JP6999273B2 - 染色装置及び染色方法 - Google Patents

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Description

本開示は、レーザ光を用いて樹脂体を染色する染色装置及び染色方法に関するものである。
に関する。
従来、プラスチックレンズ等の樹脂体を染色する方法として、レンズを染色液の中に所定時間浸漬してレンズを染色する方法(浸染法)が知られている。この方法は従来から用いられているものであるが、作業環境が良くないこと、高屈折率のレンズには染色を行うことが困難であることが問題となっていた。そこで本出願人はインクジェットプリンタを用いて、昇華性染料を含有する染色用インクを紙等の基体上に塗布(出力)させ、これを真空中でレンズと非接触に置き、昇華性染料をレンズ側に飛ばして染色を行う方法(以下 気相転写染色方法と記す)による染色方法を提案した(例えば、特許文献1参照)。この方法では、オーブン内でレンズ全体を加熱することにより、染料をレンズ表面に定着させている。
また、このような気相転写染色方法では定着に必要とする加熱温度が高いと樹脂体が黄変してしまう場合があり、このような問題を解決するために、レーザ光を樹脂体上を横断するように走査(ライン走査)し(例えば、特許文献2の図3参照)、樹脂体表面を部分的に加熱し、染料を定着させる方法を提案した。また、レーザ光による定着を行う場合に、樹脂体における厚みの変化を考慮せずに染料が蒸着されている樹脂体の全領域(染色予定面)に対して一定の出力条件にてレーザ光の照射を行った場合、色ムラが発生しやすい。この対応のため、レーザ光の照射による樹脂体表面の加熱温度が染色予定領域の全域において略同じ加熱温度(表面温度)となるように、樹脂体上の加熱箇所に対するレーザ光の照射条件を適宜変更させる方法を提案した(例えば、特許文献2参照)。すなわち、例えば周辺と中心とで厚みが変わるような各種の樹脂体に対しては、その領域に応じてレーザ光の出力条件を変えることにより、色ムラを抑制する方法を提案した。
特開2001-215306号公報 特開2013-015824号公報
しかしながら、上記のようなレーザ光を横断させて染料を定着させる染色方法は、黄変の発生が抑えられるものの、樹脂体に歪が生じやすいという問題が新たに判った。
本開示は、上記問題点に鑑み、樹脂体の歪を抑制しつつ、樹脂体を好適に染色することのできるレーザ光を用いた染色装置及び染色方法を提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 本開示の第1態様に係る染色装置は、染料が付着された染色用基体の前記染料が付着した面を、樹脂体であるレンズに、非接触に対向するように配置し、前記染色用基体に付着された前記染料を電磁波によって加熱することで、前記染料を前記レンズに向けて昇華させて、前記レンズの表面に前記染料を付着させ、表面に前記染料が付着された前記レンズを加熱することにより前記染料を前記レンズに定着させる染色装置であって、レーザ光を前記染料が付着された前記レンズに向けて照射するレーザ光照射手段と、前記レーザ光照射手段により照射される前記レーザ光を前記レンズに対して相対的に走査するための走査手段と、を備え、前記走査手段によって前記レーザ光を螺旋状に前記レンズに対して相対的に走査することで、前記レンズを加熱することを特徴とする。
(2) 本開示の第2態様に係る染色装置は、表面に染料が付着された樹脂体であるレンズを加熱することにより前記染料を前記レンズに定着させる染色装置であって、レーザ光を前記染料が付着された前記レンズに向けて照射するレーザ光照射手段と、前記レーザ光照射手段により照射される前記レーザ光を前記レンズに対して相対的に走査するための走査手段と、前記レンズに対して前記レーザ光を走査半径を狭める方向に螺旋状に走査する第1走査パターンと、前記レンズに対して前記レーザ光を走査半径を広げる方向に螺旋状に走査する第2走査パターンと、のいずれか一方の走査パターンを設定する設定手段と、を備え、前記走査手段よって、前記設定手段によって設定された走査パターンに基づいて、前記レーザ光を螺旋状に前記レンズに対して相対的に走査することで、前記レンズを加熱することを特徴とする。
) 本開示の第態様に係る染色方法は、染料が付着された染色用基体の前記染料が付着した面を、樹脂体であるレンズに、非接触に対向するように配置し、前記染色用基体に付着された前記染料を電磁波によって加熱することで、前記染料を前記レンズに向けて昇華させて、前記レンズの表面に前記染料を付着させ、表面に前記染料が付着された前記レンズを加熱することにより前記染料を前記レンズに定着させる染色方法であって、レーザ光を前記染料が付着された前記レンズに向けて照射するレーザ光照射ステップと、前記レーザ光照射ステップにより照射される前記レーザ光を螺旋状に前記レンズに対して相対的に走査する走査ステップと、を備え、前記走査ステップによって、前記レーザ光を前記レンズに対して相対的に走査することで前記レンズを加熱することを特徴とする。
(4) 本開示の第4態様に係る染色方法は、表面に染料が付着された樹脂体であるレンズを加熱することにより前記染料を前記樹レンズに定着させる染色方法であって、レーザ光を前記染料が付着された前記レンズに向けて照射するレーザ光照射ステップと、前記レーザ光照射ステップにより照射される前記レーザ光を螺旋状に前記レンズに対して相対的に走査する走査ステップと、前記レンズに対して前記レーザ光を走査半径を狭める方向に螺旋状に走査する第1走査パターンと、前記レンズに対して前記レーザ光を走査半径を広げる方向に螺旋状に走査する第2走査パターンと、のいずれか一方の走査パターンを設定する設定ステップと、を備え、前記走査ステップによって、前記設定ステップによって設定された走査パターンに基づいて、前記レーザ光を螺旋状に前記レンズに対して相対的に走査することで、前記レンズを加熱することを特徴とする。
染色システムの概略構成を示す図である。 染色用基体の正面図および平面図である。 染色樹脂体の製造工程を示すフローチャートである。
以下、典型的な実施形態の1つについて、図面を参照して説明する。図1は本開示のレーザ光を用いた染色方法に使用される染色システムの概略図、図2は染色用装置の概略構成を示した図である。以下では、樹脂体の1つであるプラスチックレンズ8を気相転写染色法で染色し、染色プラスチックレンズを製造する場合を例示して説明を行う。しかし、以下で例示する技術は、プラスチックレンズ8以外の樹脂体(例えば、携帯電話のカバー、ライト用のカバー、アクセサリー、玩具等)を気相転写染色法で染色して染色樹脂体を製造する場合にも適用できる。
なお、本実施形態によると、例えば、ポリカーボネート系樹脂(例えば、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート重合体(CR-39))、ポリウレタン系樹脂、アリル系樹脂(例えば、アリルジグリコールカーボネート及びその共重合体、ジアリルフタレート及びその共重合体)、フマル酸系樹脂(例えば、ベンジルフマレート共重合体)、スチレン系樹脂、ポリメチルアクリレート系樹脂、繊維系樹脂(例えば、セルロースプロピオネート)、チオウレタン系またはチオエポキシ等の高屈折材料等を材質としたプラスチックレンズ10を染色することもできる。
まず、図1を参照して、本実施形態における染色システム10の概略構成について説明する。例えば、本実施形態において、染色システム10は、染色用基体作成装置100、真空気相転写機20、および染色装置30を備える。
例えば、染色用基体作成装置100は、プラスチックレンズ8に蒸着される昇華性の染料を、染色用基体1に付着させて、染料の付着した染色用基体1を作成するために用いられる。例えば、真空気相転写機20は、染色用基体1に塗布された染料を被染色物となるプラスチックレンズ8(本実施形態では、樹脂体としてプラスチックレンズを用いる)に昇華性染料を蒸着(転写)するために用いられる。例えば、染色装置30は、染料が付着したプラスチックレンズ8にレーザ光を照射し染色を行うために用いられる。
<染色用基体作成装置>
例えば、染色用基体作成装置100は、後にプラスチックレンズ8に蒸着される昇華性の染料を、染色用基体1に付着させることで、染料層を形成する。染色用基体1は、プラスチックレンズ8の染色に用いられる染料を一旦保持する媒体である。
本実施形態の染色用基体作成装置100は、一例として、昇華性の染料が含有された液体のインクを、インクジェットプリンタ103を用いて染色用基体1に付着(本実施形態では印刷)させる。従って、染色用基体作成装置100は、作業者が所望する色合いの染料を、より正確に染色用基体1に付着させることができる。つまり、染色用基体1に付着させる染料の分量、色相、グラデーションの程度等の正確性が向上する。また、作業者は、染料を容易に取り扱うことができる。さらに、インクジェットプリンタ103を用いることで、使用する染料が削減される。本実施形態では、インクジェットプリンタ103によって印刷されたインクを乾燥させる工程が行われる。なお、本実施形態において、染料を印刷する方法として、インクジェットプリンタを用いる構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。レーザープリンタを用いて、印刷をすることで、染料を染色用基体に付着させる構成としてもよい。この場合、例えば、昇華性トナーを用いて、レーザープリンタによって、染料が染色用基体に付着される。
例えば、染色用基体1は、インクジェットプリンタ103に使用可能な紙等の媒体に所定の形状にて染色用インクが塗布(出力)されたものである。なお、染色用基体1の熱の吸収効率を上げるために、裏面(印刷を行わない面)の全域が黒色となっているものが使用される。
本実施形態では、インクジェットプリンタ103の駆動制御に用いられる印刷データは、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という)102によって作成される。作業者は、例えば、PC102にインストールされたドローソフト等を用いることで、染色用基体1に付着させる染料(インク)の色相、彩度、明度、グラデーションの有無および程度等を容易に調整することができる。作業者は、PC102のメモリ、インクジェットプリンタ103のメモリ、USBメモリ等に印刷データ保存させることで、インクを同一の色合いで複数の染色用基体1に繰り返し付着させることもできる。また、作業者は、メーカー等によって予め作成された複数の印刷データの中から1つを選択し、インクジェットプリンタ103に印刷を実行させることも可能である。
なお、インクジェットプリンタ103を用いずに染料を染色用基体1に付着させることも可能である。例えば、染料付着部10は、ディスペンサー(液体定量塗布装置)、ローラ等を駆動することでインクを染色用基体1に付着させてもよい。スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等を使用することも可能である。また、染色用基体作成装置100を用いずに、作業者自身が筆またはローラ等を用いてインクを染色用基体1に付着させてもよい。
また、本実施形態では、少なくとも赤、青、黄の3色の染料が、インクジェットプリンタ103によって染色用基体1に付着される。染料は、昇華性を有し、且つ昇華時の熱に耐え得る必要がある。一例として、本実施形態では、キノフタロン系昇華性染料またはアントラキノン系昇華性染料が用いられる。
<真空気相転写機>
例えば、真空気相転写機20は、染色用基体1に付着された染料を電磁波によって加熱することで、染料をプラスチックレンズ8に向けて昇華させる。その結果、染料がプラスチックレンズ8に蒸着される。なお、プラスチックレンズ8には、後述する定着工程による染料の定着を容易にするための受容膜等、各種の層が形成されていてもよい。本実施形態の真空気相転写機20は、電磁波発生部21、ポンプ22、バルブ23および染色用治具200を備える。例えば、真空気層転写機20には、プラスチックレンズ8や前述した染色用基体1等を出し入れするための図示無き開閉扉が設けられている。
例えば、本実施形態において、電磁波発生部21は、赤外線を発生させるハロゲンランプが使用されている。しかし、電磁波発生部21は、染色用基体1を加熱が可能なものであればこれに限るものではない。例えば、ハロゲンランプの代わりに、紫外線、マイクロ波等の他の波長の電磁波を発生させる構成を使用してもよい。
例えば、電磁波発生部21は、電磁波を染色用基体1に照射することで、短時間で染料の温度を上昇させることができる。また、染色用基体1の染料を昇華させる場合、高熱となった鉄板等を染色用基体1に接触させることで染料を加熱することも考えられる。しかし、染色用基体1と鉄板等とを均一に(例えば、隙間無く)接触させることは難しい。接触状態が均一でなければ、染料が均一に加熱されずに色ムラ等が生じる可能性がある。これに対し、本実施形態の真空気相転写機20は、染色用基体1から離間した電磁波発生部21からの電磁波によって、染料を均一に加熱させることができる。
例えば、染色用治具200は、染色用基体1とプラスチックレンズ8が配置される載置台11を保持する。例えば、染色用治具200は載置台11に配置されたプラスチックレンズ8(染色予定面)と染色用基体1(インク塗布面)とを非接触にて向き合うように保持する。すなわち、染色用基体1は、染料が付着した面がプラスチックレンズ8に対向するように配置される。なお、染色用基体1の染料付着面とプラスチックレンズ8の間の距離が狭すぎると、染料の昇華が十分に行われず、色ムラ等が生じる傾向がある。染色用基体1とプラスチックレンズ8が接触して色ムラ等が生じる場合もある。また、染色用基体1の染料付着面とプラスチックレンズ8の間の距離が広すぎると、昇華した染料が再度集結して色ムラが生じる可能性があり、蒸着される染料の濃度も薄くなる。従って、染色用基体1とプラスチックレンズ8の間の距離を適切な距離(例えば、2mm~30mm)とすることが望ましい。
例えば、ポンプ22は、真空気相転写機20の内部の気体を外部に排出し、真空気相転写機20の内部の気圧を低下させる。例えば、蒸着時における真空気相転写機20の内部の気圧は、30Pa~10KPa、より望ましくは、50Pa~500Pa程度とすればよい。すなわち、例えば、ポンプ22は、真空気相転写機20内をほぼ真空にさせるために使用することができる。例えば、バルブ23は、真空気相転写機20の内部空間の開放および閉鎖を切り替える。すなわち、例えば、バルブ23は、このバルブ23を開くことで、ポイプ22によって、ほぼ真空になった真空気相転写機20内に外気を入れ、大気圧に戻す際に用いることができる。
<染色装置>
例えば、染色装置30は真空気相転写機20にて昇華性染料がついたプラスチックレンズ8にレーザ光を照射して所定温度で加熱し、染料を定着、発色させるために用いられる。図2は染色装置30の構成を示した概略図である。
例えば、染色装置30は、レーザ光を出射する装置本体31と移動ステージ32からなる。装置本体31は、レーザ光源33、反射ミラー36、レンズ37、移動ステージ32、駆動機構38、制御部39、コントロール部40、メモリ41等を備える。
例えば、レーザ光源33は、所定の波長のレーザ光を出射する。例えば、レーザ光源33は赤外域の波長のレーザ光を出射する。例えば、本実施形態において、レーザ光源33は、波長10.2~10.8μmのCOレーザ光を出射する。この波長は、赤外光であり、昇華性染料は、この波長の光をほとんど吸収しない。本実施形態において、プラスチックレンズ8の材料として、チオウレタン系やチオエポキシ系等の高い屈折率を持つ材料を使用している。本実施形態において用いられるプラスチックレンズ8の材料は、10.2~10.8μmの波長を50~90%程度吸収する。COレーザ光は、染料に吸収されにくく、プラスチックレンズ8に吸収されるので、プラスチックレンズ8の表面のみを加熱して、樹脂の高分子の分子構造を緩くして、高分子の分子構造が緩んだ部分に昇華性の分散染料を拡散させることにより、分散染料をプラスチックレンズ8の表面に定着させることができる。
なお、レーザ光源33としては、これに限定されない。例えば、レーザ光源33は、樹脂体(本実施形態においては、プラスチックレンズ)の基材に吸収可能な赤外域の波長、または紫外域(近紫外を含む)の波長のレーザ光を出射するものであれば使用可能である。また、染料に加えて赤外線吸収剤や紫外線吸収剤をレンズに載せて(塗布、蒸着)おき、レーザ光を吸収剤に吸収させることにより基材を加熱することも可能である。なお、吸収剤を用いる場合には基材に対して染料、吸収剤の順番に積層されることが好ましい。
例えば、レーザ光源33から出射されたレーザ光は、反射ミラー36により折り曲げられた後、レンズ37を通過し集光される。例えば、本実施形態ではレーザ光源から直径2.0mm程度のレーザ光を出射する。なお、本実施形態ではレンズ37を通過した後、プラスチックレンズ10の表面で直径約10mm~35mm程度となるようにデフォーカスされている。例えば、デフォーカスによるプラスチックレンズ上のレーザ光の径は、これに限るものではなく、生産性や照射エネルギーを考慮して適宜決定させればよい。例えば、プラスチックレンズ8上でレーザ光のスポット径が5mm以上50mm以下程度が好ましく、より好ましくは10mm以上40mm以下程度である。また、シリンドリカルレンズ等を用いてレーザ光をライン状に形成することも可能である。
例えば、デフォーカスされるレーザ光の照射先には、移動ステージ32が設置されている。例えば、移動ステージ32は、染色装置30の本体に対して、上下前後左右方向(左右方向、上下方向、及び前後方向)に移動可能に設置されている。なお、本実施形態において、図2の紙面上における染色装置30の左右方向(水平方向)をX方向、図2の紙面上における染色装置30の奥行き方向(前後方向)をY方向、図2の紙面上における染色装置30の上下方向(鉛直方向)をZ方向、として説明する。
例えば、移動ステージ32は、駆動機構38の駆動によって移動され、その移動量や移動方向は図示無き検出手段により常時検出されている。例えば、駆動機構38の駆動制御は、制御部39によって行われ、その制御情報(移動方向や移動速度)は、図示無きスイッチ類が用意されたコントロール部(条件設定部)40により設定される。
例えば、移動ステージ32上には、載置台11が固定的に置かれ、昇華性染料が蒸着されたプラスチックレンズ8がその蒸着面(染色予定面)を上向きにして置かれる。例えば、載置台11は移動ステージ32上に固定的に置かれており、移動ステージ32に対する位置関係は予め判っている。したがって、載置台11上にプラスチックレンズ8が載せられている状態において、移動ステージ32が駆動していても、制御部39はプラスチックレンズに対するレーザ光の照射位置を常時検出可能となっている。
なお、例えば、コントロール部40は、レーザ光の出力や移動ステージの移動速度等を設定することができる。例えば、メモリ41には、レンズ情報と、好適に染色するために必要なレーザ照射条件(例えば、走査位置に基づいた出力条件、走査速度条件、走査パターン等)と、が予め対応付けされて記憶されている。例えば、レンズ情報としては、レンズの材料、レンズの種類(例えば、プラスレンズ、マイナスレンズ等)、レンズの光学特性(例えば、球面度数、円柱度数、軸角度等)等の少なくともいずれかであってもよい。なお、例えば、レンズ情報に対するレーザ照射条件の対応付けは、シミュレーションや実験等によって、色ムラや黄変が生じづらく、良好に染色を行うことができるレーザ照射条件を算出することによって設定するようにしてもよい。例えば、染色装置30を用いてプラスチックレンズ8を染色する場合には、染色しようとするプラスチックレンズの種類(レンズ情報)を、コントロール部40を用いて入力する。例えば、制御部39は入力されたレンズ情報に対応する設定情報(レーザ光照射条件)を記憶部41から呼び出し、呼び出された設定情報に基づいて、レーザ光源33や駆動機構38を制御する。
例えば、レンズには、プラスレンズ、マイナスレンズ等で、レンズ周辺領域の厚み(肉厚)と中心付近の厚みが異なっている場合がある。このようなレンズに対して、厚みの変化を考慮せずに染料が蒸着されているレンズの全領域(染色予定面)に対して一定の出力条件にてレーザ光の照射を行った場合、色ムラが発生しやすい。このため、例えば、本実施形態において、レンズの周辺と中心とで厚みが変わるような各種のレンズに対しては、その領域に応じてレーザ光の出力条件を変更するようにしてもよい。
より詳細には、例えば、レンズの周辺から中心に向かうに従って厚みが大きく変化するようなレンズに対して同一色で染色予定面全域を染色しようとする場合には、中心から所定領域内に位置する領域(中心領域)と、中心領域の外側となる領域(周辺領域)との少なくとも2領域に分け、レーザ光が照射される領域が中心領域である場合と周辺領域である場合とに応じて、レーザ光の走査速度、及びレーザ光の照射出力の少なくとも一方を変えるようにレーザ光の照射条件を設定するようにしてもよい。
例えば、中心領域の厚みが周辺領域の厚みよりも薄い場合には、周辺領域でのレーザ光走査速度に対して中心領域におけるレーザ光の走査速度を早くする、或いは周辺領域でのレーザ光出力値に対して中心領域におけるレーザ光の出力値を低くなるようにしてもよい。なお、中心領域は円形状であっても他の形状(例えば矩形状)であってもよい。本実施形態ではレンズ中心を領域中心として所定範囲(例えば半径30mm)を中心領域(円形状)として定めている。
なお、レンズ上の加熱箇所におけるレーザ光の照射条件を変更する形態としては、レーザ光源を制御してレーザ光の出力を調整すること以外に、レーザ光の出力は一定としてレンズに向かうレーザ光を減衰させるための少なくとも1種類のフィルタをレーザ光の光路上に適宜挿脱することも可能である。
また、本実施形態ではレンズの染色予定面に対して2領域に分けて各々異なるレーザ光照射条件を適用するものとしているが、これに限るものではなく、3領域以上等、厚みの変化に応じて複数の領域を設定して、各領域に対して各々異なるレーザ光照射条件を決定すればよい。また、段階的な領域設定(条件設定)ではなく、厚みの変化に応じて連続的(線形的,非線形的を含む)にレーザ光照射条件を変えていくことも可能である。
なお、本実施形態における染色装置30は、昇華性染料をレーザ光により加熱するのではなく、レーザ光を樹脂体に対して照射し、樹脂体の表面を溶融しない程度に加熱し、高分子の分子構造がゆるみ染料が拡散しやすくなる状態として、昇華性染料が持つ樹脂体への親和性により樹脂体内部に昇華性染料を取り込み定着、発色させるものである。したがって、レーザ光の出力は、樹脂体が溶融しない温度であって、且つ樹脂体を構成する高分子の分子構造がゆるむのに必要な温度となるように、レーザ光による染色予定面への単位面積辺りの照射エネルギー密度が決定されている。このような照射エネルギー密度の調節は、コントロール部40によってレーザ光源33から出射するレーザ光の出力を調節する他に、プラスチックレンズに対するレーザ光の走査速度やデフォーカスによっても行うことが可能である。また、レーザ光をプラスチックレンズ表面にラインフォーカス或いはデフォーカスさせて走査を行う場合には、加熱による染料の昇華がない程度の照射エネルギーで1回の走査を行うと共に、1走査にて染料の定着(完全な定着)が行えない場合には走査位置を繰り返し重ねながら、少しずつ走査位置をずらすように走査ようにして、染料の定着に必要な照射エネルギーをレンズ側に与えるようにしてもよい。この場合、例えば、1回の螺旋状の走査を完了した後、部分的にレーザ光を照射する又は全体的に螺旋状にレーザ光を照射する、ようにしてもよい。
なお、本実施形態ではレーザ光を走査せず、樹脂体(例えば、レンズ)側を移動させることにより、染色予定面に対してレーザ光を走査するものとしているが、これに限定されない。レンズに対して相対的にレーザ光が走査できればよい。例えば、ガルバノミラー等からなるレーザ光走査手段を用いて、プラスチックレンズに対してレーザ光を走査する構成としてもよい。もちろん、レーザ光を走査する構成と、樹脂体側を移動させる構成と、の双方を用いて、プラスチックレンズに対してレーザ光を走査する構成としてもよい。
<染色方法>
以下、プラスチックレンズ8の染色方法の一連の流れについて説明する。なお、本実施形態に用いるプラスチックレンズは、マイナス度数を持ったメニスカスレンズであり、プラスチックレンズ周辺の厚みに対して中心付近の厚みが薄くなっているものとする。
例えば、図2に示すように、プラスチックレンズ8は、その表面に昇華性染料が均一に付着された状態で、昇華性染料が付着された面を上向きにして、載置台11に置かれる。次いで、プラスチックレンズ10の昇華性染料付着面に、レーザ光を照射する。本実施形態において、例えば、レーザ光はパワーが強いため、レーザ光をレンズ37を介することにより一旦集光させた後、プラスチックレンズ表面でデフォーカスさせている。これにより、照射されるスポット光は広がりを持ち、光の密度が弱められている。また、図示なき検出手段を用いることにより、駆動機構38による移動ステージ32(載置台11)の移動位置は常に制御部39に把握されており、載置台11上に置かれた既知の大きさのプラスチックレンズ8に対するレーザ光の照射位置は検出可能となっている。
例えば、レーザ光を照射した際に、制御部39は、レーザ光をプラスチックレンズ8に対して相対的に走査することでプラスチックレンズ8を加熱する。例えば、図3にレーザ光の走査方法について説明する図である。以下、レーザ光の走査方法について説明する。本実施形態において、例えば、プラスチックレンズ8は、直径100mm程度であり、厚さは中心付近の薄い箇所で2mm、レンズ周辺の厚い箇所で8mmであり、各部で異なっている。プラスチックレンズ8の表面には、昇華性染料が塗布されている。本実施形態では、厚みが厚い周辺領域を第1領域8aとし、厚みが相対的に薄い中心領域を第2領域8bとしている。なお、ここではレンズ中心を中心領域の中心として、半径30mmの円形状の範囲を第2領域8bとした。
なお、レーザ光によるレンズへの加熱によってレンズが変形してしまい、レンズ表面に歪が生じる可能性がある。このような歪みは、レンズ表面の各領域に対するレンズの厚みの違いによって生じる表面付近の除熱(放熱)の差(温度差)からくるものであると考えられる。例えば、色ムラを抑制するためにレンズ表面の加熱温度を一定にするようなレーザ光の加熱制御を行っていても、加熱後(レーザ光走査後)のレンズ表面の各領域の温度変化は、各領域に対応するレンズの厚みによって異なる。
例えば、レンズの厚みが薄い部分(領域)とレンズの厚みが厚い部分(領域)とでは、加熱後の温度低下の速度に差がある。このため、レンズ周辺領域の厚みと中心付近の厚みが異なっているレンズの場合に、レンズ上の温度差がより大きくなり歪が生じやすいと考えられる。なお、レンズの厚みが均一の場合には、レンズ内で温度差は生じるものの、その温度差は小さいと考えられる。
したがって、レーザ光をレンズに対して相対的に走査しレンズ表面に対して加熱部分(領域)を継時的に変更しながら加熱を行う場合、レンズ表面における加熱中のある部分の温度と、直前まで加熱されていた部分であって除熱し始めている他の部分の温度との差が小さくなるように、レーザ光の走査を行う必要がある。すなわち、レーザ光を照射する際の走査パターンを考慮して、レンズ上での温度差が大きくならない走査パターンを設定する必要がある。言い換えれば、レーザ光の走査軌跡に対してレンズの厚みの変化が少なくなるような走査パターンを設定することが好ましい。この場合、例えば、走査パターンは、厚みの変化が小さい領域を走査するような走査パターンを設定することが好ましい。なお、厚みの変化としては、所定の閾値以下となる位置を通るようにスキャンパターンを設定することが好ましい。なお、所定の閾値は、予め、実験やシミュレーションによって求めることができる。
例えば、本実施形態において、レーザ光を照射した際に、制御部39は、レーザ光を螺旋状にプラスチックレンズ8に対して相対的に走査する。例えば、制御部39は、駆動機構38を駆動し、移動ステージ32を螺旋状に移動させることによって、レーザ光を螺旋状にプラスチックレンズ8に対して相対的に走査する。
例えば、本実施形態においては、中心領域の厚みが周辺領域の厚みよりも薄いプラスチックレンズ8が用いられる。例えば、図3に示されるように、中心領域の厚みが周辺領域の厚みよりも薄いプラスチックレンズ8の場合に、制御部39は、プラスチックレンズ8に対してレーザ光を走査半径を狭める方向に螺旋状に走査するようにしてもよい。なお、例えば、中心領域の厚みが周辺領域の厚みよりも厚いプラスチックレンズ8の場合に、制御部39は、プラスチックレンズ8に対してレーザ光を走査半径を広げる方向に螺旋状に走査するようにしてもよい。もちろん、なお、例えば、中心領域の厚みが周辺領域の厚みよりも厚いプラスチックレンズ8の場合に、制御部39は、プラスチックレンズ8に対してレーザ光を走査半径を広げる方向に螺旋状に走査するようにしてもよい。
以下、レーザ光の走査動作について詳細に説明する。例えば、制御部39は、駆動機構38を駆動し、移動ステージ32を移動させる。本実施形態において、例えば、制御部39は、移動ステージ32をXY方向に移動させることによって、図3に示すように、レーザ光を螺旋状にプラスチックレンズ8に対して相対的に走査している。なお、本実施形態においては、制御部39は、プラスチックレンズ8に対してレーザ光を走査半径を狭める方向に螺旋状に走査する。例えば、制御部39は、2mmずつ走査半径が狭くなるように内側に移動させながら、プラスチックレンズ8の全領域にレーザ光が照射されるように螺旋状の走査を行う。
例えば、制御部39は、レーザ光の照射は、プラスチックレンズ8の周辺から開始し、プラスチックレンズ8上の第1領域8aの範囲をレーザ光がスキャンしている状態では、所定の走査速度となるように移動ステージ32を移動させる。例えば、制御部39は、レーザ光の照射部位を2mmずつ走査半径が狭くなるように、螺旋状にレンズの中心に向けて走査させながら、レーザ光の照射される部分が第2領域8bの範囲内になった場合に、第1領域8a上における走査速度よりも早い走査速度にて第2領域8b上をスキャンするように移動ステージ32を移動させる。
例えば、制御部39は、プラスチックレンズ8のレーザ照射位置において設定された加熱温度によってプラスチックレンズ8に染料が定着するのに必要な時間が十分与えられるように、移動ステージ32を移動させる。なお、例えば、移動ステージ32による相対的なレーザ光の走査速度は、設定される加熱温度によらず固定であってもよいし、設定される加熱温度に対応付けて設定されてもよい。メモリ41に種々のレンズに応じてレーザ照射条件の情報を予め複数記憶させておき、レンズ情報をコントロール部40にて入力することで対応するレーザ照射条件をメモリ41から呼び出して設定することもできる。
以上のように、例えば、本実施形態において、染色装置は、樹脂体に対してレーザ光を螺旋状に走査する走査手段を備え、走査手段によってレーザ光を螺旋状に樹脂体に対して相対的に走査することで、表面に染料が付着された樹脂体を加熱し、染料を樹脂体に定着させる。これによって、樹脂体における温度差を抑制することができ、染料の定着後に樹脂体が変形することを抑制できる。すなわち、染料の定着後における樹脂体の歪を抑制することができる。
また、例えば、本実施形態において、染色装置における走査手段は、樹脂体に対してレーザ光を走査半径を狭める方向に螺旋状に走査する。これによって、中心領域の厚みが周辺領域の厚みよりも薄い樹脂体であっても、染料の定着後における樹脂体の歪をより抑制することができる。
なお、例えば、本実施形態において、螺旋状に走査する際の走査方向は任意に設定できるようにしてもよい。例えば、制御部39は、樹脂体に対してレーザ光を走査半径を狭める方向に螺旋状に走査する第1走査パターンと、樹脂体に対してレーザ光を走査半径を広げる方向に螺旋状に走査する第2走査パターンと、のいずれか一方の走査パターンを設定するようにしてもよい。この場合、例えば、制御部39は、設定された走査パターンに基づいて、螺旋状の走査を行うようにしてもよい。
なお、例えば、走査パターンを設定する場合に、自動的に設定される構成としてもよい。この場合、例えば、制御部39は、レンズ情報(例えば、レンズの材料、レンズの種類、レンズの光学特性等)を取得する。例えば、制御部39は、取得されたレンズ情報に基づいて、第1走査パターンと第2走査パターンのいずれか一方の走査パターンを設定するようにしてもよい。なお、例えば、レンズ情報の取得は、制御部39が別装置によって取得されたレンズ情報を受信手段によって受信することによって取得する構成としてもよい。また、例えば、レンズ情報の取得は、制御部39が検者によってコントロール部40を用いて入力されたレンズ情報を受信することによって取得する構成としてもよい。
なお、例えば、走査パターンを設定する場合に、手動で設定される構成としてもよい。この場合、例えば、検者がコントロール部40を用いて、第1走査パターンと第2走査パターンのいずれか一方の走査パターン選択するようにしてもよい。例えば、検者によって走査パターンが選択されると、制御部39は、選択された走査パターンをレーザ光を照射する際の走査パターンとして設定する。
このように、染色装置は、樹脂体に対してレーザ光を走査半径を狭める方向に螺旋状に走査する第1走査パターンと、樹脂体に対してレーザ光を走査半径を広げる方向に螺旋状に走査する第2走査パターンと、のいずれか一方の走査パターンを設定する設定手段を備える。染色装置における走査手段は設定手段によって設定された走査パターンに基づいて、螺旋状の走査を行う。これによって、螺旋状に走査を行う際に、樹脂体に応じて任意の走査パターンにて、レーザ光の照射を行うことができるため、樹脂体に応じて走査パターンを設定して、樹脂体の歪をより抑制した定着をすることができる。
また、例えば、本実施形態において、染色装置は、レンズ情報を取得する取得手段を備え、設定手段は、取得手段によって取得されたレンズ情報に基づいて、第1走査パターンと第2走査パターンのいずれか一方の走査パターンを設定することができる。これによって、レーザ光の照射を行う際に、より歪を抑制するための走査パターンを容易に設定することができる。
なお、本実施形態ではレンズ面に染料を載せる(塗布する)方法として真空中にて昇華性染料を加熱してレンズに染料を蒸着させる方法を用いたが、これに限るものではない。例えば、大気圧中にて昇華性染料を昇華させ、レンズ面に蒸着させても良い。また、例えば、スピンコート法等にてレンズ面に染料を塗布することも可能である。例えば、スピンコート法によってレンズ面に染料を塗布する場合、染料を含む親水性樹脂をスピンコートすることによって、レンズ面に染料を含む親水性樹脂の膜を形成してもよい。
なお、上述した実施形態では、レーザ光の照射位置におけるレンズの厚みによってレーザ光の照射条件(例えば、レーザ光の出力や相対的な走査速度)を変更させるものとしたが、これに限るものではない。レーザ光によるレンズ上の加熱温度が染色予定領域の全域において略同じ加熱温度となるようにレーザ光の照射条件を適宜変えてレーザ光を照射するように制御できればよい。なお、本実施形態において略同じ加熱温度とは、均一な色濃度による染色を目的としたときに、色ムラが目視で確認できない程度となるような加熱温度のバラツキを含むものである。より具体的には、レンズの染色予定面における所定範囲内における色濃度差(或いは透過率差)が、好ましくは10%程度以内となるような加熱温度のバラツキを含むものである。
なお、本実施形態の染色装置30において、レーザ光の照射位置の加熱温度(例えば、樹脂体の表面温度)を非接触で検出(測定)するための検出手段となる非接触温度計を設けるようにしてもよい。この場合、例えば、非接触温度計は、物体からの赤外線や可視光線の強度を測定して物体の温度を測定する放射温度計を用いるようにしてもよい。例えば、非接触温度計を設けた場合、非接触温度計は、制御部39に接続されており、非接触温度計による加熱温度の検出結果が制御部39に送信されるようにしてもよい。例えば、制御部39は受信した加熱温度の検出結果に基づいて、予め設定されている加熱温度が所定の範囲で維持できるようにレーザ照射条件を適宜変更し、レーザ光源33から出射されるレーザ光の出力を制御するようにしてもよい。なお、目標とする加熱温度の設定はコントロール部40を用いて予め設定されてもよい。例えば、加熱温度の設定は被染色物である樹脂体の材料を考慮して、樹脂体に染料を定着させることが可能な加熱温度に設定されるようにしてもよい。例えば、加熱温度の設定は樹脂材料にもよるが、染料の定着に必要な加熱温度であって染料の再昇華が生じ難い温度で設定される。このような加熱温度は、好ましくは100℃乃至200℃、より好ましくは110℃乃至185℃の範囲である。
なお、本実施形態では設定された加熱温度を所定の範囲で維持できるようにレーザ光源から出射されるレーザ光の出力を調整するものとしているが、これに限定されない。例えば、レーザ光の出力は一定とし、光学部材を用いてレーザ光の樹脂体上におけるデフォーカス状態を変化させたり、レーザ光をパルス状に照射させる等、他のレーザ照射条件を変更させることにより設定された加熱温度を維持できるようにすることも可能である。
なお、本実施形態では、レーザ光を螺旋状に走査する構成として、駆動機構38を駆動し、移動ステージ32をXY方向に移動させることによって、レーザ光を螺旋状にプラスチックレンズ8に対して走査する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、プラスチックレンズ8を回転させるとともに、レーザ光の照射位置をレンズの中心部から外周部(周辺部)に向けて移動させることで、レーザ光を螺旋状に走査する構成としてもよい。また、例えば、レンズを回転させるとともに、レーザ光の照射位置をレンズの外周部から中心部に向けて移動させる構成であってもよい。
以下、実施例及び比較例を示して本開示を具体的に説明するが、本開示は、下記実施例及び下記比較例に制限されるものではない。以下の実施例では、樹脂体に対して、レーザ光を螺旋状に相対的に走査することで、表面に染料が付着された樹脂体を加熱して染料を樹脂体に定着させた。また、以下の比較例では、樹脂体に対して、レーザ光を横断(ライン走査)するように相対的に走査することで、表面に染料が付着された樹脂体を加熱して染料を樹脂体に定着させた。実験例及び比較例で得られた染色された樹脂体の歪と染色の品質を評価した。
<実験例1>
紙厚が100μmの染色用基体(上質PPC用紙)に、PCのドローソフトを用いて、プリンタ(EPSON PX-6250S)によって着色層を印刷して、染料を付着させた。印刷に使用した昇華性インキはニデック社製の分散染料(水性)を使用し、色相は青色(配合比赤:青:黄=0:512:0)に決定した。以上のようにして、染色用基体を製造した。
このようにして得た染色用基体用いて染色を行った。治具に染色用基体とMR8レンズ(S-6.00)を取り付けて、真空気相転写機(ニデック製 TTM-1000)に入れて、MR8レンズへの染料の蒸着作業を行った。この時の条件は、MR8レンズの染色面側と染色用基体との距離は5mmとした。ポンプにて真空気相転写機内の気圧を0.5kPaまで下げた後、加熱ユニット(本実験例ではハロゲンランプを使用)にて染色用基体の表面温度を225℃まで加熱させた。なお、MR8レンズの屈折率は、1.60である。温度センサにより染色用基体の付近の温度を測定し、225℃到達と同時にハロゲンランプの電源を切り、染料を昇華、付着させた。
染料が付着されたMR8レンズを染色装置(レーザコヒーレント社製 GEM-30A)のステージにセットした。MR8レンズが配置されたステージを移動させ、MR8レンズ周辺領域と中心領域とで走査速度を変えた制御を行いながらレーザ光を照射し、螺旋状に走査させて、MR8レンズに染料を定着させた。螺旋状に走査する際、MR8レンズに対して、2mmずつ走査半径が狭くなるように内側に移動させながら、MR8レンズの全領域にレーザ光が照射されるように螺旋状の走査を行った。なお、この時の条件は、レーザ光の照射条件として、レーザ光源から直径2.0mm程度のレーザ光を出射して、レーザ集光レンズ(f=37.5mm)からMR8レンズまでの距離を240mmとし、デフォーカスさせることにより、MR8レンズ上で直径約22mmのスポット径となるように照射した。なお、レーザ光の照射条件は、MR8レンズの各部での表面温度が175℃となるように設定し、レーザ光の出力は30Wとして一定と、周辺領域の走査速度を500mm/min、中心領域(MR8レンズの半径30mmの中心領域)の走査速度を750mm/minとした。
上記のようにして、得られた染色用基体を用いて染色されたMR8レンズについて評価した。なお、下記についても同様の評価をした。結果は表1に示した。
[レンズの歪評価]
染色されたMR8レンズについて、染色されたMR8レンズの形状の変化を目視にて確認し、歪が生じていないかを確認した。
大きく歪が生じた:×
ほとんど歪が生じていない:○
[染色の品質評価]
染色されたMR8レンズについて、染色されたMR8レンズの形状の色ムラを目視にて確認し、色ムラが生じていないかを確認した。
色ムラが見られる:×
色ムラが見られない:○
<比較例1>
レンズの中心領域を30mm×30mmの範囲とするとともに、走査パターンを螺旋状の走査から横断するように走査(例えば、特許文献2の図3参照)とした以外は、実施例1と同様にして染色されたMR8レンズの評価をした。結果は表1に示した。
Figure 0006999273000001
(結果)
表1に示すように、実施例1に示したように、螺旋状の走査パターンで定着を行った場合には、樹脂体の歪を抑制しつつ、良好に染色にできることが示された。
1 染色用基体
8 プラスチックレンズ
20 真空気相転写機
30 染色装置
32 移動ステージ
33 レーザ光原
36 反射ミラー
38 駆動機構
39 制御部
40 コントロール部
41 メモリ
100 染色用基体作成装置

Claims (8)

  1. 染料が付着された染色用基体の前記染料が付着した面を、樹脂体であるレンズに、非接触に対向するように配置し、前記染色用基体に付着された前記染料を電磁波によって加熱することで、前記染料を前記レンズに向けて昇華させて、前記レンズの表面に前記染料を付着させ、
    表面に前記染料が付着された前記レンズを加熱することにより前記染料を前記レンズに定着させる染色装置であって、
    レーザ光を前記染料が付着された前記レンズに向けて照射するレーザ光照射手段と、
    前記レーザ光照射手段により照射される前記レーザ光を前記レンズに対して相対的に走査するための走査手段と、
    を備え、
    前記走査手段によって前記レーザ光を螺旋状に前記レンズに対して相対的に走査することで、前記レンズを加熱することを特徴とする染色装置。
  2. 請求項1の染色装置において、
    前記走査手段は、前記レンズに対して前記レーザ光を走査半径を狭める方向に螺旋状に走査することを特徴とする染色装置。
  3. 表面に染料が付着された樹脂体であるレンズを加熱することにより前記染料を前記レンズに定着させる染色装置であって、
    レーザ光を前記染料が付着された前記レンズに向けて照射するレーザ光照射手段と、
    前記レーザ光照射手段により照射される前記レーザ光を前記レンズに対して相対的に走査するための走査手段と、
    前記レンズに対して前記レーザ光を走査半径を狭める方向に螺旋状に走査する第1走査パターンと、前記レンズに対して前記レーザ光を走査半径を広げる方向に螺旋状に走査する第2走査パターンと、のいずれか一方の走査パターンを設定する設定手段と、
    を備え、
    前記走査手段よって、前記設定手段によって設定された走査パターンに基づいて、前記レーザ光を螺旋状に前記レンズに対して相対的に走査することで、前記レンズを加熱することを特徴とする染色装置。
  4. 請求項3の染色装置において、
    ンズ情報を取得する取得手段を備え、
    前記設定手段は、前記取得手段によって取得された前記レンズ情報に基づいて、前記第1走査パターンと前記第2走査パターンのいずれか一方の走査パターンを設定することを特徴とする染色装置。
  5. 染料が付着された染色用基体の前記染料が付着した面を、樹脂体であるレンズに、非接触に対向するように配置し、前記染色用基体に付着された前記染料を電磁波によって加熱することで、前記染料を前記レンズに向けて昇華させて、前記レンズの表面に前記染料を付着させ、
    表面に前記染料が付着された前記レンズを加熱することにより前記染料を前記レンズに定着させる染色方法であって、
    レーザ光を前記染料が付着された前記レンズに向けて照射するレーザ光照射ステップと、
    前記レーザ光照射ステップにより照射される前記レーザ光を螺旋状に前記レンズに対して相対的に走査する走査ステップと、
    を備え、
    前記走査ステップによって、前記レーザ光を前記レンズに対して相対的に走査することで前記レンズを加熱することを特徴とする染色方法。
  6. 請求項5の染色方法において、
    前記走査ステップは、前記レンズに対して前記レーザ光を走査半径を狭める方向に螺旋状に走査することを特徴とする染色方法。
  7. 表面に染料が付着された樹脂体であるレンズを加熱することにより前記染料を前記樹レンズに定着させる染色方法であって、
    レーザ光を前記染料が付着された前記レンズに向けて照射するレーザ光照射ステップと、
    前記レーザ光照射ステップにより照射される前記レーザ光を螺旋状に前記レンズに対して相対的に走査する走査ステップと、
    前記レンズに対して前記レーザ光を走査半径を狭める方向に螺旋状に走査する第1走査パターンと、前記レンズに対して前記レーザ光を走査半径を広げる方向に螺旋状に走査する第2走査パターンと、のいずれか一方の走査パターンを設定する設定ステップと、
    を備え、
    前記走査ステップによって、前記設定ステップによって設定された走査パターンに基づいて、前記レーザ光を螺旋状に前記レンズに対して相対的に走査することで、前記レンズを加熱することを特徴とする染色方法。
  8. 請求項7の染色方法において、
    ンズ情報を取得する取得ステップを備え、
    前記設定ステップは、前記取得手段によって取得された前記レンズ情報に基づいて、前記第1走査パターンと前記第2走査パターンのいずれか一方の走査パターンを設定することを特徴とする染色方法。
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