JP2002225178A - 非クロム型潤滑被覆処理亜鉛系めっき鋼板 - Google Patents

非クロム型潤滑被覆処理亜鉛系めっき鋼板

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JP2002225178A
JP2002225178A JP2001027460A JP2001027460A JP2002225178A JP 2002225178 A JP2002225178 A JP 2002225178A JP 2001027460 A JP2001027460 A JP 2001027460A JP 2001027460 A JP2001027460 A JP 2001027460A JP 2002225178 A JP2002225178 A JP 2002225178A
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plated steel
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urethane elastomer
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English (en)
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Yoshito Furuya
良人 古谷
Shinetsuro Ito
辰悦郎 伊藤
Hideo Ogishi
英夫 大岸
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Kawatetsu Galvanizing Co Ltd
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Kawatetsu Galvanizing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プレス加工性やロール成形性に優れると共
に、表面特性、耐食性、耐黒変性などの製品特性にも優
れた非クロム型の潤滑被覆処理亜鉛系めっき鋼板を提供
すること。 【解決手段】鋼板表面に被成する潤滑被膜として、架橋
構造体であるウレタンエラストマーに、非クロム型防錆
剤、カップリング剤、潤滑剤等を一定の割合で配合する
とともに、前記ウレタンエラストマーのガラス転移点が
所定の温度となるようにすることによって、プレス加工
性やロール成型性等を大幅に改善したもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、6価クロムを含有
しない潤滑被覆処理された亜鉛系めっき鋼板に関し、特
に耐食性や耐黒変性、プレス成型性、ロール成形性、上
塗り塗料との密着性などの諸特性に優れた潤滑被膜を形
成してなる非クロム型の亜鉛系めっき鋼板に関するもの
である。本発明は、家電製品、厨房製品、建材、自動車
等の素材として好適に用いられるものである。なお、本
発明において、前記亜鉛系めっき鋼板とは、亜鉛めっき
鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム合金め
っき鋼板をいう。
【0002】
【従来の技術】亜鉛系めっき鋼板は耐食性に優れること
から、床材や屋根材、壁材などの建築用部材、防音壁な
どの土木部材、自動車や家電製品、ガスボンベなどの産
業機器などの材料として幅広く用いられている。しかし
ながら、このような亜鉛系めっき鋼板は、プレス成型や
ロール成形などの加工を行うと、めっき鋼板とプレス金
型や成形ロールとの間の潤滑性が悪いために、めっき層
が破壊されることがある。もし、めっき層が破壊される
と、破壊によって生じためっき粉がプレス金型や成形ロ
ールに付着し、これが原因で成形疵となって外観を損な
うばかりか、その疵の部分から発錆して製品の耐久性を
低下させることがあった。また、プレス成型時にめっき
鋼板の一部が切断されて製品として使えない場合があ
り、歩留り低下の原因ともなっていた。
【0003】そこで、このような問題を解消するため
に、従来、亜鉛系めっき鋼板を成形加工するにあたり、
めっき鋼板とプレス金型や成形ロールとの間に潤滑性を
付与するために、めっき層表面あるいはめっき層と接触
するプレス金型や成形ロールの表面に、プレス油を塗布
することにしていた。しかしながら、めっき鋼板表面に
プレス油を塗布すると、例えば、OA機器用のアクセス
フロア材などの床材などとして使用する場合、作業者が
プレス油により手を滑らせる危険性があり、さらにプレ
ス油が不均−に塗布されやすく高速連続プレス加工する
と加工部のめっき鋼板が切断したりするなどの不都合が
あった。そのため現在では、めっき鋼板表面にプレス油
を塗布するかわりに、めっき鋼板表面に潤滑性を有する
樹脂被膜を被覆する潤滑処理を行うことが主流となって
いる。
【0004】−方で、亜鉛系めっき鋼板は、大気中や湿
潤環境下で保管されると、錆が発生し、金属光沢が失わ
れて灰黒色の外観となり、商品価値を著しく低下させる
という特有の欠点があつた。そのため、従来、亜鉛系め
っき鋼板の表面には、耐食性を改善する目的でクロメー
ト処理を施すのが普通であった。しかしながら、クロメ
ート処理された亜鉛系めっき鋼板は、プレス成形のため
に水溶性のプレス油で潤滑処理すると、クロメートの溶
出による汚染を招くという新たな問題が生じた。特に、
有害元素として知られている6価クロムは、土壌汚染や
人体への影響が懸念されており、そのため近年では、6
価クロムを含有しない表面処理鋼板への要求が高まって
いるのが実情である。
【0005】このような背景の下で、最近では、クロメ
ート処理をしなくとも、潤滑性と耐食性とに優れた樹脂
被覆亜鉛系めっき鋼板を得る方法の研究開発が行われて
いる。このような中、有害なクロムを含まない非クロム
型表面処理剤として、樹脂中に非クロム化合物を配合し
た樹脂被膜を有する亜鉛系めっき鋼板表面が提案されて
いる。例えば、特開2000−218230号公報に
は、めっき鋼板の表面に、コロイダルシリカ微粒子を含
有する樹脂組成物を塗布する方法が開示されている。特
開2000−297384号公報には、めっき鋼板の表
面に、チオカルボニル化合物、リン酸化合物を含有した
樹脂組成物を塗布する表面処理方法が開示されている。
特開2000−234176号公報には、リン酸化合
物、チオカルボニル化合物、バナジン酸化合物、水分散
性シリカ等を含有する樹脂組成物によって処理されため
っき鋼板が開示されている。また、特開2000−24
8384号公報には、シランカップリング剤を含有する
樹脂組成物を塗布する方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上掲の各従来技術によ
れば、確かに、クロメートの溶出による汚染を招くこと
なく、亜鉛系めっき鋼板に対して潤滑性を付与すること
ができるようになった。しかしながら、これらの先行技
術は、特有の臭気を放ち、作業性や耐食性が不充分でか
つ高価な化合物を使用していることなどの点で、依然と
して満足できる水準に達していないのが実情である。
【0007】本発明の目的は、高速連続プレス成型時に
おいても被膜が疵ついたり剥離することなく、かつ加工
部のめっき鋼板が割れることのない亜鉛系めっき鋼板、
とくにプレス加工性やロール成形性に優れると共に、表
面特性、耐食性、耐黒変性などの製品特性にも優れた非
クロム型の潤滑被覆処理亜鉛系めっき鋼板を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記目的の
実現に向け鋭意研究をおこなった。その結果、鋼板表面
に被成する潤滑被膜として、架橋構造体であるウレタン
エラストマーに、非クロム型防錆剤、カップリング剤、
潤滑剤等を一定の割合で配合するとともに、前記ウレタ
ンエラストマーのガラス転移点が所定の温度となるよう
にすることによって、プレス加工性やロール成型性が大
幅に改善でき、同時に加工後の表面外観や耐食性、耐黒
変性にも良好な特性を示す、非クロム型の潤滑被覆処理
亜鉛系めっき鋼板が得られることを知見した。
【0009】本発明の潤滑被覆処理亜鉛系めっき鋼板
は、上述した知見にもとづいてなされたものであり、亜
鉛系めっき鋼板の少なくとも一方の表面に、焼付あるい
は常温乾燥型の被膜形成主剤として、架橋構造体である
ウレタンエラストマーを用いて形成された潤滑被膜が、
0.5〜10μmの厚みで被覆形成された亜鉛系めっき
鋼板である。そして、かかる潤滑被膜中の主要樹脂であ
るウレタンエラストマーはガラス転移点が30〜60℃
に制御されたものであることが好ましい。
【0010】即ち、本発明に係る亜鉛系めっき鋼板は、
被膜形成主剤 (樹脂主剤) である前記ウレタンエラスト
マー100重量部に対して、非クロム型防錆剤1〜50
重量部、カップリング剤1〜30重量部、潤滑剤0.5
〜10重量部を配合してなるビヒクルを、鋼板表面に塗
布し乾燥して潤滑被膜を形成したものである。なお、本
発明にかかる潤滑被覆処理された非クロム型亜鉛系めっ
き鋼板は、その表面に形成された潤滑被膜の最大動摩擦
係数が0.05〜0.10の範囲にあるものが好まし
い。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に係る非クロム型の潤滑被
覆処理された亜鉛系めっき鋼板は、めっき鋼板のいずれ
か少なくとも一方の表面に被覆形成した潤滑被膜の構成
に特徴があり、とくにその潤滑被膜を構成する樹脂主剤
(被膜形成主剤) の種類とそれのガラス転移点を規定し
た点と、非クロム化合物、カップリング剤および潤滑剤
の配合をコントロールする点に特徴がある。このような
工夫により、本発明では、潤滑性を十分に高め、高速連
続プレス加工性やロール成形性を満足できることのほ
か、亜鉛系めつき鋼板に要求される諸性能、例えば作業
性や加工後の表面特性 (外観) 、耐食性、耐黒変性を大
きく向上させることができるようになる。
【0012】このように、6価クロム等の有害なクロム
化合物を含まない非クロム系の潤滑被膜を被成した本発
明に係る亜鉛系めっき鋼板は、高速連続プレス加工性や
ロール成形性に優れるほか、作業性や加工後の表面特
性、耐食性、耐黒変性などにも優れたものとなる。この
理由は必ずしも明らかではないが、発明者らの理解で
は、特定のガラス転移点をもったウレタンエラストマー
に対し、非クロム型防錆剤、カップリング剤および潤滑
材 (ワツクス粒子) を適宜に組み合わせることにより、
これらの配合物による相乗作用によって前記潤滑被膜の
密着性が改善されることによるものと考えている。
【0013】以下、本発明にかかる亜鉛系めっき鋼板の
構成を詳細に説明する。本発明において、亜鉛系めっき
鋼板とは、亜鉛めっき鋼板の他に、めっき層として亜鉛
をベースにしたもの、例えば5%AlZn系や8%Al
Zn系、15%AlZn系などのAlZn合金系のも
の、アルミニウムをベースとする55%AlーZn系や
75%Al−Zn系などのAl−Zn合金系のものを挙
げることができる。しかし、本発明に係る亜鉛系めっき
鋼板は、これらの亜鉛めっき鋼板や合金系のめっき鋼板
だけに限定されるのではなく、めっき層が亜鉛とアルミ
ニウムを主成分としている合金めっき鋼板であればよ
い。例えば、亜鉛−アルミニウム合金中に、MgやM
n,Si,Ti,Ni,Co,Mo,Pb,Sn,C
r,La,Ce,Y,Nbなどを添加したものにも適用
が可能である。また、この亜鉛系めっき鋼板の形状は、
コイル状、切り板状、シート状のいずれであってもよ
い。
【0014】本発明において、上記潤滑被膜を構成する
主要樹脂成分,即ち被膜形成主剤としては、架橋構造体
であるウレタンエラストマーが用いられる。この樹脂に
着目した理由は、架橋構造体のウレタンエラストマーは
もともと、耐水性、耐加水分解性、耐溶剤性、耐候性に
優れるので長期安定性に効果を発揮する物質だからであ
る。ここで、架橋構造体のウレタンエラストマーとは、
高分子量のウレタン樹脂に親水基または親水性セグメン
トを付与した非反応型の架橋構造体のウレタンエラスト
マーを水中に分散させた水系ウレタン樹脂を意味する。
具体的には多価イソシアネートと多価アルコール(以
下、「ポリオール」という)とがウレタン結合を繰り返
すことによつて得られる高分子化合物を意味し、架橋構
造体のウレタンエラストマーを水中に分散させた自己乳
化型のウレタンエマルジョンの形態であることが好まし
い。
【0015】上記イソシアネートとしては、p−フェ
ニレンジイソシアネートや2,4−トルイレンジイソシ
アネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、トリイソシアネート、キリレンジイソシアネート、
ナフタリン1,5−ジイソシアネート、ポリメチレンフ
ェニルイソシアネートなどの芳香族多イソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネートやリジン・ジイソシ
アネート、キリレンジイソシアネート、水素添加トルイ
レンジイソシアネート、水素添加メチレンジイソシアネ
ート、ジシクロヘキシル・ジメチルメタンp,p−ジイ
ソシアネート、ジエチルフマレートジイソシアネートな
どの非黄変性多イソシアネートなどが例示される。特
に、耐候性への効果を考慮すると非黄変性の多イソシア
ネートが好適である。
【0016】一方、上記ポリオールとしては、エチレ
ングリコールやプロピレングリコール、ブチレングリコ
ール、ヘキサメチレングリコールなどのジオール類、
グリセリンやトリメチロールプロパン、トリメチロール
エタン、1,2,6−ヘキサントリオールなどの単一ポ
リオール型、アジピン酸やセバチン酸、マレイン酸、
ダイマー酸などのジカルボン酸にエチレングリコールや
プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリメチ
ロールプロパンなど多価アルコールを結合し末端を水酸
基としたもの、重合ラクトングリコールエステルやヒ
マシ油などのポリエステル型、エチレンオキサイドや
プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランなどのアル
キレンオキサイドを開環重合するか、またはグリセリン
やトリメチロールプロパンなどの多価アルコールに付加
したポリエ−テル型、上記のポリエステル型とポリエ
ーテル型の複合型などが例示される。特に、亜鉛系めっ
き鋼板との密着性を考慮するとエーテル型が好適であ
る。
【0017】この発明において、潤滑被膜の主剤を構成
するウレタンエラストマーは、そのガラス転移点が30
〜60℃の範囲内にあることが望ましい。一般に、樹脂
層は、プレス加工やロール成形によつて摩耗や摩擦を受
けると、該樹脂層の温度が上昇し、特に、成形時の鋼板
の押込み速度が高いほど樹脂層の温度が上昇する。本発
明にかかる潤滑被覆処理された亜鉛系めっき鋼板は、カ
セツトコンロ、パソコンの底板、OA機器などが配置さ
れるアクセスフロアー材などのようにプレス加工の形状
が複雑な厳しい用途に多く用いられるために、プレス加
工時の押込み速度が速く、樹脂層の温度上昇率が大き
い。その結果、プレス加工時の樹脂層の温度が、気温の
変化を考慮すると概ね20〜40℃の範囲となる。そこ
で、めっき鋼板のプレス加工性に大きく影響を与える潤
滑被膜の樹脂主材のガラス転移点を考慮し、本発明で
は、プレス加工時に樹脂層が最も滑り、かつ摩耗や摩擦
によって樹脂層が損傷をうけないようにするために、樹
脂がゴム状に転移する温度、即ち、ガラス転移点を、プ
レス加工時の樹脂層の温度よりもさらに5〜15℃程
度、高い温度に設定した。つまり、潤滑被膜の主剤を構
成する上記架橋構造体のウレタンエラストマーのガラス
転移点を30〜60℃の範囲内に限定することで、優れ
たプレス成型性を実現したのである。
【0018】ここで、潤滑被膜の主剤を構成するウレタ
ンエラストマーのガラス転移点が30℃未満だと、比較
的良好なプレス加工性を有するものの、加工時に樹脂層
が押しつぶされ、めっき面に傷が発生することがある。
また、被覆鋼板同士を積層するとブロッキングが生じる
ことがある。一方、ガラス転移点が60℃を超えると、
めっき面の損傷は抑制されるものの、プレス加工による
鋼板の変形や伸びに樹脂層が追随できず、樹脂層に微細
な割れや剥離などが生じることがある。いずれの場合に
おいても、めっき面の露出や損傷によつて、亜鉛系めっ
き鋼板の耐食性などの低下を招き、商品価値をなくすこ
とから、本発明にかかる架橋構造体のウレタンエラスト
マーのガラス転移点は30〜60℃の範囲内にあること
が好ましい。
【0019】本発明ではプレス加工性を高めるための潤
滑剤として、ワツクスあるいは熱可塑性樹脂の微粒子を
用いる。かかるワツクスあるいは熱可塑性樹脂粒子は、
架橋構造体のウレタンエラストマーのガラス転移点より
も高い融点あるいは軟化点を有し、該樹脂とは完全には
溶融せず、樹脂層上部に分散して介在するものが好適で
ある。ワツクスあるいは熱可塑性樹脂粒子の融点あるい
は軟化点が該樹脂のガラス転移点よりも低いと、被膜形
成時にワツクスあるいは熱可塑性樹脂粒子が該樹脂中内
部に溶解し取り込まれるために潤滑性が低下し、プレス
加工時に被膜剥離や加工部のめっき鋼板が切断しやすく
なるためである。また、上記粒子の形状は好ましくは球
状であるが、偏平状、鱗片状などの不定形のものであっ
てもよい。粒子の平均粒子径は1〜4μmの範囲である
ことが好ましい。平均粒子径が1μm未満の場合には、
プレス加工時の滑り性の向上が小さくなる。これに対し
て、平均粒子径が4μm以上では滑りすぎて作業時に危
険性が増大する。
【0020】ワツクスあるいは熱可塑性樹脂は、上述し
たように、ウレタンエラストマーのガラス転移点よりも
高い融点あるいは軟化点を有するものであればいかなる
ものでも使用可能である。例えば、ポリエチレンなど
のポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、各種エンジ
ニアリングプラスチックス、カルナウバ蝋などの各種天
然あるいは合成ワックス、ステアリン酸、オレフィン
酸、ベヘニン酸、モンタン酸などの脂肪酸やそれらのエ
ステル類、N,N′−エチレンビス(ステアルアミ
ド)などのアミド類、プロピオン酸セルローストリエ
ステルなどのセルロース類、ステアリン酸リチウム、
ステアリン酸バリウム、オレイン酸亜鉛などの金属石鹸
などが例示される。ただし、潤滑性への効果を考慮する
と、ワックスあるいは熱可塑性樹脂は結晶性のものが好
適である。そして、これらは潤滑被覆樹脂層の表層にそ
の一部が露出していることが好ましい。
【0021】ワックスあるいは熱可塑性樹脂の添加量
は、潤滑被覆樹脂すなわち架橋構造体のウレタンエラス
トマー中に0.5〜10重量%の範囲、好ましくは1〜
7重量%の範囲が好ましい。添加量が0.5重量%未満
の場合には、最大動摩擦係数が0.1以上となり、高速
連続プレス加工時の潤滑性が不足し加工部のめっき鋼板
が切断する場合がある。それに対して、7重量%以上の
場合では、最大動摩擦係数が0.05以下となり、潤滑
性は格投に向上するものの、滑りすぎて作業が危険であ
る。
【0022】本発明において、架橋構造体のウレタンエ
ラストマーの層は、その被覆厚みを0.5〜10μmの
範囲内とする。この理由は、被覆厚みが0.5μm未満
では、亜鉛系めっき鋼板表面の凹凸に起因して、均−な
膜厚で被覆することが困難になり、薄膜部において、潤
滑性や耐食性などが低い水準となり、一方、被覆厚みが
10μmを超えると、加工性、溶接性、はんだ付け性や
ブロッキング性などが低下することがあるからである。
【0023】本発明において、潤滑被膜の主剤であるウ
レタンエラストマーに対しては、非クロム型の防錆剤お
よびカップリング剤を配合する。ウレタンエラストマー
中に配合する非クロム型の防錆剤としては、モリブデン
酸で変性した塩基性縮合型リン酸アルミニウム、即ちリ
ンモリブデン酸アルミニウムが使用できる。非クロム型
防錆剤の含有量は、架橋構造体のウレタンエラストマー
100重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは5
〜35重量部の範囲内とすることが好ましい。この理由
は、非クロム型の防錆剤の含有量が50重量部を超える
と、上塗り時の鋼板との密着性が低下したり、混合液が
不安定で長期安定性に欠けるためである。−方、1重量
部以下の少量では耐食性を満足することができないから
である。
【0024】また本発明では、後塗装での上塗り塗装時
の鋼板との密着性を強化するために、シランカップリン
グ剤を用いる。そのシランカップリング剤としては、官
能基がビニル、エポキシ、メタクリロキシ、アミノ、メ
ルカプトなどのものが用いられるが、特に、エポキシ基
を付加したγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなど
が上塗り塗装後の鋼板との密着性向上に好適である。シ
ランカアツプリング剤の含有量は、架橋構造体のウレタ
ンエラストマー100重量部に対して、1〜30重量
部、好ましくは3〜20重量部の範囲内とすることが好
ましい。この理由は、シランカップリング剤の含有量が
30重量部を超えると、混合液が不安定でゲル化しやす
くなり、含有量が1重量部以下では上塗り塗装後の鋼板
との密着性が充分得られないためである。
【0025】以下、本発明の潤滑被覆処理された亜鉛系
めっき鋼板の製造方法を説明する。まず、必須成分であ
る架橋構造体ウレタンエラストマーのエマルジョン塗料
中に、ワックス、シランカップリング剤およびリンモリ
ブデン酸アルミニウム系の防錆剤を配合したエマルジョ
ン塗料を調整する。次いで、このエマルジョン塗料を亜
鉛めっき鋼板の両表面に塗布し、乾燥し、焼付けを施す
ことにより造膜することで、前記亜鉛めっき鋼板の両表
面に非クロム型の潤滑樹脂層を被覆形成する。なお、め
っき鋼板表面への塗料の塗布は、浸漬やスプレー、ハケ
塗り、ロールコーター、フローコーターなど従来既知の
方法が使用できる。
【0026】このようにして得られる上記非クロム型の
潤滑被覆樹脂層には、発明の目的を損なわない範囲内
で、他の樹脂やフィラー、界面活性剤、消泡剤などを配
合することができる。また、従来、塗料用の添加剤とし
て慣用されている添加成分、例えば、チタン白や酸化
鉄、カーボンブラックなどの着色顔料、炭酸カルシウム
などの体質顔料、紫外線吸収剤、擦り傷防止剤、防カビ
剤、抗菌剤、酸化防止剤、帯電防止剤などを添加するこ
とができる。また、上記潤滑被覆樹脂層を得るための塗
料には、公知の添加剤として、レベリング剤や消泡剤、
分散剤、はじき防止剤、色別れ防止剤、沈殿防止剤、界
面活性剤などを必要に応じて配合することもできる。
【0027】
【実施例】実施例1 亜鉛めっき鋼板(板厚:0.5mm,目付:Z12)の
両面に、表1に示す成分組成を有する非クロム型の潤滑
被覆樹脂を含む塗料を塗布、乾燥して各種の非クロム型
の潤滑被覆処理された亜鉛系めっき鋼板を得た。このよ
うにして非クロム型の潤滑被覆処理された鋼板に関し、
下記の各種性能試験を行ない、その結果を表1に示し
た。
【0028】[耐食性]JIS−Z2371に準拠し
て、5%食塩水、温度35℃で240時間の塩水噴霧試
験をおこない、試験後の白錆発生状態を以下の基準で評
価した。 ○:全く異常なし △:一部に白錆発生 ×:全域に白錆発生 [耐黒変性]ビードドロー深絞り試験機にて最大深さ1
5mmの試験片を、蒸留水を張つたデシケーター中に重
ね合わせ、50℃で24時間暴露し、塗布表面の変色度
合いを以下の基準で評価した。 ○:全く異常なし △:ダイス接触部の一部に黒点が見られる ×:ダイス接触部の全面に黒点が見られる。 [プレス加工試験]潤滑被覆処理された亜鉛系めっき鋼
板(500×500mm)に34個の直径62mm,深
さ25mmの半円状加工を含んだ高速連続プレス加工
(油圧プレス、加圧力200トン、加工速度200mm
/秒)をおこない加工後のめっき鋼板のワレ状態を観察
した。 ○:全く異常なし △:ワレが1ケ所 ×:ワレが5ケ所以上 [ロール成形試験]潤滑被覆処理された鋼板を加工速度
毎分30m相当でロール成形し、直角に折り曲げられた
部分について以下の試験をおこなつた。 ○:全く以上なし △:折り曲げ部の−部にメタルマーク発生 ×:折り曲げ部の全域にメタルマーク発生 [動摩擦係数]多機能摺動試験機(荷重200kgf,
速度20mm/秒、金型:平金型)により、平板の動摩
擦係数(μ)を求めた。 [上塗り塗料との密着性試験]試験片にウレタンアクリ
ル系常温乾燥型塗料(レタンPG−60,関西ペイント
製)を膜厚が50μmになるように塗布し、室温で72
時間乾燥させた後に、沸騰水中に2時間潰漬させた後の
碁盤目セロテープ(登録商標)剥離試験をおこなつた。 ◎:全く異常なし ○:碁盤目剥離後の残存個数が90個以上 △:碁盤目剥離後の残存個数が60〜89個 ×:碁盤目剥離後の残存個数が60個以下
【0029】実施例2 素材を55%AlZnめっき鋼板(板厚:0.5mm、
目付:AZ150)にする以外は実施例1と同様の成分
組成を有する潤滑被覆樹脂を含む塗料を塗布、乾燥し
て、上掲の各種性能試験を行ない、その結果を表1に示
した。
【0030】
【表1】
【0031】表1に示した結果から明らかなように、本
発明に係る非クロム型の潤滑被覆処理された亜鉛系めっ
き鋼板は、ウレタンエラストマーの自己乳化型エマルジ
ョンに、特定のワックス、リンモリブデン酸アルミニウ
ムおよびシランカップリング剤を適正量で配合すること
により、最大動摩擦係数が適正で、高速連続プレス加工
性やロール成形性に優れ、耐食性、耐黒変性、上塗り塗
装性などの諸性能をも満足するものであることが確かめ
られた。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、有
毒なクロム化合物を用いなくても適正な最大摩擦係数を
有することから、プレス加工性やロール成形性に優れる
のはもちろんのこと、加工後の表面外観や耐食性、耐黒
変性、上塗り性にも優れる非クロム型の潤滑被覆処理さ
れた亜鉛系めっき鋼板を提供することができる。従っ
て、亜鉛系めっき鋼板の特徴を生かした、環境にやさし
いカセットコンロ、パソコンの底板、建材、OA機器な
どのアクセスフロアー分野をはじめ家電、建材分野に用
いられる素材として有利に用いることが可能になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 191/06 C09D 191/06 C10M 139/00 C10M 139/00 Z 139/04 139/04 149/14 149/14 // C10N 10:12 C10N 10:12 40:24 40:24 Z Fターム(参考) 4D075 BB92Z CA09 CA13 CA33 CB04 DA06 DB05 DC01 DC05 DC11 DC18 DC38 DC41 EA13 EA37 EB07 EB13 EB16 EB22 EB35 EB38 EB43 EB51 EB53 EB56 EC07 EC15 EC45 EC54 4F100 AA04B AA04C AB03A AB18A AH06B AH06C AK51B AK51C AL09B AL09C BA02 BA03 BA10B BA10C BA25B BA25C CA14B CA14C EH71A JA05B JA05C JB02 JK16B JK16C YY00B YY00C 4H104 AA20C BJ02C CE13C EA04C FA03 FA06 LA06 PA23 PA34 QA12 4J038 BA212 DG001 DG051 DG111 DG131 DG271 DG281 HA246 JC30 JC32 JC35 JC36 KA05 MA13 NA03 PC02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛系めっき鋼板の少なくとも−方の表
    面に、被膜形成主剤であるウレタンエラストマー:10
    0重量部と、リンモリブデン酸アルミニウム系防錆剤:
    1〜50重量部、シランカップリング剤:1〜30重量
    部、潤滑剤:0.5〜10重量部の配合に係る潤滑被膜
    を形成してなる非クロム型潤滑被覆処理亜鉛系めっき鋼
    板。
  2. 【請求項2】 前記ウレタンエラストマーは、架橋構造
    体であって、そのガラス転移点が30〜60℃の範囲に
    あることを特徴とする請求項1に記載の亜鉛系めっき鋼
    板。
  3. 【請求項3】 前記潤滑被膜は0.5〜10μmの厚み
    であることを特徴とする請求項1に記載の亜鉛系めっき
    鋼板。
  4. 【請求項4】 前記潤滑被膜は、最大動摩擦係数が0.
    05〜0.10の範囲であることを特徴とする請求項1
    に記載の亜鉛系めっき鋼板。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008036588A (ja) * 2006-08-09 2008-02-21 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 熱交換機用アルミニウムフィン材及びそれを用いた熱交換器
JP2010228223A (ja) * 2009-03-26 2010-10-14 Kobe Steel Ltd 樹脂塗装金属板
KR101736552B1 (ko) * 2014-12-01 2017-05-30 주식회사 포스코 벤딩가공 후 내식성이 우수한 코팅 조성물 및 이를 이용한 코팅강판

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