JP2002253171A - γ−グルタミル化によるアミノ酸の呈味性(嗜好性)改善方法 - Google Patents

γ−グルタミル化によるアミノ酸の呈味性(嗜好性)改善方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】アミノ酸、特に、フェニルアラニン(Ph
e)、メチオニン(Met)、ヒスチジン(His)、
ロイシン(Leu)、又はバリン(Val)の苦味を低
減させ、酸味を増加させ、それらの呈味性(嗜好性)を
改善すること、並びに、γ−グルタミルアミノ酸を効率
的に製造すること。 【解決手段】フェニルアラニン、メチオニン、ヒスチジ
ン、ロイシン、及びバリンから成る群から選択された少
なくとも一つのアミノ酸をγ−グルタミル化することか
ら成る、該アミノ酸の苦味低減、酸味増加、及び/又は
呈味性(嗜好性)改善方法、該γ−グルタミルアミノ酸
を有効成分として含有する栄養剤及び食品、並びに、γ
−グルタミルトランスペプチターゼ(γGTP)酵素を
使用するγ−グルタミルアミノ酸の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アミノ酸、特に、
フェニルアラニン(Phe)、メチオニン(Met)、
ヒスチジン(His)、ロイシン(Leu)、又はバリ
ン(Val)のγ−グルタミル化による、該アミノ酸の
苦味低減化、酸味増加、及び/又は呈味性(嗜好性)改
善、並びに、γ−グルタミルアミノ酸の製造方法に関す
る。尚、本明細書中における「アミノ酸」とは、γ−グ
ルタミル化されていないアミノ酸を意味する。
【0002】
【従来の技術】従来から、アミノ酸は栄養成分等とし
て、栄養ドリンク等の健康・栄養食品に添加されてい
る。しかしながら、アミノ酸の中には、苦味等を有する
ことにより、それらの呈味性(嗜好性)が問題となるこ
とがあった。
【0003】一方、γ−グルタミルアミノ酸はグルタミ
ン分子中のγ位カルボキシル基が他種アミノ酸分子中の
アミノ基とペプチド結合した物質の総称である。各種動
物組織、微生物及び植物界に広く分布しているγ−グル
タミルトランスペプチターゼ(γGTP)(γ−グルタ
ミルトランスフェラーゼ(GGT))の作用により、ア
ミノ酸にグルタチオンが反応して、グルタチン分子中の
γ−グルタミル基が受容体となりアミノ酸に転移されて
対応するγ−グルタミルアミノ酸が生成される。又、広
範囲の動物組織や臓器中に見出されるγ−グルタミルシ
クロトランスフェラーゼの作用によって、L−ピログル
タミン酸とL−アミノ酸に容易に変換される。又、特開
昭57−132896号公報には、γ−グルタミルシス
テインシンターゼを用いて、特定のアミノ酸を用いてγ
−グルタミルアミノ酸を製造する方法が開示されてお
り、それらのγ−グルタミルアミノ酸の多くが抗酸化剤
として食品に添加され得る旨の記載がある。しかしなが
ら、該公報には、γ−グルタミルアミノ酸の味覚に関し
ては何等開示されていない。又、メチオニン、ロイシ
ン、又はバリンを使用したγ−グルタミル化によるγ−
グルタミルアミノ酸の製造についても記載されていな
い。
【0004】γ−グルタミルアミノ酸の製造については
これまでに幾つかの方法が報告されている。例えば、ア
ルカリゲネス、エルビニア、コリネバクテリウムを用い
て他のγ−グルタミルアミノ酸からGlu残基を転移させ
る方法(特公昭56−5519)、セラチア、エルビニ
ア、コリネバクテリウムを用いてグルタミン酸とアミノ
酸から生成させる方法(特公昭56−5520)、及び
γ−グルタミルシステインシンターゼを用いてグルタミ
ン酸又はαケトグルタール酸とアミノ酸から製造する方
法(特公平1−41315)を挙げることが出来る。
又、グルタミル基ドナーとしてグルタミンを用いてγ−
グルタミルアミノ酸を製造する方法(J. Bacteriol. Vo
l. 168, p.1325-1331 (1986)、特開平8−89266)
が知られている。このグルタミル基ドナーとしてグルタ
ミンを用いる方法は工業的には有用であるが、γ−グル
タミルアミノ酸の生成量が低いという問題点があった。
【0005】一方、J. Bacteriol. Vol. 160, p.341-34
6 (1984)にはP.mirabilis のGGT酵素の精製につい
て、又、J. Bacteriol. Vol. 168, p.1325-1331 (1986)
には大腸菌のGGT酵素の精製について、夫々記載され
ている。又、BBRC, Vol.150, p.33-38 (1988) には遺伝
子クローニングによるGGT活性増強とその酵素精製に
ついて記載されている。更に、特開平3−232486
には、B.subtilis のGGT遺伝子の増幅について記載
されている。しかしながら、いずれの文献にも、GGT
又は組換えGGTを用いたγ−グルタミルアミノ酸の製
造方法については何等開示されていない。又、これらの
文献には、γ−グルタミルアミノ酸の味覚に関しても何
等開示されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
課題を解決すべく、アミノ酸、特に、フェニルアラニ
ン、メチオニン、ヒスチジン、ロイシン、又はバリンの
苦味を低減し、それらの呈味性(嗜好性)を改善するこ
とにある。更に本発明の目的は、新規なγ−グルタミル
アミノ酸の製造方法を提供することである。
【0007】本発明者は、鋭意研究の結果、フェニルア
ラニン、メチオニン、ヒスチジン、ロイシン、又はバリ
ンをγ−グルタミル化することにより、それらのアミノ
酸が有する苦味が有意に低減し、酸味が有意に増加し、
及び/又は呈味性(嗜好性)が有意に改善されることを
見出し、本発明を完成させた。更に、γGTP酵素反応
により、γ−グルタミルアミノ酸が効率的に製造される
ことを見出した。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、フェニ
ルアラニン、メチオニン、ヒスチジン、ロイシン、及び
バリンから成る群から選択された少なくとも一つのアミ
ノ酸をγ−グルタミル化することから成る、該アミノ酸
の苦味低減、酸味増加、及び/又は呈味性(嗜好性)改
善方法に係る。
【0009】更に、本発明は、フェニルアラニン、メチ
オニン、ヒスチジン、ロイシン、及びバリンから成る群
から選択された少なくとも一つのアミノ酸を含む食品に
おいて、該少なくとも一つのアミノ酸の少なくとも一部
を、夫々のアミノ酸に対応するγ−グルタミルアミノ
酸、即ち、γ−グルタミルフェニルアラニン、γ−グル
タミルメチオニン、γ−グルタミルヒスチジン、γ−グ
ルタミルロイシン、及びγ−グルタミルバリンに代える
ことによる、該食品の改質方法に係る。更に、フェニル
アラニン、メチオニン、ヒスチジン、ロイシン、及びバ
リンから成る群から選択された少なくとも一つのアミノ
酸の少なくとも一部に代えて、夫々のアミノ酸に対応す
るγ−グルタミルアミノ酸を使用することを特徴とす
る、食品の製造方法に係る。
【0010】更に、本発明は、上記方法で得られる食
品、即ち、フェニルアラニン、メチオニン、ヒスチジ
ン、ロイシン、及びバリンから成る群から選択された少
なくとも一つのアミノ酸を含む食品において、該少なく
とも一つのアミノ酸の少なくとも一部が、夫々のアミノ
酸に対応するγ−グルタミルアミノ酸で代えられている
ことを特徴とする該食品に係る。尚、食品にアミノ酸と
それに対応するγ−グルタミルアミノ酸の両者が含まれ
ている場合には、該アミノ酸の少なくとも一部が対応す
るγ−グルタミルアミノ酸で代えられているものと見な
され、従って、かかる食品は本発明方法によって改質又
は製造された、本発明の食品に含まれる。
【0011】又、本発明は、γ−グルタミルフェニルア
ラニン、γ−グルタミルメチオニン、γ−グルタミルヒ
スチジン、γ−グルタミルロイシン、及びγ−グルタミ
ルバリンから成る群から選択された少なくとも一つのγ
−グルタミルアミノ酸を有効成分として含有する栄養
剤、及び該栄養剤を含む食品に係る。
【0012】更に、本発明はグルタミル供与体としての
グルタミン、グルタミル受容体としてのアミノ酸、及び
γ−グルタミルトランスペプチターゼ(γGTP)酵素
を反応させることから成る、γ−グルタミルアミノ酸の
製造方法に係る。
【0013】該γ−グルタミルトランスペプチターゼ
(γGTP)酵素は、当該酵素の遺伝子によって形質転
換された大腸菌から調製されたものであることが好まし
い。
【0014】
【発明の実施の形態】γ−グルタミルアミノ酸自体は公
知物質であり、例えば、Bachem 社、Sigma社等から市販
されており入手可能である。又、各アミノ酸はL−体で
ある。
【0015】或いは、当業者であれば、前述の各文献に
記載された方法でγ−グルタミルアミノ酸を調製するこ
とが出来る。更に、以下の実施例で具体的に示すよう
に、本発明の製造方法によって、γ−グルタミルアミノ
酸を容易に生成することも出来る。γ−グルタミルトラ
ンスペプチターゼ(γGTP)酵素の由来は特に問わな
いが、例えば、大腸菌及びP.mirabilis 等の細菌を挙げ
ることが出来、更に、遺伝子組換えによって該酵素の遺
伝子が増強された大腸菌から調製された酵素も使用でき
る。又、使用する該酵素は精製されていることが好まし
い。尚、反応条件及び反応生成物の精製条件等は当業者
が適宜選択して決めることが出来る。
【0016】本明細書において、「苦味低減」、「酸味
増加」、及び「呈味性(嗜好性)改善」とは、以下に示
す味覚テストにおいて、アミノ酸と比較してそれに対応
するγ−グルタミルアミノ酸が有意な程度に、「苦味」
が低減し、「酸味」が増加し、及び「呈味性(嗜好
性)」が改善されていることを意味する。
【0017】味覚テスト 複数人(人数に特に制限はない。例えば、8人)から成
る被験者グループ(健常成人、男女問わず)によって、
まず予備試験を行い、各アミノ酸について苦味を感じる
最低濃度を求める。こうして決められた最低濃度及びそ
の他の所定の濃度においてアミノ酸とそれに対応するγ
−グルタミルアミノ酸につき、甘味、塩味、酸味、苦
味、旨味の5原味に加え、辛味、及び、呈味性(嗜好
性)の幾つかについて、味覚テストを行う。
【0018】呈味性(嗜好性)以外の各味覚テストにお
いて、各被験者は「感じない」、「かすかに感じる」、
「やや感じる」、「感じる」及び「とても感じる」から
成る5段階評価を行い、呈味性(嗜好性)の味覚テスト
においては、各被験者は「嫌な味」、「やや嫌な味」、
「どちらでもない」、「やや好きな味」及び「好きな
味」から成る5段階評価を行い、各味覚テストにおける
上記の評価の夫々に1,2,3,4及び5のスコアを付
与する。各アミノ酸とそれに対応するγ−グルタミルア
ミノ酸の夫々につき、これらスコアの合計点及び平均点
を計算する。
【0019】この味覚テストにおいて、「苦味」が有意
な程度に低減しているとは、例えば、上記スコアの平均
点が、1.0ポイント以上、好ましくは2.0ポイント以
上、低下するような場合を意味する。「酸味」が有意な
程度に増加しているとは、例えば、上記スコアの平均点
が、2.1ポイント以上、好ましくは3.0ポイント以
上、増加するような場合を意味する。更に、「呈味性
(嗜好性)」が有意な程度に改善されているとは、例え
ば、上記スコアの平均点が、0.5ポイント以上、好ま
しくは1.0ポイント以上、増加するような場合を意味
する。
【0020】本発明の食品の改質方法又は製造方法は、
例えば、食品製造の任意の段階及び/又は製造後に、ア
ミノ酸の少なくとも一部に代えて、対応するγ−グルタ
ミルアミノ酸を使用することで容易に実施できる。この
ことによって、その他の製造方法及び手段等を特に変更
する必要はない。この場合に、アミノ酸とそれに代わる
γ−グルタミルアミノ酸は等量である必要はなく、アミ
ノ酸に代えてより少ない又はより多い量のγ−グルタミ
ルアミノ酸を使用することが出来る。更に、食品に含ま
れるべき各アミノ酸の全てに代えて、夫々に対応するγ
−グルタミルアミノ酸を使用することも出来る。
【0021】又、本発明の栄養剤又は食品中の各γ−グ
ルタミルアミノ酸の含有量は、その用途(例えば、栄養
成分)・種類・形態、並びに、栄養剤又は食品の種類・
形態及びそれに含まれるその他の成分の種類等に応じて
当業者が適宜選択することが出来る。又、本発明のγ−
グルタミルアミノ酸を含有する栄養剤は、食品の製造過
程における当業者に公知の任意の段階・手段で添加する
ことが出来る。尚、該栄養剤にはγ−グルタミルアミノ
酸に加えて更にアミノ酸が含まれていても良い。 更
に、本発明の栄養剤又は食品は、例えば、ドリンク飲
料、固形バー、ガム、粉状組成物等の当該技術分野で公
知の任意の形状・形態をとることが可能である。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明の技術的範囲はこれらにより何等限定される
ものではない。
【0023】
【実施例1】味覚テスト 以下の味覚テストで使用したγ−グルタミルアミノ酸は
全て市販品(Bachem社製)である。又、平均スコアは小
数点以下第2位を四捨五入して求めた。
【0024】Pheとγ-Glu-Phe 予備実験の結果、15 mMでPheは苦味が感じられると判断
した。そこで、溶液A:15 mM Phe、溶液B:15 mM γ-Gl
u-Phe、溶液C:15 mM Phe +15 mM Glu の3種類の水溶
液を作成した。被験者の舌中央部にピペットマンでサン
プルを0.7 mLのせ、溶液1種類につき上記のような基準
で評価をしてもらった。純水、A、B及びCの順に行
い、純水の時のみにそれが純水であることを被験者に告
げた。スタート時と、溶液と溶液をなめる合間には、必
ずミネラルウォーターで口をゆすいでもらった。この溶
液をA、B及びCの順にテストした。被験者は8人であ
った。次に、Pheの濃度を15〜45 mM、γ-Glu-Pheの濃度
を15〜45 mMに変え、各味覚がどう変化するかをみた。
【0025】その結果、Pheは苦味を呈するが、これを
γ−グルタミル化したγ-Glu-Pheは、苦味が有意な程度
に低減し、且つ、レモンのような爽やかな酸味が有意な
程度に増加することが確認された。更に、γ−グルタミ
ル化したγ-Glu-Pheは、Pheに比べて、呈味性(嗜好
性)が有意な程度に改善されていることが判明した。以
上の結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【実施例2】Metとγ-Glu-Met Metの濃度を15〜45 mM、γ-Glu-Metの濃度を15〜45 mM
に変え、実施例1の味覚テストと同様にして、苦味、酸
味、嗜好性がどう変化するかを評価した。得られた結果
を以下の表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
【実施例3】その他のアミノ酸とγ-グルタミルアミノ
His (70 mM)、Leu (50 mM)、及びVal (50 mM)につい
て、それらのアミノ酸とγ−グルタミルアミノ酸との苦
味、酸味、嗜好性を実施例1の味覚テストと同様にして
評価した。得られた結果を以下の表3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
【実施例4】γ-Glu-Pheの製造 反応 Glnをγ-グルタミル基供与体及びPheを受容体として、
大腸菌K-12株のGGTを用いてγ-Glu-Pheを合成した。L-G
lnとL-Pheの混合水溶液を調製し、NaOH水溶液でpHを10.
4に調整した。GGTは遺伝子増強された大腸菌からBBRC 1
50(1), 33-38 (1988)の方法に従って調製した。L-Glnと
L-Pheの混合液にGGTと純水を加え、L-Gln、L-Phe、GGT
の濃度がそれぞれ200 mM, 200 mM, 0.5 U/mlとなるよう
にしたものを3 ml調製し、37℃の恒温槽で1時間半イン
キュベートし、等量の10%TCA水溶液を加えて反応を停
止した。
【0032】生成物の定量 生成物量の測定は以下のように行なった。反応液を1500
0 rpm, 5 min遠心して得た上澄み0.05 ml に0.5 Mのク
エン酸ナトリウム緩衝液(pH 2.2) 0.95 mlを加え、フ
ィルター濾過した。この溶液をShim-pack Amino-Naカ
ラム、蛍光ディテクターを装着した島津のHPLC(model L
C-9A)にインジェクトし、o-phthalaldehydeを検出薬と
して定量した。その結果、上記反応によりγ-Glu-Pheが
140 mM (41.2 g/L) 生成した(対Gln収率70%)。
【0033】Large scale での反応 500mL 容の三角フラスコに100 mL の反応溶液(上述の
至適条件のもの)を調製し、恒温槽につけて、37℃で反
応させ、1時間半後に100 mL の10% トリクロロ酢酸を
加えて反応を停止させた。本反応ではγ-Glu-Pheの生成
量は77.7 mM(対Gln収率38.9%)であった。
【0034】反応生成物の精製 反応液を8,000rpm, 20min, 4℃で遠心を行い、上澄み液
よりγ-Glu-Pheの精製を行った。Dowex 1 X 8 カラムに
かけ、分取した画分をHPLCにより分析し、γ-Glu-Pheを
多く含む画分を回収した。この画分を凍結乾燥して再度
Dowex 1 X 8カラムにより精製し、凍結乾燥してγ-Glu-
Pheを単離した。
【0035】精製標品の確認 精製した標品を6mg/mlとなるように重水に溶かしてBruk
er社の500 MHzの装置によりNMRスペクトルを取り、同様
にして取った市販(Sigma社製)のγ-Glu−PheのNMRス
ペクトルと比較することにより、本精製標品がγ-Glu-P
heであることを確認した。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、フェニルアラニン、メ
チオニン、ヒスチジン、ロイシン、又はバリンをγ−グ
ルタミル化することにより、有意な程度に、それらのア
ミノ酸が有する苦味を低減し、酸味を増加し、及び/又
は呈味性(嗜好性)を改善させることが出来た。
【0037】γ−グルタミルアミノ酸は生体内で対応す
るアミノ酸に容易に代謝されるので、アミノ酸と実質的
に同等の機能を維持するものと考えられる。従って、か
かるγ−グルタミルアミノ酸は、従来のアミノ酸として
の栄養素等としての機能を維持しつつ、その嗜好性が改
善された物質であり、栄養剤又は食品の有効成分として
有用である。
【0038】更に、本発明の食品は、フェニルアラニ
ン、メチオニン、ヒスチジン、ロイシン、及びバリンか
ら成る群から選択された少なくとも一つのアミノ酸の少
なくとも一部を、夫々のアミノ酸に対応するγ−グルタ
ミルアミノ酸で置換することにより改質されているか、
又は、フェニルアラニン、メチオニン、ヒスチジン、ロ
イシン、及びバリンから成る群から選択された少なくと
も一つのアミノ酸の少なくとも一部に代えて、夫々のア
ミノ酸に対応するγ−グルタミルアミノ酸を使用するこ
とにより製造される。従って、本発明の食品は、アミノ
酸のみを含むものと較べて苦味が低減し、酸味が増加
し、及び/又は嗜好性が改善されている。更に、従来は
アミノ酸が有する苦味を打ち消すために必要とされてい
た甘味成分等が不要又はより少量で済むことになり、よ
り食し易いものとなった。
【0039】又、γGTP酵素反応により、グルタミル
供与体としてのグルタミン及びグルタミル受容体として
のアミノ酸との反応から、γ−グルタミルアミノ酸が効
率的に製造されることが判明した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B018 MD20 ME02 MF12 4B047 LB04 LB08 LE07 LF04 LF07 LF08 LG15 4B064 AE02 CA02 CA19 CA21 CC24 DA01 DA10 4C084 AA03 BA01 BA07 BA14 CA59 DC50 MA52 NA09 ZA662 ZC412

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フェニルアラニン、メチオニン、ヒスチジ
    ン、ロイシン、及びバリンから成る群から選択された少
    なくとも一つのアミノ酸をγ−グルタミル化することか
    ら成る、該アミノ酸の苦味低減、酸味増加、及び/又は
    呈味性(嗜好性)改善方法。
  2. 【請求項2】フェニルアラニン、メチオニン、ヒスチジ
    ン、ロイシン、及びバリンから成る群から選択された少
    なくとも一つのアミノ酸を含む食品において、該少なく
    とも一つのアミノ酸の少なくとも一部を、夫々のアミノ
    酸に対応するγ−グルタミルアミノ酸に代えることによ
    る、該食品の改質方法。
  3. 【請求項3】フェニルアラニン、メチオニン、ヒスチジ
    ン、ロイシン、及びバリンから成る群から選択された少
    なくとも一つのアミノ酸の少なくとも一部に代えて、夫
    々のアミノ酸に対応するγ−グルタミルアミノ酸を使用
    することを特徴とする、食品の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項2又は3に記載の方法で得られる食
    品。
  5. 【請求項5】γ−グルタミルフェニルアラニン、γ−グ
    ルタミルメチオニン、γ−グルタミルヒスチジン、γ−
    グルタミルロイシン、及びγ−グルタミルバリンから成
    る群から選択された少なくとも一つのγ−グルタミルア
    ミノ酸を有効成分として含有する栄養剤。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の栄養剤を含む食品。
  7. 【請求項7】グルタミル供与体としてのグルタミン、グ
    ルタミル受容体としてのアミノ酸、及びγ−グルタミル
    トランスペプチターゼ(γGTP)酵素を反応させるこ
    とから成る、γ−グルタミルアミノ酸の製造方法。
  8. 【請求項8】γ−グルタミルトランスペプチターゼ(γ
    GTP)酵素が、当該酵素の遺伝子によって形質転換さ
    れた大腸菌から調製されたものであることを特徴とす
    る、請求項7に記載の製造方法。
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