JP2002252978A - スイッチング電源装置 - Google Patents

スイッチング電源装置

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JP2002252978A
JP2002252978A JP2001050601A JP2001050601A JP2002252978A JP 2002252978 A JP2002252978 A JP 2002252978A JP 2001050601 A JP2001050601 A JP 2001050601A JP 2001050601 A JP2001050601 A JP 2001050601A JP 2002252978 A JP2002252978 A JP 2002252978A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】出力電圧の安定精度が高く、正確な過電流制御
が行える自励式スイッチング電源装置を提供する。 【解決手段】帰還巻線13はスイッチング素子2のオン
期間に誘起した電圧でスイッチング素子2を導通方向に
バイアスする。出力整流平滑回路3はスイッチング素子
2のオフ期間に誘起した電圧を整流平滑して出力する。
出力電圧検出回路4は、フォトカプラPD4を含み、制
御回路5に出力電圧信号を供給する。時定数回路51は
帰還巻線13の両端間に接続される。時定数制御用トラ
ンジスタ53はベースに出力電圧信号が入力され、時定
数回路51の時定数を制御する。スイッチング制御用ト
ランジスタ54は、制御電極が時定数回路51のコンデ
ンサC5に接続され、主電極がスイッチング素子2の制
御入力側に接続される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変圧器に帰還巻線
を設けこの帰還巻線に生じた電圧で出力電圧の安定化お
よび過電流制御を行う自励式のスイッチング電源装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】帰還巻線を備えた自励式スイッチング電
源装置は、帰還巻線に生じた電圧で自励発振を継続する
ため、IC等で構成される発振回路を別途付加する必要
が無く、簡単な回路で構成できる。このため、小型、低
価格にできることから、小容量スイッチング電源の分野
で多用されている。
【0003】帰還巻線を備えた自励式スイッチング電源
装置については従来から種々の提案がなされており、そ
の一例として、特開昭63−87170号公報や特開平
11−122924号公報等に記載された技術が知られ
ている。この種の自励式スイッチング電源装置は、1次
巻線、2次巻線、帰還巻線および必要に応じて制御巻線
を有するトランスと、前記1次巻線の電流を断続するス
イッチング用トランジスタと、該スイッチング用トラン
ジスタに対する前記帰還巻線からの正帰還信号を制御す
る制御用トランジスタと、前記帰還巻線または前記制御
巻線の起電圧を所定時定数で充電するとともに、前記制
御用トランジスタに対して制御電圧を与える時定数回路
とを備えてなる自励発振型スイッチング電源装置であ
る。
【0004】更に、この自励発振型スイッチング電源装
置は、前記時定数回路を構成する抵抗と並列にフォトト
ランジスタが接続されている。フォトトランジスタは、
スイッチング電源装置の出力電圧に応じて発光量が制御
されるフォトダイオードと光結合し、その発光量により
インピーダンスが制御される。前記時定数回路は、フォ
トトランジスタのインピーダンスが制御されることによ
りその時定数を調整し、前記制御用トランジスタのオン
タイミングを調整する。前記制御用トランジスタがオン
することにより前記1次巻線の電流を断続するスイッチ
ング用トランジスタはオフ制御される。
【0005】スイッチング電源装置の出力電圧の安定化
および過電流制御作用は、前記フォトトランジスタのイ
ンピーダンスが制御されるという上述の構成により行わ
れる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記フ
ォトトランジスタは大きな電位変動を生じる帰還巻線の
一端に接続されており、電位が変動した瞬間に流れる異
常電流により、時定数回路の充電が正確に行われないこ
とがあった。
【0007】一般的に、フォトトランジスタはそのベー
スとコレクタ間に浮遊容量を有しており、コレクタ電位
が変動したとき、前記浮遊容量に起因する電流が流れる
場合がある。
【0008】図3は、フォトトランジスタのベース・コ
レクタ間の浮遊容量に起因する電流の説明図である。図
3(a)に示すように、フォトトランジスタPTは、通
常、そのベースが光LIGによって駆動されて、コレク
タ・エミッタ間に流れる電流を制御する。ベース・コレ
クタ間には大きな浮遊容量Cを有している。このため、
コレクタ電位が変動して、図3(b)に示すごとく、コ
レクタ・エミッタ間電圧VCEが急激に上昇すると、ベ
ースが光駆動されていないときでも、図3(c)に示す
ように、その変動の瞬間にパルス状の電流IEがコレク
タ・エミッタを介して流れてしまう。このパルス状の電
流IEは、コレクタ電位の変動が矩形波に近いほど大き
くなる。
【0009】上述の自励発振型スイッチング電源装置に
おいて、フォトトランジスタのコレクタは前記帰還巻線
の非安定電位側に接続されており、コレクタ電位は矩形
波状に変動する。このため、前記帰還巻線に誘起電圧が
発生したとき、前記フォトダイオードが発光していなく
ても、その瞬間に前記フォトトランジスタに電流が流れ
る場合があり、時定数回路の充電が正確に行われないと
いう問題が生じる。
【0010】この問題は、前記制御用トランジスタのオ
ンタイミングのずれを引き起こし、出力電圧の安定度の
低下や、過電流制御時の垂下点変動の原因となってい
た。
【0011】本発明の課題は、上述した問題を解決し、
出力電圧の安定精度が高く、正確な過電流制御が行える
自励式スイッチング電源装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ため、本発明に係るスイッチング電源装置は、変圧器
と、スイッチング素子と、出力整流平滑回路と、出力電
圧検出回路と、制御回路とを含む。
【0013】前記変圧器は、入力巻線と、出力巻線と、
帰還巻線とを含む。
【0014】前記スイッチング素子は、前記入力巻線を
通して供給される直流電圧を断続して前記出力巻線と前
記帰還巻線とに電圧を誘起する。
【0015】前記帰還巻線は、前記スイッチング素子の
オン期間に誘起した電圧で前記スイッチング素子を導通
方向にバイアスする。
【0016】前記出力整流平滑回路は、前記スイッチン
グ素子のオフ期間に前記出力巻線に誘起した電圧を整流
平滑して出力する。
【0017】前記出力電圧検出回路は、フォトカプラを
含み、出力電圧を検出して前記制御回路に前記出力電圧
とは絶縁された出力電圧信号を供給する。
【0018】前記制御回路は、時定数回路と、時定数制
御用トランジスタと、スイッチング制御用トランジスタ
とを含む。
【0019】前記時定数回路は、抵抗とコンデンサとの
直列回路を含み、前記帰還巻線の両端間に接続される。
【0020】前記時定数制御用トランジスタは、コレク
タ・エミッタ間が前記抵抗と並列に接続され、そのベー
スに前記出力電圧信号が入力され、前記出力電圧信号に
応じて前記時定数回路の時定数を制御する。
【0021】前記スイッチング制御用トランジスタは、
制御電極が前記抵抗と前記コンデンサとの接続点に接続
され、主電極が前記スイッチング素子の制御入力側に接
続される。
【0022】上述したスイッチング電源装置において、
前記変圧器は、入力巻線と、出力巻線と、帰還巻線とを
含む。前記スイッチング素子は、前記入力巻線を通して
供給される直流電圧を断続する。このため、前記スイッ
チング素子がターンオンを開始すると、前記入力巻線に
入力電流が流れ始め、前記出力巻線と前記帰還巻線とに
電圧を誘起する。前記帰還巻線は、前記スイッチング素
子のオン期間に誘起した電圧で前記スイッチング素子を
導通方向にバイアスするから、前記スイッチング素子が
完全に導通し、前記入力巻線に流れる電流が増加する。
【0023】その後、前記入力巻線に流れる電流の増加
が停止すると前記帰還巻線の誘起電圧が無くなり、前記
スイッチング素子がオフとなって、前記入力巻線と、前
記出力巻線と、前記帰還巻線とには、それまでとは逆方
向のフライバック電圧が誘起する。フライバック電圧は
フライバックエネルギーの消滅とともに低下し、リンギ
ング電圧を発生させる。リンギング電圧は前記帰還巻線
にも発生し、前記スイッチング素子がオンするきっかけ
を与える。以降この繰り返しで自励発振が継続する。
【0024】前記出力整流平滑回路は、前記スイッチン
グ素子のオフ期間に前記出力巻線に誘起した電圧を整流
平滑して出力するから、継続的に直流電圧を出力するこ
とができる。
【0025】前記出力電圧検出回路は、フォトカプラを
含み、出力電圧を検出して前記制御回路に前記出力電圧
とは絶縁された出力電圧信号を供給する。
【0026】前記制御回路は、時定数回路と、時定数制
御用トランジスタと、スイッチング制御用トランジスタ
とを含む。
【0027】前記時定数回路は、抵抗とコンデンサとの
直列回路を含み、前記帰還巻線の両端間に接続される。
【0028】前記時定数制御用トランジスタは、コレク
タ・エミッタ間が前記抵抗と並列に接続され、ベースに
前記出力電圧信号が入力され、前記出力電圧信号に応じ
て前記時定数回路の時定数を制御する。
【0029】前記スイッチング制御用トランジスタは、
制御電極が前記抵抗と前記コンデンサとの接続点に接続
され、主電極が前記スイッチング素子の制御入力側に接
続される。
【0030】上述の構成では、出力電圧が高いときは、
前記時定数制御用トランジスタのインピーダンスが低く
なるように制御され、前記時定数回路の時定数を小さく
するから、前記時定数回路のコンデンサの充電が促進さ
れる。逆に、出力電圧が低いときは、前記時定数制御用
トランジスタのインピーダンスが高くなるように制御さ
れるから、前記時定数回路の時定数が大きくなり、前記
時定数回路のコンデンサの充電を遅らせる。このため、
前記スイッチング制御用トランジスタのオンタイミング
は、出力電圧が高いと早まり、出力電圧が低いと遅れる
ように制御される。
【0031】従って、出力電圧が高いと、前記スイッチ
ング素子は、オン期間が短縮され、出力電圧が低下する
方向に制御される。逆に、出力電圧が低いと、前記スイ
ッチング素子は、オン期間が長くなり、出力電圧が上昇
する方向に制御され、出力電圧が安定化する。
【0032】また、過負荷や負荷の短絡によって過電流
状態に至り、出力電圧が垂下したときも、前記時定数制
御用トランジスタのインピーダンスが高くなるように制
御され、前記時定数回路の時定数を大きくするが、この
時定数で充電される前記コンデンサにより。前記スイッ
チング制御用トランジスタがオンするため、前記スイッ
チング素子のオン期間はある値に制限される。
【0033】前記時定数回路の前記コンデンサは、前記
スイッチング素子のオフ期間に帰還巻線に発生するフラ
イバック電圧で逆方向に充電されるが、フライバック電
圧が出力電圧と比例することから、その逆方向充電電位
はわずかな量に留まる。このため、前記スイッチング素
子がオンした後、すぐに前記スイッチング制御用トラン
ジスタがオンするため、前記スイッチング素子のオン期
間は更に短く制御される。このようにして出力電圧の垂
下が促進され過電流制御が行われる。
【0034】本発明の自励式スイッチング電源装置は、
出力電圧検出回路にフォトカプラを含み、前記制御回路
に出力電圧とは電気的に絶縁された出力電圧信号を供給
する。前記制御回路に含まれる前記時定数制御トランジ
スタはフォトトランジスタではない。このため、時定数
回路のコンデンサの充電が正確に行われることになり、
出力電圧の安定精度が高く、正確な過電流制御が行える
利点がある。
【0035】本発明の他の目的、構成および利点につい
ては、添付図面を参照して、更に詳しく説明する。図面
は単なる例示に過ぎない。
【0036】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る自励式スイ
ッチング電源装置の一実施例を示す電気回路図である。
図示された自励式スイッチング電源装置は、電力変換用
の変圧器1と、スイッチング素子2と、出力整流平滑回
路3と、出力電圧検出回路4と、制御回路5とを含んで
いる。
【0037】変圧器1は、入力巻線11と、出力巻線1
2と、帰還巻線13とを含んでいる。入力巻線11は、
スイッチング素子2の主電極と直列に接続され、直流入
力端子Tinに接続される。
【0038】直流入力端子Tinには直流電圧源Eが接
続される。直流電圧源Eは、本発明の内部要素であって
も、外部要素であってもよく、バッテリや、その他の直
流電圧源、あるいは交流電圧を整流回路を介して直流に
変換した電圧の何れでも利用できる。
【0039】スイッチング素子2は、入力巻線11を通
して供給される直流電圧Vinを断続して、出力巻線1
2と、帰還巻線13とに電圧を誘起させる。スイッチン
グ素子2は、供給された直流電圧Vinを高周波でスイ
ッチングできればよく、典型的には、バイポーラトラン
ジスタや、電界効果トランジスタ等の制御電極を有する
半導体素子が用いられる。本実施例はNPN型のバイポ
ーラトランジスタを用いている。
【0040】帰還巻線13は、特性向上回路6を介し
て、スイッチング素子2のベース・エミッタ間に接続さ
れ、スイッチング素子2のオン期間に誘起した電圧で、
スイッチング素子2のベースを導通方向にバイアスす
る。特性向上回路6はスイッチング素子2のスイッチン
グ特性を向上するための回路であり、コンデンサC6と
抵抗R6とダイオードD6とを含んで構成される。スイ
ッチング素子2のベースは、更に起動抵抗R7を介して
入力ラインに接続される。
【0041】出力整流平滑回路3は整流用ダイオードD
3と平滑用コンデンサC3とを含んで構成される。整流
用ダイオードD3と平滑用コンデンサC3とは直列接続
されて、その両端が出力巻線12に接続される。平滑用
コンデンサC3の両端は出力整流平滑回路3の出力端と
されて、スイッチング電源装置の出力端子Toutに接
続される。整流用ダイオードD3の向きは、出力巻線1
2に誘起するフライバック電圧に対して順方向となるよ
うに方向付けられている。
【0042】この構成により、出力整流平滑回路3は、
スイッチング素子2のオフ期間に出力巻線12に誘起す
る電圧を整流・平滑して出力する。整流用ダイオードD
3の代わりにバイポーラトランジスタや電界効果トラン
ジスタ等の制御電極を備えたスイッチング素子を用いれ
ば、同期整流型の整流平滑回路を構成することができ
る。
【0043】出力電圧検出回路4は、本実施例では、抵
抗R41、R42、ツェナーダイオードZD4、フォト
カプラPC4とを含み、出力整流平滑回路3の出力端、
すなわち、スイッチング電源装置の出力端子Toutに
接続される。フォトカプラPC4はフォトダイオードP
D4とフォトトランジスタPT4とを含んでいる。フォ
トダイオードPD4はツェナーダイオードZD4と直列
に接続されて、出力端子Tout間に接続される。フォ
トダイオードPD4とツェナーダイオードZD4には、
それぞれ並列に抵抗R41、R42が接続されている。
フォトトランジスタPT4はそのコレクタに入力側の安
定電圧Vccが供給され、ベースがフォトダイオードP
D4と光結合し、エミッタに出力電圧信号を生成する。
フォトトランジスタPT4はそのコレクタに入力側の安
定電圧Vccが供給されるので、コレクタ電位が一定に
保たれ、ベース・コレクタ間の浮遊容量に起因するパル
ス状の異常電流が流れるのを防止できる。
【0044】出力電圧検出回路4は、フォトカプラPC
4を含み、出力電圧Voutを検出して、制御回路5に
出力電圧Voutとは電気的に絶縁された出力電圧信号
を供給できればよく、例えば、シャントレギュレータ等
を用いた回路で構成してもよい。
【0045】制御回路5は、時定数回路51と、時定数
制御用トランジスタ53と、スイッチング制御用トラン
ジスタ54とを含んで構成される。時定数回路51は、
抵抗R51とコンデンサC5のそれぞれ一端が接続され
て直列回路を構成し、その直列回路の両端が帰還巻線1
3の両端間に接続される。
【0046】時定数制御用トランジスタ53はNPN型
のバイポーラトランジスタで構成され、コレクタ・エミ
ッタ間が時定数回路51の抵抗R51と並列になるよう
に、そのコレクタが帰還巻線13の一端に接続され、エ
ミッタが時定数回路51の抵抗R51の一端に接続され
る。D5は逆流防止用ダイオードである。時定数制御用
トランジスタ53のベースは、抵抗R5を介してエミッ
タに接続されるとともに、抵抗R8、R45とを介して
フォトトランジスタPT4のエミッタに接続される。C
6はコンデンサ、R9は抵抗である。
【0047】スイッチング制御用トランジスタ54はN
PN型のバイポーラトランジスタで構成され、コレクタ
・エミッタ間がスイッチング素子2のベース・エミッタ
間に接続される。スイッチング制御用トランジスタ54
のベースは、コンデンサC5の一端に接続される。
【0048】このように構成された本実施例の自励式ス
イッチング電源装置において、入力端子Tinに直流入
力電圧Vinが印加されると、起動抵抗R7を介してス
イッチング素子2のベースにベース電流が供給される。
スイッチング素子2がターンオンを開始すると、変圧器
1の入力巻線11に入力電流が流れ始め、出力巻線12
と帰還巻線13とに電圧を誘起する。
【0049】出力巻線12に誘起した電圧は出力整流平
滑回路3のダイオードD3により阻止されるから、出力
巻線12には出力電流が流れず、エネルギーが変圧器1
に蓄積される。帰還巻線13に誘起した電圧は、特性向
上回路6を介してスイッチング素子2のベースにベース
電流を供給し、導通方向にバイアスするから、スイッチ
ング素子2は急激にオンとなる。入力巻線11に流れる
入力電流は時間の経過とともに増加する。帰還巻線13
に誘起した電圧は、同時に、時定数回路51の抵抗R5
1、および、時定数制御用トランジスタ53を介して、
コンデンサC5を充電する。その後、コンデンサC5の
電圧がスイッチング制御用トランジスタ54の閾値電圧
まで充電されると、スイッチング制御用トランジスタ5
4がオンとなってスイッチング素子2の入力側を短絡す
る。この結果、スイッチング素子2がターンオフし、入
力巻線11、出力巻線12、および帰還巻線13には、
それまでとは逆方向のフライバック電圧が発生する。
【0050】出力巻線12に発生したフライバック電圧
は、出力整流平滑回路3により整流・平滑され、出力端
子Toutに直流出力電圧Voutを出力する。帰還巻
線13に発生したフライバック電圧は、時定数回路51
のコンデンサC5を逆方向に充電する。その後、フライ
バック電圧は、フライバックエネルギーの消滅とともに
低下し、リンギング電圧を発生させる。リンギング電圧
は、帰還巻線13にも発生し、スイッチング素子2がタ
ーンオンを開始するきっかけを与える。以降この繰り返
しで自励発振が継続し、出力端子Toutに継続的に直
流出力電圧Voutを出力する。
【0051】出力電圧検出回路4のフォトダイオードP
D4は、出力電圧Voutに応じて発光量を変化させ
る。出力電圧検出回路4は、出力電圧Voutが高いと
フォトダイオードPD4の発光量が増加し、フォトトラ
ンジスタPT4のインピーダンスが低下して高電位レベ
ルの出力電圧信号を出力する。出力電圧が低いとフォト
ダイオードPD4の発光量が減少し、フォトトトランジ
スタPT4のインピーダンスが高くなり低電位レベルの
出力電圧信号を出力する。出力電圧信号は制御回路5を
構成する時定数制御用トランジスタ53のベースに供給
される。
【0052】このため、制御回路5において、出力電圧
Voutが高いと、時定数制御用トランジスタ53のイ
ンピーダンスが低くなり、時定数回路51の時定数が小
さく制御されるので、コンデンサC5は短時間で充電さ
れ、スイッチング制御用トランジスタ54のオンタイミ
ングを早める。逆に、出力電圧Voutが低いと、時定
数制御用トランジスタ53のインピーダンスが高くな
り、時定数回路51の時定数が大きく制御されるので、
コンデンサC5は緩やかに充電され、スイッチング制御
用トランジスタ54のオンタイミングを遅らせる。
【0053】従って、スイッチング素子2は、出力電圧
Voutが高いと、オン期間が短縮されて、出力電圧V
outが低下する方向に制御され、逆に、出力電圧Vo
utが低いと、オン期間が長くなり、出力電圧Vout
が上昇する方向に制御される。この制御作用により出力
電圧を安定化する。
【0054】また、過負荷や負荷の短絡によって過電流
状態に至り、出力電圧Voutが垂下したときは、時定
数制御用トランジスタ53のインピーダンスが無限大と
なる。コンデンサC5は、時定数回路51の時定数でゆ
っくり充電されるが、スイッチング制御用トランジスタ
54の閾値まで充電されると、スイッチング制御用トラ
ンジスタ54をオンさせる。このため、スイッチング素
子2のオン期間はある値で制限されてオフ期間に移行
し、出力電圧Voutは上昇しない。スイッチング素子
2のオフ期間において、コンデンサC5は帰還巻線13
に誘起するフライバック電圧で逆方向に充電される。フ
ライバック電圧は出力電圧Voutに比例しているの
で、コンデンサC5の逆方向充電量はわずかな量に留ま
る。従って、次のオン期間において、コンデンサC5は
時定数回路51の時定数でゆっくり充電されるが、すぐ
にスイッチング制御用トランジスタ54の閾値まで充電
され、スイッチング制御用トランジスタ54をオンさせ
る。このため、スイッチング素子2のオン期間は更に短
く制御されて出力電圧の垂下が促進され過電流制御が行
われる。
【0055】本実施例の自励式スイッチング電源装置
は、帰還巻線13に接続される時定数制御用トランジス
タ53としてフォトトランジスタを用いず、バイポーラ
トランジスタを用いている。バイポーラトランジスタは
フォトトランジスタと異なり、コレクタ・ベース間の浮
遊容量が極めて小さい。このため、ベース電流が供給さ
れていないときに、帰還巻線13に誘起する電圧でコレ
クタ電位が変動しても、浮遊容量に起因するパルス状の
異常電流が流れるのを防止できる。また、出力電圧検出
回路4にフォトトランジスタPT4を用いており、フォ
トトランジスタPT4はそのコレクタが安定電位に接続
されているため、ベース・コレクタ間の浮遊容量に起因
するパルス状の異常電流が流れるのを防止できる。
【0056】従って、本実施例の自励式スイッチング電
源装置は、時定数回路51の時定数制御が確実に行え、
コンデンサC5の充電が正確に行われるので、出力電圧
の安定精度が高く、正確な過電流制御を行うことができ
る。
【0057】図2は、本発明に係る自励式スイッチング
電源装置の更に別の実施例を示す電気回路図である。図
において、図1に図示した構成部分と同一の構成部分に
ついては、同一の参照符号を付してある。
【0058】図示された自励式スイッチング電源装置
は、電力変換用の変圧器1と、スイッチング素子2と、
出力整流平滑回路3と、出力電圧検出回路4と、制御回
路5とを含んでいる。電力変換用の変圧器1と、スイッ
チング素子2と、出力整流平滑回路3とは、図1に図示
した実施例と同様の構成である。
【0059】出力電圧検出回路4は、抵抗R41、R4
2、ツェナーダイオードZD4、フォトカプラPC4を
含み、出力電圧信号を出力電圧Voutとは電気的に絶
縁した構成としてある。フォトカプラPC4はフォトダ
イオードPD4とフォトトランジスタPT4とを含んで
いる。フォトダイオードPD4は、図1に図示した実施
例と同様に、ツェナーダイオードZD4と直列に接続さ
れて、出力端子Tout間に接続される。フォトダイオ
ードPD4とツェナーダイオードZD4には、それぞれ
並列に、抵抗R41、R42が接続されている。フォト
トランジスタPT4は、そのベースがフォトダイオード
PD4と光結合しているが、図1に図示した実施例と異
なり、そのエミッタが入力側の安定電位に接続される。
コレクタには入力側の安定電圧Vccが抵抗R10を介
して供給され、コレクタに出力電圧信号を生成する。
【0060】制御回路5は、時定数回路51と、時定数
制御用トランジスタ53と、スイッチング制御用トラン
ジスタ54とを含んで構成される。時定数回路51は、
抵抗R51とコンデンサC5のそれぞれ一端が接続され
て直列回路を構成し、その直列回路の両端が帰還巻線1
3の両端間に接続される。
【0061】時定数制御用トランジスタ53は、図1に
図示した実施例と異なり、PNP型のバイポーラトラン
ジスタで構成され、コレクタ・エミッタ間が時定数回路
51の抵抗R51と並列になるように、エミッタが帰還
巻線13の一端に接続され、コレクタが時定数回路51
の抵抗R51の一端に接続される。時定数制御用トラン
ジスタ53のベースは、抵抗R5を介してエミッタに接
続されるとともに、抵抗R8を介して、フォトトランジ
スタPT4のコレクタに接続される。本実施例のフォト
トランジスタPT4のコレクタは、抵抗R10を介して
安定電位に接続されており、大きく変動することがない
ため、ベース・コレクタ間の浮遊容量に起因する異常電
流を低減できる。更に、時定数制御用トランジスタ53
のベース・エミッタ間の抵抗R5の抵抗値を適切に設定
することで、前記異常電流に起因する時定数制御用トラ
ンジスタ53への悪影響を防ぐことができる。
【0062】スイッチング制御用トランジスタ54はN
PN型のバイポーラトランジスタで構成され、そのコレ
クタ・エミッタ間がスイッチング素子2のベース・エミ
ッタ間に接続される。スイッチング制御用トランジスタ
54のベースは、コンデンサC5の一端に接続される。
【0063】このように構成された本実施例の自励式ス
イッチング電源装置は、図1に図示した実施例と同様、
入力端子Tinに直流電圧Vinが印加されると、自励
発振が継続し、出力端子Toutに継続的に直流出力電
圧Voutを出力する。
【0064】出力電圧検出回路4のフォトダイオードP
D4は、図1に図示した実施例と同様に動作し、出力電
圧Voutが高いと、フォトトランジスタPT4のイン
ピーダンスを低くして、時定数制御用トランジスタ53
のベースを深くバイアスする。出力電圧Voutが低い
と、フォトトトランジスタPT4のインピーダンスを高
くして、時定数制御用トランジスタ53のベースを浅く
バイアスする。
【0065】このため、制御回路5において、出力電圧
Voutが高いと、時定数制御用トランジスタ53のイ
ンピーダンスが低くなり、時定数回路51の時定数が小
さく制御されるので、コンデンサC5は短時間で充電さ
れ、スイッチング制御用トランジスタ53のオンタイミ
ングを早める。逆に、出力電圧Voutが低いと、時定
数制御用トランジスタ53のインピーダンスが高くな
り、時定数回路51の時定数が大きく制御されるので、
コンデンサC5はゆっくり充電され、スイッチング制御
用トランジスタ53のオンタイミングを遅らせる。
【0066】従って、スイッチング素子2は、図1に図
示した実施例と同様に制御され出力電圧を安定化する。
また、過負荷や負荷の短絡によって過電流状態に至り出
力電圧Voutが垂下したときも同様に、過電流制御が
行われる。
【0067】本実施例の自励式スイッチング電源装置
は、帰還巻線13に接続される時定数制御用トランジス
タ53として、フォトトランジスタを用いず、バイポー
ラトランジスタを用いている。バイポーラトランジスタ
はフォトトランジスタと異なり、コレクタ・ベース間の
浮遊容量が極めて小さい。このため、ベース電流が供給
されていないときに、帰還巻線13に誘起する電圧でコ
レクタ電位が変動しても、浮遊容量に起因するパルス状
の異常電流が流れるのを防止できる。
【0068】また、出力電圧検出回路4にフォトトラン
ジスタPT4を用いているが、フォトトランジスタPT
4のコレクタ電位が大きく変動することはないので、ベ
ース・コレクタ間の浮遊容量に起因する異常電流を低減
できる。
【0069】更に、時定数制御用トランジスタ53のベ
ース・エミッタ間の抵抗R5の抵抗値を適切に設定する
ことで、前記異常電流に起因する時定数制御用トランジ
スタ53への悪影響を防ぐことができる。
【0070】従って、本実施例の自励式スイッチング電
源装置は、時定数回路51の時定数制御が確実に行える
ので、出力電圧の安定精度が高く、正確な過電流制御を
行うことができる。
【0071】以上、好ましい実施例を参照して本発明の
内容を詳細に説明したが、本発明はこれらに限定される
ものではなく、当業者であれば、その基本的技術思想お
よび教示にもとづき、種々の変形例を想到できることは
自明である。例えば、実施例では時定数回路51の抵抗
R51を充電・放電の両方に用いているが、抵抗R51
と並列に別の抵抗を接続し、それぞれの抵抗と直列に、
互いに逆向きのダイオードを接続することにより、充電
時定数回路と放電時定数回路とを別々に構成することも
可能である。
【0072】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、出
力電圧の安定精度が高く、正確な過電流制御を実行し得
る自励式スイッチング電源装置を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自励式スイッチング電源装置の一
実施例を示す電気回路図である。
【図2】本発明に係る自励式スイッチング電源装置の別
の実施例を示す電気回路図である。
【図3】フォトトランジスタのベース・コレクタ間の浮
遊容量に起因する電流の説明図である。
【符号の説明】
1 変圧器 11 入力巻線 12 出力巻線 13 帰還巻線 2 スイッチング素子 3 出力整流平滑回路 4 出力電圧検出回路 5 制御回路 51 時定数回路 53 時定数制御用トランジスタ 54 スイッチング制御用トランジスタ PD4 フォトカプラ R51 抵抗 C5 コンデンサ Vin 直流電圧

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変圧器と、スイッチング素子と、出力整
    流平滑回路と、出力電圧検出回路と、制御回路とを含
    み、自励発振動作をするスイッチング電源装置であっ
    て、 前記変圧器は、入力巻線と、出力巻線と、帰還巻線とを
    含み、 前記スイッチング素子は、前記入力巻線を通して供給さ
    れる直流電圧を断続して前記出力巻線と前記帰還巻線と
    に電圧を誘起し、 前記帰還巻線は、前記スイッチング素子の制御電極に接
    続され、前記スイッチング素子のオン期間に誘起した電
    圧で前記スイッチング素子を導通方向にバイアスし、 前記出力整流平滑回路は、前記スイッチング素子のオフ
    期間に前記出力巻線に誘起した電圧を整流・平滑して出
    力し、 前記出力電圧検出回路は、フォトカプラを含み、出力電
    圧を検出して前記制御回路に、前記出力電圧とは絶縁さ
    れた出力電圧信号を供給し、 前記制御回路は、時定数回路と、時定数制御用トランジ
    スタと、スイッチング制御用トランジスタとを含み、 前記時定数回路は、抵抗とコンデンサとの直列回路を含
    み、前記帰還巻線の両端間に接続され、 前記時定数制御用トランジスタは、コレクタ・エミッタ
    間が前記抵抗と並列に接続され、ベースに前記出力電圧
    信号が入力され、前記出力電圧信号に応じて前記時定数
    回路の時定数を制御し、 前記スイッチング制御用トランジスタは、制御電極が前
    記抵抗と前記コンデンサとの接続点に接続され、主電極
    が前記スイッチング素子の制御入力側に接続されるスイ
    ッチング電源装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載されたスイッチング電源
    装置であって、 前記フォトカプラは、フォトダイオードとフォトトラン
    ジスタとを含み、前記フォトダイオードは、出力電圧に
    応じて発光して前記フォトトランジスタを駆動し、前記
    フォトトランジスタは、コレクタが安定電位に接続さ
    れ、エミッタが前記制御回路に接続されるスイッチング
    電源装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載されたスイッチング電源
    装置であって、 前記時定数制御用トランジスタはPNP型トランジスタ
    でなり、ベース・エミッタ間に抵抗が接続され、前記フ
    ォトカプラはフォトダイオードとフォトトランジスタと
    を含み、前記フォトダイオードは出力電圧に応じて発光
    して前記フォトトランジスタを駆動し、前記フォトトラ
    ンジスタはそのエミッタが安定電位に接続され、コレク
    タに前記出力電圧信号を生成するスイッチング電源装
    置。
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