JP2002242632A - 船外機 - Google Patents

船外機

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JP2002242632A JP2001037601A JP2001037601A JP2002242632A JP 2002242632 A JP2002242632 A JP 2002242632A JP 2001037601 A JP2001037601 A JP 2001037601A JP 2001037601 A JP2001037601 A JP 2001037601A JP 2002242632 A JP2002242632 A JP 2002242632A
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治男 津坂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オイルポンプのポンプボディを介して結合さ
れる機関本体とマウントケースとの連結部分の小型軽量
化により、船外機の小型軽量化を図る。 【解決手段】 船外機は、上下方向を指向するクランク
軸36、機関本体の下方でクランク軸36に設けられたフラ
イホイール56、オイルポンプ58および機関本体の結合壁
61,62に結合されたオイルポンプ58のポンプボディ65に
より形成されてフライホイール56を収納するフライホイ
ール室59を有する内燃機関と、機関本体が結合される支
持壁64を有するマウントケース4とを備える。機関本体
は、結合壁61,62にて、結合壁61,62とポンプボディ65
の外周壁63と支持壁64とがクランク軸36の回転軸線方向
で重なるように、外周壁63を介して支持壁64に結合され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の機関本
体の下方に配置されたフライホイールを収納するフライ
ホイール室が、オイルポンプのポンプボディにより形成
される船外機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、内燃機関のクランク軸により駆動
されるフライホイールが、機関本体の下方であってマウ
ントケースとの間に配置された船外機が知られている。
例えば、特開平10−231734号公報に開示された
船外機では、上下方向を指向するクランク軸を有する内
燃機関の機関本体を構成するシリンダブロックおよびク
ランクケースが、その下端部に形成された結合部にてマ
ウントケースに形成された支持部に結合される。機関本
体の下方には、クランク軸の下端部に設けられたフライ
ホイールが配置され、その下方にオイルポンプが配置さ
れる。そして、フライホイールは、機関本体の下端部に
結合されたオイルポンプのポンプボディにより形成され
るフライホイール室に収納され、機関本体の結合部およ
びマウントケースの支持部は、該ポンプボディの外周を
包囲するようにして相互に結合される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記従来技
術では、ポンプボディと、機関本体の結合部およびマウ
ントケースの支持部との間には、径方向の間隙が全周に
渡って形成されるため、結合部および支持部の外径が大
きくなると共に重量が増加し、さらには内燃機関および
マウントケースを覆うカバーが大きくなって、船外機が
大型化し、またその重量が増加する難点があった。
【0004】本願発明は、このような事情に鑑みてなさ
れたもので、請求項1ないし請求項3記載の発明は、オ
イルポンプのポンプボディを介して結合される機関本体
とマウントケースとの連結部分の小型軽量化により、船
外機の小型軽量化を図ることを目的とする。さらに、請
求項3記載の発明は、機関本体の支持強度を向上させる
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】請求項
1記載の発明は、上下方向を指向するクランク軸、機関
本体の下方で前記クランク軸に設けられたフライホイー
ル、前記クランク軸の動力により駆動されるオイルポン
プ、および前記機関本体の結合部に結合された該オイル
ポンプのポンプボディにより形成されて前記フライホイ
ールを収納するフライホイール室を有する内燃機関と、
前記機関本体が結合される支持部を有するマウントケー
スとを備えた船外機において、前記機関本体は、前記結
合部にて、該結合部と前記ポンプボディの外周部と前記
支持部とが前記クランク軸の回転軸線方向で重なるよう
に、該外周部を介して該支持部に結合される船外機であ
る。
【0006】この請求項1記載の発明によれば、機関本
体の結合部とポンプボディの外周部とマウントケースの
支持部とが、クランク軸の回転軸線方向で重なるように
結合されるため、ポンプボディの外周を包囲して結合部
および支持部を設ける必要がなく、結合部および支持部
の外径を、フライホイール室を形成するポンプボディが
フライホイールを収納することができる範囲で極力小さ
くすることができる。
【0007】しかも、マウントケースはポンプボディの
外周部が結合部および支持部と、回転軸線方向で重なる
ように配置されるため、結合部がポンプボディを介して
支持部に結合されて支持されるにも拘わらず、結合部を
通じてポンプボディの外周部に作用する内燃機関の重量
は、外周部を介してマウントケースの支持部により受け
止められるので、該重量に起因する曲げモーメントがポ
ンプボディに作用することがない。
【0008】その結果、次の効果が奏される。すなわ
ち、機関本体は、フライホイール室を形成するポンプボ
ディが結合される結合部にて、ポンプボディの外周部を
介してマウントケースの支持部に結合されるので、機関
本体とマウントケースと連結部分である結合部、外周部
および支持部の外径を、ポンプボディがフライホイール
を収納できる範囲で極力小さくできると共に軽量化でき
るので、船外機を小型軽量化できる。しかも、結合部を
通じてポンプボディの外周部に作用する内燃機関の重量
は、マウントケースの支持部により受け止められるの
で、該重量に起因する曲げモーメントにより、ポンプボ
ディに変形が生じることが防止され、そのような変形を
防止すべくポンプボディの剛性を大きくする必要がない
ため、この点でもポンプボディの軽量化、ひいては船外
機の軽量化ができる。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1記載の船
外機において、前記船外機は、スイベル軸を有する取付
装置により船体に取り付けられ、前記外周部は前記フラ
イホイール室の周壁を構成し、該周壁は単一壁部分を有
し、該周壁の左壁部および右壁部は該単一壁部分から構
成され、前記結合部および前記支持部の左右方向の外径
は、前記左壁部および前記右壁部で規定される前記周壁
の左右方向での外径とほぼ等しいものである。
【0010】この請求項2記載の発明によれば、ポンプ
ボディの外周部により構成されるフライホイール室の周
壁のうち、左壁部および右壁部は、単一壁、すなわちフ
ライホイールの径方向に一重の壁により構成され、しか
も結合部および支持部の左右方向の外径が、左壁部およ
び右壁部により規定される周壁の左右方向での外径とほ
ぼ等しいので、結合部、外周部および支持部の左右方向
での外径を、フライホイール室の周壁を形成するのに必
要な最小値に基づく小さな値に設定することができる。
【0011】その結果、請求項1記載の発明の効果に加
えて、次の効果が奏される。すなわち、結合部、外周部
および支持部の左右方向での外径を、フライホイール室
を形成するポンプボディがフライホイールを収納する範
囲で極力小さくできるので、これら部分で構成される連
結部分を覆うカバーの左右方向の寸法も小さくなり、ス
イベル軸を中心とした船外機の左右方向の回動時、連結
部分の左右方向で、船外機が外部の部材と干渉すること
が抑制され、転舵の際に船外機の左右方向の回動範囲を
大きくすることができて、操縦性が向上する。
【0012】請求項3記載の発明は、請求項2記載の船
外機において、前記周壁は二重壁部分を有し、該周壁の
前壁部および後壁部は該二重壁部分から構成され、前記
結合部および前記支持部の前後方向の外径は、前記前壁
部および前記後壁部で規定される前記周壁の前後方向で
の外径とほぼ等しいものである。
【0013】この請求項3記載の発明によれば、ポンプ
ボディの外周部により構成される周壁の前壁部および後
壁部が二重壁部分、すなわちフライホイールの径方向に
間隔をおいた二重の壁により構成され、しかも結合部お
よび支持部の前後方向の外径が前壁部および後壁部によ
り規定される周壁の前後方向での外径とほぼ等しいこと
ことにより、支持強度が向上し、さらに支持部により支
持される機関本体の範囲が拡大する。
【0014】その結果、請求項2記載の発明の効果に加
えて、次の効果が奏される。すなわち、ポンプボディの
外周部により構成される周壁の前壁部および後壁部が二
重壁部分とされ、しかも結合部および支持部の前後方向
の外径が周壁の前後方向での外径とほぼ等しいことこと
により、支持部の左右方向の外径が小さいにも拘わらず
支持強度が向上して、機関本体の支持強度を十分に確保
でき、さらに支持部により支持される機関本体の範囲も
拡大するので、機関本体をより安定した状態で支持でき
る。
【0015】この明細書において、「前後左右」は、船
外機が搭載される船体の「前後左右」を基準としたもの
を意味する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図1ない
し図11を参照して説明する。本発明の実施例である船
外機1の概略右側面図である図1を参照すると、船外機
1は、上下方向を指向したクランク軸36(図2参照)を
有する内燃機関2を備える。内燃機関2の機関本体3は
マウントケース4に支持され、該マウントケース4の下
端部には、オイルパン5と、該オイルパン5を含め機関
本体3から下方に延びる部材を覆うエクステンションケ
ース6とが結合される。エクステンションケース6の上
端部にはアンダカバー7が結合され、アンダカバー7の
上端部には機関本体3を覆うエンジンカバー8が結合さ
れて、アンダカバー7およびエンジンカバー8により機
関本体3が収納されるエンジンルームが形成される。そ
して、エクステンションケース6の下端部には、前後進
切換装置10を収納するギヤケース9が結合される。
【0017】クランク軸36に一体回転可能に結合された
駆動軸11はエクステンションケース6内を下方へ延びて
ギヤケース9内に達し、駆動軸11の下端部はギヤケース
9内の前後進切換装置10を介して、プロペラ13が取り付
けられたプロペラ軸12に結合される。それゆえ、内燃機
関2の動力は、クランク軸36、駆動軸11、前後進切換装
置10およびプロペラ軸12を経てプロペラ13に伝達され
て、プロペラ13が回転駆動される。
【0018】図2および図3も併せて参照すると、船外
機1は取付装置Fにより船体Tに取り付けられる。該取
付装置Fは、スイベル軸14と、該スイベル軸14を回動自
在に支持するスイベルケース15と、スイベルケース15を
回動自在に支持するチルト軸16と、上端部において該チ
ルト軸16が固定され、船体Tの後端に固定されるスター
ンブラケット17とを備える。そして、マウントフレーム
18と一体成形されるスイベル軸14は、その上端部におい
て、マウントフレーム18に固定される1対のスタッドボ
ルトB1によりにマウントケース4にマウントラバーR1を
介して固定され、またその下部においてスプライン結合
されるハウジング19に固定される1対のスタッドボルト
(図示されず)によりエクステンションケース6にマウ
ントラバーR2を介して固定される。
【0019】この取付装置Fにより、船外機1は、スイ
ベル軸14の中心軸線L2を回動軸線として左右方向に揺動
され、チルト軸16の中心軸線L3を回動軸線として上下方
向に揺動される。なお、船体Tの前進・後進を切り換え
るシフト操作部の操作は、図2および図3に示されるよ
うに、相互に噛合する一対のセグメントギヤ21a,21bを
介して連動する一対のシフト軸20a,20bを通じて、筒状
のスイベル軸14の内部を挿通するシフトロッド22を回動
させ、該シフトロッド22の回動に基づいて前後進切換装
置10による前進・後進の切換がなされる。
【0020】図2ないし図4を参照して、内燃機関2に
ついてさらに説明する。内燃機関2は、V型6気筒水冷
式のSOHC型の4サイクル内燃機関であり、その機関
本体3は、機関本体3の前部を構成するクランクケース
30と、シリンダブロック31と、各バンクのシリンダヘッ
ド32およびヘッドカバー33と、アッパシールカバー34お
よびロアシールカバー35とから構成される。そして、ク
ランクケース30、シリンダブロック31、シリンダヘッド
32およびヘッドカバー33は、この順で船体Tの前方から
後方に向かって組み付けられている。
【0021】シリンダブロック31の1対のバンクは、平
面視で、後方に向かって開いたV字を形成し(図4参
照)、各バンクは上下方向にクランク軸36に沿って配列
された3つのシリンダ31cから構成される。さらに、シ
リンダブロック31は、その左右の側壁部がクランク軸36
の回転軸線L1を超えて前方に延びるスカート部を構成
し、クランクケース30の合わせ面S1と密接する合わせ面
S2が回転軸線L1よりも前方に位置する、いわゆるディー
プスカート型のシリンダブロック31である。そのため、
シリンダブロック31の上壁31bおよび下壁31aには、シリ
ンダブロック31前部、スカート部およびクランクケース
30と共にクランク室37を形成すべく、クランク軸36が液
密状態で貫通する孔を有するアッパシールカバー34およ
びロアシールカバー35が、シリンダブロック31とクラン
クケース30とにボルトにより結合され、両シールカバー
34,35のクランクケース30との合わせ面は、合わせ面S2
と同一平面上にある。そして、クランク室37の底壁は、
ロアシールカバー35とクランクケース30の底壁とにより
構成される。
【0022】また、各バンクのシリンダヘッド32には、
各シリンダ31cに摺動自在に嵌合されたピストン38との
間に形成される燃焼室39に開口する1対の吸気口を開閉
する1対の吸気弁40と、燃焼室39に開口する1対の排気
口を開閉する1対の排気弁41とが設けられ、さらに点火
栓42が燃焼室39の中央に臨んで装着される。ピストン38
はコンロッド43を介してクランク軸36に連結され、クラ
ンク軸36が往復動するピストン38により回転駆動され
る。クランク軸36の4箇所のジャーナル部は、それぞれ
シリンダブロック31と該シリンダブロック31に取り付け
られるベアリングキャップ44とにより、プレーンベアリ
ングを介して支持され、これによってクランク軸36がシ
リンダブロック31に対して回転自在とされる。
【0023】アッパシールカバー34から上方に突出する
クランク軸36の上端部には、第1駆動プーリ45およびそ
の上方に第2駆動プーリ46が結合される。第1駆動プー
リ45と、各バンクのシリンダヘッド32に回転自在に支持
されて上下方向を指向するカム軸49の上端部に結合され
た第1被動プーリ47とに渡ってタイミングベルトが巻き
掛けられ、両バンクのカム軸49がクランク軸36の1/2
の回転数で回転駆動される。そして、カム軸49、該カム
軸49に設けられた吸気カムおよび排気カム、それらカム
にそれぞれ当接して揺動されて吸気弁40および排気弁41
をそれぞれ開閉する吸気ロッカアームおよび排気ロッカ
アーム等により構成される動弁機構Vが、シリンダヘッ
ド32とヘッドカバー33とで形成される動弁室50内に収納
される。一方、第2駆動プーリ46と交流発電機Gの回転
軸の上端部に結合された第2被動プーリ48とに渡って駆
動ベルトが巻き掛けられ、回転軸がクランク軸36により
回転駆動される。
【0024】また、一端に1対の吸気口が設けられた各
吸気ポートの他端には、燃料噴射弁が設けられた吸気マ
ニホルド52(図4参照)の下流端部が接続され、燃焼用
の空気が、エンジンカバー8の空気取入口8aに接続され
るスロットル弁を有する吸気ダクト51および吸気マニホ
ルド52からなる吸気装置および吸気ポートを経て、各燃
焼室39に前記燃料噴射弁から噴射された燃料と共に供給
される。一方、一端に1対の排気口が設けられた各排気
ポートの他端には、排気マニホルド53の上流端が接続さ
れ、各燃焼室39からの燃焼ガスが、排気ポート、そして
排気マニホルド53および排気管54(図8参照)からなる
排気装置、さらにエクステンションケース6およびギヤ
ケース9を経て、排出口から水中に排出される。
【0025】一方、機関本体3の下端部付近の拡大図で
ある図3によく示されるように、ロアシールカバー35か
ら下方に突出するクランク軸36の下端部には、外周にリ
ングギヤ55が設けられたフライホイール56がボルトによ
り結合され、該フライホイール56の下面に、円筒状のス
プラインピース57がボルトにより結合され、さらにスプ
ラインピース57にその内孔57a内で駆動軸11の上端部が
スプライン結合され、駆動軸11がクランク軸36と一体回
転する。そして、フライホイール56の下方に位置して、
クランク軸36の動力により回転駆動されるトロコイド型
のオイルポンプ58が設けられる。
【0026】図5ないし図7を併せて参照すると、機関
本体3の下方に配置されているフライホイール56は、シ
リンダブロック31およびクランクケース30にポンプボデ
ィ65がボルト(図示されず)により結合されることで形
成されるフライホイール室59に収納される。フライホイ
ール室59は、回転軸線方向(クランク軸36の回転軸線L1
が延びる方向を意味し、以下、単に「回転軸線方向」と
いう)で対向する底壁59aおよび上壁59bと、フライホイ
ール56の径方向で外方に位置する周壁60とを有する。上
壁59bは、シリンダブロック31の下壁31aとロアシールカ
バー35とクランクケース30の底壁30aから構成され、下
壁59aは、ポンプボディ65から構成され、周壁60は、ク
ランクケース30の底壁30aの下面から下方に突出する突
出壁からなる結合壁61と、ロアシールカバー35の径方向
で外方を囲んでシリンダブロック31の下壁31aの下面か
ら下方に向かって突出する突出壁からなる結合壁62と、
ポンプボディ65の外周壁63により構成される。
【0027】図4に代表して示されるように、周壁60
は、回転軸線L1を含みチルト軸16の中心軸線L3と直交す
る基準平面P0(この基準平面P0は、回転軸線L1およびス
イベル軸14の中心軸線L2を含む平面でもある)と平行な
平面であって、フライホイール56にその左側で接する第
1平面P1と、右側で接する第2平面P2を境にして、第1
平面P1よりも左方にほぼ位置する左壁部60aと、第2平
面よりも右方にほぼ位置する右壁部60bと、第1,第2
平面P1,P2の間にあって、前方に位置する前壁部60cお
よび後方に位置する後壁部60dとから構成される。
【0028】そして、図4、図5、図7に示されるよう
に、左壁部60aおよび右壁部60bは、フライホイール56の
径方向において一重の壁から構成されることから、周壁
60の単一壁部分であり、前壁部60cおよび後壁部60dは、
フライホイール56の径方向に間隔をおいて位置する内壁
60c1,60d1および外壁60c2,60d2の二重の壁から構成さ
れることから、周壁60の二重壁部分である。そして、左
壁部60a、右壁部60b、前壁部内壁60c1および後壁部内壁
60d1により、平面視で、フライホイール室59の、回転軸
線L1を中心とするほぼ円形の内周壁面60eを形成する内
周壁が構成される。
【0029】オイルポンプ58は、図5ないし図7に示さ
れるように、駆動軸11が液密状態で貫通する孔65aを有
するポンプボディ65と、その下面にネジ止めされる外周
壁63よりも小径で、やはり駆動軸11が液密状態で貫通す
る孔66aを有するポンプカバー66とを備える。さらに、
オイルポンプ58は、クランク軸36がポンプ駆動軸となる
ように、スプラインピース57に一体回転可能に結合され
たインナロータ58aと、該インナロータ58aと摺接して回
転するアウタロータ58bとを備え、両ロータ58a,58b
は、ポンプボディ65とポンプカバー66とで形成されるロ
ータ収納室に配置されて、両ロータ58a,58b間に容積可
変空間からなる複数のポンプ室58cを形成する。
【0030】さらに、図6に示されるように、ポンプボ
ディ65には吸入ポート58dおよび吐出ポート58eが形成さ
れ、吸入ポート58dの流入口58d1に、フライホイール56
の下方に配置されているオイルパン5内で下方に延びる
オイル吸入管23の上端が接続され、吐出ポート58eの流
出口58e1は、外周壁63の合わせ面S5に開口し、クランク
ケース30の後述する合わせ面S3に開口するケース油路85
の流入口85a(図4参照)に接続される。
【0031】ところで、機関本体3は、ポンプボディ65
を介してマウントケース4に複数のボルトB2(図3には
そのうちの1本が示されている)により結合されて支持
される。具体的には、機関本体3は、マウントケース4
に結合される部分であって結合部としての結合壁61,62
にて、ポンプボディ65の外周部としての外周壁63を介し
て、マウントケース4の支持部としての環状の支持壁64
に多数のボルトB2により結合される。以下、図3ないし
図8を参照して、機関本体3の支持構造を構成するこれ
ら結合壁61,62、外周壁63および支持壁64、さらにこれ
ら部分に形成される通路について説明する。
【0032】図4および図5を参照すると、シリンダブ
ロック31およびクランクケース30の結合壁61,62の下端
面は、同一平面上にあると共に、両下端面の協働によ
り、ポンプボディ65の外周壁63の上端面で構成される平
面からなる合わせ面S5と整合する形状を有する合わせ面
S3,S4を構成する。
【0033】クランクケース30の結合壁61について説明
すると、図4に示されるように、結合壁61は、周壁60の
左壁部60a、右壁部60bおよび前壁部60cをそれぞれ構成
する左側結合壁61a、右側結合壁61bおよび前側結合壁61
cとから構成される。前側結合壁61cは、周壁60の前壁部
内壁60c1を構成する内側結合壁61c1と、内側結合壁61c1
の径方向外方で前方に間隔をおいて位置して前壁部外壁
60c2を構成する外側結合壁61c2とからなる。そして、内
側結合壁61c1および外側結合壁61c2の間に底壁30aを上
壁として形成される凹部からなる空間61sには第1戻り
油路71が形成される。第1戻り油路71は、クランクケー
ス30の底壁30aに形成される貫通孔からなる第1流入口7
1aおよび第2流入口71bを有する。さらに、底壁30aに
は、該空間61sに連通して基準平面P0上に中心軸線L2を
有するシフト軸20aが挿通する挿通孔30bが設けられる
(図3も併せて参照)。そして、第1流入口71aは、挿
通孔30bの右方に位置して、その全体がケース油路85の
流入口85aよりも基準平面P0に近い位置に開口してお
り、第2流入口71bは、挿通孔30bの左方に位置して、そ
の一部が流入口85aよりも基準平面P0に近い位置に開口
している。
【0034】一方、シリンダブロック31の結合壁62は、
周壁60の左壁部60a、右壁部60bおよび後壁部60dをそれ
ぞれ構成する左側結合壁62a、右側結合壁62bおよび後側
結合壁62dとから構成される。このうち、左側結合壁62a
には、リングギヤ55に噛合するピニオン67aを有するス
タータモータ67が収納される収納部62a1を形成するため
に、径方向外方に膨出する膨出部が形成される。そし
て、左壁部60aを構成する後述する左側外周壁63a、そし
て後述する左側支持壁64aには、収納部62a1に対応する
形状の膨出部63a1,64a1が形成される。
【0035】また、後側結合壁62dは、周壁60の後壁部
内壁60d1を構成する内側結合壁62d1と、内側結合壁62d1
の径方向外方で後方に間隔をおいて位置して後壁部外壁
60d2を構成する外側結合壁62d2とからなる。そして、内
側結合壁62d1および外側結合壁62d2の間に下壁31aを上
壁として形成される凹部からなる空間62sには、基準平
面P0と交差する位置であって左右の両端部に合わせ面S4
を構成する面を有する1対の仕切壁62eを有する凹所か
らなる第1排水路76が形成され、第1排水路76の右端部
に隣接して貫通孔からなる第2戻り油路72が形成され
る。第2戻り油路72は、シリンダブロック31の下壁31a
に設けられて動弁室50に開口する戻り通路(図示され
ず)に連通する。また、シリンダブロック31の下壁31a
には、第1排水路76をシリンダブロック31の冷却水ジャ
ケットに連通させる1対の流入孔77が設けられる。な
お、K1は補強用のリブである。
【0036】また、結合壁61,62には、合わせ面S3,S4
にそれぞれ開口して、支持壁64に挿通される複数のボル
トB2がそれぞれ螺合する複数のねじ孔H1が設けられ、さ
らに両内側結合壁61c1,62d1には、機関本体3がマウン
トケース4に結合される前に、オイルポンプ58を結合壁
61,62に部分的に固定するための4本のボルトがそれぞ
れ螺合する4つのねじ孔H2が設けられる。
【0037】図5を参照すると、ポンプボディ65の外周
壁63は、結合壁61,62の左側結合壁61a,62a、右側結合
壁61b,62b、前側結合壁61cの内側結合壁61c1と外側結
合壁61c2、および後側結合壁62dの内側結合壁62d1と外
側結合壁62d2にそれぞれ対応する左側外周壁63a、右側
外周壁63b、前側外周壁63cの内側周壁63c1と外側周壁63
c2、および後側外周壁63dの内側周壁63d1と外側周壁63d
2を有する。ここで、左側外周壁63a、右側外周壁63b、
前側外周壁63cの内側周壁63c1と外側周壁63c2、および
後側外周壁63dの内側周壁63d1と外側周壁63d2が、それ
ぞれ周壁60の左壁部60a、右壁部60b、前壁部60cの前壁
部内壁60c1と前壁部外壁60c2、および後壁部60dの後壁
部内壁60d1と後壁部外壁60d2をそれぞれ構成する。な
お、K2は補強用のリブである。
【0038】そして、前側外周壁63の内側周壁63c1およ
び外側周壁63c2の間に貫通孔により形成される空間63cs
には、第1戻り油路71に対応する形状の貫通孔からなる
第3戻り油路73が形成され、後側外周壁63dの内側周壁6
3d1および外側周壁63d2の間に形成される空間63dsに
は、第1排水路76および第2戻り油路72にそれぞれ対応
する形状を有し、共に貫通孔からなる第2排水路78およ
び第4戻り油路74が形成される。
【0039】図7を参照すると、ポンプボディ65の合わ
せ面S5が前述のように合わせ面S3,S4と整合する一方
で、ポンプボディ65の下端面であって、マウントケース
4の支持壁64の上端面である合わせ面S7と整合する形状
を有する合わせ面S6は、左側外周壁63a、右側外周壁63
b、前側外周壁63cの外側周壁63c2、および後側外周壁63
dの外側周壁63d2の下端面と、第2排水路78を形成する
内側周壁63d2の一部および左右の仕切壁63eの下端面と
により形成される。
【0040】また、左側外周壁63a、右側外周壁63b、前
側外周壁63cの外側周壁c2および後側外周壁63dの外側周
壁63d2には、両合わせ面S5,S6に開口して、支持壁64に
挿通されて結合壁61,62のねじ孔H1に螺合される複数の
ボルトB2がそれぞれ挿通される複数の貫通孔H3が設けら
れ、両内側周壁63c1,63d1には、オイルポンプ58を部分
的に固定する前記4本の前記ボルトがそれぞれ挿通され
る4個の貫通孔H4が設けられる。
【0041】次に、図8を参照すると、マウントケース
4には、結合壁61,62との間でポンプボディ65の外周壁
63を挟持した状態で、結合壁61,62が複数のボルトB2に
より外周壁63と共に結合される支持壁64が上方に突出し
て設けられ、これらボルトB2が結合されることで、両合
わせ面S3,S4と合わせ面S5との間、および合わせ面S6と
合わせ面S7との間が液密状態とされる。それゆえ、各合
わせ面S3〜S7はシール面を構成する。支持壁64は、外周
壁63の左側外周壁63a、右側外周壁63b、前側外周壁63c
の外側周壁63c2および後側外周壁63dの外側周壁63d2に
それぞれ対応する左側支持壁64a、右側支持壁64b、前側
支持壁64cおよび後側支持壁64dの外側壁64d2からなる環
状の外側支持壁と、第2排水路78を形成する内側周壁63
d1の一部および仕切壁63eにそれぞれ対応する後側支持
壁64dの内側壁64d1および仕切壁64eを有する。そして、
前記外側支持壁および内側壁64d1には、支持壁64に挿通
される複数のボルトB2がそれぞれ挿通される複数の貫通
孔H5が設けられる。
【0042】したがって、このような支持壁64を有する
マウントケース4により、機関本体3が結合壁61,62に
て支持されるため、ポンプボディ65は、その外周壁63が
結合壁61,62と支持壁64とで挟持された状態で、支持壁
64および外周壁63に設けられた貫通孔H5,H3を挿通し、
結合壁61,62に設けられたネジ孔H1に螺合する複数のボ
ルトB2により、しかも結合壁61,62の左側結合壁61a,6
2a、右側結合壁61b,62bおよび両外側結合壁61c2,62d
2、外周壁63の左側外周壁63a、右側外周壁63bおよび両
外側周壁63c2,63d2、そして支持壁64の前記外側支持壁
が、回転軸線方向でほぼ全体が重なるようにして、機関
本体3と共に一体的にマウントケース4に結合される。
そして、マウントケース4の支持壁64、ポンプボディ65
の外周壁63および結合壁61,62は、機関本体3をポンプ
ボディ65を介してマウントケース4に結合するための連
結部分を構成し、支持壁64の外径は、左右方向での外径
を含めてその全周において、フライホイール室59の周壁
60を構成する結合壁61,62および外周壁63の外径にほぼ
等しい。したがって、周壁60の左右方向の外径は、左側
結合壁61a,62aおよび左側外周壁63aと、右側結合壁61
b,62bおよび右側外周壁63bとにより規定され、周壁60
の前後方向の外径は、前側結合壁61cの外側結合壁61c2
および前側外周壁63cの外側周壁63c2と、後側結合壁62d
の外側結合壁62d2および後側外周壁63dの外側周壁63d2
とにより規定される。
【0043】また、マウントケース4には、第2排水路
78に対応する形状を有する凹所からなる第3排水路79の
左右の両端部には、マウントケース4の下面に接続され
る排水管(図示されず)に連通する1対の排水孔80が設
けられる。そして、第3排水路79の前方には、スイベル
軸14とマウントケース4を結合するスタッドボルトB1が
挿通されるマウントラバーR1を収納する収納室81が設け
られ、該収納室81と第3排水路79との間には、貫通孔か
らなり潤滑油をオイルパン5内に落下させる第5戻り油
路75が設けられる。なお、第5戻り油路75の、基準平面
P0と交差する部分には、オイル吸入管23(図2参照)が
挿通される。さらに、支持壁64とポンプボディ65とが結
合されることにより、ポンプボディ65およびポンプカバ
ー66を上壁とし、マウントケース4を下壁として形成さ
れる戻り油の集合室82において、支持壁64に囲まれ、か
つ駆動軸11およびシフト軸が液密状態でそれぞれ貫通す
る孔84a,84bを有するマウントケース4の上面は、第
1,第3戻り油路71,73から落下した潤滑油を受け止
め、第5戻り油路75に案内する案内面83を形成する。ま
た、第2,第4戻り油路72,74から落下した潤滑油の大
部分は、第5戻り油路75の右端部からオイルパン5内に
落下する。
【0044】さらに、支持壁64の後方には、シリンダブ
ロック31の両バンクの排気マニホルド53にそれぞれ接続
される1対の排気管54が設けられ、図示されないウォー
タポンプから圧送された冷却水が通る冷却水供給管24
(図2参照)からの冷却水がオイルパン5の上部に設け
られた冷却水通路から排気管54の周囲の通路を通ってジ
ョイント85からシリンダブロック31およびシリンダヘッ
ド32の冷却水ジャケットに供給される。
【0045】このように、マウントケース4の支持壁64
は、フライホイール室59を形成するポンプボディ65の外
周壁63が結合される結合壁61,62と外周壁63を挟んでボ
ルトB2により結合されて、機関本体3を支持するため、
結合壁61,62、外周壁63および支持壁64は、第1平面P1
および第2平面P2に沿って、シリンダブロック31および
クランクケース30の左側結合壁61a,62aおよび右側結合
壁61b,62b、ポンプボディ65の外周壁63の左側外周壁63
aおよび右側外周壁63b、支持壁64の左側支持壁64aおよ
び右側支持壁64bが、いずれも左右方向でほぼ同一外径
の単一壁を形成する。それゆえ、結合壁61,62、外周壁
63および支持壁64の左右方向での外径を、周壁60がフラ
イホイール56を収納する範囲で極力小さくすることがで
きる。そして、この単一壁の左右方向での外径に対応し
て、その径方向外方を覆うアンダカバー7および該アン
ダカバー7に結合されるエンジンカバー8の左右方向で
の寸法を小さくすることができる。
【0046】次に、図2、図9ないし図11を参照し
て、潤滑系統について説明する。オイルポンプ58の吐出
ポート58eから吐出された潤滑油が流入するケース油路8
5は、図9に示されるように、クランクケース30の右端
寄りに設けられて上下方向に延び、その上端部に位置す
る流出口85bは、アッパシールカバー34に設けられたカ
バー油路(図示されず)に連通する。そして、ケース油
路85の途中には、機関本体3の前部を構成するクランク
ケース30の前面に取り付けられたオイルフィルタ86(図
2参照)が設けられ、流入口85aからの潤滑油は、オイ
ルフィルタ86で潤滑油中に混入している異物が取り除か
れた後、流出口85bに向かって流れる。
【0047】前記カバー油路は、シリンダブロック31の
V字の谷部を形成する部分に設けられたメインギャラリ
を構成するブロック油路(図示されず)に連通し、さら
に該ブロック油路はシリンダヘッド32に設けられたヘッ
ド油路(図示されず)に連通する。そして、前記ブロッ
ク油路の潤滑油は、クランク軸36の4箇所のジャーナル
部に供給されると共に、ジャーナル部に供給された潤滑
油の一部が、クランク軸36の内部に設けられた油孔を経
てクランクピンとコンロッド43の大端部との連結部に供
給されるなどして、クランク室37内においてクランク軸
36の摺動部やその他のクランク室37内に存する部材の摺
動部を潤滑する一方、前記ヘッド油路を経て動弁室50内
の動弁機構Vの摺動部に供給されて、該摺動部を潤滑す
る。
【0048】それゆえ、ケース油路85、前記カバー油
路、前記ブロック油路および前記ヘッド油路は、オイル
ポンプ58から吐出された潤滑油を、前述の摺動部等の機
関本体3の潤滑箇所に供給する供給油路を構成し、この
うち、機関本体3の前部を構成するクランクケース30に
形成されるケース油路85は前側供給油路を構成する。
【0049】そして、クランク室37内の摺動部を潤滑し
終えた潤滑油は、ロアシールカバー35の上面およびクラ
ンクケース30の底壁30aの上面に落下する。また、動弁
室50内の摺動部等を潤滑し終えた潤滑油の一部は、シリ
ンダブロック31に設けられた前記戻り通路および複数の
ブリーザ通路(図示されず)を経てクランク室37内に流
入して、ロアシールカバー35の上面に落下する。そし
て、ロアシールカバー35の上面およびクランクケース30
の底壁30aの上面に流下または落下した潤滑油は、図1
0および図11に示されるように、底壁30aに開口する
第1、第2流入口71a,71bを有する第1戻り油路71およ
び外周壁63の第3戻り油路73からなる前側戻り油路を経
てマウントケース4の案内面83に落下し、その後マウン
トケース4の第5油路75を通ってオイルパン5内に落下
する。
【0050】ここで、第1、第2流入口71a,71bは、図
11によく示されるように、平面視で、クランクケース
30の底壁30aの上面30a1と前壁30cの内壁面30c1とで形成
される前方へ突出する突出空間87の最前部87aにおい
て、底壁60aの上面30a1から立ち上がる内壁面30c1を有
する前壁30cの立上がり開始部30c2の近傍の底壁30aに設
けられる。ここで、立上がり開始部30c2近傍とは、立上
がり開始部30c2が第1,第2流入口71a,71bの開口の一
部となっている場合、および立上がり開始部30c2は流入
口71a,71bの開口の一部となっていないが、第1,第2
流入口71a,71bと立上がり開始部30c2との間に潤滑油の
滞留が殆ど生じない程度の距離が存するような第1,第
2流入口71a,71bの位置を意味する。
【0051】このように、第1、第2流入口71a,71b
は、突出空間87の最前部87aでしかも立上がり開始部30c
2近傍に位置するため、船が浅瀬を航走するときなど、
船外機1がチルトアップされる状態での運転時に、機関
本体3が前方に傾斜し、クランクケース30の底壁30aが
前下方に傾斜したとき、底壁30a上を流れる潤滑油のほ
ぼ全部が、底壁30a上に滞留することなく第1、第2流
入口71a,71bに流入し、第1戻り油路71から外周壁63の
第3戻り油路73を経て案内面83に落下し、さらに第5戻
り油路75を通ってオイルパン5内に落下する。
【0052】一方、動弁室50からの潤滑油は、第2戻り
油路72と第4戻り油路74とから構成される後側戻り油路
そして第5戻り油路75を通ってオイルパン5内に落下す
る。さらに、動弁室50内の摺動部等を潤滑し終えた潤滑
油のうち、クランク室37内に流出した一部以外の残りの
潤滑油は、ヘッドカバー33に取り付けられた戻り管25
(図2参照)を通ってオイルパン5内に落下する。それ
ゆえ、第1〜第5戻り油路71〜75、前記戻り通路および
戻り管25は、前記潤滑箇所に供給された潤滑油をオイル
パン5に帰還させる戻り油路を構成する。
【0053】次に、前述のように構成された実施例の作
用および効果について説明する。結合壁61,62の左側結
合壁61a,62a、右側結合壁61b,62bおよび外側結合壁61
c2,62d2、外周壁63の左側外周壁63a、右側外周壁63b、
外側周壁63c2および外側周壁63d2、および支持壁64の前
記外側支持壁は、回転軸線方向でほぼ全体が重なるよう
にして結合されるため、ポンプボディ65の外周を包囲し
て結合壁および支持壁を設ける必要がなく、機関本体3
とマウントケース4との連結部分である結合壁61,62、
外周壁63および支持壁64の外径を、フライホイール室59
の周壁60を構成するポンプボディ65がフライホイール56
を収納する範囲で極力小さくすることができるので、船
外機1を小型軽量化できる。
【0054】しかも、前述のようにポンプボディ65の外
周壁63が結合壁61,62および支持壁64と、回転軸線方向
で重なるように配置されるため、結合壁61,62がポンプ
ボディ65を介して支持壁64に結合されて支持されるにも
拘わらず、結合壁61,62を通じて外周壁63に作用する内
燃機関2の重量は、外周壁63を介してマウントケース4
の支持壁64により受け止められるので、該重量に起因す
る曲げモーメントがポンプボディ65に作用することがな
い。そのため、該重量に起因する曲げモーメントによ
り、ポンプボディ65が変形することが防止され、そのよ
うな変形を防止すべくポンプボディ65の剛性を大きくす
る必要がないので、この点でもポンプボディ65の軽量
化、ひいては船外機1の軽量化ができる。
【0055】外周壁63および結合壁61,62により構成さ
れるフライホイール室59の周壁60のうち、左壁部60aお
よび右壁部60bは、単一壁、すなわちフライホイール56
の径方向に一重の壁により構成され、しかも周壁60を構
成する結合壁61,62はもちろん、支持壁64の左右方向の
外径が、左壁部60aおよび右壁部60bにより規定される周
壁60の左右方向での外径とほぼ等しいので、結合壁51,
62、外周壁63および支持壁64の左右方向での外径を、フ
ライホイール室59を形成するポンプボディ65がフライホ
イール56を収納する範囲で極力小さくすることができ、
前記連結部分を覆うアンダカバー7およびエンジンカバ
ー8の左右方向の寸法も小さくなり、スイベル軸14を中
心とした船外機1の左右方向の回動時、前記連結部分の
左右方向で、アンダカバー7等が外部部材と干渉するこ
とが抑制され、転舵角を大きく取ることができて、操縦
性が向上する。さらに、船外機を並列に船体に固定す
る、いわゆる2機掛けの場合にも、この近傍部分におけ
るそれら船外機相互の干渉を抑制して、各船外機の転舵
角を大きく取ることができる。
【0056】外周壁63および結合壁61,62により構成さ
れるフライホイール室59の周壁60周壁の前壁部60cおよ
び後壁部60dが二重壁部分、すなわちフライホイール56
の径方向に間隔をおいた二重の壁により構成され、しか
も周壁60を構成する結合壁61,62はもちろん、支持壁64
の前後方向の外径が前壁部60cおよび後壁部60dにより規
定される周壁60の前後方向での外径とほぼ等しいので、
支持壁64の左右方向の外径が小さいにも拘わらず支持強
度が向上して、機関本体3の支持強度を十分に確保で
き、さらに支持壁64により支持される機関本体3の範囲
も拡大するので、機関本体3をより安定した状態で支持
できる。
【0057】内燃機関2の前記潤滑箇所を潤滑し終えて
クランク室37内に存する潤滑油は、クランクケース30の
底壁30a上およびロアシールカバー35の上面に流下また
は落下して、フライホイール室59の上壁59bを構成する
底壁30aの上面30a1に沿って流れ、またはロアシールカ
バー35の上面に沿って流れて底壁30a上をさらに流れ
て、第1,第2流入口71a,71bから第1戻り油路71に流
入することでクランク室37内から流出して、第3,第5
戻り油路73,75を経て最終的にオイルパン5に帰還す
る。そして、浅瀬での航走時等に、船外機1がチルトア
ップされた状態で運転されているとき、前下方に傾斜す
る底壁30a上を流れる潤滑油は、フライホイール室59の
内周壁面60eよりも前方に位置する第1,第2流入口71
a,71bを有する第1戻り油路71に流入するので、チルト
アップでの運転時に、底壁30e上に滞留する潤滑油が殆
どないか、または極力少なくなるようにすることができ
る。そのため、前記従来技術とは異なり、クランク室37
に滞留する潤滑油量を考慮して、オイルパン5に貯留す
る潤滑油量を多くしたり、そのためにオイルパン5の容
量を大きくする必要もなく、オイルパン5が小型軽量化
され、ひいては船外機1が小型軽量化される。また、ク
ランク軸36がクランク室37内に滞留する潤滑油を撹拌す
ることが殆どないので、潤滑油の攪拌による出力損失の
発生を防止できる。さらに、クランク室37内に滞留する
潤滑油が殆どないか、または極めて少なくなるため、チ
ルトアップを解除した直後に、滞留していた潤滑油を含
めて、クランク室37内から潤滑油を円滑に流出させるた
めに第1,第2流入口71a,71bを含め第1戻り油路71お
よび第3戻り油路73の径を大きくする必要はないので、
第1,第2流入口71a,71bを含めて第1,第3戻り油路
71,73の径を従来技術よりも小さくすることができて、
船外機1の小型軽量化ができる。
【0058】フライホイール室59の周壁60のうち、左壁
部60aおよび右壁部60bは、単一壁部分、すなわちフライ
ホイール56の径方向に一重の壁により構成されるので、
フライホイール室59の左右方向での外径が小さくなり、
ひいては船外機1の左右方向での幅が小さくなって、船
外機1が小型化されて、船体Tへの配置の自由度が大き
くなる。また、フライホイール室59の周壁60の前壁部内
壁60c1と前壁部外壁60c2との間の空間61s,63csを利用
して、第1,第3戻し油路71,73が形成されるので、第
1,第3戻し油路71,73を形成するために、クランクケ
ース30の底壁30aが前後方向に必要以上に大きくなるこ
とがないので、船外機1の小型軽量化ができる。
【0059】シリンダブロック31の前方に設けられて機
関本体3の前方を構成するクランクケース30の底壁30a
に形成される第1,第2流入口71a,71bは、突出空間87
の最前部87aの立上がり開始部30c2近傍に開口するの
で、船外機1がチルトアップ状態で運転されていると
き、前下方に傾斜する底壁30a上を流れる潤滑油は、最
も下方に位置する部分である最前部87aに向かって流
れ、前壁30cの立上がり開始部30c2の近傍に設けられた
第1,第2流入口71a,71bに流入するため、クランク室
37内に滞留する潤滑油が殆どないか、または極めて少な
くなり、船外機1の小型軽量化および出力損失の点での
効果がさらに高められる。
【0060】クランクケース30の底壁30aにおいて、第
1,第2流入口71a,71bは、クランクケース30の底壁30
aに設けられるケース油路85によりその配置が制約を受
けることなく、クランクケース30の左右方向での中心面
である基準平面P0に近い位置に設けられる。そのため、
第1,第2流入口71a,71bは、クランクケース30の底壁
30aで、該基準平面P0から離れた位置である周辺からの
潤滑油が集合し易い位置である基準平面P0に近い位置に
配置されて、第1,第2流入口71a,71bを最適な位置に
形成することができる。
【0061】マウントケース4の支持壁64、ポンプボデ
ィ65の外周壁63およびクランクケース30およびシリンダ
ブロック31の結合壁61,62に至る前記連結部分の外径
が、フライホイール室59の周壁60の外径にほぼ等しいの
で、機関本体3がポンプボディ65を介してマウントケー
ス4に結合される船外機1において、該連結部分の外径
は、周壁60がフライホイール56を収納する範囲で極力小
さくすることができて、船外機1の一層の小型軽量化が
できる。
【0062】以下、前述した実施例の一部の構成を変更
した実施例について、変更した構成に関して説明する。
フライホイール室59の上壁59bは、クランク室の底壁を
構成する部材のみから構成することもでき、さらにスカ
ート部を有していないシリンダブロックおよびクランク
ケースから、フライホイール室の上壁を構成することも
できる。
【0063】前記実施例では、結合部は、シリンダブロ
ックおよびクランクケースの突出壁からなる結合壁61,
62から構成されたが、結合部は突出していなくてもよ
い。前記実施例では、内燃機関2はV型気筒機関であっ
たが、直列配列の多気筒内燃機関であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である船外機の概略右側面図で
ある。
【図2】図1の船外機の、概ねクランク軸の回転軸線と
左側バンクのシリンダの中心軸線とを含む鉛直平面での
要部断面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】図1の船外機の内燃機関のクランクケースおよ
びシリンダブロックの下面図である。
【図5】オイルポンプのポンプボディの上面図である。
【図6】図7のVI−VI線断面図である。
【図7】オイルポンプのポンプボディの下面図である。
【図8】マウントケースの上面図である。
【図9】クランクケースをシリンダヘッドとの合わせ面
側から見た図である。
【図10】図9のX−X線断面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【符号の説明】
1…船外機、2…内燃機関、3…機関本体、4…マウン
トケース、5…オイルパン、6…エクステンションケー
ス、7…アンダカバー、8…エンジンカバー、9…ギヤ
ケース、10…前後進切換装置、11…駆動軸、12…プロペ
ラ軸、13…プロペラ、14…スイベル軸、15…スイベルケ
ース、16…チルト軸、17…スターンブラケット、18…マ
ウントフレーム、19…ハウジング、20a,20b…シフト
軸、21a,21b…セグメントギヤ、22…シフトロッド、23
…オイル吸入管、24…冷却水供給管、25…戻り管、30…
クランクケース、30a…底壁、30c2…立上がり開始部、3
1…シリンダブロック、32…シリンダヘッド、33…ヘッ
ドカバー、34,35…シールカバー、36…クランク軸、37
…クランク室、38…ピストン、39…燃焼室、40…吸気
弁、41…排気弁、42…点火栓、43…コンロッド、44…ベ
アリングキャップ、45〜48…プーリ、49…カム軸、50…
動弁室、51…吸気ダクト、52…吸気マニホルド、53…排
気マニホルド、54…排気管、55…リングギヤ、56…フラ
イホイール、57…スプラインピース、58…オイルポン
プ、59…フライホイール室、60…周壁、60a…左壁部、6
0b…右壁部、60c…前壁部、60e…内周壁面、61,62…結
合壁、61s,62s…空間、63…外周壁、63cs,63ds…空
間、64…支持壁、65…ポンプボディ、66…ポンプカバ
ー、67…スタータモータ、71〜75…戻り油路、76…排水
路、77…流入孔、78,79…排水路、80…排水孔、81…収
納室、82…集合室、83…案内面、84a,84b…孔、85…ケ
ース油路、86…オイルフィルタ、87…突出空間、87a…
最前部、F…取付装置、T…船体、B1,B2…ボルト、R
1,R2…マウントラバー、G…交流発電機、L1〜L3…軸
線、S1〜S7…合わせ面、V…動弁機構、P0〜P2…平面、
H1,H2…ねじ孔、H3〜H5…貫通孔、K1〜K3…リブ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 津坂 治男 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 角田 正樹 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3G013 AA03 AB01 BB03 BB19

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下方向を指向するクランク軸、機関本
    体の下方で前記クランク軸に設けられたフライホイー
    ル、前記クランク軸の動力により駆動されるオイルポン
    プ、および前記機関本体の結合部に結合された該オイル
    ポンプのポンプボディにより形成されて前記フライホイ
    ールを収納するフライホイール室を有する内燃機関と、
    前記機関本体が結合される支持部を有するマウントケー
    スとを備えた船外機において、 前記機関本体は、前記結合部にて、該結合部と前記ポン
    プボディの外周部と前記支持部とが前記クランク軸の回
    転軸線方向で重なるように、該外周部を介して該支持部
    に結合されることを特徴とする船外機。
  2. 【請求項2】 前記船外機は、スイベル軸を有する取付
    装置により船体に取り付けられ、前記外周部は前記フラ
    イホイール室の周壁を構成し、該周壁は単一壁部分を有
    し、該周壁の左壁部および右壁部は該単一壁部分から構
    成され、前記結合部および前記支持部の左右方向の外径
    は、前記左壁部および前記右壁部で規定される前記周壁
    の左右方向での外径とほぼ等しいことを特徴とする請求
    項1記載の船外機。
  3. 【請求項3】 前記周壁は二重壁部分を有し、該周壁の
    前壁部および後壁部は該二重壁部分から構成され、前記
    結合部および前記支持部の前後方向の外径は、前記前壁
    部および前記後壁部で規定される前記周壁の前後方向で
    の外径とほぼ等しいことを特徴とする請求項2記載の船
    外機。
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