JP2002235281A - 制菌性を有する布帛及びその製造方法 - Google Patents

制菌性を有する布帛及びその製造方法

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JP2002235281A JP2001028566A JP2001028566A JP2002235281A JP 2002235281 A JP2002235281 A JP 2002235281A JP 2001028566 A JP2001028566 A JP 2001028566A JP 2001028566 A JP2001028566 A JP 2001028566A JP 2002235281 A JP2002235281 A JP 2002235281A
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silver salt
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Shunji Tatsumi
俊二 巽
Hiroshi Koizumi
博史 小泉
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繰り返し洗濯に耐えられる制菌性を有するタ
オル、及びハンカチ及び繰り返し使用ができる制菌性を
有するシーツなどに適した布帛を提供する。 【解決手段】 本発明は、疎水性繊維20〜80質量%
と親水性繊維からなる布帛であり、炭素数10〜20の
炭化水素を有するアシル基を含むN−アシルアミノ酸銀
塩を含有し、布帛単位質量に対して銀が0.5〜100
ppm含まれていることを特徴とする布帛及びその製造
方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制菌性を有する布
帛に関する。より詳しくは、制菌性を有するタオル、ハ
ンカチなどに最適なパイル布帛、及びシーツなどに適し
た布帛に関する。
【0002】
【従来技術】タオル、ハンカチ分野では、速乾性を有す
るタオル(特開昭52−2516号公報、実開昭55−
135068号公報)や、手を拭いても濡れ感の少ない
タオル(特開平07−324250号公報)など、水分
の吸収と乾燥とのバランスを目的としたものや、タオル
に伸縮性を与えて取り扱い性の向上を目的としたもの
(実開昭62−166282号公報、特開平3−249
246号公報)、さらには、伸縮性に加えて、抗菌性、
消臭性、抗ピリング性など多機能を加味したパイル布帛
(特開平9−302553号公報)などが提案されてい
る。
【0003】しかし、これら多機能パイル布帛が対象と
する抗菌性は、黄色ぶどう球菌に対する効果であり、繊
維製品新機能評価協議会(略称SEK)の定める制菌性
を満足するものではなかった。現在、この制菌性を有す
るタオル、ハンカチは市場では殆ど見られない。例え
ば、特開平11−124729号公報には、抗菌作用を
有する金属イオンを保持させたポリエステル繊維が開示
され、用途例としてタオルも含まれているが、パイル布
帛に関して具体的な記載はない。その理由は明らかでは
ないが、タオル、ハンカチなどは頻繁に洗濯されるた
め、白度の低下や光変色性を防止しつつ、大腸菌などに
対する制菌性の洗濯耐久性を付与するのが困難なためで
あろうと考えられる。
【0004】一方、昨今の衛生環境の高まりの中で、手
洗い後の手をより衛生的に乾燥させたい、という社会的
ニーズは大きくなっている。手洗い後の手を衛生的に乾
燥させるために、温風を用いたり、使い捨てのペーパー
タオルなどが使用されるケースが増えている。しかし、
これらは、高いコスト負担が必要であり、廃棄物を多量
に発生し、地球環境にやさしくない、という問題があ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】繊維製品新機能評価協
議会(略称SEK)(以下、SEK、という)におい
て、制菌加工繊維製品認定基準(一般用途)が設定され
ている。従来の抗菌防臭加工は、臭いの原因となる黄色
ぶどう球菌の増殖を抑制するものであるが、新たに定め
られた制菌基準は、安全性を満足し、かつ、対象となる
菌が増えないことを目的としており、ヘルスケア環境へ
の対応を狙ったものである。
【0006】この制菌基準(一般用途)では、洗濯10
回後の効果持続を定めている。しかし、タオルや、ハン
カチの場合は頻繁に洗濯されために、これらの用途には
洗濯耐久性のある制菌性を有する布帛が望ましい。特
に、オプション菌とされている大腸菌に対して、優れた
洗濯耐久性を有することが望ましい。本発明は、手洗い
後の手を衛生的に乾燥させることを目的とした、良好な
洗濯耐久性のある制菌性を有する布帛、特に、タオル及
びハンカチなどのパイル布帛や、シーツなどに適した布
帛を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(請求項1)疎水性繊維20〜80質量%と親水性繊維
80〜20質量%とからなり、炭素数10〜20の炭化
水素を有するアシル基を含むN−アシルアミノ酸銀塩を
含有する布帛であって、布帛質量に対して銀が0.5〜
100ppm含まれていることを特徴とする制菌性を有
する布帛、(請求項2)疎水性繊維がアクリル系繊維で
ある請求項1記載の布帛、(請求項3)親水性繊維が綿
である請求項1又は2記載の制菌性を有する布帛、(請
求項4)疎水性繊維と親水性繊維との混紡糸が用いられ
ていることを特徴とする請求項1記載の布帛、
【0008】(請求項5)疎水性繊維及び/又は親水性
繊維が膨潤又は軟化状態にある間に、炭素数10〜20
の炭化水素を有するアシル基を含むN−アシルアミノ酸
銀塩の分散溶液と接触させて得られる繊維が用いられて
いる請求項1記載の制菌性を有する布帛、(請求項6)
疎水性繊維20〜80質量%と親水性繊維80〜20質
量%とからなる紡績糸の染色工程の最終柔軟仕上げ工程
の直前に、炭素数10〜20の炭化水素を有するアシル
基を含むN−アシルアミノ酸銀塩の分散溶液を前記紡績
糸と接触させて得られる紡績糸が用いられている請求項
1記載の制菌性を有する布帛、(請求項7)疎水性繊維
20〜80質量%と親水性繊維80〜20質量%とから
なる紡績糸を用いた布帛の染色工程における最終柔軟仕
上げ工程の直前に、 炭素数10〜20の炭化水素を有
するアシル基を含むN−アシルアミノ酸銀塩の分散溶液
を接触させて得られる布帛からなる請求項1記載の制菌
性を有する布帛。
【0009】(請求項8)湿式紡糸又は乾式紡糸をし
て、乾燥前の膨潤ゲル状態にある繊維に炭素数10〜2
0の炭化水素を有するアシル基を含むN−アシルアミノ
酸銀塩を接触させ、乾燥して得られたアクリル繊維と、
親水性繊維とを混紡して紡績糸を製造し、染色工程にお
いて、紡績糸を炭素数10〜20の炭化水素を有するア
シル基を含むN−アシルアミノ酸銀塩と接触させ、得ら
れた紡績糸を用いて製織又は製編して銀が布帛質量に対
して0.5〜100ppm含まれた布帛を製造すること
を特徴とする制菌性布帛の製造方法、である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の布帛及びその製造方法に
ついて詳細に説明する。本発明における布帛の例とし
て、織物、編物、不織布などが挙げられる。タオルやハ
ンカチなどに適したパイル布帛として、タオル織機で得
られるタオル織物、浮き糸を有する織物、シンカールー
プを有する編物、2重編織物の連結糸をセンターカット
したパイル編織物、これらを起毛加工したものなどが挙
げられる。このようなパイル布帛は、種々の方法で製造
することができるが、タオルとしての取り扱い性から、
タオル織機で織られたパイル織物が好ましい。シーツは
各種織機により得ることができる。
【0011】本発明の布帛は、炭素数10〜20の炭化
水素を有するアシル基を含むN−アシルアミノ酸銀塩
(以下、 N−アシルアミノ酸銀塩、と略称する)を含
有している点に特徴がある。布帛質量に対して銀が、
0.5〜100ppm含有されていることが必要であ
り、好ましくは1.0〜50ppmである。含有されて
いる、とは、布帛の表面に存在する場合と、布帛を構成
する繊維の内部に存在する場合を意味する。
【0012】布帛に含有されている銀のうちの50〜1
00質量%は、布帛を構成する繊維の表面と繊維表面か
ら内部に向かって2μmの間の領域に、繊維横断面幅が
4μm未満の場合はその領域全体に、含有されているこ
とが好ましい。銀の含有率が0.5ppm未満の場合
は、充分な制菌性がえられない。一方、銀の含有率が1
00ppmを超えると、布帛が着色しはじめる。布帛
に、炭素数10〜20の炭化水素を有するアシル基を含
むN−アシルアミノ酸銀塩以外の金属塩、例えば、銅塩
や、その他の添加剤を含有させることもできる。
【0013】布帛に本発明のN−アシルアミノ酸銀塩を
含有させるには、繊維を以下に例示するような方法で膨
潤状態又は軟化状態とし、本発明のN−アシルアミノ酸
銀塩を含有する分散液を接触させることにより得ること
ができる。 (1)溶剤を含む紡糸原液をノズルから押し出し凝固さ
せて糸状とし、乾燥前段階の任意の段階で得られる膨潤
状態(ゲル状態)の繊維に本発明のN−アシルアミノ酸
銀塩の分散液を接触させる。この方法は、疎水性繊維に
対して有効である。 (2)親水性繊維を水中(熱水含む)に浸漬し、膨潤状
態とし、本発明のN−アシルアミノ酸銀塩の分散液を接
触させる。 (3)繊維の染色条件下の繊維が軟化した状態で、本発
明のN−アシルアミノ酸銀塩の分散液と接触させる。
好ましくは、カチオン可染繊維をカチオン染料が染まる
条件とし、繊維を軟化させた状態で本発明のN−アシル
アミノ酸銀塩分散液を接触させる。
【0014】布帛に綿が含まれている場合、大半が晒及
び綿の染色がなされる。この場合、染色工程数が長く、
反応条件も中性領域からはづれることが多く、銀が工程
中で脱落しやすい。したがって、この場合はあらかじめ
十分な量の本発明の銀塩を含有した繊維を用いるか、染
色の最終工程で柔軟仕上げする直前に本発明のN−アシ
ルアミノ酸銀塩を接触させ、60℃以上に昇温し、表層
内部へ本発明のN−アシルアミノ酸銀塩を移行させた
後、柔軟処理を行い、乾燥して固着させるなどの方法に
より、布帛質量に対して銀を0.5〜100ppm含ま
せるようにすることができる。
【0015】本発明のN−アシルアミノ酸銀塩の形成に
用いられる、炭素数10〜20の炭化水素を有するアシ
ル基としては、高級脂肪酸残基が好ましく、例えば、デ
カノイル基、ラウロイル基、ミリストイロ基、パルミト
イル基、ステアロイル基、オレオイル基などが挙げられ
る。アシル基としては、単一のものに限られず、上記の
アシル基の複数の種類のものを用いてもよい。アミノ酸
成分としては、モノアミノモノカルボン酸、モノアミノ
ジカルボン酸、ジアミノモノカルボン酸などが用いられ
る。本発明の抗菌作用物質として、高い抗菌性を有する
ものを用いる場合には、モノアミノジカルボン酸を用い
ることが好ましい。モノアミノジカルボン酸は、2つの
カルボキシル基を有するので、抗菌作用を有する金属が
結合しやすく、全体として抗菌作用の強いものとするこ
とができる。
【0016】モノアミノモノカルボン酸の例として、グ
リシン、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニ
ン、チロシン、トレオニン、トリブトファン、メチオニ
ンなど、モノアミノジカルボン酸の例として、アスパラ
ギン酸、グルタミン酸など、ジアミノモノカルボン酸の
例として、リジン、アルギニン、ヒスチジンなどが挙げ
られる。本発明のN−長鎖アシルアミノ酸としては、1
種類のものに限定されず、多数の種類のものを用いても
よい。
【0017】本発明のN−アシルアミノ酸銀塩の好まし
い例としては、N−ステアロイルグルタミン酸銀、N−
ラウロイルグルタミン酸銀、N−ミリストイルグルタミ
ン酸銀、N−ステアロイルアスパラギン酸銀、N−ラウ
ロイルアスパラギン酸銀、N−ミリストイルアスパラギ
ン酸銀、 N−ステアロイルバリン銀、N−ラウロイル
バリン銀、N−ミリストイルバリン銀、 N−ステアロ
イルフェニルアラニン銀、N−ラウロイフェニルアラニ
ン銀、N−ミリストイルフェニルアラニン銀、N−ステ
アロイルアルギニン銀、N−ラウロイルアルギニン銀、
N−ミリストイルアルギニン銀などが挙げられる。上記
のN−アシルアミノ酸銀塩は、通常、水及び各種の有機
溶媒に対して難溶性で、常温において粉末状であり、各
種の溶媒に容易に分散させることができる。
【0018】本発明のN−アシルアミノ酸銀塩は、例え
ば、以下の方法で製造することができる。炭素数10〜
20の炭化水素を有するアシル基を含むN−アシルアミ
ノ酸のナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩の水
溶液に、硝酸銀、硫酸銀、酢酸銀などの水溶液の塩を混
合して、炭素数10〜20の炭化水素を有するアシル基
を含むN−アシルアミノ酸銀塩の沈殿物を形成させる。
得られた銀塩の沈殿物を乾燥させることにより、粉末状
の本発明のN−アシルアミノ酸銀塩を得ることができ
る。
【0019】本発明のN−アシルアミノ酸銀塩は、通
常、粉末状であり、各分子中に少なくとも1つの銀が結
合した塩であるので、極めて高い抗菌力を有している。
さらに、基本骨格を形成するものがアミノ酸であるた
め、毒性が少なく、種々の用途に安全に使用できる。本
発明の布帛は、疎水性繊維20〜80質量%と親水性繊
維80〜20質量%とからなることが必要である。タオ
ル、ハンカチに求められる吸水性を満足しつつ、菌の繁
殖の原因となる濡れた状態での保持時間を短くすること
により、より快適で、衛生的なパイル布帛を提供するこ
とができる。シーツなどにおいても、吸水性や冷感を阻
害せず、乾燥性を高める、という効果が発現する。
【0020】疎水性繊維が20%未満では、乾燥性の改
善がほとんど認められず、疎水性繊維が80%を超える
と、吸水性が悪化する。親水性繊維は布帛中に20〜8
0質量%含まれていることが必要である。20質量%未
満では、吸水性が不足し、タオルやハンカチなどに適さ
ない。80質量%を超えると、布帛が乾燥し難い、とい
う問題がある。疎水性繊維の例としては、ポリエステル
系繊維、ナイロン系繊維、アクリル系繊維、ポリプロピ
レン系繊維などが挙げられる。タオルに求められる付加
的要素として、ソフトさとボリュウム感を発現しやすい
という点、及び膨潤又は軟化状態での本発明のN−アシ
ルアミノ酸銀塩の付与を行いやすい点からアクリル系繊
維が好ましい。
【0021】親水性繊維の例としては、綿、レーヨン、
キュプラ、紡糸原液として有機溶媒を用いて製造したセ
ルロース繊維などが挙げられる。膨潤状態をとりうるこ
とができない疎水性繊維を用いる場合、親水性繊維を膨
潤状態として、ここに本発明のN−アシルアミノ酸銀塩
を接触させて制菌性を有する布帛を得ることもできる。
【0022】疎水性繊維と親水性繊維の混合方法は、任
意に選定できる。一例を挙げれば、織物の場合、緯糸に
ポリエステルフィラメントを用い、経糸に綿紡績糸を用
いたり、その逆とする、あるいは、経糸にポリエステル
紡績糸と綿紡績糸を交互に打ち込み、緯糸はポリエステ
ルフィラメント又は綿紡績糸を用いる、二重織物の片面
にポリエステルフィラメント、他面に綿紡績糸を用い
る、などである。編物、不織布の場合も、これに準じ
て、混合することができる。ソフトでボリュウム感があ
り、乾燥性が向上し、しかも雑菌の繁殖をおさえる制菌
効果が発現しやすいという点から、疎水性繊維と親水性
繊維とを混紡して得られる紡績糸を用いることが好まし
い。
【0023】本発明の布帛を製造するには、種々の方法
が可能である。その一部を列挙する。 (1)あらかじめ本発明のN−アシルアミノ酸銀塩を含
有させた疎水性繊維と、親水性繊維とを所定の割合で混
紡してなるスライバーから作られた紡績糸を、製織又は
製編し、その後、染色、乾燥、縫製を経て布帛を得る。 (2)前記の紡績糸をあらかじめ糸染めした後に、製織
又は製編し、切断、縫製を経て布帛を得る。のり抜き工
程などは必要に応じて行う。 (3)疎水性繊維と親水繊維とからなる紡績糸の染色工
程中で、繊維が膨潤又は軟化状態にある段階で本発明の
N−アシルアミノ酸銀塩を添加して染色し、乾燥して本
発明のN−アシルアミノ酸銀塩を繊維に固着させ、この
繊維を用いて、製織又は製編し、その後、裁断、縫製を
経て布帛とする。のり抜き工程は必要に応じて行う。 (4)疎水性繊維と親水性繊維からなる布帛を反染め
し、この染色途中で繊維が膨潤又は軟化状態にある段階
で本発明のN−アシルアミノ酸銀塩を添加した後、乾燥
して本発明のN−アシルアミノ酸銀塩を布帛に固着さ
せ、その後、裁断、縫製を経て本発明の布帛を得る。
【0024】染色工程等で、N−アシルアミノ酸銀塩の
一部が脱落した場合は、必要により、本発明のN−アシ
ルアミノ酸銀塩を布帛に付与してもよい。これらの内、
湿式紡糸又は乾式紡糸をして、乾燥前の膨潤ゲル状態に
ある繊維にN−アシルアミノ酸銀塩を接触させ、乾燥し
て得られたアクリル繊維と、親水性繊維とを混紡した紡
績糸を用い、上記のいずれかの方法の糸染め又は反染め
段階で親水性繊維を膨潤状態とし、ここに本発明のN−
アシルアミノ酸銀塩を接触させて得られる紡績糸を用い
た布帛が好ましい。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 1)抗菌性能の測定法 JIS L 1902(1998年度版(定量法))
「繊維製品の抗菌性試験」に準じて、大腸菌(Esch
erichia Coli(IFO3301))につい
ての抗菌性を評価した。 2)洗濯方法 家庭用電気洗濯機を用い、JAFET標準洗剤(繊維製
品新機能評価協議会指定洗剤、化学名:ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル)2g/Lを含有する40℃の水
溶液中で5分間洗濯後、流水で2分間洗浄、脱水後、さ
らに流水で2分間洗浄し、脱水、乾燥する。これを洗濯
1回(W=1)として評価し、以下同様に洗濯を50回
(W=50)行い、評価する。
【0026】3)銀の定量 布帛中の銀含有率の測定は、試料をアルカリ融解法を用
いて有機物を完全分解した後、分解した試料を蒸留水で
希釈した液をICP分析装置(プラズマ発光分光分析装
置)により、銀量を定量分析して、布帛中の銀含有率を
定量する。 4) 炭素数10〜20の炭化水素を有するアシル基を
含むN−アシルアミノ酸銀塩分布の測定 炭素数10〜20の炭化水素を有するアシル基を含むN
−アシルアミノ酸銀塩が含有する銀の分布を、SIMS
測定法(二次イオン質量分析法)により測定し、分布の
割合を、カラー画像解析装置により計測する。
【0027】5)吸水性 試料を5人のモニターに使用させ、3段階(良い、普
通、悪い)の官能判定を行う。 6)乾燥性 試料を、JIS l0127 103法にしたがい、洗
濯、すすぎ、脱水を行ったタオルの含水率を測定する。
比較例1を基準として試料の含水率の低下割合を求め
る。 含水率低下割合=(試料の含水率/比較例1の含水率)
×100 この作業を2回繰り返し、平均して、含水率低下割合が
5%未満を×、5〜15%を○、15%以上を◎とす
る。
【0028】
【実施例1〜4、比較例1〜3】水500cm3に、N
−ステアロイルーLーグルタミン酸ジナトリウムを13
5g溶解した水溶液を作成した。硝酸銀80gを水50
0cm3に溶解して硝酸銀水溶液を作成した。Nーステ
アロイルーL−グルタミン酸ジナトリウム水溶液に、上
記の硝酸銀水溶液を混合すると沈殿物が形成した。この
沈殿物を加熱乾燥させてN−ステアロイルーL−グルタ
ミン酸銀約180gを得た。
【0029】得られたNーステアロイルーLーグルタミ
ン酸銀5gと、界面活性剤としてジメチルラウリルベタ
イン3gを、水500cm3にホモミキサーで分散さ
せ、N−ステアロイルーL−グルタミン酸銀分散水溶液
を調整した。アクリロニトリル93質量%、アクリル酸
メチル6質量%及びメタリルスルホン酸ナトリウム1質
量%を共重合した共重合体を、硝酸水溶液に溶解して常
法により湿式紡糸し、水洗、延伸して膨潤ゲル状態のア
クリル系繊維を得た。この繊維を上記のN−アシルアミ
ノ酸銀塩の水溶液に浸漬し、N−アシルアミノ酸銀塩を
乾燥繊維質量に対して所定量付着させ、130℃の熱風
で乾燥した。その後110℃の水蒸気により湿熱セット
を行い、捲縮を付与したのち、ローターカッタにて38
mmに切断した。
【0030】上記アクリル系繊維と綿とを表1のように
混合し、2/52メートル番手の紡績糸を得た。これを
前晒し、アクリル系繊維を染色した。この糸を経糸のパ
イル糸及び下糸、緯糸のそれぞれに用いて、コース45
本/2.54cm、パイル倍率5.4倍にて、タオル織
機にて織り、20cm×20cmに裁断し、周囲をオー
バーロックミシンがけしてハンカチタオルを得た。タオ
ルの制菌性及びその他の性能を表1に示す。
【0031】
【実施例5〜7 比較例4〜6】1.7dtex、繊維
長38mmのカシミロン(登録商標)(アクリロニトリ
ル系繊維、旭化成株式会社製)と、綿を所定量づつで混
紡し、2/52Nmの紡績糸を得た。この紡績糸を晒処
理、蛍光処理を行い、処理液中に実施例1のN−ステア
ロイルーLーグルタミン酸銀を所定量添加し、70℃に
液温を上げ、20分間循環して、紡績糸に付与させた。
その後、柔軟処理、脱水を行い、80℃で乾燥した。こ
の糸を経糸のパイル糸及び下糸に用い、緯糸には2/5
2Nmの綿糸を用いて、コース45本/2.54m、パ
イル倍率5.4倍にてタオル織機にて織り、パイル布帛
を得た。これを20cm×20cmに裁断し、周囲をオ
ーバーロックミシンがけをしてタオルハンカチを得た。
タオルの制菌性及びその他の性能を表2に示す。
【0032】
【実施例7】実施例6で得られた2/52Nmの紡績糸
を経糸のパイル糸及び下糸に用い、2/52Nmの綿糸
を緯糸として用いて、コース45本/2.54cm、パ
イル倍率5.4倍としてタオル織機を用いて製織し、パ
イル布帛を得た。これをウインス染色機で染色した。精
錬、漂白、綿の染色、固着処理後、実施例1のN−ステ
アロイルーLーグルタミン酸銀を投入し、70℃まで昇
温し、20分間処理し、その後柔軟処理を行い、脱水
し、90℃で乾燥しパイル布帛を得た。これを20cm
×20cmに裁断し、周囲をオーバーロックし、ハンド
タオルを得た。
【0033】
【実施例8】実施例6と同様にして作成した1/52N
mの紡績糸(さらし糸)を緯糸とし、1/52Nmの晒
し済み綿糸を用いて、レピアルーム織機にて経密度10
0本/2.54cm、緯密度100本/2.54cmの
平織物を製織糸し、ふちをミシンがけし、シーツを得
た。このシーツの白さ及び触感は良好であった。布帛質
量当たりの銀の付着量は12.8ppmであった。洗濯
50回後の大腸菌に対する殺菌活性値は1.6であっ
た。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】本発明の布帛は、制菌性に優れ、繰り返
し洗濯後も、大腸菌などに対して良好な制菌性を保こと
ができる。特に、ハンカチやタオルなどのパイル布帛及
びシーツ用布帛として好適である。また、本発明の布帛
は、吸水性及び速乾性を兼ね備え、手洗い後の手を衛生
的に乾燥させることができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疎水性繊維20〜80質量%と親水性繊
    維80〜20質量%とからなり、炭素数10〜20の炭
    化水素を有するアシル基を含むN−アシルアミノ酸銀塩
    を含有する布帛であって、布帛質量に対して銀が0.5
    〜100ppm含まれていることを特徴とする制菌性を
    有する布帛。
  2. 【請求項2】 疎水性繊維がアクリル系繊維である請求
    項1記載の布帛。
  3. 【請求項3】 親水性繊維が綿である請求項1又は請求
    項2記載の制菌性を有する布帛。
  4. 【請求項4】 疎水性繊維と親水性繊維との混紡糸が用
    いられていることを特徴とする請求項1記載の布帛。
  5. 【請求項5】 疎水性繊維及び/又は親水性繊維が膨潤
    又は軟化状態にある間に、炭素数10〜20の炭化水素
    を有するアシル基を含むN−アシルアミノ酸銀塩の分散
    溶液と接触させて得られる繊維が用いられている請求項
    1記載の制菌性を有する布帛。
  6. 【請求項6】 疎水性繊維20〜80質量%と親水性繊
    維80〜20質量%とからなる紡績糸の染色工程の最終
    柔軟仕上げ工程の直前に、炭素数10〜20の炭化水素
    を有するアシル基を含むN−アシルアミノ酸銀塩の分散
    溶液を前記紡績糸と接触させて得られる紡績糸が用いら
    れている請求項1記載の制菌性を有する布帛。
  7. 【請求項7】 疎水性繊維20〜80質量%と親水性繊
    維80〜20質量%とからなる紡績糸を用いた布帛の染
    色工程における最終柔軟仕上げ工程の直前に、 炭素数
    10〜20の炭化水素を有するアシル基を含むN−アシ
    ルアミノ酸銀塩の分散溶液を接触させて得られる布帛か
    らなる請求項1記載の制菌性を有する布帛。
  8. 【請求項8】 湿式紡糸又は乾式紡糸をして、乾燥前の
    膨潤ゲル状態にある繊維に炭素数10〜20の炭化水素
    を有するアシル基を含むN−アシルアミノ酸銀塩を接触
    させ、乾燥して得られたアクリル繊維と、親水性繊維と
    を混紡して紡績糸を製造し、染色工程において、紡績糸
    を炭素数10〜20の炭化水素を有するアシル基を含む
    N−アシルアミノ酸銀塩と接触させ、得られた紡績糸を
    用いて製織又は製編して銀が布帛質量に対して0.5〜
    100ppm含まれた布帛を製造することを特徴とする
    制菌性布帛の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017082350A (ja) * 2015-10-27 2017-05-18 三菱レイヨン株式会社 アクリル繊維含有織編物
JP2021516731A (ja) * 2018-03-19 2021-07-08 リヴィンガード エージー 抗菌有機布地
US20220041766A1 (en) * 2020-08-07 2022-02-10 Montefibre Mae Technologies S.r.I. Simplified and improved process for the production of acrylic fibers

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