかる微粒化装置は他の粉砕機と比較して
短時間の処理で微粒化が可能であり、連続式で一様に粉
砕されバラツキが少ない。粉砕媒体を使用しないため金
属異物等の混入が少ない。均一でシャープな粒度分布が
得られる等の点で優れている。また、大量処理にも適応
可能なことなど、工業的に利用するのには適している。
特に本発明の未硬化樹脂のように、脆い固形物について
は、十分な微粒粉砕能力を発揮する。
【0021】特に、本発明のようにスラリーを処理した
場合には、高圧絞り部における耐磨耗性が大きな問題と
されるが、図1に示すシート1やバルブ2については、
ステライト、タングステンカーバイト、セラミック、ダ
イヤモンド等の素材から耐磨耗性とコストのバランスを
考慮して必要に応じて選択することができる。
【0022】高圧ホモジナイザー処理を行うためには、
処理する熱硬化性樹脂の軟化点は、好ましくは50℃以
上、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80
℃以上である。これは、上記処理時に高圧絞り部での温
度上昇及び被処理流体間あるいは被処理流体と壁面との
間で衝撃、せん断摩擦熱による樹脂成分の溶融を防止す
るためである。例えば700kg/cm2の処理で吐出
後室温から約15℃程度の温度上昇が観測され、局所
的、瞬間的にはより高温状態に曝されていることも考え
られ、樹脂の軟化点が高いほど安定する。実際、従来積
層板用途で用いられている熱硬化性樹脂の多くは軟化点
50℃以上であり好適である。更に複数回処理を行なう
場合にはスラリーの蓄熱を防ぎ、高圧部通過後に速やか
に温度を下げるため高圧部及び吐出側をチラ−水等によ
り冷却する事が好ましい。
【0023】高圧ホモジナイザー処理により得られた微
粒化物のスラリーは、基材へ塗布、散布あるいは圧入含
浸される。基材に対する樹脂量の制御や水の蒸発除去に
要する熱量の問題から、そうした場合のスラリーの固形
分濃度としては、50〜80wt%が好ましい。しかし
ながらかかる濃度では被処理流体の流動性が十分に得ら
れず、高圧ホモジナイザー処理が困難な場合がある。な
お、平均粒子径が小さいほど、あるいは固形分の濃度が
高くなる程流動性が低下することは云うまでもない。こ
うした場合には、まず固形分濃度の低い状態(通常5〜
30wt%)で、高圧ホモジナイザー処理を行った後
に、濃縮する事で、濃度を調整する方法が採用できる。
【0024】そうした濃縮方法としては、固形分と水を
分離できる方法であればいかなるものでも良いが、遠心
分離機を用いた固・液分離が生産性、コストの面で最も
好ましい。本発明における微粒化物を分離する方法とし
ては特に、スクリュウデカンタ型の遠心沈降分離機が最
も好適に用いるられる。かかる装置は数μm級の微粒子
であっても容易に固液分離できる。使用条件はスラリー
の濃度、液粘度、固液の比重差、粒子径等により決まり
一概には決められない。例えば、一般的なエポキシ樹脂
の平均粒子径6μmの10wt%のスラリーであれば、
遠心効果2000Gで固形分濃度70wt%の濃縮スラ
リーが得られる。固形分回収率は95wt%以上であ
り、除去した水は再度回収しスラリーの原液としてリサ
イクルすることで実質歩留まり100wt%の処理に供
することができる。その他に遠心分離に限らず、真空蒸
留、ろ過、電気泳動等の濃縮方法を用いてもよい。
【0025】本発明のスラリーには、必要に応じて各種
添加剤を適宜選択して用いる事ができる。高圧ホモジナ
イザー処理時の流動性向上、微粒子状組成物の凝集防
止、散布ないし塗布時の流動性付与、及び加熱溶融時の
流れや表面の滑らかさの改良、基材への樹脂の含浸性向
上等の目的で、様々な、添加剤を加えることができる。
【0026】特に被処理スラリーの流動性を向上し、微
粒化物の凝集を防止するための添加剤としては、一般に
界面活性剤として知られるものが好適に用いられる。具
体例を列挙すると、オレイン酸ナトリウム等に代表され
る脂肪酸塩、アルカンスルホン酸ナトリウム、ジアルキ
ルスルホコハク酸ナトリウム、ジアルキルジフェニルエ
ーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナト
リウム等のスルホン酸塩、アルキル硫酸ナトリウム、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポ
リオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリ
ウム等、の硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、
酸化エチレン重付加型のアルキルフェニルエーテル、ア
ルキルエーテル、ソルビタン酸エステルエーテル、ポリ
オキシプロピレンエーテル、脂肪酸ジエタノールアマイ
ド、多価アルコール脂肪酸エステル系のポリオキシエチ
レンモノステアレート、ポリオキシエチレングリコール
ジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオ
レエート等のノニオン性界面活性剤、アルキルトリメチ
ルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモ
ニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ポリビニ
ルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、水溶性セルロースエーテル、カゼ
イン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド等
の保護コロイドとして作用する各種天然あるいは合成高
分子等を分散剤として単独であるいは混合して使用する
事もできる。またなんら上記のものに限定される事はな
く、これら以外のものでも必要に応じて適宜利用する事
ができる。
【0027】これら添加量については、微粒子状熱硬化
性樹脂混合物の種類、濃度、平均粒子径、使用する添加
剤の種類、使用温度等により変化するため一概には決定
できないが、本来の特性を維持するためにも微粒化物に
対して、0.0001wt%〜10wt%の範囲内にあ
る事が好ましい。
【0028】また、必要により無機充填材を添加するこ
ともできる。無機充填材を加えると耐トラッキング性、
耐熱性、熱膨張率の低下等の特性を付与することが出来
る。かかる無機充填材としては、水酸化アルミニウム、
水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、ウォラ
ストナイト、アルミナ、シリカ、未焼成クレー、焼成ク
レー、硫酸バリウム等がある。これらについても同様に
単独あるいは熱硬化性樹脂との混合物として高圧ホモジ
ナイザーによる処理を行なう事ができるが、無機物につ
いては二次凝集が解砕されるに留まり、一次粒子は粉砕
されない場合が多く、また比重が水より大きいため沈降
し易く、硬いため高圧ホモジナイザーの高圧絞り部の磨
耗が進み易い等の問題点があり、取り扱いに注意を要
す。
【0029】以上のようにして得られた微粒化物のスラ
リーを塗布し、あるいは必要に応じて基材の内部に圧入
する。微粒化物の固形分量は、基材の繊維材質、性状、
重量(単位面積当たり)により異なるが、通常、プリプ
レグ(基材+固形分)とした場合に全体に対して40〜
60wt%程度である。微粒化物を基材に移す方法とし
ては、基材の上面から振りかける方法、スプレーによる
吹き付け法、ナイフコーター、コンマコーター等の各種
コーターによる塗布法等があり、適宜選択することがで
きる。
【0030】基材としては、ガラスクロス、ガラス不繊
布等のガラス繊維基材の他、紙、合成繊維等からなる織
布や不織布、金属繊維、カーボン繊維、鉱物繊維等から
なる織布、不織布、マット類等が挙げられ、これらの基
材の原料繊維は単独又は混合して使用してもよい。
【0031】加熱含浸については、基材表面にのみ微粒
化物が存在する状態で含浸を進めることもできるが、特
に固形分濃度65wt%以上では、スラリーの粘度が8
Pa・s以上と粘調であり加熱溶融のみで含浸性良好な
プリプレグを得ることが困難な場合がある。そこで本発
明においては、先にも述べた通り平均粒子径10μm以
下の微粒化物を用いコンマコータ−等機械的補助により
基材繊維内部へ圧入することで含浸良好なプリプレグを
得ることができる。かかる圧入操作は、基材の種類と厚
み、微粒子状組成物の平均粒子径と濃度により条件が異
なるが、例えば、ガラスクロスであれば厚み180μm
以上の基材を用いる場合には、平均粒子径6μの微粒化
物でコンマコータにより加熱前に圧入する事で、繊維内
ボイドを完全に除去したプリプレグを得る事ができる。
【0032】ここで基材の表面もしくは内部へ移した微
粒化物の濃縮スラリーを加熱することで、水分を蒸発除
去し、樹脂組成物を溶融、基材へ含浸させ、必要により
半硬化状態(Bステージと呼ばれる状態)まで熱を与
え、プリプレグを得ることができる。この加温温度は、
通常、100〜220℃であり、好ましくは120〜1
90℃である。また、必要に応じて本加熱の前に室温〜
160℃、好ましくは室温〜120℃で、風乾、加温又
は加熱工程を設けることにより水の蒸発除去をより確実
に行なうことができる。
【0033】以上のようにして得られたプリプレグは、
溶剤、粉体を用いた場合と同様にして、この1枚又は複
数枚を、必要により銅箔等の金属箔を重ね合わせ、通常
の方法により加熱加圧して積層板又は金属箔張積層板に
成形される。本発明によるプリプレグ及び積層板の製造
方法は、高圧ホモジナイザーを用いた微粉砕・均一分散
を応用し、微粒化物(樹脂、硬化剤等)のスラリーを大
量生産可能とした事によるものであり、かかる技術によ
り、各成分を均一に粉砕・分散し、得られた微粒子状組
成物を基材に存在させ含浸する際に、均一な反応、均一
な含浸を達成することができたものである。これにより
得られたプリプレグあるいは積層板の性能を、従来のも
のと実質的に変えることなく、水の使用により製造が容
易となり、作業者が溶剤の吸引、粉体の皮膚付着等によ
る炎症等起こす事なく、作業性が向上し、溶剤、粉塵爆
発の危険がなく防爆が不要であり、無溶剤による省資源
化、省エネルギー化及び大気汚染の低減化が図られ、さ
らに低コスト化をも達成することができる。
【0034】以下、本発明の方法に関し、代表的な例を
各工程毎に図面に基づいて順次説明する。図2は、本発
明方法の工程の一例を示す概略図である。
【0035】(粗粉砕工程)原材料(粉末状熱硬化性樹
脂、硬化剤、硬化促進剤等)が粉末状でない(塊状、ビ
ーズ状等)場合に高圧ホモジナイザーで処理できる粒子
径まで、あらかじめ粉砕機11で粗粉砕を行なう。
【0036】(スラリーの調整工程)配合、粗分散を行
なう工程である。攪拌ミキサー12に粗粉末原料(樹
脂、硬化剤、硬化促進剤等)をそれぞれ配合必要量投入
し、タンク13より必要に応じて添加剤を投入し、ミキ
サー攪拌しつつタンク14より所定の固形分濃度まで徐
々に水を加えてスラリーを調整する。粗粒の沈降を防止
するため調整後も高圧ホモジナイザー投入まで常時攪拌
を継続する。
【0037】(微粒・分散処理工程)粗粒分散状態の水
ワニスを高圧ホモジナイザー15へ投入し微粒化処理を
行なう。図では1回処理であるが、3回処理を行なう場
合には、3台の高圧ホモジナイザーを設置し、1台目の
吐出部から2台目の投入部、2台目の吐出部から3台目
の投入部へと連結する事で、1台目から3台目までの連
続処理を行なう。その間チラ−水等により配管を冷却す
ることで、連続処理での蓄熱を抑えてもよい。このよう
にして、同様に任意の複数回、連続処理が可能である。
【0038】(濃縮工程)高圧ホモジナイザー処理のた
めの希薄なスラリーを塗布に適した固形分濃度まで濃縮
する。連続型の遠心分離機16を用いて濃縮ワニスと上
澄み液に分離する。濃縮ワニスは貯蔵タンク18へ送ら
れる。長期保存(24h〜)が必要な場合には貯蔵タン
ク18としてタンブラーミキサー等を使用することで、
沈降を防止する。上澄み液は回収用配管17を経てタン
ク13へ送られ再利用される。
【0039】(塗布圧入工程)既に述べたように微粒化
物を基材へ圧入し基材繊維間に組成物の侵入を助ける工
程である。まずスラリー槽20の高濃度に調整されたス
ラリーへ基材19を連続で浸漬し基材の表面及び内部へ
微粒化物を付着させ、その後コンマコータ−21により
圧入する。圧力の変化は対の油圧制御のコンマコータ−
間隙を調整することで行い、図では1回の含浸槽によっ
ているが、圧入後、コンマコーター21の後、更に別の
含浸槽を経て、通常のスクイズロール等により基材表面
の樹脂バランスを整える事もできる。
【0040】(加熱含浸工程)微粒化物を付着ないし圧
入させた基材を加熱装置22により加熱して、水を蒸発
除去、溶融含浸を進め、半硬化状態のプリプレグを得る
工程である。図は熱風と遠赤外線加熱の一般的な竪型乾
燥機であるが、特に限定されるものではない。
【0041】(裁断工程)積層板を成形するために、プ
リプレグ13は裁断機23により必要な長さに裁断され
積載される。プリプレグを連続成形に供する場合はこの
裁断工程は省略される。この場合、巻き取り機が使用さ
れる。
【0042】特に19から23までに通常次のような設
備が伴うが省略してある。基材の巻き出し装置、アキュ
ムレーター、引き込み装置(テンションコントローラ
ー)、静電除去装置、EPCコントロール装置(基材の
蛇行修正)、炉出後の冷却装置、後部アキュムレータ
ー、引き出し装置等。
【0043】
【実施例】次に、本発明の実施例を比較例とともに具体
的に説明する。
【0044】〔実施例1〕(高圧ホモジナイザー処理−
スラリー圧入) 平均粒径80μmの粉末状の(油化シェルエポキシ(株)
製臭素化エポキシ樹脂Ep5048,エポキシ当量67
5)エポキシ樹脂100重量部、平均粒子径15μmの
粉末状の硬化剤(ジシアンジアミド)5重量部、及び平
均粒径15μmの粉末状の硬化促進剤(2−エチル−4
−メチルイミダゾール)1重量部に対して界面活性剤ポ
リオキシエチレンモノステアレート(花王(株)エマノー
ン3199)5重量部を加え、錨羽ね型の撹拌機で回転
数70rpmにて撹拌混合しつつ固形分10に対してイ
オン交換水90を2分間掛け徐々に加えた。その後更に
10分間攪拌し希薄スラリー(固形分10wt%)を得
た。次いで、高圧ホモジナイザー((株)ゴーリン・ラニ
ー社製 R2000)を用い、圧力を増圧しつつ3回の
連続処理を実施した。圧力条件は順に700、120
0、1500kg/cm2で処理を行なった。次に、処
理液を遠心分離機に5000rpmで3分間かけ上澄み
液を除去し、固形分70wt%の濃縮スラリーを作成し
た。これを100g/m2 のガラスクロスの両面に均等
にコンマコーターで塗布し固形分重量114g/m2
し、次いで、170℃の熱風加熱機で3分間加熱してプ
リプレグを得た。このプリプレグを2枚重ね合わせ、さ
らにその上下に厚さ18μmの銅箔を重ね合わせ、温度
165℃、圧力60kg/cm2 で90分間加熱加圧成
形して、厚さ0.22mmの銅張積層板を作製した。
【0045】高圧ホモジナイザー処理により得られた微
粒化物については平均粒子径を測定し、プリプレグにつ
いてはガラスクロスへの樹脂の含浸性を観察し、銅張積
層板については、成形性、引張り強さ、銅箔引剥し強
さ、半田耐熱性を測定した。その結果を表1に示す。以
上の結果より、本発明に従い含浸良好なプリプレグ及び
特性良好な積層板を得ることができた。
【0046】〔実施例2〜4〕実施例1の高圧ホモジナ
イザー処理において、処理回数と処理圧を実施例2では
1回、700kg/cm2、実施例3では2回、順に7
00、1000kg/cm2、実施例4では、3回共に
700kg/cm2とした以外は実施例1と同様にして
濃縮スラリーからプリプレグを経て積層板を製造した。
【0047】以上の結果を表1に示す。高圧ホモジナイ
ザーの処理回数と圧力により得らた微粒化物の平均粒子
径が変化するのは周知のとおりである。平均粒子径10
μm以上のスラリーを用いた実施例2においてのみ引張
り強さで若干の低下が見られる以外は含浸良好なプリプ
レグ及び特性良好な積層板を得ることができた。
【0048】〔実施例5〕界面活性剤ポリオキシエチレ
ンモノステアレート(花王(株)エマノーン3199)を
添加しなかった以外は実施例1と同様にして濃縮スラリ
ーからプリプレグを経て積層板を製造した。
【0049】以上の結果を表1に示す。プリプレグの含
浸性、積層板の特性共に良好であるが、高圧ホモジナイ
ザー処理において一部の凝集物が高圧絞り部で閉塞し、
長時間の連続処理が困難であった。従って処理前の凝集
を防ぐために界面活性剤の添加が有効であり、連続処理
には処理前の凝集を防ぐ必要があることが分かった。濃
縮スラリーの性状も凝集傾向が見られるが、塗布時の圧
入で凝集は解砕し、実施例1と同様な含浸良好なプリプ
レグが得られた。
【0050】〔実施例6〕塗布時コンマコータ−の代わ
りにナイフコータ−を使用した以外は実施例1と同様に
して濃縮スラリーからプリプレグを経て積層板を製造し
た。
【0051】以上の結果を表1に示す。ナイフコーター
では十分な圧入効果が得られないため得られたプリプレ
グの含浸性が不十分であり、繊維内ボイドが観察され
た。積層板成型後も、ボイドの影響から半田耐熱性にお
いてフクレが発生した。この事実から基材繊維内への微
粒化物の圧入が含浸に効果が大きいことがわかった。
【0052】〔実施例7〕実施例1の濃縮工程において
1000rpmで1分間遠心分離機の処理を実施し固形
分濃度50wt%の濃縮スラリーとした以外は実施例1
と同様である。
【0053】以上の結果を表1に示す。濃縮後のスラリ
ーの性状は水の含有率が高いため粘性が低く、ガラスに
対する樹脂量が規定の値に対して不足した。また水の含
有率が高く、加熱による水の蒸発除去が完全になされな
かったためプリプレグの含浸性は不十分で積層板におい
ても半田耐熱性でフクレが発生した。
【0054】〔比較例1〕(粗粒−スラリー圧入) 高圧ホモジナイザー処理を行なわず、粗粒を水に分散さ
せた状態を濃縮スラリーとして用いた以外は、実施例1
と同様にして、プリプレグを経て積層板を製造した。
【0055】以上の結果を表2に示す。スラリーの状態
では沈降により均一な分散を維持することができず、濃
縮後のスラリー濃度は55wt%と水の含率が高く、粒
子径が大きすぎるため基材の繊維間への圧入は難しかっ
た。従って、分散の不均一、不完全な水の除去、圧入含
浸の不足等から、プリプレグの含浸性は極めて低く、積
層板の各種特性においても著しい低下が見られた。
【0056】〔比較例2〕(粉体塗布方式) 平均粒径150μmの粉末状のエポキシ樹脂(油化シェ
ルエポキシ(株)製臭素化エポキシ樹脂Ep5048,エ
ポキシ当量675)100重量部、平均粒子径15μm
の粉末状の硬化剤(ジシアンジアミド)5重量部、及び
平均粒径15μmの粉末状の硬化促進剤(2−エチル−
4−メチルイミダゾール)1重量部を予備混合し、次い
で、ボールミルを用い、回転数2000rpmにて5分
間処理し、平均粒径90μmの粉末組成物を得た。この
粉末組成物を100g/m2 のガラスクロスの上面にに
ナイフコーターで樹脂重量が50g/m2 になるように
均一に塗布した。その後、下面側より150℃のパネル
ヒーター120℃により約1分間加温した。次いで、ガ
ラスクロスを上下反対にし、もう一方の面にナイフコー
ターで樹脂重量が50g/m2 になるように均一に塗布
し、170℃の熱風加熱機で1分間加熱してプリプレグ
を得た。このプリプレグを2枚重ね合わせ、さらにその
上下に厚さ18μmの銅箔を重ね合わせ、温度165
℃、圧力60kg/cm2 で90分間加熱加圧成形し
て、厚さ0.22mmの銅張積層板を作製した。
【0057】以上の結果を表2に示す。得られたプリプ
レグは含浸性が不十分であり、若干の繊維内ボイドが観
察され、積層板成型後半田耐熱性で一部フクレが発生し
た。また、片側ずつの2回塗布加熱を行なうため、樹脂
量のコントロールが難しく反りが大きかった。
【0058】〔比較例3〕(ホットメルト法−溶融塗
布) 平均粒径150μmの粉末状のエポキシ樹脂(油化シェ
ル製臭素化エポキシEp5048)100重量部、平均
粒子径15μmの粉末状の硬化剤(ジシアンジアミド)
5重量部、平均粒径15μmの粉末状の硬化促進剤(2
−エチル−4−メチルイミダゾール)1重量部の比率で
混合し後、この粉末組成物を100℃で加温して溶融し
た後、樹脂固形分で100g/m2 になるように100
g/m2のガラスクロスを浸けて含浸させて170℃の
加熱装置で2分間加熱してプリプレグを得た。このプリ
プレグを2枚重ね合わせ、さらにその上下に厚さ18μ
mの銅箔を重ね合わせ、温度165℃、圧力60kg/
cm2 で90分間加熱加圧成形して、厚さ0.22mm
の銅張積層板を作製した。
【0059】以上の結果を表2に示す。得られたプリプ
レグの含浸は不十分、積層板特性の低下も著しい。10
0℃で樹脂を溶かす工程で樹脂の硬化特性の経時変化が
著しく、また、設備への樹脂付着物が硬化して清掃が困
難となった。
【0060】〔比較例4〕(従来溶剤塗布) 平均粒径150μmの粉末状のエポキシ樹脂(油化シェ
ル製臭素化エポキシEp5048)100重量部、平均
粒子径15μmの粉末状の硬化剤(ジシアンジアミド)
5重量部、平均粒径15μmの粉末状の硬化促進剤(2
−エチル−4−メチルイミダゾール)1重量部の比率で
混合したものをメチルセルソルブ100重量部に溶かし
た。このワニスを樹脂固形分で100g/m2 になるよ
うに100g/m2 のガラスクロスを浸けて含浸させた
後、170℃の熱風加熱機で3分間加熱してプリプレグ
を得た。このプリプレグを2枚重ね合わせ、さらにその
上下に厚さ18μmの銅箔を重ね合わせ、温度165
℃、圧力60kg/cm2 で90分間加熱加圧成形し
て、厚さ0.22mmの銅張積層板を作製した。
【0061】以上の結果を表2に示す。
【0062】以上の結果より本発明における高圧ホモジ
ナイザーを用いて得られた微粒子状熱硬化性樹脂を必須
成分とする分散状態良好な高濃度のスラリーを、シート
状繊維基材の基材内部へ圧入含浸させることで、良好な
含浸性を示すプリプレグと、特性良好な積層板が得られ
ることが分かった。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】(測定方法) 1. 平均粒子径:粒度分布計(HORIBA LA−9
10)により測定した。 2.含浸性:プリプレグを実体顕微鏡にて観察し、ガラ
ス繊維間のボイドの有無を確認した。 3.成形性:銅張積層板の銅箔をエッチングして、目視
により硬化剤等の析出の有無を観察し、樹脂組成物の分
散性の評価をした。 4.引張り強さ:銅張積層板の銅箔をエッチングして、
10×100mmに切断後テンシロンにて引張り強度を
測定した。 5.銅箔引剥し強さ:JIS C 6481により測定し
た。 6.半田耐熱性:50×50mmの積層板を、260℃
の半田浴に3分間フロートさせ、ふくれの有無を測定し
た。 7.絶縁抵抗:JIS C 6481により測定した。
【0066】なお、製造コストについては、実施例の方
法は溶剤を使用しないので、実施例1では得られた積層
板は比較例4で得られたものに比べ10〜20%程度低
コスト化することができた。
【0067】
【発明の効果】本発明の方法は、有機溶剤を使用しない
にもかかわらず、電気特性、耐熱性等品質の良好な積層
板を安定して得ることができる。そして有機溶剤を使用
しないので、省資源及び大気汚染の低減化が図られ、省
資源化することにより、低コスト化の点でも優れてい
る。このように、本発明は、工業的なプリプレグ及び積
層板の製造方法として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 非衝突型ホモジナイザー粉砕原理を表す略図
である。
【図2】 本発明方法の代表的な工程例を示す
【符号の説明】
1 シート 2 バルブ 3 インパクトリング 11 粉砕機 12 攪拌ミキサー 13 タンク 14 タンク 15 高圧ホモジナイザー 16 遠心分離機 17 回収用配管 18 貯蔵タンク 19 基材 20 スラリー槽 21 コンマコーター 22 加熱装置 23 裁断機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 105:22 B29K 105:22 B29L 31:34 B29L 31:34 C08L 101:00 C08L 101:00 Fターム(参考) 4F072 AA07 AB02 AB05 AB08 AB09 AB10 AB11 AB28 AB29 AB31 AD13 AD23 AD51 AG03 AG16 AG17 AG19 AH03 AH25 AH49 AK05 AK14 AL12 AL13 4F204 AA36 AB25 AC04 AD03 AD04 AD08 AH36 FA01 FB01 FB11 FB24 FE17 FE30 FF01 FG05 FH06 FH19 FH30 FJ10 FN11 FN15 FN17 FQ15 FW06 FW15 FW33

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微粒子状熱硬化性樹脂を必須成分として
    なる樹脂混合物を水に均一分散させて得られたスラリー
    を、シート状繊維基材の少なくとも表面に存在させるこ
    とを特徴とするプリプレグの製造方法。
  2. 【請求項2】 微粒子状熱硬化性樹脂が、高圧ホモジナ
    イザーにより微粒・分散化して得られる微粒子状熱硬化
    性樹脂である請求項1記載のプリプレグの製造方法。
  3. 【請求項3】 微粒子状熱硬化性樹脂を必須成分として
    なる樹脂混合物が、平均粒子径10μm以下の樹脂混合
    物である請求項1、又は2記載のプリプレグの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 樹脂混合物をシート状繊維基材の繊維内
    部へ機械的に圧入含浸させることを特徴とする請求項
    1、2又は3記載のプリプレグの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3又は4記載の方法によ
    り得られたプリプレグを1枚又は複数枚重ね合わせ、加
    熱加圧することを特徴とする積層板の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3又は4記載の方法によ
    り得られたプリプレグを1枚又は複数枚と、1枚又は複
    数枚の金属箔とを重ね合わせ、加熱加圧することを特徴
    とする金属箔張積層板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011243228A (ja) * 2011-08-26 2011-12-01 Dainippon Printing Co Ltd Icカードシートの製造方法

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