JP2021103280A - 染色偏光レンズの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 染色偏光レンズを容易に良好に製造することができるとともに、多様なデザインパターンを施すことのでき、再現性を向上させることができる染色偏光レンズの製造方法を提供する。【解決手段】染色偏光レンズの製造方法であって、昇華性を有する昇華性染料を基体に塗布することで、染色用基体を取得する第1工程と、第1工程によって取得された染色用基体を偏光レンズと対向させ、染色用基体を加熱することによって、染色用基体に塗布された昇華性染料を昇華させ、昇華性染料を偏光レンズに付着させる第2工程と、第2工程によって昇華性染料が付着された偏光レンズに対してレーザ光を照射することによって、偏光レンズを加熱し、昇華性染料を偏光レンズに定着させる第3工程と、を有することを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本開示は、染色偏光レンズの製造方法において用いられる染色用基体に関する。
従来、ポリビニルアルコール等の樹脂フィルムを一軸延伸して形成された偏光膜(フィルム)を有する偏光素子を眼鏡用レンズと一体化した偏光レンズが知られている(例えば、特許文献1)。偏光レンズを使用した眼鏡は、高照度で反射光の多い環境(例えば、山、海等)で目の眩しさから保護して疲労を軽減し、視認性を高めるために用いられている。
従来、このような偏光レンズに色を付加する方法として、レンズの基材に染料を練り込む方法が用いられることがあった。
特開2001−311804号公報
しかしながら、従来の方法で製造された染色偏光レンズは、単色のデザインや単純なデザインのものしかなく、デザイン性に乏しかった。また、複数の偏光レンズに対して同一のデザインパターンにて色の付加を行う場合に、複数の偏光レンズに対して再現性良く同一のデザインパターンにて色の付加を行うことが困難であった。
また、偏光膜は親水性のポリエチレンアルコール等の樹脂を使用しているため、耐水性が悪く、従来のレンズの染色に用いられるような、染料を分散させた染色液中に偏光レンズを所定時間浸漬する方法(浸染法)にて偏光レンズを染色することは、偏光の機能が変化してしまい、染色することは困難であった。
本開示は、上記問題点を鑑み、偏光の機能を変化させることを抑制し、染色偏光レンズを容易に良好に製造することができるとともに、再現性よく多様なデザインパターンを施すことのできる染色偏光レンズの製造方法を提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
本開示の染色偏光レンズの製造方法は、染色偏光レンズの製造方法であって、昇華性を有する昇華性染料を基体に塗布することで、染色用基体を取得する第1工程と、前記第1工程によって取得された前記染色用基体を偏光レンズと対向させ、前記染色用基体を加熱することによって、前記染色用基体に塗布された前記昇華性染料を昇華させ、前記昇華性染料を前記偏光レンズに付着させる第2工程と、前記第2工程によって前記昇華性染料が付着された前記偏光レンズに対してレーザ光を照射することによって、前記偏光レンズを加熱し、前記昇華性染料を前記偏光レンズに定着させる第3工程と、を有することを特徴とする。
本実施形態の製造方法の流れを示したフローチャートである 本実施形態の製造方法に用いる製造システムを示した概略図である。 本実施形態の製造方法に用いる染料定着装置の概略構成を示した図である。
<染色偏光レンズの製造システム>
本開示において、本発明者らは、浸染法のように染色液を必要としない気相転写染色方法に着目し、気相転写染色方法を用いることで、偏光レンズを良好に染色することができないか研究を進めた。例えば、気相転写染色方法は、染色用基体に付着している昇華性染料が加熱され、加熱された昇華性染料がレンズに蒸着され、昇華性染料が蒸着されたレンズをオーブンによって加熱することによって、レンズを染色する染色方法である。しかしながら、気相転写染色方法では、偏光レンズを染色した場合に、偏光の機能が変化してしまい、良好に染色できないことがわかった。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、気相転写染色方法において偏光レンズを良好に染色できない原因として、昇華性染料が蒸着された偏光レンズをオーブンによって加熱する工程において、偏光膜(偏光フィルム)が変形してしまい、偏光の機能が変化(例えば、偏光の値が低下等)してしまうことを発見した。また、本発明者らは、昇華性染料が蒸着された偏光レンズに対してレーザ光を照射することで加熱する方法であれば、偏光レンズを局所的に加熱することができるため、偏光フィルムを変形させることなく、染色できること見出した。
以下、本開示における典型的な実施形態について説明する。例えば、図1は本実施形態の染色偏光レンズの製造方法の流れを示したフローチャートである。例えば、図2は本実施形態の染色偏光レンズの製造方法に用いる製造システムを示した概略図である。なお、例えば、本開示の技術は、種々の屈折力(例えば、低ディオプター、高ディオプター、0ディオプター等)の偏光レンズに適用できる。
例えば、偏光レンズとしては、ポリカーボネート、ポリカーボネート系樹脂(例えば、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート重合体(CR−39))、ポリウレタン系樹脂(トライベックス)、アリル系樹脂(例えば、アリルジグリコールカーボネート及びその共重合体、ジアリルフタレート及びその共重合体)、フマル酸系樹脂(例えば、ベンジルフマレート共重合体)、スチレン系樹脂、ポリメチルアクリレート系樹脂、繊維系樹脂(例えば、セルロースプロピオネート)、チオウレタン系またはチオエポキシ等の高屈折材料、ナイロン系樹脂(ポリアミド系樹脂)、等の少なくともいずれかを材質(材料)とした偏光レンズを用いてもよい。
例えば、本実施形態の染色偏光レンズの製造方法においては、第1工程、第2工程、第3工程、が実施される。例えば、本実施形態の染色偏光レンズの製造方法は、第1工程、第2工程、第3工程の順序で行われる。例えば、第1工程は、昇華性を有する昇華性染料を基体(例えば、基体2)に塗布することで、染色用基体(例えば、染色用基体1)を取得する工程である。例えば、第2工程は、第1工程によって取得された染色用基体を偏光レンズ(例えば、レンズ8)と対向させ、染色用基体を加熱することによって、染色用基体に塗布された昇華性染料を昇華させ、昇華性染料を偏光レンズに付着させる工程である。例えば、第3工程は、第2工程によって、昇華性染料が付着された偏光レンズに対してレーザ光を照射することによって、偏光レンズを加熱し、昇華性染料を偏光レンズに定着させる工程である。
このように、例えば、本実施形態における染色偏光レンズの製造方法は、昇華性を有する昇華性染料を基体に塗布することで、染色用基体を取得する第1工程と、第1工程によって取得された染色用基体を偏光レンズと対向させ、染色用基体を加熱することによって、染色用基体に塗布された昇華性染料を昇華させ、昇華性染料を偏光レンズに付着させる第2工程と、第2工程によって昇華性染料が付着された偏光レンズに対してレーザ光を照射することによって、偏光レンズを加熱し、昇華性染料を偏光レンズに定着させる第3工程と、を有する。これによって、偏光レンズの偏光の機能を変化させることを抑制し、染色偏光レンズを容易に良好に製造することができる。
また、例えば、偏光レンズに対して、細やかなデザイン、グラデーションデザイン等の多様なデザインパターンの染色を行うことができ、特にデザイン性を向上させる製造方法として特に優れた効果を発揮する。また、例えば、偏光レンズに対して同一のデザインパターンにて染色を行うことができ、染色偏光レンズの製造を行う際のデザインパターンの再現性を向上させることができる。
例えば、偏光レンズとしては、レンズの凸面又は凹面の一方の面に偏光フィルムが設けられた偏光レンズであってもよい。この場合、例えば、偏光フィルムがレンズの凸面側に設けられるようにしてもよい。また、この場合、例えば、偏光フィルムがレンズの凹面側に設けられるようにしてもよい。また、例えば、偏光レンズとしては、偏光レンズにおけるレンズの基材の内部に偏光フィルムが設けられた偏光レンズであってもよい。すなわち、例えば、偏光レンズとしては、偏光フィルムがレンズの基材によって挟み込まれた偏光レンズであってもよい。もちろん、偏光レンズとしては、上記の偏光レンズに限定されず、偏光の機能を有するレンズであればよい。
例えば、第3工程は、偏光レンズに対して、偏光フィルムが設けられていないレンズ面に対してレーザ光を照射することによって、偏光レンズを加熱し、昇華性染料を偏光レンズに定着させるようにしてもよい。一例として、例えば、レンズの凸面又は凹面の一方の面に偏光フィルムが設けられた偏光レンズの場合に、第3工程は、偏光フィルムが設けられていない面に対して、レーザ光を照射することによって、偏光レンズを加熱し、昇華性染料を偏光レンズに定着させるようにしてもよい。このように、例えば、偏光フィルムが設けられていない面に対してレーザ光を照射することによって、偏光フィルムを良好に加熱できるとともに、偏光フィルムへのレーザ光の照射が抑制されるため、偏光フィルムの変形を抑制することでき、偏光レンズをより良好に染色することができる。例えば、本技術は、偏光フィルムが熱の影響を受けやすい偏光フィルムがレンズの表面と裏面の内の一方のレンズ面側に設けられた偏光レンズに対して、特に有用となる。
なお、本実施形態において、例えば、偏光レンズに濃度勾配を有した状態にて昇華性染料を付着させることで、偏光レンズに昇華性染料によるグラデーションデザインを形成させるようにしてもよい。この場合、例えば、第1工程は、昇華性染料を基体上に色濃度が変化するように塗布してもよい。また、例えば、第2工程は、染色用基体を加熱することにより染色用基体に塗布された昇華性染料を昇華させ、偏光レンズに濃度勾配を有した状態にて昇華性染料を付着させるようにしてもよい。また、例えば、第3工程は、第2工程によって、濃度勾配を有した状態にて昇華性染料が付着された偏光レンズを加熱することによって、昇華性染料を偏光レンズに定着させ、偏光レンズに昇華性染料によるグラデーションデザインを形成させるようにしてもよい。このように、例えば、偏光レンズに濃度勾配を有した状態にて昇華性染料を付着させて定着を行うことよって、グラデーションデザインを有する染色偏光レンズを容易に取得することができる。なお、例えば、偏光レンズと染色用基体とを非接触に対向させる製造方法を用いる場合には、偏光レンズに対して昇華性染料を十分に分散させて付着させることができ、偏光レンズに対してグラデーション状の模様をより好適に再現することができる。
例えば、本実施形態において、染色偏光レンズの製造方法における各工程を実施するために製造システム100が用いられる。例えば、図2を参照して、本実施形態における製造システム100の概略構成について説明する。本実施形態の製造システム100は、染料塗布装置10、蒸着装置30、および染料定着装置(定着装置)60を備える。
例えば、第1工程において、染料塗布装置10が用いられる。例えば、染料塗布装置10は、偏光レンズ8に蒸着される昇華性染料を、基体2に塗布させて、昇華性染料が塗布された染色用基体1を取得するために用いられる。例えば、第2工程において、蒸着装置30が用いられる。例えば、蒸着装置30は、染色用基体1を偏光レンズ8と対向させ、染色用基体を加熱することによって、染色用基体1に塗布された昇華性染料を昇華させ、昇華性染料を偏光レンズ8に付着させるために用いられる。例えば、第3工程において、定着装置60が用いられる。例えば、定着装置60は、昇華性染料が付着された偏光レンズ8に対してレーザ光を照射することによって、偏光レンズ8を加熱し、昇華性染料を偏光レンズ8に定着させるために用いられる。
なお、例えば、本実施形態において、染色偏光レンズの製造方法は、第一工程を実施する前に偏光レンズを製造する前処置工程を有するようにしてもよい。この場合、例えば、染色偏光レンズの製造方法は、レンズに対して偏光機能を付加することで偏光レンズを製造する前処理工程を有するようにしてもよい。
例えば、偏光レンズを製造する前処置工程を有するようにしてもよい。例えば、前処理工程としては、射出成形法、プレス成形法、キャスト法のいずれかの方法で実施するようにしてもよい。もちろん、前処理工程としては、上記方法に限定されず、種々の偏光レンズの製造方法を用いることができる。
例えば、射出成形法は、凹面と凸面とから成るモールド部材によって形成される空間に、偏光フィルムを配置し、その片方にレンズの材料を流入供給することによって偏光レンズを製造する方法である。例えば、プレス成形法は、偏光フィルムの両面に、熱可塑性積層を配置した平板状の積層体を、プレスの凹押板と凸押板に挟んでプレスことによって、偏光レンズを製造する方法である。例えば、キャスト法は、モールド部材を嵌合させるためのガスケット内に偏光フィルムを配置し、その両側にモールド部材を嵌合させて、レンズ材料を注入し、重合させることで、偏光レンズを製造する方法である。
以下、染色偏光レンズの製造方法について詳細に説明する。
<第1工程>
例えば、第1工程は、染料塗布装置10によって、昇華性染料を基体2に塗布することで、染色用基体1を取得する(製造する)。例えば、第1工程において、染料塗布装置10は、後に偏光レンズ8に蒸着される昇華性染料を、基体2に付着させることで、染料部6を形成する。例えば、基体2は、偏光レンズ8を染色するために用いられる昇華性染料を一旦保持する媒体である。基体2の詳細な説明については後述する。
本実施形態において、例えば、染料塗布装置10として、印刷装置が用いられる。例えば、本実施形態において、第1工程は、昇華性染料が含有された染色用インクを印刷装置を用いて、基体2に印刷することによって、染色用基体1を取得する。これによって、昇華性染料の塗布量を精度よくコントロールしやすくなり、基体に対し昇華性染料を容易により均一に塗布することができる。また、種々のデザインパターンで昇華性染料を容易に塗布することができる。さらに、印刷装置を用いることで、使用する昇華性染料が削減される。なお、本実施形態では、印刷装置によって印刷されたインクを乾燥させる工程が行われることで、昇華性染料がさらに強固に保持される。
なお、例えば、本実施形態において、昇華性染料は、インクの溶媒に溶解されていてもよい。例えば、この機能付加用インクをインクジェットプリンタ用のインク容器(例えば、インクパック、インクカートリッジ等)に入れ、インクジェットプリンタ11の装着部14にこのインク容器を装着する。なお、本実施形態においては、インク容器としてインクカートリッジ13が用いられる場合を例に挙げて説明する。例えば、染色用インクをインクジェットプリンタ用のインクカートリッジ13に入れ、インクジェットプリンタ11の装着部14にこのカートリッジ13を装着する。
本実施形態において、例えば、印刷装置として、インジェクトプリンタ11を用いる場合を例に挙げて説明する。この場合、例えば、インクジェットプリンタ11による印刷によって、基体2に対し昇華性染料が塗布される。本実施形態において、例えば、インクジェットプリンタ11は、装着部14と、インクジェットヘッド15と、制御手段(制御部)16と、を備える。もちろん、インクジェットプリンタ11としては、上記構成に限定されない。
例えば、装着部14は、昇華性染料を含有する染色用インクのインク容器(例えば、後述するインクカートリッジ13等)を装着する。例えば、インクジェットヘッド15は、装着部14にされた機能付加用インクのインク容器と、染色用インクのインク容器と、から染色用インクを基体2に向けて吐出する。これによって、基体2に染色用インクを印刷する。例えば、制御部16は、インクジェットヘッド15の駆動を制御して、染色用インクをインクジェットヘッド15から吐出させる。
例えば、このインクジェットプリンタ11を使用して、染色をするための昇華性染料を含有する染色用インクを基体2にプリントさせるために、パーソナルコンピュータ12(以下PCという)を使用して、プリントされる各染色用インクの吐出量の調製を行う。
なお、本実施形態においては、昇華性染料を含有する染色用インクの量が色データとしてメモリ20に記憶されている。また、色データとして、染色時における偏光レンズの色の濃度がメモリ20に記憶されている。例えば、作業者が所望する色データを選択することで、メモリ20から色データを呼び出し、何度でも同じ色の付加を再現することが可能となっている。また、例えば、昇華性染料の色の濃淡は、デジタル管理されるため、必要なときに何回でも同じ濃度の色を得ることができる。つまり、偏光レンズ8に対して、作業者が所望する色調や色の濃度を再現することが可能となっている。
なお、例えば、濃度勾配は、ドローソフト等に備えられているグラデーション機能により取得することができる。また、例えば、好みに応じたグラデーションを予め設定しておき、PC12内に独自のグラデーションデータ(色データ)として、保存させておくようにしてもよい。なお、例えば、所望の色として、種々のデザイン(例えば、濃度勾配を有したグラデーション模様、単色のデザイン、画像等)を付加することができる。
なお、昇華性染料の濃度も変更可能としてもよい。例えば、昇華性染料の濃度を変更することで、偏光レンズ8に付加される色の濃度を変更することができる。この場合、例えば、昇華性染料の濃度を選択可能とするとともに、昇華性染料の濃度毎に、昇華性染料を選択した濃度で塗布する際の色データを選択するようにしてもよい。
例えば、昇華性染料を印刷装置によって印刷する基体2には、紙、金属板(例えば、アルミ、鉄、銅、等)、ガラス、等を用いる構成が挙げられる。以下の説明においては、基体2は、紙を例に挙げて説明する。また、本実施形態においては、例えば、基体2は、シート状の基体が用いられる。また、以下の説明においては、印刷装置は、インジェクトプリンタ11を例に挙げて説明する。例えば、インジェクトプリンタ11に基体2を入れ、PC12の操作により、予め設定しておいた機能の付加、色、及び色の濃度となるように各インクの印刷を行う。
なお、本実施形態において、染料塗布装置10における印刷装置として、インクジェットプリンタ11を用いる構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。印刷装置としては、レーザープリンタを用いて、印刷をすることで、昇華性染料を基体2に塗布させる構成としてもよい。この場合、例えば、昇華性染料を含むトナーを用いて、レーザープリンタによって、昇華性染料が基体2に付着される。
なお、本実施形態においては、染色付着部10として印刷装置を用いて昇華性染料を基体2に塗布させる構成を例に挙げたがこれに限定されない。例えば、染料塗布装置10は、基体2に昇華性染料を塗布させることができる構成であればよい。例えば、染料塗布装置10は、ディスペンサー(液体定量塗布装置)、ローラ等を駆動することで染色用インクを基体2に付着させてもよい。また、例えば、染料塗布装置10を用いずに、作業者によって、筆、ローラ、又はスプレー等を用いて、等を用いて染色用インクを基体2に塗布させてもよい。なお、昇華性染料をインク化させることなく、基体2に塗布させるようにしてもよい。
なお、昇華性染料を基体2に塗布させる際に、少なくとも1回以上昇華性染料を塗布するようにしてもよい。例えば、1回の塗布(例えば、1回の印刷等)によって、昇華性染料を基体2に塗布させるようにしてもよいし、複数回の塗布(例えば、複数回印刷)によって、昇華性染料を基体2に塗布させるようにしてもよい。すなわち、色や濃度によって、昇華性染料を基体2に塗布させる際の回数を変更するようにしてもよい。
また、本実施形態では、少なくとも赤、青、黄の3色の染料が、インクジェットプリンタ11によって基体2に付着される。染料は、昇華性を有し、且つ昇華時の熱に耐え得る必要がある。一例として、本実施形態では、キノフタロン系昇華性染料またはアントラキノン系昇華性染料が用いられる。
<第2工程>
上記のように、第1工程によって取得された染色用基体1を用いて第2工程を行う。例えば、第2工程は、第1工程によって取得された染色用基体1を偏光レンズ8と対向させ、染色用基体1を加熱することによって、染色用基体1に塗布された昇華性染料を昇華させ、昇華性染料を偏光レンズ8に付着させる工程である。例えば、第2工程において、蒸着装置30が用いられる。
例えば、蒸着装置30は、染色用基体1に付着された昇華性染料を電磁波によって加熱することで、昇華性染料を偏光レンズ8に向けて昇華させる。その結果、昇華性染料が偏光レンズ8に蒸着される。なお、偏光レンズ8には、後述する第3工程による昇華性染料の定着を容易にするための受容膜等、各種の層が形成されていてもよい。
例えば、本実施形態の蒸着装置30は、電磁波発生部31、蒸着用治具32、ポンプ36、およびバルブ37を備える。もちろん、蒸着装置30の構成は上記構成に限定されない。
例えば、電磁波発生部31は、電磁波を発生させる。一例として、本実施形態では、赤外線を発生させるハロゲンランプが電磁波発生部31として使用されている。しかし、電磁波発生部31は、電磁波を発生させるものであればよい。従って、ハロゲンランプの代わりに、紫外線、マイクロ波等の他の波長の電磁波を発生させる構成を使用してもよい。
例えば、蒸着装置30は、電磁波を染色用基体1に照射することで、短時間で昇華性染料の温度を上昇させることができる。また、染色用基体1の昇華性染料を昇華させる場合、高熱となった鉄板等を染色用基体1に接触させることで昇華性染料を加熱することも考えられる。しかし、染色用基体1と鉄板等とを均一に(例えば、隙間無く)接触させることは難しい。接触状態が均一でなければ、昇華性染料が均一に加熱されずに色ムラ等が生じる可能性がある。これに対し、本実施形態の蒸着装置30は、染色用基体1から離間した電磁波発生部31からの電磁波によって、昇華性染料を均一に加熱させることができる。
例えば、蒸着用治具32は、染色用基体1と偏光レンズ8を保持する。本実施形態の蒸着用治具32は、レンズ支持部33および基体支持部34を備える。レンズ支持部33は、円筒状の基部と、基部の内側に配置された載置台とを備える。偏光レンズ8は、基部に囲まれた状態で、レンズ支持部33の載置台によって支持される。基体支持部34は、円筒状の基部の上端に位置し、偏光レンズ8よりも上方で染色用基体1を支持する。詳細は図示しないが、染色用基体1の外周縁部が基体支持部34上に載置されると、環状の基体押さえ部材が染色用基体1の外周縁部の上から載置される。その結果、染色用基体1の位置が固定される。なお、従来では、蒸着装置30の汚れを抑制するために、基体支持部34に保持された染色用基体1の上面に、さらに板状のガラスを載置することで、昇華した昇華性染料が染色用基体1の裏側に抜けて広がることを抑制するようにしてもよい。
例えば、染色用基体1は、昇華性染料が付着した面が偏光レンズ8に対向するように配置される。本実施形態では、偏光レンズ8の上方で染色用基体1が支持されるので、染色用基体1は、昇華性染料付着面が下方を向くように基体支持部34に載置される。
例えば、染色用基体1と偏光レンズ8とを対向させる場合に、非接触(例えば、2mm〜30mm等)で対向させるようにしてもよい。この場合、例えば、第2工程は、第1工程によって取得された染色用基体1を偏光レンズ8と非接触に対向させ、染色用基体1を加熱することによって、染色用基体1に塗布された昇華性染料を昇華させ、昇華性染料を偏光レンズ8に付着させるようにしてもよい。
例えば、非接触に対向させることによって、昇華性染料を昇華させるために染色用基体を加熱した際の熱が偏光レンズに伝導されてしまうことを抑制することができる。これによって、偏光レンズが熱によって、変色、収縮等をしてしまうこと、又、偏光レンズにおける偏光フィルムが変形してしまうこと、を抑制することができる。
また、例えば、非接触に対向させることによって、染色用基体と偏光レンズとの間の距離が生じるため、偏光レンズに対して昇華性染料を十分に分散させて付着させることができる。これによって、偏光レンズにおける昇華性染料の付着ムラをより抑制することができ、良好な染色偏光レンズを製造することができる。また、特に、染色用基体にグラデーション状の模様が塗布されている場合には、グラデーション状の模様を偏光レンズに好適に再現することができる。
例えば、ポンプ36は、蒸着装置30の内部の気体を外部に排出し、蒸着装置30の内部の気圧を低下させる。すなわち、例えば、ポンプ36は、蒸着装置30の内部の気体を外部に排出し、蒸着装置30の内部を所定の真空度にさせる。
例えば、第2工程において、レンズ8を蒸着装置30内に入れて昇華性染料の付着を行う場合、ポンプ36により蒸着装置30内を所定の真空度にして付着作業を行う。なお、例えば、本実施形態では蒸着装置30内を所定の真空状態にするものとしているが、これに限るものではなく、蒸着装置30の内を常圧下において付着作業を行うことも可能である。
例えば、真空状態後、電磁波発生部31を使用して上方から染色用基体1を加熱させ、昇華性染料を昇華させる。例えば、加熱温度は染色用基体1上で100℃を下回ると染色用基体1から昇華性染料が昇華し難くなり、また、例えば、300℃を上回ると高温による昇華性染料の変質、輻射熱による偏光レンズ8の変形、偏光フィルムの変形、昇華性染料の再昇華、等が生じ易くなる。従って、加熱温度は150〜250℃の間が好ましいが、偏光レンズ8の材料や昇華性染料に合わせてできるだけ高い温度を選ぶようにするとよい。
なお、例えば、第2工程は、少なくとも1回の蒸着を行う工程であればよい。この場合、例えば、複数の染色用基体1を用いて、蒸着を複数回(例えば、2回等)繰り返すようにしてもよい。このような方法は、例えば、偏光レンズ8に塗布したい昇華性染料の量が多い場合や、複数の種類(例えば、5種類等)の昇華性染料を用いる場合に、有用となる。
<第3工程>
例えば、第2工程が完了すると、第3工程が行われる。以下、第3工程について説明する。例えば、第3工程では、第2工程によって昇華性染料が付着された偏光レンズ8に対してレーザ光を照射することによって、偏光レンズ8を加熱し、昇華性染料を偏光レンズ8に定着させる。
なお、例えば、第3工程を実施する場合に、常圧下にて加熱し昇華性染料を定着させるようにしてもよい。もちろん、異なる気圧下で第3工程が実施されるようにしてもよい。例えば、作業者は、蒸着装置30内で偏光レンズ8に対して昇華性染料の付着を行った後、昇華性染料が付着された偏光レンズ8を取り出す。例えば、作業者は偏光レンズ8を染料定着装置60に入れ、常圧下にて加熱し昇華性染料を定着させる。
例えば、染料定着装置60は真空気相転写機20にて昇華性染料がついた偏光レンズ8にレーザ光を照射して所定温度で加熱し、染料を定着、発色させるために用いられる。例えば、図3は、染料定着装置60の概略構成を示した図である。なお、本実施形態において、図3の紙面上における染料定着装置60の左右方向(水平方向)をX方向、図3の紙面上における染料定着装置60の奥行き方向(前後方向)をY方向、図3の紙面上における染料定着装置60の上下方向(鉛直方向)をZ方向、として説明する。
例えば、染料定着装置60は、レーザ光を出射する装置本体61とステージ62からなる。装置本体61は、ステージ62、レーザ光源63、光スキャナ66、レンズ67、駆動機構68、制御部69、コントロール部40、メモリ41等を備える。
例えば、レーザ光源63は、所定の波長のレーザ光を出射する。本実施形態において、例えば、レーザ光源63は赤外域の波長のレーザ光を出射する。例えば、本実施形態において、レーザ光源63は、波長10.2〜10.8μmのCO2レーザ光を出射するこの波長は、赤外光であり、昇華性染料は、この波長の光をほとんど吸収しない。本実施形態において、偏光レンズ8の材料として、ポリカ―ボネートを使用している。本実施形態において用いられる偏光レンズ8の材料は、10.2〜10.8μmの波長について、反射を除いたほぼ100%を吸収する。CO2レーザ光は、染料に吸収されにくく、偏光レンズ8の表面で吸収されることで、偏光レンズ8の表面のみを加熱し、樹脂の高分子の分子構造を緩くして、高分子の分子構造が緩んだ部分に昇華性の分散染料を拡散させることにより、分散染料を偏光レンズ8の表面に定着させることができる。
なお、例えば、レーザ光源63としては、これに限定されない。本実施形態において、例えば、レーザ光源63は、偏光レンズ8の基材に吸収可能な赤外域の波長、または紫外域(近紫外を含む)の波長のレーザ光を出射するものであれば使用可能である。
例えば、レーザ光源63から出射されたレーザ光は、光スキャナ66により折り曲げられた後、レンズ67を通過し集光される。例えば、本実施形態ではレーザ光源から直径1.8mm程度のレーザ光を出射する。なお、本実施形態ではレンズ67を通過した後、レンズ8の表面で直径約3mm〜20mm程度となるようにデフォーカスされている。例えば、デフォーカスによるレンズ上のレーザ光の径は、これに限るものではなく、生産性や照射エネルギーを考慮して適宜決定させればよい。例えば、偏光レンズ8上でレーザ光のスポット径が2mm以上50mm以下程度が好ましく、より好ましくは3mm以上30mm以下程度である。また、シリンドリカルレンズ等を用いてレーザ光をライン状に形成することも可能である。
例えば、光スキャナ66は、偏光レンズ8上で二次元的に(XY方向)にレーザ光を走査させる。本実施形態において、例えば、光スキャナ66は、2つのガルバノミラーであり、その反射角度や走査速度が駆動機構68によって任意に調整される。なお、例えば、ガルバのミラーの反射角度の調整は、移動量と移動方向で調整される。例えば、駆動機構(例えば、モータ等)68の駆動によって移動され、その反射角度や走査速度は図示無き検出手段により常時検出されている。例えば、駆動機構68の駆動制御は、制御部69によって行われ、その制御情報(反射角度や走査速度)は、図示無きスイッチ類が用意されたコントロール部(条件設定部)40により設定される。このような構成により、レーザ光源63から出射されたレーザ光はその反射(進行)角度が変化され、偏光レンズ8上で任意の位置に走査される。これにより、偏光レンズ8上におけるレーザ光の照射位置が変更される。なお、光スキャナ66としては、光を偏向させる構成であればよい。例えば、反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が用いられる。
例えば、デフォーカスされるレーザ光の照射先には、ステージ62が設置されている。例えば、ステージ62上には、載置台70が固定的に置かれ、昇華性染料が蒸着された偏光レンズ8がその蒸着面(染色予定面)を上向きにして置かれる。
図3に示した染料定着装置60において、偏光レンズ8に対するレーザ光の照射位置の加熱温度(レンズ表面温度)を非接触で検出(測定)するための温度検出手段となるサーモカメラ50が設けられている。例えば、サーモカメラ50を用いることによって、偏光レンズ8の温度を二次元的に検出することができる。すなわち、偏光レンズ8の二次元温度分布を検出することができる。
例えば、サーモカメラ50は、偏光レンズ8上におけるレーザ光の照射位置(加熱箇所)を斜め上方から検出できるように設置されている。より好ましくはサーモカメラ50の測定軸とレーザ光の光軸とが所定角度で交差するようにサーモカメラ50が設置され、この交差点が偏光レンズ8上に位置するように偏光レンズ8の高さ位置が設定されているとよい。
例えば、サーモカメラ50は、制御部69に接続されており、サーモカメラ50による加熱温度の検出結果は、制御部69に送信される。制御部69は受信した加熱温度の検出結果に基づいて、予め設定されている加熱温度が所定の範囲で維持できるように、偏光レンズ8上のレーザ光の各照射位置に対してレーザ照射条件を適宜変更し、レーザ光源63から出射されるレーザ光の出力を制御する。レーザ光の各照射位置における目標とする加熱温度の設定はコントロール部40を用いて予め設定される。
例えば、加熱温度の設定は、偏光レンズ8が変形せず、偏光フィルムが変形せず、十分な発色が可能な温度にて行う。このような加熱温度は、好ましくは120℃乃至180℃、より好ましくは140℃乃至160℃の範囲である。なお、設定される加熱温度によっては偏光レンズ8に付いている染料の一部が昇華してしまう可能性があるが、偏光レンズ8の染色予定面の全域において略同じ加熱温度が維持できるため、染料の昇華は偏光レンズ8の照射位置によらず同じ程度となり色ムラの発生は抑制される。
また、制御部69は、偏光レンズ8のレーザ照射位置において設定された加熱温度によって偏光レンズ8に染料が定着するのに必要な時間が十分与えられるように、光スキャナ66を駆動させる。なお、光スキャナ66による相対的なレーザ光の走査速度は、設定される加熱温度によらず固定であってもよいし、設定される加熱温度に対応付けて設定されてもよい。例えば、メモリ41に種々の偏光レンズ8の材料に応じて異なる加熱温度や走査速度を設定するためのレーザ照射条件の情報を予め複数記憶させておき、レンズの種類(樹脂材料、レンズ形状、染色濃度、染色パターン、レンズ度数等)をコントロール部40にて指定することで対応するレーザ照射条件(例えば、加熱温度や走査速度)をメモリ41から呼び出して設定することもできる。
なお、本実施形態では設定された加熱温度を所定の範囲で維持できるようにレーザ光源63から出射されるレーザ光の出力を調整するものとしているが、これに限定されない。例えば、レーザ光の出力は一定とし、光学部材を用いてレーザ光の偏光レンズ8上におけるデフォーカス状態を変化させたり、レーザ光をパルス状に照射させる等、他のレーザ照射条件を変更させることにより設定された加熱温度を維持できるようにするようにしてもよい。
なお、レーザ光の反射光(散乱光)がサーモカメラ50に入射し検出結果に影響を及ぼす場合には、レーザ光の波長をカットし、他の波長を透過させるフィルタをサーモカメラ50の前方に設置するようにしてもよい。
なお、本実施形態において、サーモカメラ50を用いて、レーザ光の照射条件を変更する構成を例に挙げて説明しているがこれに限定されない。サーモカメラ50を用いることなく、レーザ光の照射条件を変更しながら、レーザ光の照射を行うようにしてもよい。この場合、例えば、レンズ情報に基づいて、レーザ光の照射条件を変更するようにしてもよい。
レンズ情報に基づく、レーザ光の照射条件を変更について、より詳細に説明する。例えば、メモリ41には、レンズ情報と、好適に染色するために必要なレーザ照射条件(例えば、走査位置に基づいた出力条件、走査速度条件、走査パターン等)と、が予め対応付けされて記憶されている。例えば、レンズ情報としては、レンズの材料、レンズの種類(例えば、プラスレンズ、マイナスレンズ等)、色情報(染色濃度、染色パターン等)、レンズの光学特性(例えば、球面度数、円柱度数、軸角度等)等の少なくともいずれかであってもよい。なお、例えば、レンズ情報に対するレーザ照射条件の対応付けは、シミュレーションや実験等によって、色ムラや黄変が生じづらく、良好に染色を行うことができるレーザ照射条件を算出することによって設定するようにしてもよい。
例えば、染料定着装置60を用いて偏光レンズ8を染色する場合には、染色しようとするレンズの種類(レンズ情報)を、コントロール部40を用いて入力する。例えば、制御部69は入力されたレンズ情報に対応する設定情報(レーザ光照射条件)をメモリ41から呼び出し、呼び出された設定情報に基づいて、レーザ光源63や駆動機構68を制御する。
なお、本実施形態では、レーザ光を光スキャナ66によって走査する構成を例に挙げているがこれに限定されない。例えば、偏光レンズ8側を移動させることにより、染色予定面に対してレーザ光を走査するようにしてもよい。この場合、例えば、ステージ62を移動可能とし、ステージ62を移動させることによって、偏光レンズ8側を移動させるようにしてもよい。もちろん、レーザ光を走査する構成と、偏光レンズ8側を移動させる構成と、の双方を用いて、偏光レンズ8に対してレーザ光を走査する構成としてもよい。
以上のように、例えば、本実施形態における染色偏光レンズの製造方法は、昇華性を有する昇華性染料を基体に塗布することで、染色用基体を取得する第1工程と、第1工程によって取得された染色用基体を偏光レンズと対向させ、染色用基体を加熱することによって、染色用基体に塗布された昇華性染料を昇華させ、昇華性染料を偏光レンズに付着させる第2工程と、第2工程によって昇華性染料が付着された偏光レンズに対してレーザ光を照射することによって、偏光レンズを加熱し、昇華性染料を偏光レンズに定着させる第3工程と、を有する。これによって、偏光レンズの偏光の機能を変化させることを抑制し、染色偏光レンズを容易に良好に製造することができる。
また、例えば、偏光レンズに対して、細やかなデザイン、グラデーションデザイン等の多様なデザインパターンの染色を行うことができ、特にデザイン性を向上させる製造方法として特に優れた効果を発揮する。また、例えば、偏光レンズに対して同一のデザインパターンにて染色を行うことができ、染色偏光レンズの製造を行う際のデザインパターンの再現性を向上させることができる。
なお、本実施形態において、染色用基体1の加熱方法は上方から行っている場合を例に挙げているが、これに限定されない。例えば、染色用基体1の加熱方法は、側面又は下方からの加熱においても同じように昇華性染料の昇華をさせることができる。
なお、本実施形態において、染料塗布装置10、蒸着装置30、および染料定着装置60の各々で行われる工程(例えば、第1工程、第2工程、第3工程等)のうちの2以上が、1つの装置によって実行されてもよい。例えば、蒸着装置30によって行われる第2工程と、染料定着装置60によって行われる第3工程とを共に実行する装置が用いられてもよい。この場合、例えば、装置は、複数の工程(例えば、第2工程から第3工程まで)を一連の流れで自動的に行ってもよい。
なお、例えば、染色偏光レンズに対して、さらに、コーティング(例えば、ハードコート、反射防止コート、防汚コート等)を行うようにしてもよい。例えば、コーティングを行うことによって、染色偏光レンズにおける特定の機能を向上させるようにしてもよい。
以下、実施形態及び比較例を示して本開示を具体的に説明するが、本開示は、下記実施形態及び下記比較例に制限されるものではない。以下の実施形態では、レーザ光を照射することで、表面に染料が付着された偏光レンズを加熱し、偏光レンズに染料を定着させた。また、以下の比較例では、オーブンによって、表面に染料が付着された偏光レンズを加熱し、偏光レンズに染料を定着させた。実験例及び比較例で得られた染色された偏光レンズの偏光機能と染色の品質を評価した。
<実験例>
紙厚が100μmの染色用基体(上質PPC用紙)に、PCのドローソフトを用いて、プリンタ(EPSON PX−6250S)によって着色層を印刷して、染料を付着させた。印刷に使用した昇華性インクはニデック社製の分散染料(水性)を使用し、色相はグレー(配合比赤:青:黄=320:280:600)に決定した。以上のようにして、染色用基体を製造した。
このようにして得た染色用基体用いて染色を行った。治具に染色用基体と、レンズの凸面側に偏光フィルムが張り付けられているPCレンズ(以下、偏光レンズと記載)(S−0.00)を取り付けて、真空気相転写機(ニデック製 TTM−1000)に入れて、偏光レンズへの染料の蒸着作業を行った。この時の条件は、偏光レンズの染色面側と染色用基体との距離は15mmとした。ポンプにて真空気相転写機内の気圧を0.1kPaまで下げた後、加熱ユニット(本実験例ではハロゲンランプを使用)にて染色用基体の表面温度を225℃まで加熱させた。温度センサにより染色用基体の付近の温度を測定し、225℃到達と同時にハロゲンランプの電源を切り、染料を昇華、付着させた。
染料が付着された偏光レンズを染料定着装置(レーザコヒーレント社製 GEM−100A)のステージにセットした。偏光レンズが配置されたステージを移動させ、偏光レンズの凹面側にレーザ光を照射し、横断するように(クランク状に)走査させて、偏光レンズに染料を定着させた。レーザ光の照射条件として、レーザ光源から直径2.0mm程度のレーザ光を出射して、レーザ集光レンズ(f=37.5mm)から偏光レンズまでの距離を390mmとし、デフォーカスさせることにより、偏光レンズ上で直径約22mmのスポット径となるように照射した。なお、レーザ光の照射条件は、偏光レンズの各部での表面温度が150℃となるように設定し、レーザ光の出力は43Wと、走査速度を750mm/minとした。
上記のようにして、得られた染色用基体を用いて染色された偏光レンズについて評価した。なお、下記についても同様の評価をした。結果は表1に示した。
[偏光フィルムの偏光度評価]
染色された偏光レンズと染色前の偏光レンズについて、偏光度を測定するための分光透過率測定器(株式会社村上色彩技術研究所製 DOT-3)にて、直交透過率(偏光軸を並行にして測定した透過率)H1と、交差透過率(変更軸を直交に組み合わせて測定した透過率)H2と、を測定した。直交透過率H1と交差透過率H2とから下記の数式に基づいて、偏光度を算出した。
Figure 2021103280
測定の結果、染色前の偏光レンズの偏光度は、98.0%であった。このため、染色後に偏光レンズの偏光の機能が低下したか否かを評価するための評価基準として、偏光度98.0%を用いた。すなわち、偏光レンズを染色した後に、染色された偏光レンズの偏光度が98.0%よりも低下したか否かに基づいて、偏光レンズの偏光の機能が低下したか否かを評価した。
偏光度が98.0%未満:×
偏光度が98.0%以上:○
[染色の品質評価]
染色された偏光レンズについて、染色された偏光レンズの形状の色ムラを目視にて確認し、色ムラが生じていないかを確認した。
色ムラが見られる:×
色ムラが見られない:○
<比較例>
染料が付着された偏光レンズをオーブン内にて2時間加熱して偏光レンズに染料を定着させた以外は、実施形態1と同様にして染色された偏光レンズの評価をした。結果は表1に示した。なお、このときのオーブンの加熱温度の条件は、135℃とした。
Figure 2021103280
(結果)
表1に示すように、オーブンにて染料の定着を行った場合(比較例)には、偏光フィルムの偏光度が低下した。また、見た目上、偏光フィルムが変形し、剥がれてしまうことが生じた。一方で、実験例のように、レーザ光にて染料の定着を行った場合には、偏光フィルムの偏光度は低下しなかった。また、見た目上、偏光フィルムの変形は見られず、良好に染色にできることが確認できた。
1 染色用基体
2 基体
8 偏光レンズ
10 染料塗布装置
11 インクジェットプリンタ
12 パーソナルコンピュータ
13 インクカートリッジ
14 装着部
15 インクジェットヘッド
16 制御部
20 メモリ
30 蒸着装置
40 コントロール部
41 メモリ
50 サーモカメラ
60 染料定着装置
62 ステージ
63 レーザ光原
66 光スキャナ
67 レンズ
68 駆動機構
69 制御部
100 製造システム

Claims (6)

  1. 染色偏光レンズの製造方法であって、
    昇華性を有する昇華性染料を基体に塗布することで、染色用基体を取得する第1工程と、
    前記第1工程によって取得された前記染色用基体を偏光レンズと対向させ、前記染色用基体を加熱することによって、前記染色用基体に塗布された前記昇華性染料を昇華させ、前記昇華性染料を前記偏光レンズに付着させる第2工程と、
    前記第2工程によって前記昇華性染料が付着された前記偏光レンズに対してレーザ光を照射することによって、前記偏光レンズを加熱し、前記昇華性染料を前記偏光レンズに定着させる第3工程と、
    を有することを特徴とする染色偏光レンズの製造方法。
  2. 請求項1の染色偏光レンズの製造方法において、
    前記第3工程は、前記偏光レンズに対して、前記偏光フィルムが設けられていないレンズ面に対して前記レーザ光を照射することによって、前記偏光レンズを加熱し、前記昇華性染料を前記偏光レンズに定着させることを特徴とする染色偏光レンズの製造方法。
  3. 請求項1又は2の染色偏光レンズの製造方法において、
    レンズに対して偏光機能を付加することで前記偏光レンズを製造する前処理工程を有することを特徴とする染色偏光レンズの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかの染色偏光レンズの製造方法において、
    前記第2工程は、前記第1工程によって取得された前記染色用基体を前記偏光レンズと非接触に対向させ、前記染色用基体を加熱することによって、前記染色用基体に塗布された前記昇華性染料を昇華させ、前記昇華性染料を前記偏光レンズに付着させることを特徴とする染色偏光レンズの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかの染色偏光レンズの製造方法において、
    前記第1工程は、前記昇華性染料を前記基体上に色濃度が変化するように塗布し、
    前記第2工程は、前記染色用基体を加熱することにより前記染色用基体に塗布された前記昇華性染料を昇華させ、前記偏光レンズに濃度勾配を有した状態にて前記昇華性染料を付着させ、
    前記第3工程は、前記第2工程によって、濃度勾配を有した状態にて前記昇華性染料が付着された前記偏光レンズを加熱することによって、前記昇華性染料を前記偏光レンズに定着させ、前記偏光レンズに前記昇華性染料によるグラデーションデザインを形成させることを特徴とする染色偏光レンズの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかの染色偏光レンズの製造方法において、
    前記第1工程は、前記昇華性染料が含有された染色用インクを印刷装置を用いて、前記基体に印刷することによって、前記染色用基体を取得することを特徴とする染色偏光レンズの製造方法。
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