JP2002266189A - 繊維状成形物の加熱延伸方法 - Google Patents
繊維状成形物の加熱延伸方法Info
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Abstract
性に優れた熱可塑性樹脂繊維状成形物を形成可能な加熱
延伸方法を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂(A)を主成分とする繊維
状成形物を所定延伸倍率で加熱延伸する方法において、
延伸時の加熱温度を、熱可塑性樹脂(A)の動的粘弾性
測定におけるゴム状領域の温度とし、延伸速度を、前記
加熱温度での熱可塑性樹脂(A)の応力歪み測定より得
られた応力歪み曲線が極大点を有する降伏点を示さない
延伸速度とし、かつ前記所定延伸倍率を、前記応力歪み
測定から導かれる微分曲線の前記所定延伸倍率以下の領
域において次式(1)を満たす延伸倍率とする。 【数1】
Description
維状成形物を均一に延伸するための加熱延伸方法に関す
る。
ることから、自動車部品、各種装飾品、家電部品などの
様々な分野で広く用いられている。近年、熱可塑性樹脂
の成形に対して、各種部品などに対する小型化や性能向
上の要求から、より一層精密な賦形が望まれている。特
に、光学分野においては精密な賦形が必要である。
メチルやメタクリル酸メチルを主成分とするメタクリル
酸メチル共重合体等のメタクリル酸メチル系重合体は優
れた透明性を有するため、レンズや、スクリーン、光デ
ィスク、柱状レンズ、光学繊維などの光学部品に好適に
用いられている。中でも、メタクリル酸メチル系重合体
を円柱状や繊維状に賦形した柱状レンズや光学繊維、柱
状レンズを配列してシート状にしたスクリーンなどにお
いては、柱状レンズや光学繊維の直径の均一性が要求さ
れる。
ク光ファイバ(以下単に「光ファイバ」という)等の繊
維状成形物の機械的特性を高めたり、直径を更に細くす
る場合には、熱可塑性樹脂を成形用ノズルから押し出
し、冷却固化して繊維状に成形した後、この繊維状成形
物を加熱延伸処理する。この加熱延伸処理は、加熱炉と
その前後に配置されたローラーを用い、繊維状成形物を
加熱炉内に導入し延伸可能な温度まで加熱しながら、前
後のローラーの周速度を変えることによって実施され
る。このような加熱延伸処理において、直径の均一性を
低下させないために、ローラーの材質の検討、ローラー
の回転速度斑の抑制、加熱方法(熱媒体種、熱媒体流量
・流速、熱媒体流動方向)、炉内温度斑の抑制など、プ
ロセス制御について様々な提案がなされている。
は、光ファイバの長手方向の糸径変動を抑えるために、
光ファイバを加熱気体と向流接触させて熱処理するに際
し、加熱炉内に凸状部材を設けて、加熱気体の流線方向
を変換させる熱処理方法が記載されている。
には、伝送特性や機械特性に優れ、径変動が小さい光フ
ァイバを得るために、光ファイバに対して加熱延伸を施
す際に、加熱延伸工程を多段に分けて行うとともに、各
延伸工程における延伸倍率を後段へいくにしたがって順
次小さくする方法が記載されている。
の従来の方法では、加熱延伸後の光ファイバの直径の均
一性は必ずしも十分ではなかった。
径変動が小さく直径の均一性に優れた熱可塑性樹脂繊維
状成形物を形成可能な加熱延伸方法を提供することにあ
る。
(A)を主成分とする繊維状成形物を所定延伸倍率で加
熱延伸する方法において、延伸時の加熱温度を、熱可塑
性樹脂(A)の動的粘弾性測定におけるゴム状領域の温
度とし、延伸速度を、前記加熱温度での熱可塑性樹脂
(A)の応力歪み測定より得られた応力歪み曲線が極大
点を有する降伏点を示さない延伸速度とし、かつ前記所
定延伸倍率を、前記応力歪み測定から導かれる微分曲線
の前記所定延伸倍率以下の領域において次式(1)を満
たす延伸倍率とすることを特徴とする繊維状成形物の加
熱延伸方法に関する。
する。
延伸は、その機械的特性を高めたり、その直径を細くす
る際の直径制御に効果的である。加熱延伸は、例えば、
熱可塑性樹脂を溶融状態として成形用ノズルから押し出
し、冷却固化された繊維状成形物を、加熱炉とその前後
にローラーが配置された延伸装置を用いて、延伸可能な
温度まで加熱しながら、前後のローラーの周速度を変え
ることによって行われる。延伸可能な温度は、その熱可
塑性樹脂のガラス転移温度以上が一般的である。
状成形物の直径の斑が大きくならないようにする、すな
わち均一に延伸するためには、その熱可塑性樹脂の力学
物性に着目する必要がある。
り得られる貯蔵弾性率(動的弾性率)曲線の一例を図1
に示す。ここで、温度T1未満では熱可塑性樹脂(A)
がガラス状態であるため均一な延伸は困難であり、温度
T1以上で延伸する必要がある。しかし、T1以上の温度
領域であっても温度T1以上T2未満は、熱可塑性樹脂
(A)のガラス転移領域であるため、温度変化に対する
貯蔵弾性率の変化が非常に大きい。よって、加熱炉内に
温度分布があると、延伸中に熱可塑性樹脂(A)の貯蔵
弾性率が大きく変動することになり、均一な延伸が困難
になる。対して、温度T2以上T3以下においては熱可塑
性樹脂(A)がゴム状態であり、温度変化に対する貯蔵
弾性率の変化が小さい。よって、加熱炉内に温度分布が
ある程度存在しても、延伸中の熱可塑性樹脂(A)の貯
蔵弾性率の変動が小さいため、均一な延伸に好適な温度
範囲といえる。温度T3を超える温度では熱可塑性樹脂
(A)が流動状態であり、温度変化に対する貯蔵弾性率
の変化が大きいだけでなく、貯蔵弾性率の絶対値が小さ
いため、熱風などの加熱媒体の影響で糸揺れが生じやす
く、均一な延伸が困難となる。なお、T1は、ガラス状
領域の貯蔵弾性率曲線の延長線と、ガラス転移領域の貯
蔵弾性率曲線の勾配が最大となる点における接線との交
点、T2は、ガラス転移領域の貯蔵弾性率曲線の勾配が
最大となる点における接線と、ゴム状領域の貯蔵弾性率
曲線の延長線との交点、T3は、ゴム状領域の貯蔵弾性
率曲線の延長線と、流動領域の貯蔵弾性率曲線の勾配が
最大となる点における接線との交点とする。
熱可塑性樹脂(A)を主成分とする繊維状成形物の延伸
時の加熱温度(延伸温度)の範囲をT2以上T3以下とす
るため、すなわち熱可塑性樹脂(A)がゴム状態である
温度範囲内に設定するため、均一な加熱延伸が可能とな
る。なお、動的粘弾性測定は測定条件によって変化する
ため、本発明においては、昇温速度は2℃/分、周波数
は10Hzで測定するものとする。
記のように動的粘弾性測定において繊維状成形物の主成
分である熱可塑性樹脂がゴム状態である温度(T2以上
T3以下)に設定することに加えて、その設定した温度
における熱可塑性樹脂(A)の応力歪み特性も、均一な
延伸を行うために重要である。
応力歪み特性は、延伸温度、延伸速度に依存し、図2
(a)に示す曲線(a)〜(d)のような応力歪み曲線
で示される。なお、歪みは延伸倍率に相当し、歪み速度
は延伸速度に相当する。即ち、一般に、応力歪み測定に
おいては、歪みはCauche歪みで記載される(例え
ば、小野木重治訳、L.E.Nielsen著、高分子
と複合材料の力学的性質、1976年発行、(株)化学
同人、第6頁)。歪み(%)と延伸倍率は次式(2)の
関係にある。
延伸倍率である。また、図中S1は目標延伸倍率を示
す。
伏点には、応力歪み曲線上で明瞭な極大点として現れる
場合と、傾きの変化点として現れる場合が知られている
(例えば、高分子学会および高分子辞典編集委員会編、
新版高分子辞典、1988年発行、朝倉書店、第152
頁)が、本発明の降伏点は、明瞭な極大点を有する降伏
点のことである。なお、明瞭な極大点を有する降伏点と
は、伸度25%以下で観測される降伏点のことであり、
25%より大きい伸度で、なだらかに応力が減少するこ
とによって観測される極大点は、降伏点としないものと
する。図2に示した曲線(a)が示す応力歪み特性は、
目標延伸倍率S1に達するまでに降伏点があり、ネッキ
ングを生じることから、均一な延伸は困難である。曲線
(b)及び(c)が示す応力歪み特性は、それぞれ目標
延伸倍率S1に達するまでに降伏点がなく、また応力の
低下もないことから、均一な延伸に好ましく、曲線
(b)の示す特性がより好ましい。曲線(d)が示す応
力歪み特性は、目標延伸倍率S1に達するまでに熱可塑
性樹脂(A)の分子鎖に滑りが生じていることを示して
おり、それに伴い直径に斑が生じるため均一な延伸は困
難である。但し、曲線(d)が示す応力歪み特性であっ
ても目標延伸倍率をS2まで小さくすると、曲線(c)
と同様に均一な延伸が可能となる。
(c)及び(d)が示す応力歪み特性と、延伸温度及び
延伸速度との関係を模式的に示したものである。図3に
おいて、延伸温度及び延伸速度は、実線矢印方向に向か
って、より大きな値となる。図3に示すように、延伸温
度が低いほど或いは延伸速度が大きいほど、曲線(a)
の応力歪み特性を示しやすい。また、延伸温度が高いほ
ど、あるいは延伸速度が小さいほど、曲線(d)の応力
歪み特性を示しやすい。従って、応力歪み特性が曲線
(a)の応力歪み特性を示す場合(例えば点pの場
合)、延伸温度を高くするか又は延伸速度を低くするこ
とにより、曲線(b)、(c)及び(d)のように応力
歪み特性が変化する。一方、曲線(d)の応力歪み特性
を示す場合(例えば点qの場合)、延伸温度を低くする
か又は延伸速度を大きくすることにより、曲線(c)、
(b)及び(a)のように応力歪み特性が変化する。な
お、図3は応力歪み特性と、延伸温度および延伸速度の
関係を簡単に説明したものであり、詳細は、用いる材料
によって異なる。
(b)、(c)及び(d)から導かれる微分曲線d(応
力)/d(歪み)を図2(b)に示す。図2(b)から明ら
かなように、応力歪み測定から得られる微分曲線が目標
延伸倍率以下の範囲において式(1)を満たすように目
標延伸倍率を設定することにより、熱可塑性樹脂(A)
を均一に延伸できることがわかる。
脂(A)を主成分とする繊維状成形物の加熱延伸方法
は、その延伸温度を熱可塑性樹脂(A)の動的粘弾性測
定におけるゴム状領域の温度すなわちT2以上T3以下と
し、その温度での応力歪み測定において極大点を有する
降伏点を示さない延伸速度とし、且つ延伸倍率をその延
伸倍率以下の範囲において前記応力歪み測定から導かれ
る微分曲線が(1)式を満たすように設定して延伸して
いるため、直径の均一性の高い繊維状成形物や、柱状
(棒状)成形物を形成することができる。
ては、熱可塑性樹脂(A)100質量部に、同種あるい
は熱可塑性樹脂(A)と相溶性の良い熱可塑性樹脂
(B)を0.5質量部以上40質量部以下添加混合する
ことも可能である。その際、熱可塑性樹脂(B1)の重
量平均分子量が熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量の
2倍以上であることが好ましく、2.5倍以上がより好
ましい。このような熱可塑性樹脂(B)を添加混合する
ことにより、延伸の際に生じる樹脂の変形時に、ゴム弾
性を示すような分子鎖の絡み合いが生じることになり、
均一延伸に好ましい応力歪み特性を得ることができる。
架橋剤を0.1質量部以上40質量部以下添加混合した
り、熱可塑性樹脂(A)を重合するときに、架橋剤を共
重合しても良い。架橋剤を含有させることにより、分子
鎖の滑りを抑制することができるため、図2の曲線
(b)や(c)に示すような応力歪み特性を得ることが
できる。架橋剤の含有量が少なすぎると架橋剤の添加効
果が不十分な場合があり、架橋剤の含有量が多すぎる
と、熱可塑性樹脂が硬化して延伸不可能になるおそれが
ある。このような点から架橋剤の含有量は0.5質量部
以上30質量部以下がより好ましい。
より適宜選択されるが、分子中に、熱可塑性樹脂(A)
の官能基と反応性を有する官能基を有する化合物が用い
られる。例えば熱可塑性樹脂(A)がアクリル樹脂の場
合、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸
2−ヒドロキシプロピル、N−メチロールアクリルアミ
ド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド、メタクリル
酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、ア
リルメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリ
レートなどが挙げられるがこれらに限定されるものでは
ない。
熱可塑性樹脂(B)としては、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフ
ィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポ
リエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ
ブチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリカー
ボネート(PC)、ブタジエンゴムグラフト共重合体
(例えばABS樹脂)、アクリルゴムグラフト共重合
体、シリコーン−アクリル複合ゴムグラフト共重合体、
エチレンプロピレンゴムグラフト共重合体、耐衝撃性ポ
リスチレン(HIPS)、アクリロニトリルスチレン共
重合樹脂(AS)等のスチレン系樹脂、塩化ビニル樹
脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド
樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)、ナイロ
ン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂(PA)、ポリ
メチルメタクリレート(PMMA)等の主としてアクリ
ル酸、メタクリル酸、およびそれらの誘導体の重合体で
あるアクリル樹脂、フッ素系メタクリレート樹脂、フッ
素化メタクリレート−メタクリル酸エステル共重合体、
フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体な
どのフッ化ビニリデンを主成分とする共重合体が挙げら
れ、熱可塑性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)の混合
物としては、PET/PBT、PC/PBT、PBT/
ABS、PC/ABS、PA/ABS、PPE/PB
T、PPE/HIPS、PPE/PA等の熱可塑性樹脂
の混合物が挙げられるが、これらに限定されるものでは
ない。
途、特に光ファイバや柱状レンズに特に適しており、こ
の場合、熱可塑性樹脂(A)としては、ポリメタクリル
酸メチルまたはメタクリル酸メチル単位を50モル%以
上含有するメタクリル酸メチル共重合体を用いることが
好ましい。これらは芯材として特に好ましい。鞘材とし
ては、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重
合体や、フッ素化(メタ)アクリレート−メタクリル酸
メチル共重合体を挙げることができる。鞘層の外周部に
形成される保護層としては、フッ化ビニリデン−テトラ
フルオロエチレン共重合体、フッ素化(メタ)アクリレ
ート−メタクリル酸メチル共重合体、ポリフッ化ビニリ
デンとポリメタクリル酸メチルとのブレンドポリマー、
ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート等を挙げる
ことができる。
非晶性であることが好ましい。
に適用する場合には、熱可塑性樹脂(A)を単独で用い
てもよいが、複数の熱可塑性樹脂(A)を複合して用い
てもよい。例えば、芯−鞘の2層構造あるいは芯−鞘−
保護層の3層構造を有するものや、芯部の屈折率が均一
であるステップインデックス型(SI型)の他、2種以
上の熱可塑性樹脂が用いられ芯部の屈折率が中心から外
周にかけてなだらなかに小さくなる分布を持つグレーデ
ットインデックス型(GI型)や、芯部の屈折率が中心
部から外周にかけて階段的に小さくなる分布を持つ多層
型のもの、海成分中に芯部と鞘部からなる島成分を複数
配置させた海島構造を有する多芯型などが挙げられる。
以上5mm以下の繊維状成形物の延伸に好適に採用する
ことができる。平均直径が小さすぎると、均一延伸に適
するような延伸条件であっても、延伸時に繊維状成形物
にかかる張力が低くなるため、熱媒との接触による糸ゆ
れが生じやすく、結果的に均一延伸が困難になるおそれ
がある。また、平均直径が大きすぎると、延伸時に繊維
状成形物にかかる張力が大きくなるため、ローラーでの
すべりなどが発生しやすくなり、均一な延伸が困難にな
るおそれがある。
(A)を積層するなどして用いる場合、本発明の延伸条
件は各熱可塑性樹脂(A)単独の物性ではなく、複合化
された状態で測定された物性から決定する。
明するが、本発明はこれら実施例により限定されるもの
ではない。なお、実施例で用いた測定方法は、次の通り
である。
(セイコーインスツルメンツ(株)製DMS200)用
い、周波数:10Hz、昇温速度:2℃/分に設定して
測定した。
(島津製作所(株)製AG−1000D)を使用し、延伸
温度および延伸速度を変えて測定した。
び後のローラーの周速度を、それぞれV1及びV2(m/
分)、加熱炉の炉長をL(m)、目的延伸倍率をDとし
て、次式(3)より求めた。
部:キーエンス(株)製LS−3030、コントローラ
ー:キーエンス(株)製LS−3001)を加熱炉の後の
ローラーよりも下流側に配置し、繊維状成形物の加熱延
伸を行いながら、繊維状成形物の外形(直径)を、長さ
7000mの範囲について連続的に測定した。繊維状成
形物の外径は1/15秒ごとに検出した。検出された外
径のデータより、繊維状成形物の最大直径、最小直径、
平均直径を算出し、外径の変動率を次式(4)より求め
た。
リル酸メチル(商品名:アクリペットVH、三菱レイヨ
ン(株)製)を、溶融紡糸法にて230℃の紡糸ノズルか
ら押し出すことにより、平均直径485μmの未延伸繊
維状成形物を作製した。
を測定した結果を図4に示す。ガラス状態からガラス転
移状態への転位点T1は112℃、ガラス転移状態から
ゴム状態への転位点T2は138℃であった。なお、測
定は200℃まで行ったがこの温度範囲では、ゴム状態
から流動状態への転位点T3は観測されなかった。従っ
て転位点T3は200℃以上である。
15℃、145℃及び150℃で、歪み速度400%/
分にて応力歪み測定を行った。ここで、前記式(2)よ
り、歪み100%は2倍延伸に相当し、歪み速度400
%/分は延伸速度5倍/分に相当する。そして、各温度
にて得られた応力歪み曲線からそれぞれ微分曲線を導い
た。結果を図5(115℃)、図6(145℃)及び図
7(150℃)に示す。図5〜図7より明らかなよう
に、温度が115℃の場合は応力歪み曲線が極大点を有
する降伏点を示しており、145℃及び150℃の場合
は極大点を有する降伏点を示していない。
ラー2が配置された炉長2mの非接触加熱炉からなる延
伸装置を用い、この非接触加熱炉をそれぞれ115℃
(S−1)、145℃(S−2)及び150℃(S−
3)に設定し、ローラー1及びローラー2の周速度をそ
れぞれ3m/分及び7m/分に設定して、未延伸繊維状
成形物を2倍延伸し、延伸された繊維状成形物の直径変
動率を測定した。ここで、延伸速度は5倍/分である。
件は、延伸温度が動的粘弾性測定により求められたT2
以上T3以下である場合を○、それ以外を×とした。ま
た、応力歪み条件は、応力歪み測定から導かれた微分曲
線が、目的の延伸倍率(2倍(歪み:100%))以下
の範囲内で、式(1)を満たす場合を○、満たさない場
合を×とした。表1に示す結果から分かるように、動的
粘弾性測定におけるゴム状態の温度範囲で、且つ応力歪
み測定から導かれる微分曲線が所定の条件を満たす条件
で延伸することにより、直径変動を小さくすることがで
きた。
によれば、繊維状成形物の長手方向に径変動が小さく直
径の均一性に優れた繊維状成形物を形成可能な加熱延伸
方法を提供することできる。
示すグラフである。
を示すグラフである。図2(a)は応力歪み曲線、図2
(b)はその微分曲線を示す。
を説明する模式図である。
的粘弾性の測定結果を示すグラフである。
曲線とそれから導かれた微分曲線を示すグラフである。
曲線とそれから導かれた微分曲線を示すグラフである。
曲線とそれから導かれた微分曲線を示すグラフである。
Claims (6)
- 【請求項1】 熱可塑性樹脂(A)を主成分とする繊維
状成形物を所定延伸倍率で加熱延伸する方法において、
延伸時の加熱温度を、熱可塑性樹脂(A)の動的粘弾性
測定におけるゴム状領域の温度とし、延伸速度を、前記
加熱温度での熱可塑性樹脂(A)の応力歪み測定より得
られた応力歪み曲線が極大点を有する降伏点を示さない
延伸速度とし、かつ前記所定延伸倍率を、前記応力歪み
測定から導かれる微分曲線の前記所定延伸倍率以下の領
域において次式(1)を満たす延伸倍率とすることを特
徴とする繊維状成形物の加熱延伸方法。 【数1】 - 【請求項2】 熱可塑性樹脂(A)100質量部に、熱
可塑性樹脂(A)の重量平均分子量に対して2倍以上の
重量平均分子量を持つ熱可塑性樹脂(B)を0.5質量
部以上40質量部以下添加混合し、この混合物から得ら
れた繊維状成形物を加熱延伸する請求項1記載の加熱延
伸方法。 - 【請求項3】 熱可塑性樹脂(A)100質量部に、熱
可塑性樹脂(A)の官能基と反応する官能基を有する架
橋剤を0.1質量部以上30質量部以下添加混合し、こ
の混合物から得られた繊維状成形物を加熱延伸する請求
項1記載の加熱延伸方法。 - 【請求項4】 熱可塑性樹脂(A)が非晶性であること
を特徴とする請求項1、2又は3記載の加熱延伸方法。 - 【請求項5】 熱可塑性樹脂(A)がポリメタクリル酸
メチル又はメタクリル酸メチル単位を50モル%以上含
有するメタクリル酸メチル系共重合体である請求項1〜
4のいずれか1項に記載の加熱延伸方法。 - 【請求項6】 加熱延伸後の繊維状成形物の平均直径
が、0.05mm以上5mm以下である請求項1〜5の
いずれか1項に記載の加熱延伸方法。
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