JP4624580B2 - 繊維状成形物の加熱延伸方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂の繊維状成形物を均一に延伸するための加熱延伸方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂は、加工性や成形性に優れることから、自動車部品、各種装飾品、家電部品などの様々な分野で広く用いられている。近年、熱可塑性樹脂の成形に対して、各種部品などに対する小型化や性能向上の要求から、より一層精密な賦形が望まれている。特に、光学分野においては精密な賦形が必要である。
【0003】
光学分野において、特にポリメタクリル酸メチルやメタクリル酸メチルを主成分とするメタクリル酸メチル共重合体等のメタクリル酸メチル系重合体は優れた透明性を有するため、レンズや、スクリーン、光ディスク、柱状レンズ、光学繊維などの光学部品に好適に用いられている。中でも、メタクリル酸メチル系重合体を円柱状や繊維状に賦形した柱状レンズや光学繊維、柱状レンズを配列してシート状にしたスクリーンなどにおいては、柱状レンズや光学繊維の直径の均一性が要求される。
【0004】
一般に、熱可塑性樹脂からなるプラスチック光ファイバ(以下単に「光ファイバ」という)等の繊維状成形物の機械的特性を高めたり、直径を更に細くする場合には、熱可塑性樹脂を成形用ノズルから押し出し、冷却固化して繊維状に成形した後、この繊維状成形物を加熱延伸処理する。この加熱延伸処理は、加熱炉とその前後に配置されたローラーを用い、繊維状成形物を加熱炉内に導入し延伸可能な温度まで加熱しながら、前後のローラーの周速度を変えることによって実施される。このような加熱延伸処理において、直径の均一性を低下させないために、ローラーの材質の検討、ローラーの回転速度斑の抑制、加熱方法(熱媒体種、熱媒体流量・流速、熱媒体流動方向)、炉内温度斑の抑制など、プロセス制御について様々な提案がなされている。
【0005】
例えば、特開平5−11128号公報には、光ファイバの長手方向の糸径変動を抑えるために、光ファイバを加熱気体と向流接触させて熱処理するに際し、加熱炉内に凸状部材を設けて、加熱気体の流線方向を変換させる熱処理方法が記載されている。
【0006】
また、特開2000−292626号公報には、伝送特性や機械特性に優れ、径変動が小さい光ファイバを得るために、光ファイバに対して加熱延伸を施す際に、加熱延伸工程を多段に分けて行うとともに、各延伸工程における延伸倍率を後段へいくにしたがって順次小さくする方法が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来の方法では、加熱延伸後の光ファイバの直径の均一性は必ずしも十分ではなかった。
【0008】
そこで本発明の目的は、繊維の長手方向に径変動が小さく直径の均一性に優れた熱可塑性樹脂繊維状成形物を形成可能な加熱延伸方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱可塑性樹脂(A)を主成分とする繊維状成形物を所定延伸倍率で加熱延伸する方法において、延伸時の加熱温度を、熱可塑性樹脂(A)の動的粘弾性測定におけるゴム状領域の温度とし、延伸速度を、前記加熱温度での熱可塑性樹脂(A)の応力歪み測定より得られた応力歪み曲線が極大点を有する降伏点を示さない延伸速度とし、かつ前記所定延伸倍率を、前記応力歪み測定から導かれる微分曲線の前記所定延伸倍率以下の領域において次式(1)を満たす延伸倍率とすることを特徴とする繊維状成形物の加熱延伸方法に関する。
【0010】
【数2】
Figure 0004624580
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
熱可塑性樹脂からなる繊維状成形物の加熱延伸は、その機械的特性を高めたり、その直径を細くする際の直径制御に効果的である。加熱延伸は、例えば、熱可塑性樹脂を溶融状態として成形用ノズルから押し出し、冷却固化された繊維状成形物を、加熱炉とその前後にローラーが配置された延伸装置を用いて、延伸可能な温度まで加熱しながら、前後のローラーの周速度を変えることによって行われる。延伸可能な温度は、その熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上が一般的である。
【0013】
このような加熱延伸を行うに際して、繊維状成形物の直径の斑が大きくならないようにする、すなわち均一に延伸するためには、その熱可塑性樹脂の力学物性に着目する必要がある。
【0014】
熱可塑性樹脂(A)の動的粘弾性測定により得られる貯蔵弾性率(動的弾性率)曲線の一例を図1に示す。ここで、温度T1未満では熱可塑性樹脂(A)がガラス状態であるため均一な延伸は困難であり、温度T1以上で延伸する必要がある。しかし、T1以上の温度領域であっても温度T1以上T2未満は、熱可塑性樹脂(A)のガラス転移領域であるため、温度変化に対する貯蔵弾性率の変化が非常に大きい。よって、加熱炉内に温度分布があると、延伸中に熱可塑性樹脂(A)の貯蔵弾性率が大きく変動することになり、均一な延伸が困難になる。対して、温度T2以上T3以下においては熱可塑性樹脂(A)がゴム状態であり、温度変化に対する貯蔵弾性率の変化が小さい。よって、加熱炉内に温度分布がある程度存在しても、延伸中の熱可塑性樹脂(A)の貯蔵弾性率の変動が小さいため、均一な延伸に好適な温度範囲といえる。温度T3を超える温度では熱可塑性樹脂(A)が流動状態であり、温度変化に対する貯蔵弾性率の変化が大きいだけでなく、貯蔵弾性率の絶対値が小さいため、熱風などの加熱媒体の影響で糸揺れが生じやすく、均一な延伸が困難となる。なお、T1は、ガラス状領域の貯蔵弾性率曲線の延長線と、ガラス転移領域の貯蔵弾性率曲線の勾配が最大となる点における接線との交点、T2は、ガラス転移領域の貯蔵弾性率曲線の勾配が最大となる点における接線と、ゴム状領域の貯蔵弾性率曲線の延長線との交点、T3は、ゴム状領域の貯蔵弾性率曲線の延長線と、流動領域の貯蔵弾性率曲線の勾配が最大となる点における接線との交点とする。
【0015】
上記の点から、本発明の加熱延伸方法は、熱可塑性樹脂(A)を主成分とする繊維状成形物の延伸時の加熱温度(延伸温度)の範囲をT2以上T3以下とするため、すなわち熱可塑性樹脂(A)がゴム状態である温度範囲内に設定するため、均一な加熱延伸が可能となる。なお、動的粘弾性測定は測定条件によって変化するため、本発明においては、昇温速度は2℃/分、周波数は10Hzで測定するものとする。
【0016】
また、本発明においては、延伸温度を、上記のように動的粘弾性測定において繊維状成形物の主成分である熱可塑性樹脂がゴム状態である温度(T2以上T3以下)に設定することに加えて、その設定した温度における熱可塑性樹脂(A)の応力歪み特性も、均一な延伸を行うために重要である。
【0017】
応力歪み測定の結果の一例を図2に示す。応力歪み特性は、延伸温度、延伸速度に依存し、図2(a)に示す曲線(a)〜(d)のような応力歪み曲線で示される。なお、歪みは延伸倍率に相当し、歪み速度は延伸速度に相当する。即ち、一般に、応力歪み測定においては、歪みはCauche歪みで記載される(例えば、小野木重治訳、L.E.Nielsen著、高分子と複合材料の力学的性質、1976年発行、(株)化学同人、第6頁)。歪み(%)と延伸倍率は次式(2)の関係にある。
【0018】
【数3】
Figure 0004624580
ここで、xは、応力歪み測定における歪み(%)、yは延伸倍率である。また、図中S1は目標延伸倍率を示す。
【0019】
次に、応力歪み特性について説明する。降伏点には、応力歪み曲線上で明瞭な極大点として現れる場合と、傾きの変化点として現れる場合が知られている(例えば、高分子学会および高分子辞典編集委員会編、新版高分子辞典、1988年発行、朝倉書店、第152頁)が、本発明の降伏点は、明瞭な極大点を有する降伏点のことである。なお、明瞭な極大点を有する降伏点とは、伸度25%以下で観測される降伏点のことであり、25%より大きい伸度で、なだらかに応力が減少することによって観測される極大点は、降伏点としないものとする。図2に示した曲線(a)が示す応力歪み特性は、目標延伸倍率S1に達するまでに降伏点があり、ネッキングを生じることから、均一な延伸は困難である。曲線(b)及び(c)が示す応力歪み特性は、それぞれ目標延伸倍率S1に達するまでに降伏点がなく、また応力の低下もないことから、均一な延伸に好ましく、曲線(b)の示す特性がより好ましい。曲線(d)が示す応力歪み特性は、目標延伸倍率S1に達するまでに熱可塑性樹脂(A)の分子鎖に滑りが生じていることを示しており、それに伴い直径に斑が生じるため均一な延伸は困難である。但し、曲線(d)が示す応力歪み特性であっても目標延伸倍率をS2まで小さくすると、曲線(c)と同様に均一な延伸が可能となる。
【0020】
図3は、これら曲線(a)、(b)、(c)及び(d)が示す応力歪み特性と、延伸温度及び延伸速度との関係を模式的に示したものである。図3において、延伸温度及び延伸速度は、実線矢印方向に向かって、より大きな値となる。図3に示すように、延伸温度が低いほど或いは延伸速度が大きいほど、曲線(a)の応力歪み特性を示しやすい。また、延伸温度が高いほど、あるいは延伸速度が小さいほど、曲線(d)の応力歪み特性を示しやすい。従って、応力歪み特性が曲線(a)の応力歪み特性を示す場合(例えば点pの場合)、延伸温度を高くするか又は延伸速度を低くすることにより、曲線(b)、(c)及び(d)のように応力歪み特性が変化する。一方、曲線(d)の応力歪み特性を示す場合(例えば点qの場合)、延伸温度を低くするか又は延伸速度を大きくすることにより、曲線(c)、(b)及び(a)のように応力歪み特性が変化する。なお、図3は応力歪み特性と、延伸温度および延伸速度の関係を簡単に説明したものであり、詳細は、用いる材料によって異なる。
【0021】
図2(a)に示した応力歪み曲線(a)、(b)、(c)及び(d)から導かれる微分曲線d(応力)/d(歪み)を図2(b)に示す。図2(b)から明らかなように、応力歪み測定から得られる微分曲線が目標延伸倍率以下の範囲において式(1)を満たすように目標延伸倍率を設定することにより、熱可塑性樹脂(A)を均一に延伸できることがわかる。
【0022】
以上説明したように、本発明の熱可塑性樹脂(A)を主成分とする繊維状成形物の加熱延伸方法は、その延伸温度を熱可塑性樹脂(A)の動的粘弾性測定におけるゴム状領域の温度すなわちT2以上T3以下とし、その温度での応力歪み測定において極大点を有する降伏点を示さない延伸速度とし、且つ延伸倍率をその延伸倍率以下の範囲において前記応力歪み測定から導かれる微分曲線が(1)式を満たすように設定して延伸しているため、直径の均一性の高い繊維状成形物や、柱状(棒状)成形物を形成することができる。
【0023】
本発明において、繊維状成型物の原料としては、熱可塑性樹脂(A)100質量部に、同種あるいは熱可塑性樹脂(A)と相溶性の良い熱可塑性樹脂(B)を0.5質量部以上40質量部以下添加混合することも可能である。その際、熱可塑性樹脂(B1)の重量平均分子量が熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量の2倍以上であることが好ましく、2.5倍以上がより好ましい。このような熱可塑性樹脂(B)を添加混合することにより、延伸の際に生じる樹脂の変形時に、ゴム弾性を示すような分子鎖の絡み合いが生じることになり、均一延伸に好ましい応力歪み特性を得ることができる。
【0024】
また、熱可塑性樹脂(A)100質量部に架橋剤を0.1質量部以上40質量部以下添加混合したり、熱可塑性樹脂(A)を重合するときに、架橋剤を共重合しても良い。架橋剤を含有させることにより、分子鎖の滑りを抑制することができるため、図2の曲線(b)や(c)に示すような応力歪み特性を得ることができる。架橋剤の含有量が少なすぎると架橋剤の添加効果が不十分な場合があり、架橋剤の含有量が多すぎると、熱可塑性樹脂が硬化して延伸不可能になるおそれがある。このような点から架橋剤の含有量は0.5質量部以上30質量部以下がより好ましい。
【0025】
架橋剤は用いられる熱可塑性樹脂(A)により適宜選択されるが、分子中に、熱可塑性樹脂(A)の官能基と反応性を有する官能基を有する化合物が用いられる。例えば熱可塑性樹脂(A)がアクリル樹脂の場合、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、アリルメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレートなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0026】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(A)や熱可塑性樹脂(B)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ブタジエンゴムグラフト共重合体(例えばABS樹脂)、アクリルゴムグラフト共重合体、シリコーン−アクリル複合ゴムグラフト共重合体、エチレンプロピレンゴムグラフト共重合体、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリルスチレン共重合樹脂(AS)等のスチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂(PA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の主としてアクリル酸、メタクリル酸、およびそれらの誘導体の重合体であるアクリル樹脂、フッ素系メタクリレート樹脂、フッ素化メタクリレート−メタクリル酸エステル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体などのフッ化ビニリデンを主成分とする共重合体が挙げられ、熱可塑性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)の混合物としては、PET/PBT、PC/PBT、PBT/ABS、PC/ABS、PA/ABS、PPE/PBT、PPE/HIPS、PPE/PA等の熱可塑性樹脂の混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
本発明は、最も均一性が要求される光学用途、特に光ファイバや柱状レンズに特に適しており、この場合、熱可塑性樹脂(A)としては、ポリメタクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチル単位を50モル%以上含有するメタクリル酸メチル共重合体を用いることが好ましい。これらは芯材として特に好ましい。鞘材としては、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体や、フッ素化(メタ)アクリレート−メタクリル酸メチル共重合体を挙げることができる。鞘層の外周部に形成される保護層としては、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ素化(メタ)アクリレート−メタクリル酸メチル共重合体、ポリフッ化ビニリデンとポリメタクリル酸メチルとのブレンドポリマー、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート等を挙げることができる。
【0028】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(A)は非晶性であることが好ましい。
【0029】
本発明を、光ファイバや柱状レンズの製造に適用する場合には、熱可塑性樹脂(A)を単独で用いてもよいが、複数の熱可塑性樹脂(A)を複合して用いてもよい。例えば、芯−鞘の2層構造あるいは芯−鞘−保護層の3層構造を有するものや、芯部の屈折率が均一であるステップインデックス型(SI型)の他、2種以上の熱可塑性樹脂が用いられ芯部の屈折率が中心から外周にかけてなだらなかに小さくなる分布を持つグレーデットインデックス型(GI型)や、芯部の屈折率が中心部から外周にかけて階段的に小さくなる分布を持つ多層型のもの、海成分中に芯部と鞘部からなる島成分を複数配置させた海島構造を有する多芯型などが挙げられる。
【0030】
本発明の方法は、平均直径が0.05mm以上5mm以下の繊維状成形物の延伸に好適に採用することができる。平均直径が小さすぎると、均一延伸に適するような延伸条件であっても、延伸時に繊維状成形物にかかる張力が低くなるため、熱媒との接触による糸ゆれが生じやすく、結果的に均一延伸が困難になるおそれがある。また、平均直径が大きすぎると、延伸時に繊維状成形物にかかる張力が大きくなるため、ローラーでのすべりなどが発生しやすくなり、均一な延伸が困難になるおそれがある。
【0031】
なお、本発明において複数の熱可塑性樹脂(A)を積層するなどして用いる場合、本発明の延伸条件は各熱可塑性樹脂(A)単独の物性ではなく、複合化された状態で測定された物性から決定する。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、実施例で用いた測定方法は、次の通りである。
【0033】
[動的粘弾性測定]
動的粘弾性測定装置(セイコーインスツルメンツ(株)製DMS200)用い、周波数:10Hz、昇温速度:2℃/分に設定して測定した。
【0034】
[応力歪み測定]
恒温槽付き引張試験機(島津製作所(株)製AG−1000D)を使用し、延伸温度および延伸速度を変えて測定した。
【0035】
[延伸速度]
延伸速度は、加熱炉の前および後のローラーの周速度を、それぞれV1及びV2(m/分)、加熱炉の炉長をL(m)、目的延伸倍率をDとして、次式(3)より求めた。
【0036】
【数4】
Figure 0004624580
[糸径斑(外径変動率)]
レーザー外径測定器(測定部:キーエンス(株)製LS−3030、コントローラー:キーエンス(株)製LS−3001)を加熱炉の後のローラーよりも下流側に配置し、繊維状成形物の加熱延伸を行いながら、繊維状成形物の外形(直径)を、長さ7000mの範囲について連続的に測定した。繊維状成形物の外径は1/15秒ごとに検出した。検出された外径のデータより、繊維状成形物の最大直径、最小直径、平均直径を算出し、外径の変動率を次式(4)より求めた。
【0037】
【数5】
Figure 0004624580
[実施例および比較例]
熱可塑性樹脂としてポリメタクリル酸メチル(商品名:アクリペットVH、三菱レイヨン(株)製)を、溶融紡糸法にて230℃の紡糸ノズルから押し出すことにより、平均直径485μmの未延伸繊維状成形物を作製した。
【0038】
得られた未延伸繊維状成形物の動的粘弾性を測定した結果を図4に示す。ガラス状態からガラス転移状態への転位点T1は112℃、ガラス転移状態からゴム状態への転位点T2は138℃であった。なお、測定は200℃まで行ったがこの温度範囲では、ゴム状態から流動状態への転位点T3は観測されなかった。従って転位点T3は200℃以上である。
【0039】
次に、未延伸繊維状成形物を、それぞれ115℃、145℃及び150℃で、歪み速度400%/分にて応力歪み測定を行った。ここで、前記式(2)より、歪み100%は2倍延伸に相当し、歪み速度400%/分は延伸速度5倍/分に相当する。そして、各温度にて得られた応力歪み曲線からそれぞれ微分曲線を導いた。結果を図5(115℃)、図6(145℃)及び図7(150℃)に示す。図5〜図7より明らかなように、温度が115℃の場合は応力歪み曲線が極大点を有する降伏点を示しており、145℃及び150℃の場合は極大点を有する降伏点を示していない。
【0040】
次に、入口部にローラー1、出口部にローラー2が配置された炉長2mの非接触加熱炉からなる延伸装置を用い、この非接触加熱炉をそれぞれ115℃(S−1)、145℃(S−2)及び150℃(S−3)に設定し、ローラー1及びローラー2の周速度をそれぞれ3m/分及び7m/分に設定して、未延伸繊維状成形物を2倍延伸し、延伸された繊維状成形物の直径変動率を測定した。ここで、延伸速度は5倍/分である。
【0041】
結果を表1に示す。ここで、動的粘弾性条件は、延伸温度が動的粘弾性測定により求められたT2以上T3以下である場合を○、それ以外を×とした。また、応力歪み条件は、応力歪み測定から導かれた微分曲線が、目的の延伸倍率(2倍(歪み:100%))以下の範囲内で、式(1)を満たす場合を○、満たさない場合を×とした。表1に示す結果から分かるように、動的粘弾性測定におけるゴム状態の温度範囲で、且つ応力歪み測定から導かれる微分曲線が所定の条件を満たす条件で延伸することにより、直径変動を小さくすることができた。
【0042】
【表1】
Figure 0004624580
【0043】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、繊維状成形物の長手方向に径変動が小さく直径の均一性に優れた繊維状成形物を形成可能な加熱延伸方法を提供することできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱可塑性樹脂の動的粘弾性の測定結果の一例を示すグラフである。
【図2】熱可塑性樹脂の応力歪み特性の測定結果の一例を示すグラフである。図2(a)は応力歪み曲線、図2(b)はその微分曲線を示す。
【図3】応力歪み特性と、延伸温度及び延伸速度の関係を説明する模式図である。
【図4】実施例で用いたポリメチルメタクリレートの動的粘弾性の測定結果を示すグラフである。
【図5】実施例の応力歪み測定により得られた応力歪み曲線とそれから導かれた微分曲線を示すグラフである。
【図6】実施例の応力歪み測定により得られた応力歪み曲線とそれから導かれた微分曲線を示すグラフである。
【図7】実施例の応力歪み測定により得られた応力歪み曲線とそれから導かれた微分曲線を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂(A)を主成分とする繊維状成形物を所定延伸倍率で加熱延伸する方法において、延伸時の加熱温度を、熱可塑性樹脂(A)の動的粘弾性測定におけるゴム状領域の温度とし、延伸速度を、前記加熱温度での熱可塑性樹脂(A)の応力歪み測定より得られた応力歪み曲線が極大点を有する降伏点を示さない延伸速度とし、かつ前記所定延伸倍率を、前記応力歪み測定から導かれる微分曲線の前記所定延伸倍率以下の領域において次式(1)を満たす延伸倍率とすることを特徴とする繊維状成形物の加熱延伸方法。
    Figure 0004624580
  2. 熱可塑性樹脂(A)100質量部に、熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量に対して2倍以上の重量平均分子量を持つ熱可塑性樹脂(B)を0.5質量部以上40質量部以下添加混合し、この混合物から得られた繊維状成形物を加熱延伸する請求項1記載の加熱延伸方法。
  3. 熱可塑性樹脂(A)100質量部に、熱可塑性樹脂(A)の官能基と反応する官能基を有する架橋剤を0.1質量部以上30質量部以下添加混合し、この混合物から得られた繊維状成形物を加熱延伸する請求項1記載の加熱延伸方法。
  4. 熱可塑性樹脂(A)が非晶性であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の加熱延伸方法。
  5. 熱可塑性樹脂(A)がポリメタクリル酸メチル又はメタクリル酸メチル単位を50モル%以上含有するメタクリル酸メチル系共重合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱延伸方法。
  6. 加熱延伸後の繊維状成形物の平均直径が、0.05mm以上5mm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱延伸方法。
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