JP2002258002A - プラスチックレンズの染色方法及び該方法を用いて得られるプラスチックレンズ - Google Patents
プラスチックレンズの染色方法及び該方法を用いて得られるプラスチックレンズInfo
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Abstract
を染色することができる方法及びこの方法を使用して得
られるプラスチックレンズを提供する。 【解決手段】 昇華性色素を溶解又は微粒子分散させた
染色用用材をコンピュータにより制御される印刷装置に
よって基体に塗布する第1ステップと、染色用用材が塗
布された基体の塗布面を被染色レンズに略密着させる第
2ステップと、染色用用材が塗布された基体を加熱する
ことにより昇華性色素を昇華させて被染色レンズに転写
させる第3ステップと、を備える。
Description
スチックレンズに染色を行う方法及び該方法を用いて得
られるプラスチックレンズに関する。
ラクターやマークからなる絵や文字等のグラフィックデ
ザインを施し、ファッション性を高めたものが知られて
いる。これらはキャラクターやマークが印刷されたシー
ルをレンズに貼ったり、レンズ表面にシルク印刷にて施
していた。
やシルク印刷にてレンズ表面に絵や文字を施したもの
は、時間が経つにつれて剥がれ落ちてしまい、見た目が
悪くなってしまう。また、レンズ表面に印刷をするので
はなく、染色によりレンズに絵や文字を施せばよいが、
プラスチックレンズに任意の形状を部分的に染色する方
法はなかった。
プラスチックレンズに簡単に任意の絵や文字を染色する
ことができる方法及びこの方法を使用して得られるプラ
スチックレンズを提供することを技術課題とする。
に、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とす
る。
させた染色用用材をコンピュータにより制御される印刷
装置によって基体に塗布する第1ステップと、前記染色
用用材が塗布された前記基体の塗布面を被染色レンズに
略密着させる第2ステップと、前記染色用用材が塗布さ
れた基体を加熱することにより昇華性色素を昇華させて
被染色レンズに転写させる第3ステップと、を備えるこ
とを特徴とするプラスチックレンズの染色方法。
色方法において、前記第2ステップは、被染色レンズに
対して前記染色用用材が塗布された基体の非塗布面側よ
り基体を押圧させる押圧手段を用いることにより前記基
体と被染色レンズとを略密着させることを特徴とするプ
ラスチックレンズの染色方法。
ズの染色面側形状に沿って変形可能な材質にて形成され
ていることを特徴とするプラスチックレンズの染色方
法。
リコン樹脂にて形成されていることを特徴とするプラス
チックレンズの染色方法。
染色レンズ及び基体全体を加熱することによりプラスチ
ックレンズを染色することを特徴とするプラスチックレ
ンズの染色方法。
色方法は、前記コンピュータに絵、文字又は記号のグラ
フィックデザインと、その色彩データを入力するデータ
入力ステップを含むことを特徴とするプラスチックレン
ズの染色方法。
色方法において、前記データ入力ステップで入力するデ
ータは被染色レンズに対する前記グラフィックデザイン
の配置に関するデータを含み、前記第1ステップは前記
グラフィックデザインに対して被染色レンズを配置する
ためのマークを基体に印刷することを特徴とするプラス
チックレンズの染色方法。
ンズの染色方法において、前記プラスチックレンズの染
色後、レンズにハードコートを施すことを特徴とする。
ンズの染色方法を用いて得られることを特徴とするプラ
スチックレンズ。
を参考にしつつ説明する。図1はプラスチックレンズの
染色方法の流れを図示したものである。
る。本実施の形態ではRED、YELLOW、BLU
E、BLACKの三色の染料(染色用用材)を用いて4
色のインク(赤、黄、青、黒)を作製する。染料は昇華
性を有するものであれば既存のものが使用できるが、疎
水性の分散染料が好適に用いられる。また、本実施の形
態では染料を所定の温度に加熱し昇華させるため、昇華
時の熱に耐えうる染料を使用する必要がある。また、染
料をインクジェットプリンタのインクカートリッジに入
れて使用するため、染料の粒径はできるだけ細かな方が
都合がよい。
E、BLACKの4色の染色用インクを作製する。各染
料を別々の容器にいれ、各々に純水、分散剤を加えた
後、充分に攪拌を行う。また、BLACKのインクはR
ED、YELLOW、BLUEの染料を混合することに
より作製する。
好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.5
〜10重量%がである。染料が0.1重量%未満である
と、所望する濃度が得られないことが多い。また、染料
が20重量%を超えると、染料の分散性が悪くなってし
まう。また、使用する分散剤は熱で分解せず、耐熱性の
あるものを使用する必要がある。
拌した後、冷却用の水が入った容器に染色用インクが入
った容器を入れ、超音波ホモジナイザーにて指定時間処
理を行ない染色剤を所望する粒径にする。その後、孔径
約1μmのフィルター(ガラス繊維濾紙 GF/B)で
染色用インクを各々吸引濾過し、粒径の大きいものやゴ
ミ等を取り除く。その後、指定のインク濃度になるよう
に純水を加え調整し、インク作製の完了とする。
ェットプリンタ用のインクカートリッジにそれぞれ入
れ、図示するインクジェットプリンタ40(以後、プリ
ンタと記す)にこのカートリッジを装着する。プリンタ
40は市販のものを使用する。
形状、色を出力させるために、市販されているパーソナ
ルコンピュータ50(以下PCという)にあるドローソ
フト等を使用して、出力形状(絵、記号、文字等のデザ
インデータ)、色相及び濃度等の出力データの調製を行
う。
接続されるキーボード等にて入力したプラスチックレン
ズ3の径を基に画面51上に円形形状52(プラスチッ
クレンズ3と同じ径)が表示される。また、図1に示す
眼鏡枠の形状を測定する測定器60(トレーサ)からの
眼鏡枠データに基づいて眼鏡枠形状53が円形形状52
に重ねて画面51上に表示される。円形形状52と眼鏡
枠形状との位置関係は、レンズの幾何中心、光学中心や
眼鏡装用者の瞳孔間距離、その他の補正事項等を考慮し
たプログラムで決定されている。
眼鏡枠データを得るものとしているが、これに限るもの
ではなく、PC50内に多数の眼鏡枠データを記憶させ
ておき、それらを種々選択することもできる。
3内の所望する位置に、予め作製してあるデザインデー
タ54(ここでは花の模様としている)を重ねて置く。
デザインデータ54は所望する絵柄等をスキャナーで読
み込ませておいてもよいし、ドローソフトにて作製して
もよい。また、予め多数のデザインデータを予めPC5
0内に記憶させておき、それらから選択することもでき
る。また、デザインデータ54の色彩データはドローソ
フト等にて選択、決定させればよい。
ト等により行うため、所望するデータをPC50内に保
存しておくことができ、必要になったときに何度でも同
じデータが得られるようになっている。
の紙1を使用する。紙1は紙に限らずプリンタにて印刷
可能なものであれば特に限定されないが、気相転写時に
熱を加えるため、熱吸収のよいものを使用することが好
ましい。
作により、予め設定しておいた出力データにて印刷を行
う。眼鏡枠形状53に対するデザインデータ54の位置
(染色位置)が決定したら、プリンタ40を使用して、
紙1上に着色層2を形成させる。
形形状2aとデザイン2bとを形成するようにプリンタ
40から紙1が出力され、印刷基体10の作製の完了と
なる。
刷基体10とを重ね合せる際の目安(マーク)に使用す
るものであるため、レンズの染色時にレンズ側に円形形
状が染色されないようにできるだけ細く、薄い色の線に
て形成されていることが好ましい。一般にレンズの円周
部分は研削時に削ってしまうため、若干染色されていて
も問題はない。
レンズ加工を行う場合には、円形形状2aをプラスチッ
クレンズ3の径に対して円形形状2aの径を若干大きく
することにより、レンズへの不要な染色を避けることが
できる。また、円形は円周上の3点が判ればその形状を
特定することができるため、紙1上に円形形状2aを作
製せず、円周上に複数の印(3点以上)を設けてもよ
い。この印はレンズ加工時に研削されてしまう位置に形
成させておけばさらに都合がよい。レンズ加工時の研削
箇所は生レンズの形状(円形形状2a)と眼鏡枠形状5
3とを比較することにより、簡単に判断できる。
2が形成された紙1を印刷基体10として使用する。
染色用治具30にて密着させた後、オーブン20内に設
置してレンズの染色を行う。図2に染色用治具30の構
成を示し、説明する。
1、レンズ載置台32、押圧部材33からなる。押圧パ
ッド31は印刷基体10をプラスチックレンズ3の染色
面側の形状(曲面)に沿って押し付けるために使用され
る。このため用いる押圧パッド31は柔軟性を有し、プ
ラスチックレンズの形状に沿って変形するものが好まし
い。本実施の形態ではシリコン樹脂で形成された押圧用
パッドを使用する。
10、プラスチックレンズ3を挟み込むための上底部3
3a及び下底部33bと、上底部33aを上下方向へ駆
動させるための駆動部33cからなる。
ックレンズ3のレンズ凹面側を上向きにした状態でレン
ズ載置台32に載置した後、印刷基体10、押圧パッド
31を順次レンズ載置台32上に乗せる。
形状52とプラスチックレンズ3とを合わせておく。こ
れによりプラスチックレンズ3の所望する位置にデザイ
ン2bを染色することができる。その後、駆動部33c
を回し、上底部33aを下方に下げて押圧パッド31、
印刷基体10、プラスチックレンズ3を上下方向から挟
み込むようにする。このとき印刷基体10上の着色層2
は下側に向けた状態(レンズ側に向けた状態)にしてお
き、着色層2をプラスチックレンズ3の所望する染色位
置に合わせた状態にて上下方向から挟み込んでいる。そ
の結果、プラスチックレンズ3の所望する染色位置に印
刷基体10の着色層2が密着することとなる。
より、プラスチックレンズ3と印刷基体10とを密着さ
せるものとしているが、これに限るものではなく、下方
から押えてもよい。
0とを密着させ、さらに押え込む際の力はできるだけ大
きい方がよいが、レンズの変形等を考慮して圧力を決定
すればよい。好ましくは10kPa〜500kPa、さ
らに好ましくは200kPa〜400kPaである。挟
み込む際の圧力が10kPaを下回るとプラスチックレ
ンズ3と印刷基体10との押さえつけが甘くなり、レン
ズに染色された絵等がぼやけてしまうおそれがある。ま
た、500kPaを上回ると、プラスチックレンズ3の
変形や割れが発生するおそれがある。
材質は、ポリカーボネート系樹脂(例えば、ジエチレン
グリコールビスアリルカーボネート重合体(CR−3
9))、ポリウレタン系樹脂、アリル系樹脂(例えば、
アリルジグリコールカーボネート及びその共重合体、ジ
アリルフタレート及びその共重合体)、フマル酸系樹脂
(例えば、ベンジルフマレート共重合体)、スチレン系
樹脂、ポリメチルアクリレート系樹脂、繊維系樹脂(例
えば、セルロースプロピオネート)等の眼鏡レンズに使
用される一般的な材質が用いられる。
チックレンズ3と印刷基体10をセットしたら、図1に
示すオーブン20に入れ、常圧下にて加熱を行いプラス
チックレンズ3の染色を行う。オーブン20の加熱温度
は染料の変質やレンズの変形が生じない程度でできるだ
け高い温度とするのが好ましい。好ましくは80℃〜2
00℃、さらに好ましくは110℃〜150℃である。
加熱温度が80℃を下回ると染料が昇華し難くなり、レ
ンズの染色が難しい。また、200℃を上回ってもよい
が、染料の変質、レンズの変形が起きやすくなる。加熱
時間は印刷基体10から染料が殆ど昇華する時間だけ行
えばよく、例えば30分〜90分程度である。
く、プラスチックレンズ3も加熱しているが、これに限
るものではなく、印刷基体10のみを加熱することもで
きる。この場合は押圧パッド31内に電熱線等を入れて
おき、押圧パッド31から熱を発生させることにより、
印刷基体10のみを加熱することもできる。オーブン2
0内にて染色が終了したら、染色用治具30からプラス
チックレンズ3を外し、染色の完成とする。
を抑制するためにプラスチックレンズ3にハードコート
を施してもよい。
ン等の加水分解生成物、金属酸化物及び硬化触媒等のハ
ードコートに一般的に使用されるものを用いることがで
きる。アルコシキシランとしては例えばメチルトリメト
キシシラン、エチルトリメトキシシラン、γ−グリシド
キシトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン等を挙げることができる。また、金属
酸化物としてはチタニアが挙げられるが、その他にもア
ルミニウム、鉄、ジルコニウム、インジウム等の金属の
酸化物が挙げられる。また、硬化触媒としてはアミン
類、金属キレート、金属塩等が挙げられ、具体的にはグ
アニジン、トリエチルアミン、アニリン等のアミン類、
アセチルアセトンが配位したクロム(III)、鉄(II
I)、ジルコニウム(IV)等の金属キレート類、塩化ス
ズ、塩化鉄、塩化アルミニウム等の塩化鉄が挙げられ
る。
ードコート液を作製する。また、ハードコート液はメチ
ルアルコールやエチルアルコール等のアルコール類、酢
酸エチル等のケトン類、ジエチルエーテル等のエーテル
類などを溶媒として用いることができる。
コート液の塗布方法としては、浸漬塗装、ローラ塗装、
スプレー塗装、スピン塗装等のハードコートにおける一
般的な塗装方法を用いることができる。また、塗装前に
レンズへの前処理として、超音波洗浄やアルカリ処理、
RF(プラズマ)処理等を行うことができる。
布後はレンズを乾燥させるための処理を行う。乾燥方法
は温風乾燥、赤外線乾燥、CH乾燥(凝集加熱方法)、
UV乾燥等を用いることができる。
ズを使用した。使用する染料は、REDはカヤロン製
ポリエステルRED BS200、YELLOWはカヤロン製
マイクロエステル AQ-LE、BLUEはダイアックス製
BLUE AC-Eを用いた。また、分散剤には花王製 デモ
ールMSを用いた。
ンクの組成を示したものである。BLACK用インクに
使用する各染料の割合はRED:YELLOW:BLU
E=1:2:2としている。
純水を、作製するインク毎に各々容器に入れた後、10
分以上攪拌する。その後、超音波ホモジナイザーにて指
定時間処理(約100gに対して30分処理)し、染料
の粒子を一次粒子まで細かくする。その後、孔径約0.
7μmのフィルターにて混合液を吸引濾過し粒径の大き
いものやゴミ等を取り除く。吸引濾過後の混合液に純水
を適量加え濃度の調整を行い染色用インクを作製した。
ク,YELLOW用インク,BLUE用インク,BLA
CK用インク)をインクジェットプリンタ(エプソン製
MJ-500C)のインクカートリッジに注入し、市販の紙
(三菱製紙製つや紙(黒))を使用して印刷基体10を
作製した。印刷基体10はPCのドローソフトを使用し
てプリンタ40にて紙上に花の模様の着色層を形成する
ように印刷することにより作製した。また、色相はR1
50,G100,B50となるように設定した。
色用治具20にプラスチックレンズ3、印刷基体10を
セットし、印刷基体10からプラスチックレンズ3への
転写作業(染色作業)を行った。オーブン20の加熱温
度は135℃、加熱時間1時間にて行った。プラスチッ
クレンズ3への転写作業後、プラスチックレンズ3の染
色面にはきれいな花の模様が染色された。
絵、記号や文字等のデザインデータをプリンタで出力し
て印刷基体を作製した後、この印刷基体とプラスチック
レンズとを密着させて加熱し、染色することにより、レ
ンズに所望する形状、色相等を簡単に施すことができ
る。また、印刷ではなく染色であるため、従来のシール
やシルク印刷に比べて色落ちや剥がれが抑制される。
ものである。
刷基体とを略密着させる構成を示した図である。
る。
Claims (9)
- 【請求項1】 昇華性色素を溶解又は微粒子分散させた
染色用用材をコンピュータにより制御される印刷装置に
よって基体に塗布する第1ステップと、前記染色用用材
が塗布された前記基体の塗布面を被染色レンズに略密着
させる第2ステップと、前記染色用用材が塗布された基
体を加熱することにより昇華性色素を昇華させて被染色
レンズに転写させる第3ステップと、を備えることを特
徴とするプラスチックレンズの染色方法。 - 【請求項2】 請求項1のプラスチックレンズの染色方
法において、前記第2ステップは、被染色レンズに対し
て前記染色用用材が塗布された基体の非塗布面側より基
体を押圧させる押圧手段を用いることにより前記基体と
被染色レンズとを略密着させることを特徴とするプラス
チックレンズの染色方法。 - 【請求項3】 請求項2の押圧手段は、被染色レンズの
染色面側形状に沿って変形可能な材質にて形成されてい
ることを特徴とするプラスチックレンズの染色方法。 - 【請求項4】 請求項3の押圧手段は、押圧面がシリコ
ン樹脂にて形成されていることを特徴とするプラスチッ
クレンズの染色方法。 - 【請求項5】 請求項1の第3ステップは、前記被染色
レンズ及び基体全体を加熱することによりプラスチック
レンズを染色することを特徴とするプラスチックレンズ
の染色方法。 - 【請求項6】 請求項1のプラスチックレンズの染色方
法は、前記コンピュータに絵、文字又は記号のグラフィ
ックデザインと、その色彩データを入力するデータ入力
ステップを含むことを特徴とするプラスチックレンズの
染色方法。 - 【請求項7】 請求項6のプラスチックレンズの染色方
法において、前記データ入力ステップで入力するデータ
は被染色レンズに対する前記グラフィックデザインの配
置に関するデータを含み、前記第1ステップは前記グラ
フィックデザインに対して被染色レンズを配置するため
のマークを基体に印刷することを特徴とするプラスチッ
クレンズの染色方法。 - 【請求項8】 請求項1〜7のプラスチックレンズの染
色方法において、前記プラスチックレンズの染色後、レ
ンズにハードコートを施すことを特徴とするプラスチッ
クレンズの染色方法。 - 【請求項9】 請求項1〜8のプラスチックレンズの染
色方法を用いて得られることを特徴とするプラスチック
レンズ。
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