JP2002228375A - 加熱処理装置 - Google Patents

加熱処理装置

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JP2002228375A JP2001018826A JP2001018826A JP2002228375A JP 2002228375 A JP2002228375 A JP 2002228375A JP 2001018826 A JP2001018826 A JP 2001018826A JP 2001018826 A JP2001018826 A JP 2001018826A JP 2002228375 A JP2002228375 A JP 2002228375A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱板温度が変更された際に,蓋体温度を当該
熱板温度に素早く追従させ,より早く安定させる。 【解決手段】 蓋体上部60a内にヒートパイプ62を
内蔵させる。ヒートパイプ62の一部を蓋体60の側部
まで延伸させて設け,当該延伸部62cの先端にペルチ
ェ素子64を設ける。ペルチェ素子64には,蓋体60
の温度を検出する温度センサ66の値に基づいて当該ペ
ルチェ素子64のON,OFFを制御する温度制御装置
67を設ける。熱板温度が高温から低温に変更された場
合には,ペルチェ素子64を作動させ,ヒートパイプ6
2を介して蓋体60の冷却作用を促進させる。蓋体60
が所定の安定温度に達したところでペルチェ素子64を
OFFに切り替え,ヒートパイプ62の冷却作用を停止
させる。これによって蓋体温度が当該熱板温度に素早く
追従し,より早く安定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,基板の加熱処理装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体デバイスの製造におけるフォトリ
ソグラフィー工程においては,半導体ウエハ(以下,
「ウエハ」)の表面にレジスト液を塗布した後の加熱処
理(プリベーキング)や,パターンの露光を行った後の
加熱処理(ポストエクスポージャーベーキング),現像
処理後の加熱処理等の種々の加熱処理が行われている。
【0003】これらの加熱処理は,通常加熱処理装置に
よって行われ,当該加熱処理装置は,例えば熱源となる
ヒータが内蔵され,かつウェハを載置し加熱する熱板
と,当該熱板上のウェハを上方から覆い処理室を形成す
る蓋体とを有している。そして,当該加熱処理は,所定
温度に維持された熱板上にウェハを載置し,蓋体をウェ
ハ上に被せて,ウェハを所定時間加熱することによって
行われている。
【0004】また,加熱処理装置では,レシピの異なる
複数種類の加熱処理が行われるので,ウェハ処理のレシ
ピを変更する際には,その都度熱板温度等の設定を変更
する必要がある。そして,熱板温度の設定を変更する際
には,一旦加熱処理を停止させ,熱板の設定値を新しい
レシピの加熱温度に変更し,熱板温度が当該新しい加熱
温度になるのを待ってから再び加熱処理が開始される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,このよ
うに熱板温度が変更される際には,熱板を覆う蓋体の温
度も変動するが,蓋体の温度は,熱板からの輻射熱によ
って自然に変動するものであるため,蓋体温度が安定す
るまでにはかなりの時間を要する。このとき,蓋体温度
が安定しない間にウェハの加熱処理が再開されると,最
初の数枚のウェハが当該温度変動の影響を受け,最終的
に形成される回路パターンの線幅が不均一になる。ま
た,蓋体が完全に安定するまで待ってから加熱処理を再
開すると,その分加熱開始が遅延するので,結果として
全体としての基板処理に時間がかかり,スループットが
低下することになる。
【0006】本発明は,かかる点に鑑みてなされたもの
であり,熱板温度が変更された場合に,蓋体温度が当該
熱板温度に素早く追従し,より早く安定するような加熱
処理装置を提供することをその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明によれ
ば,処理室内で基板を加熱処理する加熱処理装置であっ
て,基板を載置し加熱する熱板と,前記熱板上に載置さ
れた前記基板を上方から覆い前記処理室を形成する蓋体
とを有し,前記蓋体には,ヒートパイプが設けられてお
り,前記ヒートパイプには,当該ヒートパイプの冷却作
用を促進するための冷却促進部材が設けられていること
を特徴とする加熱処理装置が提供される。
【0008】このように,蓋体に熱伝導性及び熱応答性
の優れたヒートパイプを設けることによって,蓋体が周
囲の温度に素早く追従するようになるので,熱板の温度
を変更した場合においても,熱板の温度変動に素早く反
応し,蓋体の温度をより早く安定させることができる。
また,冷却促進部材を設けることによって,ヒートパイ
プの冷却作用が促進され,蓋体の降温が促進されるの
で,その分蓋体を素早く安定させることができる。した
がって,基板の加熱処理中に蓋体温度が変動することが
なくなり,安定した環境の下で基板の加熱処理を行うこ
とができる。
【0009】かかる請求項1の発明において,前記冷却
促進部材が,請求項2のように電子冷熱素子であっても
よいし,請求項3のように熱交換媒体としての流体を供
給する流体供給部材であってもよい。
【0010】上述した請求項1〜3の各加熱処理装置に
おいて,請求項4のように前記冷却促進部材にフィンが
取り付けられていてもよい。このように,フィンを取り
付けることによって,表面積が増大するため,冷却促進
部材からの放熱が促進され,蓋体をより早く安定させる
ことができる。
【0011】また,請求項1〜4の各加熱処理装置は,
請求項5のように前記冷却促進部材を用いて蓋体の温度
を制御する温度制御装置を有するようにしてもよい。こ
のように,温度制御装置を設けることによって,蓋体温
度を適切な温度に制御することができるので,熱板から
の輻射熱とは別に,蓋体の温度を積極的に調節し,より
早く蓋体温度を安定させることができる。また,基板を
加熱することによって基板から昇華物等が発生し,低温
の蓋体に付着することが発明者等によって確認されてい
る。当該昇華物の付着は,メンテナンスの回数や時間の
増加をもたらし,スループット等の観点から好ましくな
い。請求項5によれば,温度制御装置によって,蓋体の
温度が自然に安定する温度よりも高い温度に蓋体の温度
を制御することができる。したがって,蓋体温度を安定
温度よりも高い温度に制御して,従来に比べて昇華物の
蓋体への結露を抑制できる。
【0012】以上の請求項1〜5で記載した各加熱処理
装置において,請求項6のように前記ヒートパイプが,
平板状に形成された前記蓋体の上部に設けられており,
前記ヒートパイプは,前記蓋体の前記上部の面内温度が
均一になるように配置されるようにしてもよい。請求項
6によれば,ヒートパイプによって蓋体上部の面内温度
を均一にすることができるので,熱板上の基板が,偏っ
た温度を有する蓋体から熱的な影響を受けて,基板面内
の加熱温度が不均一になることを抑制できる。
【0013】かかる請求項6の発明において,請求項7
のように前記ヒートパイプが,平面から見て蓋体中心か
ら外方向に凸状に湾曲した複数の凸部と,前記蓋体の側
部まで延伸する延伸部とを有し,前記複数の凸部は,互
いに連結されて略星形状の環状部を形成し,前記延伸部
は,当該環状部の一部に連結されていてもよい。このよ
うにヒートパイプを配置すると,蓋体上部にヒートパイ
プが偏り無く配置されるため,蓋体上部の面内温度を均
一にすることができる。これによって,熱板上の基板が
温度の不均一な蓋体からの熱によって影響されることな
く,基板全面を適切な温度で加熱することができる。
【0014】上述した請求項1〜7の各加熱処理装置に
おいて,請求項8のように少なくとも前記基板に対向す
る前記蓋体の内側上面には,フッ素系樹脂が被覆される
ようにしてもよい。このように非粘着性を有するフッ素
系樹脂を被覆することによって,基板表面から発生する
昇華物が付着しにくくなり,蓋体から基板上に付着物が
落下して基板が汚染することが抑制される。また,メン
テナンスの回数や時間が減少される。
【0015】また,請求項1〜8の発明において,請求
項9のように前記蓋体の上部には,前記処理室に対して
気体を供給又は排気するための配管が設けられており,
前記蓋体の内側には,前記気体が形成する気流を整流す
る整流板が設けられており,前記整流板には,フッ素系
樹脂が被覆されるようにしてもよい。このように蓋体に
整流板が設けられている場合には,当該整流板にフッ素
系樹脂を被覆することによって,整流板への昇華物の付
着を抑制することができる。これによって,整流板から
基板上に付着物が落下することが抑制できる上,メンテ
ナンスの回数等を減少させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下,本発明の好ましい実施の形
態について説明する。図1は,本発明にかかる加熱処理
装置を有する塗布現像処理システム1の平面図であり,
図2は,塗布現像処理システム1の正面図であり,図3
は,塗布現像処理システム1の背面図である。
【0017】塗布現像処理システム1は,図1に示すよ
うに,例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部か
ら塗布現像処理システム1に対して搬入出したり,カセ
ットCに対してウェハWを搬入出したりするカセットス
テーション2と,塗布現像処理工程の中で枚葉式に所定
の処理を施す各種処理装置を多段配置してなる処理ステ
ーション3と,この処理ステーション3に隣接して設け
られている図示しない露光装置との間でウェハWの受け
渡しをするインターフェイス部4とを一体に接続した構
成を有している。
【0018】カセットステーション2では,載置部とな
るカセット載置台5上の所定の位置に,複数のカセット
CをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在とな
っている。そして,このカセット配列方向(X方向)と
カセットCに収容されたウェハWのウェハ配列方向(Z
方向;鉛直方向)に対して移送可能なウェハ搬送体7が
搬送路8に沿って移動自在に設けられており,各カセッ
トCに対して選択的にアクセスできるようになってい
る。
【0019】ウェハ搬送体7は,ウェハWの位置合わせ
を行うアライメント機能を備えている。このウェハ搬送
体7は後述するように処理ステーション3側の第3の処
理装置群G3に属するエクステンション装置32に対し
てもアクセスできるように構成されている。
【0020】処理ステーション3では,その中心部に主
搬送装置13が設けられており,この主搬送装置13の
周辺には各種処理装置が多段に配置されて処理装置群を
構成している。該塗布現像処理システム1においては,
4つの処理装置群G1,G2,G3,G4が配置されており,第
1及び第2の処理装置群G1,G2は塗布現像処理システム
1の正面側に配置され,第3の処理装置群G3は,カセッ
トステーション2に隣接して配置され,第4の処理装置
群G4は,インターフェイス部4に隣接して配置されてい
る。さらにオプションとして破線で示した第5の処理装
置群G5を背面側に別途配置可能となっている。前記主搬
送装置13は,これらの処理装置群G1,G3,G4,
G5に配置されている後述する各種処理装置に対して,
ウェハWを搬入出可能である。なお,処理装置群の数や
配置は,ウェハWに施される処理の種類によって異な
り,処理装置群の数は,1以上であれば任意に選択して
もよい。
【0021】第1の処理装置群G1では,例えば図2に示
すように,ウェハWにレジスト液を塗布するレジスト塗
布装置17と,露光後のウェハWを現像処理する現像処
理装置18とが下から順に2段に配置されている。処理
装置群G2の場合も同様に,レジスト塗布装置19と,現
像処理装置20とが下から順に2段に積み重ねられてい
る。
【0022】第3の処理装置群G3では,例えば図3に示
すように,ウェハWを冷却処理するクーリング装置3
0,レジスト液とウェハWとの定着性を高めるためのア
ドヒージョン装置31,ウェハWを待機させるエクステ
ンション装置32,本実施の形態にかかる加熱処理装置
としてのプリベーキング装置33,34及び現像処理後
の加熱処理を施すポストベーキング装置35,36等が
下から順に例えば7段に重ねられている。
【0023】第4の処理装置群G4では,例えばクーリン
グ装置40,載置したウェハWを自然冷却させるエクス
テンション・クーリング装置41,エクステンション装
置42,クーリング装置43,露光後の加熱処理を施す
ポストエクスポージャーベーキング装置44,45,ポ
ストベーキング装置46,47等が下から順に例えば8
段に積み重ねられている。
【0024】インターフェイス部4の中央部にはウェハ
搬送体50が設けられている。このウェハ搬送体50は
X方向(図1中の上下方向),Z方向(垂直方向)の移
動とθ方向(Z軸を中心とする回転方向)の回転が自在
にできるように構成されており,第4の処理装置群G4に
属するエクステンション・クーリング装置41,エクス
テンション装置42,周辺露光装置51及び図示しない
露光装置に対してアクセスして,各々に対してウェハW
を搬送できるように構成されている。
【0025】次に上述したプリベーキング装置33の構
成について詳しく説明する。図4に示すように,プリベ
ーキング装置33は,上側に位置して図示しない駆動機
構によって上下動可能に構成された蓋体60と,下側に
位置して蓋体60と一体となって処理室Sを形成する熱
板収容部61とを有している。
【0026】蓋体60は,アルミニウム又はステンレス
鋼で作られ,下端部が開口した略円筒状の形態を有して
いる。蓋体60の上部60aは,閉口しており,円盤状
に形成されている。当該蓋体上部60aには,熱伝導性
及び熱応答性に優れた伝熱素子であるヒートパイプ62
が内蔵されている。これによって,蓋体60の温度が周
辺温度の変動,例えば後述する熱板温度の変動に素早く
応答し,熱伝達により迅速に蓋体温度を安定させること
ができるようになっている。
【0027】ヒートパイプ62は,図5に示すように略
星形状の環状部62aを形成するように配置されてお
り,かかる配置によって蓋体上部60a面内の温度が均
一になる。環状部62aは,蓋体60の外方向に凸状に
湾曲した複数の凸部62bが互いに連結されて構成され
ている。また,ヒートパイプ62は,環状部62aの一
部に連結され蓋体60の側面まで延伸する延伸部62c
を有しており,当該延伸部62cの先端は,冷却促進部
材としての電子冷熱素子であるペルチェ素子64に接触
されている。かかる構成によって,ヒートパイプ62の
冷却作用がペルチェ素子64によって促進され,蓋体6
0の降温を促進できるようになっている。
【0028】ペルチェ素子64には,外方に突出した複
数の放熱手段であるフィン65が設けられており,ペル
チェ素子64の熱を効果的に放熱できるようになってい
る。
【0029】蓋体上部60aには,温度センサ66が設
けられており,当該温度センサ66のデータは,蓋体6
0の温度を制御する制御部である温度制御装置67に出
力されるようになっている。温度制御装置67には,ペ
ルチェ素子64のON,OFFを制御する機能が設けら
れており,当該温度制御装置67は,温度センサ66か
らの出力に基づいてペルチェ素子64のON,OFFを
制御し,結果的に蓋体60の温度を制御できるようにな
っている。
【0030】蓋体上部60aの中央部には,ケーシング
33a内に気体,例えば不活性ガス,窒素ガス又はエア
を供給する供給管68が接続されており,適宜ケーシン
グ33a内に気体を供給し,ケーシング33a内を清浄
な雰囲気に置換できるようになっている。
【0031】蓋体上部60aの下方であって,蓋体60
の内側上部には,供給管68からの気流を整流する整流
板69が設けられている。整流板69には,多数のスリ
ットが設けられており,上方からの気流を分流させ,下
方に位置するウェハWに均一な気流が送られるようにな
っている。
【0032】上述した蓋体上部60aの下面60bと整
流板69の表面には,非粘着性を有する防汚材として使
用するフッ素系樹脂,例えばテフロン(米国デュポン社
の商標名,以下同じ)がコーティングされており,ウェ
ハWから発生する昇華物の付着を抑制できるようになっ
ている。なお,蓋体60の他の部分の表面にもフッ素系
樹脂をコーティングするようにしてもよい。
【0033】一方,熱板収容部61には,ウェハWを載
置して加熱する熱板75が設けられている。熱板75
は,厚みが例えば2〜10mm程度の薄い円盤状に形成
されており,その材質には,熱伝導性の優れたセラミッ
クである例えば炭化ケイ素や窒化アルミニウムが用いら
れている。
【0034】熱板75の裏面には,熱板75の熱源とな
るヒータ76が印刷技術を用いて設けられており,当該
ヒータ76は,ヒータ制御装置77によってその発熱量
が制御可能である。かかる構成によりヒータ76の発熱
量が制御され,熱板75の温度を維持,変更できるよう
になっている。
【0035】熱板75の下方には,ウェハWを搬入出す
る際にウェハWを支持し,昇降させるための昇降ピン7
8が複数設けられている。当該昇降ピン78は,昇降駆
動機構79によって上下に移動可能に構成されている。
また,熱板75の中央部付近には,熱板75を鉛直方向
に貫通する孔80が設けられており,昇降ピン78が上
下方向に移動して孔80を通過して,熱板75上に突出
できるように構成されている。
【0036】熱板収容部61は,熱板75の外縁部を支
持する支持部材81と,当該支持部材81を支持する支
持台82とを有している。支持部材81には,熱板75
の熱を外部に逃がさないように断熱材が使用されてい
る。また,支持台82は,上面が開口した略筒状に形成
されており,その上部に支持部材81を支持している。
【0037】熱板収容部61は,支持部材81とその支
持台82とを囲む略筒状の外周部材としてのサポートリ
ング83を有している。このサポートリング83には,
処理室S内の雰囲気を排気する排気口84が設けられて
おり,処理室S内をパージできるようになっている。ま
た,サポートリング83の外方には,熱板収容部61の
外周となる円筒状のケース85が設けられている。
【0038】プリベーキング装置33のケーシング33
aの側面には,ウェハWを搬入出するための搬送口86
が設けられている。搬送口86には,当該搬送口86を
開閉可能とするシャッタ87が設けられており,プリベ
ーキング装置33から発生する熱を可能な限り遮断し,
他の処理装置に熱的な影響を与えないように構成されて
いる。
【0039】次に,以上のように構成されているプリベ
ーキング装置33の作用について,塗布現像処理システ
ム1で行われるフォトリソグラフィー工程のプロセスと
共に説明する。
【0040】先ず,ウェハ搬送体7がカセットCから未
処理のウェハWを1枚取りだし,第3の処理装置群G3に
属するアドヒージョン装置31に搬入する。このアドヒ
ージョン装置31において,レジスト液との密着性を向
上させるHMDSなどの密着強化剤を塗布されたウェハW
は,主搬送装置13によって,クーリング装置30搬送
され,所定の温度に冷却される。その後,ウェハWはレ
ジスト塗布装置17又19に搬送され,ウェハW上に所
定量のレジスト液が塗布される。そして,表面にレジス
ト膜が形成されたウェハWは,プリベーキング装置33
又は34に搬送され,レジスト液中の溶剤を蒸発させる
ための加熱処理が行われる。
【0041】そして,加熱処理の終了したウェハWは,
主搬送装置13によりエクステンション・クーリング装
置41に搬送され,所定温度に冷却される。次いでウェ
ハWはエクステンション・クーリング装置41からウェ
ハ搬送体50によって取り出され,その後,周辺露光装
置51を経て露光装置(図示せず)に搬送される。露光
処理の終了したウェハWは,ウェハ搬送体50によりエ
クステンション装置42に搬送され,その後,主搬送装
置13によってポストエクスポージャーベーキング装置
44又は45に搬送される。そして,ウェハWは主搬送
装置13によりクーリング装置43,現像処理装置18
又は20,ポストベーキング装置35,36,46又は
47,クーリング装置30と順次搬送され,各装置にお
いて所定の処理が施される。その後,ウェハWは,エク
ステンション装置32を介して,ウェハ搬送体7によっ
てカセットCに戻され,一連の所定の塗布現像処理が終
了する。
【0042】次に上述したプリベーキング装置33の作
用について詳しく説明する。先ず,加熱処理が開始され
る前に,供給管68からのエアの供給が開始され,それ
と同時にサポートリング83の排気管84からの排気が
開始される。これによって,ケーシング33a内には下
降気流が形成され,ケーシング33a内がパージされ始
める。また,熱板75は,ヒータ制御装置77によって
レシピに従った所定の加熱温度,例えば140℃に維持
される。
【0043】そして,前工程であるレジスト塗布処理が
終了し,加熱処理が開始されると,搬送口86のシャッ
タ87が開放され,主搬送装置13によってウェハWが
プリベーキング装置33内に搬入される。そして,熱板
75上方まで搬送されたウェハWは,予め熱板63上方
で待機していた昇降ピン78上に支持される。
【0044】次いで,蓋体60が下降され,熱板収容部
61と一体となって処理室Sが形成される。このとき,
処理室S内には,上述した供給管68からのエアによっ
て一様な下降気流が形成されており,処理室S内の雰囲
気はパージされている。
【0045】その後,ウェハWは昇降駆動機構79によ
り昇降ピン78と共に下降され,熱板75上に載置され
る。そして,ウェハWが載置されると同時に加熱が開始
され,その後,ウェハWは加熱温度140℃で所定時間
加熱される。このとき,ウェハWからはレジスト成分や
溶剤等の昇華物が発生し,当該昇華物は,熱板75から
の熱流によって一旦上昇される。そして,昇華物は,処
理室S内の下降気流によって下降され排気管84から排
出される。このとき昇華物は,整流板69や蓋体上部6
0aの下面60bがテフロンコーティングされているた
め,当該整流板69等に付着すること無く処理室S外に
排気される。
【0046】そして,所定時間経過後,昇降ピン78に
よってウェハWが再び上昇されて,熱板75による加熱
が終了する。次いで,蓋体60が上昇され,処理室Sが
開放されると,主搬送装置13が搬送口86から再び進
入し,ウェハWが主搬送装置13に受け渡される。そし
て,ウェハWが搬送口86からケーシング33a外に搬
出されて一連の加熱処理が終了する。
【0047】次に,ウェハ処理のレシピが変更され,ウ
ェハWの加熱温度が変更された場合について説明する。
例えば加熱温度が140℃から,例えば90℃に変更さ
れる場合には,蓋体60は上昇され,処理室Sが開放さ
れた状態で,先ず熱板75の設定温度が140℃から9
0℃に変更され,ヒータ制御装置77によって熱板温度
が降温される。この際,熱板温度の降温に伴って,蓋体
60の温度も降温されるが,これとは別に当該降温の際
に,温度制御装置67によってペルチェ素子64の冷却
が開始され,ヒートパイプ62の一部,すなわち延伸部
62cが冷却される。これによって,ヒートパイプ62
の冷却作用が促進され,当該蓋体60の降温速度が増大
される。そして,蓋体温度を検出している温度センサ6
6が,予め実験等で求めておいた蓋体温度の安定温度,
例えば70℃を検出すると,当該データを受けた温度制
御装置67によってペルチェ素子64による冷却が停止
される。これによって,蓋体60の降温が迅速に行わ
れ,熱板温度の降温に追従する。また,ペルチェ素子6
4に蓄熱された熱は,ペルチェ素子64に設けられたフ
ィン65の助けを借りて放熱される。なお,かかる熱板
75の降温を,供給管68からエア等のパージガスを流
しながら行ってもよい。こうすることによって,低温の
パージガスが,熱板75に吹き付けられるので,熱板7
5の温度がさらに短時間に変更できる。また,この時,
蓋体60を閉じた状態でも同じ効果があり,さらに熱板
75から輻射熱を蓋体60で吸収しつつ降温ができるの
で,さらに短時間に温度変更できる。
【0048】また,逆に熱板温度が,例えば90℃から
140℃に昇温される場合には,熱伝導性及び熱応答性
に優れたヒートパイプ62によって,熱板75からの輻
射熱が蓋体60に迅速に伝達され,蓋体温度を熱板温度
に追従させることができる。また,蓋体温度が安定温
度,例えば100℃に安定していく過程において,蓋体
温度が熱板75の熱によって一旦100℃を越え,その
後振幅しながら収束していくような場合には,100℃
を越えた時点でペルチェ素子64が作動され,蓋体60
を降温する。そして,蓋体温度が100℃に降温したと
きに,ペルチェ素子64の冷却を停止させる。この作業
を繰り返すことによって,より早く蓋体温度が収束し,
安定する。この場合も,温度センサ66で温度を検出
し,温度制御装置67によって制御を行うものである。
【0049】以上の実施の形態では,蓋体60にヒート
パイプ62を設け,当該ヒートパイプ62にペルチェ素
子64を設けたため,熱板75の温度を変更した際に,
蓋体60の温度が熱板75の温度に素早く追従し,蓋体
温度をより早く熱板温度に対する安定温度に安定させる
ことができる。特に,熱板温度を降温させる場合には,
ペルチェ素子64によって蓋体60の降温が促進される
ため,より早い段階で蓋体60の温度を安定させること
ができる。
【0050】また,ペルチェ素子64にフィンを設けた
ことによって,ペルチェ素子64に蓄熱した熱を効果的
に放熱することができ,蓋体温度の降温を促進させるこ
とができる。また,フィン以外に冷却水を通流させて放
熱することも可能である。
【0051】上述したようにヒートパイプ62を蓋体上
部60aに略環状に設けたことによって,ヒートパイプ
62が蓋体上部60aに偏り無く配置され,蓋体上部6
0a面内温度を均一に維持することができる。これによ
って,蓋体60の下方に位置するウェハWの面内温度が
均一に維持され,ウェハWを適切な温度で加熱すること
ができる。
【0052】さらに,蓋体上部60aの下面60bと整
流板69に非粘着性のテフロンをコーティングしたの
で,ウェハWから発生する昇華物が当該整流板69や蓋
体66の下面66bに付着することが抑制できる。これ
によって,付着物がウェハW上に落下し,ウェハWが汚
染されることを防止できる。また,整流板69等の汚れ
が抑制されるため,当該整流板69等のメンテナンスの
回数や時間を減少させることができる。なお,前記実施
の形態では,整流板69を一枚設けただけであったが,
整流板69を複数枚設けてもよく,当該複数の整流板に
各々テフロン等のフッ素系樹脂をコーティングするよう
にしてもよい。
【0053】以上の実施の形態では,ヒートパイプ62
の冷却作用を促進させるためにペルチェ素子64を用い
たが,熱交換媒体としての流体を供給する流体供給部材
を用いてもよい。このような場合,例えば図6に示すよ
うに蓋体60側部に所定温度に調節可能なエアを流す流
体供給部材としてのエア管90を設け,ヒートパイプ6
2の延伸部62cを当該エア管90内まで延伸させるよ
うにする。これによって,当該エア管90内を流れるエ
アとヒートパイプ62の延伸部62cとが接触し,双方
間で熱交換を行えるようになる。そして,熱板温度を高
温から低温に変更し,蓋体温度が降温する際には,温度
の低いエアをエア管90内に流し,ヒートパイプ62の
延伸部62cを冷却する。これによって,蓋体60の降
温が促進され,より早い段階で蓋体温度を安定温度に到
達させ,安定させることができる。なお,蓋体温度が昇
温する際に,エアを高温に設定し,当該エアをヒートパ
イプ62に接触させて,蓋体60の昇温を促進させるよ
うにしてもよい。また,使用される熱交換媒体としての
流体は,他の気体,例えば窒素ガスでもよく,水のよう
な液体であってもよい。
【0054】また,前記エアをヒートパイプ62に直接
吹き付けるようにしてもよい。例えば図7に示すよう
に,蓋体60の側部にヒートパイプ62の延伸部62c
を露出させ,当該延伸部62cに対してエアを吹き出す
ことのできる吹き出し管95を設ける。そして,蓋体温
度が降温する際に,ヒートパイプ62の延伸部62cに
対してエアを吹き出すことによって,ヒートパイプ62
の冷却作用が促進され,蓋体60の降温を促進させるこ
とができる。
【0055】以上の実施の形態では,熱板温度を140
℃から90℃に変更した際に,蓋体60を熱板温度90
℃に対する安定温度である70℃まで降温していたが,
蓋体温度を安定温度の70℃よりも高い温度に維持する
ようにしてもよい。かかる場合は,蓋体60が熱板の降
温に伴って降温し,安定温度より高い温度,例えば75
℃になった時点でペルチェ素子64をOFFに切り替
え,蓋体温度の降温を75℃で停止させるようにする。
これによって,熱板温度と蓋体温度との温度差が小さく
なるので,昇華物が低温の蓋体に接触して,蓋体に結露
することが抑制される。したがって,昇華物の蓋体60
への付着を抑制でき,蓋体60のメンテナンス回数,時
間等を減少させることができる。また,熱板温度を高温
側に変更する際にも同様に,安定温度よりも高い温度に
蓋体温度を調節し,昇華物の付着を抑制してもよい。す
なわち,例えば,所定温度の熱板上で基板を加熱する加
熱処理方法であって,前記熱板上に載置された基板を上
方から覆い処理室を形成する蓋体が備えられ,前記熱板
の所定温度に対する前記蓋体の安定温度よりも高い温度
に前記蓋体の温度を調節することを特徴とする,加熱処
理方法であってもよい。
【0056】以上の実施の形態にかかる加熱処理装置
は,PEB装置44又は45についてであったが,他の
加熱処理装置,例えばプリベーク装置33又は34,ポ
ストベーク装置35,36,46又は47においても応
用でき,また,蓋体を有し,略密閉構造の加熱処理装置
であれば,応用は可能である。
【0057】また,以上で説明した実施の形態は,半導
体ウェハデバイス製造プロセスのフォトリソグラフィー
工程におけるウェハWの加熱処理装置に適用した例であ
ったが,本発明は半導体ウェハ以外の基板例えばLCD
の加熱処理装置においても応用できる。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば,熱板温度を変更した場
合においても,蓋体温度が当該熱板温度に素早く追従す
るため,不安定な蓋体温度に起因する基板の加熱温度の
変動を抑制することができる。したがって,全ての基板
を適切な温度で加熱することができるので,歩留まりの
向上が図られる。また,蓋体温度が安定するまでの待機
時間が短縮されるため,スループットの向上が図られ
る。
【0059】特に,請求項7及び8の発明によれば,蓋
体の温度によって基板面内の温度が不均一になることが
防止できるので,基板を適切な温度で加熱でき,歩留ま
りの向上が図られる。
【0060】また,請求項9及び10の発明によれば,
蓋体への昇華物の付着を抑制できるので,メンテナンス
の回数,時間が減少され,その分スループットの向上が
図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかるプリベーキング装置を有
する塗布現像処理システムの構成の概略を示す平面図で
ある。
【図2】図1の塗布現像処理システムの正面図である。
【図3】図1の塗布現像処理システムの背面図である。
【図4】本実施の形態にかかるプリベーキング装置の縦
断面の説明図である。
【図5】蓋体の構成の概略を示す平面図である。
【図6】蓋体にエア管を設けた場合の蓋体の構成の概略
を示す平面図である。
【図7】蓋体に吹き出し管を設けた場合の蓋体の構成の
概略を示す平面図である。
【符号の説明】
1 塗布現像処理システム 33 プリベーキング装置 60 蓋体 60a 蓋体上部 60b 下面 61 熱板収容部 62 ヒートパイプ 62c 延伸部 64 ペルチェ素子 66 温度センサ 67 温度制御装置 69 整流板 75 熱板 S 処理室 W ウェハ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田上 光広 東京都港区赤坂五丁目3番6号 TBS放 送センター 東京エレクトロン株式会社内 Fターム(参考) 2H096 AA00 GA21 5F046 KA04 KA10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 処理室内で基板を加熱処理する加熱処理
    装置であって,基板を載置し加熱する熱板と,前記熱板
    上に載置された前記基板を上方から覆い前記処理室を形
    成する蓋体とを有し,前記蓋体には,ヒートパイプが設
    けられており,前記ヒートパイプには,当該ヒートパイ
    プの冷却作用を促進するための冷却促進部材が設けられ
    ていることを特徴とする,加熱処理装置。
  2. 【請求項2】 前記冷却促進部材は,電子冷熱素子であ
    ることを特徴とする,請求項1に記載の加熱処理装置。
  3. 【請求項3】 前記冷却促進部材は,熱交換媒体として
    の流体を供給する流体供給部材であることを特徴とす
    る,請求項1に記載の加熱処理装置。
  4. 【請求項4】 前記冷却促進部材には,フィンが取り付
    けられていることを特徴とする,請求項1,2又は3の
    いずれかに記載の加熱処理装置。
  5. 【請求項5】 前記冷却促進部材を用いて蓋体の温度を
    制御する温度制御装置を有することを特徴とする,請求
    項1,2,3又は4のいずれかに記載の加熱処理装置。
  6. 【請求項6】 前記ヒートパイプは,平板状に形成され
    た前記蓋体の上部に設けられており,前記ヒートパイプ
    は,前記蓋体の前記上部の面内温度が均一になるように
    配置されていることを特徴とする,請求項1,2,3,
    4又は5のいずれかに記載の加熱処理装置。
  7. 【請求項7】 前記ヒートパイプは,平面から見て蓋体
    中心から外方向に凸状に湾曲した複数の凸部と,前記蓋
    体の側部まで延伸する延伸部とを有し,前記複数の凸部
    は,互いに連結されて略星形状の環状部を形成し,前記
    延伸部は,当該環状部の一部に連結されていることを特
    徴とする,請求項6に記載の加熱処理装置。
  8. 【請求項8】 少なくとも前記基板に対向する前記蓋体
    の内側上面には,フッ素系樹脂が被覆されていることを
    特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6又は7のい
    ずれかに記載の加熱処理装置。
  9. 【請求項9】 前記蓋体の上部には,前記処理室に対し
    て気体を供給又は排気するための配管が設けられてお
    り,前記蓋体の内側には,前記気体が形成する気流を整
    流する整流板が設けられており,前記整流板には,フッ
    素系樹脂が被覆されていることを特徴とする,請求項
    1,2,3,4,5,6,7又は8のいずれかに記載の
    加熱処理装置。
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