JP2002220618A - 溶接性に優れた清浄鋼の製造方法及び清浄鋼 - Google Patents

溶接性に優れた清浄鋼の製造方法及び清浄鋼

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JP2002220618A JP2001020155A JP2001020155A JP2002220618A JP 2002220618 A JP2002220618 A JP 2002220618A JP 2001020155 A JP2001020155 A JP 2001020155A JP 2001020155 A JP2001020155 A JP 2001020155A JP 2002220618 A JP2002220618 A JP 2002220618A
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浩司 岩永
Katsushige Nishiguchi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Ca添加による清浄鋼の製造方法及び清浄鋼
において、鋼の機械的特性を低下させることなく溶接性
に優れた清浄鋼の製造方法及び清浄鋼を提供する。 【解決手段】 本発明の製造方法は、Ca添加による清
浄鋼を製造する方法において、溶鋼中に残存しているC
a成分を減圧除去する工程を付加することを特徴とす
る。また、本発明の清浄鋼は、Ca添加による清浄鋼に
おいて、鋼中のCa含有量が、0.0008%以下に抑
制されたものであることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Ca添加による清
浄鋼の製造方法及び清浄鋼に関するものであり、より詳
しくは、溶鋼の精錬工程において、Ca添加による介在
物の処理を行なった後、溶鋼中に残存するCa成分を減
圧除去する工程を付加することを特徴とする溶接性に優
れた清浄鋼の製造方法及び清浄鋼に関するものである。
本発明の清浄鋼は、溶接性に極めて優れているので、特
に半導体製造装置、理化学機器、医療機器などの用途に
好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】鋼中に存在する介在物は、鋼の機械的特
性に著しい影響を及ぼすことが知られている。例えば、
介在物が存在する鋼を圧延加工すると、鋼と介在物の変
形が異なるために、介在物周辺にボイドを生じる。鋼に
負荷がかかった場合には、このボイドを起点とする割れ
が発生しやすくなるので、鋼の機械的特性が低下しやす
い。特に介在物が不均一に、或いは大型の介在物が存在
する場合には、この様な問題が生じやすく、鋼中の介在
物を分離除去すること、また鋼中に存在する介在物を微
小かつ均一に分散させることは、溶鋼精錬において重要
な課題である。このような介在物の処理を行なった鋼
は、一般に清浄鋼として知られている。
【0003】前記介在物を処理する方法として、溶鋼中
にCaを添加することが知られている。具体的には、溶
鋼中にCaを添加することにより、介在物をCaO複合
酸化物として、アルゴンガスを吹込みながら介在物を浮
上除去する処理である。この方法によれば、Al23
様な介在物は、Caの添加によってカルシウムアルミネ
ート系複合酸化物(mCaO・nAl23、m,nは自
然数)に変化し、アルゴンガスを吹込みながら溶鋼中か
ら浮上除去される。
【0004】また、Ca添加のさらなる目的は、前記方
法によっては除去されずに鋼中に残存する介在物を低融
点化するためである。低融点化した介在物は、圧延や伸
線の工程で変形しやすく、介在物周辺にボイドが発生し
にくくなる。その結果、鋼の機械的特性の低下が少なく
なるからである。
【0005】ところが、Ca添加による清浄鋼の製造方
法においては、介在物の処理をするために、溶鋼中に数
十〜数百ppmもの多量のCaを添加しなければならな
い。数十ppm以上のCaを添加しなければ、介在物の
処理が不十分なために、鋼の機械的特性が低下するから
である。そして、この様な多量のCaの添加は、鋼材の
発錆を招く原因になっている。
【0006】そこで従来より、Ca添加による介在物の
処理方法が種々提案されている。
【0007】例えば、特開平11−199917号公報
には、脱炭及び脱酸精錬した後に、CaとREMとを複
合添加し、溶鋼中のCaとREMとの合計濃度を0.0
001から0.0015重量%に調整することを特徴と
するステンレス鋼の精錬方法が開示されている。この方
法は、REMとCaとを複合添加することによりCa単
独添加による欠陥を補うものであり、溶鋼にREMを必
ず添加するものである。
【0008】また、特開平7−3404号公報には、C
aとMgの合計含有量が0.001〜0.01重量%で
ある清浄度と溶接性に優れたオーステナイト系ステンレ
ス鋼が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、Ca添
加により清浄鋼を製造するにあたり、特開平11−19
9917号公報の如く溶鋼中にREM等の特別な元素を
添加しなくとも効率良く清浄鋼を製造することができな
いかを検討した。その検討過程において、本発明者ら
は、介在物を処理するために添加したCa成分が鋼中に
高濃度残存すると溶接性に悪影響を及ぼすことを見出し
た。特に、ステンレス鋼の場合には、溶接時のビード形
状が不安定となるために好ましくない。ところが、従来
の如くCaを一旦添加した後、アルゴンガスの様な不活
性ガスを吹込みながら溶鋼を撹拌し、Ca成分を浮上除
去する様な不純物の除去方法を施しただけでは、鋼中に
残存しているCa成分を十分に除去することができず、
溶接性を改善することは困難であることが分かった。
【0010】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、Ca添加による清浄鋼の製造方法
において、鋼中に残存しているCa成分を除去し、溶接
性に優れる清浄鋼を製造する方法及びCa濃度が著しく
低減された溶接性に優れる清浄鋼を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決すること
のできた本発明の方法とは、Ca添加による清浄鋼を製
造する方法において、溶鋼中に残存するCa成分を減圧
除去する工程を付加するところに要旨を有する。また、
本発明の製造方法によれば、鋼中のCaの含有量を溶接
性に悪影響を及ぼさないレベルにまで低減することが可
能であり、特に0.0008%以下にまで抑制すること
ができる。前記製造方法は、特にステンレス鋼の製造方
法として有用である。
【0012】また、前記課題を解決することのできた本
発明の溶接性に優れた清浄鋼とは、Ca添加による清浄
鋼において、鋼中のCa含有量が、0.0008%以下
であるところに要旨を有する。
【0013】
【発明の実施の形態】上述した様に本発明の製造方法
は、Ca添加による清浄鋼を製造するにあたり、特別の
元素を添加しなくとも、鋼の溶鋼精錬においてCaを添
加し、介在物の処理を行なった後に、溶鋼中のCa成分
を減圧除去する工程を付加することにより、Caの低減
された鋼を効率良く製造する方法を提供し得た点に特徴
を有するものである。まず、本発明の製造方法について
説明する。
【0014】本発明では、鋼の溶鋼精錬においてCaを
一旦添加し、介在物の処理をする。前記溶鋼精錬法とし
ては、特に制限されず、例えば、転炉処理した溶銑を取
鍋で精錬する取鍋精錬方法や、電気炉により溶解した鋼
を精錬する電気精錬等の方法が挙げられ、詳細には、硫
黄、りんなどの除去処理工程、炭素、窒素、水素などの
除去処理工程、溶鋼中の酸素を除去する脱酸工程、他の
合金成分を添加する工程等が包含される。
【0015】本発明においては、これらの工程とともに
またはこれらの工程の後、造塊前に、溶鋼中にCaを添
加し、介在物の処理を一旦行なう。Ca添加により介在
物をCaO複合酸化物として除去し、除去しきれなかっ
た介在物を低融点化するためである。特に脱酸工程にお
いて発生し、除去できなかった介在物を制御するという
点から、脱酸工程の後にCaを添加し、介在物の処理を
行なうことが好ましい。
【0016】本発明の製造方法において、介在物を処理
するために添加される前記Caの形態は、Ca単体に限
定されず、例えば、Caと鉄との混合物;鉄に固溶する
元素と合金化したCa合金;製鋼温度で解離する化合物
(CaC2,CaCN2,CaCl2)等が挙げられ、特
に鉄に固溶する元素と合金化したCa合金が好ましい。
前記Ca合金は、鋼への相溶性が高いので介在物を効率
的に処理することができるからである。前記「鉄に固溶
する元素と合金化したCa合金」としては、例えば、C
aAl、CaSi等が挙げられる。尚、溶鋼中にCaを
添加する方法は、特に限定されず、インジェクション
法、合金弾発射法(SCAT法)、ワイヤーフィード法
などが挙げられる。溶鋼に簡便に添加できるという点か
ら、ワイヤーフィード法が好ましく、詳細にはCaAl
ワイヤー、CaSiワイヤー或いは鉄被覆CaAlワイ
ヤー、鉄被覆CaSiワイヤーなどを使用することが好
ましい。
【0017】溶鋼中へのCaの添加量は、特に限定され
ないが、Ca成分換算で、好ましくは0.0010%以
上、より好ましくは0.0015%以上、0.0035
%以下である。Ca成分が0.0010%未満であると
介在物を処理する効果が少なく、最終的な鋼の機械的特
性の低下を防止することができないからである。また
0.0035%を超えると、Ca成分が多すぎるので、
かえって鋼の清浄度が低下するからである。
【0018】本発明は、この様にしてCa添加による介
在物の処理を行なった後に、溶鋼中に残存するCa成分
を減圧除去する工程を付加するものである。不活性ガス
を吹込みながらCa成分を浮上除去するだけでは、溶鋼
中のCa成分を十分に除去することができず、鋼中にC
a成分が残存すると溶接性が低下するからである。ここ
で、Ca成分とは、例えば、溶鋼中の酸素と反応し生成
した酸化物(CaO);介在物との複合酸化物(mCa
O・nAl23、m、nは自然数);鉄に固溶している
Ca単体等の形態のCa成分である。ちなみに、溶鋼中
のCa成分除去を目的として、不活性ガスを吹きこみつ
つ撹拌したり、撹拌流量を制御するなどの方法を種々試
みたが、満足のいく結果は得られなかった。
【0019】ここで、溶鋼中のCa成分を減圧除去する
具体的方法は、特に限定されず、例えば、還流式取鍋真
空脱ガス法(RH法)、真空酸素上吹き脱炭法(VOD
法)等の装置を用いて実施することができる。また前記
減圧除去は、溶鋼中にアルゴンの様な不活性ガスを吹き
込み、溶鋼を撹拌しながら実施することが好ましい。溶
鋼を撹拌すると、溶鋼中でCaと酸素との反応によるC
aOの生成が促進されるので、CaO成分を溶鋼中から
浮上分離しやすくなるからである。
【0020】本発明の方法を一層明らかにする目的で、
以下に、前記減圧手段として、VOD法装置(図1)を
用いる方法を代表的にとりあげて説明する。勿論、本発
明に用いられる減圧除去手段はこれに限定されるもので
はない。
【0021】図中、1は、溶鋼の温度を測定し、サンプ
リングをするための装置であり、2は、必要に応じて溶
鋼に他の合金成分を添加するための合金ホッパである。
減圧装置カバー3及び減圧装置底部6は、減圧部を構成
し、Ca添加により介在物の処理をした溶鋼の入った取
鍋5が設置され、減圧ライン7によって、溶鋼中のCa
成分を減圧除去する。4は、取鍋5内部の溶鋼に不活性
ガスを導入するための不活性ガス導入口であり、不活性
ガスを吹きこむことにより溶鋼を撹拌しながら、溶鋼中
のCa成分を減圧除去することが好ましい。
【0022】前記減圧除去の条件は、溶鋼中に残存する
Ca成分が溶接性に悪影響を及ぼさないレベルにまで低
減し得る様、適宜、好適な条件を設定すれば良いが、推
奨される条件として133Pa以下で5〜20分間、好
ましくは133Pa以下で10〜15分間実施すればよ
い。減圧度が133Paを超えると、溶鋼中のCa成分を
除去するのに長時間要するので好ましくない。前記減圧
除去により溶鋼中のCaが著しく低減される理由は、詳
細には不明であるが、Ca成分が溶鋼中から浮上分離し
やすくなるからと考えられる。
【0023】また、前記不活性ガスとしては、アルゴン
ガス、窒素ガス、一酸化炭素ガスなどが挙げられ、好ま
しくはアルゴンガスである。なお、前記方法では、溶鋼
を撹拌しながらCa成分の減圧除去をすることが推奨さ
れるが、前記不活性ガスを20〜40(l/min、標
準状態)の流量で吹込むことによって撹拌を行なうこと
が好ましい。
【0024】前記減圧除去工程は、Ca処理を施す鋼の
溶鋼精錬において、上述の如くCa添加後に施せば良
く、例えば、溶鋼精錬処理中若しくは溶鋼精錬処理後
に、前記減圧除去工程を付与すれば良いが、最終調整合
金鋼からのCa混入による悪影響を回避することを目的
として、溶鋼精錬処理の最終段階(造塊前)に、前記減
圧除去工程を付与することが推奨される。
【0025】本発明においては、前記減圧除去により鋼
中のCa含有量を0.0008%以下にすることが好ま
しい。減圧除去後のCa含有量が0.0008%を超え
ると、最終的に得られる鋼の溶接性が低下するからであ
る。特にステンレス鋼の場合には、溶接性の低下が著し
い。
【0026】本発明の方法は、Ca添加による清浄鋼の
製造方法において介在物の処理を行なった後に、前記減
圧除去工程を付加したところに特徴があるのであって、
その他の工程については特に制限されず、通常の製造条
件を適宜選択することができる。本発明の製造方法によ
って得られる鋼は、鋼中のCa含有量が0.0008%
以下まで低減されており、溶接性に優れている。しかも
介在物の形態も適切に制御されているので、清浄性及び
溶接性の双方に優れたものが得られ、それ自体新規であ
る。すなわち、Ca添加による清浄鋼において、鋼中の
Ca含有量が0.0008%以下(0%を含む)に低減
された清浄鋼は、従来知られていない。
【0027】例えば、特開平7−3404号公報に開示
されている様なオーステナイト系ステンレス鋼は、Ca
を含有する清浄鋼ではあるが、B及びNの添加量を限定
することにより溶接性を改善させる点で、Ca添加によ
り介在物の処理をして清浄性を高め、鋼中のCaを低減
することにより溶接性を向上させた本発明とは、課題達
成のための技術的思想が相違するものである。また、実
際のところ、前記公報のオーステナイト系ステンレス鋼
のCa濃度は、12〜42ppmと本発明の製造方法で
得られる鋼に比べて高いものである。従って、本発明の
技術分野、特にステンレス鋼の分野において、鋼中のC
a含有量が0.0008%以下にまで低減された清浄鋼
は、それ自体新規であると考えられる。なお、Ca含有
量は、少なければ少ないほど好ましく、0.0008%
以下、より好ましくは0.0005%以下に抑制するこ
とが推奨され、本発明では0%も含み得る。
【0028】なお、本発明は、減圧除去によりCa含有
量を低減させたところに特徴があり、本発明における鋼
中のCa成分以外の化学成分は、特に制限されないが、
好ましい態様は以下の通りである。
【0029】C:0.2%以下である(0%を含まな
い)。Cは、炭化物を形成して強度を向上するのに有用
な元素である。ただし、0.2%を超えて添加するとC
rと結合し、耐食性に悪影響を及ぼすので、0.2%以
下に制御することが推奨される。
【0030】Si:2%以下とする(0%を含まな
い)。Siは、脱散剤として添加される元素である。た
だし、2%を超えて添加すると脆化を助長するので、2
%以下に制御することが推奨される。
【0031】Mn:2%以下である(0%を含まな
い)。Mnは、Siと同様脱酸剤として添加される元素
であり、2%以下に制御することが好ましい。2%を超
えて添加すると脆化を助長するからである。
【0032】以上は、本発明の基本成分であり、残部
は、Fe及び不可避不純物である。また、本発明の効果
を損なわない範囲で、他の化学成分を用いることがで
き、さらなる特性付与を目指して下記成分を積極的に添
加したり、或いは悪影響を回避する目的で下記成分を制
御することが推奨される。
【0033】P及びSは、不純物として存在し、耐熱間
加工割れ性を劣化させる元素である。そのため、P及び
Sの含有量は、低いことが好ましく、それぞれP:0.
03%以下、S:0.025%以下とする。
【0034】本発明における鋼のCa以外の化学成分
は、より好ましくは、ステンレス鋼の化学成分組成であ
る。ステンレス鋼の場合に、鋼中に残存するCa成分に
よる溶接性の低下が顕著であり、Ca成分の除去による
溶接性の改善効果が大きいからである。
【0035】前記ステンレス鋼としては、Crを12〜
30%、好ましくは15〜20%含有する鋼であれば、
特に限定されず、例えば、オーステナイト系ステンレス
鋼、オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼、フェ
ライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス
鋼、析出硬化系ステンレス鋼が挙げられる。前記オース
テナイト系ステンレス鋼としては、例えばSUS30
1,SUS302,SUS303,SUS303e,S
US304,SUS304L,SUS304N1,SU
S304N2,SUS304LN,SUS305,SU
S309S,SUS310S,SUS316,SUS3
16L,SUS316N,SUS316LN,SUS3
16J1,SUS316J1L,SUS317,SUS
317S,SUS317J1,SUS321,SUS3
47,SUSXM7,SUSXM15J1等のJIS規
格に定める組成を有するステンレス鋼がある。前記オー
ステナイト・フェライト系ステンレス鋼としては、例え
ば、SUS329J1のJIS規格に定める組成を有す
るステンレス鋼がある。前記フェライト系ステンレス鋼
としては、SUS405,SUS410L,SUS43
0,SUS430F,SUS434,SUS447J
1,SUSXM27等のJIS規格に定める組成を有す
るステンレス鋼がある。前記マルテンサイト系ステンレ
ス鋼としては、SUS403,SUS410,SUS4
10J1,SUS416,SUS420J1,SUS4
20J2,SUS420F,SUS431,SUS44
0A,SUS440B,SUS440C,SUS440
FなどのJIS規格に定める組成を有するステンレス鋼
がある。前記析出硬化系ステンレス鋼としては、SUS
630,SUS631等のJIS規格に定める組成を有
するステンレス鋼がある。
【0036】本発明では、SUS316系、SUS31
7系、SUS321系、SUS347系等のオーステナ
イト系ステンレス鋼の化学成分組成を有することが特に
好ましい。前記ステンレス鋼は、腐食環境で用いられる
場合が多いので、特に清浄性が要求されるからである。
【0037】
【実施例】[試験鋼の作製] 実施例1〜7 転炉処理を終えた溶鋼を取鍋にとりだし、減圧下で、カ
ーボン脱酸、硫黄成分の除去、酸素、窒素などの脱ガス
処理を行なった後、Caを0.0025%溶鋼中に添加
し、介在物の処理を行った。次いで、表1に示す各合金
成分を加えて成分調整を行った後、133.3Pa以下の
減圧下10分間、溶鋼中に残存しているCa成分を減圧
除去した。得られた溶鋼から、溶接試験用の試験片を作
製した。
【0038】比較例1〜9 溶鋼中のCa成分を減圧除去しなかったこと以外は、実
施例1〜7と同様の方法で鋼を製造した。得られた溶鋼
から、溶接試験用の試験片を作製した。
【0039】[合金成分分析]得られた鋼の合金成分の分
析結果を表1に示した。
【0040】[溶接性試験]得られた試験片についてTIG
溶接を実施し、そのビード形状の安定性(ふらつき)に
ついて評価を行なった。結果を表1に示した。
【0041】
【表1】
【0042】表1より、Ca成分を減圧除去する本発明
の製造方法を用いた鋼は、Ca含有量が0.0008%
以下に低減されており、溶接性にも優れていることが分
かる。なお、表には示していないが、本発明鋼は介在物
の形態も好ましく制御されており、清浄性に優れている
ことを確認している。
【0043】これに対し、比較鋼のCa含有量はいずれ
も、0.0008%を超え、ビード形状が不安定で溶接
性が不良であった。この結果より、アルゴンガスを吹込
みながらCa成分を浮上除去するだけの方法では、溶接
性を改善できる0.0008%以下までCa含有量を低
減することができないことが明らかとなった。
【0044】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、介在物処理
のために添加したCa成分を0.0008%以下まで安
定して抑制することができ、その結果、清浄性はもちろ
んのこと、溶接性にも優れた鋼を提供することができ
た。特に本発明の製造方法により、溶接時のビード形状
が良好な清浄鋼が得られるので、とりわけステンレス鋼
を製造するのに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶鋼中のCa成分を減圧除去する装置(VOD)
を示す模式図である。
【符号の説明】
1:温度測定及びサンプリング装置 2:合金ホッパ 3:減圧装置カバー 4:アルゴンガス導入口 5:取鍋 6:減圧装置容器部 7:減圧ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K013 AA02 AA07 BA01 BA05 BA08 BA11 BA14 CA01 CA02 CA05 CA11 CB01 CB02 CB04 CC02 CE01 CE05 DA03 DA08 DA12 DA13 EA07 EA16 EA18 EA25 FA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ca添加による清浄鋼を製造する方法に
    おいて、溶鋼中に残存するCa成分を減圧除去する工程
    を付加することを特徴とする溶接性に優れた清浄鋼の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記清浄鋼中のCa含有量は、0.00
    08%(質量%の意味、以下同じ)以下に抑制されたも
    のである請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記製造方法は、ステンレス鋼の製造に
    用いるものである請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 Ca添加による清浄鋼において、鋼中の
    Ca含有量は、0.0008%以下に抑制されたもので
    あることを特徴とする溶接性に優れた清浄鋼。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7208695B2 (en) 2003-03-31 2007-04-24 Taiyo Nippon Sanso Corporation Welding shield gas and welding method
JP2009235550A (ja) * 2008-03-28 2009-10-15 Sanyo Special Steel Co Ltd 高s系ステンレス鋼のrh脱ガス処理における脱窒抑制方法

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