JP2002255949A - プロピレンオキシドの製造方法 - Google Patents
プロピレンオキシドの製造方法Info
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Abstract
からプロピレンオキシドを従来より高められた選択率、
収率で与える、プロピレンの酸化によるプロピレンオキ
シドの製造方法を提供する。 【解決手段】 Si/Al2比が500以上のハイシリカゼオラ
イトにチタン化合物またはチタン化合物と遷移金属化合
物とを担持させた触媒を用いて、プロピレンを酸素又は
過酸化物により酸化させるプロピレンオキシドの製造方
法。
Description
気相酸素存在下での酸化反応によりプロピレンオキシド
を製造する方法に関するものである。
ドの製造は、プロピレンクロロヒドリンを経由する方
法、および有機過酸化物を用いて酸化する方法が知られ
ている。これらの場合、アルカリ又はアルカリ土類系金
属や、重金属の複合酸化物系触媒など、いわゆる従来型
の酸化物系触媒が主であり、ハイシリカゼオライトなど
の新規な触媒系は報告されていない。
るプロピレンからプロピレンオキシド(以下、POと略す
ことがある)を合成する方法の開発に多くの研究が向け
られてきた。このような試みの中で、過酸化水素や酸素
/水素などを用いた方法が提案された。触媒としてはチ
タノシリケート(佐藤晶他、第22回中部化学関係学協会
支部連合秋季大会予稿集、p.144(1991))、金/チタニア
(M.Haruta,Catal.Today,1997, 36, 153)などが知られて
いる。さらに最近、酸素を用いるプロピレンの酸化方法
が提案された(Eur.Pat.0640598A1 (1995); 渡辺、上
松、辰巳、第82回触媒討論会、4D312(1998,p.93))が、P
O収率は高々0.1%以下である。またTi/SiO2等の触媒存在
下、酸素と光を用いる方法においてすら、5%程度のPO収
率にとどまっていた(H.Yoshida,C.Murata, and T.Hatto
ri, Chem.Commun., 1551-1552(1999))。
過酸化物などを酸化剤として用いて、ハイシリカゼオラ
イト系触媒存在下、プロピレンを原料として、プロピレ
ンオキシドを高められた収率で製造する方法を提供する
ことを目的とする。また、本発明は、上記製造方法に用
いるハイシリカゼオライト系触媒を提供することも目的
とする。
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明は、Si/Al2比が500以上のハイ
シリカゼオライトにチタン化合物を担持した触媒存在
下、プロピレンと酸素または過酸化物を反応させプロピ
レンオキシドを製造する方法、及びこの製造方法に用い
るSi/Al2比が500以上であるハイシリカゼオライトにチ
タン化合物が担持されたハイシリカゼオライト触媒を提
供するものである。
500以上のハイシリカゼオライトにチタン化合物単独又
はチタン化合物と遷移金属化合物の両方を担持させたも
のである。この場合他の公知のゼオライト、例えばY-
型、L-型、モルデナイト、フェリエライト、ベータ型、
H-ZSM-5では当初の目的を達成しない。なお、該Si/Al2
比が1000から2000の間のハイシリカゼオライトが担体と
して特に好ましい。本発明の触媒の担体として用いるハ
イシリカゼオライトは、Si/Al2比が500以上のものであ
れば特に制限するものではなく、天然のものも使用する
ことができる。合成する場合は「ゼオライトとその利
用」ゼオライトとその利用編集委員会、技報堂(196
7)等に記載された方法で合成することができ、また東
ソー(株)などから市販品を入手することもできる。な
お、Si/Al2比の測定は、例えばフッ素に溶解して原子吸
光分析、又は固体NMR法など、「ゼオライト−基礎と
応用」講談社サイエンティフィック(1975)に記載
の方法で行うことができる。
明する。前記ハイシリカゼオライトにチタン化合物を担
持させるには、あらかじめ脱気したハイシリカゼオライ
トに対して、チタン化合物を含有させ、空気中で焼成す
る。ハイシリカゼオライトにチタン化合物を含有させる
方法としては、物理混合法や、含浸法、沈殿法、混練
法、インシピエントウェットネス法等の従来公知の方法
を採用することが出来る。チタン化合物としては、塩化
チタン、臭化チタン、硫酸チタン、硝酸チタン、オキソ
ビス(2,4-ペンタジオナト)チタン、シュウ酸チタニルア
ンモニウム、チタンテトライソプロポキシド、ビス(シ
クロペンタジエニル)チタン等が挙げられる。これらの
チタン化合物は、通常、水溶液としてハイシリカゼオラ
イトに担持される。またイソプロパノールやベンゼンな
どの有機溶媒も用いられる。チタン化合物を含有させた
ハイシリカゼオライトの焼成温度は、特に制限するもの
ではないが、通常300〜900℃、好ましくは500〜700℃程
度である。チタン化合物の担持量は、特に制限するもの
ではないが、ハイシリカゼオライト100g当たり、チタン
金属として、通常0.1〜50g、好ましくは1.0〜20gであ
る。
と遷移金属化合物とを共に担持させる方法は、前記チタ
ン化合物のみを担持させる場合と同様に行うことが出来
る。焼成温度もチタン単独と同様である。この場合、含
有させるプロセスは、チタン化合物と遷移金属を同時ま
たは逐次的に行うことが出来る。用いるチタン化合物
は、前記記載のものを同様に用いることが出来る。ま
た、遷移金属化合物としては、ニッケル、コバルト、
鉄、ランタン、セリウム、サマリウム、ユーロピウム等
の8族または希土類等の金属化合物を用いることが出来
る。具体的には、各金属の水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、
硝酸塩、リン酸塩、塩化物、硫酸塩等が挙げられる。チ
タン化合物及び遷移金属化合物を含有させたハイシリカ
ゼオライトの焼成温度は、特に制限するものではない
が、通常300〜900℃、好ましくは500〜700℃程度であ
る。チタン化合物の担持量は、前記チタン単独の場合と
同様で、特に制限するものではないが、ハイシリカゼオ
ライト100g当たり、チタン金属として、通常0.1〜50g、
好ましくは1.0〜20gである。また遷移金属化合物の担持
量は、特に制限するものではないが、ハイシリカゼオラ
イト100g当たり、通常0.1〜50g、好ましくは1.0〜20gで
ある。
化は、前記の触媒存在下、プロピレンに酸素を付加させ
ることにより行われる。こうして酸素付加により、プロ
ピレンオキシドが目的生成物として合成される。本発明
の製造方法において、その反応温度は特に制限するもの
ではないが、通常50〜500℃、好ましくは200〜400℃の
条件下であり、その反応圧力は、任意であるが、常圧又
は減圧が好ましい。反応させる酸素の使用割合も特に制
限するものではないが、原料プロピレン1モル当たり、
O2として、通常0.05〜10モル、好ましくは1〜0.2モル
の割合である。原料プロピレンは、窒素、ヘリウム、ア
ルゴンガス等の不活性ガスで希釈して用いることが出来
る。希釈する場合、原料プロピレンの濃度は特に制限す
るものではないが、10〜40体積%であることが好ま
しい。
代わりに過酸化物を用いることもできる。このとき用い
る過酸化物としては、過酸化水素、過酢酸、t-ブチルヒ
ドロペルオキシドなどを挙げることができるが、好まし
くは過酸化水素である。本発明において、過酸化物は、
O2換算で前記使用割合と同じ範囲の量で用いることが
できる。
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、本実施例では、ハイシリカゼオライトをHSZと
略記する。
を取り400℃で3時間脱気した後、チタンテトライソプ
ロポキシド0.889g(Ti含有量7.5wt%)を含むイソプロパノ
ール溶液(30ml)中に投入し含浸させた。50℃で1時間攪
拌後、水25gを添加しTiを沈殿させた。さらに溶液がな
くなるまで攪拌を続けた。100℃で一晩乾燥後、700℃で
3時間焼成し本発明のハイシリカゼオライト触媒として
7.5wt%Ti/HSZ触媒(7.5Ti/HSZ)を得た。こうして得た
本発明の触媒1gを希釈剤としての石英砂2gとともに石
英反応管に入れ、窒素、プロピレン、酸素の混合ガス
(体積比(窒素/プロピレン/酸素=60/25/15))に替え、25m
l/minの流量(W/F=0.67hr.g.L-1)で反応管に導入して300
℃で反応を行った。同温度で30分反応後の生成物をガス
クロマトグラフにより分析したところ、プロピレン転化
率78.2%、選択率26.1%にてプロピレンオキシド(PO)が生
成した。原料プロピレンに対するPOの絶対収率は20.4%
であった。副生物として、アセトアルデヒド(選択率23.
6%)、炭化水素(選択率43.98%、C1〜C8の和)が検出さ
れ、他の生成物も少量認められた(表1参照)。
率、それらの絶対収率は便宜的に以下のように計算し
た。 プロピレン転化率[C(M)] = A / (A+B) × 100 (%) A:生成物重量 B:未反応プロピレン重量 この場合、生成物重量Aは、[3×PO + 3×POH + 3×AC +
3×AL + 2×AA +2×EOH + HA + MOH + C1 + 2×C2 + 3
×C3 + 4×C4 + 5×C5 + 6×C6 + 7×C7+ 8×C8 + COx]
として計算した。但しこの計算式において、PO、POH、A
C、AL、AA、EOH、HA、MOH、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C
7、C8、COxは、それぞれ、プロピレンオキシド、プロパ
ノール、アセトン、アクロレイン、アセトアルデヒド、
エタノール、ホルムアルデヒド、メタノール、メタン、
C2炭化水素、プロパン、C4炭化水素、C5炭化水素、C6炭
化水素、C7炭化水素、C8炭化水素、COxの合計のモル数
を示す(後記表1も同様)。未反応プロピレン重量B
は、未反応プロピレンのモル数×3とした。 PO選択率 [S(PO)] = 3×[PO] / A × 100 (%) 但し、PO及びAは、前記と同じ意味を有する。 PO絶対収率 [Y(PO)] = C(M) × S(PO) / 100 (%) AA選択率 [S(AA)] = 2×[AA] / A × 100 (%) その他の生成物の選択率も同様にして定義される。
担持しないHSZ(Si/Al2比=1900)単独を用いた以外、
実施例1と同様にして反応させたところ、プロピレン転
化率83.2%、選択率7.93%にてPOが生成した。原料プロピ
レンに対するPOの絶対収率は6.6%であった。副生物とし
て、アセトアルデヒドが11.3%、炭化水素69.5%が生成し
た。こうしてPO選択率が、Tiの存在により高められる事
実を認めた。
/SiO2触媒(7.5Ti/SiO2)を用いた以外、実施例1と同様
にして反応させたところ、プロピレン転化率3.76%,プ
ロピレンオキシド(PO)選択率0%であった。副生物とし
て、プロパン(72.7%)、COx(24.7%)が生成し、プロピレ
ンの水素化と燃焼反応が起こるのみであった(表1参
照)。
/H-ZSM-5(68)触媒(Si/Al2比=68、7.5Ti/H-ZSM-5(68))を
用いた以外、実施例1と同様にして反応させたところ、
プロピレン転化率97.8%,プロピレンオキシド(PO)選択
率はわずかに3.18%であった。副生物として、炭化水素
(44.5%)、COx(5.12%)が生成した(表1参照)。
た以外、実施例1と同様にして反応させたところ、プロ
ピレン転化率2.11%、プロピレンオキシド(PO)選択率0%
であった。副生物として,炭化水素(C3〜C8、47.0%)、C
Ox(52.9%)が生成した(表1参照)。
/H-ZSM-5(190) 触媒(Si/Al2比=190、7.5Ti/H-ZSM-5(190))を用いた以
外、実施例1と同様にして反応させたところ、プロピレ
ン転化率95.5%、プロピレンオキシド(PO)選択率は高々
9.32%であった。副生物として、アセトアルデヒド(20.0
%)、アクロレイン(28.3%)など他の含酸素化合物が多
く、炭化水素(31.4%)、COx(1.13%)が生成した(表1参
照)。
同様にして300℃で反応させたところ、プロピレン転化
率47.7%、選択率36.3%にてPOが生成した。原料プロピレ
ンに対するPOの絶対収率は17.3%であった。副生物とし
て、アセトアルデヒドが29.6%、炭化水素27.8%が生成し
た。
わりにシュウ酸チタニルアンモニウムを用いて調製して
得た本発明の触媒(7.5TiCOOH/HSZ)を用いた以外は実施
例1と同様にして300℃で反応させたところ、プロピレ
ン転化率68.4%,選択率21.2%にてPOが生成した。原料プ
ロピレンに対するPOの絶対収率は14.5%であった。副生
物として、アセトアルデヒドが18.8%、C1〜C8炭化水素5
6.7%が生成した(表1参照)。
(5wt%)を担持して得た本発明の触媒(7.5Ti/5La/HSZ)を
用いた以外は実施例1と同様にして300℃で反応させた
ところ、プロピレン転化率63.7%、選択率27.3%にてPOが
生成した。原料プロピレンに対するPOの絶対収率は15.3
%であった。副生物として、アセトアルデヒドが22.7%、
C1〜C8炭化水素44.0%が生成した(表1参照)。
O2=60/30/10)を用いた以外は実施例1と同様にして300
℃で反応させたところ、プロピレン転化率82.6%,選択
率19.6%にてPOが生成した。原料プロピレンに対するPO
の絶対収率は16.2%であった。副生物として、アセトア
ルデヒドが26.4%、炭化水素37.3%が生成した(表1参
照)。上記プロピレン酸化反応結果をまとめて下記表に
示す。
ゼオライト系の新規な触媒系を用いることにより、原料
プロピレンと気相酸素または過酸化物とを反応させ、プ
ロピレンオキシドを従来法より高められた収率と選択率
で製造することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 Si/Al2比が500以上であるハイシリカゼ
オライトにチタン化合物を担持した触媒存在下、プロピ
レンと酸素を反応させることを特徴とするプロピレンオ
キシドの製造方法。 - 【請求項2】 酸素の代わりに過酸化物を用いることを
特徴とする請求項1に記載のプロピレンオキシドの製造
方法。 - 【請求項3】 Si/Al2比が500以上であるハイシリカゼ
オライトにチタン化合物が担持されたことを特徴とする
プロピレンオキシド製造用ハイシリカゼオライト触媒。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001053594A JP3747239B2 (ja) | 2001-02-28 | 2001-02-28 | プロピレンオキシドの製造方法 |
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- 2001-02-28 JP JP2001053594A patent/JP3747239B2/ja not_active Expired - Lifetime
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