JP2002231438A - エレクトロルミネッセンスディスプレイ - Google Patents

エレクトロルミネッセンスディスプレイ

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JP2002231438A
JP2002231438A JP2001024064A JP2001024064A JP2002231438A JP 2002231438 A JP2002231438 A JP 2002231438A JP 2001024064 A JP2001024064 A JP 2001024064A JP 2001024064 A JP2001024064 A JP 2001024064A JP 2002231438 A JP2002231438 A JP 2002231438A
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intrinsic birefringence
electroluminescent display
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JP2001024064A
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Inventor
Kohei Arakawa
公平 荒川
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可視光全域の広帯域でλ/4を達成し得るλ
/4波長板を備え、背景の映り込みが防止され、画像表
示特性に優れ、かつ量産性、性能安定性にも優れたエレ
クトロルミネッセンスディスプレイを提供する。 【解決手段】 少なくとも光反射電極と発光層と透明電
極と1/4波長板及び直線偏光膜を有する円偏光板とが
配置されたエレクトロルミネッセンスディスプレイであ
って、前記1/4波長板が、単一層からなり、かつ波長
λにおけるレターデーション値Re(λ)がRe(450)
<Re(550)<Re(650)の特性を有することを特
徴とするエレクトロルミネッセンスディスプレイであ
る。1/4波長板が、固有複屈折値が正の材料と負の材
料とを含む混合材料、あるいは固有複屈折が正の一軸性
を示す鎖状部位と負の一軸性を示す鎖状部位とを有する
共重合体(好ましくは、グラフト共重合体)を含む組成
物からなる態様が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エレクトロルミネ
ッセンスディスプレイに関し、特に、1/4波長板及び
直線偏光膜からなる円偏光板を発光面側に備えたエレク
トロルミネッセンスディスプレイに関する。
【0002】
【従来の技術】平面ディスプレイとして、背面電極、発
光層、そして透明電極からなるエレクトロルミネッセン
スディスプレイが提案されている。前記エレクトロルミ
ネッセンスディスプレイでは、背面電極として反射性の
高い金属電極を使用している。反射性の高い金属電極を
使用することで、発光層からの発光輝度を向上させるこ
とができるが、その一方で、外部の背景が映り込み、画
像表示特性を低下させるという問題がある。これを解決
するため、従来、エレクトロルミネッセンスディスプレ
イでは、屈折率による(低屈折率層を用いる)通常の反
射防止膜ではなく、より強力な反射防止手段を使用する
ことが提案されている。国際特許出願WO96/345
14号明細書には、様々な反射防止手段を設けた有機エ
レクトロルミネッセンスディスプレイが開示されてい
る。前記反射防止手段の一つとして、1/4波長板と偏
光板(直線偏光膜)とを積層した円偏光板が提案されて
いる。また、特開平9−127885号公報には、光出
射面に円偏光手段が設けられている発光素子(主に有機
エレクトロルミネッセンスディスプレイ)が開示されて
いる。前記円偏光手段は、具体的には1/4波長板と直
線偏光板とが積層されて構成されている。一方、特開平
11−45058号公報には、波長補正板(1/4波長
板)、平面型直線偏光ビームスプリッタ(反射偏光板)
及び偏光板(直線偏光膜)からなる反射防止手段を備え
た表示装置(主に有機エレクトロルミネッセンスディス
プレイ)が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ここで、円偏光板を反
対防止手段として備えたエレクトロルミネッセンスディ
スプレイでは、円偏光板を構成する1/4波長板の性能
が特に重要となる。ところが、従来の1/4波長板は、
「1/4波長板」と称していても、ある特定波長でλ/
4を達成しているものが大部分である。λ/4を達成で
きる波長領域が狭いと、充分な反射防止機能を得ること
ができない。広帯域を達成し得る1/4波長板として
は、例えば、特開平5−27118号、特開平5−27
119号、特開平10−68816号及び特開平10−
90521号等に記載の1/4波長板が挙げられ、具体
的には二枚のポリマーフィルムを積層して広い波長領域
(広帯域)でλ/4を達成している。
【0004】前記公報に提案された1/4波長板は、光
学異方性の異なるポリマーフィルムを2枚積層して形成
したものである。通常は、延伸したポリマーフィルムを
互いの延伸軸を一致させずに、所定の角度でずらして積
層して作製する。具体的には、積層するポリマーフィル
ム各々について、延伸ポリマーフィルムの表面に粘着材
を塗工し粘着面を形成し、この粘着面に離型フィルムを
貼付した後、延伸軸に対して所定の角度でチップを切り
出し、その後、切り出された各々のチップを貼合して作
製する。しかし、この方法は、積層するチップ状のポリ
マーフィルム2枚を各々独立に作製する必要があり、さ
らに、各々のフィルムの作製工程が煩雑であるととも
に、各工程に種々の材料(粘着材、離型フィルム等)を
必要とし、製造コストが高くなることは避けられない。
また、チップを切り出した際に生じるカットくずを完全
にチップから除去することはできず、チップを貼合する
際に不具合が生じたり、また、チップの切り出しの際及
びチップの貼合の際に、軸ずれ等が生じ、製造物の性能
不良も生じ易いという問題がある。
【0005】前述の1/4波長板についての問題は、こ
れを備えるエレクトロルミネッセンスディスプレイの性
能を低下させる、若しくは製造コストを増大させるとい
う問題をも生じる要因となる。可視光全域の入射光に対
して均一なλ/4を達成し得、しかも積層ではなく単一
層からなるλ/4波長板を備え、安定した性能をも備
え、量産適性をも備えたエレクトロルミネッセンスディ
スプレイは、未だ提供されていないのが現状である。
【0006】本発明は、前記従来における諸問題を解決
し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本
発明は、可視光全域の広帯域でλ/4を達成し得るλ/
4波長板を備え、背景の映り込みが防止され、画像表示
特性に優れ、かつ量産性、性能安定性にも優れたエレク
トロルミネッセンスディスプレイを提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は以下の通りである。即ち、 <1> 少なくとも、光反射電極と、発光層と、透明電
極と、1/4波長板及び直線偏光膜を有する円偏光板と
が配置されたエレクトロルミネッセンスディスプレイで
あって、前記1/4波長板が、単一層からなり、かつ波
長450nm、550nm及び650nmにおけるレタ
ーデーション値(Re(λ))をそれぞれRe(45
0)、Re(550)及びRe(650)としたとき、
Re(450)<Re(550)<Re(650)の特
性を有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス
ディスプレイである。
【0008】<2> 1/4波長板の波長450nm、
550nm及び650nmにおける「Re(λ)/波長
λ」の値が、それぞれ0.2〜0.3である前記<1>
に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイであ
る。 <3> 1/4波長板が、固有複屈折値が正である材料
の少なくとも一種と、固有複屈折値が負である材料の少
なくとも一種とを含む混合材料からなる前記<1>又は
<2>に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ
である。
【0009】<4> 固有複屈折値が正である材料が、
ノルボルネン系樹脂である前記<3>に記載のエレクト
ロルミネッセンスディスプレイである。 <5> 固有複屈折値が負である材料が、スチレン系樹
脂である前記<3>又は<4>に記載のエレクトロルミ
ネッセンスディスプレイである。
【0010】<6> 1/4波長板が、共重合体を含む
組成物からなり、該共重合体が、一軸性の配向規則を与
えた場合に、固有複屈折が正の一軸性を示す鎖状部位
と、固有複屈折が負の一軸性を示す鎖状部位とを有する
前記<1>又は<2>に記載のエレクトロルミネッセン
スディスプレイである。 <7> 共重合体が、主鎖及び該主鎖に側鎖として結合
するグラフト鎖を有するグラフト共重合体であって、前
記主鎖及びグラフト鎖の一方が固有複屈折が正の一軸性
を示す鎖状部位であり、他方が固有複屈折が負の一軸性
を示す鎖状部位である前記<6>に記載のエレクトロル
ミネッセンスディスプレイである。
【0011】<8> 主鎖が正の一軸性を示す鎖状部位
であり、グラフト鎖が負の一軸性を示す鎖状部位である
前記<7>に記載のエレクトロルミネッセンスディスプ
レイである。 <9> 正の一軸性を示す鎖状部位が、ノルボルネン系
鎖である前記<6>〜<8>のいずれかに記載のエレク
トロルミネッセンスディスプレイである。 <10> 負の一軸性を示す鎖状部位が、スチレン系鎖
である前記<6>〜<9>のいずれかに記載のエレクト
ロルミネッセンスディスプレイである。
【0012】前記<1>に記載のエレクトロルミネッセ
ンスディスプレイによれば、その構成部材である1/4
波長板が、波長450nm、550nm及び650nm
におけるレターデーション値(Re(450)、Re
(550)及びRe(650))がRe(450)<R
e(550)<Re(650)を満たす関係にあるの
で、可視光全域の広帯域に渡ってλ/4が達成され、そ
の結果、画像中への背景の映り込みを回避して、画像表
示特性(画像コントラスト等)を向上することができ
る。しかも、単一層からなるので、製造適性に優れ、低
コストに量産することが可能となる。前記<2>に記載
のエレクトロルミネッセンスディスプレイによれば、特
に波長450nm、550nm及び650nmにおけ
る、1/4波長板のRe(λ)/λがそれぞれ0.2〜
0.3の一定範囲内にあるので、可視光全域の広帯域に
おいてλ/4が達成され、前記<1>と同様、画像表示
特性の向上と量産性とを向上させることができる。
【0013】前記<3>に記載のエレクトロルミネッセ
ンスディスプレイによれば、その構成部材である1/4
波長板が、固有複屈折値が正の材料と負の材料がブレン
ドされた混合材料からなり、両材料の固有複屈折には加
成性が成り立つので、二枚のポリマーフィルムを積層す
る必要がなく、単層型で広帯域の1/4波長板を低コス
トかつ簡易に形成することができる。前記<4>に記載
のエレクトロルミネッセンスディスプレイによれば、ノ
ルボルネン系樹脂は、波長依存性の少ない正の固有複屈
折値を有しているので、負の材料と組合せて所望のレタ
ーデーションに調整するのが容易であり、しかも光透過
率特性、耐熱性、寸度安定性、光弾性特性等を付与でき
る。また、前記<5>に記載のエレクトロルミネッセン
スディスプレイによれば、正の材料に対し固有複屈折値
の差の大きいスチレン系樹脂(負の材料)を組合せるの
で、可視光全域の広帯域にわたるλ/4の達成が可能と
なる。
【0014】前記<6>〜<8>に記載のエレクトロル
ミネッセンスディスプレイによれば、1/4波長板が、
固有複屈折が正の一軸性を示す鎖状部位と負の一軸性を
示す鎖状部位とを有する共重合体からなり、この場合も
固有複屈折の加成性が成り立つので、二枚のポリマーフ
ィルムを積層する必要がなく、しかも単一素材で低コス
トに、単層型で広帯域の1/4波長板を簡易に形成する
ことができる。前記<9>に記載のエレクトロルミネッ
センスディスプレイによれば、前記<4>と同様、負の
材料と組合せる際のレターデーション調整が容易であ
り、しかも光透過率特性、耐熱性、寸度安定性、光弾性
特性等を付与でき、また、前記<10>に記載のエレク
トロルミネッセンスディスプレイによれば、前記<5>
と同様、可視光全域の広帯域にわたるλ/4の達成が可
能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のエレクトロルミネッセン
スディスプレイ(以下、「ELディスプレイ」というこ
とがある。)においては、該ELディスプレイを構成す
る1/4波長板が単一層で構成され、波長λにおけるレ
ターデーション値Re(λ)がRe(450)<Re
(550)<Re(650)の特性を備え、その好まし
い態様として、前記1/4波長板が固有複屈折値が正で
ある材料と負である材料とを含む混合材料(ポリマーブ
レンド材料)からなる態様と、前記1/4波長板が正の
固有複屈折を示す一軸性鎖状部位と、負の固有複屈折を
示す一軸性鎖状部位とを有する共重合体からなる態様と
がある。以下、本発明のエレクトロルミネッセンスディ
スプレイについて詳細に説明する。
【0016】図1に本発明のエレクトロルミネッセンス
ディスプレイの基本的構成を示す断面模式図を示す。図
1に示すELディスプレイは、光反射電極(RE)、発
光層(L)、透明電極(TE)、透明基板(S)、λ/
4波長板(λ/4)及び直線偏光膜(P)がこの順に積
層された構造を有する。λ/4波長板(λ/4)及び直
線偏光膜(P)が円偏光板を構成している。
【0017】次に、図2を用いて、本発明のELディス
プレイにおける反射防止機能及び表示機能について説明
する。尚、図2は、図1に示すELディスプレイ中、円
偏光板のみを模式的に示したものであり、他の部材は省
略している。図2に示す円偏光板は直線偏光膜(P)及
び1/4波長板(λ/4)とからなる。前記円偏光板は
発光層(不図示)からの光の出射側配置され、直線偏光
膜(P)側(上側)をELディスプレイの外側にし、1
/4波長板(λ/4)側をELディスプレイの内側にし
て配置される。
【0018】ELディスプレイに、外部から光(1a及
びlbを含む)が入射すると、直線偏光膜(P)の偏光
軸方向に一致する直線偏光成分(lb)のみが直線偏光
膜(P)を通過する。他の成分(la)は、直線偏光膜
(P)に吸収される。直線偏光膜(P)を通過した直線
偏光(2b)は、1/4波長板(λ/4)を通過するこ
とにより円偏光(2c)に変換される。円偏光(2c)
は、ELディスプレイの光反射電極(図示せず)に反射
されると、逆回りの円偏光(3c)になる。逆回りの円
偏光(3c)は、1/4波長板(λ/4)を通過するこ
とにより直線偏光膜(P)の偏光軸方向とは90°異な
る方向の直線偏光(3b)に変換される。この直線偏光
(3b)は、直線偏光膜(P)を通過できずに吸収され
る。このようにして、ELディスプレイへ外部から入射
する光(la及びlb)は、すべて直線偏光膜(P)に
吸収され、反射は防止される。従って、背景部が映り込
むことによる画像表示特性の低下を防止することができ
る。
【0019】ELディスプレイ内部からの光、即ち、発
光層(図示せず)からの発光は、二種類の円偏光成分
(3c及び4c)を含んでいる。一方の円偏光(3c)
は、上記のように1/4波長板(λ/4)を通過するこ
とにより、直線偏光膜(P)の偏光軸方向とは90°異
なる方向の直線偏光(3b)に変換される。そして、直
線偏光(3b)は直線偏光膜(P)を通過できずに直線
偏光膜(P)に吸収される。他方の円偏光(4c)は1
/4波長板(λ/4)を通過することにより直線偏光膜
(P)の偏光軸方向と一致する直線偏光(4b)に変換
される。そして、直線偏光(4b)は直線偏光膜(P)
を通過し(4a)、画像として認識される。
【0020】尚、直線偏光膜(P)と1/4波長板(λ
/4)との間に、直線偏光膜(P)の偏光軸方向とは9
0°異なる方向の直線偏光(3b)を反射する機能を有
する反射偏光板を設けると、直線偏光(3b)を吸収す
ることなく反射させ、それを反射電極で再反射させるこ
とにより、直線偏光膜(P)の偏光軸方向と一致する直
線偏光(4b)に変換することができる。すなわち、反
射偏光板を用いることで、発光層が発光した光の全て
(3c及び4c)を外側に出射させることもできる。
【0021】以下、本発明のELディスプレイを構成し
ている各部材について説明する。 [1/4波長板]本発明に係る1/4波長板は、単一層
で構成され、波長450nm、550nm及び650n
mにおけるレターデーション値をRe(450)、Re
(550)及びRe(650)としたとき、Re(45
0)<Re(550)<Re(650)の特性を備えて
なる。上述のように、外部からの入射光の反射によって
背景部が映り込むことによる画像表示特性の低下を可視
光全域の広帯域において効果的に防止するには、特に波
長450nm、550nm及び650nmでのRe(λ)
/λが一定の範囲にあることが望まれ、各波長でのRe
(λ)が上記関係を満足することにより、発現するレター
デーションの波長分散性を制御し、可視光全域の入射光
に対して、Re(λ)/λをほぼ1/4とする位相差特性
を得ることができる。また、単一の層より構成されるの
で、従来必要であった、チップの切り出し及びその貼合
等、煩雑な工程を経ることなく製造が可能なため、これ
を備えたエレクトロルミネッセンスディスプレイの量産
性、性能安定性の向上に寄与し得る。
【0022】本発明においては、波長λでのRe(λ)/
λとしては、波長450nm、550nm及び650n
mにおけるRe(450)、Re(550)及び Re(65
0)が、それぞれ0.2〜0.3にあること、換言すれ
ば、波長550nmにおけるRe(550)が110nm
〜165nmであり、波長の長さと正の相関を有するこ
とが好ましい。該範囲とすることで、位相差がほぼ1/
4となる特性が得られ、可視光全域において効果的に背
景部の映り込みによる画像表示特性の低下を回避するこ
とができる。中でも、Re(λ)/λの値が、少なくとも
波長450nm、550nm及び650nmにおいて、
各々0.23〜0.27であることが好ましく、0.2
4〜0.26にあることがより好ましい。
【0023】本発明に係る1/4波長板としては、固有
複屈折値が正である材料(以下、単に「正の材料」とい
うことがある。)の少なくとも一種と、固有複屈折値が
負である材料(以下、単に「負の材料」ということがあ
る。)の少なくとも一種とがブレンドされた混合材料
(ポリマーブレンド材料)からなる単一層で構成された
形態(第一形態)、或いは、正の固有複屈折を示す一軸
性鎖状部位と負の固有複屈折を示す一軸性鎖状部位とを
有する共重合体を含む組成物からなる単一層で構成され
た形態(第二形態)が好ましく、いずれの形態において
も、前記正の材料と負の材料とが同一の層に含有された
単層型の1/4波長板を作製することができる。以下、
前記形態ごとに順に詳述する。
【0024】ここで、固有複屈折値が正の材料及び負の
材料は、延伸処理等により分子配向方向が等しくなった
とき、その遅相軸が直交するため、発現するレターデー
ションは各々が有する特性が相殺された結果の複合体と
してのレターデーション(Re)となる。前記正の材料
と負の材料とを種々組合せることによって、及び/又
は、延伸条件等の作製条件を調整することにより、発現
するレターデーションの波長分散性を制御し、可視光全
域の入射光に対して、Re(λ)/λがほぼ1/4である
位相差特性を与えることができる。
【0025】前記第一形態の1/4波長板は、固有複屈
折値が正である材料の少なくとも一種と、固有複屈折値
が負である材料の少なくとも一種とをブレンドして含む
混合材料(ブレンド材料)からなる。ここで、前記「固
有複屈折値が正である材料」とは、分子が一軸性の配向
をとって形成された層に光が入射したとき、前記配向方
向の光の屈折率が前記配向方向に直交する方向の光の屈
折率より大きくなる材料をいう。一方、前記「固有複屈
折値が負のポリマー」とは、分子が一軸性の配向をとっ
て形成された層に光が入射したとき、前記配向方向の光
の屈折率が前記配向方向に直交する方向の光の屈折率よ
り小さくなる材料をいう。ブレンド材料の中でも、互い
の固有複屈折値の波長分散が異なっている正の樹脂(ポ
リマー)と負の樹脂(ポリマー)を組合わせたポリマー
ブレンドを使用するのが特に好ましい。
【0026】前記正の樹脂としては、例えば、オレフィ
ン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノ
ルボルネン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂など)、ポ
リエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリアリーレ
ンサルファイド系樹脂(例えば、ポリフェニレンサルフ
ァイドなど)、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリカー
ボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、セルロースエ
ステル系樹脂(前記固有複屈折値が負であるものもあ
る)、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹
脂、ポリアリルサルホン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹
脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、あるいはこれらの
多元(二元、三元等)共重合樹脂などが挙げられる。こ
れらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用
してもよい。
【0027】上記樹脂の中でも、オレフィン系樹脂が好
ましく、該オレフィン系樹脂の中でも、光透過率特性、
耐熱性、寸度安定性、光弾性特性等の観点から、ノルボ
ルネン系樹脂が特に好ましい。前記オレフィン系樹脂と
しては、日本合成ゴム(株)製の「アートソー」、日本
ゼオン(株)製の「ゼオネックス」及び「ゼオノア」、
三井石油化学(株)製の「APO」等が好適に利用され
る。
【0028】前記ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン
骨格を繰り返し単位として有してなり、その具体例とし
ては、特開昭62−252406号公報、特開昭62−
252407号公報、特開平2−133413号公報、
特開昭63−145324号公報、特開昭63−264
626号公報、特開平1−240517号公報、特公昭
57−8815号公報、特開平5−39403号公報、
特開平5−43663号公報、特開平5−43834号
公報、特開平5−70655号公報、特開平5−279
554号公報、特開平6−206985号公報、特開平
7−62028号公報、特開平8−176411号公
報、特開平9−241484号公報等に記載されたもの
が好適に利用できるが、これらに限定されるものではな
い。また、これらは1種単独で使用してもよいし、2種
以上を併用してもよい。
【0029】本発明においては、前記ノルボルネン系樹
脂の中でも、下記構造式(I)〜(IV)のいずれかで表
される繰り返し単位を有するものが好ましい。
【0030】
【化1】
【0031】前記構造式(I)〜(IV)中、A、B、C
及びDは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子又は
1価の有機基を表す。前記有機基としては、炭素数1〜
12の炭化水素基が好ましく、置換基で置換されていて
もよい。具体例としては、−(CH2)nCOOR1、−(C
2)nOCOR1、−(CH2)nOR1、−(CH2)nCN、
−(CH2)nCONR23、−(CH2)nX等が挙げられ
る。構造式中のB及びCは、互いに結合して環を形成し
ていてもよく、その場合の該環としては、環状アルキレ
ン基、−OC−O−CO−、−OC−NR4−CO−な
どが挙げられる。R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独
立に置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の炭
化水素基を表す。Xは、SiR5 p3pを表す。R5は、
炭素数1〜10の炭化水素基を表し、該炭化水素基はハ
ロゲン原子で置換されていてもよい。Zは、ハロゲン原
子、−OCOR6又はOR6を表し、R6は、炭素数1〜
10の炭化水素基を表す。pは0〜3の整数を表し、n
は0〜10の整数を表す。
【0032】また、前記ノルボルネン系樹脂の中でも、
下記構造式(V)又は(VI)で表される化合物の少なく
とも1種と、これと共重合可能な不飽和環状化合物とを
メタセシス重合して得られる重合体を水素添加して得ら
れる水添重合体も好ましい。
【0033】
【化2】
【0034】前記構造式(V)及び(VI)中、A、B、
C及びDは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子又
は1価の有機基を表し、前記構造式(I)〜(IV)にお
ける場合と同義である。
【0035】前記ノルボルネン系樹脂の重量平均分子量
としては、5,000〜1,000,000程度であ
り、8,000〜200,000が好ましい。
【0036】前記負の材料としては、例えば、樹脂(ポ
リマー)、ディスコティック液晶、ディスコティック液
晶ポリマー等種々のものが挙げられる。これらは、1種
単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、樹脂(ポリマー)が好ましい。
【0037】前記負の樹脂(ポリマー)としては、例え
ば、ポリスチレン、スチレン系ポリマー(スチレン及び
/又はスチレン誘導体と他のモノマーとの共重合体)、
ポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリメチルメタクリ
レート系ポリマー、セルロースエステル系ポリマー(前
記固有複屈折値が正であるものもある)、あるいはこれ
らの多元(二元、三元等)共重合ポリマーなどが挙げら
れる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以
上を併用してもよい。前記スチレン系ポリマーとして
は、スチレン及び/又はスチレン誘導体と、アクリルニ
トリル、無水マレイン酸、メチルメタクリレート及びブ
タジエンから選ばれる少なくとも1種との共重合体が好
ましい。
【0038】上記樹脂の中でも、ポリスチレン、スチレ
ン系ポリマー、ポリアクリロニトリル系ポリマー及びポ
リメチルメタクリレート系ポリマーの中から選択される
少なくとも1種が好ましく、これらの中でも、複屈折発
現性が高いという観点から、ポリスチレン及びスチレン
系ポリマーがより好ましく、耐熱性が高い点で、スチレ
ン及び/又はスチレン誘導体と無水マレイン酸との共重
合体が特に好ましい。また、前記樹脂は、ガラス転移点
が110℃以上(より好ましくは120℃以上)である
のが耐熱性の点で好ましい。
【0039】−正の材料と負の材料との好ましい組合せ
−本発明において、前記固有複屈折値が正である材料と
負である材料とは、以下に示す条件を満たすことを指標
として組合せるのが好ましい。波長450nm及び波長
550nmにおけるレターデーション(Re)値の絶対
値をそれぞれRe(450)及びRe(550)とした
とき、前記正の材料の(Re(450)/Re(55
0))の値と、前記負の材料の(Re(450)/Re
(550))の値とが等しくならない(即ち、一方が他
方よりも小さいか又は大きい)組合せが好ましいものと
して挙げられる。より具体的には、両値の差が、0.0
3以上となる組合せが好ましく、0.05以上である組
合せがより好ましい。
【0040】更に、前記正の材料の(Re(450)/
Re(550))の値が、前記負の材料の(Re(45
0)/Re(550))の値よりも大きいときは、前記
正の材料のRe(550)の値が前記負の材料のRe
(550)の値よりも小さいこと、及び、前記正の材料
の(Re(450)/Re(550))の値が、前記負
の材料の(Re(450)/Re(550))の値より
も小さいときは、前記正の材料のRe(550)の値が
前記負の材料のRe(550)の値よりも大きいこと、
の一方を満たす組合せが好ましい。
【0041】次に、前記正の材料及び負の材料が各々樹
脂である場合の好ましい組合せについて説明する。固有
屈折値(Δn)の波長分散性が大きい樹脂を負の材料と
して使用する場合は、正の材料としてはΔnの波長分散
性が小さい樹脂を使用するのが好ましい。また、固有屈
折値(Δn)の波長分散性が小さい樹脂を負の材料とし
て使用する場合は、正の材料としてはΔnの波長分散性
が大きい樹脂を使用するのが好ましい。例えば、前記正
の材料としてノルボルネン系ポリマーを使用する場合
は、前記負の材料としては、その固有複屈折値の波長分
散が大きいものが好ましく、具体的には、波長450n
m及び波長550nmの固有複屈折値(Δn)を、各
々、Δn(450)及びΔn(550)としたとき、下
記関係式を満たす樹脂から選ばれるのが好ましい。 |Δn(450)/Δn(550)| ≧ 1.02 さらに、下記関係式を満たす樹脂から選ばれるのがより
好ましい。 |Δn(450)/Δn(550)| ≧ 1.05 尚、|Δn(450)/Δn(550)|の値は大きい
ほうが好ましいが、樹脂の場合一般的には2.0以下で
ある。
【0042】より具体的には、前記負の材料が、前記
(Re(450)/Re(550))の値が小さいポリ
メチルメタクリレート等の場合、これと組合せる前記正
の材料としては、ポリエチレンテレフタレート系ポリマ
ー、ポリフェニレンサルファイド系ポリマー、ポリカー
ボネート系ポリマー、ポリアリレート系ポリマー、ポリ
エーテルスルホン系ポリマー、ポリスルホン系ポリマ
ー、ポリアリルサルホン系ポリマー、ポリ塩化ビニル系
ポリマー、などが好ましい。また、前記負の材料が、前
記(Re(450)/Re(550))の値が大きいポ
リスチレン及びスチレン系ポリマー等の場合、これと組
合せる前記正の材料としては、オレフィン系ポリマー及
びシクロオレフィン系ポリマー(例えば、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー等)、セ
ルロースエステル系ポリマー、などが好ましい。中で
も、負の材料としてポリスチレン及び/又はスチレン系
ポリマーと、正の材料としてオレフィン系ポリマーの中
でもノルボルネン系ポリマーとの組合せが特に好まし
い。
【0043】また、正の材料と負の材料とは、相溶性の
あるものを組合わせて使用するのが好ましい。相溶性が
ないものを組合わせて使用する場合は、相溶化剤等の第
3成分を添加して相溶させることができる。第3成分を
添加することなく相溶可能な組合わせとしては、固有複
屈折値が正のノルボルネン系樹脂(JSR社製;「アー
トン」)と固有複屈折値が負のスチレンと無水マレイン
酸のランダムコポリマーとの組合わせ、固有複屈折値が
正のノルボルネン系樹脂(JSR社製;「アートン」)
と固有複屈折値が負の比較的分子量が小さいポリスチレ
ンとの組合わせ、固有複屈折値が正のポリフェニルエー
テルと固有複屈折値が負のポリスチレンとの組み合わせ
が、耐熱性、寸度安定性、透明性等の観点で好ましく利
用できる。中でも、ノルボルネン系樹脂とスチレン系ポ
リマー(共重合体を含む)との組合わせが最も好まし
い。
【0044】前記正の樹脂と負の樹脂とからなるポリマ
ーブレンドにおいて、負の樹脂の正の樹脂に対する配合
割合としては、両者の固有複屈折値の絶対値の大きさ
や、成形温度における複屈折性の発現性等により異な
り、一概に規定することはできないが、正の樹脂として
ノルボルネン系樹脂を使用した場合、質量比(ノルボル
ネン系樹脂:負の樹脂)で5:5〜9:1が好ましく、
7:3〜8:2が好ましい。正の樹脂として他の材料を
使用した場合も、質量比の好ましい範囲は一般的に同様
である。
【0045】本形態の1/4波長板は、前記ポリマーブ
レンドからなるフィルムに配向が付与されてなり、該配
向は、前記ポリマーブレンドからなるフィルム形成の
後、該フィルムを延伸することによって付与できる。フ
ィルムを延伸して、正の材料と負の材料との配向方向を
一致させると、各材料の固有複屈折値に由来する遅相軸
は互いに直交する。その結果、各ポリマー鎖は互いの複
屈折を打ち消し合うが、互いの固有複屈折値の波長分散
特性が異なるため、打ち消しの程度に波長依存性が生じ
る。前記ポリマーブレンドのブレンド比や延伸条件を選
ぶことにより、レタデーションの打ち消し合いの程度、
即ち波長λにおけるRe(λ)をRe(450)<Re
(550)<Re(650)を満たすように調整でき
る。更に、前記ポリマーブレンドのブレンド比や延伸条
件を選ぶことにより、Re(λ)/λが可視光全域でほ
ぼ一定の値となるように調整することができ、その結
果、可視光全域の入射光に対して、ほぼ均一の位相差特
性を与える。
【0046】前記第二形態の1/4波長板は、一軸性の
配向規則を与えた場合に、固有複屈折が正の一軸性を示
す鎖状部位と、固有複屈折が負の一軸性を示す鎖状部位
とを有する共重合体を含む組成物を用いて形成される。
この場合、固有複屈折とは、その素材に完全な一軸性を
付与した時に発現する複屈折を示すものである。通常の
配向では、完全な一軸性を示すケースは稀であり、不完
全なある配向での複屈折と固有複屈折との間には下記の
関係がある。 (複屈折)=(配向度)×(固有複屈折) ここで、(配向度)=<(3cos2θ−1)/2>
であり、θは、延伸方向(平均配向方向)と任意の鎖の
配向方向とのなす角度であり、上記式は、各鎖のケース
の平均値を意味する。配向度は、分子の配列で決定する
ため、波長には依存しない。したがって、固有複屈折基
準での、Δn(450)<Δn(550)<Δn(65
0)、即ち、Re(450)<Re(550)<Re
(650)の特性は、配向が不完全な一般的な場合の複
屈折においても成立することを意味する。前記組成物
は、前記共重合体を含み、本発明の効果を害しない範囲
内において更に適宜選択したその他の成分を必要に応じ
て含んでいてもよい。
【0047】前記共重合体は、一軸性の配向規則を与え
た場合に、固有複屈折が正の一軸性を示す鎖状部位と、
固有複屈折が負の一軸性を示す鎖状部位とを有する。し
たがって、既述の正と負の少なくとも二種の材料からな
る混合材料と同様に、一軸性の配向規則に従って、固有
複屈折が加成性を示す結果、単一素材を用いて広帯域で
λ/4を達成できる。
【0048】本発明においては、前記共重合体として
は、主鎖と該主鎖に側鎖としてグラフト結合するグラフ
ト鎖とを有するグラフト共重合体であるのが好ましく、
前記主鎖及びグラフト鎖の一方が前記正の一軸性を示す
鎖状部位であり、他方が負の一軸性を示す鎖状部位であ
るグラフト共重合体であるのがより好ましく、前記主鎖
が前記正の一軸性を示す鎖状部位であり、前記グラフト
鎖が前記負の一軸性を示す鎖状部位であるグラフト共重
合体であるのが特に好ましい。前記グラフト共重合体
は、主鎖及び該主鎖に側鎖としてグラフト結合するグラ
フト鎖とを有してなるが、前記正の一軸性を示す鎖状部
位に、前記負の一軸性を示す鎖状部位をグラフト重合さ
せることにより好適に得られる。
【0049】前記共重合体を構成する「固有複屈折が正
の一軸性を示す鎖状部位」としては、既述の第一形態で
挙げた「正の樹脂」に由来する分子鎖が好適に挙げられ
る。該正の一軸性を示す鎖状部位を構成する単量体とし
ては、前記正の樹脂の最小構成単位である各種モノマー
が挙げられ、オレフィン系化合物が好ましく、ノルボル
ネン系化合物がより好ましい。中でも、オレフィン系樹
脂に由来するオレフィン鎖が好ましく、該オレフィン鎖
の中でも、光透過率特性、耐熱性、寸度安定性、光弾性
特性等の観点から、ノルボルネン系樹脂に由来するノル
ボルネン鎖が特に好ましい。ノルボルネン系樹脂の好ま
しい態様も前記第一形態の場合と同様である。本発明に
おいては、前記ノルボルネン鎖の中でも、既述の構造式
(I)〜(IV)のいずれかで表されるノルボルネン骨格
を繰り返し単位として有する鎖が好ましい。また更に、
既述の構造式(V)又は(VI)で表される化合物の少な
くとも1種と、これと共重合可能な不飽和環状化合物と
をメタセシス重合して得られる重合体を水素添加して得
られる水添重合体に由来する鎖も好ましい。
【0050】前記共重合体における正の一軸性を示す鎖
状部位の割合としては、該共重合体に含まれる単量体の
種類によって異なり一概に規定することはできないが、
20〜90%が好ましく、30〜80%がより好まし
い。
【0051】前記共重合体を構成する「固有複屈折が負
の一軸性を示す鎖状部位」としては、既述の第一形態で
挙げた「負の樹脂」に由来する分子鎖が好適に挙げられ
る。該負の一軸性を示す鎖状部位を構成する単量体とし
ては、前記負の樹脂の最小構成単位である各種モノマー
が挙げられ、特にスチレン系化合物が好ましい。スチレ
ン系化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルス
チレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p
−ニトロスチレン、p−アミノスチレン、p−カルボキ
シスチレン、p−フェニルスチレン、2,5−ジクロロ
スチレン、p−t−ブチルスチレン、などが好適に挙げ
られる。前記負の一軸性を示す鎖を構成する単量体とし
ては、前記スチレン系化合物の外に他の化合物が含まれ
ていてもよく、該化合物としては、例えば、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニト
リル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸、ブ
タジエン、イソプレン、無水マレイン酸、酢酸ビニル、
エチレン、プロピレンなどが挙げられる。これらは、1
種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよ
い。
【0052】中でも、負の一軸性を示す鎖状部位として
は、スチレン系化合物鎖が好ましく、具体的には、複屈
折発現性が高いという観点から、スチレン鎖、スチレン
・無水マレイン酸共重合体鎖、スチレン・アクリロニト
リル共重合体鎖、及びスチレン・メチルメタクリレート
共重合体鎖から選択される少なくとも1種が好ましく、
更に耐熱性が高い点で、スチレン鎖及び/又はスチレン
・無水マレイン酸共重合体鎖が特に好ましい。また、耐
熱性の観点からは、「固有複屈折が負の一軸性を示す鎖
状部位」は、ガラス転移点が110℃以上(好ましくは
120℃以上)である負の樹脂に由来するものであるの
が好ましい。
【0053】前記グラフト重合の方法としては、特に制
限はなく、塊状重合、沈殿重合、乳化重合、溶液重合、
懸濁重合、などの公知の重合方法が好適に挙げられる。
これらの中でも、懸濁重合又は溶液重合が好ましい。
【0054】前記懸濁重合の手法としては、例えば「高
分子合成の実験法」(大津隆行、木下雅悦共著、化学同
人社)130頁及び146頁〜147頁に記載された方
法を参考にすることができる。前記懸濁重合によると、
前記共重合体は、無機塩類及び/又は水溶性ポリマー分
散剤の存在下、水系の分散媒を用いて油溶性開始剤によ
り開始された付加重合反応により、50μm以上の粒子
として得られる。
【0055】前記無機塩類は、分散安定化、単量体(モ
ノマー)の水溶化防止等の目的で用いられ、例えば、塩
化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マ
グネシウム、塩化アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸カ
ルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、硫酸
アルミニウムカリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、リン酸水素カルシウム、などが挙げられる。
【0056】前記水溶性ポリマー分散剤としては、例え
ば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、ス
チレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ加水分解物
(例えばクラレ社製の「イソバン」)、アルギン酸ナト
リウム及び水溶性セルロース誘導体(三晶株式会社製の
「メイプロガット」、「ケルコSCS」、「クアーガ
ム」、ヘキストジャパン(株)製の「MH−K」)など
が挙げられる。
【0057】本発明においては、リン酸水素カルシウ
ム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、ス
チレン・無水マレイン酸共重合体のアルカリ加水分解物
等を単独で使用する、あるいは、これらと、塩化ナトリ
ウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウ
ム等とを併用するのが好ましい。
【0058】前記懸濁重合に用いる重合開始剤として
は、水不溶性でかつ油溶性の重合開始剤が好ましく、例
えば、アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリ
ル)、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビ
ス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−ア
ゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、過酸化ベ
ンゾイル、過酸化ラウロイウル、過酸化−t−ブチル,
過酸化−t−アミル、過酸化クミル、t−ブチル過酸化
ベンゾエート、t−ブチル過酸化フェニルアセテート、
等が挙げられる。これらの中でも、過酸化物系の重合開
始剤が好ましい。
【0059】前記グラフト重合の際の重合温度として
は、グラフト重合を行う単量体(モノマー)の種類、沸
点、天井温度(重合と解重合とが平衡に達する温度)等
により異なり一概に規定することはできないが、通常、
0〜100℃であり、40〜90℃が好ましい。
【0060】前記懸濁重合の場合、まず、前記負の一軸
性を示す鎖状部位を構成する単量体、又は、前記負の一
軸性を示す鎖状部位を構成する単量体と前記正の一軸性
を示す鎖状部位となるポリマーとの混合物を、溶媒に溶
解して溶液を調製する。該溶媒としては、クロロホル
ム、四塩化炭素等のハロゲン化有機溶媒、ベンゼン、ト
ルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、アセト
ン、などが挙げられる。次に、該溶液に、前記正の一軸
性を示す鎖状部位となるポリマーを、溶解させて混合溶
液を調製する。そして、該混合溶液に、前記無機塩類及
び/又は前記水溶性ポリマー分散剤を混合し分散し、更
に前記重合開始剤の存在下、良好な攪拌条件下で行うこ
とができる。
【0061】前記溶液重合の場合、まず、前記正の一軸
性を示す鎖状部位となるポリマーを溶媒に溶解させて溶
液を調製する。該溶媒としては、クロロホルム、四塩化
炭素等のハロゲン化有機溶媒、ベンゼン、トルエン等の
芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、アセトン、などが
挙げられる。これに、前記負の一軸性を示す鎖状部位を
構成する単量体を混合して混合溶液を調製する。そし
て、該混合溶液に前記重合開始剤を添加し、良好な攪拌
条件下で行うことができる。該溶液重合の温度として
は、用いた前記溶媒の種類によって異なり一概に規定す
ることはできないが、40℃以上が好ましい。
【0062】なお、前記懸濁重合又は前記溶液重合にお
いて、前記負の一軸性を示す鎖状部位を構成する単量体
は、前記正の一軸性を示す鎖状部位となるポリマーと、
予め、全量混合しておいてもよいし、一部を混合してお
いてもよいし、混合せず別々にしておいてもよい。ま
た、前記正の一軸性を示す鎖状部位となるポリマーを全
量反応容器に仕込んでおき、そこに前記負の一軸性を示
す鎖状部位を構成する単量体を滴下してもよい。また、
前記重合開始剤は、全量予め反応容器に添加しておいて
もよいし、分割して添加してもよく、溶液に溶解してか
らそれを反応容器に滴下してもよい。
【0063】以下に前記共重合体の合成例について説明
する。なお、前記共重合体の合成の方法は、該合成例に
何ら限定されるものではない。
【0064】(合成例1)特開平7−62028号公報
に記載の参考例1に従い、8−メチル−8−カルボキシ
ルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、及び1−へキセンを用いたトルエン溶液中で
の溶液重合を、1−ヘキセンと、ドデセンモノマーとの
量比を変えて行い、分子量の異なる3種のポリマー、ポ
リノルボルネン(I)(Mw=133,000)、ポリ
ノルボルネン(II)(Mw=95,000)、ポリノル
ボルネン(III)(Mw=46,000)を得た。な
お、これら3種のポリマーは、前記正の一軸性を示す鎖
状部位となるポリマーである。
【0065】次に、攪拌装置及び還流冷却管を装備した
2リットル三口フラスコに、ポリアクリル酸ソーダ(数
平均重合度15,000)1.5g、亜硫酸水素ナトリ
ウム2gを入れ、蒸留水800mlを加えて溶解した。
一方、前記ポリノルボルネン(I)140gと、前記負
の一軸性を示す鎖を構成する単量体としてスチレン48
g及びアクリロニトリル12gとを、1,2−ジクロロ
エタン200mlに溶解した混合溶液を調製した。この
調製した混合溶液の内の10容量%を、前記2リットル
三口フラスコに更に添加し、これを窒素気流下、65℃
に加熱し、激しく攪拌した。
【0066】更にそこに、重合開始剤として過酸化ベン
ゾイル0.9gをイソプロピルアルコール30mlに溶
かしたものを添加し、1時間加熱攪拌した後、残りの前
記混合溶液を2時間かけて等速滴下した。滴下終了後、
1時間経たところで、過酸化ベンゾイル0.9gを溶解
したイソプロピルアルコール10mlを添加した。この
後、内温を75℃に昇温し、4時間加熱を続けた後、減
圧下、有機溶媒の留去を行った。冷却後、得られた分散
物を遠心ろ過により分離して、水及びメタノールで十分
に洗浄し、乾燥した。以上により、前記共重合体である
グラフト共重合体P−1を195g得た。得られたグラ
フト共重合体P−1の平均分子量は180,000であ
った。
【0067】同様にして、下記グラフト共重合体P−2
〜15を合成した。なお、以下において、「(A)」
は、前記正の一軸性を示す鎖状部位(主鎖)を表し、
「(B)」は、前記負の一軸性を示す鎖状部位(グラフ
ト鎖)を表す。得られたグラフト共重合体P−2〜15
は、主鎖である(A)にグラフト鎖である(B)がグラ
フト結合してなる構造を有する。括弧内の数値は、各単
量体の共重合比(質量)を表し、「(A)/(B)」の
数値は、質量百分率比を表す。
【0068】(グラフト共重合体P−2) (A)ポリノルボルネン(I) (B)スチレン/アクリロニトリル(75/25) (A):(B)=70/30 (グラフト共重合体P−3) (A)ポリノルボルネン(I) (B)スチレン/アクリロニトリル/α−メチルスチレ
ン(60/20/20) (A):(B)=70/30
【0069】(グラフト共重合体P−4) (A)ポリノルボルネン(I) (B)スチレン (A):(B)=75/25 (グラフト共重合体P−5) (A)ポリノルボルネン(II) (B)スチレン/アクリロニトリル(75/25) (A):(B)=70/30
【0070】(グラフト共重合体P−6) (A)ポリノルボルネン(II) (B)スチレン/アクリロニトリル(75/25) (A):(B)=50/50 (グラフト共重合体P−7) (A)ポリノルボルネン(II) (B)スチレン/アクリロニトリル(75/25) (A):(B)=30/70 (グラフト共重合体P−8) (A)ポリノルボルネン(II) (B)スチレン/アクリロニトリル(75/25) (A):(B)=20/80
【0071】(グラフト共重合体P−9) (A)ポリノルボルネン(II) (B)スチレン/無水マレイン酸(50/50) (A):(B)=50/50 (グラフト共重合体P−10) (A)ポリノルボルネン(II) (B)スチレン/p−メチルスチレン(75/25) (A):(B)=80/20
【0072】(グラフト共重合体P−11) (A)ポリノルボルネン(III) (B)スチレン/アクリロニトリル(75/25) (A):(B)=70/30 (グラフト共重合体P−12) (A)ポリノルボルネン(III) (B)スチレン/メチルメタクリレート(60/40) (A):(B)=65/35
【0073】(グラフト共重合体P−13) (A)ポリノルボルネン(III) (B)スチレン/メタクリロニトリル(75/25) (A):(B)=70/30 (グラフト共重合体P−14) (A)ポリノルボルネン(III) (B)スチレン/t−ブチルメタクリレート(80/2
0) (A):(B)=70/30 (グラフト共重合体P−15) (A)ポリノルボルネン(III) (B)スチレン/アクリロニトリル/α−メチルスチレ
ン(70/15・15) (A):(B)=75/25
【0074】本発明の1/4波長板は、前記共重合体を
1種単独で含む組成物を使用して形成してもよいし、前
記共重合体を2種以上を含む組成物を使用して形成して
もよく、また、前記共重合体と、前記主鎖であるノルボ
ルネン鎖(ノルボルネン系化合物を単量体として含むポ
リマー)、及び、前記グラフト鎖であるスチレン系化合
物鎖(スチレン系化合物を単量体として含むポリマー)
の少なくとも一方とを含む組成物を使用して形成しても
よい。
【0075】前記共重合体の前記組成物における含有量
としては、1〜100質量%が好ましく、5〜100質
量%がより好ましい。
【0076】前記共重合体の分子量としては、特に制限
はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前
記組成物を溶液化して1/4波長板を形成する場合に
は、重量平均分子量が5,000〜1,000,000
が好ましく、10,000〜500,000がより好ま
しい。
【0077】−他の成分− 他の成分としては、本発明の効果を害しない限り特に制
限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例え
ば相溶化剤などが好適に挙げられる。前記相溶化剤は、
前記正の材料と負の材料との混合物を含有する層を有す
る1/4波長板において、前記混合物が相分離を生じて
しまう場合等に好適に使用することができ、該相溶化剤
を使用することによって、前記固有複屈折値が正である
材料と負である材料との混合状態を良好にすることがで
きる。
【0078】前記1/4波長板は、種々の方法で製造す
ることができる。例えば、まず前記指標に従って、正の
材料と負の材料とを適宜選択し、配合比を決定し(必要
に応じて前記相溶化剤等を添加し)、配合する。その
後、この配合物を、任意の有機溶媒に溶解して塗布液を
調製し、該塗布液を支持体(又は仮支持体)上に塗布し
乾燥することにより成膜化して製造することができ(溶
液製膜法)、或いは、前記配合物をペレット化して溶融
押出し、成膜化して製造することもできる(押出成形
法)。
【0079】以上より得られた1/4波長板は、前述し
た広帯域1/4波長板としての所望のレターデーション
を示す場合はそのまま使用することができ、満たさない
場合は、更に延伸などのレターデーションを調整する工
程を付すことができる。前記延伸としては、機械的流れ
方向に延伸する縦一軸延伸、機械的流れ方向に直交する
方向に延伸する横一軸延伸(例えば、テンター延伸な
ど)などが好適に挙げられるが、延伸に異方性が存在す
れば二軸延伸であってもよい。ここで、延伸温度は、層
を構成する基本材料(正の材料及び負の材料)の最低ガ
ラス転移温度をTgminとしたとき、(Tgmin−20)
℃〜(Tgmin+10)℃に設定するのが好ましい。
【0080】前記負の樹脂と正の樹脂の重量比、延伸温
度及び延伸倍率等を調整することで、広帯域1/4波長
板としての特性を満足する1/4波長板を作製すること
ができる。以下に、前記第一形態による一例として、例
えば、固有複屈折値が正の材料としてノルボルネン系樹
脂を、固有複屈折値が負の樹脂としてポリスチレンを使
用する場合の調整方法の例を示す。ポリスチレン及びノ
ルボルネン系樹脂の溶融軟化温度を各々Ts及びTnと
する。Ts<Tnであるので、ここでTnに近い温度で
ノルボルネン系樹脂及びポリスチレンからなる層を延伸
すると、ポリスチレン分子の配向緩和は速く該分子は殆
ど配向しないため複屈折を有さず、その結果、層はノル
ボルネン系樹脂が示す波長分散とほぼ等しくなる。延伸
温度を低くするにしたがって、ポリスチレン分子は配向
するようになり層は複屈折を有するようになる。ポリス
チレンは固有複屈折値が負であるので、層の正のレター
デーションは減少する。レターデーションの減少割合
は、ポリスチレンの波長分散のため、短波長側が大きく
レターデーション減少し、Re(450)<Re(55
0)<Re(650)の特性が得られる。
【0081】延伸温度を制御することで、可視光波長全
域にわたって、Re/λがほぼ1/4である、広帯域1
/4波長板として機能する広帯域1/4波長板を作製す
ることができる。単層構造の1/4波長板についても同
様の操作により適切な延伸温度を決定し、広帯域1/4
波長板として機能する広帯域1/4波長板を作製するこ
とができる。
【0082】[直線偏光膜]本発明において、直線偏光
膜は前記1/4波長板と組み合わせられて、円偏光板と
して機能する。本発明において、直線偏光膜にはヨウ素
系偏光膜、二色染料を用いる染料系偏光膜及びポリエン
系偏光膜が利用できる。前記ヨウ素系偏光膜及び前記染
料系偏光膜は、一般的には、ポリビニルアルコール系フ
ィルムに延伸処理等を施して製造することができる。偏
光膜の偏光軸(透過軸)は、フィルムの延伸方向に相当
する。
【0083】前述した様に、1/4波長板と直線偏光膜
との間に、反射偏光板を設けると、発光層が発光した光
をより多く、外側に出射させることができる。前記反射
偏光板は、併用する直線偏光膜の偏光軸方向と一致する
直線偏光を透過し、偏光軸方向とは異なる方向の直線偏
光を反射する機能を有する。具体的には、一方向におい
て屈折率の異なる高分子薄膜を交互に積層した複屈折光
偏光子(特表平8−503312号公報に記載)や、コ
レステリック構造を有する偏光分離膜(特開平11−4
4816号公報に記載)を好ましく用いることができ
る。また、直線偏光膜の表面に保護膜を形成してもよ
い。
【0084】[発光層]本発明において、前記発光層に
含まれる発光材料は特に限定されず、発光材料は無機材
料であっても、有機材料であってもよい。中でも、発光
材料として有機材料を用いた有機ELディスプレイが好
ましい。前記発光層は、発光材料を蒸着等することによ
って形成することができる。尚、前記発光層に、電荷輸
送材料を含有させて電荷輸送層としての機能を付加して
もよいし、ホール輸送材料を含有させてホール輸送層と
しての機能を付加してもよい。また、発光層とは別に、
電荷輸送層及び/又はホール輸送層を設けてもよい。
【0085】[透明電極]本発明において、前記透明電
極としては、一般的にはITO電極が利用される。前記
透明電極は、パターニングされていてもよい。前記透明
電極は、スパッタリング等により形成することができ、
パターニングにはエッチングを利用することができる。
【0086】[反射電極]本発明において、前記反射電
極としては、光反射率の高い金属材料を用いて形成する
のが好ましい。前記金属材料としては、Mg、MgA
g、MgIn、Al、LiAl等が挙げられる。前記反
射電極の表面が平坦である程、光の乱反射が防止できる
ので好ましい。また、前記反射電極は、パターニングさ
れていてもよい。前記反射電極は、スパッタリング等に
より形成することができ、パターニングにはエッチング
を利用することができる。
【0087】その他、本発明のELディスプレイには、
所望により、前記透明電極と前記円偏光板との間に透明
基板を設けることができる。前記透明基板としては、ガ
ラス基板及び光透過性プラスチックフィルムが利用でき
る。
【0088】本発明のELディスプレイは、前記透明電
極及び前記反射電極に通電部を設け、通電することによ
り、発光層を発光させ、画像として表示させることがで
きる。また、本発明のELディスプレイは、R(レッ
ド)発光層、G(グリーン)発光層及びB(ブルー)発
光層を、フォトマスク等を用いて各々パターニング形成
し、パターニング形成された各発光層を個々に通電可能
に構成することにより、フルカラー画像用の表示素子と
することができる。
【0089】本発明のELディスプレイには、その他、
国際特許出願WO96/34514号明細書、特開平9
−127885号公報及び同11−45058号公報に
記載の有機ELディスプレイの構成を適用できる。その
場合は、前記有機ELディスプレイが備える前記反射防
止手段に代えて、又は併用して前記円偏光板を組込んだ
構成とすることができる。また、本発明のELディスプ
レイとしては、例えば、「エレクトロルミネッセンスデ
ィスプレイ」(猪口敏夫著、産業図書株式会社、199
1年発行)に記載のある無機ELディスプレイに前記円
偏光板を組込んだ構成にすることもできる。
【0090】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0091】(実施例1):第一形態 −1/4波長板− 固有複屈折値が正の材料として、ノルボルネン系樹脂
(JSR社製;「アートンF」)16質量部と、固有複
屈折値が負の材料としてスチレンと無水マレイン酸の共
重合体(積水化学社製;「ダイラーク232」)9質量
部とを、トルエンに溶解し、塗布液(25質量%)を調
製した。
【0092】前記塗布液をガラス板上にドクターブレー
ドを用いて流延し、乾燥した後、剥離して厚み120μ
mである透明フィルムを形成した。この透明フィルムを
140℃で40%一軸延伸して1/4波長板を作製し
た。この1/4波長板について、レターデーション測定
器(王子計測社製、KOBRA 21DH)を用いて、
レタデーションRe値の波長分散を計測した。その結果
を図3に示した。図3に示すように、該1/4波長板
は、波長450nm、550nm及び650nmにおけ
るレターデーション値(Re(450)、Re(55
0)及びRe(650))は、Re(450)<Re
(550)<Re(650)の特性を満たし、広帯域1
/4波長板特性を示した。
【0093】−円偏光板の作製− 直線偏光膜及び保護膜からなる偏光板と、前記1/4波
長板とを、偏光板の吸収軸と1/4波長板の延伸軸とを
45°交差させて積層し、円偏光板を作製した。
【0094】−ELディスプレイの作製− 厚さ1.1mmの透明のガラス基板上に、ITOからな
る透明電極をスパッタリング法により作製した。形成し
た透明電極をエッチング処理し、ストライプ状にパター
ニングした。このパターニングされた透明電極上に、ト
リフェニルアミン誘導体からなる厚さ30nmの正孔注
入層を形成した。前記正孔注入層上に、真空マスク蒸着
法によりアルミキレート錯体を蒸着させ、有機発光層を
形成した。前記有機発光層上に、Mg−Ag合金(重量
比:Mg/Ag=95/5)を100nmの厚さに多元
蒸着して、光反射性電極を形成した。次に、前記ガラス
基板の反対側の面に、作製した前記円偏光板(1/4波
長板側)を、接着剤を介して貼り合わせ、有機ELディ
スプレイを作製した。作製した有機ELディスプレイに
通電して画像を表示させた。表示された画像を正面やや
斜め方向から観察したが、背景の映り込みは全く認めら
れず、コントラストの高い画像を確認できた。
【0095】(比較例1)実施例1において使用したノ
ルボルネン系樹脂を単独で製膜し、透明フィルム(厚み
105μm)を形成し、この透明フィルムを145℃で
20%一軸延伸した以外は、実施例1と同様にして1/
4波長板を作製し、実施例1と同様にRe値の波長分散
を計測した。その結果を図3に示した。更に、得られた
1/4波長板を用い、実施例1と同様にして有機ELデ
ィスプレイを作製し、表示された画像を正面やや斜め方
向から観察した。その結果、1/4波長板は、図3に示
す通り広帯域1/4波長板特性を示さず、画像中にも背
景の映り込みが認められ、画像表示特性に劣っていた。
【0096】(比較例2)実施例1において使用したス
チレン/無水マレイン酸共重合体を単独で製膜し、透明
フィルム(厚み101μm)を形成し、この透明フィル
ムを125℃で20%一軸延伸した以外は、実施例2と
同様にして1/4波長板を作製し、実施例1と同様にR
e値の波長分散を計測した。その結果を図3に示した。
更に、得られた1/4波長板を用い、実施例1と同様に
して有機ELディスプレイを作製し、表示された画像を
正面やや斜め方向から観察した。その結果、1/4波長
板は、図3に示す通り広帯域1/4波長板特性を示さ
ず、画像中にも背景の映り込みが認められ、画像表示特
性に劣っていた。
【0097】(実施例2):第二形態 以下に示すように、1/4波長板を作製したこと以外、
実施例1と同様にして、有機ELディスプレイを作製し
た。得られた有機ELディスプレイに通電して画像を表
示させ、表示された画像を正面やや斜め方向から観察し
たが、背景の映り込みは全く認められず、コントラスト
の高い画像が確認された。
【0098】〔1/4波長板の作製〕共重合体として、
前記グラフト共重合体P−1を塩化メチレン溶液に溶解
して塗布溶液(25質量%)を調製した。前記塗布溶液
をガラス板上にドクターブレードを用いて流延し、乾燥
した後、剥離して厚み122μmである透明フィルムを
形成した。この透明フィルムを150℃で27%一軸延
伸して1/4波長板を得た。この1/4波長板につい
て、レターデーション測定器(王子計測社製、KOBR
A 21DH)を用いて、レターデーションRe値の波
長分散を計測した。その結果を図4に示した。図4に示
すように、該1/4波長板は、波長450nm、550
nm及び650nmにおけるレターデーション値(Re
(450)、Re(550)及びRe(650))は、
Re(450)<Re(550)<Re(650)の特
性を満たし、広帯域1/4波長板特性を示した。
【0099】(比較例3)実施例2において、共重合体
をポリノルボルネン(I)に代え、透明フィルムの厚み
を105μmとし、該透明フィルムを155℃で36%
一軸延伸した以外は、実施例2と同様にして1/4波長
板を作製し、実施例1と同様にRe値の波長分散を計測
した。その結果を図4に示した。更に、得られた1/4
波長板を用い、実施例1と同様にして有機ELディスプ
レイを作製し、表示された画像を正面やや斜め方向から
観察した。その結果、1/4波長板は、図4に示す通り
広帯域1/4波長板特性を示さず、画像中にも背景の映
り込みが認められ、画像表示特性に劣っていた。
【0100】(比較例4)実施例1において、前記共重
合体をスチレン/アクリロニトリル(80/20)に代
え、透明フィルムの厚みを97μmとし、該透明フィル
ムを110℃で17%一軸延伸した以外は、実施例2と
同様にして1/4波長板を作製し、実施例1と同様にR
e値の波長分散を計測した。その結果を図4に示した。
更に、得られた1/4波長板を用い、実施例1と同様に
して有機ELディスプレイを作製し、表示された画像を
正面やや斜め方向から観察した。その結果、1/4波長
板は、図4に示す通り広帯域1/4波長板特性を示さ
ず、画像中にも背景の映り込みが認められ、画像表示特
性に劣っていた。
【0101】
【発明の効果】本発明によれば、可視光全域の広帯域で
λ/4を達成し得るλ/4波長板を備え、背景の映り込
みが防止され、画像表示特性に優れ、かつ量産性、性能
安定性にも優れたエレクトロルミネッセンスディスプレ
イを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のELディスプレイの一例の断面模式
図である。
【図2】 本発明のELディスプレイの機能を説明する
ための模式図である。
【図3】 実施例1、比較例1及び2において製造した
1/4波長板の可視光域におけるレターデーションの波
長分散特性を示すグラフである。
【図4】 実施例2、比較例3及び4において製造した
1/4波長板の可視光域におけるレターデーションの波
長分散特性を示すグラフである。
【符号の説明】
P …直線偏光膜 RE …光反射電極 S …透明基板 TE …透明電極 λ/4 …1/4波長板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 33/26 H05B 33/26 Z Fターム(参考) 2H049 BA02 BA03 BA07 BA25 BA42 BB03 BB47 BB48 BB50 BC03 BC22 3K007 AB00 AB18 BB06 CA01 CA06 CB01 CC01 DA00 DB03 EA04 EB00 FA01 5G435 AA00 AA17 BB05 EE33 FF05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、光反射電極と、発光層と、
    透明電極と、1/4波長板及び直線偏光膜を有する円偏
    光板とが配置されたエレクトロルミネッセンスディスプ
    レイであって、 前記1/4波長板が、単一層からなり、かつ波長450
    nm、550nm及び650nmにおけるレターデーシ
    ョン値(Re(λ))をそれぞれRe(450)、Re
    (550)及びRe(650)としたとき、Re(45
    0)<Re(550)<Re(650)の特性を有する
    ことを特徴とするエレクトロルミネッセンスディスプレ
    イ。
  2. 【請求項2】 1/4波長板の波長450nm、550
    nm及び650nmにおける「Re(λ)/波長λ」の値
    が、それぞれ0.2〜0.3である請求項1に記載のエ
    レクトロルミネッセンスディスプレイ。
  3. 【請求項3】 1/4波長板が、固有複屈折値が正であ
    る材料の少なくとも一種と、固有複屈折値が負である材
    料の少なくとも一種とを含む混合材料からなる請求項1
    又は2に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレ
    イ。
  4. 【請求項4】 固有複屈折値が正である材料が、ノルボ
    ルネン系樹脂である請求項3に記載のエレクトロルミネ
    ッセンスディスプレイ。
  5. 【請求項5】 固有複屈折値が負である材料が、スチレ
    ン系樹脂である請求項3又は4に記載のエレクトロルミ
    ネッセンスディスプレイ。
  6. 【請求項6】 1/4波長板が、共重合体を含む組成物
    からなり、該共重合体が、一軸性の配向規則を与えた場
    合に、固有複屈折が正の一軸性を示す鎖状部位と、固有
    複屈折が負の一軸性を示す鎖状部位とを有する請求項1
    又は2に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレ
    イ。
  7. 【請求項7】 共重合体が、主鎖及び該主鎖に側鎖とし
    て結合するグラフト鎖を有するグラフト共重合体であっ
    て、前記主鎖及びグラフト鎖の一方が固有複屈折が正の
    一軸性を示す鎖状部位であり、他方が固有複屈折が負の
    一軸性を示す鎖状部位である請求項6に記載のエレクト
    ロルミネッセンスディスプレイ。
  8. 【請求項8】 主鎖が正の一軸性を示す鎖状部位であ
    り、グラフト鎖が負の一軸性を示す鎖状部位である請求
    項7に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
  9. 【請求項9】 正の一軸性を示す鎖状部位が、ノルボル
    ネン系鎖である請求項6から8のいずれかに記載のエレ
    クトロルミネッセンスディスプレイ。
  10. 【請求項10】 負の一軸性を示す鎖状部位が、スチレ
    ン系鎖である請求項6から9のいずれかに記載のエレク
    トロルミネッセンスディスプレイ。
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