JP2002260725A - 非水電解液およびそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents

非水電解液およびそれを用いたリチウム二次電池

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電池の高温保存時の回復特性を改善しつつ、
大電流での過充電時の安全性を確保できる非水電解液お
よびこの電解液を用いたリチウム二次電池を提供するも
のである。 【解決手段】 非水溶媒に電解質が溶解されている非水
電解液において、該非水電解液中に下記一般式(I) 【化1】 (式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で表
されるアルキルビフェニル類とシクロヘキシルベンゼン
とが含有され、かつo−テルフェニル、ビフェニル、t
ert−ブチルベンゼンから選ばれる少なくとも1種が
含有されていることを特徴とする非水電解液、およびそ
れを用いたリチウム二次電池に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池の高温保存時
の回復特性を改善しつつ、大電流(例えば、電流レート
が3C)での過充電時の安全性を確保できる非水電解液
およびこの電解液を用いたリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型軽量化、携帯化が
進み、その電源として高エネルギー密度を有する電池の
開発が要求されている。このような要求に応える電池と
してリチウム二次電池が期待されている。しかしなが
ら、充電器の故障等により、所定の充電電圧以上になっ
た場合、即ち、過充電状態になった場合、正極のリチウ
ムが過剰に放出されてしまい、熱的に不安定になり、負
極では、設計容量以上のリチウムが負極表面に析出する
ため、熱的に不安定になる。このように、正極、負極が
熱的に不安定になると、電極表面で電解液の有機溶媒が
激しく分解する。この反応は急激な発熱反応であるた
め、このような状態になると、電池が異常発熱を起こ
し、熱暴走を引き起こし、最悪の場合、電池が破裂、爆
発するというように、非常に危険である。
【0003】また、当然のことながら、過充電時の電流
が大きくなるほど、電池の安全性を確保することが技術
的に益々難しくなってくる。最近になって、リチウム二
次電池の主用途の一つである携帯電話では、大電流での
過充電時の電池の安全性、例えば、電流レートが3Cで
の、電池の安全性が要求されている。
【0004】このように電池が過充電状態になった時の
安全性を確保する方法として、(1)電子回路による方
法、(2)過充電時のガス発生を利用した機械的電流遮断
による方法、(3)レドックスシャトルによる方法、(4)過
充電電位で電解液中の添加剤を重合させる方法、が提
案、開示されている。
【0005】電子回路による方法や機械的電流遮断によ
る方法では、電池に付加的な構造を付与させるため、電
池がコスト高になってしまう。また、電池の小型軽量化
に対して、不利になる。
【0006】また、特開平9−50822号公報には、
レドックスシャトル方法による過充電時の安全性確保が
開示されている。この方法では、π電子軌道を有するベ
ンゼン類化合物、例えば2−クロロ−p−キシレンや4
−クロロアニソール等を含有した電解液を用いることに
よって、この化合物が正極と負極で可逆的に酸化還元反
応を起こし、過充電電流を消費することで、電池を保護
するというものである。しかしながら、この方法では過
充電電流が小さい場合は効果を示すもの、過充電電流が
大きい場合には、酸化還元反応が可逆的に進まないた
め、電池の安全性を十分に確保することが難しい。
【0007】特開平9−106835号公報には、ビフ
ェニル、3−クロロチオフェン、フランなどを添加した
電解液を用いることで、過充電時にこれらが重合するこ
とで電池の内部抵抗を高くし、電池を保護する方法が開
示されている。しかしながら、これらの化合物は、過充
電時の電流レートが1C程度であれば、効果を発現する
ものの、過充電時の電流レートがその3倍(3C)程度
になると、十分に安全性を確保できない。また、これら
の化合物の添加量を多くすると、過充電時の電池の安全
性は高まるものの、通常の充電状態で高温保存すると、
正極で添加剤が一部、酸化重合反応を起こし、正極上に
重合被膜が生成するために、電池の分極が大きくなり、
電池特性が劣化することが問題である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の過充電時の保護
方法では、高温保存特性を劣化させずに、過充電時の大
電流(例えば、電流レートが3C)におけるリチウム二
次電池の安全性を十分に確保できていない。本発明は、
電流レートが3C程度の大電流での過充電時の安全性を
確保しながら、電池の高温保存特性にも優れたリチウム
二次電池を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、電解液中
に添加する、過充電時に正極表面で酸化重合反応する化
合物に関して、化合物の種類とその添加量の最適化によ
って、過充電時の化合物の酸化重合反応挙動を精密に制
御することが可能となり、前記の課題を解決するに至っ
た。
【0010】本発明は、非水溶媒に電解質が溶解されて
いる非水電解液において、該非水電解液中に下記一般式
(I)
【0011】
【化3】 (式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で表
されるアルキルビフェニル類とシクロヘキシルベンゼン
とが含有され、かつo−テルフェニル、ビフェニル、t
ert−ブチルベンゼンから選ばれる少なくとも1種が
含有されていることを特徴とする非水電解液に関する。
また、本発明は、リチウム含有金属酸化物を含む材料を
正極活物質とする正極と、リチウム金属、リチウム合金
およびリチウムを吸蔵、放出可能な材料からなる群から
選ばれる1種を負極活物質とする負極とを備え、非水溶
媒に電解質が溶解されている非水電解液からなるリチウ
ム二次電池において、前記非水電解液中に下記一般式
(I)
【0012】
【化4】 (式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で表
されるアルキルビフェニル類とシクロヘキシルベンゼン
とが含有され、かつo−テルフェニル、ビフェニル、t
ert−ブチルベンゼンから選ばれる少なくとも1種が
含有されていることを特徴とするリチウム二次電池に関
する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において、酸化重合反応電
位の異なる3種類以上の特定の化合物を電解液中に添加
することにより、リチウム電池の高温保存時の回復特性
と過充電の安全性を制御することができる。本発明にお
ける添加物の中で、正極上での酸化重合反応電位は、ア
ルキルビフェニル類が4.3〜4.5V程度と最も低
い。高温保存時の回復特性向上のためには、酸化重合開
始電位の低い化合物(アルキルビフェニル類)の添加量
が少ない方が好ましいが、逆に過充電時の安全性を確保
するためにはできるだけこれらの化合物の添加量を多く
する必要がある。特に、電流レートが3Cのような大電
流での過充電状態での安全性確保には、酸化重合開始電
位の低い化合物を大量に添加する必要があるが、そうす
ると、高温保存特性は大幅に劣化する。即ち、高温保存
特性と過充電時の安全性確保はトレードオフの関係にあ
る。従って、単独の化合物や、単に酸化重合開始電位の
異なる3種類以上の化合物を電解液中へ添加しただけで
は、高温保存特性と過充電時の安全性確保との両方の特
性を満足することができない。そこで、本発明者らは、
鋭意検討した結果、正極上に生成するアルキルビフェニ
ル類の酸化重合被膜が特異的に高い導電性を有すること
を見出した。このアルキルビフェニル類と、アルキルビ
フェニル類よりも酸化重合開始電位が4.5〜5.0V
と高い添加剤のシクロヘキシルベンゼンと、o−テルフ
ェニル、ビフェニル、tert−ブチルベンゼンから選
ばれる少なくとも1種とを電解液中へ混合することによ
って、酸化重合開始電位の低い化合物(アルキルビフェ
ニル類)の添加量を低減して高温保存特性を改善するこ
とができる。さらに、過充電時にはアルキルビフェニル
類がわずかながらも反応し、正極上に高い導電性を有す
る重合被膜を形成するので、その後、その導電性の重合
被膜上で、アルキルビフェニル類よりも酸化重合開始電
位の高い添加剤が連続的に酸化重合反応を引き起こし、
正極上に厚い重合被膜を形成する。このため、電流レー
トが3Cのような大電流での過充電時にも安全性を確保
できることが分かった。これにより、電池の高温保存時
の回復特性と過充電時の安全性確保の両方を満足するこ
とが可能となった。なお、後述(比較例3)の通り、シ
クロヘキシルベンゼンを添加しない場合には、電流レー
トが3Cの場合の過充電時の安全性確保が十分でないこ
とが分かった。
【0014】前記一般式(I)で表されるアルキルビフ
ェニル類の具体例としては、例えば、4−メチルビフェ
ニル、4−エチルビフェニル、4−プロピルビフェニ
ル、4−iso−プロピルビフェニル、4−ブチルビフ
ェニル、4−iso−ブチルビフェニル、4−tert
−ブチルビフェニル、4−ペンチルビフェニル、4−t
ert−ペンチルビフェニル、4−(1−エチル−1−
メチルプロピル)ビフェニルから選ばれる少なくとも1
種が挙げられる。特に、4−メチルビフェニル、4−エ
チルビフェニル、4−tert−ブチルビフェニルから
選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0015】非水電解液中に含有される前記一般式
(I)で表されるアルキルビフェニル類の含有量は、過
度に多いと高温保存特性が悪くなり、また、過度に少な
いと過充電時の安全性を十分に確保できなくなる。した
がって、その含有量は非水電解液の重量に対して0.0
1重量%以上1.0重量%未満の範囲とするのがよい。
【0016】非水電解液中にシクロヘキシルベンゼンを
含有させることにより、電流レートが3Cの場合の過充
電時の安全性を確保することができる。非水電解液中に
含有されるシクロヘキシルベンゼンの含有量は、過度に
多いと高温保存特性が悪くなり、また、過度に少ないと
過充電時の安全性を確保することができなくなる。した
がって、その含有量は非水電解液の重量に対して0.0
1重量%以上5重量%以下の範囲とするのがよい。
【0017】非水電解液中にo−テルフェニルを含有さ
せる場合には、その含有量は、過度に多いと高温保存特
性が悪くなり、また、過度に少ないと過充電時の安全性
を十分に確保できなくなる。したがって、その含有量は
非水電解液の重量に対して0.01重量%以上5重量%
以下の範囲とするのがよい。また、非水電解液中にビフ
ェニルを含有させる場合には、その含有量は、過度に多
いと高温保存特性が悪くなり、また、過度に少ないと過
充電時の安全性を十分に確保できなくなる。したがっ
て、その含有量は非水電解液の重量に対して0.01重
量%以上1.0重量%未満の範囲とするのがよい。さら
に、非水電解液中にtert−ブチルベンゼンを含有さ
せる場合には、その含有量は、過度に多いと高温保存特
性が悪くなり、また、過度に少ないと過充電時の安全性
を十分に確保できなくなる。したがって、その含有量は
非水電解液の重量に対して0.01重量%以上5重量%
以下の範囲とするのがよい。
【0018】本発明で使用される非水溶媒としては、例
えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカー
ボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビ
ニレンカーボネート(VC)などの環状カーボネート類
や、γ−ブチロラクトンなどのラクトン類、ジメチルカ
ーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(M
EC)、ジエチルカーボネート(DEC)などの鎖状カ
ーボネート類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラ
ヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキ
シエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブト
キシエタンなどのエーテル類、アセトニトリルなどのニ
トリル類、プロピオン酸メチル、ピバリン酸メチル、ピ
バリン酸オクチルなどのエステル類、ジメチルホルムア
ミドなどのアミド類が挙げられる。
【0019】これらの非水溶媒は、1種類で使用しても
よく、また2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
非水溶媒の組み合わせは特に限定されないが、例えば、
環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組み合わ
せ、環状カーボネート類とラクトン類との組み合わせ、
環状カーボネート類3種類と鎖状カーボネート類との組
み合わせなど種々の組み合わせが挙げられる。
【0020】本発明で使用される電解質としては、例え
ば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiN(S
2CF32、LiN(SO2252、LiC(SO2
CF33、LiPF4(CF32、LiPF3(C25
3、LiPF3(CF33、LiPF3(iso−C
373、LiPF5(iso−C37)などが挙げられ
る。これらの電解質は、1種類で使用してもよく、2種
類以上組み合わせて使用してもよい。これら電解質は、
前記の非水溶媒に通常0.1〜3M、好ましくは0.5
〜1.5Mの濃度で溶解されて使用される。
【0021】本発明の電解液は、例えば、前記の非水溶
媒を混合し、これに前記の電解質を溶解し、前記一般式
(I)で表されるアルキルビフェニル類と、シクロヘキ
シルベンゼンと、o−テルフェニル、ビフェニル、te
rt−ブチルベンゼンから選ばれる少なくとも1種とを
溶解することにより得られる。
【0022】本発明の電解液は、二次電池の構成部材、
特にリチウム二次電池の構成部材として好適に使用され
る。二次電池を構成する電解液以外の構成部材について
は特に限定されず、従来使用されている種々の構成部材
を使用できる。
【0023】例えば、正極活物質としてはコバルトまた
はニッケルを含有するリチウムとの複合金属酸化物が使
用される。これらの正極活物質は、1種類だけを選択し
て使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて用いて
も良い。このような複合金属酸化物としては、例えば、
LiCoO2、LiNiO2、LiCo1-xNix
2(0.01<x<1)などが挙げられる。また、Li
CoO2とLiMn24、LiCoO2とLiNiO2
LiMn24とLiNiO2のように適当に混ぜ合わせ
て使用しても良い。
【0024】正極は、前記の正極活物質をアセチレンブ
ラック、カーボンブラックなどの導電剤、ポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン
(PVDF)などの結着剤および溶剤と混練して正極合
剤とした後、この正極材料を集電体としてのアルミニウ
ム箔やステンレス製のラス板に塗布して、乾燥、加圧成
型後、50℃〜250℃程度の温度で2時間程度真空下
で加熱処理することにより作製される。
【0025】負極活物質としては、リチウム金属やリチ
ウム合金、およびリチウムを吸蔵・放出可能な黒鉛型結
晶構造を有する炭素材料〔熱分解炭素類、コークス類、
グラファイト類(人造黒鉛、天然黒鉛など)、有機高分
子化合物燃焼体、炭素繊維〕や複合スズ酸化物などの物
質が使用される。特に、格子面(002)の面間隔(d
002)が0.335〜0.340nmである黒鉛型結晶
構造を有する炭素材料を使用することが好ましい。これ
らの負極活物質は、1種類だけを選択して使用しても良
いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。なお、
炭素材料のような粉末材料はエチレンプロピレンジエン
ターポリマー(EPDM)、ポリテトラフルオロエチレ
ン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)な
どの結着剤と混練して負極合剤として使用される。負極
の製造方法は、特に限定されず、上記の正極の製造方法
と同様な方法により製造することができる。
【0026】リチウム二次電池の構造は特に限定される
ものではなく、正極、負極および単層又は複層のセパレ
ータを有するコイン型電池、さらに、正極、負極および
ロール状のセパレータを有する円筒型電池や角型電池な
どが一例として挙げられる。なお、セパレータとしては
公知のポリオレフィンの微多孔膜、織布、不織布などが
使用される。
【0027】
【実施例】次に、実施例および比較例を挙げて、本発明
を具体的に説明する。 実施例1 〔非水電解液の調製〕EC:PC:DEC(容量比)=
30:5:65の非水溶媒を調製し、これにLiPF6
を1Mの濃度になるように溶解して非水電解液を調製し
た後、さらにアルキルビフェニル類として4−エチルビ
フェニル(EBP)を電解液の総量に対して0.6重
量、シクロヘキシルベンゼン(CHB)を電解液の総量
に対して0.6重量%、o−テルフェニル(OTP)を
電解液の総量に対して0.5重量%、ビフェニル(B
P)を電解液の総量に対して0.8重量%、tert−
ブチルベンゼンを電解液の総量に対して0.5重量%添
加した。
【0028】〔リチウム二次電池の作製〕LiCoO2
(正極活物質)を90重量%、アセチレンブラック(導
電剤)を5重量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を
5重量%の割合で混合し、これに1−メチル−2−ピロ
リドンを加えてスラリー状にしてアルミニウム箔上に塗
布した。その後、これを乾燥し、加圧成型して正極を調
製した。人造黒鉛(負極活物質)を95重量%、ポリフ
ッ化ビニリデン(結着剤)を5重量%の割合で混合し、
これに1−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリー状
にして銅箔上に塗布した。その後、これを乾燥し、加圧
成型して負極を調製した。そして、ポリエチレン微多孔
性フィルムのセパレータを用い、上記の電解液を注入し
て18650サイズの円筒型電池(直径18mm、高さ
65mm)を作製した。
【0029】実施例2 電解液の添加剤として、4−エチルビフェニル(EB
P)を電解液の総量に対して0.4重量%、シクロヘキ
シルベンゼン(CHB)を電解液の総量に対して0.6
重量%、o−テルフェニル(OTP)を電解液の総量に
対して0.7重量%、ビフェニル(BP)を電解液の総
量に対して0.8重量%、tert−ブチルベンゼン
(TBB)を電解液の総量に対して0.5重量%添加し
た以外は、実施例1と同様にして、円筒型電池を作製し
た。
【0030】実施例3 電解液の添加剤として、4−メチルビフェニル(MB
P)を電解液の総量に対して0.6重量%、シクロヘキ
シルベンゼン(CHB)を電解液の総量に対して0.7
重量%、o−テルフェニル(OTP)を電解液の総量に
対して0.5重量%、ビフェニル(BP)を電解液の総
量に対して0.7重量%、tert−ブチルベンゼン
(TBB)を電解液の総量に対して0.5重量%添加し
た以外は、実施例1と同様にして、円筒型電池を作製し
た。
【0031】実施例4 電解液の添加剤として、tert−ブチルビフェニル
(TBBP)を電解液の総量に対して0.8重量%、シ
クロヘキシルベンゼン(CHB)を電解液の総量に対し
て0.5重量%、o−テルフェニル(OTP)を電解液
の総量に対して0.4重量%、ビフェニル(BP)を電
解液の総量に対して0.5重量%、tert−ブチルベ
ンゼン(TBB)を電解液の総量に対して0.8重量%
添加した以外は、実施例1と同様にして、円筒型電池を
作製した。
【0032】実施例5 電解液の添加剤として、4−エチルビフェニル(EB
P)を電解液の総量に対して0.2重量%、4−メチル
ビフェニル(MBP)を電解液の総量に対して0.2重
量%、tert−ブチルビフェニル(TBBP)を電解
液の総量に対して0.3重量%、シクロヘキシルベンゼ
ン(CHB)を電解液の総量に対して0.5重量%、o
−テルフェニル(OTP)を電解液の総量に対して0.
6重量%、ビフェニル(BP)を電解液の総量に対して
0.7重量%、tert−ブチルベンゼン(TBB)を
電解液の総量に対して0.5重量%添加した以外は、実
施例1と同様にして、円筒型電池を作製した。
【0033】実施例6 電解液の添加剤として、4−エチルビフェニル(EB
P)を電解液の総量に対して0.4重量%、シクロヘキ
シルベンゼン(CHB)を電解液の総量に対して2重量
%、o−テルフェニル(OTP)を電解液の総量に対し
て0.4重量%、ビフェニル(BP)を電解液の総量に
対して0.6重量%、tert−ブチルベンゼン(TB
B)を電解液の総量に対して0.6重量%添加した以外
は、実施例1と同様にして、円筒型電池を作製した。
【0034】実施例7 電解液の添加剤として、4−エチルビフェニル(EB
P)を電解液の総量に対して0.6重量%、シクロヘキ
シルベンゼン(CHB)を電解液の総量に対して1重量
%、tert−ブチルベンゼン(TBB)を電解液の総
量に対して2.4重量%添加した以外は、実施例1と同
様にして、円筒型電池を作製した。
【0035】比較例1 電解液の添加剤を加えない以外は、実施例1と同様にし
て、円筒型電池を作製した。
【0036】比較例2 電解液の添加剤として、4−エチルビフェニル(EB
P)を電解液の総量に対して0.7重量%、シクロヘキ
シルベンゼン(CHB)を電解液の総量に対して2.3
重量%添加した以外は、実施例1と同様にして、円筒型
電池を作製した。
【0037】比較例3 電解液の添加剤として、シクロヘキシルベンゼン(CH
B)を電解液の総量に対して1.2重量%、o−テルフ
ェニル(OTP)を電解液の総量に対して1重量%、ビ
フェニル(BP)を電解液の総量に対して0.8重量%
添加した以外は、実施例1と同様にして、円筒型電池を
作製した。
【0038】比較例4 電解液の添加剤として、4−エチルビフェニル(EB
P)を電解液の総量に対して0.6重量%、o−テルフ
ェニル(OTP)を電解液の総量に対して0.5重量
%、ビフェニル(BP)を電解液の総量に対して0.8
重量%、tert−ブチルベンゼン(TBB)を電解液
の総量に対して1.1重量%添加した以外は、実施例1
と同様にして、円筒型電池を作製した。
【0039】比較例5 電解液の添加剤として、tert−ブチルビフェニル
(TBBP)を電解液の総量に対して4重量%添加した
以外は、実施例1と同様にして、円筒型電池を作製し
た。
【0040】比較例6 電解液の添加剤として、ビフェニル(BP)を電解液の
総量に対して3重量%添加した以外は、実施例1と同様
にして、円筒型電池を作製した。
【0041】比較例7 電解液の添加剤として、ビフェニル(BP)を電解液の
総量に対して5重量%添加した以外は、実施例1と同様
にして、円筒型電池を作製した。
【0042】比較例8 電解液の添加剤として、4−クロロアニソールを電解液
の総量に対して3重量%添加した以外は、実施例1と同
様にして、円筒型電池を作製した。
【0043】比較例9 電解液の添加剤として、フランを電解液の総量に対して
3重量%添加した以外は、実施例1と同様にして、円筒
型電池を作製した。
【0044】次に、本発明の実施例1〜7に示す電池と
比較例1〜9に示す電池の過充電試験を実施した。20
℃で充電状態から、さらに3.6A(3C)で各20個
ずつの電池の過充電を行ない、電池が異常発熱するかど
うかを確認した。表1に、試験した電池20個中で異常
発熱した電池の数を示した。
【0045】また、高温保存試験として、充電状態の電
池を80℃で4日間放置し、その後の1Cでの放電容量
を保存前の1C放電容量と比較し、下記の通り、保存回
復率を計算した。 保存回復率=[保存後の1C放電容量/保存前の1C放
電容量]×100 高温保存回復率(%)の結果を表1に示した。
【0046】
【表1】
【0047】なお、本発明は記載の実施例に限定され
ず、発明の趣旨から容易に類推可能な様々な組み合わせ
が可能である。特に、上記実施例の溶媒の組み合わせは
限定されるものではない。更には、上記実施例は186
50サイズの円筒型電池に関するものであるが、本発明
は角型、アルミラミネート型、コイン型の電池にも適用
される。
【0048】
【発明の効果】本発明によって、電池の高温保存時の回
復特性を改善しつつ、過充電時の安全性、特にハイレー
ト(3C)での過充電時の安全性を確保できるリチウム
二次電池を提供できる。
【0049】このようなリチウム二次電池を用いること
によって安全性が高い携帯電話、カムコーダ、パーソナ
ルコンピュータ、PDA、電気自動車、ロードレベリン
グ用電源などの機器を提供することができる。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非水溶媒に電解質が溶解されている非
    水電解液において、該非水電解液中に下記一般式(I) 【化1】 (式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で表
    されるアルキルビフェニル類とシクロヘキシルベンゼン
    とが含有され、かつo−テルフェニル、ビフェニル、t
    ert−ブチルベンゼンから選ばれる少なくとも1種が
    含有されていることを特徴とする非水電解液。
  2. 【請求項2】 前記アルキルビフェニル類が4−メチ
    ルビフェニル、4−エチルビフェニル、4−tert−
    ブチルビフェニルから選ばれる少なくとも1種である請
    求項1記載の非水電解液。
  3. 【請求項3】 前記アルキルビフェニル類の含有量が
    0.01重量%以上1.0重量%未満である請求項1記
    載の非水電解液。
  4. 【請求項4】 前記シクロヘキシルベンゼンの含有量
    が0.01重量%以上5重量%以下である請求項1記載
    の非水電解液。
  5. 【請求項5】 前記o−テルフェニルの含有量が0.
    01重量%以上5重量%以下である請求項1記載の非水
    電解液。
  6. 【請求項6】 前記ビフェニルの含有量が0.01重
    量%以上1.0重量%未満である請求項1記載の非水電
    解液。
  7. 【請求項7】 前記tert−ブチルベンゼンの含有
    量が0.01重量%以上5重量%以下である請求項1記
    載の非水電解液。
  8. 【請求項8】 リチウム含有金属酸化物を含む材料を
    正極活物質とする正極と、リチウム金属、リチウム合金
    およびリチウムを吸蔵、放出可能な材料からなる群から
    選ばれる1種を負極活物質とする負極とを備え、非水溶
    媒に電解質が溶解されている非水電解液からなるリチウ
    ム二次電池において、前記非水電解液中に下記一般式
    (I) 【化2】 (式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で表
    されるアルキルビフェニル類とシクロヘキシルベンゼン
    とが含有され、かつo−テルフェニル、ビフェニル、t
    ert−ブチルベンゼンから選ばれる少なくとも1種が
    含有されていることを特徴とするリチウム二次電池。
  9. 【請求項9】 前記アルキルビフェニル類が4−メチ
    ルビフェニル、4−エチルビフェニル、4−tert−
    ブチルビフェニルから選ばれる少なくとも一種である請
    求項8記載のリチウム二次電池。
  10. 【請求項10】 前記アルキルビフェニル類の含有量
    が0.01重量%以上1.0重量%未満である請求項8
    記載のリチウム二次電池。
  11. 【請求項11】 前記シクロヘキシルベンゼンの含有
    量が0.01重量%以上5重量%以下である請求項8記
    載のリチウム二次電池。
  12. 【請求項12】 前記o−テルフェニルの含有量が
    0.01重量%以上5重量%以下である請求項8記載の
    リチウム二次電池。
  13. 【請求項13】 前記ビフェニルの含有量が0.01
    重量%以上1.0重量%未満である請求項8記載のリチ
    ウム二次電池。
  14. 【請求項14】 前記tert−ブチルベンゼンの含
    有量が0.01重量%以上5重量%以下である請求項8
    記載のリチウム二次電池。
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