JP2002275187A - ホスファチジルコリンの製造方法 - Google Patents

ホスファチジルコリンの製造方法

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JP2002275187A
JP2002275187A JP2001080001A JP2001080001A JP2002275187A JP 2002275187 A JP2002275187 A JP 2002275187A JP 2001080001 A JP2001080001 A JP 2001080001A JP 2001080001 A JP2001080001 A JP 2001080001A JP 2002275187 A JP2002275187 A JP 2002275187A
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Ryuzo Hosoya
竜三 細谷
Koji Kamenosono
浩治 亀之園
Yoshiro Nakano
善郎 中野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易な操作で高純度のホスファチジルコリン
が高収率で得られる製造方法を提供する。 【解決手段】 グリセロホスホリルコリンと脂肪酸無水
物とを、溶媒中、塩基性触媒存在下に反応させて、ホス
ファチジルコリンを製造するにあたり、溶媒がハロゲン
系溶媒と非プロトン性極性溶媒からなる混合溶媒であ
り、その重量比が2/3〜10/1であり、使用量がグ
リセロホスホリルコリンに対し5〜20倍重量であるこ
とを特徴とするホスファチジルコリンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホスファチジルコ
リンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ホスファチジルコリンは、生体膜の主要
構成成分として知られており、生体機能解析のモデル系
としての利用や、水中でのリポソームを形成する特徴を
利用したドラッグデリバリーシステム(DDS)キャリ
ヤー等への展開が図られるなど、化粧品、医薬、薬学、
生化学等の分野において注目されている物質である。特
にDDSの分野においては、様々な化合物を結合させた
ホスファチジルコリン誘導体を利用して研究が盛んに行
われ、応用への期待が高まっている。しかしながら、ホ
スファチジルコリンとして天然より抽出・濃縮したもの
は純度が低く、またアシル基の種類が限られているた
め、材料として強度的にも機能的にも限界があった。よ
ってこれらの欠点を解消し、目的に応じた機能を持つホ
スファチジルコリンを得るため、様々な製造法が検討さ
れている。
【0003】ホスファチジルコリンの合成法としては、 (1)グリセロホスホリルコリン(以下「GPC」と略
す)・塩化カドミウム錯体を脂肪酸クロリドでアシル化
する方法(Can.J.Biochem.Physio
l.37,953(1959))。 (2)GPCをアシルイミダゾールでアシル化する方法
(Chem.Phys.Lipids 28,111
(1981))。 (3)4−ジメチルアミノピリジン(以下「DMAP」
と略す)存在下、クロロホルムを溶媒として用い、GP
Cを脂肪酸無水物でアシル化する方法(J.Am.Ch
em.Soc.104,791(1982))。 (4)塩基性触媒存在下、担体に担持させたGPCを脂
肪酸無水物、または脂肪酸ハロゲン化物でアシル化する
方法(特開昭61−207396号公報)。 (5)N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド等の
縮合剤とDMAP等のエステル化触媒を用い、GPCを
脂肪酸無水物でアシル化する方法(特開平1−6148
9号公報)。 (6)GPCを脂肪酸金属塩に担持させ、炭素原子上に
活性水素原子を有し、かつそれ自身アシル化されるおそ
れのない有機溶媒の中から少なくとも1種または2種か
ら選ばれる有機溶媒中、無触媒下に脂肪酸無水物とアシ
ル化する方法。(特開平2−76890号公報) (7)GPCと脂肪酸無水物とを炭素数が1〜7個の低
級アルコールに溶解した後、低級アルコールを留去し、
次いで塩基性触媒を加えてアシル化する方法(特開平4
−99784号公報)等が知られている。
【0004】しかしながらこれらの製造方法には種々の
問題点がある。すなわち(1)の方法は、生体に有毒な
塩化カドミウムを使用しているためイオン交換クロマト
グラフィー等を用いても完全に除去することは困難であ
る。さらには作業環境的にも好ましくない。(2)の方
法は、脂肪酸をイミダゾール誘導体として活性化しアシ
ル化するものであるが、反応時間が長く、しかも収量が
低い。さらには反応熱の制御が困難なため、熱変成しや
すい不飽和脂肪酸残基を有するホスファチジルコリンの
製造には不適である。(3)の方法は、GPCを脂肪酸
無水物と反応させるものであるが、クロロホルム単一溶
媒でありまたDMAPの使用量がGPCに対して3倍モ
ル量と過剰であるため、反応に長時間を要し、かつ収量
も低い。特に不飽和脂肪酸残基を有するホスファチジル
コリンの製造は収量が低い。(4)の方法は、GPCを
担体に担持させ、これを脂肪酸無水物と接触させてアシ
ル化させるものであるが、GPCを担体に担持させる操
作や反応後の担体の分離操作等に複雑な工程を要し、収
量も低い。(5)の方法は、粉末化したGPCを脂肪酸
無水物に添加するか、もしくは脂肪酸無水物中でGPC
を微粉砕した後にアシル化するものであるが、飽和脂肪
酸残基以外の脂肪酸残基を有するホスファチジルコリン
の場合は、反応に長時間を要し、かつ収量も低い。
(6)の方法は、炭素原子上に活性水素原子を有し、か
つそれ自身アシル化されるおそれのない有機溶媒中に、
脂肪酸金属塩に担持させたGPCと脂肪酸無水物と無触
媒下でアシル化するものであるが、GPCを脂肪酸金属
塩に担持させる工程(溶解、乾固)を要し、作業が煩雑
になる。また乾固しきれなかった残存メタノールが、脂
肪酸無水物と反応して収量の低下なども危惧される。さ
らには、担持とアシル化を含む脂肪酸の総使用量が多
く、経済的に不利である。(7)の方法は、GPCにア
シル基を導入するに際し、GPCとアシル基を導入する
原料とが混融しないことを解決するために、GPCを低
級アルコールに溶解し、低級アルコールを留去、減圧乾
燥したGPCを脂肪酸無水物とアシル化するものである
が、GPCの低級アルコールへの溶解、低級アルコール
の留去、減圧乾燥など多大な工程を要し、生産効率が低
い。また完全に除去しきれなかった低級アルコールと脂
肪酸無水物とが反応した副生成物の混入により、精製の
困難性、また収量の低下なども危惧される。以上のよう
に、これらの方法には毒性、反応に長時間要する点、低
収量(収率)、工程数の増加による作業の煩雑性や生産
性効率の低下などの問題点があり、特に不飽和脂肪酸残
基を有するホスファチジルコリンを高収率で得ることは
困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、簡易
な操作で高純度のホスファチジルコリンが高収率で得ら
れる製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、 (A)式(1)で表されるGPCと
【0007】
【化4】
【0008】式(2)で表される脂肪酸無水物とを
【0009】
【化5】
【0010】(式中、Rは炭素数7〜21の直鎖状また
は分岐状の、飽和または不飽和炭化水素基を示す。) 溶媒中、塩基性触媒存在下に反応させて、式(3)で表
されるホスファチジルコリンを
【0011】
【化6】
【0012】(式中、Rは前記に同じ。) 製造するにあたり、溶媒がハロゲン系溶媒と非プロトン
性極性溶媒からなる混合溶媒であり、その重量比が2/
3〜10/1であり、使用量が式(1)で表されるグリ
セロホスホリルコリンに対し5〜20倍重量であること
を特徴とするホスファチジルコリンの製造方法。 (B)非プロトン性極性溶媒がアセトン、アセトニトリ
ル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N
−ジメチルアセトアミド(DMAc)およびジメチルス
ルホキシド(DMSO)からなる群より選ばれる1種ま
たは2種以上である前記のホスファチジルコリンの製造
方法。 (C)塩基性触媒が4−ジメチルアミノピリジン、4−
ジメチルアミノ−2−メチルピリジン、4−ジエチルア
ミノピリジン、4−ピロリジノピリジンおよび4−ピロ
リジノ−2−メチルピリジンからなる群より選ばれる1
種または2種以上で、その使用量が式(1)で表される
グリセロホスホリルコリンに対し0.05〜1倍モル量
である前記のホスファチジルコリンの製造方法。 (D)脂肪酸無水物が不飽和脂肪酸無水物である前記の
ホスファチジルコリンの製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に用いる、式(1)で表さ
れるGPCは、例えば、卵黄レシチン、大豆レシチン等
の天然レシチンを常法に従って加水分解またはアルコリ
シスすることにより容易に得ることができる。式(2)
で表される脂肪酸無水物は、飽和脂肪酸無水物または不
飽和脂肪酸無水物であり、Rの炭素数は7〜21であ
る。飽和脂肪酸無水物に対応する脂肪酸としては、例え
ば、オクタン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチ
ン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が挙げら
れ、不飽和脂肪酸無水物に対応する脂肪酸としては、例
えば、オレイン酸、エライジン酸、エルシン酸、リノー
ル酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキ
サエン酸、アラキドン酸等が挙げられ、これらの中から
1種または2種以上を、あるいは、ヤシ油脂肪酸、牛脂
脂肪酸等の混合脂肪酸を用いてもよい。より好ましくは
不飽和脂肪酸無水物である。ここで用いる脂肪酸無水物
は、脂肪酸と脂肪酸塩化物とを縮合する方法、または脂
肪酸を脱水する方法などの常法に従って得ることができ
る。脂肪酸無水物の使用量は、GPC1モルに対して、
2〜4倍モルの範囲が望ましい。2倍モルより少ない
と、リゾホスファチジルコリンや未反応のグリセロホス
ホリルコリンが残るため好ましくなく、また4倍モルよ
り多いと、脂肪酸無水物が未反応物として残るために精
製が困難になり好ましくない。
【0014】本発明に用いる溶媒は、ハロゲン系溶媒と
非プロトン性極性溶媒からなる混合溶媒である。ハロゲ
ン系溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレ
ン、塩化エチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベ
ンゼン等が挙げられる。より好ましくは、クロロホルム
が挙げられる。また非プロトン性極性溶媒としては、例
えば、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリ
ル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N
−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホ
キシド(DMSO)、1,3−ジメチル−2−イミダゾ
リジノン等が挙げられる。入手が容易で安価である点、
反応後の除去が容易である点から、アセトン、アセトニ
トリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、
N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチル
スルホキシド(DMSO)が好ましく、より好ましく
は、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド
(DMF)が挙げられる。またハロゲン系溶媒と非プロ
トン性極性溶媒との割合は重量比で2/3〜10/1の
範囲が望ましい。ハロゲン系溶媒と非プロトン性極性溶
媒の重量比が2/3より小さいと脂肪酸無水物が溶解し
づらくなり、10/1より大きいと反応改善の効果が少
ない。またこの混合溶媒の使用量は、GPCに対して、
5〜20倍重量の使用である。5倍より小さいと脂肪酸
無水物が混合溶媒に溶解しづらくなり、20倍より大き
いと反応速度が遅くなる。
【0015】本発明に使用する塩基性触媒としては3級
アミン、もしくはピリジン誘導体が挙げられ、中でもピ
リジン誘導体が好ましい。ピリジン誘導体としては、例
えば、ピリジン、2,6−ルチジン、4−ジメチルアミ
ノピリジン、4−ジメチルアミノ−2−メチルピリジ
ン、4−ジエチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリ
ジン、4−ピロリジノ−2−メチルピリジン等が挙げら
れる。入手が容易である点から、4−ジメチルアミノピ
リジン、4−ジメチルアミノ−2−メチルピリジン、4
−ジエチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジン、
4−ピロリジノ−2−メチルピリジンが好ましく、より
好ましくは、4−ジメチルアミノピリジン、4−ジエチ
ルアミノピリジンが挙げられる。塩基性触媒の使用量
は、GPCに対して0.05〜1倍モルの範囲が望まし
い。0.05倍モルより少ないと反応速度が遅くなるた
め好ましくなく、1倍モルより多いと反応後の精製が困
難になるため好ましくない。反応温度は、用いる脂肪酸
無水物や溶媒により異なるが、通常は10℃〜80℃、
より好ましくは40℃〜60℃である。生成物の精製法
としては、抽出法、再沈殿法、晶析法、カラムクロマト
グラフィー等が挙げられる。
【0016】また本発明において、反応はすべて乾燥し
た溶媒と塩基性触媒を用いることが好ましく、さらに不
活性ガス気流下で行うことが望ましい。また不活性ガス
は、例えば、窒素、アルゴン等が挙げられる。
【0017】
【発明の効果】本発明により、これまで複雑な作業を伴
ってきたホスファチジルコリンの製造方法が、ハロゲン
系溶媒と非プロトン性極性溶媒を特定の比率で使用する
ことで、反応速度が顕著に速くなり、これにより反応時
間が短縮でき、飽和脂肪酸だけでなく不飽和脂肪酸を原
料としたホスファチジルコリンを高収率かつ高純度で得
ることができる。またGPCなどの原料の誘導体化、前
処理等が不要であることから工程数が少なく、かつ触媒
の使用量も大幅に削減できる。
【0018】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に
説明する。表1の条件で各ホスファチジルコリンを製造
し評価を行った。脂肪酸無水物の合成、反応後のホスフ
ァチジルコリン含有率、および精製後のホスファチジル
コリンの純度の算出は、以下のように行った。 《脂肪酸無水物の合成》脂肪酸をクロロホルム中に1モ
ル濃度になるように溶解し、氷冷下でN,N’−ジシク
ロヘキシルカルボジイミドを0.7モル濃度になるよう
に加え、白色のN,N’−ジシクロヘキシルウレアが沈
殿してきたら、N,N’−ジシクロヘキシルウレアをろ
過により除去、溶媒を減圧留去する方法により得た。 《反応後のホスファチジルコリン含有率》反応溶液の溶
媒を留去した後の残渣100mgをTLCプレート(メ
ルク社製TLC plates 20×20cm Si
lica gel 60)に添着し、クロロホルム/メ
タノール/水=65/25/4(容量比)で展開した。
ホスファチジルコリンの層と他の層を別々にかき取り、
それぞれをクロロホルム/メタノール=65/35(容
量比)100mLで抽出し、溶媒留去した後、残渣の重
量よりアシル化反応後のホスファチジルコリンの含有率
を求めた。 《精製後のホスファチジルコリンの純度》TLCプレー
ト(Merck社製TLC plates 20×20
cm Silica gel 60)に100μg/μ
L(クロロホルム)の濃度に調整したホスファチジルコ
リンを1μL添着し、同プレート上に100μg/μL
(クロロホルム)の濃度に調整した不純物(脂肪酸、モ
ノアシル化物等)を特定容量添着した。クロロホルム/
メタノール/水=65/25/4(容量比)で展開さ
せ、リン酸・硫酸銅水溶液(リン酸8mL、硫酸銅(無
水)10gを蒸留水で100mLとしたもの)を噴霧し
加熱して発色させた。試料と不純物に対応する化合物の
スポットを比較して純度を求めた。
【0019】実施例1 撹拌装置、冷却管、温度計および窒素封入管を付した2
00mLの4つ口フラスコに、GPC7.5g(29m
mol)、ミリスチン酸無水物27.9g(64mmo
l)、クロロホルム45gおよびアセトン55gを入れ
て仕込み、窒素気流下で50℃に保った。そこへ4−ジ
メチルアミノピリジン2.1g(17mmol,対GP
Cモル比0.59)を入れてそのまま撹拌し、4時間反
応を行った。反応溶液をろ過し、溶媒を減圧留去後、残
渣100mgをとり、TLCで含有率を測定した結果、
反応後のジミリストイルホスファチジルコリンの含有率
は50%であった。残渣をカラム精製(シリカゲル30
0g、クロロホルム/メタノール/水=80/20/
4)し、ジミリストイルホスファチジルコリンの白色粉
末を18.2g得た(収率92%)。この白色粉末をT
LCで純度を測定した結果、ジミリストイルホスファチ
ジルコリンの純度は99.4%であった。
【0020】実施例2 撹拌装置、冷却管、温度計および窒素封入管を付した2
00mLの4つ口フラスコに、GPC7.2g(28m
mol)、パルミチン酸無水物33.0g(67mmo
l)、クロロホルム70gおよびアセトニトリル30g
を入れて仕込み、窒素気流下で55℃に保った。そこへ
4−ジメチルアミノピリジン1.0g(8.2mmo
l,対GPCモル比0.29)を入れてそのまま撹拌
し、4時間反応を行った。反応溶液をろ過し、溶媒を減
圧留去後、残渣100mgをとり、TLCで含有率を測
定した結果、反応後のジパルミトイルホスファチジルコ
リンの含有率は46%であった。残渣をカラム精製(シ
リカゲル300g、クロロホルム/メタノール/水=8
0/20/4)し、ジパルミトイルホスファチジルコリ
ンの白色粉末を18.5g得た(収率91%)。この白
色粉末をTLCで純度を測定した結果、ジパルミトイル
ホスファチジルコリンの純度は99.6%であった。
【0021】実施例3 撹拌装置、冷却管、温度計および窒素封入管を付した1
Lの4つ口フラスコに、GPC14g(54mmo
l)、オレイン酸無水物67.9g(124mmo
l)、クロロホルム120gおよびアセトニトリル12
0gを入れて仕込み、窒素気流下で50℃に保った。そ
こへ4−ジメチルアミノピリジン3.4g(28mmo
l,対GPCモル比0.51)を入れてそのまま撹拌
し、5時間反応を行った。反応溶液をろ過し、溶媒を減
圧留去後、残渣100mgをとり、TLCで含有率を測
定した結果、反応後のジオレオイルホスファチジルコリ
ンの含有率は49%であった。残渣をカラム精製(シリ
カゲル600g、クロロホルム/メタノール/水=80
/20/4)し、ジオレオイルホスファチジルコリンの
白色粉末を40.0g得た(収率93%)。この白色粉
末をTLCで純度を測定した結果、ジオレオイルホスフ
ァチジルコリンの純度は99.5%であった。
【0022】実施例4 撹拌装置、冷却管、温度計および窒素封入管を付した1
Lの4つ口フラスコに、GPC14g(54mmo
l)、オレイン酸無水物67.9g(124mmo
l)、クロロホルム192gおよびN,N−ジメチルホ
ルムアミド(DMF)48gを入れて仕込み、窒素気流
下で50℃に保った。そこへ4−ジメチルアミノピリジ
ン3.0g(25mmol,対GPCモル比0.45)
を入れてそのまま撹拌し、6時間反応を行った。反応溶
液をろ過し、溶媒を減圧留去後、残渣100mgをと
り、TLCで含有率を測定した結果、反応後のジオレオ
イルホスファチジルコリンの含有率は48%であった。
残渣をカラム精製(シリカゲル600g、クロロホルム
/メタノール/水=80/20/4)し、ジオレオイル
ホスファチジルコリンの白色粉末を39.6g得た(収
率92%)。この白色粉末をTLCで純度を測定した結
果、ジオレオイルホスファチジルコリンの純度は99.
4%であった。
【0023】実施例5 撹拌装置、冷却管、温度計および窒素封入管を付した1
Lの4つ口フラスコに、GPC7.2g(28mmo
l)、リノレン酸無水物33g(61mmol)、クロ
ロホルム60gおよびジメチルスルホキシド(DMS
O)60gを入れて仕込み、窒素気流下で50℃に保っ
た。そこへ4−ジメチルアミノピリジン2.1g(17
mmol,対GPCモル比0.61)を入れてそのまま
撹拌し、5時間反応を行った。反応溶液をろ過し、溶媒
を減圧留去後、残渣100mgをとり、TLCで含有率
を測定した結果、反応後のジリノレオイルホスファチジ
ルコリンの含有率は48%であった。残渣をカラム精製
(シリカゲル300g、クロロホルム/メタノール/水
=80/20/4)し、ジリノレオイルホスファチジル
コリンの白色粉末を19.4g得た(収率90%)。こ
の白色粉末をTLCで純度を測定した結果、ジリノレオ
イルホスファチジルコリンの純度は99.2%であっ
た。
【0024】比較例1 撹拌装置、冷却管、温度計および窒素封入管を付した1
Lの4つ口フラスコに、GPC6.6g(26mmo
l)、パルミチン酸無水物29.5g(60mmol)
およびクロロホルム120gを入れて仕込み、窒素気流
下で50℃に保った。そこへ4−ジメチルアミノピリジ
ン1.9g(16mmol,対GPCモル比0.61)
を入れてそのまま撹拌し、17時間反応を行った。反応
溶液をろ過し、溶媒を減圧留去後、残渣100mgをと
り、TLCで含有率を測定した結果、反応後のジパルミ
トイルホスファチジルコリンの含有率は24%であっ
た。残渣をカラム精製(シリカゲル300g、クロロホ
ルム/メタノール/水=80/20/4)を行い、ジパ
ルミトイルホスファチジルコリンの白色粉末を8.4g
得た(収率45%)。この白色粉末をTLCで純度を測
定した結果、ジパルミトイルホスファチジルコリンの純
度は96.8%であった。
【0025】比較例2 撹拌装置、冷却管、温度計および窒素封入管を付した1
Lの4つ口フラスコに、GPC6.6g(26mmo
l)、パルミチン酸無水物29.5g(60mmol)
およびクロロホルム120gを入れて仕込み、窒素気流
下で50℃に保った。そこへ4−ジメチルアミノピリジ
ン6.3g(52mmol,対GPCモル比2.0)を
入れてそのまま撹拌し、17時間反応を行った。反応溶
液をろ過し、溶媒を減圧留去後、残渣100mgをと
り、TLCで含有率を測定した結果、反応後のジパルミ
トイルホスファチジルコリンの含有率は26%であっ
た。残渣をカラム精製(シリカゲル300g、クロロホ
ルム/メタノール/水=80/20/4)を行い、ジパ
ルミトイルホスファチジルコリンの白色粉末を10.5
g得た(収率56%)。この白色粉末をTLCで純度を
測定した結果、ジパルミトイルホスファチジルコリンの
純度は97.4%であった。
【0026】比較例3 撹拌装置、冷却管、温度計および窒素封入管を付した1
Lの4つ口フラスコに、GPC14g(55mmo
l)、オレイン酸無水物67.9g(124mmol)
およびクロロホルム240gを入れて仕込み、窒素気流
下で50℃に保った。そこへ4−ジメチルアミノピリジ
ン3.4g(28mmol,対GPCモル比0.51)
を入れてそのまま撹拌し、20時間反応を行った。反応
溶液をろ過し、溶媒を減圧留去後、残渣100mgをと
り、TLCで含有率を測定した結果、反応後のジオレイ
ルホスファチジルコリンの含有率は20%であった。残
渣をカラム精製(シリカゲル600g、クロロホルム/
メタノール/水=80/20/4)を行い、ジオレオイ
ルホスファチジルコリンの白色粉末を13.8g得た
(収率32%)。この白色粉末をTLCで純度を測定し
た結果、ジオレオイルホスファチジルコリンの純度は9
5.2%であった。
【0027】比較例4 撹拌装置、冷却管、温度計および窒素封入管を付した1
Lの4つ口フラスコに、GPC14g(55mmo
l)、オレイン酸無水物67.9g(124mmo
l)、クロロホルム72gおよびアセトニトリル168
gを入れて仕込み、窒素気流下で50℃に保った。そこ
へ4−ジメチルアミノピリジン3.4g(28mmo
l,対GPCモル比0.51)を入れてそのまま撹拌
し、20時間反応を行った。反応溶液をろ過し、溶媒を
減圧留去後、残渣100mgをとり、TLCで含有率を
測定した結果、反応後のジオレイルホスファチジルコリ
ンの含有率は11%であった。残渣をカラム精製(シリ
カゲル600g、クロロホルム/メタノール/水=80
/20/4)を行い、ジオレオイルホスファチジルコリ
ンの白色粉末を7.7g得た(収率18%)。この白色
粉末をTLCで純度を測定した結果、ジオレオイルホス
ファチジルコリンの純度は95.0%であった。
【0028】
【表1】
【0029】実施例1〜5ではいずれも4〜6時間の短
い反応時間で、高収率で高純度のホスファチジルコリン
が得られることがわかる。比較例1、3では溶媒として
ハロゲン系溶媒のみを使用したため、比較例2では溶媒
としてハロゲン系溶媒のみを使用し、さらにGPCに対
する触媒使用量が多いため、また比較例4ではハロゲン
系溶媒と非プロトン性極性溶媒との重量比が小さいた
め、長時間反応させても収率、純度ともに実施例に比較
して低い。以上の結果から、本発明の製造方法によって
短時間で高純度なホスファチジルコリンを得ることが可
能であり、医薬物を含有する薬物運搬体などの医用材料
として安全に使用することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(1)で表されるグリセロホスホリルコ
    リンと 【化1】 式(2)で表される脂肪酸無水物とを 【化2】 (式中、Rは炭素数7〜21の直鎖状または分岐状の、
    飽和または不飽和炭化水素基を示す。) 溶媒中、塩基性触媒存在下に反応させて、式(3)で表
    されるホスファチジルコリンを 【化3】 (式中、Rは前記に同じ) 製造するにあたり、溶媒がハロゲン系溶媒と非プロトン
    性極性溶媒からなる混合溶媒であり、その重量比が2/
    3〜10/1であり、使用量がグリセロホスホリルコリ
    ンに対し5〜20倍重量であることを特徴とするホスフ
    ァチジルコリンの製造方法。
  2. 【請求項2】非プロトン性極性溶媒がアセトン、アセト
    ニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジ
    メチルアセトアミドおよびジメチルスルホキシドからな
    る群より選ばれる1種または2種以上である請求項1に
    記載のホスファチジルコリンの製造方法。
  3. 【請求項3】塩基性触媒が4−ジメチルアミノピリジ
    ン、4−ジメチルアミノ−2−メチルピリジン、4−ジ
    エチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジンおよび
    4−ピロリジノ−2−メチルピリジンからなる群より選
    ばれる1種または2種以上で、その使用量がグリセロホ
    スホリルコリンに対し0.05〜1倍モル量である請求
    項1または請求項2に記載のホスファチジルコリンの製
    造方法。
  4. 【請求項4】脂肪酸無水物が不飽和脂肪酸無水物である
    請求項1、請求項2または請求項3に記載のホスファチ
    ジルコリンの製造方法。 【0001】
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006265104A (ja) * 2005-03-22 2006-10-05 Nof Corp 皮膚外用剤用リン脂質誘導体、皮膚外用剤、リポソームおよび脂肪乳剤
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