JP4646423B2 - カルボン酸又はそのエステルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物からカルボン酸又はそのエステルを製造する方法、特に効率よくカルボン酸又はそのエステルを得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘテロポリ酸塩−酸素系を再酸化剤として利用し、Pdを活性種とする触媒的酸素酸化反応について種々検討されている。
【0003】
Tetrahedron Lett.,40,1701(1999)においては、Pd(II)/クロロヒドロキノン/NPMoV触媒系を用い、CO加圧下で末端アルキンをカルボニル化する方法が提案されている。また、Tetrahedron Lett.,41,99(2000)には、活性炭担持型の[Pd(II)−NPMoV]/C触媒により、シクロペンテンのシクロペンタノンへのWacker型酸化反応が良好に進行することが報告されている。
【0004】
しかし、上記先行文献では、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物(例えば、アルケンやアルキンなど)へ選択的にカルボキシル基を導入して、効率よくカルボン酸又はそのエステルを得る方法は提示されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、一酸化炭素を用いた触媒的な反応により、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物へ効率よくカルボキシル基を導入して生成させるカルボン酸又はそのエステルの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、パラジウム化合物とヘテロポリ酸とで構成された酸化触媒を用いて炭素−炭素不飽和結合を有する化合物を一酸化炭素と反応させると、高い収率で対応するカルボン酸又はそのエステルが生成することを見いだし、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、
(A)パラジウム化合物、及び
(B1)下記式
A 3+n [PV n Mo 12-n O 40 ]
(式中、Aは水素原子、NH 4 、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選択された少なくとも1種を示し、nは1〜10の整数である)
で表されるリンバナドモリブデン酸若しくはその塩、又は
(B2)N、P、Mo及びVの平均原子比N/P/Mo/V=1〜12/1/2〜8/4〜10のリンバナドモリブデン酸若しくはそのアンモニウム塩の混合物、
とで構成された酸化触媒、並びに
(C)塩化ナトリウム又は塩化アンモニウムの存在下、
下記式(1)
【化1】
(式中、nは1以上16以下の整数を示す)
で表されるシクロアルケンと一酸化炭素とを、分子状酸素又はラジカル開始剤の共存下で反応させて、
下記式(2)で表される1−シクロアルケン−1−カルボン酸又はそのエステル、式(3)で表される2−シクロアルケン−1−カルボン酸又はそのエステル、式(4)で表されるシクロアルカンカルボン酸又はそのエステル、式(5)で表されるシクロアルカン−1,2−ジカルボン酸又はそのエステル、及び式(6)で表されるシクロアルカン−1,3−ジカルボン酸又はそのエステル、から選択されたカルボン酸又はそのエステルを得ることを特徴とするカルボン酸又はそのエステルの製造方法を提供する。
【化2】
(式中、nは1以上16以下の整数を示す)
【0008】
なお、本明細書では、「パラジウム化合物」をパラジウム単体を含む意味に用いる。
また、本明細書では、上記発明のほか、(A)パラジウム化合物と(B)ヘテロポリ酸又はその塩とで構成された酸化触媒存在下、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物と一酸化炭素とを、分子状酸素又はラジカル開始剤の共存下で反応させて対応するカルボン酸又はそのエステルを得ることを特徴とするカルボン酸又はそのエステルの製造方法、についても説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における酸化触媒は、触媒成分として(A)パラジウム化合物と、(B)ヘテロポリ酸又はその塩とを含んでいる。
【0010】
[パラジウム化合物(A)]
パラジウム化合物(A)としては、例えば、金属パラジウム、0価のパラジウムなどの0価のパラジウム化合物、酢酸パラジウム(II)、シアン化パラジウム(II)などの有機酸塩;ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)などの有機錯体;フッ化パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、ヨウ化パラジウム(II)などのハロゲン化物;硝酸パラジウム(II)、硫酸パラジウム(II)などの酸素酸塩;酸化パラジウム(II);硫化パラジウム(II);セレン化パラジウム(II);水酸化パラジウム(II);テトラアンミンパラジウム(II)塩化物などの無機錯体などの2価のパラジウム化合物などが例示できる。これらのパラジウム化合物は、そのまま用いてもよく、活性炭などの担体に担持した形態で用いてもよい。
【0011】
活性炭としては、植物系、鉱物系、ポリマー系の何れの原料から得られた活性炭であってもよい。
【0012】
活性炭は、一般に、炭化、整粒した原料を、水蒸気、空気(酸素)及び燃焼ガス(CO2)によって賦活するガス賦活法、又は、原料に塩化亜鉛水溶液などを含浸させて焼成する薬品賦活法等により製造される。本発明における活性炭は、前記何れの方法によって製造されたものであってもよい。活性炭の形状は、特に限定されず、粉末状、粒状、繊維状、ペレット状、ハニカム状等の何れの形状であってもよい。
【0013】
活性炭の平均細孔径は、触媒活性が損なわれない範囲であればよく、例えば5〜150オングストローム、好ましくは8〜60オングストローム程度である。なお、平均細孔径30〜60オングストローム程度の活性炭を用いると、優れた活性が得られる場合が多い。平均細孔径が小さすぎると、触媒活性が低下しやすく、逆に大きすぎると、触媒寿命が低下しやすい。
【0014】
活性炭の細孔容積(細孔径200オングストローム未満のポアの細孔容積)は、通常0.2〜2.5ml/g程度であるが、触媒活性の点から、好ましくは0.7〜2.5ml/g、さらに好ましくは0.8〜2.0ml/g(例えば、0.8〜1.5ml/g)程度である。
【0015】
活性炭の比表面積は、通常500〜4000m2/g程度であるが、好ましくは700〜4000m2/g程度であり、特に比表面積が800〜4000m2/g(例えば、900〜3000m2/g)程度の活性炭を用いると、より高い触媒活性が得られる。
【0016】
パラジウム化合物の担持量は、活性炭に対して、通常0.5〜80重量%、好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは2〜20重量%程度である。
【0017】
パラジウム化合物の担持は慣用の方法、例えば、含浸法、コーティング法、噴霧法、吸着法、沈殿法などにより行うことができる。還元の方法は、水素を用いるなど慣用の方法により行うことができる。なお、触媒成分、例えばパラジウム化合物を担持した後、反応器の種類や反応形式等に応じて、触媒を適当な形状、例えば、球状、円柱状、多角柱状、ハニカム状などに成形することもできる。
【0018】
パラジウム化合物(A)としては、2価のパラジウム化合物が好ましい。具体的には、例えば、酢酸パラジウム(II)などの有機酸塩又は有機錯体、塩化パラジウム(II)などのハロゲン化物、硫酸パラジウム(II)等の酸素酸塩などが含まれる。特に、酢酸パラジウム(II)などが好ましく用いられる。
パラジウム化合物(A)は、単独で又は2以上を混合して使用することができる。
【0019】
[ヘテロポリ酸又はその塩(B)]
ヘテロポリ酸とは、種類の異なる2種以上の中心イオンを含む酸素酸の縮合物であり、異核縮合酸ともいう。ヘテロポリ酸は、例えば、P、As、Sn、Si、Ti、Zrなどの元素の酸素酸イオン(例えば、リン酸、ケイ酸など)と、V、Mo、Wなどの元素の酸素酸イオン(例えば、バナジン酸、モリブデン酸、タングステン酸など)とで構成されており、その組み合わせにより種々のヘテロポリ酸が可能である。
【0020】
ヘテロポリ酸を構成する酸素酸のヘテロ原子は特に限定されず、例えば、Cu、Be、B、Al、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Ce、Th、N、P、As、Sb、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、U、Se、Te、Mn、I、Fe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Ptなどが例示できる。好ましいヘテロポリ酸は、P、Si、V、Mo、Wの少なくとも一種の元素を含有しており、さらに好ましくはPと、V、Mo及びW(特に、V及びMo)から選択された少なくとも1つの元素とを含有している。特に好ましいヘテロポリ酸は、構成元素として少なくともPとVとを含んでいる。
【0021】
ヘテロポリ酸又はその塩を構成するヘテロポリ酸アニオンとして、下記組成式で表されるアニオンが例示できる。
XM12O40、XM10O34、XM12O42、XM11O39、XM10Om、XM9O32、XM6O24、X2M18O62、X2M18O56、X2M12O42、X2M17Om、XM6Om
式中、Xは、B、Si、P、C、Al、Nなどの元素を示す。Mは、Mo、W、V、Nb、Ta、Cr、Uなどの元素を示す。mは15〜80の整数を示す。好ましいXは、B、Si、Pなどの元素であり、好ましいMは、Mo、W、Vなどの元素である。なお、Mは、一種類の元素に制限されるものではなく、二種以上の元素であってもよい。
【0022】
mは、M及びXの価数に応じて15〜80程度の範囲から選択でき、通常、組成式「XM10Om」で表されるヘテロポリ酸アニオンでは25〜35程度、組成式「X2M17Om」で表されるヘテロポリ酸アニオンでは60〜80程度、組成式「XM6Om」で表されるヘテロポリ酸アニオンでは15〜25程度である。
【0023】
好ましいヘテロポリ酸アニオンの組成は、XM12O40で表すことができる。この組成式において、Xは、Si、Pなどの元素であり、Mは、Mo、W、Vなどの元素である。このような組成を有するヘテロポリ酸アニオンとして、例えば、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、リンバナドモリブデン酸のアニオンなどが例示できる。特に好ましいヘテロポリ酸アニオンは、リンモリブデン酸、リンバナドモリブデン酸、リンバナドタングステン酸のアニオンであり、なかでもリンバナドモリブデン酸アニオンが好ましい。
【0024】
ヘテロポリ酸は、遊離のヘテロポリ酸として十分に高い活性を示すが、ヘテロポリ酸のカチオンに相当する水素原子の少なくとも一部を他のカチオンで置換して、ヘテロポリ酸の塩として使用することもできる。ヘテロポリ酸の塩とすることにより、例えば不溶化し、安定性や耐熱性が向上して、触媒としてより有用性が増大する場合がある。前記置換可能なカチオンとしては、特に限定されず、例えば、アンモニウム(NH4など)、アルカリ金属(Cs、Rb、K、Na、Liなど)、アルカリ土類金属(Ba、Sr、Ca、Mgなど)などが例示できる。特に、ヘテロポリ酸の水素原子の一部をNH4で置換し、カチオンをHとNH4との双方で構成した場合には、触媒活性や安定性がより向上する。この場合、Hに対するNH4の割合は、NH4/H(モル比)=0.1〜10、好ましくは0.2〜8、さらに好ましくは0.3〜5程度である。
【0025】
ヘテロポリ酸及びその塩は、単独で用いてもよいが、2種以上を併用することもできる。ヘテロポリ酸又はその塩は、慣用の方法により調製できる。
【0026】
前記ヘテロポリ酸又はその塩のなかでも、下記式で表されるリンバナドモリブデン酸又はその塩が好適に用いられる。
A3+n[PVnMo12-nO40]
(式中、Aは、ヘテロポリ酸カチオンを表し、nは1〜10の整数である)
Aで表されるカチオンとしては、水素原子のほか、前記のカチオンが例示できる。nの値は、酸化力、安定性を考慮して適宜選択することができ、好ましくは4〜10(例えば、4〜8)、より好ましくは5〜8程度である。ヘテロポリ酸カチオンをHと他のカチオン(例えばNH4など)とで構成する場合、nの値は4〜10程度である場合が多い。
【0027】
ヘテロポリ酸又はその塩としては、完全プロトン型のものが好ましく用いられる。好ましいヘテロポリ酸はHn+3PMo12-nVnO40(式中、nは1〜4の整数である)で表されるリンバナドモリブデン酸などである。具体的には、H4PMo11VO40、H5PMo10V2O40、H6PMo9V3O40、H7PMo8V4O40等が挙げられる。
【0028】
また、好ましいヘテロポリ酸又はその塩には、N、P、Mo及びVの平均原子比が、N/P/Mo/V=1〜12/1/2〜8/4〜10であるリンバナドモリブデン酸又はそのアンモニウム塩の混合物が含まれる。前記平均原子比は、好ましくは、N/P/Mo/V=2〜10/1/2.5〜7/5〜9.5であり、さらに好ましくは、N/P/Mo/V=3〜8/1/3〜5/6〜9である。このようなヘテロポリ酸又はその塩は、例えば、メタバナジン酸ナトリウムなどのメタバナジン酸塩と、モリブデン酸ナトリウムなどのモリブデン酸塩と、リン酸とを反応させ、次いで塩化アンモニウムなどのアンモニウム塩を加えることにより調製できる。N、P、Mo及びVの平均原子比は、例えば、前記メタバナジン酸塩、モリブデン酸塩、リン酸及びアンモニウム塩の使用量を調整することによりコントロールできる。
【0029】
なお、ヘテロポリ酸又はその塩は、無水物であっても、結晶水含有物であってもよく、活性炭等の担体に担持した形態で用いてもよい。また、ヘテロポリ酸が担持される活性炭は、前記パラジウム化合物が担持されている活性炭であってもよく、別の活性炭であってもよい。
【0030】
[他の触媒成分]
本発明における酸化触媒は、前記パラジウム化合物(A)及びヘテロポリ酸又はその塩(B)に加えて、他の触媒成分などの添加物(以下、単に「触媒成分」と称することがある)を含んでいてもよい。このような触媒成分として、例えば、ハロゲン化物イオンを含むイオン性化合物(C)、ジオキシベンゼン類又はその酸化体(D)及び強酸(E)などが挙げられる。これらの触媒成分を併用すると、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物の種類により、酸化反応が促進される場合がある。
【0031】
前記ハロゲン化物イオンを含むイオン性化合物(C)は、反応系にハロゲン化物イオンを放出し、パラジウムの触媒活性を向上させる作用をするものと推察される。ハロゲン化物イオンを含むイオン性化合物(C)には、ハロゲン化物イオンを放出できるものであればよい。ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなどが挙げられる。なかでも、フッ化物イオン、塩化物イオンが好ましく、特に塩化物イオンが好ましく用いられる。
【0032】
ハロゲン化物イオンを含むイオン性化合物(C)としては、具体的には、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属のハロゲン化物;マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属のハロゲン化物;アルミニウム、リン、クロム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、ジルコニウム、パラジウム、銀、スズ、セリウムなどの遷移金属のハロゲン化物;ハロゲン化アンモニウム等の無機塩類などが挙げられる。なかでも、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等が好ましく用いられる。
ハロゲン化物イオンを含むイオン性化合物(C)は、単独で又は2以上を混合して使用できる。
【0033】
ジオキシベンゼン類又はその酸化体(D)は、酸化サイクルにおいてレドックス剤として作用するものと推測される。ジオキシベンゼン類(D)には、置換基を有していてもよいジオキシベンゼン、及びジオキシベンゼン/ベンゾキノン−レドックス系における上記ジオキシベンゼンの等価体が含まれる。なお、ジオキシベンゼンには、2つのヒドロキシル基が1つのベンゼン環に結合した化合物のほか、2つのヒドロキシル基が異なるベンゼン環に結合したジオキシポリフェニル化合物も含まれる。前記ジオキシベンゼンとして、例えば、ヒドロキノン(p−ジオキシベンゼン)、カテコール(o−ジオキシベンゼン)、ジオキシビフェニルなどが挙げられる。
【0034】
ジオキシベンゼンが有していてもよい置換基としては、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチルなどのアルキル基(好ましくは、炭素数1〜4程度のアルキル基);トリフルオロメチルなどのハロアルキル基(好ましくは、炭素数1〜4程度のハロアルキル基);ヒドロキシル基;メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜4程度のアルコキシ基);フェノキシなどのアリールオキシ基;メルカプト基;メチルチオ、エチルチオなどのアルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜4程度のアルキルチオ基);フェニルチオなどのアリールチオ基;アセチル、ベンゾイルなどのアシル基(好ましくは、炭素数1〜10程度のアシル基);カルボキシル基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、フェニルオキシカルボニルなどの置換オキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜11程度の置換オキシカルボニル基);置換又は無置換アミノ基;フェニル、ナフチルなどのアリール基などが挙げられる。又、置換基を有するジオキシベンゼンには、ジオキシベンゼンのベンゼン環に、ベンゼン環などの炭素環又は複素環が縮合した縮合環化合物も含まれる。
【0035】
ジオキシベンゼン/ベンゾキノン−レドックス系におけるジオキシベンゼンの等価体とは、酸化反応条件下においてベンゾキノンに変換可能なジオキシベンゼンの類縁体を意味する。このようなジオキキベンゼン類縁体として、ヒドロキノンモノメチルエーテルなどのジオキシベンゼンモノアルキルエーテル;ヒドロキノンジメチルエーテルなどのジオキシベンゼンジアルキルエーテル;アミノフェノール;ジアミノベンゼンなどが挙げられる。これらの化合物も前記置換基を有していてもよい。これらのジオキシベンゼン類縁体は、通常酸性条件下での酸化によりベンゾキノンに変換される。
【0036】
好ましいジオキシベンゼン類(D)には、ヒドロキノン、クロロヒドロキノンなどの、置換基(例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基など)を有していてもよいヒドロキノンなどが含まれる。
【0037】
前記ジオキシベンゼン類の酸化体とは、酸化反応条件下においてジオキシベンゼン/ベンゾキノン−レドックス系を構成する前記ジオキシベンゼン類に対応する酸化体を意味する。例えば、該酸化体として、p−ベンゾキノン(ヒドロキノンに対応)、o−ベンゾキノン(カテコールに対応)、クロロベンゾキノン(クロロヒドロキノンに対応)などが挙げられる。ジオキシベンゼン類又はその酸化体(D)は、単独で又は2以上を混合して使用できる。
【0038】
前記強酸(ヘテロポリ酸を除く)(E)は、ヘテロポリ酸の作用を強化させたり、アルケン等を活性化する働きをするものと推察される。
【0039】
強酸(E)のpKa(25℃)は、例えば4以下、好ましくは−15〜2,さらに好ましくは−10〜0程度の範囲であり、このような強酸(E)には、無機酸及び有機酸が含まれる。無機酸としては、例えば、硫酸、硝酸、ハロゲン化水素(フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、及び対応するハロゲン化水素酸)、リン酸、超強酸(ClSO3H,H2SO4−SO3,HF−SbF5など)などが挙げられる。有機酸としては、ハロアルカン酸(例えば、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸など);アルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸など)、ハロアルキルスルホン酸(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸など)、アリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸など)などのスルホン酸などが挙げられる。強酸(E)として陽イオン交換樹脂(例えば、スルホン酸型イオン交換樹脂などの強酸性イオン交換樹脂など)を用いることもできる。
【0040】
好ましい強酸(E)には、例えば、硫酸、硝酸、ハロゲン化水素(ハロゲン化水素酸を含む)、リン酸などの無機酸;アルキルスルホン酸、ハロアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸などのスルホン酸;トリクロロ酢酸などのハロアルカン酸などが挙げられる。前記強酸(E)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
[炭素−炭素不飽和結合を有する化合物]
本発明における製造方法では、前記酸化触媒の存在下、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物と一酸化炭素とを反応させる。
【0042】
炭素−炭素不飽和結合を有する化合物には、非芳香族性の炭素−炭素二重結合及び/又は三重結合を含む化合物が含まれる。非芳香族性の炭素−炭素二重結合及び/又は三重結合を含む化合物としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、複素環化合物などが挙げられる。これらの化合物は、複数の二重結合及び/又は三重結合を有していてもよい。
【0043】
脂肪族炭化水素としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、ブタジエン、1−ペンテン、2−ペンテン、イソプレン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1,5−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−2−ブテン、3−ヘキセン、1−へプテン、2−へプテン、1,6−ヘプタジエン、1−オクテン、2−オクテン、3−オクテン、1,7−オクタジエン、2,6−オクタジエン、2−メチル−2−ブテン、1−ノネン、2−ノネン、デカエン、デカジエン、ドデカエン、ドデカジエン、ドデカトリエン、ウンデカエン、ウンデカジエン、ウンデカトリエン、アセチレン、プロピレン、1−ブチンなどの炭素数2〜30程度(好ましくは、炭素数2〜12程度)の直鎖状又は分岐鎖状のアルケン又はアルキンが挙げられる。
【0044】
脂環式炭化水素としては、例えば、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、1−メチル−1−シクロヘキセン、シクロへプテン、シクロオクテン、シクロノネン、シクロデカエン、シクロドデカエンなどのC3-30シクロアルケン;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン、シクロデカジエン、シクロドデカジエンなどのC5-30シクロアルカジエン;シクロアルカトリエン;シクロアルカテトラエン;ジヒドロナフタレン、インデン、フェナレンなどの5〜8員の非芳香族性環と芳香族性環とが縮合した縮合多環式炭化水素などが挙げられる。
【0045】
複素環化合物の具体例としては、3,6−ジヒドロ−2H−ピラン、1,2,5,6−テトラヒドロピリジンなどが挙げられる。
【0046】
これらの炭素−炭素不飽和結合を有する化合物は、種々の置換基、例えば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基など)、置換チオ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基など)、アラルキル基、複素環基などを有していてもよい。例えば、置換基としてアリール基を有する化合物の具体例としては、例えば、エレミシン、オイゲノール、カドベトール、アピオール、サフロール、α−メチルスチレン、フェニルアセチレンなどが挙げられる。
【0047】
好ましい炭素−炭素不飽和結合を有する化合物には、例えば、シクロアルケンなどが含まれ、特にシクロペンテンが好ましく用いられる。
【0048】
[一酸化炭素]
炭素−炭素不飽和結合を有する化合物との反応に供する一酸化炭素は、特に制限されず、純粋な一酸化炭素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスで希釈した一酸化炭素を使用してもよい。また、反応系中において発生した一酸化炭素を用いてもよい。
【0049】
一酸化炭素の使用量は、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物の種類などに応じて選択でき、通常、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物1モルに対して、0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは1〜50モル程度である。
【0050】
[分子状酸素又はラジカル開始剤]
一酸化炭素は、分子状酸素又はラジカル開始剤共存下で使用される。分子状酸素としては純粋な酸素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスで希釈した酸素や空気を使用してもよい。ラジカル開始剤として、例えば、ハロゲン(塩素、臭素など)、過酸(過酢酸、m−クロロ過安息香酸、過マンガン酸など)、過酸の塩(前記過酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、遷移金属塩など)、過酸化物(過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)等のヒドロペルオキシド、ペルオキソ酸(例えば、ペルオキソタングステン酸、ペルオキソモリブデン酸、ペルオキソバナジウム酸など)、ペルオキソ酸の塩(前記ペルオキソ酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、遷移金属塩など)等が挙げられる。上記の成分を系内に存在させると、誘導期が短縮されたり反応が促進される場合がある。
【0051】
分子状酸素又はラジカル開始剤の使用量は、通常、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物1モルに対して、0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは1〜50モル程度である。炭素−炭素不飽和結合を有する化合物に対して過剰モル用いる場合が多い。分子状酸素又はラジカル開始剤は、一酸化炭素1モルに対して、0.01〜1モル、好ましくは0.02〜0.5モル、より好ましくは0.04〜0.25モル程度使用される。
【0052】
[ヒドロキシル基含有化合物又は水]
反応は通常、ヒドロキシル基含有化合物又は水の存在下で行われる。ヒドロキシル基含有化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;フェノール類などが挙げられる。ヒドロキシル基含有化合物存在下の反応では、対応するカルボン酸エステルが生成し、水存在下の反応では、カルボン酸が生成する。
【0053】
[反応]
パラジウム化合物(A)の使用量は、例えば、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物1モルに対して、0.001〜1モル、好ましくは0.01〜0.5モル、さらに好ましくは0.02〜0.2モル程度である。ヘテロポリ酸又はその塩(B)の使用量は、例えば、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物1モルに対して、0.0001〜1モル、好ましくは0.001〜0.1モル、さらに好ましくは0.002〜0.05モル程度である。ハロゲン化物イオンを含むイオン性化合物(C)を用いる場合、その使用量は、例えば、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物1モルに対して、0.005〜1モル、好ましくは0.01〜0.5モル、さらに好ましくは0.05モル〜0.3モル程度である。ジオキシベンゼン類(D)を用いる場合、その使用量は、例えば、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物1モルに対して、0.001〜1モル、好ましくは0.005〜0.6モル、さらに好ましくは0.01〜0.4モル程度である。強酸(E)を使用する場合、その使用量は、例えば、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物1モルに対して、0.001〜1モル、好ましくは0.01〜0.5モル、さらに好ましくは0.05〜0.3モル程度である。
【0054】
反応は、溶媒の存在下または非存在下の何れで行ってもよい。溶媒は、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物及び目的生成物の種類等により適当に選択できる。前記溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1、2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;酢酸、プロピオン酸、酪酸などのカルボン酸;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどのエステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの鎖状または環状エーテル;これらの混合物などが挙げられる。上記ヒドロキシル基含有化合物や水を反応溶媒として用いることもできる。
【0055】
反応温度は、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物や反応の種類等に応じ、反応速度及び反応選択性を考慮して適宜選択できるが、例えば、0〜200℃、好ましくは10〜100℃程度である。反応圧力は、下記に示す反応選択性を考慮して適宜選択できるが、例えば、0.1〜20、好ましくは0.5〜10MPa、より好ましくは1〜5MPaである。反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式などの何れの方法で行ってもよい。
【0056】
上記の方法において、炭素−炭素二重結合を有する化合物を基質として反応を行うと、(a)該炭素−炭素二重結合を構成する炭素原子にカルボキシル基又はカルボン酸エステル基が結合した飽和又は不飽和(α,β−不飽和又は、β,γ−不飽和)モノカルボン酸又はそのエステル及び/又は、(b)該炭素−炭素二重結合を構成する2つの炭素原子のうち少なくとも1つの炭素原子にカルボキシル基又はカルボン酸エステル基が結合した飽和1,2−若しくは1,3−ジカルボン酸又はそれらのエステルが生成する。
【0057】
また、上記の方法において、炭素−炭素三重結合を有する化合物を基質として反応を行うと、(c)該炭素−炭素三重結合を構成する炭素原子にカルボキシル基又はカルボン酸エステル基が結合した二重結合性又は三重結合性不飽和(α,β−不飽和又はβ,γ−不飽和)モノカルボン酸又はそのエステル及び/又は、(d)該炭素−炭素三重結合を構成する2つの炭素原子のうち少なくとも1つの炭素原子にカルボキシル基又はカルボン酸エステル基が結合した二重結合性不飽和1,2−若しくは1,3−ジカルボン酸又はそれらのエステルが生成する。
【0058】
より具体的には、例えば、下記式(1)
【化1】
(式中、nは1以上の整数を示す)
で表されるシクロアルケン(例えば、5〜20員シクロアルケン)からは、下記式(2)で表される1−シクロアルケン−1−カルボン酸又はそのエステル、式(3)で表される2−シクロアルケン−1−カルボン酸又はそのエステル、式(4)で表されるシクロアルカンカルボン酸又はそのエステル、式(5)で表されるシクロアルカン−1,2−ジカルボン酸又はそのエステル、及び式(6)で表されるシクロアルカン−1,3−ジカルボン酸又はそのエステルが生成しうる。
【化2】
(式中、nは前記に同じ)
【0059】
これらの化合物の生成比はCO/O2比、反応温度、圧力、溶媒及びハロゲン化物イオンを含むイオン性化合物の存在などに依存する。
【0060】
例えば、圧力については、非加圧下で一酸化炭素を基質と反応させると、モノカルボン酸又はそのエステルが主に生成される。このとき、ハロゲン化物イオンを含むイオン性化合物が共存している場合は、前記式(2)の化合物又はそのエステルを、非共存下では前記式(3),(4)の化合物又はそのエステルを主生成物として得ることができる。加圧下では、ジカルボン酸又はそのエステルが主に生成される。特に、一酸化炭素の圧力が低い条件で反応を行うと、前記式(6)の化合物を、一酸化炭素の圧力が高い条件では前記式(5)の化合物を各々優先的に生成する。また、他の例として、反応温度の高い条件で反応を行った場合には、前記式(6)の化合物又はそのエステルが式(5)の化合物又はそのエステルと比べて優先的に生成する。
【0061】
反応による生成物は、慣用の分離手段、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段により、又はこれらを組み合わせることにより容易に分離精製できる。
【0062】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、パラジウム化合物とヘテロポリ酸又はその塩とを組合せて酸化触媒とし、一酸化炭素を用いて炭素−炭素不飽和結合を有する化合物にカルボキシル基を導入するため、対応するカルボン酸又はそのエステルを高い転化率及び収率で効率よく生成させることができる。そのため、工業的なカルボン酸又はそのエステルの製造方法として極めて有用である。
【0063】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。実施例13は、本発明の範囲に含まれないが、参考として記載する。なお、生成物の収率はガスクロマトグラフィーにより求めた。
【0064】
調製例1
NaVO3(7.32g、60ミリモル)の水溶液(水:38ml)に、Na2MoO4・2H2O(8.22g、34ミリモル)の水溶液(水:12ml)を加えた。得られた水溶液に、85%リン酸(7.6g、66ミリモル)を水(10ml)に溶解した溶液を加え、95℃で1時間攪拌した。混合溶液を0℃まで冷却した後、飽和塩化アンモニウム水溶液150mlを加え、褐色の沈殿物を得た。この沈殿物を濾別し、水で再結晶した。結晶を分析したところ、NとPとMoとVの平均原子比は、N/P/Mo/V=5.0/1.0/4.0/7.8であり、プロトンの一部がアンモニウムカチオンで置換されたリンバナドモリブデン酸塩の混合物(以下、NPMoVと略記する)であることがわかった。
【0065】
実施例1
シクロペンテン2mmol、Pd(OAc)20.134mmol、調製例1で調製したNPMoV35mg、NaCl0.1mmol、メタンスルホン酸0.2mmol及びメタノール10mlをガラス製フラスコに入れ、一酸化炭素/酸素混合ガス(2MPa/0.1MPa)雰囲気下、温度40℃で8時間攪拌したところ、1,2−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率29%、1,3−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率13%で得られた。
シクロペンテンの転化率は71%であった。
【0066】
実施例2
実施例1において、温度60℃、2時間の条件で、NaClの代わりにNH4Cl0.1mmolを用いた以外は、実施例1と同様にして反応を行ったところ、1,2−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率30%、1,3−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率17%で得られた。シクロペンテンの転化率は88%であった。
【0067】
比較例1
実施例2において、NPMoVを用いなかった点以外は同様にして反応を行ったところ、シクロペンテンの転化率は60%であった。1,2−及び1,3−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンは共に生成していなかった。
【0068】
実施例3
シクロペンテン2mmol、Pd(OAc)20.134mmol、H4PMo11VO40、46mg、NaCl0.1mmol及びメタノール10mlをガラス製フラスコに入れ、一酸化炭素/酸素混合ガス(2MPa/0.1MPa)雰囲気下、温度60℃で2時間攪拌したところ、1,2−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率9%、1,3−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率3%で得られた。シクロペンテンの転化率は61%であった。
【0069】
実施例4
実施例3において、H4PMo11VO40の代わりにH5PMo10V2O4046mgを用いた以外は、実施例3と同様にして反応を行ったところ、1,2−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率15%、1,3−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率6%で得られた。シクロペンテンの転化率は75%であった。
【0070】
実施例5
実施例3において、H4PMo11VO40の代わりにH6PMo9V3O4045mgを用いた以外は、実施例3と同様にして反応を行ったところ、1,2−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率24%、1,3−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率12%で得られた。シクロペンテンの転化率は87%であった。
【0071】
実施例6
実施例3において、H4PMo11VO40の代わりにH7PMo8V4O4043mgを用いた以外は、実施例3と同様にして反応を行ったところ、1,2−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率23%、1,3−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率11%で得られた。シクロペンテンの転化率は85%であった。
【0072】
実施例7
実施例2において、温度80℃、8時間の条件を用いた以外は、実施例2と同様にして反応を行ったところ、1,2−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率32%、1,3−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率22%で得られた。シクロペンテンの転化率は85%であった。
【0073】
実施例8
実施例7において、一酸化炭素/酸素混合ガス(2MPa/0.1MPa)の代わりに一酸化炭素/酸素混合ガス(0.5MPa/0.1MPa)を用いた以外は、実施例7と同様にして反応を行ったところ、1,2−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率14%、1,3−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率30%で得られた。シクロペンテンの転化率は93%であった。
【0074】
実施例9
実施例7において、温度80℃、1時間の条件で、一酸化炭素/酸素混合ガス(2MPa/0.1MPa)の代わりに一酸化炭素/酸素混合ガス(1MPa/0.1MPa)を用いた以外は、実施例7と同様にして反応を行ったところ、1,2−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率27%、1,3−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率27%で得られた。シクロペンテンの転化率は96%であった。
【0075】
実施例10
実施例7において、温度50℃、8時間の条件で、一酸化炭素/酸素混合ガス(2MPa/0.1MPa)の代わりに一酸化炭素/酸素混合ガス(0.05MPa/0.05MPa)を用いた以外は、実施例7と同様にして反応を行ったところ、シクロペンタノンが収率24%、1−メトキシカルボニルシクロペンタンが収率3%、1−メトキシカルボニルシクロペンテンが収率21%で得られた。1,3−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタン及び5−メトキシカルボニルシクロペンテンは生成しなかった。シクロペンテンの転化率は100%であった。
【0076】
実施例11
実施例10において、温度50℃、4時間の条件を用いた以外は、実施例10と同様にして反応を行ったところ、シクロペンタノンが収率26%、1−メトキシカルボニルシクロペンタンが収率3%、1−メトキシカルボニルシクロペンテンが収率24%で得られた。1,3−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタン及び5−メトキシカルボニルシクロペンテンは生成しなかった。シクロペンテンの転化率は100%であった。
【0077】
実施例12
実施例10において、温度50℃、15時間の条件で、一酸化炭素/酸素混合ガス(0.05MPa/0.05MPa)の代わりに一酸化炭素/酸素混合ガス(0.066MPa/0.033MPa)を用いた以外は、実施例10と同様にして反応を行ったところ、1,3−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率10%、5−メトキシカルボニルシクロペンテンが収率10%、1−メトキシカルボニルシクロペンタンが収率12%、1−メトキシカルボニルシクロペンテンが収率10%で得られた。シクロペンタノンは生成しなかった。シクロペンテンの転化率は100%であった。
【0078】
実施例13
実施例11において、NH4Clを用いなかった点以外は同様にして反応を行ったところ、1,3−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率16%、5−メトキシカルボニルシクロペンテンが収率15%、1−メトキシカルボニルシクロペンタンが収率11%で得られた。シクロペンタノン及び1−メトキシカルボニルシクロペンテンは生成しなかった。シクロペンテンの転化率は82%であった。
【0079】
実施例14
実施例7において、温度80℃、2時間の条件で、メタノールの代わりにエタノールを用いた以外は、実施例7と同様にして反応を行ったところ、1,2−ビス(エトキシカルボニル)シクロペンタンが収率9%、1,3−ビス(エトキシカルボニル)シクロペンタンが収率7%で得られた。シクロペンテンの転化率は83%であった。
【0080】
実施例15
実施例7において、温度60℃、2時間の条件で、シクロペンテンの代わりにシクロヘプテンを用いた以外は、実施例7と同様にして反応を行ったところ、1,2−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率8%、1,3−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタンが収率2%で得られた。シクロペンテンの転化率は47%であった。
Claims (1)
- (A)パラジウム化合物、及び
(B1)下記式
A 3+n [PV n Mo 12-n O 40 ]
(式中、Aは水素原子、NH 4 、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選択された少なくとも1種を示し、nは1〜10の整数である)
で表されるリンバナドモリブデン酸若しくはその塩、又は
(B2)N、P、Mo及びVの平均原子比N/P/Mo/V=1〜12/1/2〜8/4〜10のリンバナドモリブデン酸若しくはそのアンモニウム塩の混合物、
とで構成された酸化触媒、並びに
(C)塩化ナトリウム又は塩化アンモニウムの存在下、
下記式(1)
で表されるシクロアルケンと一酸化炭素とを、分子状酸素又はラジカル開始剤の共存下で反応させて、
下記式(2)で表される1−シクロアルケン−1−カルボン酸又はそのエステル、式(3)で表される2−シクロアルケン−1−カルボン酸又はそのエステル、式(4)で表されるシクロアルカンカルボン酸又はそのエステル、式(5)で表されるシクロアルカン−1,2−ジカルボン酸又はそのエステル、及び式(6)で表されるシクロアルカン−1,3−ジカルボン酸又はそのエステル、から選択されたカルボン酸又はそのエステルを得ることを特徴とするカルボン酸又はそのエステルの製造方法。
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