JP2002241844A - マルテンサイト系ステンレス鋼帯および鋼管の製造方法 - Google Patents
マルテンサイト系ステンレス鋼帯および鋼管の製造方法Info
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Abstract
満足するマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法を提
供する。 【解決手段】 質量%で、C:0.008〜0.03
%、Si:0.1〜0.3%、Mn:0.1〜0.3
%、Cr:11〜15%、Ni:2〜7%、N:0.0
08〜0.03%、C+N≦0.04%、残部実質的に
Fe及び不可避的不純物からなるマルテンサイト系ステ
ンレス鋼スラブを1100〜1250℃に加熱後、仕上
温度800℃以上とする熱間圧延し、その後、コイル状
に巻き取り、180℃以下まで冷却し、一次加熱とし7
00〜800℃に昇温速度100℃/h以下で加熱し、
10〜50時間保持後、180℃以下まで冷却する。二
次加熱とし、500〜650℃に加熱、10〜50時間
保持後、室温まで冷却する二次加熱を行う。
Description
ステンレス鋼帯の製造に関し、特に、溶接性を改善する
ため低C系とした組成で、圧延後、コイル状とし、熱処
理を行うものに関する。
ステナイト形成元素を添加すると共に、溶接部の靭性を
改善するため、低C,低Nとしたマルテンサイト系ステ
ンレス鋼がシームレス鋼管、溶接管として利用されてい
る。
性が高く、オーステナイト状態での熱間加工後、空冷に
よってもマルテンサイト変態するため、焼戻し処理が必
要で、特開平5−112818号公報等にはシームレス
パイプ等、比較的熱容量が小さい製品を対象とし、焼戻
し時間も1時間程度の焼戻し熱処理法が記載されてい
る。
マルテンサイト系ステンレス鋼の適用範囲が拡大し、コ
イル状に巻き取った鋼帯から、電縫鋼管などが製造され
るようになってきているものの、コイル状の鋼帯は、そ
の重量が数トンに達し熱容量は極めて大きく、内部まで
均一な温度とするため、10〜50時間程度の長時間を
必要とし、強度低下や、それを防止した場合には靭性の
劣化が生じていた。
後150℃以下まで冷却したのち、550〜670℃で
熱処理する方法が特開平11−256232号公報、特
開平11−256280号公報に開示されている。しか
し、上記方法は数トンのコイルの場合、コイルの表面側
と中心部では強度差が生じ、コイル全長に亘って均一な
特性が得られない。
イルを巻き取った後850〜1200℃で熱処理し、1
50℃以下に冷却したのち550〜670℃で熱処理、
更に850〜1200℃の熱処理後680〜770℃で
熱処理したのち、550〜670℃で熱処理する方法が
開示されている。
囲気炉で実施されるが、850℃以上の高温でかつ無酸
化雰囲気とし、且つ数トンのコイルを熱処理するために
は特殊な設備が必要となり、現状の設備では熱処理は不
可能である。
で、長時間の加熱であっても、強度低下が少なく、良好
な靭性の得られるマルテンサイト系ステンレス鋼帯の製
造方法を提供する。
サイト系ステンレス鋼帯を熱間圧延し、コイル状とした
後、バッチ焼鈍炉で、10〜50時間程度に長時間焼戻
し処理した場合の強度、靭性について詳細に検討を行っ
た。
マルテンサイト中の転位が回復し、強度が低下するもの
の、焼戻し条件の調整により、優れた強度と靭性の確保
が可能なことを見出した。
てなされたものであり、すなわち、本発明は、 1. 下記の工程を具備したことを特徴とするマルテン
サイト系ステンレス鋼帯の製造方法 スラブを1100〜1250℃に加熱後、仕上温度8
00℃以上とする熱間圧延を行う工程。 熱間圧延後、コイル状に巻き取り、180℃以下まで
冷却する工程。 700〜800℃に昇温速度100℃/h以下で加熱
し、10〜50時間保持後、180℃以下まで冷却する
一次加熱工程。 500〜650℃に加熱、10〜50時間保持後、室
温まで冷却する二次加熱工程。
8〜0.03%、Si:0.1〜0.3%、Mn:0.
1〜0.3%、Cr:11〜15%、Ni:2〜7%、
N:0.008〜0.03%、C+N≦0.04%、残
部実質的にFe及び不可避的不純物からなることを特徴
とする1記載のマルテンサイト系ステンレス鋼帯の製造
方法。
3〜0.09%を添加することを特徴とする2記載のマ
ルテンサイト系ステンレス鋼帯の製造方法。
05〜0.02%、を添加することを特徴とする2又は
3記載のマルテンサイト系ステンレス鋼帯の製造方法。
01〜0.005%を含むことを特徴とする2乃至4の
何れか一つに記載のマルテンサイト系ステンレス鋼帯の
製造方法。
%を含むことを特徴とする2乃至5の何れか一つに記載
のマルテンサイト系ステンレス鋼帯の製造方法。
方法によるマルテンサイト系ステンレス鋼帯を溶接し、
鋼管とすることを特徴とするマルテンサイト系ステンレ
ス鋼管の製造方法。
理条件を規定する。
ため、1100℃以上とする。一方、1250℃以上で
デルタフェライトがオーステナイト中に析出し、靭性が
劣化するため、1100〜1250℃未満(1100℃
以上、1250℃未満)とする。
が不十分で、圧延組織が残存し機械的特性に異方性が生
じるため、800℃以上とする。
た鋼帯に2回の熱処理を行う。熱処理は、十分焼きの入
ったマルテンサイト組織とするため、コイルに巻き取り
後、一旦、180℃以下とした後に行う。
度100℃/h以下で加熱し、10〜50時間保持後、
180℃以下まで冷却。
し、靭性を向上させるため、2相域である700〜80
0℃に加熱する。2相域への加熱により、マルテンサイ
トのラス間や粒界から新にオーステナイト相が析出し、
結晶粒(旧オーステナイト結晶)が分断され、実質的な
細粒組織が得られる。
度にするため、昇温速度100℃/h以下とし、再析出
したオーステナイト相をマルテンサイト組織とするた
め、180℃以下まで冷却する。
10〜50時間保持後、室温まで冷却。
度とするため、500〜650℃に加熱し、室温まで冷
却する焼戻し処理を行なう。
度の強度に及ぼす影響を調査した結果を示す。調査は供
試鋼を表1中の鋼種Aとし、コイル状とした板厚6.5
mmの熱間圧延材から採取した素材を実験室において2
7℃/hの昇温速度で780℃まで加熱後、30時間保
持の後室温まで冷却した一次処理材について行った。焼
戻し時間は30時間とした。
の範囲において、APIX80規格(YS≧550MP
a,TS≧650MPa)を満足し、且つ溶接管用に成
形が容易とされるTS≦730MPaの強度が得られ
た。
熱処理においても、熱処理温度の保持時間は、コイル状
の鋼帯が均一に所定の温度となるように10〜50時間
とする。
に、上記の熱間圧延条件、熱処理条件を適用した場合、
所望の強度、靭性を安定して確保できるが、その望まし
い成分組成は以下のようである。
め0.008%以上添加する。一方、0.03%を超え
て、多量に添加すると溶接熱影響部が過度に硬化し、靭
性が低下するため、0.008〜0.03%(0.00
8%以上、0.03%以下)とする。
め0.008%以上添加する。一方、0.03%を超え
て、多量に添加すると溶接熱影響部が過度に硬化し、靭
性が低下するため、0.008〜0.03%(0.00
8%以上、0.03%以下)とする。
果がなく、一方、0.3%を超えて過剰に添加されると
デルタフェライトが晶出し、相バランスを保つためNi
量増加が必要となるため、0.1〜0.3%とする。
はその効果がなく、熱間加工性も低下する。一方、0.
3%を超えて過剰に添加すると炭酸ガスを含む環境中で
の耐食性が低下するため、0.1〜0.3%とする。
り、11%以上添加する。一方、15%を超えると、マ
ルテンサイト一相組織が得られないため、11%以上、
15%以下とする。
ト組織とし、また靭性を向上させるために添加する。フ
ェライト形成元素であるCr含有量に応じて添加するこ
とが必要で、オーステナイト相を十分に安定させ、良好
な溶接部靭性とするため、2%以上添加する。一方、7
%を超えると、その効果が飽和し、生産原価を上昇させ
るため、2〜7%とする。
04%を超えると溶接熱影響部の硬化により靭性が低下
するため、0.04%以下とする。
め、Al,Ti,Ca,Moの一種又は二種以上を添加
することが可能である。
を防止するため、0.03%以上添加する。一方、0.
09%を超えて過剰に添加するとアルミナ系介在物が増
加し、また窒化物を生成して固溶N量を減少させるた
め、0.03〜0.09%とする。
晶粒の成長を抑制し、溶接熱影響部靭性を向上させるた
め0.005%以上添加する。一方、0.02%を超え
ると粗大なTiNを形成し靭性を低下させ、固溶Nの減
少により強度を低下させるため、0.005〜0.02
%とする。
まりを防止するため0.001%以上添加する。一方、
0.005%を超えて過剰に添加するとカルシウム系介
在物が増加し、耐食性を損なうため、0.001〜0.
005%とする。
は十分な効果が得られず、一方、3%を超えるとフェラ
イトが生成し、Ni添加量の増量が必要となり生産原価
が上昇するため、1〜3%とする。
を各250ton溶製した。いずれも電気炉と転炉の合
せ湯で、A,Bは12ton鋼塊に注ぎ分け鋳造し、分
解圧延でスラブとし、Cは連続鋳造によりスラブとし
た。
圧延し、Aは6.5mmt,Bは7.0mmt,Cは
6.0mmtの熱延鋼帯としてコイルに巻き取った。そ
の後、コイルを室温まで冷却した後、表2に示す熱処理
条件で、一次、二次の熱処理を行った。
約25℃/hである。熱処理後、引張、衝撃特性を評価
した。
足する強度と優れた靭性の得られることが確認された。
を、コイル状とし室温まで冷却後、素材を採取し、種々
の条件で一次、二次の熱処理後、強度、靭性を評価し
た。
れた強度、靭性が得られが、比較例では、強度、靭性の
何れかまたは両方が劣っている。
ンレス鋼を熱間圧延後、コイル状とした鋼帯のいずれの
部位においても、APIX80規格を満足する強度、靭
性が得られ、産業上極めて有用である。
が強度に及ぼす影響を示す図
Claims (7)
- 【請求項1】 下記の工程を具備したことを特徴とする
マルテンサイト系ステンレス鋼帯の製造方法 1.スラブを1100〜1250℃に加熱後、仕上温度
800℃以上とする熱間圧延を行う工程。 2.熱間圧延後、コイル状に巻き取り、180℃以下ま
で冷却する工程。 3.700〜800℃に昇温速度100℃/h以下で加
熱し、10〜50時間保持後、180℃以下まで冷却す
る一次加熱工程。 4.500〜650℃に加熱、10〜50時間保持後、
室温まで冷却する二次加熱工程。 - 【請求項2】 鋼成分が、質量%で、C:0.008〜
0.03%、Si:0.1〜0.3%、Mn:0.1〜
0.3%、Cr:11〜15%、Ni:2〜7%、N:
0.008〜0.03%、C+N≦0.04%、残部実
質的にFe及び不可避的不純物からなることを特徴とす
る請求項1記載のマルテンサイト系ステンレス鋼帯の製
造方法。 - 【請求項3】 更に、鋼成分として、Al:0.03〜
0.09%を添加することを特徴とする請求項2記載の
マルテンサイト系ステンレス鋼帯の製造方法。 - 【請求項4】 更に、鋼成分として、Ti:0.005
〜0.02%、を添加することを特徴とする請求項2又
は3記載のマルテンサイト系ステンレス鋼帯の製造方
法。 - 【請求項5】 更に、鋼成分として、Ca:0.001
〜0.005%を含むことを特徴とする請求項2乃至4
の何れか一つに記載のマルテンサイト系ステンレス鋼帯
の製造方法。 - 【請求項6】 更に、鋼成分として、Mo:1〜3%を
含むことを特徴とする請求項2乃至5の何れか一つに記
載のマルテンサイト系ステンレス鋼帯の製造方法。 - 【請求項7】 請求項1乃至6の何れか一つに記載の製
造方法によるマルテンサイト系ステンレス鋼帯を溶接
し、鋼管とすることを特徴とするマルテンサイト系ステ
ンレス鋼管の製造方法。
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JP2001035911A JP3815229B2 (ja) | 2001-02-13 | 2001-02-13 | マルテンサイト系ステンレス鋼帯および鋼管の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115595504A (zh) * | 2022-10-19 | 2023-01-13 | 鞍钢集团北京研究院有限公司(Cn) | 一种超低温工程用高强高韧马氏体时效不锈钢及其制造方法 |
-
2001
- 2001-02-13 JP JP2001035911A patent/JP3815229B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN115595504A (zh) * | 2022-10-19 | 2023-01-13 | 鞍钢集团北京研究院有限公司(Cn) | 一种超低温工程用高强高韧马氏体时效不锈钢及其制造方法 |
CN115595504B (zh) * | 2022-10-19 | 2024-01-12 | 鞍钢集团北京研究院有限公司 | 一种超低温工程用高强高韧马氏体时效不锈钢及其制造方法 |
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