JP2023153752A - コラーゲン含有紡績糸 - Google Patents

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信一郎 瀧
Shinichiro Taki
眞矢 樋口
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Abstract

【課題】コラーゲンペプチドが練り込まれたレーヨン短繊維を少なくとも一部に用いた紡績糸とすることで、吸湿性と保湿性に優れ、また風合いにも優れる紡績糸を提供する。【解決手段】コラーゲンペプチドを含有するレーヨン短繊維を少なくとも一部に含有する紡績糸であって、温度20℃、湿度65%RHの吸湿率が10%以上であるコラーゲン含有紡績糸であり、前記コラーゲンぺプチドを含有するレーヨン短繊維を15質量%以上含有することが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、コラーゲンペプチドを含有するレーヨン短繊維を少なくも一部に含む紡績糸に関するものである。
近年、SDGs(持続可能な開発目標)に向けた開発が進む中で、地球規模での環境に対する意識向上に伴い、石油資源の枯渇や石油資源の大量消費による地球温暖化の問題から、天然繊維や再生繊維といった非石油由来の繊維素材が注目されている。
このような環境配慮型素材のうち、レーヨン繊維は木材パルプを原料とする再生セルロース繊維であり、基となる成分がセルロースであるため非石油由来の繊維素材のものである。また、レーヨン繊維は肌触りがよく、光沢感、吸湿性、放湿性、染色性などに優れるため、従来からこのようなレーヨン繊維の特性の更なる向上や、その他の機能性を付与することが提案されている。例えば、特許文献1には、セルロースを含むビスコース原液に、ポリアクリル酸未中和物を含む水分散液を混合して調製した紡糸用ビスコース液を紡糸することにより、ハンドリング性よく消臭性、消臭性の耐洗濯性、放湿放熱性および吸放湿性に優れた多機能性再生セルロース繊維を得ることが提案されている。
また、天然素材を用いた機能性付与の方法としては、コラーゲンを繊維材料に付着させたり、含有させることにより、肌触りのよい風合いや吸放湿性、消臭性、帯電防止性、抗菌性などを付与する加工が提案されている。例えば、特許文献2には、コラーゲンを含む処理液をポリエステル繊維材料に付与した後、重合することにより、抗菌性や吸放湿性、制電性に優れた改質ポリエステル繊維を得られることが開示されている。また、特許文献3には、中空繊維の中空部にコラーゲンを固定した中空ポリエステル繊維とすることで、吸湿性や保湿性に優れた繊維を得られることが開示されている。
一方で、近年、肌の健康に対する関心が高まっており、化粧品はもとより、繊維に対しても皮膚の保湿状態を適度に保持できるような衣類が要求されている。
すなわち、上記特許文献1、2のような吸湿性および放湿性のいずれにも優れる繊維は、ムレやベタツキ感を防止する機能性繊維として好適であるが、肌に直接接するような衣類に用いると、水蒸気の放湿量が大きいものであるため、皮膚の保湿性が低下し、乾燥による痒みなどが生じる恐れがある。また、特許文献3で提案される繊維はコラーゲンを用いた改質により、保湿性能が改善されているが、ポリエステル繊維を用いたものであるため、吸湿性および保湿性が天然繊維や再生繊維と比べて不十分なものであり、また肌触りや風合いにも劣るものであった。
特開2013-204206号公報 特開平7-300770号公報 特開平10-077577号公報
そこで上記の課題を解決するべく、本発明では非石油由来の繊維素材であるレーヨン短繊維にコラーゲンペプチドを含有させ、該レーヨン短繊維を少なくとも一部に用いて紡績糸とすることで、吸湿性と保湿性に優れるとともに、風合いにも優れる紡績糸を提供することを技術的な課題とする。
本発明者は、上記の様な課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下(1)~(3)を要旨とするものである。
(1) コラーゲンペプチドを含有するレーヨン短繊維を少なくとも一部に含有する紡績糸であって、温度20℃、湿度65%RHの吸湿率が10%以上であるコラーゲン含有紡績糸。
(2) 前記コラーゲンぺプチドを含有するレーヨン短繊維を15質量%以上含有する、(1)に記載のコラーゲン含有紡績糸。
(3) 請求項(1)または(2)に記載のコラーゲン含有紡績糸を少なくとも一部に含有する織編物。
本発明によれば、コラーゲンペプチドを含有するレーヨン短繊維を少なくとも一部に含む紡績糸とすることで、吸湿性と保湿性に優れるとともに柔らかな風合いにも優れた紡績糸を提供することができる。そのため、本発明の紡績糸を用いて得られる織編物は、肌に直接触れるようなインナー衣料やスポーツ衣料に好適であり、例えば、浴衣、腹巻き、手袋、靴下、マスクなどの用途にも好適である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のコラーゲン含有紡績糸は、コラーゲンペプチドを含有するレーヨン短繊維を少なくとも一部に含有する。
本発明において、コラーゲンペプチドとはコラーゲン(タンパク質)のひとつであり、コラーゲンを加水分解などで低分子化したものである。本発明ではコラーゲンペプチドの平均分子量が5000以下であるものが好ましく、中でも500~4000程度であることが好ましい。
コラーゲンは、動物や魚の表皮や骨、鱗などから抽出されるため、安全性の高い天然保湿成分として、化粧品や健康食品などに使用されている。中でも、魚の表皮や骨、鱗などから抽出される海洋性コラーゲンは、動物性コラーゲンと比べ、安全性が高く、濃度を上げても匂いが出にくい特徴があるため、繊維用途に好適である。
本発明におけるレーヨン繊維とは、木材パルプに含まれている繊維質(セルロース)をアルカリ(苛性ソーダ)処理した後、二硫化炭素と反応させてセルロース誘導体をつくり、これをアルカリ溶液に溶解させて原液(ビスコース)とし、この原液を湿式防止することで得られる再生繊維である。レーヨン繊維は綿よりも吸湿性が高く、また風合いに優れる特徴を有しており、本発明においてもコラーゲンペプチドの有する保湿性と、レーヨン繊維の吸湿性とを組み合わせることにより、優れた吸湿性や保湿性を有するコラーゲン含有紡績糸を得ることができると推定される。
次に、コラーゲンペプチドを含有するレーヨン繊維としては、例えばコラーゲンペプチド含有溶液中にレーヨン繊維を含浸してコラーゲンペプチドをレーヨン繊維表面に付着させたものや、レーヨン繊維を構成するセルロース溶液にコラーゲンペプチド加水分解液を配合して紡糸することにより得られたものなどが挙げられる。本発明のコラーゲンペプチド含有レーヨン繊維としては、後者のものが好ましい。
後者のレーヨン繊維にコラーゲンペプチドを含有させる具体的な方法としては、コラーゲンペプチド加水分解液を調製し、次にレーヨン繊維を溶媒に溶解してセルロース溶液とし、コラーゲンペプチド加水分解液とセルロース溶液を混合し、繊維紡糸溶液とする。この繊維紡糸溶液を湿式紡糸法により紡糸することで、コラーゲンペプチドを含有するレーヨン繊維を得ることができる。
本発明のコラーゲン含有紡績糸は上記のコラーゲンペプチドを含有するレーヨン繊維を少なくとも一部に含有するものである。すなわち、本発明のコラーゲン含有紡績糸は、短繊維(ステープルファイバー)の状態であるコラーゲンペプチドを含有するレーヨン繊維(以下、コラーゲン繊維と称することがある。)のみを使用して得られた紡績糸、もしくはコラーゲン繊維とコラーゲン繊維以外の他の繊維を使用して得られた紡績糸である。
本発明のコラーゲン含有紡績糸はコラーゲン繊維を15質量%以上含有することが好ましく、20質量%以上含有することがより好ましく、50質量%以上含有することがさらに好ましく、紡績糸の100質量%がコラーゲン繊維で構成されていてもよい。コラーゲン繊維の含有量が15質量%未満であると、コラーゲン繊維が有する優れた吸湿性や保温性、抗菌性を本発明のコラーゲン含有紡績糸に付与することができない。
本発明のコラーゲン含有紡績糸がコラーゲン繊維と他の繊維を含むものである場合、コラーゲン繊維と他の繊維の混合紡績糸とすることが好ましく、また、コラーゲン繊維と他の繊維の複合紡績糸とすることが好ましい。
つまり、本発明のコラーゲン含有紡績糸は、コラーゲン繊維のみからなるもの、コラーゲン繊維とその他繊維の混合紡績糸、コラーゲン繊維と他の繊維の複合紡績糸を含むものである。
複合紡績糸の場合は、糸条長手方向に対して垂直な断面が芯部と鞘部とを有する二層構造紡績糸であることが好ましい。本発明においては、コラーゲン繊維が繊維表面に露出していると優れた吸湿性や風合いを十分に活かすことができるため、鞘部にコラーゲン繊維を配した二層構造紡績糸が好ましい。
その他繊維としては、合成繊維、再生繊維および天然繊維などを使用することができ、具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、アクリル、ビニロン、塩化ビニルおよびポリプロピレンなどの合成繊維、ジアセテートやトリアセテートなどの半合成繊維、レーヨン、キュプラ、リヨセルなどの再生セルロース繊維、綿、麻、ケナフ、パルプ、羊毛および絹などの天然繊維を使用することができる。また、これらを任意の割合で2種以上、混紡して用いてもよい。
再生セルロース繊維を使用する場合、再生セルロース繊維は、染色もしくは再染色におけるすれ・あたり、製品化した後に繰り返される揉みなどにより、繊維表面が割れるフィブリル化という現象を起こし易い。繊維がフィブリル化すると、編地の風合いが低下する他、編地の所々白みがかったように見える白化現象とともに、セルロース系紡績糸の毛羽が編地表面に噴出し、著しく外観を損ねる場合がある。従って、風合い・外観を維持する観点から、抗フィブリル化処理を施したものを用いることが好ましい。
再生セルロース繊維を原綿段階で抗フィブリル化処理する方法としては、例えば、クロルヒドリン基及びグリシジル基の少なくとも一方を有する化合物と、アルカリ性化合物と、中性塩からなる反応促進剤とを含有する水溶液に、原綿(繊維の塊)を投入し、所定時間加熱撹拌する方法が挙げられる。抗フィブリル化処理に使用する装置としては、先染用として一般に使用されているパッケージ染色機が挙げられる。処理時間としては、原綿の投入量、装置、撹拌速度などに応じて処理時間を最適化すればよいが、一般には10~90分程度が好ましい。処理温度としては、40℃以上が好ましく、60~100℃がより好ましい。
本発明のコラーゲン含有紡績糸は、肌着、中衣、スポーツ衣料などの衣料用途に好適なものであるため、英式綿番手が5~60番手であることが好ましく、中でも10~50番手であることが好ましい。
本発明のコラーゲン含有紡績糸の平均強力は、100~500cNであることが好ましく、140~300cNがより好ましい。また、伸度が5~25%であることが好ましい。
そして、本発明のコラーゲン含有紡績糸は、温度20℃、湿度65%RHでの吸湿率が10%以上であることが必要であり、中でも吸湿率が11%以上であることが好ましく、12~16%であることがより好ましい。吸湿率が10%未満の場合、本発明のコラーゲン含有紡績糸を用いた衣服を着用した際に快適な吸湿特性が得られないため好ましくない。一方、吸湿率の上限は特に限定するものではないが、吸湿率が高くなりすぎると繊維表面にベタツキ感が現れて好ましくないため、吸湿率は18%程度を上限とすることが好ましい。なお、温度20℃、湿度65%RHでの吸湿率は後述する方法で算定する。
また、本発明のコラーゲン含有紡績糸は、吸湿性に優れることに加えて適度な放湿性能を有しており、空気中の水蒸気を素早く吸湿するとともに、適度な放湿をしながら湿度を保持する保湿性にも優れている。つまり、コラーゲン含有紡績糸を湿度の高い環境下に放置した場合は高い吸湿性を示し、その後、湿度の低い乾燥環境下に放置した場合には、緩やかな速度で放湿が進むため、保湿性能が求められる用途に好適である。本発明では、コラーゲンペプチドの有する保水性と、レーヨン繊維の吸湿性とを組み合わせることにより、このような保湿性に優れた紡績糸となると推定される。
本発明のコラーゲン含有紡績糸は、絶乾状態から30℃、90%RH環境下に移し、24時間放置したときの吸湿性(水分率M)が15%以上であることが好ましく、17%以上がより好ましく、20%以上であることがさらに好ましいい。本発明において水分率Mは下記式で算出される値であり、値が大きくなるほど吸湿性に優れることを示す。
(%)=[(W-W)/W]×100
:絶乾時の重量
:絶乾状態から、30℃、90%RH環境下に移し、24時間放置した後の重量
さらに、本発明の芯鞘複合繊維は、上記30℃、90%RHの環境下で平衡水分率に達した状態から、さらに20℃、65%RHの環境下に移し、24時間放置したときの放湿性(水分率M)が10~16%であることが好ましく、10~14%がより好ましい。本発明において水分率Mは下記式で算出される値であり、値が小さくなるほど放湿性に優れることを示す。
(%)=[(W-W)/W]×100
:絶乾時の重量
:30℃、90%RH環境下で平衡水分率に達した状態から、20℃、65%RH環境下に移し、24時間放置した後の重量
本発明のコラーゲン含有紡績糸の保湿性については、人の肌の保湿状態を示す皮膚水分率で評価することができる。具体的には本発明のコラーゲン含有紡績糸を人の皮膚上に貼り付ける前と後で、皮膚水分率を+0.7%以上を達成することができることが好ましい。皮膚水分率の増加率は+0.8%以上であることが好ましく、+1.0%以上であることがさらに好ましい。なお、皮膚水分率の測定方法は実施例に詳述する。
また、本発明のコラーゲン含有紡績糸は抗菌性にも優れる。具体的には、JIS L 0217 103法(1995)に基づく家庭洗濯を10回行った後の、JIS L 1902:2015に規定の菌液吸収法による黄色ブドウ状球菌への抗菌活性値が2.2以上であることが好ましく、3.0~6.5であることがさらに好ましい。また、肺炎桿菌への抗菌活性値が2.2以上であることが好ましく、3.0~6.5であることがさらに好ましい。これらの抗菌活性値が2.2以上であれば優れた抗菌性能を発揮することができる。一方、抗菌活性値が6.5範囲を超えると、皮膚表面の常在菌にまで影響を及ぼすばかりか、皮膚刺激性が強すぎるため、皮膚障害の懸念が生じる可能性が高くなるため、好ましくない。
次に、本発明の紡績糸の製造方法について説明する。
まず、コラーゲン繊維と必要に応じてその他繊維を混用し、混打綿機へ投入してシート状のラップを得る。このラップをカード機に投入し、カード機内で梳綿工程を経た後、ウェブを紡出、集束し、カレンダーロールで押圧してカードスライバーを得る。
次に、カードスライバーを練条工程において、複数本合わせて延伸を行い、スライバーSを得る。スライバーSを粗紡機に供給し、粗紡機において、供給されたスライバーSを延伸し、粗糸を得る。この粗糸を精紡機のトランペット(ガイド)に通し、バックローラ、エプロン、フロントローラの順を経て、延伸を行った後、撚りをかけて紡績糸を得る。
次に、本発明の織編物は、本発明のコラーゲン含有紡績糸を少なくとも一部に含有する織物、または編物である。本発明の織編物中に含まれる本発明のコラーゲン含有紡績糸の含有量は特に限定されず、使用用途に合わせて適宜選択すればよいが、織編物に十分な吸湿性や保湿性を付与するには、50質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%すなわち、本発明のコラーゲン含有紡績糸のみを用いた織編物であることが特に好ましい。
本発明の織編物は、特に組織など限定されない。織物としては、平、綾、朱子、パイルおよびこれらの変化組織などが挙げられる。編物としては、経編物又は緯編物のいずれであってもよい。経編物としては、例えば、デンビー編、コード編、アトラス編などが挙げられ、具体的にはトリコットハーフ、トリコットサテンなどが挙げられる。また、緯編物としては、例えば、平編、ゴム編、パール編、スムース編などが挙げられ、具体的には、天竺、鹿の子、スムースなどが挙げられる。
本発明の織編物は、温度20℃、湿度65%RHでの吸湿率が10%以上であることが好ましく、中でも吸湿率が11%以上であることがより好ましい。吸湿率が10%以上であれば、本発明のコラーゲン含有紡績糸を用いた衣服を着用した際に快適な吸湿特性が得られるものとできる。
本発明のコラーゲン含有紡績糸は吸湿性、保湿性また抗菌性や風合いなどに優れることから、衣料用途、中でも肌に直接触れる場所や発汗が促されている環境下で使用することが好ましく、インナー衣料、スポーツ衣料などに好適である。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例中の各種の特性値および評価は以下の通りである。
(番手の測定)
得られたコラーゲン含有紡績糸を用い、JISのL-1095 9.4.1に従って測定した。
(強力・伸度)
得られたコラーゲン含有紡績糸を用い、引張試験機:敷島紡績株式会社製ST―2000を用いて、引張速度:30cm/分、つかみ間隔:50cmの条件にて、JISのL-1095 9.5.に従って測定した。
(吸湿性;20℃×65%RH)
得られた筒編地を用いて、10cm×10cmの試験片を採集した。試験片の絶乾時の質量(W)を測定した後、この試料を温度20℃×湿度65%RHの状態に調湿された恒温恒湿器(ナガノ科学機械製LH-20-11M)中に放置し、平衡水分率に達した時の試料の質量(W20)を測定した。下記式により温度20℃×湿度65%RHの吸湿率を求めた。
吸湿率(質量%)={(W20―W)/W}×100
(吸湿性;30℃×90%RH、放湿性)
以下の手順に従って水分率M、水分率Mを算出し、吸湿性、放湿性の評価を行った。
(イ)得られた筒編地を20cm×20cmの大きさに切り出して試験片とし、絶乾時の試験片の重量Wを測定した。
(ロ)試験片を30℃×90%RHの環境下へ移し、24時間後の試験片の重量Wを測定した。
(ハ)続いて試験片を20℃×65%RHの環境下に移し、24時間後の試験片の重量Wを測定した。
(ニ)上記の各値を用いて、次式により水分率M、水分率Mを算出した。
(%)=[(W-W)/W]×100
(%)=[(W-W)/W]×100
(保湿性)
得られた筒編地を用いて、3×3cmの試験片を採集した。この試験片を20℃×65%RHの環境下で被験者の腕に5時間貼り付けた。試験片の貼り付け前(初期)、および5時間経過後の皮膚水分率を、モイストチェッカーを用いて測定し、下記式より初期と5時間経過後の皮膚水分率の差を算出した。3人の被験者に対して試験を行い、水分率の差の平均値を算定した。この値が大きいほど、保湿性に優れることを意味する。
皮膚水分率の差(%)=5時間後の皮膚水分率(%)-初期の皮膚水分率(%)
実施例、比較例で使用するコラーゲン繊維、綿繊維、リヨセル短繊維、抗フィブリル化リヨセル短繊維は以下のとおりである。
・コラーゲン繊維;単糸繊度1.25D、強度2.75g/d、伸度21.9%、繊維長38mm(コラーゲンペプチドを含有するレーヨン繊維、博祥国際股彬有限公司製『UMORFIL(R) Beauty Fiber(R)』)
・綿繊維;JIS L 1019綿繊維試験方法において、有効繊維長32.8mm、短繊維含有率9.4%、繊度<マイクロネヤリーディング>4.8となるもの
・リヨセル短繊維;単糸繊度1.3dtex、強度33cN/dtex、伸度10%、繊維長38mm(LENZING製『テンセル(R)LF』)
・抗フィブリル化リヨセル短繊維;抗フィブリル加工したリヨセル短繊維であって、単糸繊度1.3dtex、強度33cN/dtex、伸度10%、繊維長38mm(LENZING製『テンセル(R)KF』)
実施例1
コラーゲン繊維のみを用いて、混打綿機へ投入してシート状のラップを得た。このラップをカード機に投入し、カード機内で梳綿工程を経た後、ウェブを紡出、集束し、カレンダーロールで押圧して300ゲレン/6ヤードのカードスライバーを得た。
次に、カードスライバーを練条工程において、8本合わせて6.93倍に延伸を行う工程(ダブリング)を2回行い、400ゲレン/6ヤードのスライバーSを得た。スライバーSを粗紡機に供給し、粗紡機において、供給されたスライバーSを8.3倍に延伸し、240ゲレン/30ヤードの粗糸を得た。
この粗糸を精紡工程において精紡機のトランペット(ガイド)に通し、バックローラ、エプロン、フロントローラの順を経て、31.6倍に延伸を行った後、撚りをかけて、太さ40番手単糸(英式綿番手)である、コラーゲン繊維100%のリング紡績糸(コラーゲン含有紡績糸)を得た。
得られた紡績糸のみを使用し、英光産業社製の筒編機(釜径:3.5インチ、針本数:260N)を用いて筒編地を作成し、生機(30cm程度)を作成した。
また、得られた紡績糸のみを使用し、福原精機製の編機(福原精機製JS3、針本数:3384本、釜径:30インチ、ゲージ:36ゲージ)を用いて、天竺編地を作成し、生機(112cmダブル巾、目付:250g/m)を得た。
得られたそれぞれの生機に対して、下記に示す染色加工(精練、染色、乾燥)を行い、加工上り編地を得た。
(精練)
サンモール1g/l、浴比1:20、処理温度95×30分
(乾燥)
ピンテンター120℃×2分
(染色)
反応染料:Sumifix Spura Blue BRF 1%o.m.f、芒硝: 60g/l、ソーダ灰:20g/l、処理温度:60℃×45分
(ソーピング)
リポトールRK-5:1g/l、処理温度:95℃×10分
(乾燥)
ピンテンター、120℃×2分
実施例2
実施例1の梳綿工程で得られたコラーゲン繊維100%からなるカードスライバーと同じ長さに対して同じ質量となるよう、コラーゲン繊維に換えてリヨセル短繊維を用いた以外は実施例1と同様にして、リヨセルカードスライバーを得た。次に、コラーゲン繊維100%からなるカードスライバーとリヨセルカードスライバーを同本数ダブリングすることでコラーゲン繊維とリヨセルの質量比が50/50となる400ゲレン/6ヤードの練条スライバーを得た。
この練条スライバーを実施例1と同様にして、粗紡工程、精紡工程を行い、コラーゲン繊維とリヨセル短繊維の質量比50/50からなる、太さ40番手単糸(英式綿番手)のリング紡績糸を得た。
得られた紡績糸を用いて実施例1と同様にして筒編地の生機および天竺編地の生機を得て、さらに実施例1と同様に染色・仕上処理を行い、加工上り編地を得た。
実施例3
実施例1と同様にコラーゲン繊維のみを用いて、混打綿機へ投入してシート状のラップを得た。このラップをカード機に投入し、カード機内で梳綿工程を経た後、ウェブを紡出、集束し、カレンダーロールで押圧して288ゲレン/6ヤードのコラーゲン繊維100%からなるカードスライバーを得た。次に、リヨセル短繊維に換えて抗フィブリル化リヨセル短繊維のみを用いた以外は実施例2と同様にして、320ゲレン/6ヤードの抗フィブリル化リヨセル100%カードスライバーを得た。次いで、練条工程でコラーゲン繊維100%からなるカードスライバー5本と、抗フィブリル化リヨセルカードスライバー3本とを、実施例1と同様にダブリングすることでコラーゲン繊維と抗フィブリル化リヨセル短繊維の質量比が40/60となる400ゲレン/6ヤードの練条スライバーを得た。
この練条スライバーを実施例1と同様にして、粗紡工程、精紡工程を行い、コラーゲン繊維と抗フィブリル化リヨセルの質量比40/60からなる、太さ40番手単糸(英式綿番手)のリング紡績糸を得た。
得られた紡績糸を用いて実施例1と同様にして筒編地の生機を得て、さらに実施例1と同様に染色・仕上処理を行い、加工上り編地を得た。
比較例1
コラーゲン繊維に換えてリヨセル短繊維を用いた以外は実施例1と同様にして、リヨセル短繊維100%からなるカードスライバーを得た。このカードスライバー用いて実施例1と同様にして練条工程、粗紡工程、精紡工程を行い、リヨセル短繊維100%からなる、太さ40番手単糸(英式綿番手)のリング紡績糸を得た。
得られた紡績糸を用いて実施例1と同様にして筒編地の生機および天竺編地の生機を得て、さらに実施例1と同様に染色・仕上処理を行い、加工上り編地を得た。
比較例2
リヨセル短繊維に換えて綿繊維を用い、カードスライバーを得た後に続けてコーマ工程を行った以外は比較例1と同様にして、綿繊維100%からなる太さ40番手単糸(英式綿番手)のリング紡績糸を得た。
得られた紡績糸を用いて実施例1と同様にして筒編地の生機および天竺編地の生機を得た。
得られたそれぞれの生機に対して、下記に示す染色加工(精練、漂白、染色、ソーピング、乾燥)を行い、加工上り編地を得た。
(精練)
サンモール:1g/l、浴比:1:20、処理温度:95×30分
(漂白)
過酸化水素:5g/l、水酸化ナトリウム:1g/l、サンモールFL:1g/l、処理温度:95度×30分
(乾燥)
ピンテンター処理温度:120℃×2分
(染色)
反応染料:Sumifix Spura Blue BRF 1%o.m.f、芒硝: 60g/l、ソーダ灰:20g/l、処理温度:60℃×45分
(ソーピング)
リポトールRK-5:1g/l、処理温度:95℃×10分
(乾燥)
ピンテンター処理温度:120℃×2分
実施例1~3および比較例1、2で得られた紡績糸および加工上り編地の評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1~3で得られたコラーゲン含有紡績糸および編地は、コラーゲン繊維を含有しない比較例1、2で得られた紡績糸および編地に対して、吸湿性に優れるものであった。

Claims (3)

  1. コラーゲンペプチドを含有するレーヨン短繊維を少なくとも一部に含有する紡績糸であって、温度20℃、湿度65%RHの吸湿率が10%以上であるコラーゲン含有紡績糸。
  2. 前記コラーゲンぺプチドを含有するレーヨン短繊維を15質量%以上含有する、請求項1に記載のコラーゲン含有紡績糸。
  3. 請求項1または2に記載のコラーゲン含有紡績糸を少なくとも一部に含有する織編物。
JP2023058301A 2022-04-05 2023-03-31 コラーゲン含有紡績糸 Pending JP2023153752A (ja)

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