JP2002249920A - 炭素繊維前駆体繊維束の油剤付与方法および油剤付与装置並びに炭素繊維の製造方法 - Google Patents

炭素繊維前駆体繊維束の油剤付与方法および油剤付与装置並びに炭素繊維の製造方法

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JP2002249920A
JP2002249920A JP2001051967A JP2001051967A JP2002249920A JP 2002249920 A JP2002249920 A JP 2002249920A JP 2001051967 A JP2001051967 A JP 2001051967A JP 2001051967 A JP2001051967 A JP 2001051967A JP 2002249920 A JP2002249920 A JP 2002249920A
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Masayuki Kiyama
公志 木山
Seiji Mizukami
誠二 水上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】炭素繊維前駆体繊維束に対して、油剤を繊維束
全体に均一に付与することにより少量の油剤で優れた行
程安定性が得られ、製造原価を低減することができる油
剤付与方法および油剤付与装置を提供する。 【解決手段】炭素繊維前駆体繊維束に油剤を付与するに
際し、繊維束を油剤槽中に連続的に通過せしめ、ネジポ
ンプを用いて油剤圧送し、繊維束全幅に油剤を噴射する
ことを特徴とする炭素繊維前駆体繊維束の油剤付与方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は炭素繊維前駆体繊維
束の油剤付与方法および油剤付与装置に関するものであ
る。さらに詳しくは、炭素繊維前駆体繊維束へ油剤を均
一に付与する油剤付与方法および油剤付与装置並びに炭
素繊維の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、物性に優れ、また安価な炭素
繊維を提供するために、炭素繊維前駆体繊維束(プリカ
ーサ)製造に関する多くの改善技術が開示されている。
【0003】製造コスト低減の一つの方法として、炭素
繊維前駆体製糸過程での原価単位改善をねらい、油剤使
用量を少なくすることを従来より検討しているが、使用
量減少により繊維束の油剤付着量が減少すると、油剤付
与本来の目的の一つである繊維束単糸の接着防止が不十
分となり、毛羽の発生や焼成工程での糸切れの増加につ
ながる。
【0004】しかし、繊維束に油剤を付与し過ぎても、
糸切れや毛羽の原因となる場合もある。これは製造工程
内での受熱によって繊維束に付与した油剤がゲル化して
接着剤の役割を果たし、ゲル化油剤を介した単糸の接着
が発生してしまうことが一因である。また焼成工程にお
いては、焼成炉内に油剤堆積物が発生して操業性が低下
し、定期的な清掃が必要となる場合がある。したがっ
て、油剤のゲル化、堆積物を少なくするためには、使用
油剤量を少なくするほうが良い。
【0005】上述のように、油剤の繊維束への与える影
響は様々であり、油剤使用量を減少させるためには、単
糸融着を防止する機能を果たすための必要最低限の油剤
を繊維束全体に渡って均一に付与させれば効果的で、油
剤使用量減少による原価単位ダウンと同時に、油剤のゲ
ル化や焼成工程での堆積物が減少し、優れた工程安定性
が得られる。
【0006】糸条に油剤を効果的に付与する方法に関し
て、特開平5−156509号公報に開示されている。
この特開における油剤噴射装置は、製造工程上に噴射ノ
ズルとその循環装置を設けているが、繊維束または糸条
に対する油剤噴射は、その効果を得るためには厳密な設
定が要求される。強く求められる条件の一つは油剤噴射
の均一性である。繊維幅方向および繊維長さ方向への油
剤噴射の均一性に欠けると、油剤の付着斑が発生し、十
分に効果が得られない場合がある。また一般に、繊維束
の単糸は1デシテックス程度と細く、条件によっては噴
射された油剤によって、単糸の絡み合いや単糸切れを発
生してしまい、逆効果となる場合もある。
【0007】特開平5−156509号公報では油剤噴
射について、噴射流速以外の規定がないことから、繊維
束全体に対して油剤を均一に付与できず、付着斑が発生
する場合がある。さらに油剤循環においては、ポンプに
よる圧送時に油剤流量が均一で脈動が発生せず、かつ油
剤に作用する剪断力が最小限となるようにする必要があ
る。これはポンプによる油剤圧送時に脈動が発生すると
油剤流量変化による繊維束への油剤付着斑が発生し、ま
た油剤に剪断力が付与されると油剤の品質劣化、ゲル化
が進行して、油剤の機能が低下または果たさなく恐れが
あるためであり、特開平5−156509号公報では油
剤送液ポンプの特性を言及していない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、炭素
繊維前駆体繊維束に対して、油剤を繊維束全体に均一に
付着させることにより前記したような問題を解決してよ
り少量の油剤で優れた工程安定性が得られ、製造原価を
低減することができる油剤付与方法およびそれら油剤付
与方法を用いた炭素繊維の製造方法および油剤付与装置
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の油剤付与方法
は、上記課題を達成するために次の構成を有する。すな
わち、 (1)炭素繊維前駆体繊維束に油剤を付与するに際し、
繊維束を油剤槽中に連続的に通過せしめ、ネジポンプを
用いて油剤圧送し、繊維束全幅に油剤を噴射することを
特徴とする炭素繊維前駆体繊維束の油剤付与方法。
【0010】(2)前記油剤圧送手段として一軸偏心ネ
ジポンプを用いたことを特徴とする前記(1)に記載の
炭素繊維前駆体繊維束の油剤付与方法。
【0011】(3)油剤槽を連続的に通過する繊維束
を、220デシテックス/mm以下に拡幅することを特
徴とする前記(1)または(2)に記載の炭素繊維前駆
体繊維束の油剤付与方法。
【0012】(4)油剤噴射に整流部分を設けた矩形断
面ノズルを用い、かつ繊維束幅方向のノズル幅wが繊維
束幅以上で、ノズル高さtが1〜5mmであることを特
徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の炭素繊
維前駆体繊維束の油剤付与方法。
【0013】(5)ノズル断面中心から垂直に伸ばされ
た線が繊維束の走行する糸道と交差するまでの距離Lを
5〜30mmとしたことを特徴とする前記(4)に記載
の炭素繊維前駆体繊維束の油剤付与方法。
【0014】(6)ノズル口を油剤槽の油剤液面から1
0mm以上浸漬させてなることを特徴とする前記(4)
または(5)に記載の炭素繊維前駆体繊維束の油剤付与
方法。
【0015】(7)油剤噴射量を繊維束幅1mmあたり
毎分0.1〜0.5リットルとすることを特徴とする前
記(1)〜(6)のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊
維束の油剤付与方法。
【0016】(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記
載された油剤付与方法を用いたことを特徴とする炭素繊
維の製造方法。
【0017】(9)次の(a)〜(c)の3つの要件、
(a)糸道ガイドにより規制された繊維束入口、出口お
よび糸道通路を持つ油剤槽、(b)前記油剤槽内に設置
されており、油剤槽内を走行する繊維束幅方向のノズル
口断面幅が繊維束幅以上となる噴射ノズル、(c)ネジ
ポンプが用いられた油剤圧送装置、から構成された油剤
ノズル噴射装置を具備することを特徴とする炭素繊維前
駆体繊維束の油剤付与装置。
【0018】(10)ネジポンプとして一軸偏心ネジポ
ンプを用いたことを特徴とする前記(9)に記載の炭素
繊維前駆体繊維束の油剤付与装置。
【0019】(11)油剤噴射ノズルが整流部分を持
ち、ノズル口が矩形断面であり、かつノズル幅が繊維束
糸道幅以上、ノズル高さtが1〜5mmであることを特
徴とする前記(9)または(10)に記載の炭素繊維前
駆体繊維束の油剤付与装置。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を
参照しながら説明する。図1は本発明の油剤付与方法と
それを構成する装置の一例を示す概略図である。繊維束
10は糸道ガイド1,2,4,5によって通過する通路
を規制され、油剤が満たされた油剤槽6内を矢印の方向
である紙面左側から右側に通過するように設置されてい
る。油剤噴射ノズル8はノズル口9の面が油剤槽6の油
剤液面と平行になるように設置されている。油剤は油剤
噴射ノズル8から噴射されるが、その供給は油剤槽6か
らあふれた油剤を回収する油剤槽外周に設けられた油剤
回収受け7からバッファータンク11へ回収され、駆動
モーター19によって駆動された一軸偏心ネジポンプ1
7を通じて再び油剤噴射ノズル8から噴射される。
【0021】油剤を循環させるポンプとしては、油剤噴
射流量を時間的に定常に保ち、かつ油剤劣化を極力抑え
られることが求められる。すなわち、本発明において
は、実質的に無せん断、かつ無脈動となる油剤圧送手段
を用いるものである。これら条件を満たすために用いる
ポンプとしてはネジポンプであることが望ましい。ネジ
ポンプの種類としては片吸込複式、両吸込複式、単式、
複式ネジポンプなどいづれの種類も適用可能であるが、
さらに望ましくは、いわゆるモーノポンプ といわれる
一軸偏心ネジポンプを用いることが望ましい。これはネ
ジポンプの一般的な特性として流量が時間的に一定で脈
動がなく、さらに実質的にポンプ内で剪断力が発生しな
いことから、油剤劣化が抑制されるためであり、また特
に一軸偏心ネジポンプにおいては、ポンプ内部の油剤流
路が他のネジポンプに比べて比較的簡潔な構成であり、
油剤溜まりとなるような空間が少なく、より油剤劣化お
よび循環油剤の無駄が少なくて済むからである。したが
って、これらネジポンプにより油剤を供給することによ
って、油剤劣化の防止とともに、繊維束への油剤の付与
に関しても、油剤噴射量に時間的な変化がなく、つまり
脈動がないため、繊維束全幅への油剤噴射による油剤付
与の均一性と併せて繊維束全ての箇所に均一に油剤が噴
射されて、油剤を均一に付与することが可能となる。
【0022】また、本発明において、実質的にせん断力
が発生せず、かつ無脈動となる他の油剤圧送手段として
は、上記のポンプの他に、油剤噴射ノズル8の高所にタ
ンクなどを設置して揚液し、液柱差を利用して送液する
ような方法であってもよい。
【0023】また繊維束は適度に開繊、拡幅していない
とノズルで噴射された油剤が繊維束内を貫通し難く、ま
た内部での油剤の均一付着を妨げてしまう場合がある。
繊維束密度が大きい、すなわち十分に拡幅されていない
糸条に強い油剤噴射を与えても、繊維束の周囲を流れる
だけで、繊維束内部を貫通する油剤流れが得られず、油
剤浸透の効果は期待できないばかりか、噴流による糸切
れ、糸の絡み合いが多発し逆効果となる場合がある。し
たがって、開繊密度は220デシテックス/mm以下に
設定されている方が望ましい。
【0024】油剤噴射ノズル8と繊維束10の位置関係
について、油剤噴射ノズルは繊維束幅方向に均一に油剤
を噴射することが重要である。繊維束幅よりノズル幅が
狭い場合、油剤の噴射が直接当たらない箇所が発生し、
油剤の付着斑が発生する場合がある。そのため、図3に
示されるように、油剤噴射ノズル8はノズル口9に至る
経路においてノズル口9の方向に末広がり状に幅を拡大
する整流部18を持ち(図3参照)、ノズル口9は矩形
断面のように繊維束幅方向への吐出流速がほぼ一定とな
る形状であり、かつノズル幅wは繊維束幅H以上である
ことが望ましい。
【0025】ノズル口9のノズル高さtについて、狭過
ぎると正確な調整が難しいことから繊維束幅方向への油
剤噴射の不均一性が発生し易く、また広くし過ぎると断
面積が大きくなり噴射流速が低下して、繊維束内部への
油剤含浸が低下する場合がある。したがって、ノズル高
さtは1〜5mmであることが望ましい。
【0026】これら油剤噴射流に必要な条件を考慮する
と、使用ノズルとしては竹綱製作所製のハイブローノズ
ル・ミニ等のように、ノズル内部に整流部分をもち、か
つノズル部分のスライド−伸縮によりノズル高さtが容
易に調整可能で、さらにノズル幅w方向に±3%の均一
流速分布が保証されているようなノズルを使用すれば、
安価、容易に装置を設計できる。
【0027】ノズル口9と繊維束の走行する糸道の距離
について、接近しすぎると噴射によって発生した油剤の
乱流によって繊維束10が振動し、糸条同士が絡み合っ
たり、繊維束10がノズル8に接触して単糸切れ等が発
生し、繊維束10が痛みやすい。また離れていると噴射
が拡散して油剤付与効果が低減し、また糸条幅に均一に
油剤を吹き付けることが困難になる場合がある。したが
って、ノズル口9の断面中心から垂直に伸ばされた線が
繊維束の走行する糸道と交差するまでの距離をLとし
(図1参照)、L=5〜30mmであることが望ましい。
【0028】また、噴射ノズル口9は油剤液面中に浸か
っていても、ノズル周りに発生する油剤随伴流によって
油剤噴射流に空気が混入し、油剤付与の妨げになる場合
がある。したがって噴射ノズル口9は油剤液面から10
mm以上浸かっていることが望ましい。
【0029】ノズル位置は特に限定しないが、糸道ガイ
ド1,2,4,5の近傍に設置すると、糸道ガイド1,
2,4,5により繊維束10が拘束されているため、ノ
ズル噴射による油剤の含浸効果が妨げられる場合があ
る。したがってノズルの位置は糸道ガイド1,2,4,
5の中心軸から水平方向に20mm以上離して設置する
のが望ましい。またノズル配置は図1のように1個に限
ったものではなく、複数個設置して、例えば糸条ガイド
間に一つずつ設置しても良い。
【0030】油剤の噴射流量は、噴射量が少ないと油剤
付与の効果が低く、逆に多すぎると強い油剤貫通流によ
って単糸単位での切断、単糸同士の絡み合いが多くな
り、後工程の通過性を悪化させてしまう。したがって油
剤噴射量は繊維束幅1mmあたり毎分0.1〜0.5リ
ットルとするのが望ましい。
【0031】油剤供給は上述のように循環系で構成され
ているが、繊維束に油剤が付着すると、付着した分だけ
油剤が油剤槽から失われてしまう。したがって本例では
バッファータンク11に油剤量調整機構14を設けて、
補充油剤15を供給するようにしているが、他にも油剤
循環配管上に別の油剤供給装置を設けても良い。
【0032】ノズル噴射による油剤付与は上述のよう
に、油剤劣化のない油剤の循環システム、油剤噴射量、
ノズルの糸条に対する配置の仕方、繊維束の開繊密度な
どに種々の制限があるが、これらは一度システムを構築
すれば、各品種対応の際にもポンプ流量や開繊幅に合わ
せたノズル変更などによって比較的簡単に条件変更を行
うことが可能であり、少ない労力で対応することがで
る。また装置自体もコンパクトなものであるから、糸条
全体にわたって油剤を均一に付与させて高い工程安定性
が得られながら、装置構築、維持の手間も少なく、製造
原価低減の効果が比較的容易に得られる。
【0033】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明の効果を具体的
に説明する。
【0034】(実施例1)図1に示された油剤付与方法
を構成する装置を繊維束を通糸しないオフラインで稼働
させて、ポンプ循環による油剤の劣化度合いを比較する
ために次のような評価を実施した。すなわち、油剤圧送
手段として一軸偏心ネジポンプを使用し、図3に示され
たノズル幅w=50mm、ノズル高さt=2mmのノズ
ルを使用した。ノズル口8は油剤槽液面から30mmの
距離になるように設置している。使用油剤はシリコーン
系油剤を水で希釈して油剤濃度を2wt%とし、油剤噴
射量を毎分2.5リットルとして油剤循環を28時間行
い、バッファータンク11での油剤の750nm波長の
光源透過率(%)変化を2時間毎に判定して行った。試
験前の油剤の透過率は約66.6%であり、油剤の劣化
が進行すると白濁し、透過率は低下する。
【0035】(比較例1)実施例1と同様の油剤循環実
験を図3に示された油剤付与装置で行い、実施例1との
比較をおこなう。実施例との相違点は油剤を圧送するポ
ンプの種類であり、比較例1においては図4に示された
ように遠心ポンプ13を用いている。
【0036】これら実施例1と比較例1の実験結果を表
1に示す。これより遠心ポンプ13を用いた比較例1に
比べて、実施例1では油剤の劣化が低減されており、つ
まり一軸偏心ネジポンプによって油剤循環手段による油
剤機能の低下が改善されており、良好である。
【0037】
【表1】
【0038】(実施例2)繊維束を口金から紡糸し、さ
らに凝固、水洗、延伸を経て油剤工程で油剤付与し,そ
の後幾つかの熱処理工程を経て巻取られる。本実施例2
での繊維束は単糸繊度1.1デシテックスで繊維束全体
として13200デシテックスとした。最後に巻き取ら
れた繊維束を焼成し、炭素繊維を得る。焼成条件は、前
炭化温度を約650℃、炭化温度を1400℃の同条件
とし、焼成糸物性を検証した。
【0039】油剤付与方法は図1の構成の油剤付与装置
を用い、表2に示す条件にて行った。油剤槽内の繊維束
の開繊密度は180デシテックス/mmである。油剤槽
の油剤にはシリコーン系油剤を用い、これを水で希釈し
てエマルジョン状態の油剤を用い、油剤濃度は1.0w
t%とした。
【0040】上記油剤付与工程の性能評価として、単糸
接着度を判定した。単糸接着度は、油剤付与工程を通過
した繊維束を約5mmに切断し、ノイゲンSSの0.1
wt%水溶液に分散させ、スタラーで60rpmで1分
撹拌後、黒色ろ紙でろ過し、シャーレ中に分散させて5
段階で目視判定するものである。接着が全く見られない
状態を1級、ほとんどの単糸が接着している状態を5級
とした。
【0041】(比較例2)油剤付与装置に図4に示され
たノズル噴射を用いない油剤付与方法を用いた。他条件
は実施例2と同一である。試験結果を表2に示す。
【0042】(比較例3)油剤付与装置に図4に示され
たノズル噴射を用いない油剤付与方法を用い、油剤濃度
を2wt%とした。他条件は実施例2と同一である。試
験結果を表2に示す。
【0043】これら接着等級、焼成糸物性評価の試験結
果を表2にまとめた。接着等級について、実施例2にお
いては比較例2および3に比べて改善されており、良好
であった。また焼成糸物性に関して、比較例2は従来良
く用いられている高濃度油剤(2wt%)と油剤噴射を
用いない油剤槽と糸道ガイドのみによる油剤付与方法で
ある。これと比較して実施例2は油剤ノズル噴射による
油剤付与を行うことによって、より低濃度の油剤(1w
t%)で比較例2と同等の焼成糸物性が得られており良
好である。また油剤付与方法である図4の構成を用いた
方法では、油剤濃度を1wt%とした場合(比較例
3)、焼成段階で糸切れが発生し焼成糸を製造すること
ができず、結果は悪かった。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】本発明の油剤付与方法および装置は、油
剤循環時の油剤の劣化が少なく、かつ、より低濃度の油
剤で繊維束に均一に油剤を付着させることができる。し
たがって、油剤消費量を低減しながら、かつ十分な炭素
繊維物性、工程通過性を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】油剤ノズルを用いた本発明の油剤付与装置の一
例である。
【図2】本発明におけるノズルと繊維束の位置関係を表
す概略図である。
【図3】本発明に係る油剤噴射ノズル形状の一例であ
る。
【図4】従来の油剤付与装置の一例である。
【符号の説明】
1,2,4,5 ・・・ 糸道ガイド 6 ・・・ 油剤槽 7 ・・・ 油剤回収受け 8 ・・・ 油剤噴射ノズル 9 ・・・ ノズル口 10 ・・・ 繊維束 11 ・・・ バッファータンク 12 ・・・ 循環路 13 ・・・ 遠心ポンプ 14 ・・・ 油剤量調整機構 15 ・・・ 補充油剤 16 ・・・ 油剤噴流 17 ・・・ 一軸偏心ネジポンプ 18 ・・・ 整流部分 19 ・・・ 駆動モーター L ・・・ 矩形ノズル断面中心から垂直に伸ばされた
線が繊維束の走行する糸道と交差するまでの距離 w ・・・ ノズル幅 t ・・・ ノズル高さ H ・・・ 繊維束幅

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素繊維前駆体繊維束に油剤を付与するに
    際し、繊維束を油剤槽中に連続的に通過せしめ、ネジポ
    ンプを用いて油剤圧送し、繊維束全幅に油剤を噴射する
    ことを特徴とする炭素繊維前駆体繊維束の油剤付与方
    法。
  2. 【請求項2】前記油剤圧送手段として一軸偏心ネジポン
    プを用いたことを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維
    前駆体繊維束の油剤付与方法。
  3. 【請求項3】油剤槽を連続的に通過する繊維束を、22
    0デシテックス/mm以下に拡幅することを特徴とする
    請求項1または2に記載の炭素繊維前駆体繊維束の油剤
    付与方法。
  4. 【請求項4】油剤噴射に整流部分を設けた矩形断面ノズ
    ルを用い、かつ繊維束幅方向のノズル幅wが繊維束幅以
    上で、ノズル高さtが1〜5mmであることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維
    束の油剤付与方法。
  5. 【請求項5】ノズル断面中心から垂直に伸ばされた線が
    繊維束の走行する糸道と交差するまでの距離Lを5〜3
    0mmとしたことを特徴とする請求項4に記載の炭素繊
    維前駆体繊維束の油剤付与方法。
  6. 【請求項6】ノズル口を油剤槽の油剤液面から10mm
    以上浸漬させてなることを特徴とする請求項4または5
    に記載の炭素繊維前駆体繊維束の油剤付与方法。
  7. 【請求項7】油剤噴射量を繊維束幅1mmあたり毎分
    0.1〜0.5リットルとすることを特徴とする請求項
    1〜6のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維束の油剤
    付与方法。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載された油剤
    付与方法を用いたことを特徴とする炭素繊維の製造方
    法。
  9. 【請求項9】次の(a)〜(c)の3つの要件、(a)
    糸道ガイドにより規制された繊維束入口、出口および糸
    道通路を持つ油剤槽、(b)前記油剤槽内に設置されて
    おり、油剤槽内を走行する繊維束幅方向のノズル口断面
    幅が繊維束幅以上となる噴射ノズル、(c)ネジポンプ
    が用いられた油剤圧送装置、から構成された油剤ノズル
    噴射装置を具備することを特徴とする炭素繊維前駆体繊
    維束の油剤付与装置。
  10. 【請求項10】ネジポンプとして一軸偏心ネジポンプを
    用いたことを特徴とする請求項9に記載の炭素繊維前駆
    体繊維束の油剤付与装置。
  11. 【請求項11】油剤噴射ノズルが整流部分を持ち、ノズ
    ル口が矩形断面であり、かつノズル幅が繊維束糸道幅以
    上、ノズル高さtが1〜5mmであることを特徴とする
    請求項9または10に記載の炭素繊維前駆体繊維束の油
    剤付与装置。
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