JP2002257184A - 液体封入ダンパーマウント - Google Patents

液体封入ダンパーマウント

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JP2002257184A JP2001053637A JP2001053637A JP2002257184A JP 2002257184 A JP2002257184 A JP 2002257184A JP 2001053637 A JP2001053637 A JP 2001053637A JP 2001053637 A JP2001053637 A JP 2001053637A JP 2002257184 A JP2002257184 A JP 2002257184A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動車の車輪を懸架するダンパーの上部を車
体に支持する液体封入ダンパーマウントの上下方向の寸
法を小型化する。 【解決手段】 車体12に固定したブラケット52と、
ダンパーケース13から突出するダンパーロッド14に
固定したブラケット16とを接続する弾性体56は、ブ
ラケット16の上部外周を囲むように筒状に形成され
る。一部が弾性体56で区画された第1液室59と、一
部がダイヤフラム57で区画された第2液室60とが連
通路55aで連通しており、弾性体56はダンパーロッ
ド14の上下動に伴って上下方向に剪断変形する。ダン
パーケース13の上部に設けたブロック状の弾性体を圧
縮・引張変形させて第1液室59の容積を変化させる従
来のものに比べて、第1液室59の容積変化量を大きく
確保しながらダンパーマウントMの上下方向の寸法を小
型化することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の車輪を懸
架するダンパーの上部を車体に支持する液体封入ダンパ
ーマウントに関する。
【0002】
【従来の技術】図10には従来の自動車用のダンパーマ
ウントMの一例が示される。このダンパーマウントM
は、車輪から入力される荷重を減衰させる油圧ダンパー
11の上端を車体12(ホイールハウスの上壁)の開口
12aに支持するためのもので、油圧シリンダを収納し
た円筒状のダンパーケース13と、油圧シリンダに摺動
自在に嵌合するピストンに接続されてダンパーケース1
3の上面から出没自在に突出するダンパーロッド14と
を備える。ダンパーロッド14は、ダンパーケース13
に近い側から大径部14aおよび小径部14bを備えて
おり、小径部14bの先端側外周に雌ねじ14cが形成
される。大径部14aおよび小径部14b間の段部の上
方にワッシャ15、下面が開放したカップ状の第1ブラ
ケット16、カラー17およびワッシャ18が嵌合し、
雌ねじ14cに螺合するナット19により締結される。
【0003】第1ブラケット16の内部において、ワッ
シャ15の下方の大径部14aの外周に弾性体で構成さ
れたバンプストッパ20が嵌合しており、このバンプス
トッパ20の下面がダンパーケース13の上面に所定の
隙間を介して対向している。従って、車輪に大きな荷重
が入力されてダンパーケース13内にダンパーロッド1
4が大きく退没したときに、ダンパーケース13の上面
がバンプストッパ20の下面に当接することにより、油
圧ダンパー11の最大収縮量を規制することができる。
ダンパーロッド14の周囲を囲む開口21aを備えた円
板状の第2ブラケット21が、複数本のボルト22…で
車体12の開口12aの周囲に固定されており、その第
2ブラケット21の下面外周部に装着したばね座23に
懸架ばね24の上端が支持される。第2ブラケット21
の下面と第1ブラケット16の上面との間にリング状の
下部弾性体25が支持され、かつ第2ブラケット21の
上面とワッシャ18の下面との間にリング状の上部弾性
体26が支持される。
【0004】従って、車輪から荷重が入力されたとき、
油圧ダンパー11自体の減衰力に加えて下部弾性体25
および上部弾性体26が減衰力を発生し、更に車輪の移
動に伴う油圧ダンパー11の軸線の傾きを下部弾性体2
5および上部弾性体26の弾性変形により吸収すること
ができる。
【0005】図11には従来の自動車用のダンパーマウ
ントMの他の一例が示される。尚、図10で説明したダ
ンパーマウントMの部材に対応する部材には、共通の符
号を付すことで重複する説明を省略する。
【0006】このダンパーマウントMは図10で説明し
たダンパーマウントMよりも更に大きい減衰力を得るた
めに液封構造を採用したものである。即ち、ブロック状
の弾性体27の内周面および外周面がそれぞれカラー1
7の外周面および第2ブラケット21の内周面に焼き付
けられ、かつ弾性体27の下面はダンパーケース13の
上面に支持される。第2ブラケット21の開口21b
に、隔壁板28、ダイヤフラム29、ダイヤフラムホル
ダ30およびキャップ31の外周が重ね合わされ、キャ
ップ31の外周を第2ブラケット21にかしめること
で、前記第2ブラケット21、隔壁板28、ダイヤフラ
ム29、ダイヤフラムホルダ30およびキャップ31が
一体に結合される。
【0007】そして弾性体27、第2ブラケット21お
よび隔壁板28により作動液が封入された第1液室32
が区画されるとともに、隔壁板28およびダイヤフラム
29により作動液が封入された第2液室33が区画さ
れ、第1液室32および第2液室33が隔壁板28に形
成した連通路28aにより連通する。作動液には、エチ
レングリコールや粘性シリコンオイル等が用いられる。
【0008】従って、車輪から荷重が入力されたとき、
油圧ダンパー11自体の減衰力に加えて弾性体27も減
衰力を発生し、更に連通路28aを通過する作動液によ
っても減衰力が発揮される。即ち、ダンパーロッド14
が上向きに偏倚して弾性体27が圧縮変形すると第1液
室32の容積が縮小するため、第1液室32から押し出
された作動液が連通路28aを通過し、第2液室33に
流入してダイヤフラム29を膨張させる。逆に、ダンパ
ーロッド14が下向きに偏倚して弾性体27が引張変形
すると第1液室32の容積が拡大するため、第2液室3
3のダイヤフラム29が負圧で収縮し、作動液が連通路
28aを通過して第1液室32に吸入される。このよう
にダンパーロッド14の上下動に伴って第1液室32お
よび第2液室33の作動液が連通路28aを通過して交
互に行き来し、その際に減衰力が発生する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図11で説
明した従来の液体封入ダンパーマウントMは、ダンパー
ロッド14の上端よりも上方に第1液室32、隔壁板2
8、第2液室33、ダイヤフラム29およびキャップ3
1が配置されるため、その上下方向の寸法が大型化する
だけでなく、それらの部材が車体12(ホイールハウス
の上壁)を貫通してエンジンルーム内に大きく突出する
という問題があった。
【0010】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、液体封入ダンパーマウントの上下方向の寸法を小型
化することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載された発明によれば、自動車の車輪
を懸架するダンパーの上部を車体に支持する液体封入ダ
ンパーマウントであって、車体に固定されたブラケット
をダンパーの上部に接続する弾性体と、少なくとも一部
が前記弾性体で区画された第1液室と、少なくとも一部
がダイヤフラムで区画された第2液室と、第1液室およ
び第2液室を連通させる連通路とを備えたものにおい
て、弾性体はダンパーの上部外周を囲むように筒状に形
成されており、車体に固定されたブラケットに対するダ
ンパーの上下動に伴って上下方向に剪断変形し、第1液
室の容積を拡大・縮小することを特徴とする液体封入ダ
ンパーマウントが提案される。
【0012】上記構成によれば、車体側のブラケットを
ダンパーの上部に接続する弾性体がダンパーの上部外周
を囲むように筒状に形成され、ダンパーの上下動に伴っ
て上下方向に剪断変形して第1液室の容積を変化させる
ので、ダンパーの上部に設けたブロック状の弾性体を圧
縮・引張変形させて第1液室の容積を変化させる従来の
ものに比べて、第1液室の容積変化量を大きく確保しな
がらダンパーマウントの上下方向の寸法を小型化するこ
とができる。
【0013】また請求項2に記載された発明によれば、
請求項1の構成に加えて、前記ダイヤフラムは前記弾性
体の下側であり、かつ前記ダンパーの外周に設置される
懸架ばねの内側に設けられていることを特徴とする液体
封入ダンパーマウントが提案される。
【0014】上記構成によれば、ダイヤフラムを弾性体
の下側に設けたので該ダイヤフラムにより区画さる第2
液室の容積を大きく確保することができ、またダイヤフ
ラムを懸架ばねの内側に設けたので、ダンパーを車体に
組み付けるときに工具等でダイヤフラムを傷付け難くす
ることができる。
【0015】尚、実施例の油圧ダンパー11は本発明の
ダンパーに対応し、実施例の第2ブラケット52は本発
明のブラケットに対応し、実施例の第2弾性体56は本
発明の弾性体に対応する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0017】図1〜図3は本発明の第1実施例を示すも
ので、図1は自動車のリヤサスペンションの斜視図、図
2は液体封入ダンパーマウントの縦断面図(図1の2−
2線拡大断面図)、図3は液室への作動液の注入方法を
示す図である。
【0018】図1は自動車の左後輪のサスペンションを
示すものである。図示せぬ車輪を回転自在に支持するナ
ックル41は、前方に延びるラジアスロッド42によっ
て車体に連結されるとともに、左右方向に延びるアッパ
ーアーム43、フロントロアアーム44およびリヤロア
アーム45によって車体に連結される。ナックル41の
上下動は懸架ばね24を一体に備えた油圧ダンパー11
により緩衝される。周知の油圧ダンパー11は、ナック
ル41の上下動に応じて相対移動するシリンダおよびピ
ストンによってオイルの流れを発生させ、そのオイルが
絞りを有する油圧バルブを通過する際の抵抗力によって
減衰力を発生させるものである。油圧ダンパー11の上
端は液体封入ダンパーマウントMを介して車体に支持さ
れる。
【0019】次に、図2を参照しながら第1実施例の液
体封入ダンパーマウントMの構造を説明する。ダンパー
マウントMは、ダンパーケース13とダンパーロッド1
4とを備えた油圧ダンパー11の上端を車体12の開口
12aに支持するためのもので、そのダンパーロッド1
4にはダンパーケース13に近い側から大径部14aお
よび小径部14bが形成される。大径部14aおよび小
径部14b間の段部の上方にワッシャ15、下面が開放
したカップ状の第1ブラケット16、カラー17および
ワッシャ18が嵌合し、小径部14bの雌ねじ14cに
螺合するナット19により締結される。第1ブラケット
16の内部において、ワッシャ15の下方の大径部14
aの外周に弾性体で構成されたバンプストッパ20が嵌
合しており、このバンプストッパの下面がダンパーケー
ス13の上面に所定の隙間を介して対向している。
【0020】カラー17の外周に焼き付けられた環状の
第1弾性体51が、第1ブラケット16の上面およびワ
ッシャ18の下面間に挟まれて固定される。第2ブラケ
ット52は上部ブラケット53および下部ブラケット5
4を溶接で一体化したもので、上部ブラケット53およ
び下部ブラケット54を貫通する複数本のボルト22…
で車体12の開口部12aの周縁に固定される。第2ブ
ラケット52の上部ブラケット53の内周部は第1弾性
体51の内部に一体に埋め込まれる。一方、第1ブラケ
ット16の外周部にカラー55が圧入されており、概略
円筒状の第2弾性体56の内周面が前記カラー55の外
周面に焼き付けられ、外周面が前記第2ブラケット52
の下部ブラケット54の内周面に焼き付けられる。第2
弾性体56の下部に一体に形成されたダイヤフラム57
の下端が、固定リング58で第1ブラケット16の外周
部下端に固定される。
【0021】而して、第1ブラケット16、第2ブラケ
ット52、第1弾性体51および第2弾性体56によっ
て第1液室59が区画され、第1ブラケット16、第2
弾性体56およびダイヤフラム57によって第2液室6
0が区画される。第1液室59および第2液室60は、
カラー55の内周面に形成した連通路55aを介して相
互に連通する。
【0022】次に、図3を参照しながら液体封入ダンパ
ーマウントMの第1液室59および第2液室60に作動
液を注入する手法を説明する。
【0023】第1ブラケット16、第2ブラケット5
2、第1弾性体51および第2弾性体56を一体化した
ものを上下反転した状態で、その上方から作動液注入治
具61を装着する。作動液注入治具61は下面が開放し
たカップ状の部材であり、その下端外周に下部ブラケッ
ト54の外周面に当接するシール部材62を備えるとと
もに、その内部に一体に形成した筒状壁61aの外側面
に、第1ブラケット16の下端(図3では上端)に当接
するシール部材63を備える。このとき第2弾性体56
と一体のダイヤフラム57の下端(図3では上端)は前
記固定リング58で固定されておらず、第2液室60は
開放している。
【0024】装着状態にある作動液注入治具61の作動
液注入室61bは第2液室60および第1液室59に連
通し、かつシール部材62,63によってシールされた
状態になり、その作動液注入室61bには作動液注入管
64およびエアー排出管65が接続される。従って、図
示せぬ負圧源に接続されたエアー排出管65により第2
液室60および第1液室59内のエアーを真空引きした
後に、図示せぬ作動液タンクに接続された作動液注入管
64により第2液室60および第1液室59内に作動液
を注入することで、エアーの残留を防止しながら作動液
を短時間で注入することができる。そして作動液注入治
具61を上方に退避させた後に、ダイヤフラム57を固
定リング58で締め付けて第2液室60を閉塞する。
尚、エアーの真空引きおよび作動液を注入を複数回繰り
返すことで、エアーの残留を一層確実に防止することが
できる。
【0025】従って、車輪から荷重が入力されたとき、
油圧ダンパー11自体の減衰力に加えて第1、第2弾性
体51,56の弾性変形により減衰力を得ることがで
き、更に連通路55aを通過する作動液によっても減衰
力が発揮される。即ち、ダンパーロッド14が上向きに
偏倚したとき、第1弾性体51が上下方向に圧縮される
とともに、第2弾性体56が上下方向の剪断力で弾性変
形して第1液室59の容積が縮小するため、第1液室5
9から押し出された作動液が連通路55aを通過し、第
2液室60に流入してダイヤフラム57を膨張させる。
逆に、ダンパーロッド14が下向きに偏倚したとき、第
1弾性体51が上下方向に引き伸ばされるとともに、第
2弾性体56が上下方向の剪断力で弾性変形して第1液
室59の容積が拡大するため、第2液室60のダイヤフ
ラム57が負圧で収縮して作動液が連通路55aを通過
して第1液室59に吸入される。このようにダンパーロ
ッド14の上下動に伴って第1液室59および第2液室
60の作動液が連通路55aを通過して交互に行き来
し、その際に減衰力が発生する。
【0026】而して、本実施例を示す図2と従来例を示
す図11とを比較すると明らかなように、本実施例のも
のは第1液室59の容積変化に最も寄与する円筒状の第
2弾性体56が第1ブラケット16の外周を囲むように
配置されているため、第1液室59および第2液室60
をダンパーロッド14の上端よりも低い位置に設けるこ
とが可能となり、油圧ダンパー11のダンパーマウント
Mの上下方向の寸法を小型化することができる。また車
体12に対して油圧ダンパー11が傾斜しても、第1弾
性体51および第2弾性体56の変形により上記傾斜を
吸収することができる。しかもダンパーロッド14が第
1弾性体51で車体12に接続されているため、万一第
2弾性体56が破断した場合でも、油圧ダンパー11が
ホイールハウス内に脱落する虞はない。
【0027】またダイヤフラム57を第2弾性体56と
一体に形成したことでコストの削減を図ることができ、
更に第1液室59を第1ブラケット16の外周を囲むよ
うに形成したことで、その容積を大きく確保することが
できるだけでなく、ダイヤフラム57を第2弾性体56
の下側に設けたので、そのダイヤフラム57により区画
さる第2液室60の容積を大きく確保することができ
る。更にまた、ダイヤフラム57を懸架ばね24の内側
に設けたので、油圧ダンパー11を車体に組み付けると
きに工具等でダイヤフラム57を傷付け難くすることが
できる。
【0028】次に、図4および図5に基づいて本発明の
第2実施例を説明する。
【0029】図4に示すように、第2実施例のダンパー
マウントMは第2ブラケット52の上部ブラケット53
に作動液注入孔53bを備えており、この作動液注入孔
53bは第1液室59および第2液室60への作動液の
注入後に、ボール66を圧入して閉塞される。その他の
構造および作用は第1実施例と同じである。
【0030】図5にはダンパーマウントMの第1液室5
9および第2液室60に作動液を注入する手法の第2実
施例が示される。
【0031】第1ブラケット16、第2ブラケット5
2、第1弾性体51および第2弾性体56を一体化した
ものを正立状態で支持する作動液注入治具67は、第1
ブラケット16の内部に嵌合する円柱状の支持部67a
と、第2ブラケット52の下部ブラケット54の外周に
嵌合する円筒状の周壁部67bとを備えており、支持部
67aの上面に設けたシール部材68が第1ブラケット
16の上部内面に当接してシールするとともに、周壁部
67bの上部内面に設けたシール部材69が下部ブラケ
ット54の外周面に当接してシールすることで、ダイヤ
フラム57に臨む負圧室70を区画する。負圧室70に
は負圧源に連なるエアー排出管71が接続される。そし
て切換えバルブ72で負圧源と作動液タンクとに選択的
に連通可能なノズル73が、上部ブラケット53に作動
液注入孔53bに当接する。
【0032】従って、第1液室59および第2液室60
内のエアーをノズル73で吸引した後に、切換えバルブ
72を切り換えてノズル73から第1液室59および第
2液室60内に作動液を短時間で注入することができ、
併せて作動液へのエアーの混入を防止することができ
る。第1液室59および第2液室60内のエアーをノズ
ル73で吸引する際に、これと同期して負圧室70を減
圧することにより、ダイヤフラム57の破断を防止する
ことができる。
【0033】図6は、前記第2実施例の変形例であっ
て、第2実施例では上部ブラケット53の作動液注入孔
53bをボール66(図4参照)の圧入により封止して
いるのに対し、本変形例ではリベット74により封止し
ている。
【0034】次に、図7に基づいて本発明の第3実施例
を説明する。
【0035】上記第1、第2実施例ではダイヤフラム5
7が第2弾性体56と一体に設けられていたが、第3実
施例ではダイヤフラム57が第1弾性体51と一体に設
けられる。第1弾性体51は第2ブラケット52の上部
ブラケット53の開口53a近傍の下面と、ワッシャ1
8の下面とに焼き付けられており、上部ブラケット53
の上面にダイヤフラム57により第2液室60が区画さ
れる。第1液室59および第2液室60は、第1弾性体
51に形成した連通路51aを介して相互に連通する。
【0036】従って、車輪から荷重が入力されたとき、
油圧ダンパー11および第2弾性体56の剪断変形によ
る減衰力に加えて、連通路51aを通過する作動液によ
っても減衰力が発揮される。即ち、ダンパーロッド14
が上向きに偏倚したとき、第2弾性体56が上下方向の
剪断力で弾性変形して第1液室59の容積が縮小するた
め、第1液室59から押し出された作動液が連通路51
aを通過し、第2液室60に流入してダイヤフラム57
を膨張させる。逆に、ダンパーロッド14が下向きに偏
倚したとき、第2弾性体56が上下方向の剪断力で弾性
変形して第1液室59の容積が拡大するため、第2液室
60のダイヤフラム57が負圧で収縮して作動液が連通
路51aを通過して第1液室59に吸入される。このよ
うにダンパーロッド14の上下動に伴って第1液室59
および第2液室60の作動液が連通路51aを通過して
交互に行き来し、その際に減衰力が発生する。
【0037】而して、本第3実施例によっても、上記第
1、第2実施例と同様の作用効果を発揮することができ
る。特に、第1ブラケット16の上面全体がピストンと
して機能するため、第1液室59の容積変化を大きくし
て減衰力を高めることができる。しかもダイヤフラム5
7が第2ブラケット52の上部ブラケット53の上面に
配置されているため、ホイールハウス内の飛び石等でダ
イヤフラム57が損傷するのを未然に防止することがで
きる。
【0038】次に、図8に基づいて本発明の第4実施例
を説明する。
【0039】第4実施例は上記第3実施例を改良したも
ので、第1液室59および第2液室60が第2ブラケッ
ト52の上部ブラケット53に形成した連通路53cを
介して連通する。第1弾性体51に設けた環状のシール
部材75がカラー17の外周面に摺動自在に嵌合してお
り、このカラー17の上部に形成された補助第2液室7
6が第1弾性体51に形成した通路51bを介して第2
液室60に連通する。
【0040】而して、ダンパーロッド14が上向きに偏
倚すると、第2弾性体56の剪断変形により第1液室5
9の容積が縮小するのに対して補助第2液室76が増大
し、ダンパーロッド14が下向きに偏倚すると、第2弾
性体56の剪断変形により第1液室59の容積が増大す
るのに対して補助第2液室76が縮小するため、ダイヤ
フラム57により区画された第2液室60の容積変化を
最小限に抑えてダイヤフラム57の負荷を軽減すること
ができる。本第4実施例のその他の作用効果は、上記第
3実施例の作用効果と同一である。
【0041】次に、図9に基づいて本発明の第5実施例
を説明する。
【0042】図2に示す第1実施例では油圧ダンパー1
1のダンパーケース13からダンパーロッド14が上向
きに突出しているのに対し、図9に示す第5実施例の油
圧ダンパー11は上下が逆に取り付けられている。従っ
て、ダンパーケース13の上面に固定した支持ロッド7
7にカラー17を介して第1弾性体51が嵌合し、その
上面に当接するワッシャ18がナット19で締結され
る。本実施例ではダンパーケース13と支持ロッド77
とが一体であるため、バンプストッパ20および第1ブ
ラケット16が不要になり、連通路55aを備えたカラ
ー55がダンパーケース13の外周面に直接固定され
る。本実施例によっても、前記第1、第2実施例と同じ
作用効果を達成することができる。
【0043】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことが可能である。
【0044】例えば、実施例では後輪の油圧ダンパー1
1のダンパーマウントMを例示したが、本発明は前輪の
油圧ダンパーのダンパーマウントに対しても適用するこ
とができる。
【0045】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明
によれば、車体側のブラケットをダンパーの上部に接続
する弾性体がダンパーの上部外周を囲むように筒状に形
成され、ダンパーの上下動に伴って上下方向に剪断変形
して第1液室の容積を変化させるので、ダンパーの上部
に設けたブロック状の弾性体を圧縮・引張変形させて第
1液室の容積を変化させる従来のものに比べて、第1液
室の容積変化量を大きく確保しながらダンパーマウント
の上下方向の寸法を小型化することができる。
【0046】また請求項2に記載された発明によれば、
ダイヤフラムを弾性体の下側に設けたので該ダイヤフラ
ムにより区画さる第2液室の容積を大きく確保すること
ができ、またダイヤフラムを懸架ばねの内側に設けたの
で、ダンパーを車体に組み付けるときに工具等でダイヤ
フラムを傷付け難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車のリヤサスペンションの斜視図
【図2】液体封入ダンパーマウントの縦断面図(図1の
2−2線拡大断面図)
【図3】液室への作動液の注入方法を示す図
【図4】第2実施例に係る液体封入ダンパーマウントの
縦断面図
【図5】液室への作動液の注入方法を示す図
【図6】第2実施例の変形例に係る液体封入ダンパーマ
ウントの縦断面図
【図7】第3実施例に係る液体封入ダンパーマウントの
縦断面図
【図8】第4実施例に係る液体封入ダンパーマウントの
縦断面図
【図9】第5実施例に係る液体封入ダンパーマウントの
縦断面図
【図10】従来のダンパーマウントの縦断面図
【図11】従来の液体封入ダンパーマウントの縦断面図
【符号の説明】
11 油圧ダンパー(ダンパー) 12 車体 24 懸架ばね 51a 連通路 52 第2ブラケット(ブラケット) 53c 連通路 55a 連通路 56 第2弾性体(弾性体) 57 ダイヤフラム 59 第1液室 60 第2液室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古屋 雅史 神奈川県横浜市鶴見区尻手2丁目3番6号 北辰工業株式会社内 Fターム(参考) 3D001 AA18 BA01 CA01 DA09 DA13 3J047 AA06 CA02 CD13 FA04 GA01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動車の車輪を懸架するダンパー(1
    1)の上部を車体(12)に支持する液体封入ダンパー
    マウントであって、 車体(12)に固定されたブラケット(52)をダンパ
    ー(11)の上部に接続する弾性体(56)と、 少なくとも一部が前記弾性体(56)で区画された第1
    液室(59)と、 少なくとも一部がダイヤフラム(57)で区画された第
    2液室(60)と、 第1液室(59)および第2液室(60)を連通させる
    連通路(51a,53c,55a)と、を備えたものに
    おいて、 弾性体(56)はダンパー(11)の上部外周を囲むよ
    うに筒状に形成されており、車体(12)に固定された
    ブラケット(52)に対するダンパー(11)の上下動
    に伴って上下方向に剪断変形し、第1液室(59)の容
    積を拡大・縮小することを特徴とする液体封入ダンパー
    マウント。
  2. 【請求項2】 前記ダイヤフラム(57)は前記弾性体
    (56)の下側であり、かつ前記ダンパー(11)の外
    周に設置される懸架ばね(24)の内側に設けられてい
    ることを特徴とする、請求項1に記載の液体封入ダンパ
    ーマウント。
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