JP2002266631A - ガスエンジン排ガスの浄化方法およびガスエンジン排ガスの浄化装置 - Google Patents

ガスエンジン排ガスの浄化方法およびガスエンジン排ガスの浄化装置

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JP2002266631A JP2001071163A JP2001071163A JP2002266631A JP 2002266631 A JP2002266631 A JP 2002266631A JP 2001071163 A JP2001071163 A JP 2001071163A JP 2001071163 A JP2001071163 A JP 2001071163A JP 2002266631 A JP2002266631 A JP 2002266631A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】希薄燃焼ガスエンジンの排ガスの処理に関し、
特に炭化水素成分を酸化触媒を用いて酸化除去するにあ
たって、排ガス温度が低い場合にも高価な触媒を大量に
用いることなく効率的に酸化除去を行うことを可能にす
る方法及び装置を提供する。 【解決手段】一対の蓄熱体に挟まれた触媒層に流通方向
を正逆交互に切り換えて排ガスを流通することを特徴と
する希薄燃焼ガスエンジン排ガス浄化方法および排ガス
浄化装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、希薄燃焼ガスエン
ジンの排ガスの処理に関し、特に炭化水素成分を酸化触
媒を用いて酸化除去するにあたって、排ガス温度が低い
場合にも高価な触媒を大量に用いることなく効率的に酸
化除去を行うことを可能にする装置に関する。
【0002】ここで、希薄燃焼ガスエンジンとは、理論
空燃比よりも空気過剰の状態において運転されるガスエ
ンジンのことであり、その排ガス中には酸素が通常体積
基準で3〜14%程度含まれる。
【0003】
【従来の技術】ガスエンジンを用いる発電装置は、硫黄
酸化物の排出が極めて少なく、環境負荷が小さいので、
都市域などで用いられているコージェネレーションには
特に適している。
【0004】近年、発電効率を向上するために、従来の
理論空燃比エンジンに替えて希薄燃焼エンジンが普及し
つつある。特に最近は、更なる発電効率と環境性の向上
を目指して、副室燃焼型エンジンなどの排ガス中のNOx
濃度が低くかつ発電効率の高いエンジンが普及しつつあ
る。
【0005】しかしながら、これらのエンジンは、一般
に空気過剰率が高いなどの理由から、排ガス中に未燃焼
の炭化水素を比較的多く含むうえに、排ガス温度が低
い。そのため、非常に高活性な酸化触媒をもってしても
十分に排ガス中の炭化水素を酸化除去しがたいという問
題点がある。
【0006】例えば特開平11-319559号公報には、メタ
ン含有排ガスの浄化用触媒として、ジルコニアにパラジ
ウムおよび白金を担持した触媒が開示されている。
【0007】しかしながら、この触媒であっても例えば
排ガス温度が450℃を下回るなど排ガス温度が低い場合
には、十分な酸化性能を確保するために大量の触媒が必
要となる。触媒自身が高価であるので、コスト的な問題
が生じる。
【0008】このような低温のガスに対しても高い酸化
性能を得られる方法として、触媒への排ガスの流通方向
を交互に切り換える方法を天然ガスディーゼルエンジン
自動車に適用することが提案されている(スタディーズ
・イン・サーフェスサイエンス・アンド・キャタリシス
[Studies in Surface Science and Catalysis]、119巻9
07ページ参照)。
【0009】しかし、このような方式を特に発電用のガ
スエンジン(希薄燃焼ガスエンジン)に適用する場合に
は、下記のような問題が生じる。 排ガスの流通方向を切り換える時に、圧力損失が上昇
してエンジンに影響が及び、発電される電力の品質が低
下する、 切換の頻度が高いので、長時間連続で運転されるコー
ジェネレーション(熱電併給)システムでは、バルブ故
障によるシステムの信頼性低下が懸念される、 長時間にわたって定常的に運転されるうえに、エンジ
ン始動時の最高到達温度が低いので、交互流通しても性
能向上効果が発生しないか、効果が生じるまでの立ち上
がりに長時間を要する。
【0010】一方、このようにガスを交互に流通する方
法自体は、工業用燃焼炉などにおいて蓄熱燃焼方式とし
て広く知られている。しかしながら、排ガス浄化方法に
適用する場合には、被処理ガスである排ガスの量が多い
上に、排ガス中の炭化水素濃度がエンジンによって決ま
るので、炭化水素濃度を任意に制御することができない
という問題点が生じる。さらに、発電される電力の品質
に影響が及ぶので、圧力損失の極端な変動が許されない
という点が問題となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、希
薄燃焼ガスエンジンの排ガスの処理に関し、特に炭化水
素成分を酸化触媒を用いて酸化除去するにあたって、排
ガス温度が低い場合にも高価な触媒を大量に用いること
なく効率的に炭化水素成分を酸化除去できる方法および
装置を提供することを主な目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記のような
従来技術の現状に留意しつつ鋭意検討を重ねた結果、蓄
熱体によって両側を挟まれた触媒に排ガスを交互に流通
することにより前記課題を解決できることを見出した。
さらに、特定の条件の下において、排ガスを触媒に流通
させることによって、より高い触媒能を得られることを
見出した。
【0013】本発明は、このような新たな知見に基づい
て完成されたものであり、下記の希薄燃焼ガスエンジン
排ガスの浄化方法および浄化装置に係る。 1.希薄燃焼ガスエンジン排ガスの浄化方法であって、
一対の蓄熱体に挟まれた触媒層に流通方向を正逆交互に
切り換えて排ガスを流通することを特徴とする方法。 2.触媒層に収容された触媒が、耐火性無機担体に白金
族の金属を担持したものである上記1に記載の排ガス浄
化方法。 3.排ガスの流通方向を切り換える時間間隔:t1(分)
が、下記の式4を満たす上記1または2に記載の方法。
【0014】
【式4】
【0015】4.排ガスの流通方向を切り換える時間間
隔:t1(分)が、下記の式5を満たす上記1または2に
記載の方法。
【0016】
【式5】
【0017】5.排ガス流通開始から少なくとも下記の
式6で示される時間:t2(分)が経過するまでは排ガス
の流通方向を一定方向に保持し、その後、排ガスの流通
方向を正逆交互に切り換えて排ガスを触媒層に流通する
ことを特徴とする上記1から4のいずれかに記載の方
法。
【0018】
【式6】
【0019】6.触媒層に流通させる前の排ガスに、メ
タン、エタン、プロパン、ブタン、メタノールおよびエ
タノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を排ガ
スに添加する上記1から5のいずれかに記載の方法。 7.排ガスの流通方向を切り換えるための四方バルブ、
および触媒とこれを挟んで配設された一対の耐火性無機
材料からなる蓄熱体とを収容する触媒容器を含み、触媒
容器の両端が四方バルブの二つの接続部に接続され、四
方バルブが、排ガス入口A、触媒容器との接続口B、他
方の触媒容器との接続口Cおよび排ガス出口Dの接続状
態を、切換位置1(A→B;C→D)と切換位置2(A
→C;B→D)とを切り換えるものであり、かつ切換の
途中は、常にA→Dの通路を確保してなされるものであ
る希薄燃焼ガスエンジン排ガスの浄化装置。 8.触媒が、耐火性無機担体に白金族の金属を担持した
ものである上記7に記載の排ガスの浄化装置。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の方法は、希薄燃焼ガスエ
ンジン排ガスの浄化方法であって、蓄熱体に挟まれた触
媒層に流通方向を正逆交互に切り換えて排ガスを流通す
ることを特徴とする。
【0021】本発明の装置は、排ガスの流通方向を切り
換えるための四方バルブ、および触媒とこれを挟んで配
設された一対の耐火性無機材料からなる蓄熱体とを収容
する触媒容器を含み、触媒容器の両端が四方バルブの二
つの接続部に接続され、四方バルブが、排ガス入口A、
触媒容器との接続口B、他方の触媒容器との接続口Cお
よび排ガス出口Dの接続状態を、切換位置1(A→B;
C→D)と切換位置2(A→C;B→D)とを切り換え
るものであり、かつ切換の途中は、常にA→Dの通路を
確保してなされるものである希薄燃焼ガスエンジン排ガ
スの浄化装置に係る。
【0022】本発明の方法および装置に用いる触媒とし
て、白金族金属を担持した触媒を用いることができる。
担持金属として、パラジウム、白金、ロジウム、イリジ
ウムなどを例示できる。担体として、アルミナ、ジルコ
ニア、酸化錫などの耐熱性無機担体を例示できる。担持
金属および担体は、それぞれ、1種を単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0023】好適な触媒として、特開平11-319559号公
報に記載の触媒などを例示することができる。即ち、酸
化ジルコニウムにパラジウムを担持し、必要に応じて更
に白金を担持してなる触媒を好適な触媒として例示する
ことができる。酸化ジルコニウム担体に対するパラジウ
ムの担持量は、好ましくは酸化ジルコニウムの重量を基
準として、通常1〜25%程度、より好ましくは2〜20%程
度である。パラジウムと白金とを併用する場合には、パ
ラジウムの担持量は、上記と同様であり、白金の担持量
は、好ましくはパラジウムの量を基準として、5〜50%
程度、より好ましくは10〜50%程度である。
【0024】用いる触媒は、含浸法などの方法により製
造することができる。例えば、酸化ジルコニウムにパラ
ジウムを担持し、必要に応じて更に白金を担持してなる
触媒は、酸化ジルコニウム担体にパラジウムイオンある
いはパラジウムイオンと白金イオンとを含む溶液を含浸
させ、乾燥させ、次いで焼成することにより得ることが
できる。以下、この方法について、より具体的に述べ
る。
【0025】用いる酸化ジルコニウム担体の表面積は、
パラジウムまたはパラジウムと白金とを高分散に保つた
めに重要な要素であり、5m2/g以上であることが好まし
く、10〜50 m2/g程度であることがより好ましい。
【0026】含浸過程で使用するパラジウムイオン含有
溶液またはパラジウムイオンと白金イオンとを含有する
溶液として、これら金属の硝酸塩、アンミン錯体などの
溶液を例示できる。溶媒は、水が好ましいが、アセト
ン、エタノールなどの水溶性の有機溶媒と水との混合溶
媒であってもよい。
【0027】次いで、パラジウムまたはパラジウムと白
金とを含浸させた酸化ジルコニウム担体を乾燥した後、
空気中で焼成することにより、所望の触媒が得られる。
焼成は、長期にわたる安定した高い触媒活性を得るため
に、好ましくは450℃〜700℃程度で、より好ましくは50
0〜650℃程度で行う。
【0028】本発明に用いる触媒の形状は、特に制限さ
れず、例えば、ペレット、ハニカム状に成型したもので
もよく、メタルハニカム、コージェライトハニカムなど
の耐熱性基体上にウオッシュコートしたものでもよい。
圧力損失低減の見地からは、ハニカム形状が好ましい。
【0029】用いる触媒の量は、要求される性能、触媒
の活性能などに応じて適宜設定することができる。触媒
の活性能は、白金族金属の担持量などにより決まる。触
媒の使用量は、体積基準で通常1時間あたりに処理する
ガス量(標準状態における体積)に対して、通常1/30,000
〜1/600,000程度であり、1/50,000〜1/200,000程度とす
るのが特に好ましい。過度に多くの触媒を用いても、コ
ストに見合った性能が得られず経済的に不利となるおそ
れがあり、少なすぎると所望の性能が得られないおそれ
がある。
【0030】蓄熱体の材料は、体積あたりの熱容量が高
いものほど装置が小型になる利点がある。また、使用条
件により異なるが、少なくとも700℃程度までの温度に
対する耐熱性を必要とする。また、温度変化を繰り返す
ので、熱膨張率が極端に大きいものは不適当である。こ
のような条件を満たす蓄熱体材料として、アルミナ、シ
リカ−アルミナ、コージェライトなどの耐火性無機材料
があげられる。
【0031】蓄熱体の形状には、特に制約はなく、球
状、ペレット状などに成型したものでもよく、ハニカム
状に成型したものでもよい。圧力損失低減の見地から
は、ハニカム形状が好ましい。
【0032】蓄熱体は、特に必要がない限り、触媒の両
側とも同じ材質で同じ量を用いるのがよい。蓄熱体の量
(片側の量を示す。以下も特記ない限り同様)は、多すぎ
ると起動時に暖まるまでに時間がかかるため所望の性能
が出るまでに時間がかかる上に大容積となる。一方、少
なすぎると性能を維持するために切換時間を極端に短く
せざるを得ず、バルブ故障によるシステム信頼性の低下
につながる問題がある。蓄熱体の量として好適な範囲
は、体積基準で1時間あたりに処理するガス量(標準状
態における体積)の1/4000〜1/50,000程度であり、1/80
00〜1/30,000程度とするのが特に好ましい。
【0033】本発明の排ガス浄化方法では、 上記のよ
うに構成した(蓄熱体)−(触媒層)−(蓄熱体)に正逆交互
の方向から排ガスを流通させる。排ガスの流通方向を切
り換えるためのバルブとして、例えば図1に示されるよ
うな構造を有する四方バルブなどを例示できる。図1の
バルブは、排ガス入口A、触媒容器出入り口B、他方の
触媒容器出入り口C、排ガス出口Dについて、それらの
接続状態を、状態1(A→B;C→D)と状態2(A→
C;B→D)の間で切り換えるものであり、かつ切換の
途中は、常にA→Dの通路を確保してなされる特徴があ
る。従って、切り換え途中で圧力損失が極端に上昇する
ことがない。
【0034】切り換えの時間間隔が長すぎると、交互流
通の効果が得られないおそれがある。一方、切り換えの
時間間隔が短すぎると、交互流通の効果が高すぎて、触
媒層が著しい高温にさらされることにより触媒の劣化を
早めるほか、バルブの信頼性が問題となるうえに、全処
理ガスに占める切り換え時のスルーガス(触媒層を経由
せずに通過するガス)の割合が高くなり期待した効果が
得られないおそれがある。
【0035】排ガスの流通方向を切り換える時間間隔を
1とすると、下記の式7で示される値が、0.5〜4程度
となるのが好ましく、1〜2程度となるのが特に好まし
い。
【0036】
【式7】
【0037】ただし、対となる蓄熱体の熱容量が異なる
場合には、両方の蓄熱体の熱容量についても前記式7を
満たすものとする。
【0038】本発明の方法は、交互流通による効果で触
媒層の温度を高く維持することができるので、従来の方
法では浄化性能が十分得られなかった低い温度の排ガス
に対しても高い浄化性能を得ることができる。しかしな
がら、蓄熱体が暖まるまでに長時間を要し、十分な性能
を発揮するのに長時間かかることがある。この場合に
は、蓄熱体が暖まるまで、交互流通をせずに流通方向を
一定に保つ方が、排ガス浄化開始直後の浄化効率が良好
となる。浄化開始後排ガスの流通方向を一定方向に保持
する時間として、以下の式8で示される値を目安とする
ことができる。
【0039】
【式8】
【0040】排ガスの流通方向を一定方向に保持する時
間:t2は、好ましくは3×Ct/Cg〜6×Ct/Cg
(分)程度[CgおよびCtは、上記に同じ]とする。た
だし、対となる蓄熱体の熱容量が互いに異なる場合に
は、熱容量のより大きな蓄熱体についてt2を求めるも
のとする。
【0041】被処理ガスである排ガスの温度は、特に制
限されないが、バルブの排ガス入口(A)における温度
として、300℃〜450℃程度とするのがよく、350〜450℃
程度が特に好ましい。排ガスの温度が低すぎる場合に
は、十分な性能が得られないおそれがある。排ガス温度
が高すぎる場合には、交互流通の効果により触媒層が極
端に高温となって、触媒が早期に劣化する恐れがある。
また、本発明の方法によらず、単に排ガスを触媒に通過
せしめるだけで未燃焼の炭化水素を酸化分解できる場合
がある。
【0042】排ガス温度が低すぎる場合(例えば、バル
ブの排ガス入口における温度が、約400℃を下回る場合)
には、長時間排ガスを触媒層に流通しても、触媒層が十
分暖まらず安定した性能が得られない場合がある。この
ような場合には、メタン、エタン、プロパン、ブタン、
メタノール、エタノールなどの可燃性有機物気体を排ガ
スに適当量添加してから触媒層に流通させてもよい。可
燃性有機物気体を添加し、触媒層を効果的に加熱するこ
とによって、浄化開始後、速やかに高い浄化効率を得る
ことができる。
【0043】可燃性有機物気体として、比較的着火性の
優れたプロパン、ブタンなどが有効である。また、天然
ガス系都市ガスも熱量調整のためにプロパンやブタンな
どが添加されているので、可燃性有機物気体と同様の効
果が期待でき、利便性の見地からも好ましい。
【0044】可燃性有機物気体の添加量は、少なすぎる
と添加による効果が得られず、多すぎると触媒層で急激
に温度上昇して触媒の耐久性に問題が生じるおそれがあ
る。可燃性有機物気体の添加量は、炭素数に基づくメタ
ン換算(以下THC換算ということがある)として、通常5
00〜4000ppm程度であり、より好ましくは1000〜2000ppm
程度である。
【0045】可燃性有機物気体の添加時間は、短すぎる
と十分な効果が得られず、長すぎても経済的に見合った
効果が得られないおそれがある。添加された可燃性有機
物気体の合計の発熱量(J)を蓄熱体の熱容量(両側の
蓄熱体の合計の値;J・K-1)で除した値が、通常10〜10
0K程度、好ましくは20〜50K程度となるまで、添加す
るのがよい。
【0046】
【発明の効果】本発明の方法に従えば、希薄燃焼ガスエ
ンジンの排ガスの浄化において、低い温度の排ガスでも
触媒量を多く用いることなく、高い浄化効果を得ること
が可能となる。
【0047】
【実施例】以下、実施例および比較例を示し、本発明を
より詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。
【0048】実施例1 発電出力15kWの希薄燃焼ガスエンジンの排ガスは、毎時
80立方メートル(0℃換算)の流量で、体積基準で7%の酸
素とTHC換算で2000ppmの炭化水素とを含有し、450℃で
あった。ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、こ
の排ガス中のメタン濃度は1680ppmであった。この排ガ
ス管に図1に示す四方バルブのA部を接続した。
【0049】特開2000-254501号公報に記載の方法に従
って、コージェライトを基体とし、1リットルあたりパ
ラジウムを20gと白金を5g担持するハニカム状触媒(断
面1平方インチあたりのセル数200、15cm角x長さ5cm)
を調製した。この触媒の両側に、コージェライト製ハニ
カム(断面1平方インチあたりのセル数100、15cm角x長
さ15cm;熱容量1970J・K-1)をそれぞれ配置し、触媒容
器にこれを収容した。触媒容器の二つの接続部をそれぞ
れ図1の四方バルブのB部およびC部に接続した。図1
の四方バルブのD部には、排ガス放散管を設け、浄化装
置を構成した。
【0050】浄化装置へのガスの導入を開始して、2分
ごとに流路を交互に切り換えた。切り換える間の2分ご
とにバルブのD部位においてサンプリングして測定され
た2分平均の出口THC濃度の推移を図2の逆三角(▽)
で示す。浄化開始当初は浄化効果が低かったが、約20分
後には出口のTHC濃度は700ppm以下となりTHC浄化率が65
%を超えた。
【0051】なお、標準状態における1m3当たりの排ガ
スの熱容量を1450J・m-3・K-1とすると、このときのt1
×Cg/Ct[ただし、t1:切り換え時間間隔(分)、
Cg:1分あたりに処理するガスの熱容量(J・K-1・分-
1)、Ct:片方の蓄熱体の熱容量(J・K-1)]は2.0で
ある。
【0052】比較例1 蓄熱体を設けない以外は、実施例1と同様の装置を用い
た。流路を1方向に固定した以外は、実施例1と同様の
方法を用いて、THC濃度の経時変化を測定した。
【0053】排ガス導入開始後約3分で触媒層出口のTH
C濃度は安定し、1030ppmとなった。
【0054】比較例2 蓄熱体を設けない他は、実施例1と同様にして、THC濃
度の経時変化を測定した。
【0055】ガスの導入開始後約3分で出口のTHC濃度
は安定し2分平均の値は1020ppmとなった。比較例1の
結果に比べると出口のTHC濃度は減少したがその効果は
わずかであった。
【0056】比較例3 実施例1と同様の装置を用いたが、流路を1方向に固定
してTHC濃度の推移を測定した。出口の2分平均THC濃度
の推移を図2の三角(△)で示す。ガスの導入開始後約
6分で出口のTHC濃度は安定し1030ppmとなった。
【0057】実施例2 実施例1と同じ装置を用い、当初の4分間は流路を1方
向に固定し、その後2分間隔で流路を交互に切り換えて
THC濃度の推移を測定した。出口の2分平均THC濃度の推
移を図2の菱形(◇)で示す。実施例1に比べると出口
のTHC濃度は速やかに低下した。排ガスの熱容量を1450J
・m-3・K-1とすると、このときの3×Ct/Cg[ただ
し、Cg:1分あたりに処理するガスの熱容量(J・K-1
・分-1)、Ct:片方の蓄熱体の熱容量(J・K-1)]は
3分であり、この実験の流路固定時間はこれよりも長
い。
【0058】実施例3 当初の流路の固定時間を6分とした他は実施例2と同様
にして試験した。ガス導入8分後から10分後の2分間
の平均の出口THC濃度は、790ppm、22分後から24分後の
2分間の平均の出口THC濃度は600ppmであった。
【0059】実施例4 実施例1と同じ装置を用い、流路を切り換える時間を1
分間隔とした他は、実施例1と同様にしてTHC濃度の経
時変化を測定した。
【0060】出口のTHC濃度の推移を図3の円(○)で
示す。実施例1に比べると出口の2分平均THC濃度は、
当初非常にゆっくりとしか減少しないものの最終的には
約100ppmまで低下した。排ガスの熱容量を1450J・m-3
K-1とすると、このときのt1×Cg/Ct[ただし、
1:切り換え時間間隔(分)、Cg:1分あたりに処理
するガスの熱容量(J・K-1・分-1)、Ct:片方の蓄熱
体の熱容量(J・K-1)]は0.98である。
【0061】実施例5 実施例1と同じ装置を用い、流路を切り換える時間を4
分間隔とした他は、実施例1と同様にしてTHC濃度の推
移を測定した。
【0062】出口の2分平均THC濃度の推移を図3の三
角(△)で示す。実施例1に比べると出口のTHC濃度
は、速やかに減少するものの、4分平均の出口THC濃度
は950ppmにとどまった。排ガスの熱容量を1450J・m-3
K-1とすると、このときのt1×Cg/Ct[ただし、
1:切り換え時間間隔(分)、Cg:1分あたりに処理
するガスの熱容量(J・K-1・分-1)、Ct:片方の蓄熱
体の熱容量(J・K-1)]は4.0である。
【0063】実施例6 蓄熱体を流路に沿って片方ずつ2個直列に配置した他
は、実施例1と同様の装置を作製した。蓄熱体の熱容量
は、実施例1の2倍となった。流路を当初4分間固定
し、その後2分間隔で切り換えたところ、出口の2分平
均THC濃度は図4の円(○)の通りに推移した。THC濃度
は着実に減少していくものの、立ち上がりには時間を要
することがわかる。排ガスの熱容量を1450J・m-3・K-1
とすると、このときの3×Ct/Cg[ただし、Cg:1
分あたりに処理するガスの熱容量(J・K-1・分-1)、C
t:片方の蓄熱体の熱容量(J・K-1)]は6分であり、
この実験の流路固定時間はこれよりも短い。このときの
1×Cg/Ct[ただし、t1:切り換え時間間隔
(分)、Cg:1分あたりに処理するガスの熱容量(J・
K-1・分-1)、Ct:片方の蓄熱体の熱容量(J・K-1)]
は0.98である。
【0064】実施例7 実施例6と同じ装置を用いて、流路を当初6分固定しそ
の後2分間隔で切り換えたところ、出口の2分平均THC
濃度は図4の三角(△)の通りに推移した。立ち上がり
要する時間は実施例6よりも短いことがわかる。排ガス
の熱容量を1450J・m-3・K-1とすると、このときの3×
Ct/Cg[ただし、Cg:1分あたりに処理するガスの
熱容量(J・K-1・分-1)、Ct:片方の蓄熱体の熱容量
(J・K-1)]は6分であり、この実験の流路固定時間は
これと等しい。
【0065】実施例8 ガスの導入開始後5分から6分の間に、大阪ガス(株)
より供給される天然ガス系都市ガス(13A;46MJ/m3)を
毎分2.4リットルの割合で添加した以外は、実施例7と
同様にして排ガス中のTHC濃度の経時変化を測定した。
【0066】出口の2分平均THC濃度は図4の逆三角
(▽)の通りに推移し、実施例7に比べると立ち上がり
に要する時間が短くなった。
【0067】実施例9 実施例6と同じ装置を用い、流路を当初6分固定しその
後3分間隔で切り換えたところ、出口の3分平均THC濃
度は図5の逆三角(▽)の通りに推移した。排ガスの熱
容量を1450J・m-3・K-1とすると、このときの3×Ct/
Cg[ただし、Cg:1分あたりに処理するガスの熱容量
(J・K-1・分-1)、Ct:片方の蓄熱体の熱容量(J・K
-1)]は6分であり、この実験の流路固定時間はこれと
等しい。また、このときのt1×Cg/Ct[ただし、
1:切り換え時間間隔(分)、Cg:1分あたりに処理
するガスの熱容量(J・K-1・分-1)、Ct:片方の蓄熱
体の熱容量(J・K-1)]は1.5である。
【0068】実施例10 ガスの導入開始後6分から8分の間に、大阪ガス(株)よ
り供給される天然ガス系都市ガス(13A;46MJ/m3)を毎
分2.4リットルの割合で添加し、実施例9と同様にして
排ガス中のTHC濃度の経時変化を測定した。出口の3分平
均THC濃度は図5の三角(△)の通りに推移し、実施例
9に比べると立ち上がりに要する時間が短くなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明において用いる四方バルブ(切り換え
バルブ)の一態様を簡略的に示した図である。
【図2】 本発明実施例実施例1,2および比較例3に
おける浄化装置の出口におけるTHC濃度の経時変化を示
す図である。
【図3】 本発明実施例実施例4および5における浄化
装置の出口におけるTHC濃度の経時変化を示す図であ
る。
【図4】 本発明実施例実施例6,7および8における
浄化装置の出口におけるTHC濃度の経時変化を示す図で
ある。
【図5】 本発明実施例実施例9および10における浄化
装置の出口におけるTHC濃度の経時変化を示す図であ
る。
【図6】 本発明の装置の一態様を例示する簡略図であ
る。
【符号の説明】
1 回転子 2a ストッパー 2b ストッパー 3 触媒容器 4 触媒層 5a 蓄熱体 5b 蓄熱体 A 排ガス入口 B 触媒容器との接続口 C 触媒容器との接続口 D 排ガス出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F01N 5/02 F01N 5/02 E F02D 19/02 F F02D 19/02 43/00 301T 43/00 301 301E F02M 21/02 L F02M 21/02 B01D 53/36 103Z Fターム(参考) 3G084 AA04 AA05 BA09 BA24 DA10 FA07 FA15 3G091 AA12 AA19 AB02 AB15 BA04 BA22 CA07 CA10 CA13 CA18 CA27 EA08 EA21 EA30 FB01 FB10 FC05 GA06 GB05W GB06W GB07W 3G092 AA09 AB05 AB06 AC08 BA06 DC14 DF02 EA11 FA15 FA20 GA14 HD01Z 4D048 AA18 AB01 BA30X BA31X BB02 CC25 CC42 CC51 CC53

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希薄燃焼ガスエンジン排ガスの浄化方法
    であって、一対の蓄熱体に挟まれた触媒層に流通方向を
    正逆交互に切り換えて排ガスを流通することを特徴とす
    る方法。
  2. 【請求項2】 触媒層に収容された触媒が、耐火性無機
    担体に白金族の金属を担持したものである請求項1に記
    載の排ガス浄化方法。
  3. 【請求項3】 排ガスの流通方向を切り換える時間間
    隔:t1(分)が、下記の式1を満たす請求項1または2
    に記載の方法。 【式1】
  4. 【請求項4】 排ガスの流通方向を切り換える時間間
    隔:t1(分)が、下記の式2を満たす請求項1または2
    に記載の方法。 【式2】
  5. 【請求項5】 排ガス流通開始から少なくとも下記の式
    3で示される時間:t2(分)が経過するまでは排ガスの
    流通方向を一定方向に保持し、その後、排ガスの流通方
    向を正逆交互に切り換えて排ガスを触媒層に流通するこ
    とを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の方
    法。 【式3】
  6. 【請求項6】 触媒層に流通させる前の排ガスに、メタ
    ン、エタン、プロパン、ブタン、メタノールおよびエタ
    ノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を排ガス
    に添加する請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 排ガスの流通方向を切り換えるための四
    方バルブ、および触媒とこれを挟んで配設された一対の
    耐火性無機材料からなる蓄熱体とを収容する触媒容器を
    含み、触媒容器の両端が四方バルブの二つの接続部に接
    続され、四方バルブが、排ガス入口A、触媒容器との接
    続口B、他方の触媒容器との接続口Cおよび排ガス出口
    Dの接続状態を、切換位置1(A→B;C→D)と切換
    位置2(A→C;B→D)とを切り換えるものであり、
    かつ切換の途中は、常にA→Dの通路を確保してなされ
    るものである希薄燃焼ガスエンジン排ガスの浄化装置。
  8. 【請求項8】 触媒が、耐火性無機担体に白金族の金属
    を担持したものである請求項7に記載の排ガスの浄化装
    置。
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