JP2002235157A - 耐酸化性の優れた高強度Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金及びそれを用いてなる合金板 - Google Patents

耐酸化性の優れた高強度Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金及びそれを用いてなる合金板

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐酸化性と、特に常温において高い機
械的特性を同時に実現することが可能で、しかも構造部
材、構造部品に適用可能なFe-Cr-Ni-Al合金と、それを
用いてなる合金板を提供する。 【解決手段】 質量%にてC:0.003〜0.08%、Si:0.03〜
2.0%、Mn:2.0%以下、Ni:1.0%を超え8.0%以下、Cr:10.0
%以上19.0%未満、Al:1.5〜8.0%、Zr:0.05〜1.0%、残
部が実質的にFeからなり、かつ(1)式で示されるF値が12
%以上、(2)式で示されるS値が25%以下、かつ600〜105
0℃で焼鈍した後の常温での引張試験による0.2%耐力が
550〜1000MPaである耐酸化性の優れた高強度Fe-Cr-Ni-A
l系フェライト合金。 F=−34.3C+0.48Si−0.012Mn−1.4Ni+Cr+2.48Al…(1) S=Ni+Cr+Al…(2)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温酸化雰囲気に
さらされて表面に酸化被膜が形成された後に主に常温付
近の大気環境で使用されるのに適した優れた耐酸化性と
高強度を併せ持つFe-Ni-Cr-Al系フェライト合金及びそ
れを用いてなる合金板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、常温付近から高温までの大気
環境で使用される耐酸化性の優れた合金として、JIS C
2520に開示される電熱用鉄クロム合金およびニッケルク
ロム合金がよく知られている。これらの合金は、耐酸化
性に優れ、高温用発熱体に広く使用されている。また、
耐溶融金属溶損性および耐摩耗性に優れた合金として、
特開平9-263906号にFe-Ni-Cr-Al系フェライト合金およ
びその製造方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、JIS C2520に
開示される電熱用鉄クロム合金およびニッケルクロム合
金は、その用途から電気抵抗が重要な要求特性であり、
常温付近での使用を考えた場合、その強度については特
に考慮されていない。したがって、耐酸化性と常温強度
が要求される構造部材、構造部品に使用すると、部材、
部品が大きくなり、部材、部品の小型化や軽量化が困難
であった。また、特開平9-263906号に示されるFe-Ni-Cr
-Al系フェライト合金は、800〜1300℃の酸化雰囲気中で
加熱することによって表面にアルミニウムの酸化物を主
体とする被膜を形成させることで、耐酸化性、耐溶融金
属溶損性および耐摩耗性等を高めた合金である。また、
その実施例からわかるように、材料内部のビッカース硬
さが413HV以上の非常に高い硬度を有している。
【0004】しかし、この合金は、表面にアルミニウム
の酸化物を主体とする被膜を形成させることで、耐酸化
性、耐溶融金属溶損性および耐摩耗性等を向上させるこ
とを狙った工具用合金であるため、構造部材、構造部品
に必要とされる引張試験による0.2%耐力、伸びのような
引張特性については、特に考慮されていない。本発明の
目的は、優れた耐酸化性と、特に常温において高い機械
的特性を同時に実現することが可能で、しかも構造部
材、構造部品に適用可能なFe-Cr-Ni-Al合金と、それを
用いてなる合金板を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Fe-Ni-Cr
-Al系のフェライト合金において、良好な耐酸化性を維
持しつつ、引張強度を適正なレベルに制御できる成分バ
ランスを得るべく、鋭意検討を行った。その結果、Fe-N
i-Cr-Al系合金において、Ni、Cr、Al量を適正な範囲に
調整すると、基地がフェライト単相組織を維持でき、か
つ析出強化に大きく寄与するNiAlがフェライト基地中に
微細に析出でき、良好な耐酸化性、冷間加工性、および
延性を損なわないレベルの高強度が得られることを見出
した。
【0006】また、C及びZrを少量添加することによっ
て、炭化物を形成させてFe-Ni-Cr-Al系のフェライト結
晶粒を微細に保ち、0.2%耐力を向上させるだけでなく、
延性、靭性をも良好なレベルに維持できることを見出し
た。更に必要に応じて、Hf、V、Nb、Ta及びY、REMを添
加することによって、高温に曝された時に表面に形成さ
れるアルミニウムを主体とする酸化被膜の密着性が向上
することを見出した。また、各成分元素量を個々に調整
するだけでなく、本発明者らの実験的な検討の結果得ら
れたF値で表されるCr当量を規定量に調整する必要があ
ること、及び良好な冷間加工性を得るためにはS値で表
される固溶元素量を規定量に調整することが必要である
ことを見出し、本発明に到ったものである。
【0007】すなわち、本発明は、質量%にて、C:0.00
3〜0.08%、Si:0.03〜2.0%、Mn:2.0%以下、Ni:1.0%を超
え8.0%以下、Cr:10.0%以上19.0%未満、Al:1.5〜8.0%、
Zr:0.05〜1.0%、残部が実質的にFeからなり、かつ(1)
式で示されるF値が12%以上、(2)式で示されるS値が25
%以下であり、かつ600〜1050℃で焼鈍した後の常温で
の引張試験による0.2%耐力が550〜1000MPaであること
を特徴とする耐酸化性の優れた高強度Fe-Cr-Ni-Al系フ
ェライト合金である。 F=−34.3C+0.48Si−0.012Mn−1.4Ni+Cr+2.48Al … (1) S=Ni+Cr+Al … (2)
【0008】また本発明は、質量%にて、C:0.003〜0.0
6%以下、Si:0.03〜1.0%、Mn:2.0%以下、Ni:1.0%を超え
5.0%未満、Cr:10.0〜17.0%、Al:1.5%以上4.0%未満、Z
r:0.05〜0.8%、残部が実質的にFeからなり、かつ(1)式
で示されるF値が12%以上、(2)式で示されるS値が25%
以下であり、かつ600〜1050℃で焼鈍した後の常温での
引張試験による0.2%耐力が550〜1000MPaであることを
特徴とする耐酸化性の優れた高強度Fe-Cr-Ni-Al系フェ
ライトである。 F=−34.3C+0.48Si−0.012Mn−1.4Ni+Cr+2.48Al … (1) S=Ni+Cr+Al … (2)
【0009】また、好ましくは、上記の耐酸化性の優れ
た高強度Fe-Cr-Ni-Al系フェライト合金にHf、V、Nb、Ta
の1種または2種以上を0.05〜1.0%、Y、REMの1種または
2種を0.05〜1.0%含む耐酸化性の優れた高強度Fe-Cr-Ni
-Al系フェライト合金であり、また、更に好ましくは、
ビッカース硬さが250〜410HVである耐酸化性の優れた高
強度Fe-Cr-Ni-Al系フェライト合金であり、更に好まし
くは、20〜800℃の平均熱膨張係数が11〜14×10-6/℃で
ある耐酸化性の優れた高強度Fe-Cr-Ni-Al系フェライト
合金である。また、本発明合金は冷間加工性が良好であ
り、フェライト合金板に加工することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明における各元素の作
用について述べる。Cは、本発明に含有されるCr或いはZ
rと炭化物を形成し、これらの添加元素の効果を低下さ
せるため、低い方が望ましい。また、オーステナイト生
成元素であるため、多量の添加はフェライトを不安定に
する。一方、少量の添加であれば、フェライト組織を維
持しつつ、これらの炭化物がフェライト粒界の成長を抑
制して結晶粒を微細に保つことができる。しかし、0.00
3%より少ないと炭化物による結晶粒微細化の効果が得
られず、一方、0.08%を超えて添加すると粗大な炭化物
が増加して延性、加工性を低下させることから、Cは0.0
03〜0.08%とする。望ましくは、0.003〜0.06%である。
【0011】Siは、脱酸剤として少量添加するだけでな
く、耐酸化性を向上させる効果をもつ。しかし、0.03%
より少ないと十分な効果が得られず、一方、2.0%より多
く添加してもより一層の向上効果が少ないことから、Si
は、0.03〜2.0%とする。0.03〜1.0%がさらに望ましい。
Mnは、脱酸および脱硫剤として作用し、合金の清浄度を
高めるために添加する。しかし、2.0%を超えて添加する
と熱間加工性が低下することから、Mnは2.0%以下とす
る。望ましくは,1.0%以下がよい。
【0012】Niは、フェライト基地中に固溶して基地を
固溶強化するとともに、一部はAlと共にNiAlの金属間化
合物を形成してフェライト基地中に微細に析出分散し、
析出強化する効果があり、本合金にとって不可欠の元素
である。しかし、1.0%以下では、強化への効果が十分で
はなく、また一方、8.0%を超えて添加すると、強度が高
くなりすぎて延性が低下する恐れがあること、および場
合によっては高温でオーステナイト相が生成してフェラ
イト相が不安定になることから、Niは、1.0%を超え8.0
%以下とする。望ましくは1.0%を超え5.0%未満がよい。
【0013】Crは、フェライト生成元素であり、Fe-Ni-
Cr-Al系合金の基地組織をフェライト組織にするために
必要な元素である。また、高温において、表面に基地と
の密着力が強く、かつ均一緻密なアルミニウムの酸化物
を主体とする酸化被膜を形成して良好な耐酸化性を得る
ための重要な元素である。Crは10.0%より少ないと十分
な効果が得られず、一方、19.0%以上添加すると、熱間
および冷間での加工性が劣化することから、Crは、10.0
%以上19.0%未満とする。望ましくは、10.0%〜17.0%がよ
く、更に望ましくは13.0〜17.0%がよい。
【0014】Alは、Niと共にNiAlの金属間化合物をフェ
ライト基地中に微細に析出させ、フェライト基地を析出
強化させると共に、高温において、表面に基地との密着
力が強く、かつ均一緻密なアルミニウムの酸化物を主体
とする酸化被膜を形成して良好な耐酸化性を得るために
不可欠な重要元素である。Alが1.5%より少ないと十分な
効果が得られず、一方、8.0%を超えて添加すると熱間お
よび冷間での加工性が劣化するだけでなく、強度が高く
なりすぎて延性が低下する恐れがあることから、Alは、
1.5〜8.0%とする。望ましくは、1.5%以上4.0%未満がよ
い。
【0015】Zrは、高温において表面に形成されるアル
ミニウムの酸化物を主体とする被膜直下のフェライト相
内部に酸化物粒子を形成し、アルミニウムの酸化物を主
体とする被膜の密着性を著しく向上させる効果が大き
く、また、さらに炭化物を形成してフェライト結晶粒を
微細化して引張特性を改善する効果があるため、必須添
加する。しかし、0.05%より少ないと効果が十分でな
く、一方、1.0%より多く添加すると酸化物粒子が粗大化
し、逆に被膜の密着性を低下させること、および一部は
Cと結びついて粗大な炭化物を形成して冷間加工性や延
性を低下させることから、Zrは0.05〜1.0%とする。望ま
しくは、0.05〜0.8%がよい。
【0016】Hf、V、Nb、Taは、炭化物を形成すること
によってフェライト結晶粒を微細化し、引張特性を改善
すると共に、Alを主体とする酸化膜の密着性を改善する
効果を有するため、必要に応じて添加する。しかし、0.
05%より少ないと効果が十分でなく、一方、1.0%より多
く添加すると炭化物が粗大化し、延性を低下させること
から、Hf,V,Nb,Taは、1種または2種で0.05〜1.0%
とする。Y、REMは、高温において表面に形成されるアル
ミニウムの酸化物を主体とする被膜直下のフェライト相
内部に酸化物粒子を形成し、アルミニウムの酸化物を主
体とする被膜の密着性を著しく向上させる効果を有する
ため、必要に応じて1種または2種添加する。しかし、
0.05%より少ないと効果が十分でなく、一方、1.0%より
多く添加すると酸化物粒子が粗大化し、逆に被膜の密着
性を低下させることから、Y、REMは、1種または2種で
0.05〜1.0%とする。
【0017】本発明合金の基地組織をフェライト単相と
するためには、上記の各成分を個々に規定の範囲に調整
するだけではなく、そのバランスを適正化する必要があ
る。ここで、(1)式に示すF値は、本発明合金のフェライ
ト相の安定性を示すCr当量である。(1)式に示すCr当量
は、フェライト生成元素であるCr、Si、Alの各質量%に
各元素のフェライト相の生成しやすさを示す係数をかけ
たものを足し、オーステナイト生成元素であるNi、C、M
nの各質量%に各元素のオーステナイト相の生成しやすさ
を示す係数をかけたものを引いたものである。(1)式に
示すF値が12%より小さいと基地組織がフェライト単相
とならず、マルテンサイト相やオーステナイト相が共存
し、安定した特性が得られなくなるため、F値は、12%
以上とした。
【0018】また、(2)式に示すS値は、本発明合金の主
要な合金元素であるNi、Cr、Alの総量を質量%で示すも
のであり、熱間および冷間での加工を容易にするため、
および良好な引張延性を確保するためには、添加する合
金量を、特性を犠牲にしない範囲で低めに抑える必要が
ある。S値は25%より大きいと熱間または冷間での加工
において割れが発生しやすくなり、材料加工時の歩留ま
りが低下することから、S値は25%以下とした。望まし
くは23%以下がよい。
【0019】また、本発明合金においては、上述の元素
の他、残部は実質的にFeとしているが、当然のことなが
ら不可避的に含有される不純物は存在するし、高温で耐
酸化性だけでなく高温強度が必要とされる場合にはMo、
W、Coの1種または2種以上を合計で2.0%以下の範囲
で、添加してもかまわない。また熱間加工性を改善する
目的で、粒界を強化したり、硫化物の形成してSを固定
するために、B、Mg、Caの1種または2種以上を合計で
0.05%以下の範囲で添加してもよい。なお、不純物元素
であるP、S、N、Oは、できるだけ低い方が好ましいが、
極度に低減するには厳選した高価な原料を使用したり、
溶解精錬に多くの費用がかかるため、特性上、製造上特
に大きな問題はない以下に示す範囲であれば含有しても
かまわない。 P≦0.04%、S≦0.01%、N≦0.04%、O≦0.01%
【0020】本発明合金は、熱間加工または冷間加工で
塑性加工した後、塑性加工時の不均一な歪を除去して延
性を高めたり、結晶粒を均一微細にするために、600〜1
050℃の範囲の適当な温度で焼鈍するとよい。焼鈍温度
が600℃より低いと歪除去に長時間を要し、一方、1050
℃より高いと、歪除去が短時間でできるものの結晶粒が
粗大化し靭性が低下することから、焼鈍温度は600〜105
0℃とする。なお、焼鈍時間は低温では長めに、高温で
は短めに適宜調整する方がよい。例えば、700℃で焼鈍
する場合は、4h程度の保持が好ましく、950℃で焼鈍す
る場合は、3分程度の保持でも十分である。適正な焼鈍
を行うことによって本発明合金の0.2%耐力を構造部材、
構造部品に用いるのに必要とされる範囲に調整できる。
0.2%耐力は550MPaより小さいと、高強度が要求される構
造部材、構造部品に使用するには強度が不十分であり、
一方、1000MPaより大きいと延性、靭性が低下すること
から、0.2%耐力は550〜1000MPaとする。
【0021】硬さも0.2%耐力と同様、構造部材、構造部
品に使用するのに必要な特性である。硬さが250HVより
低いと高強度を要求される構造部材、構造部品に使用す
るには硬さが不十分であり、一方、410HVより高いと冷
間加工、機械加工の工数が多くかかること、および延
性、靭性の低下が心配されることから、硬さは250〜410
HVとする。
【0022】熱膨張係数は、構造部材、構造部品に使用
される場合は、組み合わせて使用される炭素鋼や合金
鋼、その他種々の異種材料と近いことが望ましいが、こ
れは本発明合金においては基地組織をフェライト単相と
することで達成することができる。熱膨張係数は通常、
室温からの各温度までの平均値で表すことが多く、ここ
では20〜800℃の平均熱膨張係数で表すこととし、本発
明合金の基地組織をフェライト単相とすることによって
11〜14×10-6/℃となる。また、本発明合金は、熱間加
工および冷間加工によって比較的容易に板形状に塑性加
工することができる。
【0023】
【実施例】本発明合金および比較合金を真空誘導溶解炉
で溶解し、10kgのインゴットを作製し、熱間鍛造した。
ここで熱間鍛造時にはいずれの合金も割れの発生はな
く、熱間加工性は良好であった。さらに熱間圧延により
約2mmの合金板に仕上げた後、680℃で焼鈍を行ない、
表面の酸化スケールを除去した後、約50%の冷間圧延に
よって約1mm厚さの合金板を作製した。その後、850℃〜
950℃の適当な温度で3分保持する焼鈍を行ない、急冷
した。
【0024】表1に本発明合金No.1〜12、比較合金No.2
1〜27の化学組成を示す。また、表2に各合金を冷間圧
延したときの冷間加工性、焼鈍後の基地組織、0.2%耐
力、ビッカース硬さ、20〜800℃の平均熱膨張係数、900
℃に10分加熱保持したときの耐酸化性を示す。ここで、
冷間加工性の良否は、冷間加工時の割れの発生の程度で
判断し、◎は割れなく容易に加工できるもの、○は割れ
発生はないが、変形抵抗がやや大きいもの、△は端に割
れが発生するものを示している。また、耐酸化性は加熱
保持後に空冷した後の酸化スケールの密着性で判断し、
酸化スケールの密着性の良いものを○、酸化スケールが
剥離するものを△で示した。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】表2より、本発明合金No.1〜12はいずれも
冷間加工性が良好であり、焼鈍後の基地組織はフェライ
ト(α)単相である。また、本発明合金No.1〜12は0.2%耐
力が550〜1000MPaの範囲にあり、ビッカース硬さが250
〜410HVの範囲にある。さらに本発明合金No.1〜12の熱
膨張係数は11〜14×10-6/℃の範囲に入っており、耐酸
化性も良好である。
【0028】一方、S値が25より大きい比較合金No.21〜
24は冷間加工性がやや悪い。また、F値が12より小さい
比較合金のうち、No.22、24には、フェライト(α)相以
外にオーステナイト(γ)相が共存し、No.25、No.26に
は、フェライト(α)相以外にマルテンサイト(α’)相が
共存しており、フェライト単相組織が得られていない。
また、Ni量が多く、フェライト単相組織を有する比較合
金No.21は、0.2%耐力、硬さが高すぎ、Ni量が多く、オ
ーステナイト相を含む比較合金No.22、24は熱膨張係数
が大きい。また、析出強化に効果の大きいNi、Alのいず
れかが低い比較合金No.25、26、27は、0.2%耐力、硬さ
が低い。また、Al量の低い比較合金No.25、26は耐酸化
性がやや悪い。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本発明のFe-Ni-Cr-A
l系フェライト合金は、熱間および冷間での加工が容易
であり、高強度と良好な耐酸化性を兼ね備えていること
から、常温付近から高温までの大気環境で使用される構
造部材、構造部品に使用されると、部品の小型化、軽量
化に寄与し、また良好な耐久性を有する等、工業上顕著
な効果をもつことが期待される。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%にて、C:0.003〜0.08%、Si:0.03
    〜2.0%、Mn:2.0%以下、Ni:1.0%を超え8.0%以下、Cr:1
    0.0%以上19.0%未満、Al:1.5〜8.0%、Zr:0.05〜1.0%、
    残部が実質的にFeからなり、かつ(1)式で示されるF値が
    12%以上、(2)式で示されるS値が25%以下であり、かつ
    600〜1050℃で焼鈍した後の常温での引張試験による0.2
    %耐力が550〜1000MPaであることを特徴とする耐酸化性
    の優れた高強度Fe-Cr-Ni-Al系フェライト合金。 F=−34.3C+0.48Si−0.012Mn−1.4Ni+Cr+2.48Al … (1) S=Ni+Cr+Al … (2)
  2. 【請求項2】 質量%にて、C:0.003〜0.06%以下、Si:
    0.03〜1.0%、Mn:2.0%以下、Ni:1.0%を超え5.0%未満、C
    r:10.0〜17.0%、Al:1.5%以上4.0%未満、Zr:0.05〜0.8
    %、残部が実質的にFeからなり、かつ(1)式で示されるF
    値が12%以上、(2)式で示されるS値が25%以下であり、
    かつ600〜1050℃で焼鈍した後の常温での引張試験によ
    る0.2%耐力が550〜1000MPaであることを特徴とする耐
    酸化性の優れた高強度Fe-Cr-Ni-Al系フェライト合金。 F=−34.3C+0.48Si−0.012Mn−1.4Ni+Cr+2.48Al … (1) S=Ni+Cr+Al … (2)
  3. 【請求項3】 質量%にて、Hf、V、Nb、Taの1種または
    2種以上を0.05〜1.0%含むことを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の耐酸化性の優れた高強度Fe-Cr-Ni-Al系
    フェライト合金。
  4. 【請求項4】 質量%にて、Y、REMの1種または2種を
    0.05〜1.0%含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れ
    かに記載の耐酸化性の優れた高強度Fe-Cr-Ni-Al系フェ
    ライト合金。
  5. 【請求項5】 ビッカース硬さが250〜410HVであること
    を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の耐酸化性
    の優れた高強度Fe-Cr-Ni-Al系フェライト合金。
  6. 【請求項6】 20〜800℃の平均熱膨張係数が11〜14×1
    0-6/℃であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか
    に記載の耐酸化性の優れた高強度Fe-Cr-Ni-Al系フェラ
    イト合金。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6の何れかに記載の耐酸化
    性の優れた高強度Fe-Cr-Ni-Al系フェライト合金を用い
    た合金板。
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CN112981273A (zh) * 2019-12-18 2021-06-18 韩电原子力燃料株式会社 铁素体合金及利用其制造核燃料包壳管的方法
CN113699465A (zh) * 2021-08-26 2021-11-26 华能国际电力股份有限公司 一种铁素体基高强耐蚀双相合金及制备方法

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