JP2002273212A - 有機塩素系化合物用吸着材 - Google Patents

有機塩素系化合物用吸着材

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 効果的に吸着できる吸着材の提供。 【解決手段】 カルシウムアルミネート類を含有する有
機塩素系化合物用吸着材。さらに、硫酸塩を含有してな
る該有機塩素系化合物用吸着材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機塩素系化合物
等を効果的に吸着できる吸着材に関する。尚、本発明で
使用する部や%は特に規定のない限り質量基準である。
【0002】
【従来の技術】トリクロロエチレン、テトラクロロエチ
レン、フロン、及び塩化メチレン等の有機塩素系化合物
は、ドライクリーニングの溶剤、電子部品や金属製品の
脱脂剤、及び冷媒等として広く利用されている。
【0003】しかしながら、これらの化合物はオゾン層
破壊の原因物質であり、発ガン性が疑われている。そこ
で、これらの化合物を除去することが要望されていた。
【0004】除去方法としては、真空抽出法等により有
機塩素系化合物を分離させ、活性炭等の吸着材に吸着さ
せることにより回収する方法(特開平6−63357号
公報)や、分解微生物を用いた、いわゆるバイオレメデ
ィエーション法(特開平9−276839号公報)が行
われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法は、吸着又は分解の効率が十分でなく、より効果
的な吸着材が要望されていた。
【0006】本発明者は、特定の吸着材を使用すること
により、有機塩素系化合物等をより効果的に吸着できる
という知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、カルシ
ウムアルミネート類を含有してなる有機塩素系化合物用
吸着材であり、さらに、硫酸塩を含有してなる該有機塩
素系化合物用吸着材である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明の吸着材は有機塩素系化合物からな
る被吸着材を吸着するものである。本発明の吸着材は被
吸着材が有機塩素系化合物だと、吸着効果が大きくな
る。有機塩素系化合物としては、トリクロロエチレン、
テトラクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエ
チレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、四塩化炭
素、クロロエタン、メチレンクロリド、クロロホルム、
塩化ビニルモノマー、1,1−ジクロロエタン、1,2
−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、ジクロ
ロブロモエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、ブ
ロモジクロロメタン、クロロジブロモメタン、ダイオキ
シン、及びPCB等が挙げられる。特に有機塩素系化合
物が、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、及
び四塩化炭素からなる群のうちの1種又は2種以上だ
と、吸着材の吸着効果を大きく発揮できるものである。
【0010】本発明のカルシウムアルミネート類(以下
CA類という)とは、カルシアを含む原料と、アルミナ
を含む原料等とを混合して、キルンでの焼成や、電気炉
での溶融等の熱処理をして得られる、CaOとAl23
とを主たる成分とし、水和活性を有する物質の総称で
あり、CaO及び/又はAl23の一部が、アルカリ金
属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化ケイ素、酸化
チタン、酸化鉄、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ
土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属硫酸塩、及びアル
カリ土類金属硫酸塩等と置換した物質、あるいはCaO
とAl23とを主成分とするものに、これらが少量固溶
した物質である。鉱物形態としては、結晶質、非晶質い
ずれであってもよい。
【0011】CA類の中では、少量の吸着材で被吸着材
を吸着できる点で、非晶質のガラスが好ましい。
【0012】CA類中のCaO含有率とAl23含有率
は、CaO含有率5〜65%、Al 23含有率35〜9
5%が好ましく、CaO含有率20〜50%、Al23
含有率50〜80%がより好ましい。CaO含有率やA
23含有率がこの範囲外だと被吸着材を十分に吸着で
きないおそれがある。
【0013】CA類の比表面積は、少量の吸着材で被吸
着材を吸着できる点で、大きいことが好ましい。CA類
のブレーン比表面積は、3,000cm2/g以上が好
ましく、5,000cm2/g以上がより好ましく、
8,000cm2/g以上が最も好ましい。3,000
cm2/g未満だと被吸着材を十分に吸着できないおそ
れがある。
【0014】さらに、本発明では、被吸着材を更に吸着
させるために、CA類に硫酸塩を併用することが好まし
い。
【0015】本発明の硫酸塩としては、6水塩、10水
塩、16水塩、及び18水塩等の含水硫酸アルミニウ
ム、無水硫酸アルミニウム、0.5水塩や2水塩等の含
水硫酸カルシウム、無水硫酸カルシウム、7水塩や10
水塩等の含水硫酸ナトリウム、無水硫酸ナトリウム、1
水塩、6水塩、及び7水塩等の含水硫酸マグネシウム、
無水硫酸マグネシウム、3水塩、6水塩、7水塩、7.
5水塩、9水塩、10水塩、及び12水塩等の含水硫酸
鉄、無水硫酸鉄(II)や無水硫酸鉄(III)といっ
た無水硫酸鉄、硫酸リチウム1水塩、並びに無水硫酸リ
チウム等が挙げられる。これらの中では、吸着量が大き
い点で、無水硫酸アルミニウム及び/又は硫酸アルミニ
ウム18水塩が好ましい。
【0016】硫酸塩の平均粒子径は、少量の吸着材で被
吸着材を吸着できる点で、小さいことが好ましい。硫酸
塩の平均粒子径は、1mm以下が好ましく、0.5mm
以下がより好ましい。1mmを越えると被吸着材を十分
に吸着できないおそれがある。
【0017】硫酸塩の使用量は、CA類100部に対し
て50〜300部が好ましく、100〜200部がより
好ましい。50部未満だと吸着量が小さいおそれがあ
り、300部を越えても吸着性が小さいおそれがある。
【0018】吸着材の使用量は、特に限定されないが、
例えば空気が被吸着材を10〜100ppm含有する場
合には、被吸着材を10〜100ppm含有する空気1
0リットルに対して、吸着材は0.01〜50gが好ま
しく、0.5〜5gがより好ましい。0.01g未満だ
と吸着量が小さいおそれがあり、50gを越えても吸着
量は変わらず、経済的に好ましくないおそれがある。
【0019】本発明では吸着材を空気中に放置するが、
吸着材を放置する空気の温度は、0〜1000℃が好ま
しく、50〜500℃がより好ましい。空気の温度がこ
の範囲外だと吸着量が小さいおそれがある。
【0020】吸着材を放置する空気中の相対湿度は、3
0%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、80
%以上が最も好ましい。30%未満だと吸着量が小さい
おそれがある。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実験例を示し、本発明をさら
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0022】実験例1 被吸着材としてトリクロロエチレンを100ppm含有
する空気(温度60℃、相対湿度85%)10リットル
中に、表1に示すCA類からなる吸着材を表1に示す量
入れ、1日間放置後、ガスクロマトグラフにより空気中
のトリクロロエチレン量を測定した。結果を表1に併記
する。
【0023】<使用材料> CA類ア:12CaO・7Al23組成に対応するガラ
ス、ブレーン比表面積8,500cm2/g、合成品 CA類イ:CaO・Al23結晶物、ブレーン比表面積
8,500cm2/g、合成品 CA類ウ:8CaO・Na2O・3Al23組成に対応
するガラス、ブレーン比表面積8,600cm2/g、
合成品 トリクロロエチレン:試薬
【0024】<試験方法> トリクロロエチレン量:ガスクロマトグラフによる測
定。
【0025】
【表1】
【0026】実験例2 吸着材としてCA類ア100部と表2に示す硫酸塩15
0部からなる吸着材を表2に示す量用いたこと以外は、
実験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
【0027】<使用材料> 硫酸塩α:硫酸アルミニウム18水塩、平均粒子径0.
3mm、市販品 硫酸塩β:無水硫酸カルシウム、平均粒子径0.3m
m、市販品
【0028】
【表2】
【0029】実験例3 被吸着材として四塩化炭素を10ppm含有する空気
(温度60℃、相対湿度85%)10リットル中に、表
3に示すCAS100部と表3に示す量の硫酸塩からな
る吸着材を1g入れ、30分間放置後、ガスクロマトグ
ラフにより空気中の四塩化炭素量を測定した。結果を表
3に併記する。
【0030】<使用材料> 四塩化炭素:試薬
【0031】<試験方法> 四塩化炭素量:ガスクロマトグラフによる測定。
【0032】
【表3】
【0033】
【発明の効果】以上のように、本発明の吸着材を使用す
ることにより、有機塩素系化合物等を効果的に吸着でき
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシウムアルミネート類を含有してな
    る有機塩素系化合物用吸着材。
  2. 【請求項2】 さらに、硫酸塩を含有してなる請求項1
    記載の有機塩素系化合物用吸着材。
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