JP2004346897A - バーチカルエンジンおよび船外機 - Google Patents

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Abstract

【課題】オイルの必要量を最小限に抑えながら、バーチカルエンジンの複数のピストンを適切に冷却できるようにする。
【解決手段】4気筒のバーチカルエンジンのシリンダブロック11の上位の二つのシリンダ17に対し、そこに嵌合する2個のピストンの裏面にオイルを噴射するオイルジェット118を設ける。これにより、ジャーナル支持壁11rに設けたオイル戻し孔11sを通って重力で落下するオイルで下位のピストンほど効果的に冷却されても、上位のピストンをオイルジェット118から噴射されるオイルで強制的に冷却することで、必要となるオイルの量を最小限に抑えながら、4個のピストンを均等に冷却して冷却不足や冷却過剰の発生を防止することができる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンダブロックに概ね水平な軸線を有する複数のシリンダを上下方向に並置した多気筒のバーチカルエンジンと、バーチカルエンジンを搭載した船外機とに関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンのシリンダに摺動自在に嵌合するピストンは、燃焼室に臨む表面側が高温に晒されて温度上昇するため、その裏面側に低温のオイルを接触させて冷却を図ることが望ましい。そこで、クランクシャフトの内部に形成したオイル通路を通ってクランクピンとコネクティングロッドのビッグエンドとの摺動部を潤滑するオイルの一部を、前記ビッグエンドに設けたオイル噴射溝からピストンの裏面に噴射することで該ピストンを冷却するものが、下記特許文献により公知である。
【0003】
【特許文献】
特開2001−200711号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、クランクシャフトを概ね鉛直方向に配置したバーチカルエンジンでは、クランク室のミスト状態のオイルがシリンダ内に飛び込んでピストンを裏面から冷却するが、重力によってオイルミストの濃度が上位のシリンダでは希薄で下位のシリンダでは濃厚になる。またエンジンの各被潤滑部に供給されたオイルが高い位置から低い位置に流れてオイルパンに戻るため、ピストン、シリンダ、コネクティングロッド等は下方に位置するものほど多量のオイルに接触して効果的に冷却されることになり、上位のピストンほど冷却条件が厳しくなり、下位のピストンほど冷却条件が緩やかになる。
【0005】
しかしながら上記従来のものは、全てのピストンの裏面に均等にオイルを噴射して冷却するため、上位のシリンダの要件に基づいてオイルの噴射量を決めると、前述の理由から下位のシリンダではオイルの噴射量が過剰気味となり、その分無駄なオイルを噴射することでオイルの必要量が増加する問題があった。しかも上記従来のものは、上下2気筒の直列エンジンであるため、クランク室の上下方向寸法も小さくなってオイルミストの偏りも少なく、全体でのオイルの必要量の増加分は小さいが、3気筒以上のエンジンではオイルの必要量を減らすために何らかの工夫が求められる。
【0006】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、オイルの必要量を最小限に抑えながら、バーチカルエンジンの複数のピストンを適切に冷却できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、概ね鉛直方向に配置されたクランクシャフトと、概ね水平な軸線を有する複数のシリンダを上下方向に並置したシリンダブロックと、シリンダに摺動自在に嵌合するピストンと、ピストンをクランクシャフトに連接するコネクティングロッドとを備えたバーチカルエンジンにおいて、前記複数のシリンダのうちの一部のシリンダに対し、そこに嵌合するピストンの裏面にオイルを噴射するオイル噴射部を設けたことを特徴とするバーチカルエンジンが提案される。
【0008】
上記構成によれば、バーチカルエンジンの複数のシリンダのうちの一部のシリンダだけに、そのシリンダに嵌合するピストンの裏面にオイルを噴射するオイル噴射部を設けたので、ピストンの上下方向の位置に応じて、つまりピストンの冷却の必要度に応じてオイル噴射部を設けたり設けなかったりすることで、必要となるオイルの量を最小限に抑えながら複数のピストンを適切に冷却することができる。
【0009】
また請求項2に記載された発明によれば、概ね鉛直方向に配置されたクランクシャフトと、概ね水平な軸線を有する複数のシリンダを上下方向に並置したシリンダブロックと、シリンダに摺動自在に嵌合するピストンと、ピストンをクランクシャフトに連接するコネクティングロッドとを備えたバーチカルエンジンにおいて、シリンダブロックに各シリンダの上下に隣接するように設けたジャーナル支持壁にオイル戻し孔を形成し、複数のシリンダのうちの少なくとも最上位のシリンダに対し、そこに嵌合するピストンの裏面にオイルを噴射するオイル噴射部を設けたことを特徴とするバーチカルエンジンが提案される。
【0010】
上記構成によれば、バーチカルエンジンの各ジャーナル支持壁にオイル戻し孔を形成するとともに、複数のシリンダのうちの少なくとも最上位のシリンダに、そのシリンダに嵌合するピストンの裏面にオイルを噴射するオイル噴射部を設けたので、オイル戻し孔を通って流下するオイルで下位のピストンほど効果的に冷却されても、少なくとも最上位のピストンをオイル噴射部から噴射されるオイルで強制的に冷却することで、必要となるオイルの量を最小限に抑えながら複数のピストンを適切に冷却することができる。
【0011】
また請求項3に記載された発明によれば、概ね鉛直方向に配置されたクランクシャフトと、クランクシャフトにより作動する動弁機構と、動弁機構により吸排気が制御される燃焼室と、燃焼室の一部を区画するピストンと、クランクシャフトおよび動弁機構にオイルを供給するオイルポンプと、オイルポンプからのオイルをピストンに供給するオイル噴射部とを備えたエンジンを搭載した船外機において、オイルを冷却するオイル冷却手段と、オイル冷却手段に外水を供給する冷却水ポンプとを備えたことを特徴とする船外機が提案される。
【0012】
上記構成によれば、オイルポンプからのオイルをピストンに供給するので、戻りオイルだけでピストンを冷却する場合に比べて、ピストンの冷却効果を大幅に高めることができる。またピストンを冷却することでオイルの温度が上昇しても、冷却水ポンプから低温の外水をオイル冷却手段に供給することで、オイルを効果的に冷却してオイル温度の上昇を防止することができる。しかもエンジンを冷却する冷却水を供給するために冷却水ポンプをオイルの冷却に利用するので、特別のポンプが不要になってコストダウンに寄与することができる。
【0013】
尚、実施例のオイルフィルター106は本発明のオイル冷却手段に対応し、実施例の第4オイルジェット118は本発明のオイル噴射部に対応する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0015】
図1〜図23は本発明の一実施例を示すもので、図1は船外機の全体側面図、図2は図1の2−2線拡大断面図、図3は図2の3−3線拡大断面図、図4は図2の4方向拡大矢視図、図5は図4の5方向矢視図、図6は図1の要部拡大断面図、図7は図1の7−7線拡大矢視図(マウントケースの上面図)、図8は図1の8−8線拡大矢視図(ポンプボディの下面図)、図9は図1の9−9線拡大矢視図(エンジン小組立体の下面図)、図10は図4の10−10線拡大矢視図、図11は図1の11−11線拡大矢視図、図12は図1の12−12線拡大断面図、図13は図11の13−13線拡大断面図、図14は図1の14−14線拡大矢視図、図15は図1の15−15線拡大矢視図、図16は図12の16−16線拡大断面図、図17は図12の17−17線拡大断面図、図18は図12の18−18線拡大断面図、図19は図5の19−19線拡大断面図、図20は図5の20−20線拡大断面図、図21は図11の14−14線拡大断面図、図22はエンジン冷却系の回路図、図23はエンジン潤滑系の回路図である。
【0016】
図1〜図3に示すように、船外機Oは、ステアリング軸96を中心に左右方向に舵取り運動を行い、チルト軸97を中心に上下方向にチルト運動を行うように船体に取り付けられており、船外機Oの上部に搭載された直列4気筒4ストロークの水冷バーチカルエンジンEは、シリンダブロック11と、シリンダブロック11の前面に結合されたロアブロック12と、概ね鉛直方向に配置されて5個のジャーナル13a,13a,13a,13a,13a(以下、13a…と略す)をシリンダブロック11およびロアブロック12に挟まれるように支持されたクランクシャフト13と、ロアブロック12の前面に結合されたクランクケース14と、シリンダブロック11の後面に結合されたシリンダヘッド15と、シリンダヘッド15の後面に結合されたヘッドカバー16とを備える。シリンダブロック11に鋳くるまれた4個のスリーブ状のシリンダ17,17,17,17(以下、17…と略す)の内部に摺動自在に嵌合する4個のピストン18,18,18,18(以下、18…と略す)は、4個のコネクティングロッド19,19,19,19(以下、19…と略す)を介してクランクシャフト13の4個のクランクピン13b,13b,13b,13b(以下、13…と略す)に接続される。
【0017】
尚、シリンダブロック11、ロアブロック12、クランクケース14およびシリンダヘッド15は本発明のエンジン小組立体50を構成し、シリンダブロック11、ロアブロック12およびクランクケース14により区画されてクランクシャフト13を収納する空間は本発明のクランク室42を構成する。
【0018】
シリンダヘッド15にピストン18…の頂面に対向するように形成された燃焼室20…は、シリンダヘッド15の左側面、即ち船の進行方向を前にして左舷側に開口する吸気ポート21…を介して吸気マニホールド22に接続されるとともに、シリンダヘッド15の右側面に開口する排気ポート23…を介してエンジンルーム内排気通路24に接続される。吸気ポート21…の下流端を開閉する吸気バルブ25…と、排気ポート23…の上流端を開閉する排気バルブ26…とは、ヘッドカバー16の内部に収納されたDOHC型の動弁機構27によって開閉駆動される。吸気マニホールド22の上流側は、クランクケース14の前面に固定されたスロットルバルブ29に接続されており、サイレンサ28を経た吸気が供給される。シリンダヘッド15および吸気マニホールド22間に挟まれたインジェクタベース57に、吸入ポート21…内に燃料を噴射するインジェクタ58…が設けられる。
【0019】
動弁機構27を収納するヘッドカバー16の内部空間は、継ぎ手94およびブリーザパイプ95を介してサイレンサ28に接続され、ヘッドカバー16の内部空間に漏れ出したブローバイガスが吸気系に戻される。尚、図2における符号67は電装品を収納する電装ボックスであり、符号69は交流発電機であり、符号70はスタータモータであり、符号99は油圧を検出する圧力センサである。交流発電機69はクランクシャフト13の上端に設けたプーリ68(図13参照)によりベルト駆動される。
【0020】
バーチカルエンジンEのシリンダブロック11、ロアブロック12、クランクケース14およびシリンダヘッド15の上面には、クランクシャフト13の駆動力を動弁機構27に伝達するタイミングチェーン30(図12、図13および図21参照)を収納するチェーンカバー31が結合され、またシリンダブロック11、ロアブロック12およびクランクケース14の下面にはオイルポンプボディ34が結合され、更にオイルポンプボディ34の下面にはマウントケース35、オイルケース36、イクステンションケース37およびギヤケース38が順次結合される。
【0021】
オイルポンプボディ34は、その下面とマウントケース35の上面との間にオイルポンプ33を収納するものであり、反対側のシリンダブロック11等の下面との間にはフライホイール32が配置され、オイルポンプボディ34によってフライホイール室とオイルポンプ室とが区画される。そしてオイルケース36、マウントケース35およびバーチカルエンジンEの下側の一部の周囲が合成樹脂製のアンダーカバー39で覆われ、バーチカルエンジンEの上部がアンダーカバー39の上面に結合される合成樹脂製のエンジンカバー40で覆われる。
【0022】
クランクシャフト13の下端に接続された駆動軸41はポンプボディ34、マウントケース35、オイルケース36を貫通してイクステンションケース37の内部を下方に延び、後端にプロペラ43を備えてギヤケース38に前後方向に支持されたプロペラ軸44の前端に、シフトロッド52により操作される前後進切換機構45を介して接続される。駆動軸41に設けられた冷却水ポンプ46には、ギヤケース38に設けられたストレーナ47から上方に延びる下部給水通路48が接続される。
【0023】
図6に示すように、オイルケース36の下面36Lに、前記上部給水管49の上端が接続される冷却水供給孔36aが形成される。オイルケース36の上面36Uに、冷却水供給孔36aに連なる冷却水供給通路36bが、オイルケース36に一体に形成された排気管部36cの周囲の一部を囲むように形成される。マウントケース35の下面35Lには、オイルケース36の上面36Uに開口する前記冷却水供給通路36bと同形の冷却水供給通路35aが、そのマウントケース35を貫通する排気通路35bの周囲の一部を囲むように形成される。
【0024】
図7はマウントケース35を上方から見たもので、その下面にオイルケース36が結合される。排気通路35bの外周が、冷却水供給通路35c…および冷却水排出通路35dにより囲まれる。詳述すると、マウントケース35の下面35Lに下向きに開放するように形成された冷却水供給通路35aに連通する冷却水供給通路35c…(図6参照)が、マウントケース35の上面35Uのシリンダブロック搭載面の領域外の上面に上向きに開放するように、かつ円筒状の排気通路35bの外周に沿うように形成されている。実施例では、排気通路35bの外壁に連続する壁35h…によって、3個の円弧状の冷却水供給通路35c…に別れている。更に、円筒状の排気通路35bの外周の前記冷却水供給通路35c…の設置範囲の外側に、1個の円弧状の冷却水排水通路35dが形成され、前記冷却水供給通路35c…とは外壁に形成された壁35i…によって区画されている。
【0025】
マウントケース35の上面35Uに、冷却水供給通路35eが平面視でシリンダ17の中央を跨いで船外機Oの左右方向に延び、前記上面35Uに上向きに開放する横断面U字溝形状に形成されている(図6参照)。この冷却水供給通路35eに前記冷却水供給通路35aが上方に延びて連通する。マウントケース35の上面35Uには、その冷却水供給通路35aの圧力が所定値以上になったときに開弁して冷却水を逃がすリリーフバルブ51が設けられる(図4および図7参照)。また冷却水供給通路35eに連なる継ぎ手116(図7参照)はホース117を介して検水口66(図22参照)に接続される。
【0026】
尚、前記冷却水排出通路35dはオイルケース36の下面36Lの全域に形成された開口36e(図7参照)を介して、オイルケース36、イクステンションケース37およびギヤケース38の内部に形成された排気室63に連通する。またマウントケース35の下面35Lとオイルケース36の上面36Uとの間に挟まれたガスケット55には、マウントケース35の冷却水排出通路35d(図7参照)から落下する冷却水が通過するパンチング加工孔55a…と、膨張室63の一部を区画して消音効果を発揮するパンチング加工孔55b…とが設けられる(図6および図7参照)。
【0027】
次に、図4〜図6および図10に基づいてエンジンルーム内排気通路24の構造を説明する。
【0028】
バーチカルエンジンEの排気通路手段は、大きく分けてエンジンルーム内排気通路24部分と、エンジンルームから区画された排気室部分とに分けられる。エンジンルーム内排気通路24は、後述するようにシリンダヘッド15の右側面に結合され、各燃焼室20からの排気を導入する単管部61a…と、それらの下流域で集合する集合部61bとを備えた排気マニホールド61と、この排気マニホールド61に結合部62aを介して接続し、エンジンルーム外に排気を導く排気ガイド62とを備える。
【0029】
図6から明らかなように、排気ガイド62はエンジンルームの隔壁を構成するマウントケース35の上面35Uに結合され、マウントケース35を貫通する排気通路35bと連通する。排気通路35bはオイルケース36に一体に形成された排気管部36cと連通し、排気室63と連通する。実施例では、オイルケース36が排気室63の外壁部を構成するとともに、排気管部36cを構成しているが、他の構成として、排気管部36cを別個の通路としても良い。また排気通路手段は、その一部が一体的に連続する構成であっても良いが、エンジンルーム内排気通路24と同外部通路とを別体で構成することで、各部の組立性の向上や排気室63に対するシール性の確保を可能にすることができる。
【0030】
尚、排気室63の上部はオイルケース36に設けた排気導出管64を介してアンダーカバー39の外部に連通しており、バーチカルエンジンEの低負荷運転時に排気ガスを水中に排出することなく、排気導出管64を介して大気中に排出するようになっている。
【0031】
排気ガイド62の下端に形成されたフランジ62bに3個のボルト孔62c…と、排気通路62dを囲む円弧状に分割された3個の冷却水流入口62e…と1個の冷却水流出口62fとが形成される。排気ガイド62のフランジ62bをマウントケース35の上面35Uの取付座35f(図7参照)にボルト締めしたとき、排気ガイド62の冷却水流入口62e…がマウントケース35の冷却水供給通路35c…に連通するとともに、冷却水流出口62fがマウントケース35の冷却水排出通路35dに連通する。取付座35fのマウントケース35の下面35L側については、冷却水排出通路35dを構成する外壁のうち、反排気通路35b側がガスケット面よりもやや高い位置に止まり、外壁下面とガスケット面との間から冷却水がガスケット55上に排水される。
【0032】
排気ガイド62には、その排気通路62dを囲むように上面側の半周を覆う第1排気ガイド冷却ウオータジャケットJM1と、下面側の半周を覆う第2排気ガイド冷却ウオータジャケットJM3とが形成される。排気マニホールド61の周囲を囲むように排気マニホールド冷却ウオータジャケットJM2が形成されており、排気マニホールド61の下端を排気ガイド62の結合部62aの内周に嵌合させると、排気マニホールド61の排気マニホールド冷却ウオータジャケットJM2と排気ガイド62の第1排気ガイド冷却ウオータジャケットJM1とが相互に連通する。
【0033】
図4および図5から明らかなように、排気マニホールド61の排気マニホールド冷却ウオータジャケットJM2の上部に2個の継ぎ手61d,61eが設けられており、排気マニホールド冷却ウオータジャケットJM2内の冷却水は各々の継ぎ手61d,61eから不図示の配管等によって排気室63に排出される。
【0034】
次に、図3および図7〜図9に基づいてシリンダブロック11の冷却系の構造を説明する。
【0035】
ポンプボディ34を貫通するように形成されたスリット状の冷却水供給通路34a(図8参照)は、前記マウントケース35を貫通するように形成されたスリット状の冷却水供給通路35e(図7参照)に連通するとともに、シリンダブロック11の下面に形成された、前記冷却水供給通路35eと合わせ面形状が同じでシリンダ17…の左右幅方向中央を跨ぐように左右方向に延びる冷却水供給通路11cに連通する。シリンダブロック11の冷却水供給通路11cは下面が開放した溝状のもので、その溝の上壁を貫通する2個の通孔11d,11eを介してシリンダブロック11のシリンダブロック冷却ウオータジャケットJBの下端に連通する。
【0036】
次に、図3、図6、図9および図13に基づいてシリンダヘッド15の冷却系の構造を説明する。
【0037】
シリンダブロック11の下面に形成したスリット状の冷却水供給通路11cの側壁からシリンダヘッド15に向かって2本の短い冷却水供給通路11g,11hが分岐しており、この冷却水供給通路11g,11hはシリンダブロック11およびシリンダヘッド15間のガスケット56を通してシリンダヘッド15のシリンダヘッド冷却ウオータジャケットJHに連通する。尚、シリンダブロック11のシリンダ17…を取り囲むシリンダブロック冷却ウオータジャケットJBは、シリンダブロック11およびシリンダヘッド15の結合面に介在するガスケット56を介してシリンダヘッド15のシリンダヘッド冷却ウオータジャケットJHから隔絶している(図2および図6参照)。
【0038】
シリンダブロック11およびシリンダヘッド15の上面を覆うチェーンカバー31に設けたサーモスタット取付座31aの内部に第1サーモスタット85および第2サーモスタット86が収納されており、シリンダブロック冷却ウオータジャケットJBおよびシリンダヘッド冷却ウオータジャケットJHの上端がそれぞれ第1サーモスタット85および第2サーモスタット86に接続される。サーモスタット取付座31aを覆うサーモスタットカバー87の継ぎ手87aから延びる排水管88が、排気ガイド62に設けた継ぎ手62h(図4および図5参照)を介して前記第2排気ガイド冷却ウオータジャケットJM3に接続される。
【0039】
次に、図11〜図13を参照してクランクシャフト13によるカムシャフト73,73およびバランサーシャフト78,79の駆動系の構造を説明する。
【0040】
クランクシャフト13の上端に設けたカム駆動スプロケット72とシリンダヘッド15の後部に位置する一対のカムシャフト73,73に設けたカム従動スプロケット74,74とに、騒音の少ないサイレントチェーンよりなるタイミングチェーン30が巻き掛けられる。油圧式のチェーンテンショナ75がタイミングチェーン30の緩み側に当接し、反対側にはチェーンガイド76が当接する。カム駆動スプロケット72の歯数はカム従動スプロケット74,74の歯数の半分であり、従ってカムシャフト73,73はクランクシャフトの半分の回転数で回転する。
【0041】
尚、図21に詳細に示すように、サイレントチェーンよりなるタイミングチェーン30は複数のプレート30a…をピン30b…で無端状に連結したもので、プレート30a…に形成した歯がカム駆動スプロケット72およびカム従動スプロケット74,74に噛み合うようになっている。そしてタイミングチェーン30はチェーンガイド76に設けた合成樹脂製のガイド部76aに沿って案内される。
【0042】
クランクケース14の内部にはバランサー装置77が収納されており、その2本のバランサーシャフト78,79の一方に設けたバランサー従動スプロケット80とクランクシャフト13に設けたバランサー駆動スプロケット81とにサイレントチェーンよりなるバランサー駆動チェーン82が巻き掛けられる。チェーンテンショナ83がバランサー駆動チェーン82の緩み側に当接し、反対側にはチェーンガイド84が当接する。バランサー駆動スプロケット81の歯数はバランサー従動スプロケット80の歯数の2倍であり、従ってバランサーシャフト78,79はクランクシャフト13の2倍の回転数で回転する。
【0043】
カム駆動スプロケット72、カム従動スプロケット74およびタイミングチェーン30は第1チェーン機構89を構成し、バランサー駆動スプロケット81、バランサー従動スプロケット80およびバランサー駆動チェーン82は第2チェーン機構90を構成する。
【0044】
チェーンカバー31、クランクケース14の上部およびヘッドカバー16の上部は、その内部に第1、第2チェーン機構89,90を収納するチェーン室54を区画する。
【0045】
図12、図14および図21から明らかなように、チェーンカバー31の下面から2本の湾曲した第1、第2リブ31b,31cが垂下しており、第1リブ31bの下面は、シリンダブロック11およびシリンダヘッド15の上面に固定したチェーンガイド76に沿って移動するチェーン30の上面に接近して配置されるとともに、第2リブ31cの下面は、シリンダブロック11およびシリンダヘッド15の上面に設けたチェーンテンショナ75に沿って移動するチェーン30の上面に接近して配置されする。
【0046】
またチェーンカバー31の下面から、クランクシャフト13が貫通する開口31dの周囲の一部を囲むように円弧状の第3リブ31eが垂下しており、この第3リブ31eの両端に第1、第2リブ31b,31cの端部が接続される。更に、チェーンカバー31の下面から、開口31dの周囲の一部を囲むように円弧状の第4リブ31fが垂下しており、これらの第3、第4リブ31e,31fによって開口31dの外周のほぼ全域が囲まれる。第1〜第3リブ31b,31c,31eの下端はタイミングチェーン30の上端よりも高い位置で終わっているが、第4リブ31fの下端はタイミングチェーン30の下端とほぼ同じ高さで、チェーンカバー31の最下パッキン面よりは高い位置まで延びている。
【0047】
尚、第3、第4リブ31e,31fの対向端部間に形成された隙間には、クランクシャフト13の回転数を検出するエンジン回転数センサ59の検出部が挿入され、クランクシャフト13に固定した回転数検出用ロータ60の外周面に対向する。
【0048】
図14および図15から明らかなように、シリンダブロック11の上面から2個の円弧状の第1、第2リブ11n,11oが上向きに突出しており、これらの第1、第2リブ11n,11oの上端は、チェーンカバー31の第3、第4リブ31e,31fの下面に対向する。
【0049】
図11〜図14および図18から明らかなように、バランサー装置77を覆うクランクケース14は、バランサー駆動スプロケット80のクランクシャフト13から遠い側の略半周を囲むように配置された鉛直壁14aと、この鉛直壁14aの下端からバランサー駆動スプロケット80の下面に対向するように水平方向に延びる円弧状の水平壁14bとを備える。この鉛直壁14aおよび水平壁14bはクランクケース14の一部に内向きに突出する凹部14c(図11参照)を設けることで、クランクケース14と一体に形成される。
【0050】
また動弁機構27を覆うヘッドカバー16は、一対のカム従動スプロケット74,74のクランクシャフト13から遠い側におけるタイミングチェーン30の走行軌跡の外側の略4分の1周を囲むように配置された鉛直壁16b,16bと、この鉛直壁16b,16bの下端からカム従動スプロケット74,74の下面に対向するように水平方向に延びる円弧状の水平壁16c,16cとを備える。この鉛直壁16b,16および水平壁16c,16はヘッドカバー16の一部に内向きに突出する凹部16d,16d(図11参照)を設けることで、ヘッドカバー16と一体に形成される。
【0051】
次に、バーチカルエンジンEの潤滑系の構造を説明する。
【0052】
図3、図4および図6〜図9に示すように、オイルケース36はオイルパン36dを一体に備えており、その内部にオイルストレーナ91を備えたサクションパイプ92が収納される。オイルポンプ33にはオイル吸入通路33a、オイル吐出通路33bおよびオイルリリーフ通路33cが設けられており、オイル吸入通路33aはサクションパイプ92に接続され、オイル吐出通路33bは図8の紙面の裏側に延びる出口から、マウントケース35内の図示せぬオイル通路と、シリンダブロック11の下面に形成したオイル供給孔11m(図9参照)とを経てバーチカルエンジンEの各被潤滑部に接続され、オイルリリーフ通路33cはオイルポンプ33からの戻りオイルをオイルパン36d内に排出する。
【0053】
シリンダヘッド15およびヘッドカバー16の内部に設けられた動弁機構27からの戻りオイルの一部は、ヘッドカバー16に設けた継ぎ手16a、オイルホース93およびマウントケース35を貫通するオイル戻し通路35g(図7参照)を介してオイルパン36dに戻され、動弁機構27からの戻りオイルの他の一部は、シリンダヘッド15に形成したオイル戻し通路15b(図6および図9参照)、シリンダブロック11およびシリンダヘッド15のパッキン面に開口するオイル戻し通路11j(図9参照)、シリンダブロック11を貫通するオイル戻し通路11k(図9参照)、ポンプボディ34を貫通するオイル戻し通路34b(図8参照)およびマウントケース35を貫通するオイル戻し通路35g(図7参照)を経てオイルパン36dに戻される。シリンダブロック11およびシリンダヘッド15間のガスケット56に開口するオイル戻し通路11jは、そこに開口する2個の冷却水供給通路11g,11hの間に挟まれるように配置される(図3参照)。
【0054】
またクランクケース14からの戻りオイルは、ポンプボディ34を貫通するオイル戻し通路(図示せず)およびマウントケース35を貫通するオイル戻し通路35g(図7参照)を介してオイルパン36dに戻される。
【0055】
図3および図15から明らかなように、チェーンカバー31によって覆われるシリンダブロック11の上壁に、シリンダ軸線Lの左右に振り分けられた2個のオイル戻し孔11p,11pが形成される。シリンダ軸線L上には最上位にシリンダ17に対応する部分円筒状の膨出部11qが上向きに突出しており、それ以外の部分は前記膨出部11qに比べて低い位置にあり、オイル戻し孔11p,11pはその低い位置に開口する。
【0056】
また2個のオイル戻し孔11p,11pの中間のシリンダ軸線L上には、クランクシャフト13のジャーナル13a…を支持する5個のジャーナル支持壁11r…をクランクシャフト13の軸線方向に貫通する5個のオイル戻し孔11s……が形成されており、最上位のオイル戻し孔11sはチェーン室54に連通し、最下位のオイル戻し孔11sはマウントケース35の内部を経てオイルパン36dに連通する。
【0057】
図12、図13および図16から明らかなように、クランクシャフト13に設けたカム駆動スプロケット72に噛合するタイミングチェーン30と、クランクシャフト13に設けたバランサー駆動スプロケット81に噛合するバランサー駆動チェーン82とを潤滑するための第1オイルジェット101が、クランクシャフト13に近いシリンダブロック11の上面に設けられる。
【0058】
第1オイルジェット101はシリンダブロック11に形成されたオイルジェット支持孔11tに嵌合するジェット本体部101a、ジェット本体部101aの上部に開口するノズル101bと、ジェット本体部101aから側方に延びる腕部101cと、腕部101cの先端に形成されてシリンダブロック11の位置決め孔11uに嵌合する位置決め突起101dとを備えており、オイルジェット支持孔11tに嵌合するジェット本体部101aの外周にはシール部材102が設けられる。第1オイルジェット101をシリンダブロック11に固定すべく、チェーンカバー31の天井面から垂下する押さえ突起31gがジェット本体部101aの上面に当接する。
【0059】
このように、第1オイルジェット101をシリンダブロック11のオイルジェット支持孔11tに嵌合させ、そのジェット本体部101aの上端にチェーンカバー31の押さえ突起31gを当接させたので、ボルトのような特別の固定部材を必要とせずに第1オイルジェット101を固定することが可能となり、かつクランクシャフト13の近傍の狭い空間にボルト孔を加工する肉厚を有したボスを設ける必要がなくなり、第1オイルジェット101を容易に配置することができる。
【0060】
第1オイルジェット101のノズル101bは、チェーンカバー31の天井面から垂下する第3リブ31eの下方の空間を通して斜め上方を指向しており、図12および図13に矢印Aで示すように、オイルジェット支持孔11tから供給されるオイルをクランクシャフト13に設けたカム駆動スプロケット72に向けて噴射する。
【0061】
図12、図13および図17から明らかなように、一方のカムシャフト73に設けたカム従動スプロケット74に噛合するタイミングチェーン30を潤滑するための第2オイルジェット103が、シリンダヘッド15の上面に設けられる。第2オイルジェット103はシリンダヘッド15に形成されたオイル供給通路15cに嵌合するジェット本体部103a、ジェット本体部101aの上部に略水平方向に開口するノズル103bと、ジェット本体部103aから側方に延びる腕部103cとを備えており、腕部103cを貫通するボルト104でシリンダヘッド15に固定される。
【0062】
図12に矢印Bで示すように、第2オイルジェット103が略水平方向に噴射するオイルは、チェーンテンショナ75の上流端の近傍で一方のカム従動スプロケット74にからタイミングチェーン30が噛み込む位置を指向している。
【0063】
図12および図18から明らかなように、一方のバランサーシャフト79に設けたバランサー従動スプロケット80に噛合するバランサー駆動チェーン82を潤滑するための第3オイルジェット105が、クランクケース14の内部に設けられる。第3オイルジェット105はクランクケース14に形成されたオイル供給通路14dに斜め上方を向いて開口しており、矢印Cで示すように、第3オイルジェット105が斜め上方に噴射するオイルは、バランサー従動スプロケット80に噛み込む直前のバランサー駆動チェーン82を指向している。
【0064】
図3および図20から明らかなように、概ね水平なシリンダ軸線Lを有して上下方向に並置された4個のシリンダ17…のうち、上側の2個のシリンダ17,17に対応して2個の第4オイルジェット118,118が設けられる。第4オイルジェット118,118は、潤滑を主目的とした第1〜第3オイルジェット101,103,105とは異なってピストン18,18の冷却を主目的としたもので、シリンダブロック11の内部を上下方向に延びるメインギャラリ11xの油圧が所定値を超えると、所定のセット荷重を与えたチェック弁119,119が開弁することで、前記2個のシリンダ17,17に摺動自在に嵌合するピストン18,18の裏面に向けて矢印D方向にオイルを噴射する。
【0065】
次に、図3、図5、図19および図20を参照してオイルフィルター106の周辺の構造を説明する。
【0066】
全体として円筒状を成すオイルフィルター106はシリンダブロック11の右側面に設けられるもので、シリンダブロック11に5本のボルト107…で固定されたベース部材108の円形のオイルフィルター取付座108aにねじ込まれて固定される。ベース部材108の内部には入口側オイル供給通路108bと出口側オイル供給通路108cとが形成される。入口側オイル供給通路108bは、その下端がシール部材109を介してシリンダブロック11のオイル供給通路11vに連通し、その上端は環状のオイル流入部108dとなってオイルフィルター取付座108aの外周部に開口する。出口側オイル供給通路108cは、その一端がオイルフィルター取付座108aの中央部に開口するオイル流出部108eに連通し、他端がシール部材110を介してシリンダブロック11のオイル供給通路11wからメインギャラリ11xに連通する。
【0067】
図5および図7に示すように、マウントケース35の上面35Uに、リリーフバルブ51への冷却水の供給源に連通する継ぎ手111が設けられており、この継ぎ手111から延びる冷却水供給ホース112がベース部材108の下端の継ぎ手113に接続さる。またベース部材108の上端に設けた継ぎ手114から延びる冷却水排出ホース115が排水管88の中間部に設けた継ぎ手71に接続される。
【0068】
ベース部材108の内部には下側の継ぎ手113および上側の継ぎ手114を接続するウオータジャケット108fが設けられており、このウオータジャケット108fは、ベース部材108の入口側オイル供給通路108b、出口側オイル供給通路108cおよびオイルフィルター取付座108aの周囲を隈なく囲むように配置される。
【0069】
次に、上記構成を備えた本発明の実施例の作用を説明する。
【0070】
先ず、主に図22の冷却水の回路を参照してバーチカルエンジンEの冷却に関する作用を説明する。
【0071】
バーチカルエンジンEの運転によりクランクシャフト13に接続された駆動軸41が回転すると、その駆動軸41に設けた冷却水ポンプ46が作動し、ストレーナ47を介して吸い上げた冷却水を下部給水通路48および上部給水管49を介してオイルケース36の下面の冷却水供給口36aに供給する。冷却水供給口36aを通過した冷却水はオイルケース36の冷却水供給通路36bおよびマウントケース35の冷却水供給通路35aに流入し、そこから分岐した冷却水の一部はエンジンルーム内排気通路24の排気ガイド62に形成した第1排気ガイド冷却ウオータジャケットJM1および排気マニホールド61に形成した排気マニホールド冷却ウオータジャケットJM2に供給される。シリンダヘッド15の燃焼室20…から排出された排気ガスは、排気マニホールド61の単管部61a…および集合部61b、排気ガイド62の排気通路62d、マウントケース35の排気通路35bおよびオイルケース36の排気管部36cを経て排気室63に排出され、その際に排気ガスで高温になったエンジンルーム内排気通路24を前記第1排気ガイド冷却ウオータジャケットJM1および排気マニホールド冷却ウオータジャケットJM2を流れる冷却水で冷却する。
【0072】
第1排気ガイド冷却ウオータジャケットJM1および排気マニホールド冷却ウオータジャケットJM2を下から上に流れて温度上昇した冷却水は、排気マニホールド61の上端に設けた継ぎ手61d,61eから不図示の配管等を介して排気室63に排出される。
【0073】
一方、冷却水供給口36aに連なる冷却水供給通路36b,35aに供給された低温の冷却水の一部は、シリンダブロック11の下端の冷却水供給通路11cに開口する2個の通孔11d,11eを介してシリンダブロック冷却ウオータジャケットJBの下端に流入する。また冷却水供給通路36b,35aに供給された低温の冷却水の一部は、シリンダブロック11の下端の冷却水供給通路11cから2個の冷却水供給通路11g,11hを経てシリンダヘッド冷却ウオータジャケットJHの下端に流入する。
【0074】
バーチカルエンジンEの暖機運転中は、シリンダブロック冷却ウオータジャケットJBの上端に連なる第1サーモスタット85およびシリンダヘッド冷却ウオータジャケットJHの上端に連なる第2サーモスタット86は閉弁しており、シリンダブロック冷却ウオータジャケットJBおよびシリンダヘッド冷却ウオータジャケットJH内の冷却水は流れることなく滞留し、バーチカルエンジンEの暖気が促進される。このとき、冷却水ポンプ46は回転し続けるが、そのゴム製のインペラの周囲から冷却水が漏れることで、冷却水ポンプ46は実質的に空転状態となる。
【0075】
バーチカルエンジンEの暖機運転が完了して冷却水の温度上昇すると第1、第2サーモスタット85,86が開弁し、シリンダブロック冷却ウオータジャケットJBの冷却水およびシリンダヘッド冷却ウオータジャケットJHの冷却水は、サーモスタットカバー87の共通の継ぎ手87aから排水管88および排気ガイド62の継ぎ手62hを経て第2排気ガイド冷却ウオータジャケットJM3に流入する。そして第2排気ガイド冷却ウオータジャケットJM3を流れる間に排気ガイド62を冷却した冷却水は、マウントケース35およびオイルケース36を上から下に通過して排気室63に排出される。バーチカルエンジンEの回転数が増加して冷却水供給通路36b,35aの内圧が所定値以上になると、リリーフバルブ51が開弁して余剰の冷却水が排気室63に排出される。
【0076】
またリリーフバルブ51の上流側から冷却水供給ホース112に分岐した冷却水は、オイルフィルター106のベース部材108のウオータジャケット108fの下端に流入し、そこを上方に流れる間にベース部材108の内部に形成した入口側オイル供給通路108bおよび出口側オイル供給通路108cを流れるオイルを冷却し、かつオイルフィルター106のオイルフィルター取付座108aを介してオイルフィルター106の内部のオイルを冷却する。そしてオイルと熱交換した冷却水はウオータジャケット108fの上端から冷却水排出ホース115を介して排水管88の中間部に排出される。
【0077】
次に、主に図23のオイルの回路を参照してバーチカルエンジンEの潤滑に関する作用を説明する。
【0078】
オイルパン36d内のオイルはオイルストレーナ91およびオイル吸入通路33a(図8参照)を介してオイルポンプ33に吸入され、オイルポンプ33が吐出するオイルはオイル吐出通路33b(図8参照)からマウントケース35内のオイル通路を介してシリンダブロック11の下面に形成したオイル供給孔11m(図9参照)に供給される。その際に、オイルポンプ33が吐出した余剰のオイルは、リリーフバルブ51を通過してオイルポンプ33の吸入側に戻される。尚、リリーフオイルはオイルパン36dに戻すようにしても良い。
【0079】
シリンダブロック11のオイル供給通路11v(図3参照)に供給されたオイルは、そこからベース部材108の入口側オイル供給通路108bを経てオイルフィルター106(図19および図20参照)に供給され、濾過後のオイルはベース部材108の出口側オイル供給通路108cからシリンダブロック11のオイル供給通路11wを経て、シリンダブロック11に上下に形成されたメインギャラリ11xに供給される。メインギャラリ11xから分岐したオイルはクランクシャフト13のジャーナル13a…およびクランクピン13b…を潤滑するとともに、2本のバランサーシャフト78,79を潤滑する。
【0080】
このように、オイルフィルター106にオイルを供給する入口側オイル供給通路108bと、オイルフィルター106からオイルを排出する出口側オイル供給通路108cとをシリンダブロック11とは別体のベース部材108に形成したので、入口側オイル供給通路108bや出口側オイル供給通路108cを形成するためにシリンダブロック11の壁部の肉厚を増加させたりオイル通路を囲む膨出部を形成したりする必要がなくなり、シリンダブロック11の重量軽減に寄与することができる。しかも入口側オイル供給通路108bおよび出口側オイル供給通路108cをベース部材108の内部に形成したので、それらのレイアウトをシリンダブロック11の形状に束縛されることなく自由に設定することができ、設計自由度の増加に寄与することができる。
【0081】
またオイルフィルター106を支持するベース部材108の内部に入口側オイル供給通路108b、出口側オイル供給通路108cおよびオイルフィルター取付座108aに臨むウオータジャケット108fを形成したので、シリンダブロック11にウオータジャケットを設ける場合に比べてウオータジャケット108fのレイアウトの自由度を高めることができ、しかも前記ウオータジャケット108fには冷却水ポンプ46を出た直後の加熱されていない低温の冷却水が供給されるので、そのウオータジャケット108fを流れる冷却水でオイルを効果的に冷却することができる。その結果、シリンダ17…およびピストン18…の摺動部、クランクシャフト13、カムシャフト73,73、バランサーシャフト78,79、タイミングチェーン30、バランサー駆動チェーン82のような被潤滑部の潤滑効果および冷却効果を高めることができる。
【0082】
メインギャラリ11xから最上位のジャーナル13aに連なるオイル供給通路から分岐するオイルジェット支持孔11tに第1オイルジェット101(図13および図16参照)が接続され、メインギャラリ11xから分岐するオイル供給通路15cに第2オイルジェット103(図17参照)が接続され、メインギャラリ11xから分岐するオイル供給通路14dに第3オイルジェット105(図18参照)が接続される。
【0083】
第1オイルジェット101のノズル101bは、クランクシャフト13の上端に設けたカム駆動スプロケット72にオイルを噴射し、そこに巻き掛けられたタイミングチェーン30を潤滑する。クランクシャフト13にはカム駆動スプロケット72の直下に位置するようにバランサー駆動スプロケット81が設けられており、カム駆動スプロケット72から滴下したオイルはバランサー駆動スプロケット81に降り掛かり、そこに巻き掛けられたバランサー駆動チェーン82を潤滑する。
【0084】
このように、カム駆動スプロケット72およびバランサー駆動スプロケット81を上下2段に配置し、上段のカム駆動スプロケット72に向けてオイルを噴射することで、カム駆動スプロケット72に衝突して落下するオイルをバランサー駆動スプロケット81に接触させ、カム駆動スプロケット72およびバランサー駆動スプロケット81の両方を有効に潤滑することができる。このとき、上段のカム駆動スプロケット72よりも下段のバランサー駆動スプロケット81の径が大きく形成されているため、カム駆動スプロケット72から滴下したオイルをバランサー駆動スプロケット81に一層効果的に接触させて潤滑効果を高めることができる。
【0085】
第1オイルジェット101からオイルが噴射されるカム駆動スプロケット72の周囲は、チェーンカバー31の天井面から垂下する円弧状の第3リブ31eおよび第4リブ31fで囲まれているので、噴射したオイルが無駄に飛散するのを防止してカム駆動スプロケット72およびバランサー駆動スプロケット81の潤滑効果を更に高めることができる。
【0086】
第2オイルジェット103のノズル103bから噴射したオイルは、一方のカム従動スプロケット74にタイミングチェーン30が噛み込む位置を指向しており、しかもこの位置は第1オイルジェット101が設けられた位置から大きく離れた位置であることから、第1、第2オイルジェット101,103の協働でタイミングチェーン30の全域を均等に潤滑することができる。
【0087】
チェーンケース31の天井面から垂下する第1、第2リブ31b,31cはタイミングチェーン30の上面に接近して配置されているので、天井面から第1、第2リブ31b,31cに沿って流下したオイルはタイミングチェーン30のピン30b…と複数のプレート30a…の孔との摺動部およびチェーンガイド76との摺動部に積極的に供給されて潤滑が行われる。特に、サイレントチェーンで構成されたタイミングチェーン30は、そのプレート30a…とスプロケットとが直接噛み合い、プレート30a…の孔とピン30b…との摺動部にチェーンの駆動力が直接作用するが、上述したように第1、第2リブ31b,31cを介して充分な量のオイルを供給して潤滑効果を得ることで、摺動部の摩耗を軽減することができる。
【0088】
ヘッドカバー16の2個の凹部16d,16dには、タイミングチェーン30の下面に対向する水平壁16c,16cが設けられているので、落下するオイルを水平壁16c,16c上に一時的に溜めて、そこを通過するタイミングチェーン30を潤滑することができる。しかもタイミングチェーン30の外周面に対向する鉛直壁16b,16bとの協働により、タイミングチェーン30の円弧状の走行軌跡に沿ってオイルを連れ回る方向に導くことができるので、オイルとタイミングチェーン30との接触を長い時間および長い距離に亘って確保することができる。
【0089】
更に、カム従動スプロケット74,74から遠心力で径方向外側に飛散するオイルを鉛直壁16b,16bで捕捉するとともに、鉛直壁16b,16bに沿って流下したオイルを水平壁16c,16cで保持することができるので、鉛直壁16b,16bおよび水平壁16c,16cに沿って所定の間隙を介して循環するタイミングチェーン30にオイルを効果的に接触させ、潤滑効果を高めることができる。しかも、ヘッドカバー16の一部に凹部16d,16dを設けることで鉛直壁16b,16bおよび水平壁16c,16cを一体に形成したので、部品点数が増加する虞もない。
【0090】
また第3オイルジェット105から噴射したオイルは、バランサー従動スプロケット80にバランサー駆動チェーン82が噛み込む位置を指向しており、しかもこの位置は第1オイルジェット101が設けられた位置から大きく離れた位置であることから、第1、第3オイルジェット101,105の協働でバランサー駆動チェーン82の全域を均等に潤滑することができる。
【0091】
クランクケース14の凹部14cには、バランサー駆動チェーン82の下面に対向する水平壁14bが設けられているので、落下するオイルを水平壁14b上に一時的に溜めて、そこを通過するバランサー駆動チェーン82を潤滑することができる。しかもバランサー駆動チェーン82の外周面に対向する鉛直壁14aとの協働により、バランサー駆動チェーン82の円弧状の走行軌跡に沿ってオイルを連れ回る方向に導くことができるので、オイルとバランサー駆動チェーン82との接触を長い時間および長い距離に亘って確保することができる。
【0092】
更に、バランサー従動スプロケット80から遠心力で径方向外側に飛散するオイルを鉛直壁14aで捕捉するとともに、鉛直壁14aに沿って流下したオイルを水平壁14bで保持することができるので、鉛直壁14aおよび水平壁14bに沿って所定の間隙を介して循環するバランサー駆動チェーン82にオイルを効果的に接触させ、潤滑効果を高めることができる。しかも、クランクケース14の一部に凹部14cを設けることで鉛直壁14aおよび水平壁14bを一体に形成したので、部品点数が増加する虞もない。
【0093】
尚、実施例ではヘッドカバー16の鉛直壁16b,16bおよび水平壁16c,16cが一体かつ連続して形成されているが、鉛直壁16b,16bおよび水平壁16c,16cをヘッドカバー16と別部材で構成して該ヘッドカバー16の任意の位置に固定しても良い。このようにすれば、鉛直壁16b,16bおよび水平壁16c,16c間に若干の隙間がある場合に、組立上の誤差を吸収するのに都合が良い。
【0094】
同様に、実施例ではクランクケース14の鉛直壁14aおよび水平壁11bが一体かつ連続して形成されているが、鉛直壁14aおよび水平壁14bをクランクケース14と別部材で構成して該クランクケース14の任意の位置に固定しても良い。このようにすれば、鉛直壁14aおよび水平壁14b間に若干の隙間がある場合に、組立上の誤差を吸収するのに都合が良い。
【0095】
一般に、クランクシャフト13、カムシャフト73,73、バランサーシャフト79の上端側にタイミングチェーン30およびバランサー駆動チェーン82を配置すると、前記各シャフト13、73,73,79の軸受け部からリークするオイルだけではタイミングチェーン30およびバランサー駆動チェーン82の充分な潤滑効果が期待できないため、その耐久性の低下が懸念される。そこで、本実施例の如く第1〜第3オイルジェット101,103,105からタイミングチェーン30およびバランサー駆動チェーン82にオイルを噴射し、かつチェーンケース31の天井面に飛散したオイルを第1〜第4リブ31b,31c,31e,31fでタイミングチェーン30およびバランサー駆動チェーン82へと導き、更にクランクケース14およびヘッドカバー16に鉛直壁14a,16b,16cおよび水平壁14b,16c,16cを形成してオイルを保持することで、タイミングチェーン30およびバランサー駆動チェーン82の潤滑効果を充分に確保することができる。
【0096】
また第1、第2オイルジェット101,103はタイミングチェーン30の両端側に配置され、また第1、第3オイルジェット101,105はバランサー駆動チェーン82の両端側に配置されているので、タイミングチェーン30およびバランサー駆動チェーン82の全域にオイルを均等に噴射して潤滑効果を高めることができる。
【0097】
特に、第1、第2オイルジェット101,103をタイミングチェーン30の走行軌跡の内側に設けたことにより、狭いチェーン室54の内部への第1、第2オイルジェット101,103の配置が容易になり、また第3オイルジェット105をバランサー駆動チェーン82の走行軌跡の外側に設けたことにより、その走行軌跡の内側にスペースを確保できない場合でも第3オイルジェット105を支障なく配置することができる。
【0098】
更に、第1、第3オイルジェット101,105のオイル噴射方向を、タイミングチェーン30およびバランサー駆動チェーン82の回転面に対して傾斜させたことにより、障害物が存在してオイルを水平方向に噴射できない場合でも、第1、第3オイルジェット101,105の配置に支障を来すことがない。
【0099】
仮に、ブリーザパイプをチェーン室54に接続すると、第1〜第3オイルジェット101,103,105からチェーン室54の内部に噴射したオイルがブリーザパイプを詰まらせる虞があるが、本実施例ではブリーザパイプ95(図2参照)をチェーン室54から隔絶されたヘッドカバー16の内部に接続したことにより、ブリーザパイプ95がオイルで閉塞されるのを防止することができる。
【0100】
以上のようにして、第1、第2チェーン機構89,90、つまりカム駆動スプロケット72、カム従動スプロケット74,74、タイミングチェーン30、バランサー駆動スプロケット81、バランサー従動スプロケット80およびバランサー駆動チェーン82を潤滑したオイルは、シリンダブロック11の上面に形成したオイル戻し孔11p,11p,11s(図3および図15参照)を通して落下し、そのオイルはシリンダブロック11の上から2番目以下のジャーナル支持壁11r…に形成した4個のオイル戻し孔11s…(図3参照)を順次通過してオイルパン36dに戻される。
【0101】
図15から明らかなように、シリンダブロック11の上面には最上位のシリンダ17の膨出部11qが盛り上がっており、その膨出部11qよりもクランクシャフト13寄りの最も低い位置に左右のオイル戻し孔11p,11pが形成されているため、膨出部11q上のオイルはその軸線Lの両側に振り分けられるように流れ、オイル戻し孔11p,11pにスムーズに捕捉されてオイルパン36dに戻される。
【0102】
尚、シリンダブロック11の上面に左右のオイル戻し孔11p,11pの間 に挟まれるように配置された最上位のオイル戻し孔11sは必ずしも必要ではない。本実施例では、前記最上位のオイル戻し孔11sは、上から2番目以下のジャーナル支持壁11r…に形成した4個のオイル戻し孔11s…を加工する際に副次的に形成されるものである。
【0103】
ところで、チェーン室54内に噴射されたオイルがシリンダブロック11のジャーナル支持壁11r…に設けたオイル戻し孔11p,11p,11s…を介して下方のオイルパン36dに戻される過程で、オイル戻し孔11s…を通過したオイルがコネクティングロッド19…に衝突して飛散し、コネクティングロッド19…、ピストン18…、シリンダ17…等に接触することで、燃焼室20からの熱で高温になったピストン18…の冷却に寄与することになる。これと同時に、クランクシャフト13のジャーナル13a…やクランクピン13b…を潤滑した後に遠心力で飛散するオイルも、コネクティングロッド19…、ピストン18…、シリンダ17…等に接触し、チェーン室54からの戻りオイルと協働してピストン18…の冷却に寄与する。
【0104】
ピストン18…を冷却するオイルの量はシリンダブロック11の下側に近いほど多くなるため、上位のピストン18…は冷却が不充分になり、下位のピストン18…は冷却が過剰になる傾向にあるが、本実施例では4個のシリンダ17…のうち、上位の2個のシリンダ17,17に設けた第4オイルジェット118,118から噴射したオイルが、上位の2個のピストン18,18の裏面に接触して冷却効果を発揮することで、4個のピストン18…を均一に冷却して冷却不足や冷却過剰の発生を防止することができ、しかも冷却に必要なオイルの量を必要最小限に抑えることができる。
【0105】
このように、第4オイルジェット118,118から噴射したオイルでピストン18,18の裏面を冷却すると、ピストン18,18から奪った熱でオイルの温度が上昇し易くなるが、本実施例ではオイルフィルター106におけるオイルの冷却効果が極めて高いために、オイル温度の上昇を確実に抑制することができる。
【0106】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0107】
例えば、実施例では船外機Oに使用されるバーチカルエンジンEを例示したが、本発明は船外機O以外の用途のバーチカルエンジンEに対しても適用することができる。
【0108】
また実施例では、4気筒のバーチカルエンジンEを例示したが、本発明は2気筒以上の任意の気筒数のバーチカルエンジンに対して適用することができる。
【0109】
また実施例では、4個のシリンダ17…のうちの上位の2個のシリンダ17,17に第4オイルジェット118,118を設けているが、少なくとも最上位の1個のシリンダ17に第4オイルジェット118を設ければ良い。
【0110】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、バーチカルエンジンの複数のシリンダのうちの一部のシリンダだけに、そのシリンダに嵌合するピストンの裏面にオイルを噴射するオイル噴射部を設けたので、ピストンの上下方向の位置に応じて、つまりピストンの冷却の必要度に応じてオイル噴射部を設けたり設けなかったりすることで、必要となるオイルの量を最小限に抑えながら複数のピストンを適切に冷却することができる。
【0111】
また請求項2に記載された発明によれば、バーチカルエンジンの各ジャーナル支持壁にオイル戻し孔を形成するとともに、複数のシリンダのうちの少なくとも最上位のシリンダに、そのシリンダに嵌合するピストンの裏面にオイルを噴射するオイル噴射部を設けたので、オイル戻し孔を通って流下するオイルで下位のピストンほど効果的に冷却されても、少なくとも最上位のピストンをオイル噴射部から噴射されるオイルで強制的に冷却することで、必要となるオイルの量を最小限に抑えながら複数のピストンを適切に冷却することができる。
【0112】
また請求項3に記載された発明によれば、オイルポンプからのオイルをピストンに供給するので、戻りオイルだけでピストンを冷却する場合に比べて、ピストンの冷却効果を大幅に高めることができる。またピストンを冷却することでオイルの温度が上昇しても、冷却水ポンプから低温の外水をオイル冷却手段に供給することで、オイルを効果的に冷却してオイル温度の上昇を防止することができる。しかもエンジンを冷却する冷却水を供給するために冷却水ポンプをオイルの冷却に利用するので、特別のポンプが不要になってコストダウンに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】船外機の全体側面図
【図2】図1の2−2線拡大断面図
【図3】図2の3−3線拡大断面図
【図4】図2の4方向拡大矢視図
【図5】図4の5方向矢視図
【図6】図1の要部拡大断面図
【図7】図1の7−7線拡大矢視図(マウントケースの上面図)
【図8】図1の8−8線拡大矢視図(ポンプボディの下面図)
【図9】図1の9−9線拡大矢視図(エンジン小組立体の下面図)
【図10】図4の10−10線拡大矢視図
【図11】図1の11−11線拡大矢視図
【図12】図1の12−12線拡大断面図
【図13】図11の13−13線拡大断面図
【図14】図1の14−14線拡大矢視図
【図15】図1の15−15線拡大矢視図
【図16】図12の16−16線拡大断面図
【図17】図12の17−17線拡大断面図
【図18】図12の18−18線拡大断面図
【図19】図5の19−19線拡大断面図
【図20】図5の20−20線拡大断面図
【図21】図11の21−21線拡大断面図
【図22】エンジン冷却系の回路図
【図23】エンジン潤滑系の回路図
【符号の説明】
11 シリンダブロック
11r ジャーナル支持壁
11s オイル戻し孔
13 クランクシャフト
17 シリンダ
18 ピストン
19 コネクティングロッド
20 燃焼室
27 動弁機構
33 オイルポンプ
46 冷却水ポンプ
106 オイルフィルター(オイル冷却手段)
118 第4オイルジェット(オイル噴射部)
E エンジン
L 軸線

Claims (3)

  1. 概ね鉛直方向に配置されたクランクシャフト(13)と、
    概ね水平な軸線(L)を有する複数のシリンダ(17)を上下方向に並置したシリンダブロック(11)と、
    シリンダ(17)に摺動自在に嵌合するピストン(18)と、
    ピストン(18)をクランクシャフト(13)に連接するコネクティングロッド(19)と、
    を備えたバーチカルエンジンにおいて、
    前記複数のシリンダ(17)のうちの一部のシリンダ(17)に対し、そこに嵌合するピストン(18)の裏面にオイルを噴射するオイル噴射部(118)を設けたことを特徴とするバーチカルエンジン。
  2. 概ね鉛直方向に配置されたクランクシャフト(13)と、
    概ね水平な軸線(L)を有する複数のシリンダ(17)を上下方向に並置したシリンダブロック(11)と、
    シリンダ(17)に摺動自在に嵌合するピストン(18)と、
    ピストン(18)をクランクシャフト(13)に連接するコネクティングロッド(19)と、
    を備えたバーチカルエンジンにおいて、
    シリンダブロック(11)に各シリンダ(17)の上下に隣接するように設けたジャーナル支持壁(11r)にオイル戻し孔(11s)を形成し、
    複数のシリンダ(17)のうちの少なくとも最上位のシリンダ(17)に対し、そこに嵌合するピストン(18)の裏面にオイルを噴射するオイル噴射部(118)を設けたことを特徴とするバーチカルエンジン。
  3. 概ね鉛直方向に配置されたクランクシャフト(13)と、
    クランクシャフト(13)により作動する動弁機構(27)と、
    動弁機構(27)により吸排気が制御される燃焼室(20)と、
    燃焼室(20)の一部を区画するピストン(18)と、
    クランクシャフト(13)および動弁機構(27)にオイルを供給するオイルポンプ(33)と、
    オイルポンプ(33)からのオイルをピストン(18)に供給するオイル噴射部(118)と、
    を備えたエンジン(E)を搭載した船外機において、
    オイルを冷却するオイル冷却手段(106)と、オイル冷却手段(106)に外水を供給する冷却水ポンプ(46)とを備えたことを特徴とする船外機。
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