JP2002275275A - 樹脂組成物成形品 - Google Patents

樹脂組成物成形品

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JP2002275275A
JP2002275275A JP2001075840A JP2001075840A JP2002275275A JP 2002275275 A JP2002275275 A JP 2002275275A JP 2001075840 A JP2001075840 A JP 2001075840A JP 2001075840 A JP2001075840 A JP 2001075840A JP 2002275275 A JP2002275275 A JP 2002275275A
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English (en)
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Kunio Iwasaki
邦男 岩▲さき▼
Kazuma Kuki
一真 久木
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 縮合系高分子、ビニル重合体からなるポリマ
ーブレンドの成形品、殊に真珠光沢およびウエルド部分
などにおける極めて不均一な色調を呈する相溶性の悪い
ポリマーブレンドの成形品においても、良好な外観を有
する成形品を提供する。 【解決手段】 縮合系高分子(A成分)10〜94.5
重量%、ビニル重合体(B成分)5〜80重量%、およ
び無機充填材(C成分)0.5〜40重量%の合計10
0重量%を含んでなる樹脂組成物を金型キャビティ内に
充填することにより得られる成形品であって、該金型キ
ャビティ表面の少なくとも一部が該充填中に主金型より
も高温になる方法により成形されてなる樹脂組成物成形
品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂組成物成形品
に関する。詳しくは縮合系高分子、ビニル重合体および
無機充填材を含んでなるポリマーブレンドからなる成形
品であって、殊にポリカーボネート樹脂を含んでなるポ
リマーブレンドであって、その表面外観が良好な成形体
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、プラスチック製品は塗装により外
観の品質を高めることが多かった。しかしながら近年は
塗装を用いない方法が種々検討されている。これらは塗
装工程を省略することにより次の効果を意図するもので
ある。(a)製造工程が簡略化され、製造コストが低減
できる。(b)塗料が含まれないため製品のリサイクル
性が大きく向上する。(c)塗料に含まれる有機溶剤の
使用がなくなるため、作業環境などが改善される。塗装
をしないためには成形品に良好な外観が求められる。ま
た外観には、良好な光沢を有するもの以外に、特に自動
車の内装部品の分野などでは艶消し状の外観を求められ
る場合がある。
【0003】ポリカーボネート樹脂、ポリアルキレンテ
レフタレート樹脂、ポリアミド樹脂などの縮合系高分子
とABS樹脂、ASA樹脂、HIPS樹脂、SEPS樹
脂などのビニル重合体からなるポリマーブレンドは広く
使用されるところである。かかるポリマーブレンドに対
しても上記の課題が課されている。
【0004】しかしながら縮合系高分子とビニル重合体
からなるポリマーブレンドは、両者の相溶性が乏しいた
め、その外観は良好とはいえない場合が多かった。すな
わち不均一な真珠光沢を呈したり、ウエルド付近で不均
一な色調の外観を呈するものであったり、表面に層剥離
を生ずることが多かった。殊に透明性の良好なポリカー
ボネート樹脂においては、かかる外観上の不良を呈する
ことが多かった。これらの現象は相溶性の乏しい樹脂同
士が層状構造を有しており、更に透明性が高いほどより
深い層の反射光が視認されるためだと考えられる。
【0005】かかる課題の解決策としては、両者を相溶
化する他の添加剤を加えたり、溶融混練中に反応させる
などの方法が数多く試みられている。しかし相溶化剤で
は不十分な場合がある。更に相溶性を高めるため反応基
などを導入すると、樹脂組成物の熱安定性の低下につな
がる場合が多く、それにより樹脂をリサイクル処理する
場合にも不適当なことがあった。したがって塗装を省略
する効果を十分に得られなかった。
【0006】また特開平8−66927号公報に金属か
らなる主金型の金型キャビティを構成する成形品表面側
型壁面が、熱伝導率が0.00005〜0.002ca
l/cm・sec・℃(0.021〜0.837W/m
・K)の耐熱性重合体からなる微細凹凸表面の断熱層で
0.05〜0.5mm厚に被覆された金型を用いて成形
することを特徴とする製造方法が記載されている。しか
しながらかかる公報は、ポリカーボネート樹脂などの縮
合系高分子とビニル系樹脂からなる樹脂組成物成形品の
上記課題を十分に考慮したものとはいえない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、縮合
系高分子、ビニル重合体からなるポリマーブレンドの成
形品、殊に不均一な真珠光沢や、ウエルド付近などの極
めて不均一な色調を呈する相溶性の悪いポリマーブレン
ドの成形品においても、良好な外観を有する成形品を提
供することにある。
【0008】本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意
研究を重ねた結果、上記ポリマーブレンドに無機充填材
を更に組合わせて特定の条件で成形した成形品が、驚く
べきことに上記課題を解決できることを見出した。以上
の知見に基づき、本発明に到達した。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、縮合系高分子
(A成分)10〜94.5重量%、ビニル重合体(B成
分)5〜80重量%、および無機充填材(C成分)0.
5〜40重量%の合計100重量%を含んでなる樹脂組
成物を金型キャビティ内に充填することにより得られる
成形品であって、該金型キャビティ表面の少なくとも一
部が該充填中に主金型よりも高温になる方法により成形
されてなる樹脂組成物成形品にかかるものである。
【0010】以下に本発明について詳しく説明する。
【0011】本発明のA成分とB成分は、好適には、A
成分〜C成分からなる樹脂組成物における割合に応じた
A成分とB成分とからなる樹脂組成物が、該樹脂組成物
の成形品において不均一な真珠光沢またはウエルド付近
での不均一な色調を呈する組合せである。本発明はかか
るA成分とB成分との組み合わせにおける問題解決を図
るものであることから本発明のより好ましい組み合わせ
として挙げることができる。
【0012】更に具体的には、本発明のA成分として
は、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリ
アセタール、ポリアルキレンテレフタレート、脂肪族ポ
リエステル、ポリアミド、ポリアリレート(非晶性ポリ
アリレート、液晶性ポリアリレート)、ポリエーテルエ
ーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、
ポリエーテルサルフォン、およびポリフェニレンサルフ
ァイドなどを挙げることができる。
【0013】中でも非晶性で透明性に優れる樹脂の場合
には、外観の不良が目立ちやすいため本発明の効果がよ
り発揮される。したがって本発明のA成分としては、ポ
リカーボネート、ポリフェニレンエーテル、非晶性ポリ
アリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン
などが好ましく挙げられる。特に透明性が高く色調にも
優れるポリカーボネートにおいて本発明の効果は大き
く、より好ましいA成分としてポリカーボネートを挙げ
ることができる。
【0014】本発明のA成分であるポリカーボネート
は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させ
て得られるものである。反応の方法としては界面重縮合
法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの
固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の
開環重合法などを挙げることができる。
【0015】二価フェノールの代表的な例としては、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通
称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキ
シ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、9,9−
ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フル
オレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−m−ジイソプロピルベンゼンなどを挙げること
ができる。特に、ビスフェノールAの単独重合体を挙げ
ることができる。
【0016】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られる。
【0017】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応
させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必
要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化を
防止するための酸化防止剤等を使用してもよい。またポ
リカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合
物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、
芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合した
ポリエステルカーボネート樹脂、ポリオルガノシロキサ
ンを共重合したポリカーボネート−オルガノシロキサン
共重合体であってもよい。また、得られたポリカーボネ
ート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、1,1,
1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,
1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)エタンなどが使用できる。
【0018】かかる分岐ポリカーボネート樹脂を生ずる
多官能性芳香族化合物の割合は、好ましくは0.005
〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル
%である。また特に溶融エステル交換法の場合、副反応
として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造
量についても同様である。尚、かかる割合については 1
H−NMR測定により算出することが可能である。
【0019】界面重縮合法による反応では通常末端停止
剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノ
ール類を使用することができる。単官能フェノール類の
具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブ
チルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオク
チルフェノールが挙げられる。また、末端停止剤は単独
でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0020】溶融エステル交換法による反応ではフェノ
ール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期ある
いは終了後に、例えば2−クロロフェニルフェニルカー
ボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカ
ーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェ
ニルカーボネート等の化合物を加えることができる。
【0021】さらに溶融エステル交換法では触媒の活性
を中和する失活剤を用いることが好ましい。かかる失活
剤の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜
50モルの割合で用いるのが好ましい。
【0022】ポリカーボネートの分子量は特定されない
が、分子量が10,000未満であると成形品として十
分な強度が得られ難く、50,000を超えると成形加
工性が低下する。したがって、粘度平均分子量で表して
10,000〜50,000のものが好ましく、14,
000〜30,000のものがより好ましく、更に好ま
しくは14,000〜24,000である。また、ポリ
カーボネートの2種以上を混合しても差し支えない。こ
の場合粘度平均分子量が上記範囲外であるポリカーボネ
ート樹脂とを混合することも当然に可能である。
【0023】特に粘度平均分子量が50,000を超え
るポリカーボネート樹脂との混合物はエントロピー弾性
が高く、ジェッティングなどに代表されるレオロジー挙
動による成形品の外観不良が生じくい特徴がある。かか
る外観不良が生ずる場合には、適切な態様である。
【0024】より好ましくは粘度平均分子量が80,0
00以上のポリカーボネート樹脂との混合物であり、更
に好ましくは100,000以上の粘度平均分子量を有
するポリカーボネート樹脂との混合物である。すなわち
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)な
どの測定法において2ピーク以上の分子量分布を観察で
きるものが好ましく使用できる。
【0025】本発明でいう粘度平均分子量はまず次式に
て算出される比粘度を塩化メチレン100mlにポリカ
ーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液からオ
ストワルド粘度計を用いて求め、 比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0 [t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下
秒数] 求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量M
を求める。 ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]
は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0026】本発明においてB成分のビニル重合体と
は、炭素−炭素二重結合を持つ単量体を重合してなる重
合体(ゴム質重合体に該単量体を共重合してなる重合体
を含む)をいう。かかる単量体は1種を重合してなる重
合体または2種以上を共重合してなる重合体のいずれも
選択できる。共重合体としての形態は特に制限はなく、
グラフト重合体、ブロック重合体、星型重合体、コア−
シェル重合体などの各種の形態をとることが可能であ
る。またゴム質重合体とはそのガラス転移温度が10℃
以下の成分をいい、ポリブタジエン、ポリイソプレンな
どのジエンポリマー、ポリジメチルシロキサンなどのシ
リコーンポリマーなど炭素−炭素二重結合を持つ単量体
を重合してなる重合体以外のものであってもよい。
【0027】上記炭素−炭素二重結合を持つ単量体とし
ては、エチレン、プロピレン、ブチレン、および4−メ
チルペンテン−1などの1−アルケン類;塩化ビニル、
フッ化ビニル、および臭化ビニルなどのハロゲン化ビニ
ル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、およびステアリ
ン酸ビニルなどのビニルエステル;ビニルメチルエーテ
ル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテ
ル、およびビニルフェニルエーテルなどのビニルエーテ
ル;アクリル酸、およびアクリル酸メチルなどのアクリ
ル酸およびその誘導体;スチレン、ビニルトルエン、メ
トキシスチレン、ジビニルベンゼン、クロルスチレンジ
クロルスチレン、およびα−ビニルナフタレンなどの芳
香族ビニル化合物;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデ
ン、イソブチレン、ビニリデンシアニド、1,1−ジフ
ェニルエチレン、メタクリル酸メチル、α−メチルスチ
レン、α−メチルアクリロニトリル、および1,1−塩
化フッ化ビニリデンなどの各種ビニリデン化合物、その
他、アクロレイン、アクリロニトリル、メチルビニルス
ルフィド、ビニルイソシアネート、ビニルメチルケト
ン、ビニルスルホン酸、α−ビニルピリジン、2−ビニ
ルフラン、n−ビニル−2−ピロリドン、ビニルカルバ
ゾール、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、無水マレイン酸、
クロトン酸、テトラフルオロエチレン、およびトリフル
オロクロロエチレンなどを挙げることができる。
【0028】B成分として具体的には、ポリエチレン樹
脂、ポリプロピレン樹脂、およびポリ−4−メチルペン
テン−1、および環状ポリオレフィン樹脂などのポリオ
レフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、HIPS樹脂、MS
樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹
脂、MBS樹脂、MAS樹脂、水添ポリスチレン樹脂、
およびSMA樹脂などのスチレン系樹脂、ポリメチルメ
タクリレートなどのアクリル樹脂(ゴム成分を含んだ透
明性を有する高衝撃タイプを含む)、並びにスチレン系
熱可塑性エラストマー(水添(スチレン−ブタジエン−
スチレン)ブロック共重合体(水添SBS、SEB
S)、水添(スチレン−イソプレン−スチレン)ブロッ
ク共重合体(水添SIS、SEPS)、水添(スチレン
−イソプレン・ブタジエン−スチレン)ブロック共重合
体など)やオレフィン系熱可塑性エラストマーなどを挙
げることができる。(ここでMS樹脂はメチルメタクリ
ートとスチレンから主としてなる共重合体樹脂、AES
樹脂はアクリロニトリル、エチレン−プロピレンゴム、
およびスチレンから主としてなる共重合体樹脂、ASA
樹脂はアクリロニトリル、スチレン、およびアクリルゴ
ムから主としてなる共重合体樹脂、MAS樹脂はメチル
メタクリレート、アクリルゴム、およびスチレンから主
としてなる共重合体樹脂、SMA樹脂はスチレンと無水
マレイン酸(MA)から主としてなる共重合体樹脂を指
す。)上記ビニル重合体は、その製造時にメタロセン触
媒等の触媒使用により、シンジオタクチックポリスチレ
ン等の高い立体規則性を有するものであってもよい。更
に場合によっては、アニオンリビング重合、ラジカルリ
ビング重合等の方法により得られる、分子量分布の狭い
重合体及び共重合体、ブロック共重合体、および立体規
則性の高い重合体、共重合体であってもよい。
【0029】また上記ビニル重合体は、分子量が10,
000に満たないオリゴマーであってもよい。オリゴマ
ーの場合は相溶性がより乏しくなるため、本発明の効果
をより効果的に発揮する。一方、オリゴマーとの組み合
わせは樹脂組成物の射出成形における流動特性などを大
幅に改良でき、薄肉成形品において好適な態様である。
【0030】上記の中でも、本発明による外観の改良効
果がより高い点や成形品の強度の点からゴム成分を含む
ものが好ましい。より好ましいB成分としては、HIP
S樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、MBS
樹脂、MAS樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、
オレフィン系熱可塑性エラストマー、ゴム成分を含むア
クリル樹脂などを挙げることができる。一方で外観改良
効果がより高く、また成形品の表面硬度を高められる点
でアクリル樹脂およびMS樹脂は、ゴム成分を含んでい
ない場合でも好ましい。
【0031】更に好ましくはアクリル樹脂、ASA樹
脂、スチレン系熱可塑性エラストマーを挙げることがで
きる。これらは相溶性が不良であり、またゴム成分の屈
折率から、外観不良が呈しやすい。したがって本発明に
おいてかかる改良効果がより高い。一方である程度ポリ
カーボネートとの親和性があり、良好な強度も得られ
る。
【0032】本発明のC成分である無機充填材として
は、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜
鉛、ガラス繊維(チョップドストランド)、ガラス短繊
維(ミルドファイバー)、ガラスビーズ、ガラスバルー
ン、ガラスフレーク、金属被覆ガラスフレーク、極薄ガ
ラスフレーク、炭素繊維、金属被覆炭素繊維、炭素短繊
維、極細炭素繊維、金属繊維、金属繊維、炭酸カルシウ
ム、炭酸カルシウムウイスカー、タルク、超微細タル
ク、マイカ、カオリン、ワラストナイト、クレー、モン
モリロナイト、サポナイト、ベントナイト、活性白土、
セピオライト、イモゴライト、セリサイト、焼成クレ
ー、ゼオライト、ジークライト、ケイソウ土、焼成ケイ
ソウ土、シラス、コーディエライト、ユークリプタイ
ト、スポジューメン、酸化チタン(超微粒子酸化チタン
含む)、酸化チタンウイスカー、酸化亜鉛(超微粒子酸
化亜鉛含む)、酸化亜鉛ウイスカー、チタン酸カリウム
ウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、およびシ
リカなどを挙げることができる。かかる無機充填材は、
その表面が異なる成分を覆われているものでもよい。例
えば金属コートガラスフレークや金属コート炭素繊維な
どを挙げることができる。
【0033】上記でより好ましいのは、繊維状または粒
状の無機充填材である。かかる形状の無機充填材は、ウ
エルド付近の外観がより均一になりやすい。更に着色の
自由度が高い点でガラス系充填材が好適である。特に無
機充填材としてガラスミルドファイバーなどを使用すれ
ば、着色の自由度も高く、また成形品をリサイクルし
て、繰り返し再生利用しても繊維の長さが比較的変化し
にくいため、初期の特性を維持しやすい。したがってリ
サイクル性も良好なものが得られ好ましい。
【0034】本発明の樹脂組成物は、剛性が要求される
場合には無機充填材を適宜目的に応じて配合すればよい
が、その場合であってもC成分は本発明の樹脂組成物1
00重量%中、0.5〜40重量%である。無機充填材
が40重量%を超えると良好な外観を達成できない。一
方で耐衝撃性などが重視される場合には無機充填材の量
は比較的少量である方が好ましい。すなわちA成分およ
びB成分を含んでなる樹脂組成物において、衝撃強度を
維持して外観の改良を求める場合には、無機充填材は
0.5〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.5
〜15重量%、更に好ましくは1〜10重量%である。
【0035】一方A成分およびB成分は、A成分10〜
94重量%およびB成分5〜80重量%である。したが
って本発明において樹脂組成物の好ましい態様として
は、A成分10〜94.5重量、B成分5〜80重量%
およびC成分0.5〜20重量%を含んでなる樹脂組成
物を挙げることができる。
【0036】本発明は、上記A成分、B成分、およびC
成分を含んでなる樹脂組成物を金型キャビティ内に充填
することにより得られる成形品であって、該金型キャビ
ティ表面の少なくとも一部が該充填中に主金型よりも高
温になる方法により成形されてなる樹脂組成物成形品で
ある。かかる成形方法としては金型キャビティ内に樹脂
を充填することにより成形する方法であれば特に制限さ
れるものではないが、特に好適には射出成形を挙げるこ
とができる。
【0037】また金型キャビティの表面がその充填中に
主金型よりも高温になる部分は、当然のことながら、少
なくとも外観の改良が要求される部分であればよい。し
たがって例えば成形品の裏面などで外観が要求されない
部分は上記の条件を満足する必要はない。
【0038】ここで金型キャビティ表面が主金型よりも
高温になる方法としては具体的には、例えば従来から提
案されている該表面部分に直接ハロゲンランプなどの輻
射熱を照射する方法、高周波誘導加熱を起こさせる方
法、薄膜電気抵抗体により加熱・冷却する方法、金型キ
ャビティ表面付近の温度調節用配管に高温の熱媒体と冷
媒を入れ替えて温度調節を急速に行う方法、超音波を利
用する方法など金型表面部分を外部の熱源により加熱す
る方法の他、金型キャビティ表面に熱伝導率の低い断熱
層を形成することにより、溶融された樹脂の有する熱を
利用し表面部分の温度を高温化する方法などを用いるこ
とができる。これらは単独で用いても、複数を組み合わ
せて用いてもよい。例えば、前者の外部の熱源により加
熱する方法と後者の断熱層を用いる方法は、外部熱源の
効率化にもつながる。
【0039】本発明の樹脂組成物を上記の特定の成形法
により成形して良好な外観を有する成形品を達成できる
理由は以下のように考えられる。すなわち無機充填材が
溶融混練中樹脂内を移動する際、かかる無機充填剤に近
接した樹脂にはより強い剪断力が作用する。かかる剪断
作用によって樹脂はより細かく分散され、層状の分散形
態が破壊される。また無機充填材が存在することでかか
る状態が固定されやすくなる。一方で無機充填材を含ん
だ樹脂組成物の成形品は、表面が平滑になり難い場合が
多いが、上記の成形法によって樹脂分が十分に金型表面
に密着し、それにより均一な表面が得られる。
【0040】本発明は、無機充填材の添加と特定の成形
条件との組合わせにより、単にブレンドしただけでは不
均一な真珠光沢やウエルド付近における不均一な色調を
呈する樹脂成形品を、均一感の極めて高い良好な外観を
有する成形品とするものである。かかる成形品は反応性
の相溶化剤などを有しない場合にも得られることから、
リサイクル処理などにおいても熱劣化が生じにくく、よ
りリサイクル性に優れたものであるといえる。
【0041】上記の中でも断熱層を利用する方法は、充
填時よりも充填後において高温の状態に至り分子鎖の緩
和時間を長く取ることができるため、無機充填材まわり
の樹脂の応力を緩和しやすくマイクロクラック等の発生
が抑制される。したがって長期の特性において有利であ
ると考えられる。また他の方法とは異なり成形品の形状
に関らず成形品表面の熱履歴をより均一にすることが容
易である。このため断熱層を利用する方法は本発明の好
ましい成形方法として挙げられる。
【0042】断熱層としては、耐熱プラスチック、プラ
スチック複合材、ガラス、セラミックからなる群から選
択された少なくとも一種の層を挙げることができる。こ
れらは単一層および複数の積層構造のいずれの場合も選
択できる。より好ましい断熱層としては、ポリアミノビ
スマレイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などの各種ポ
リイミド樹脂、または変性エポキシ樹脂にアルミナ等の
無機充填剤を含有したものを挙げることができる。各種
ポリイミド樹脂としては例えばベスペル(デュポン社
製、商品名)、PI2080(アップジョン社製、商品
名)、トーロン(テイジンアモコエンジニアリングプラ
スチックス(株)製、商品名)、ウルテム(日本ジーイ
ープラスチックス(株)製)、AURUM(三井化学
(株)製、商品名)、ユーピレックス−VT(宇部興産
(株)製、商品名)などを挙げることができる。
【0043】断熱層の熱伝導率としては0.05〜1W
/m・Kが好ましく、より好ましくは0.1〜0.8W
/m・K、更に好ましくは0.1〜0.7W/m・Kの
範囲を挙げることができる。一方断熱層の厚みとしては
0.1〜3mm、好ましくは0.2〜2mm、より好ま
しくは0.5〜1.5mm、更に好ましくは0.5〜
1.4mm、特に好ましくは0.6〜1.4mmの範囲
を挙げることができる。
【0044】さらに、金型の表面硬度、耐久性、平滑性
を向上させるため、かかる断熱層表面に0.001〜
0.3mmの金属層が形成されているものが好ましい。
かかる金属層としてはニッケルからなる層などを好まし
く挙げることができる。更に最外層には、クロムなどの
硬質な金属層を設けることが金型全体の寿命を伸ばす点
から好ましい。
【0045】尚、かかる断熱層を金属製の金型ブロック
と結合する方法、または断熱層の表面に金属層を設ける
場合にかかる金属層と断熱層を結合する方法としては金
属とプラスチック、ガラス、セラミックを結合する各種
の方法を取ることができる。例えばそれぞれの層との接
着性に優れ、かつ耐熱性に優れた接着剤を使用すること
ができる。かかる接着剤としては、シアノアクリレート
系重合体やエポキシ系重合体などを挙げることができ
る。
【0046】断熱層がプラスチックの場合には、かかる
プラスチック自体を直接金属と結合する方法が挙げられ
る。例えばエポキシなどの反応性のプラスチックを金属
に高圧および/または高温下で密着させ、その状態でプ
ラスチックを硬化させる方法が挙げられる。またポリア
ミドイミドなどの熱可塑性樹脂の場合には樹脂の溶融状
態において高圧下で金属と密着させる方法が挙げられ
る。更に例えばトリアジンチオール誘導体の電解溶液な
ど有機電解溶液を使用して金属表面に該誘導体などの有
機化合物によるメッキ処理を行い、その後該メッキ処理
面とプラスチック断熱層と密着させる方法が挙げられ
る。その場合の密着方法としては溶融樹脂とかかるメッ
キ処理面を密着させる方法や、かかるメッキ処理面との
反応性のプラスチックを密着させ硬化させる方法などが
挙げられる。
【0047】上記より本発明の好適な態様として、金型
キャビティが少なくともその凹凸部分において、熱伝導
率0.05〜1W/m・Kおよび厚み0.5〜1.5m
mの断熱層を有し、更にその断熱層表面に0.001〜
0.3mmの金属層が形成されている場合を挙げること
ができる。
【0048】上記の断熱層の上の金属層を設ける方法と
しては、メッキ、蒸着、スパッタリングによる方法の
他、これらの組み合わせ、すなわち蒸着、スパッタリン
グ後に電解メッキをする方法などが挙げられる。更に導
電性ポリマーを塗付したのち電気メッキする方法も挙げ
られる。その他の方法としては、金属層をかかる断熱層
に接着剤を介して接着する方法などを挙げることができ
る。
【0049】その他の方法としては金属層を真鍮母型に
電解メッキする方法(電鋳法)により形成し、かかる金
属層に樹脂および母材となる金属材料を重ね一体化(パ
ッキング)し、その後圧着して結合させ、真鍮母型から
金属層を剥離する方法を好ましい方法として挙げること
ができる。尚、かかる方法の詳細は特開平6−2187
69号公報に記載されている。
【0050】本発明の樹脂組成物成形品を成形する方法
としては、射出成形法が好適であるがブロー成形などに
も適用可能である。また射出成形においては通常の成形
の他ガスアシスト成形、射出圧縮成形、射出プレス成
形、超高速射出成形、二色成形、インサート成形、およ
びサンドイッチ成形など種々の成形方法を使用すること
ができる。
【0051】本発明のA成分、B成分、およびC成分を
含んでなる樹脂組成物には、各種の有機染料などや添加
剤を含むことができる。染料を含み目的の色調とするこ
とで塗装を省略しリサクイルしやすい製品を提供可能と
なる。また添加剤、特に安定剤や紫外線吸収剤などは、
無塗装化されても良好な色調を維持するため好ましく配
合されるものである。
【0052】各種添加剤としては、難燃剤(ハロゲン
系、リン酸エステル系、金属塩系、赤リン、シリコン
系、金属水和物系などであり、滴下防止剤も含む)、熱
安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、蛍光増白
剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止剤、流動改質剤、結
晶核剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(微
粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛など)、赤外線吸収
剤、フォトクロミック剤などが挙げられる。
【0053】紫外線吸収剤としては、例えば2−ヒドロ
キシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,
2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェ
ノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メ
トキシフェニル)メタンなどに代表されるベンゾフェノ
ン系紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0054】また紫外線吸収剤としては例えば2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert
−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−
ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベン
ゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’
−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−ter
t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’
−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェ
ニルベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−
3’−(3”,4”,5”,6”−テトラフタルイミド
メチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル
−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−te
rt−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2,2’メチレンビス[4−(1,1,3,3−テ
トラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール
−2−イル)フェノール]、メチル−3−[3−ter
t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエ
チレングリコールとの縮合物に代表されるベンゾトリア
ゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0055】更に紫外線吸収剤としては例えば、2−
(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−
イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6
−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−ト
リアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール
などのヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を挙げる
ことができる。
【0056】またビス(2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、
テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペ
リジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレ
ート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル
−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカ
ルボキシレート、ポリ{[6−(1,1,3,3−テト
ラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−
2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6
−テトラメチルピペリジル)イミノ]}、ポリメチルプ
ロピル3−オキシ−[4−(2,2,6,6−テトラメ
チル)ピペリジニル]シロキサンなどに代表されるヒン
ダードアミン系の光安定剤も含むことができ、かかる光
安定剤は上記紫外線吸収剤や各種酸化防止剤との併用に
おいて、耐候性などの点においてより良好な性能を発揮
する。
【0057】また紫外線吸収剤、光安定剤の割合は、本
発明のA成分、B成分およびC成分を含んでなる樹脂組
成物100重量%中0.01〜5重量%、より好ましく
は0.02〜1重量%である。
【0058】熱安定剤としてはホスファイト化合物、ホ
スホナイト化合物、およびホスフェート化合物などのリ
ン化合物を、酸化防止剤としてはフェノール系酸化防止
剤、イオウ系酸化防止剤などを挙げることができる。
【0059】本発明の樹脂組成物成形品は、各種の製品
に使用可能である。特にセンターパネル、インストルメ
ンタルパネル、ダッシュボード、ドアハンドル、リアボ
ード、カーナビゲーション・TVなどのディスプレーハ
ウジングなどの車輌用内装部品、フェンダーパネル、ド
アパネル、スポイラー、ガーニッシュ、ピラーカバー、
フロントグリル、リアボディパネル、モーターバイクの
カウル、トラックの荷台カバーなどの車両用外装部品、
VTR、テレビ、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯
器、電子レンジ、オーディオ機器などの電気機器のハウ
ジングや部品、カメラ、デジタルカメラ、ビデオムービ
ー、望遠鏡、双眼鏡、携帯電話、携帯情報端末、携帯ノ
ート型コンピューター、携帯テープレコーダー、携帯光
ディスク再生機、携帯ナビゲーション装置、腕時計など
の携帯型精密機器のハウジングや部品、およびノートパ
ソコン、デスクトップパソコン、CRTディスプレー、
プリンター、複写機、記録媒体(CD、DVDなど)の
ドライブ装置、スキャナー、ファクシミリなどのOA機
器のハウジングや部品などを挙げることができる。更に
はFD、MD、PD、DVD−RAM、ビデオテープな
どの記録媒体に使用するカートリッジなどにも好適であ
る。
【0060】本発明の樹脂組成物成形品は、上記の中で
も自動車のセンターパネル、およびカメラやデジタルカ
メラなどのハウジングにおいて好適であり、特にA成分
としてポリカーボネート樹脂、およびB成分としてポリ
メチルメタクリレート樹脂、ASA樹脂などを用いた場
合に好適である。
【0061】本発明においては、極めて広範囲の樹脂の
組合せにおいても良好な外観を有する樹脂成形品が達成
される。そのため硬度の良好なアクリル樹脂などとも高
い自由度で混合することができるため良好な硬度を有す
る樹脂組成物が達成される。したがって特にハウジング
などで要求される傷付にくさの要求される製品に対して
極めて好適な樹脂組成物成形品を提供するものである。
【0062】本発明の樹脂成形品として特に好適には、
金型キャビティ表面の凹凸を転写することにより艶消し
状の外観を有する樹脂成形品を上げることができる。か
かる艶消し状外観を有する成形品は、自動車内装用とし
て好適である。かかる用途では高級感を与えたり、フロ
ントガラスへの移りこみを避けるために艶消し状の外観
を要求されることが多いためである。従来は塗装により
かかる外観を作りだしていたが、本発明においては塗装
をすることなくかかる外観を与えることが可能となる。
したがってかかる製品をリサイクル処理する際に塗装膜
をはがす必要がなく、また塗装膜による樹脂組成物の熱
劣化や強度の低下などがない。すなわちかかる要求の高
い自動車内装用部品として好適なものが得られる。
【0063】
【発明の実施の形態】以下に実施例、比較例を用いて本
発明及びその効果を更に説明するが、本発明はこれら実
施例などにより何ら限定されるものではない。なお、評
価は下記の方法によった。
【0064】[実施例1〜9、および比較例1〜4] (1)外観の評価 図1に示される成形品から、その外観を目視観察した。 ○:ウエルド付近においても均一な外観を有する △:全体として均一な外観を有するがウエルド付近にお
いては若干不均一な色調を有する部分がある ×:ウエルド部付近などに不均一な色調を有する (2)光沢度 JIS K7105に従い、成形品の艶消し部と鏡面部
の60°光沢度を測定し、比較した。サンプルは6〜1
0ショット目の成形品から図2に示される微細な凹凸部
分および鏡面部分からサンプリングし、それぞれ計15
個のサンプルの平均値として算出した。
【0065】成形は以下の金型入れ子を使用して行っ
た。 (i)入れ子A:以下の手順により作成された断熱層を
有する金型入れ子。すなわち、真鍮母材にニッケルメッ
キ(厚み約100μm)を行い、かかるメッキ層上にテ
イジンアモコエンジニアリングプラスチックス(株)
製、トーロン4203Lのポストキュア済みの板状成形
品(熱伝導率約0.25W/m・K)を1mm厚に切削
および鏡面研磨したもの並びにその上層に金型母材とし
て日立金属(株)製のHPM50製プレートを、それぞ
れエポキシ系接着剤(厚み10μm)を使用して結合し
た。その後真鍮母材からニッケル層を放し、得られたニ
ッケルの鏡面に対して、図1に示す領域をサンドブラス
ト処理により艶消し状表面とし、かかる艶消し状表面と
鏡面が混在する金型入れ子としたもの。尚、かかる艶消
し状表面の表面粗さは、JIS B0601に従い測定
を行い、Ra:1.38μm、Rz:5.78μm、R
max:14.04μm、Sm:223.7μmであっ
た。 (ii)入れ子B:断熱層を省略した以外は入れ子Aと
同様の手順で得られた金型入れ子。すなわち、ニッケル
メッキ上に金型母材として日立金属(株)製のHPM5
0製プレートをエポキシ系接着剤を使用して結合したも
の。尚、かかる艶消し状表面の表面粗さは、Ra:1.
39μm、Rz:5.95μm、Rmax:14.51
μm、Sm:218.2μmであった。
【0066】成形材料の作成は以下のように行った。す
なわち、表1記載のように各原料を所定の割合でポリエ
チレン袋中に入れて(ポリエチレン袋の容積の1/4程
度となるよう)均一に混合し、表1および表2に記載さ
れた所定の押出温度で2軸押出機(神戸製鋼所(株)製
KTX−30)を用いて溶融混練した。ベントで強制排
気を行い(減圧度3,000Pa)、得られたストラン
ドを水冷し、ペレタイザーでカットした。
【0067】得られたペレットを100℃で6時間、熱
風循環式乾燥機にて乾燥し、シリンダ内径50mmφの
射出成形機(住友重機機械工業(株)製ULTRA22
0−NIVA)を使用し、図2に示す成形品を表1に記載
したシリンダー温度および主金型温度で、射出速度を7
5mm/secとして成形した。金型入れ子として表1
に記載のとおり上記の各種入れ子を使用し、断熱層の有
無による成形品の状態を比較した。なお、金型には5点
のピンゲートが配置されていてウエルドが図2に示す位
置に発生する。各実施例および比較例は同一の主金型を
使用して入れ子の入れ替えのみを行う方式とした。評価
結果を表1に示す。尚、成形条件はいずれもボス部にヒ
ケが生じない良品の取れる成形条件を出して行った。
【0068】(A成分) PC:ポリカーボネート(帝人化成(株)製L−122
5WP) PAR:ポリアリレート樹脂(ユニチカ(株)製U−8
400)
【0069】(B成分) ASA:ASA樹脂(宇部サイコン(株)製「UCLモ
ディファイヤーレジンA600N」) AS:AS樹脂(旭化成(株)製「スタイラック AS
769」) SEPS:SEPS樹脂(クラレ(株)製「セプトン2
007」) PMMA1:PMMA樹脂(旭化成(株)製「デルペッ
ト80N」) PMMA2:弾性重合体入りPMMA樹脂(旭化成
(株)製「デルペットSR8500」)
【0070】(C成分) CB:カーボンブラックマスター(カーボンブラック4
0重量%およびマトリクス樹脂(ビスフェノールA型ポ
リカーボネート樹脂)60重量%、越谷化成工業(株)
製「MB9702」) MF:ガラスミルドファイバー(日東紡績(株)製「P
FE−301」、繊維径9μm、平均繊維長40μm) GFL:ガラスフレーク(日本板硝子(株)製「フレカ
G−101」、平均粒径600μm(標準篩による)、
平均厚み5μm)
【0071】(その他の成分) COMP:相溶化剤((株)クラレ製「TK−S730
0」) WAX:酸変性オレフィンワックス(三菱化学(株)製
「ダイヤカルナPA30M」) UVA:紫外線吸収剤(ケミプロ化成(株)製「ケミソ
ーブ79」) ST1:安定剤(トリメチルホスフェート、大八化学工
業(株)製「TMP」) ST2:安定剤(テトラキス(2,4−ジ−tert−
ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホ
ナイトを主成分とする安定剤、クラリアントジャパン
(株)製「サンドスタブP−EPQ PLUS」) DYE:黄色染料(有本化学工業(株)製、「Plas
t Yellow 8050」)
【0072】
【表1】
【0073】上記より本発明により得られた成形品は、
均一感が良好であり、通常不均一感が目立つウエルド付
近などにおいても均一な外観が達成される。更に必要と
される外観に優れる(表面光沢が必要な部分では光沢に
優れ、艶消しが要求される部分では艶消し性に優れる)
ものであることがわかる。
【0074】
【発明の効果】本発明により通常は相溶性が低く、不均
一な真珠光沢やウエルド付近において不均一な色調を呈
するポリマーブレンドであっても、極めて良好な外観を
有する成形品が得られることがわかる。更に本発明の樹
脂組成物成形品は、良好な艶消し外観をも達成できるも
のであり、樹脂成形品の塗装を省き、リサイクル処理の
し易い樹脂組成物成形品を提供可能とするものである。
したがってその産業上奏する効果は甚大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において使用したノートパソコンのハウ
ジングを模した成形品の表側斜視概要図である(縦17
8mm×横245mm×縁の高さ10mm)。
【図2】実施例において使用した成形品の表面側正面概
要図であり、ゲート位置、ウエルドラインの様子および
評価用サンプルの切り出し部分を示す。
【図3】実施例において使用した成形品の裏面側正面概
要図であり、リブ付ボスがある様子を示す(艶消し面の
部分は上下両側にリブがあるボスとなる)。
【図4】リブ付ボス(符号9)の側面図を示す。
【図5】リブ付ボス(符号9)の正面図を示す。
【図6】リブ付ボス(符号8)の正面図を示す(符号9
のリブ付ボスから片側のリブを除いた形状となる)。
【符号の説明】
1 ノートパソコンのハウジングを模した成形品本体 2 艶消し表面部 3 鏡面部 4 ゲート(ピンゲート0.8mmφ、5個所) 5 およそのウエルドライン 6 測定サンプル切り出し部(鏡面部) 7 測定サンプル切り出し部(艶消し表面部) 8 リブ付ボス(鏡面部裏側に対応) 9 リブ付ボス(鏡面部裏側に対応) 10 ボス外径(金型寸法6.0mmφ) 11 ボストリミング部外径(金型寸法4.4mmφ) 12 ボス内径(金型寸法3.4mmφ) 13 ボストリミング部深さ(金型寸法0.5mm) 14 ボスおよびリブ高さ(金型寸法6.0mm) 15 段付リブ高さ(金型寸法4.0mm) 16 リブ長さ(金型寸法3.0mm) 17 リブ長さ(金型寸法3.0mm) 18 断付リブ長さ(金型寸法20.0mm) 19 リブの幅(金型寸法2.0mm)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 51/06 C08L 51/06 53/02 53/02 57/00 57/00 69/00 69/00 87/00 87/00 // B29K 33:04 B29K 33:04 33:18 33:18 69:00 69:00 105:16 105:16 Fターム(参考) 4F071 AA22 AA31 AA50 AA75 AA77 AB01 AD01 AD02 AE17 AF34 AH07 AH12 BA01 BB05 BC07 BC09 4F202 AA13 AA28 AB11 AB24 AB25 AF05 AF15 AH25 AH42 CA11 CB01 CN01 4J002 BB02X BB11X BB16X BC02X BC03X BC06X BC07X BG00X BG06X BK00X BN07X BN12X BN15X BN16X BP01X CB00W CF03W CF05W CF16W CG00W CH07W CH09W CL00W CM04W CN01W CN03W DA016 DA036 DA066 DE106 DE136 DE186 DE236 DJ006 DJ016 DJ036 DJ046 DJ056 DK006 DL006 FA016 FA046 FA066 FA086 FA106 FB076 FD016 FD040 FD050 FD060 FD070 GN00 GQ00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縮合系高分子(A成分)10〜94.5
    重量%、ビニル重合体(B成分)5〜80重量%、およ
    び無機充填材(C成分)0.5〜40重量%の合計10
    0重量%を含んでなる樹脂組成物を金型キャビティ内に
    充填することにより得られる成形品であって、該金型キ
    ャビティ表面の少なくとも一部が該充填中に主金型より
    も高温になる方法により成形されてなる樹脂組成物成形
    品。
  2. 【請求項2】 上記A成分とB成分は、上記A成分〜C
    成分からなる樹脂組成物における割合に応じたA成分と
    B成分とからなる樹脂組成物から得られた樹脂成形品に
    おいて、不均一な真珠光沢を有するか、またはウエルド
    付近に不均一な色調を呈する組合せである請求項1に記
    載の樹脂組成物成形品。
  3. 【請求項3】 A成分が芳香族ポリカーボネート樹脂で
    ある請求項1に記載の樹脂成形品。
  4. 【請求項4】 B成分がアクリル樹脂、ASA樹脂(ア
    クリロニトリル、スチレン、およびアクリルゴムから主
    としてなる共重合体樹脂)、およびスチレン系熱可塑性
    エラストマーから選択される少なくとも1種である請求
    項1に記載の樹脂組成物成形品。
  5. 【請求項5】 C成分が繊維状または粒状の充填剤であ
    る請求項1に記載の樹脂組成物成形品。
  6. 【請求項6】 上記樹脂組成物が、該樹脂組成物100
    重量%中、C成分が0.5〜20重量%である請求項1
    に記載の樹脂組成物成形品。
  7. 【請求項7】 金型キャビティ凹凸表面を転写すること
    により、成形品表面に艶消し状の部分を有する請求項1
    に記載の樹脂組成物成形品。
  8. 【請求項8】 上記金型キャビティ表面が主金型よりも
    高温になる方法が、金型キャビティ表面部分に断熱層を
    設ける方法である請求項1〜7のいずれか1項に記載の
    樹脂組成物成形品。
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