JP4068310B2 - 紫外線吸収効果を有するプラスチックレンズの製造方法及び該方法に使用する紫外線吸収用インク - Google Patents
紫外線吸収効果を有するプラスチックレンズの製造方法及び該方法に使用する紫外線吸収用インク Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は紫外線吸収効果を持たせたプラスチックレンズの製造方法及び該製造方法に使用する紫外線吸収用インクに関する。
【0002】
【従来技術】
従来、眼鏡用のプラスチックレンズは遮光性やファッション性などの点から染色を行っている。また、染色を行った際に眼やレンズの保護を目的としてレンズに紫外線吸収効果を持たせたものもある。
【0003】
レンズに紫外線吸収の効果を持たせるには、レンズを染色させる前に紫外線吸収剤の液に浸漬させ、レンズに紫外線吸収剤を付けた後、染色を行う方法が知られている。また、予め染色液に紫外線吸収剤を含有させておき、所望する染色状態になるまで染色液に浸漬させて一度に染色と紫外線吸収効果を得る方法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のレンズ基材の中に紫外線吸収剤を含有させる方法ではレンズの厚みによって紫外線吸収の効果が変わってしまう。また、紫外線吸収剤の液の中にレンズをつける方法では紫外線吸収剤の液を廃棄しなければならないため環境や手間等の問題もある。
【0005】
さらに、紫外線吸収効果を持たせたレンズに染色を行う場合、予めレンズに紫外線吸収剤を付けた後、染色を行うためレンズの製造工程が増え、効率がよくない。また、予め染色液に紫外線吸収剤を含有させておき、所望する染色状態になるまで染色液に浸漬させて一度に染色と紫外線吸収効果を得る方法では、染色と紫外線吸収の効果を1工程で得られるが、染色の時間によって各レンズに定着する紫外線吸収剤の量が異なるため、染色濃度により紫外線吸収の効果に差が出てしまう。また、廃棄等の問題もある。
【0006】
上記従来技術の問題点に鑑み、紫外線吸収効果を有するプラスチックレンズを簡単な作業にて得ることができるプラスチックレンズの製造方法、さらにレンズに染色を行う場合においても、染色と紫外線吸収効果を効率よく得ることのできるプラスチックレンズの製造方法を提供することを技術課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0008】
(1) 昇華性色素を溶解又は微粒子分散させた染色用用材と紫外線吸収剤を溶解又は微粒子分散させた紫外線吸収用用材とが別々のインクカートリッジに入れられたインクジェットプリンタを用いて前記染色用用材と紫外線吸収用用材とを基体の同じ印刷領域に塗布するステップであって,前記インクカートリッジより吐出する前記紫外線吸収用用材の塗布量は前記染色用用材の種類及び塗布量に関係なく予め定められた量を塗布する第1ステップと、前記染色用用材及び紫外線吸収用用材が同じ印刷領域に塗布された基体の塗布面を被転写レンズと非接触に対向させる第2ステップと、略真空中で前記基体を加熱することにより昇華性色素及び紫外線吸収剤を昇華させてレンズに転写させる第3ステップと、を備えることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参考にしつつ説明する。図1はプラスチックレンズの製造方法(染色方法)の流れを図示したものである。
【0019】
(1)インク作製
初めにインクジェットプリンタに用いるインクを作製する。本実施の形態ではRED、YELLOW、BLUEの三色の染料と紫外線吸収剤を用いてインクを作製する。染料は昇華性を有するものであれば既存のものが使用できるが、分散染料が好適に用いられる。また、本実施の形態で用いる染料は疎水性であり、昇華性を有する分散染料を用いているが、その他にも水溶性染料、無機顔料、有機顔料を用いることもできる。
【0020】
また、本実施の形態では染料をインクジェットプリンタのインクカートリッジに入れて使用するため、染料の粒径はできるだけ小さい方が都合がよい。染料の平均粒径は好ましくは0.05μm〜1μm,最大粒径が3μm以下、更に好ましくは0.05μm〜0.5μm,最大粒径が1μm以下である。また、紫外線吸収剤の平均粒径は好ましくは0.05μm〜1μm,最大粒径が3μm以下である。最大粒径が3μmを上回るとインクカートリッジから紫外線吸収剤が吐出され難くなる。
【0021】
また、紫外線吸収剤においてはベンゾフェノン系、サリチレート系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、修酸アニリド系、トリアジン系等の紫外線吸収剤が知られている。これらの紫外線吸収剤において熱を加えることにより昇華するものが本実施の形態にて用いることができる。さらに本実施の形態では紫外線吸収剤をインク化して紙に塗布した後、この紙に熱を加えて紫外線吸収剤を昇華させてレンズに転写(蒸着)させるものとしている。このため、使用する紫外線吸収剤は転写時に加える熱に対して十分な耐熱性を備えるとともに、加える熱にて昇華する材料であることが必要とされる。
【0022】
インクはRED、YELLOW、BLUEの3色の染色用インクと紫外線吸収用インクの計4種類を作製する。各染料及び紫外線吸収剤を別々の容器にいれ、それぞれ純水、分散剤を加えた後、充分に攪拌を行う。また、必要があれば染料や紫外線吸収剤の表面張力を下げ、分散を助けるための助剤を加えてもよい。紫外線吸収用インクに用いる分散剤としては一般に知られているものが使用できるが、長鎖アルキルベンゼン、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、又はこれらの混合物が好適に用いられる。
【0023】
インク処方は染色用インクの場合、インクに対する染料の量は好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜10重量%の染料を含む。染料が0.1重量%未満であると、所望する濃度が得られないことが多い。また、染料が20重量%を超えると、染料の分散性が悪くなってしまう。
【0024】
また、紫外線吸収用インクの場合、好ましくは1.0〜10.0重量%、より好ましくは3.0〜6.0重量%の紫外線吸収剤を含む。紫外線吸収剤が1.0重量%未満であると、十分な紫外線吸収の効果が得られ難い。また、紫外線吸収剤が10.0重量%を超えると、紫外線吸収剤の分散性が悪くなってしまう。
【0025】
各容器内に染色剤、分散剤、純水を入れた後十分攪拌して染色用インクとし、その後冷却用の水が入った容器に染色用インクが入った容器を入れ、超音波ホモジナイザーをセットし、指定時間処理をする。また、紫外線吸収剤、分散剤、助剤、純水を容器に入れ十分に攪拌して紫外線吸収用インクとする。その後、孔径約1μmのフィルターで染色用インク、孔径約2.7μmのフィルターにて紫外線吸収用インクを各々吸引濾過し、粒径の大きいものやゴミ等を取り除く。粒径の大きいものやゴミ等を取り除いたあと、指定のインク濃度になるように純水を加え調整し、インク作製の完了とする。
【0026】
(2) 着色された印刷基体の作製
上記にて作製した染色用インク3種類と紫外線吸収用インク1種類を市販のインクジェットプリンタ用のインクカートリッジにそれぞれ入れ、図示するインクジェットプリンタ40(以後、プリンタと記す)にこのカートリッジを装着する(インクカートリッジは計4個となる)。プリンタ40は市販のものを使用する。使用するプリンタ40は染料、紫外線吸収剤がインクカートリッジのヘッドから吐出し易いようにインクの吐出口が大きいものが好ましい。
【0027】
次に、このプリンタ40を使用して所望の色をプリントさせるために、市販されているパーソナルコンピュータ50(以下PCという)を使用して、印刷される色相及び濃度の調製を行う。色相の調製はPC50のドローソフトにより行うため、所望する色データをPC50内に保存しておくことができ、必要になったときに何度でも同じ色調が得られるようになっている。また、色の濃淡もデジタル管理されるため、必要なときに何回でも同じ濃度の色を所望することができる。
【0028】
また、紫外線吸収用インクから紙(基体)に塗布する量は、印刷される色相及び濃度等の出力条件によらず、常に一定量が印刷範囲に塗布されるように予めPC50内にてプログラム制御されている。
【0029】
昇華性染料を印刷する基体には市販のA4の紙1を使用する。紙1は紙に限らずプリンタ40にて印刷可能なものであれば特に限定されないが、気相転写時に熱を加えるため、熱吸収のよいものを使用することが好ましい。
【0030】
プリンタ40に紙1を入れ、PC50の操作により、予め設定しておいた色相及び濃度にて印刷を行う。印刷された紙1には染色用インクと紫外線吸収用インクが塗布された着色層2が円形状に印刷される。着色層2の大きさはレンズの径よりも若干大きいものが好ましい。プリンタ40によって着色層2が形成された紙1を印刷基体10として使用する。
【0031】
(3)プラスチックレンズの染色
次に着色された印刷基体10とプラスチックレンズ3とを真空気相転写機本体20内に設置してレンズの染色を行う方法について説明する。図2に真空気相転写機本体20正面から見た内部該略図を示す。
【0032】
20は真空気相転写機本体であり、正面には印刷基体10やプラスチックレンズ3を出し入れするための図示無き取出し口が設けられている。染色を行うプラスチックレンズ3の材質は、ポリカーボネート系樹脂(例えば、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート重合体(CR−39))、ポリウレタン系樹脂、アリル系樹脂(例えば、アリルジグリコールカーボネート及びその共重合体、ジアリルフタレート及びその共重合体)、フマル酸系樹脂(例えば、ベンジルフマレート共重合体)、スチレン系樹脂、ポリメチルアクリレート系樹脂、繊維系樹脂(例えば、セルロースプロピオネート)等の眼鏡レンズに使用される一般的な材質が用いられる。
【0033】
21は印刷基体10上の染料及び紫外線吸収剤を昇華させるためのハロゲンランプである。22はロータリーポンプであり、本体20内をほぼ真空にさせるために使用する。23はリークバルブであり、このバルブを開くことでほぼ真空になった本体20内に外気を入れ大気圧に戻すものである。
【0034】
30はプラスチックレンズ3と印刷基体10とをセットして染色を行うための染色用治具である。染色用治具30はプラスチックレンズ3を載置するためのレンズ載置部31と印刷基体10を載置するための基体載置部32からなる。
【0035】
レンズ載置部31は円筒形の形状を有し、プラスチックレンズ3を所定の高さに維持するための載置台31aとプラスチックレンズを支持する支持部31bからなる。図のようにプラスチックレンズ3の凸面側を支持部31bにて支持させ、支持部31bを載置台31a上に乗せることにより、レンズ3を所定の高さに保持させておくことができる。
【0036】
基体載置部32は印刷基体10を載せるための円筒の形状を有する載置台32aと印刷基体10を上方から押えるための基体押さえ32bからなる。載置台32aは図示するように、その内側にレンズ載置部31が位置するように置かれ、載置台32aの上部に載せられた印刷基体10を基体押さえ32bと載置台32aとで挟み込むことにより、印刷基体10が動かないようにしっかりと固定保持する。このとき印刷基体10の着色層2はレンズ3側(下側)に向けてセットされる。
【0037】
このような構成を持つ真空気相転写機本体20を使用して以下の操作を行い、プラスチックレンズ3の染色を行う。
【0038】
染色用治具30にプラスチックレンズ3、印刷基体10をセットした後、本体20を密封してロータリーポンプ22を用いて真空状態にする。このときの真空状態とは0.1〜5kPa付近まで減圧したときのことである。0.1kPaを下回っても差し支えないが、高性能排気装置を必要とする。また、装置内の気圧が高ければ高い程、染料を昇華させるのに必要な温度が高くなるため圧力の上限は5kPa、さらに好ましくは0.1kPa〜3kPaである。
【0039】
本体20が所定の真空度に達したらハロゲンランプ21を点灯させ、印刷基体10を上方から加熱する。印刷基体10上での加熱温度は染料、紫外線吸収剤の変質やレンズの変形が生じない中でできるだけ高い温度になるようにすることが好ましい。
【0040】
ここで、昇華に当たって加熱を行う場合の温度をできるだけ高温とするのは、印刷基体上の染料や紫外線吸収剤をできるだけ多く昇華させるとともに、所望の色相及び濃さに発色させるための加熱時間や昇華時間を短くすることができ、生産性を向上することができるからである。好ましくは100℃〜400℃、さらに好ましくは200℃〜350℃である。
【0041】
ハロゲンランプ21の点灯により印刷基体10が加熱されるため、着色層2より染料及び紫外線吸収剤が昇華、蒸散し、プラスチックレンズ3の凹面側に蒸着する。ハロゲンランプ21の点灯による印刷基体10への加熱は着色層2上の染料や紫外線吸収剤が殆ど昇華、蒸散するまで行えばよい。
【0042】
加熱が終了したら、ハロゲンランプ21の点灯を止めるとともにリークバルブ22を開いて常圧に戻し、本体20の扉を開けプラスチックレンズ3を取り出す。プラスチックレンズ3には昇華した染料及び紫外線吸収剤が蒸着しているが、このままでは取れやすいので、図1に示すオーブン60に入れ、常圧下にて加熱し定着させる。
【0043】
この工程はプラスチックレンズ3の耐熱温度以下で、できるだけ高温に設定された温度にオーブン内を加熱し、所望の色相及び濃度を得るために予め定めておいた時間が経過した後にオーブン内からプラスチックレンズ3を取り出すといった手順で実行される。実際の加熱温度は50〜150℃、加熱時間は30分〜1時間程である。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態によれば、レンズの染色と紫外線吸収用の処理とを一度に行うことができるため、効率よくレンズの染色を行うことができる。 本実施の形態では、染色用インクと紫外線用インクとを別々に設けるものとしているが、これに限るものではなく、染料と紫外線吸収剤とを混合して染色用インクに紫外線吸収剤を入れておくこともできる。
【0045】
また、染色を行わずに紫外線吸収効果のみをレンズに付加させる場合には、染色用インクを使用せず、紫外線吸収用インクのみを紙に印刷し、これを印刷基体として上述した転写作業を行えばよい。
【0046】
さらに、プラスチックレンズ3をオーブン60にて加熱し、染料及び紫外線吸収剤を定着させた後、レンズの保護や染料、紫外線吸収剤の剥がれを抑制するためにプラスチックレンズ3にハードコートを施してもよい。
【0047】
ハードコートの組成物にはアルコシキシラン等の加水分解生成物、金属酸化物及び硬化触媒等のハードコートに一般的に使用されるものを用いることができる。アルコシキシランとしては例えばメチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。また、金属酸化物としてはチタニアが挙げられるが、その他にもアルミニウム、鉄、ジルコニウム、インジウム等の金属の酸化物が挙げられる。また、硬化触媒としてはアミン類、金属キレート、金属塩等が挙げられ、具体的にはグアニジン、トリエチルアミン、アニリン等のアミン類、アセチルアセトンが配位したクロム(III)、鉄(III)、ジルコニウム(IV)等の金属キレート類、塩化スズ、塩化鉄、塩化アルミニウム等の塩化鉄が挙げられる。
【0048】
これら上記に示した物質を適宜配合しハードコート液を作製する。また、ハードコート液はメチルアルコールやエチルアルコール等のアルコール類、酢酸エチル等のケトン類、ジエチルエーテル等のエーテル類などを溶媒として用いることができる。
【0049】
染色後のプラスチックレンズ3へのハードコート液の塗布方法としては、浸漬塗装、ローラ塗装、スプレー塗装、スピン塗装等のハードコートにおける一般的な塗装方法を用いることができる。また、塗装前にレンズへの前処理として、超音波洗浄やアルカリ処理、RF(プラズマ)処理等を行うことができる。
【0050】
プラスチックレンズ3へのハードコート塗布後はレンズを乾燥させるための処理を行う。乾燥方法は温風乾燥、赤外線乾燥、CH乾燥(凝集加熱方法)、UV乾燥等を用いることができる。
【0051】
以下に具体的な実施例を示す。
【0052】
<実施例>
この実施例では、CR−39のレンズを使用した。使用する染料はREDはカヤロン製 ポリエステルRED BS200、YELLOWはカヤロン製 マイクロエステル AQ-LE、BLUEはダイアックス製 BLUE AC-Eを用いた。また、染色用インクに使用する分散剤には花王製 デモールMSを用いた。
【0053】
紫外線吸収剤にはCYTEC INDUSTRIES INC製 CYASORB UV-24を用いた。また、紫外線吸収用インクに使用する分散剤には長鎖アルキルベンゼンとアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムの混合液と花王製 デモールMSを、助剤にはフロラード FC170Cを用いた。
【0054】
表1は各インクカートリッジに入れる各インクの組成を示したものである。
【表1】
ここで%は重量%を示している。
【0055】
表1のような組成にて染料及び紫外線吸収剤、分散剤、純水を、作製するインク毎に各々容器に入れた後、10分以上攪拌する。その後、RED、YELLOW、BLUEのインクは超音波ホモジナイザーにて指定時間処理(約100gに対して30分処理)、フィルターにて吸引濾過し、純水を適量加え濃度の調整を行いインクを作製した。
【0056】
作製された各インク(RED用インク,YELLOW用インク,BLUE用インク,紫外線吸収用インク)をインクジェットプリンタ(武藤工業製 RJ-1300V2)のインクカートリッジに注入し、市販の紙(三菱製紙製つや紙(黒))を使用して印刷基体10を作製した。印刷基体10はPCのドローソフト及び印刷制御用ソフトを使用してプリンタ40にて紙上にφ95の円形状に着色層を形成するように印刷することにより作製した。
【0057】
また、印刷基体はプリンタからの出力条件(塗布条件)は、
(イ) 50%出力(90dpi)の染色用インク+50%出力(90dpi)の紫外線吸収用インク
(ロ) 50%出力(90dpi)の染色用インク+100%出力(180dpi)紫外線吸収用インク
(ハ) 50%出力の染色用インクのみ
(ニ) 50%出力の紫外線吸収用インクのみ
の計4種類の印刷基体を用意し、各々の印刷基体からプラスチックレンズへの転写作業(染色作業)を行った。
【0058】
この印刷基体の乾燥を待って、前述した真空気相転写機20、染色用治具30等を使用して印刷基体10からプラスチックレンズ3への転写作業を行った。このときの真空気相転写機20内の真空度は1kPa、印刷基体10上の温度は250℃であった。プラスチックレンズ3への転写作業後、定着させるためにオーブン60内にプラスチックレンズ3を置き、135℃で1時間レンズを加熱した。
【0059】
転写後(染色後)のプラスチックレンズを測色機(村上色彩技術研究所製 DOT−3 D65光源、10度視野)にて測定を行った。その結果を表2に示す(表2には比較のため染色を行っていない未処理レンズも加えてある)。
【0060】
【表2】
【0061】
この表に示すように、紫外線吸収用インクを塗布した印刷基体を用いて転写染色を行ったレンズは、未処理レンズと比べて紫外線の吸収効果があることが確認された。
【0062】
【発明の効果】
以上のように、本発明では染色用の印刷基体に染料と紫外線吸収剤とを塗布しているため、一度の作業にて染色と紫外線吸収効果を得ることができる。また、染色用インクと紫外線吸収用インクとを別々に設けることにより、染色濃度が異なっても常に一定量の紫外線吸収剤を塗布させることができるため、染色濃度が異なるレンズに対しても常に一定の紫外線吸収効果の有するレンズを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラスチックレンズの製造方法(染色方法)の流れを図示したものである。
【図2】真空気相転写機本体20正面から見た内部の様子を示した図である。
【符号の説明】
1 紙
2 着色層
3 プラスチックレンズ
10 印刷基体
20 真空気相転写機本体
30 染色用治具
40 インクジェットプリンタ
41 インクカートリッジ
50 パーソナルコンピュータ
60 オーブン
Claims (1)
- 昇華性色素を溶解又は微粒子分散させた染色用用材と紫外線吸収剤を溶解又は微粒子分散させた紫外線吸収用用材とが別々のインクカートリッジに入れられたインクジェットプリンタを用いて前記染色用用材と紫外線吸収用用材とを基体の同じ印刷領域に塗布するステップであって,前記インクカートリッジより吐出する前記紫外線吸収用用材の塗布量は前記染色用用材の種類及び塗布量に関係なく予め定められた量を塗布する第1ステップと、前記染色用用材及び紫外線吸収用用材が同じ印刷領域に塗布された基体の塗布面を被転写レンズと非接触に対向させる第2ステップと、略真空中で前記基体を加熱することにより昇華性色素及び紫外線吸収剤を昇華させてレンズに転写させる第3ステップと、を備えることを特徴とする紫外線吸収効果を有するプラスチックレンズの製造方法。
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