JP4236003B2 - プラスチックレンズの染色方法 - Google Patents
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Description
また、この浸染法に代わる方法として、気相法による染色方法が提案されている。この気相法は固形昇華性染料を加熱して昇華させ、同じく加熱状態にあるプラスチックレンズを染色するというものである(特許文献1参照)。
また、従来の浸染法おいては分散染料の相互作用や凝集等により、色相のばらつきやムラが発生して安定な染色物が得られないという問題がある。また、使用した染色液を最終的には廃棄しなければならないことから、染料の有効利用ができない上に廃液処理の問題も発生する。さらに浸染法では、染色液を加熱するため、高温多湿でしかも染料による悪臭の存在する環境で染色作業を行うことになり、作業環境が悪いという問題がある。
本発明は濃度の調製が容易で常に安定した色相のプラスチックレンズの染色を行うと共に、作業環境を損なわずに快適に染色作業を行う方法、染色装置及びそれらを用いて得られる染色レンズを提供することを技術課題とする。
(1) 染色用色素が付いたプラスチックレンズをオーブンにて加熱することにより染色を完了させるプラスチックレンズの染色方法において、昇華性色素を溶解又は微粒子分散させた染色用用材を電子計算機にて管理された色データに基づいて基体に塗布し印刷基体を得る第1ステップと、該第1ステップにて得られた印刷基体における前記染色用用材が塗布された塗布面を真空中にプラスチックレンズと非接触に対向させるとともに前記印刷基体を所定温度で加熱することにより昇華性色素を昇華させ,該昇華性色素を前記プラスチックレンズに蒸着させる第2ステップと、を有することを特徴とする。
昇華性染料として、ウペポ(株)製の分散染料インキ赤、青、黄、黒色(いずれも水性)の計4色を使用した。このインキを市販のインクジェットプリンタ用のインクカートリッジにそれぞれ入れ、インクジェットプリンタにこのカートリッジを装着する。インクジェットプリンタは市販((株)MIJ製)のものを使用する。
図2に真空気相転写機を正面から見た内部該略図を示す。
10は真空気相転写機本体であり、正面上部にはプラスチックレンズ14や印刷基体3を出し入れするための図示無き取出し口が設けられている。11は支持軸であり、プラスチックレンズ14を載せる載置台12を上下方向に移動させ、取出し口近くまで引き寄せることができる。載置台12には支持軸11を中心にして左右に円形の開口部12aが設けられており、円形の開口部12aは染色するレンズ径よりも大きく作られている。載置台12の下面には印刷基体3(白紙1に着色層2が印刷されたもの)が、開口部12aに着色層2が位置するように貼り付けられ、染料はこの開口部12aを通って昇華できるようになっている。
17はロータリーポンプであり、本体10内をほぼ真空にさせるために使用する。18はリークバルブであり、このバルブ18を開くことでほぼ真空になった本体10内に外気を入れ大気圧に戻すものである。
支持軸11を上に持ち上げ、載置台12を上方へ移動させる。載置台12が本体10内上部に移動したら、取出し口から(1)において作製された印刷基体3を入れ、印刷面(着色層2)を上にして載置台12下面にテープ等で貼り付けておく。この時、載置台12の2つの開口部12aに印刷された昇華性染料(着色層2)が位置するように調節をしておく。載置台12の下面に印刷基体3を貼り付けたら、載置台12の上側にレンズ保持具13を取り付けておく。
ここで、昇華に当たって加熱を行う場合の温度をできるだけ高温とするのは、所望の色相及び濃さに発色させるための加熱時間を短くすることができ、生産性を向上することができるからである。
また、上記の真空気層転写機ではプラスチックレンズ14の下方から染料を昇華させて染色するものとしたが、プラスチックレンズ14の凹面側を上に向け、上方より染料を昇華させて染色を行なってもよい。以下にその構成を備える染色用治具を図4(a)の概略断面図に示しながら簡単に説明する。
33は印刷基体であり、前述したようにPCとプリンターを使用して、白紙31に着色層32を印刷することにより、図4(b)に示すような印刷基体33が簡単に得られる。21は印刷基体33を載せるための円筒の形状を有する基体載置台である。22は基体押さえであり、基体載置台21の上部に載せられた印刷基体33を基体押さえ22と基体載置台21とで挟み込むことにより、印刷基体33が動かないようにしっかりと固定保持する。このようにプラスチックレンズ14の凹面側をレンズ支持部13aに当接させないようにすることで、凹面側全域を染色できるというメリットがある。23は上方から印刷基体33を熱し、染料を昇華させるためのハロゲンランプである。
このような染色用治具を用いて、前述同様に真空状態にて印刷基体33から染料を昇華させ、プラスチックレンズ14に染色を行なうこともできる。
この実施例では、CR−39のレンズを使用した。昇華性インキはウペポ社製の分散染料(水性)を使用し、PCのドローソフトを使用して色相をブラウン色(配合比赤:青:黄=2:1:3)に決定した。また、同じくPCのドローソフトを使用して色の濃度を30%(遮光率)に調製した。その後、この色データに基づいて白紙1(上質PPC用紙)に染色するレンズ径よりも若干大きめの円形を2つ印刷し、これを印刷基体3とした。
実施例1と同様な染色条件でグラディエント(ハーフ)の染色を行った。
グラディエントの濃度はレンズの幾何中心より10mm上にて30%(遮光率)になるようにPCにて色データが調製され、白紙1に実施例1同様、大きめの円形を2つ印刷し、これを印刷基体3としてプラスチックレンズ14にグラディエントの染色を行った。最終的に製造されたプラスチックレンズ14の発色状態は良好であり、目視による観察では色むら等の問題はなかった。
また、染色濃度30%以外でも、染色濃度10〜90%において同様な染色条件にて全面及びグラディエントの染色を行ったが目視による観察では色むら等の問題はなかった。
一般的に使用される真空蒸着器内に図4で示した染色用治具を入れ、染色を行なった。プラスチックレンズ14は実施例1と同様の材料を使用した。染色用治具に印刷基体33とプラスチックレンズ14を設置後、ロータリーポンプ17で減圧し、10mmHgまで減圧する。次にハロゲンランプ23の電源を入れ、印刷基体33の表面温度が210℃になるまで加熱し、210℃到達と同時にハロゲンランプの電源を切り、染料を昇華、蒸着させた。その後、実施例1と同様に常圧に戻した後、染色されたプラスチックレンズ14の色を定着させるためにオーブン内にて135℃、30分程おいた。定着後、外観不良、色むら、色抜け等がなく目的の色と一致しているかという観点で目視観察を行ったが、問題はなかった。
また、印刷基体の加熱方法は上方若しくは下方から行っているが、これに限るものではなく、側面からの加熱においても同じように染料の昇華をさせることができる。
さらに、本実施の形態で使用されたデータ出力装置はインクジェット方式のプリンタであったがこれに限るものではなく、昇華型のプリンタやインクカートリッジに換えてトナーカートリッジを用いたレーザプリンタ、さらにはプロッター等のPCからのデータを出力する出力装置を使用することができる。
さらにまた、色濃度等をデジタル管理できるため、例えば受注量の多い色については、予め色データの管理番号等を付与しておけば、簡単に同一色を呼び出すことができ、色の安定化が図れるとともに効率よく染色作業を進めることができる。
2 着色層
10 真空気相転写機本体
11 支持軸
12 載置台
13 レンズ保持具
14 プラスチックレンズ
15 ヒータ
16 温度センサ
17 ロータリーポンプ
Claims (1)
- 染色用色素が付いたプラスチックレンズをオーブンにて加熱することにより染色を完了させるプラスチックレンズの染色方法において、昇華性色素を溶解又は微粒子分散させた染色用用材を電子計算機にて管理された色データに基づいて基体に塗布し印刷基体を得る第1ステップと、該第1ステップにて得られた印刷基体における前記染色用用材が塗布された塗布面を真空中にプラスチックレンズと非接触に対向させるとともに前記印刷基体を所定温度で加熱することにより昇華性色素を昇華させ,該昇華性色素を前記プラスチックレンズに蒸着させる第2ステップと、を有することを特徴とするプラスチックレンズの染色方法。
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