JP2002220541A - 樹脂組成物、及び該樹脂組成物を用いて成る成形物 - Google Patents

樹脂組成物、及び該樹脂組成物を用いて成る成形物

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JP2002220541A
JP2002220541A JP2001019363A JP2001019363A JP2002220541A JP 2002220541 A JP2002220541 A JP 2002220541A JP 2001019363 A JP2001019363 A JP 2001019363A JP 2001019363 A JP2001019363 A JP 2001019363A JP 2002220541 A JP2002220541 A JP 2002220541A
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JP2001019363A
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Tsukasa Iguchi
司 井口
Seiji Sawada
誠司 澤田
Nobuyuki Uchida
信幸 内田
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工成型時に気泡のような空隙、特にフィル
ム成型時に発泡やブツ凝集やボイド、粒子脱落等の発生
が抑制され、生分解性樹脂の混練時に起こりやすい樹脂
劣化が改善された樹脂組成物を提供することである。 【解決手段】 シリカ、ゼオライト、アルミナまたは酸
化鉄から選ばれる無機粒子の表面を多価アルコールで被
覆してなる表面処理無機粒子と生分解性樹脂とを含有す
ることを特徴とする樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表面処理無機粒子と
生分解性樹脂を含む樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維、フィルム用途、包装用等多
くの分野で高分子材料が大量に利用されているが、近
年、合成高分子の生産量が増大するとともに、多量の廃
棄高分子の処理方法が大きな社会問題となっている。こ
のような状況の下で環境低負荷型樹脂として、生分解性
樹脂の開発が進み、廃棄物問題の効果的な解決手段とし
て期待されている。
【0003】また一般的に樹脂から成形品を得る成形工
程あるいは製品自体を取り扱う際に滑り性不良による作
業性、生産性の悪化あるいは製品価値の低下といったト
ラブルが生じることが知られている。
【0004】このような問題に対して、通常の樹脂に対
しては、樹脂中に微粒子を配合せしめて成形品の表面に
適度の凹凸を付与し、滑り性を向上させる方法が提案さ
れ、該微粒子として例えば、シリカ、二酸化チタン、炭
酸カルシウム、アルミナ、タルク、カオリナイトなどの
無機粒子が採用されている。しかし、生分解性樹脂は通
常の樹脂に比較的して熱や水分等に対する安定性が劣る
ことがあるため、粒子表面が親水性および粒子形状や粒
径が不揃いである無機粒子を用いると樹脂への分散不良
や濡れ性不良および樹脂の劣化を引き起こし、得られた
成形品中に気泡のような空隙が生じ、特に高温高速加工
されたフィルムに発泡やブツ凝集、ボイド、粒子脱落、
樹脂劣化によるフィルム色の黄変や強度低下等が生じる
ため、良好なフィルムが得られないのが現状であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、無機
粒子を多価アルコールで処理することにより、生分解性
樹脂への無機粒子の分散性や濡れ性が向上するため、加
工成型時に気泡の混入を防止し、特にフィルム成型時に
おける発泡、ブツ凝集、ボイドや粒子脱落の発生を抑制
することができ、混練時に起こりやすい樹脂劣化が改善
された樹脂組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、シリ
カ、ゼオライト、アルミナまたは酸化鉄から選ばれる無
機粒子の表面を多価アルコールで被覆してなる表面処理
無機粒子と生分解性樹脂とを含有することを特徴とする
樹脂組成物である。
【0007】更に本発明は、上記多価アルコールがトリ
メチロールプロパンまたはトリメチロールエタンから選
ばれる1種以上の多価アルコールである上記樹脂組成物
である。
【0008】更に本発明は、多価アルコールの被覆量が
無機粒子重量の0.01〜10重量%である上記樹脂組
成物である。
【0009】更に本発明は、無機粒子の形状がアスペク
ト比0.5〜1の球状粒子である上記樹脂組成物であ
る。
【0010】更に本発明は、生分解性樹脂が、ポリ乳酸
系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂およびポリブ
チレンアジペート系樹脂からなる群から選ばれる少なく
とも1種である上記樹脂組成物である。
【0011】更に本発明は、生分解性樹脂の極限粘度が
0.3〜2.7dl/gである上記樹脂組成物である。
【0012】更に本発明は、生分解性樹脂の極限粘度保
持率が40%以上である上記樹脂組成物である。
【0013】更に本発明は、無機粒子の樹脂への分散性
の指標である樹脂組成物のΔPが7000KPa以下で
ある上記樹脂組成物である。
【0014】更に本発明は、上記樹脂組成物から得られ
る成型物である。
【0015】
【発明の実施の形態】
【0016】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いる無機粒子は具体例として、シリカ、ゼオライト、
アルミナまたは酸化鉄が好適である。また、無機粒子の
形状は特に限定されないが、球状のものが好ましい。こ
こで、球状とは、アスペクト比が0.5〜1の粒子形状
をいう。すなわち、電子顕微鏡観察による短径と長径の
比(短径/長径)が0.5〜1であるものをいう。もち
ろん、滑り性等が良好なフィルムを得るためには、真球
状(短径/長径=1)であることが最も好ましい。
【0017】本発明で用いる無機粒子の平均粒子径は、
0.03〜30μmが適当であり、好ましくは0.5〜
10μmである。平均粒子径が0.03μmより小さい
場合は粒子凝集、分散不良が発生すると共にアンチブロ
ッキング効果を出す粒径としては小さすぎるため、フィ
ルムの走行性や耐摩耗性が不十分であり、30μmより
大きい場合は、フィルムの表面粗さが大きくなりすぎ、
透明性の低下、フィッシュアイの発生によるフィルムの
外観不良となる。
【0018】本発明で用いる多価アルコールは特に限定
されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,3−ブタンジオール、テトラメチレン
グリコールなどのアルキレングリコールやジエチレング
リコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリ
コール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリ
コール、ポリプロピレングリコールなどのポリオキシア
ルキレングリコールやグリセリン、トリメチロールプロ
パン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、
ソルビトール、1,2,6−ヘキサントリオール、イノ
シトール、ポリビニルアルコールなどの多価アルコール
が挙げられる。好ましくは、例えば、トリメチロールプ
ロパン、トリメチロールエタンなどが挙げられる。これ
らの多価アルコールは一種類または二種類以上混合して
使用できる。
【0019】本発明で用いられる多価アルコールは、無
機粒子重量の0.01〜10重量%添加するのが好まし
い。10重量%を越えると、樹脂組成物製造時に多価ア
ルコールそのものの分解等によって、臭気、発煙が発生
し易くなり、また製造された成形品に発泡やブツ等が生
じて好ましくない。0.01重量%未満では、無機粒子
表面への多価アルコールの量が充分でなく、無機粒子の
生分解性樹脂への分散が不良となり、上記フィルム等の
成型品として不良な物性を引き起こして好ましくない。
【0020】これらの多価アルコールで無機粒子を処理
する方法としては一般的に湿式処理法または乾式処理法
を利用することができる。湿式処理としては、溶媒中に
無機粒子と多価アルコールを加え、ヘンシェルミキサ
ー、スーパーミキサーなどの高剪断力混合機を用いて均
一に混合した後、溶媒を除去することによって表面処理
を行う。また乾式処理としては無機粒子をマイクロナイ
ザー、ジェットミルなどの流体エネルギー粉砕機で粉砕
する際に多価アルコールを添加することによって行うこ
とができ、流体としては、通常は圧縮空気、加熱圧縮空
気、スチーム等が用いられる。この時、多価アルコール
が常温で固体の場合、溶媒に溶解させた多価アルコール
溶液を上記処理工程に使用すればよく、例えば、トリメ
チロールエタンはエタノールに溶け、トリメチロールエ
タンのエタノール溶液として処理工程に使用することが
できる。
【0021】特に、表面処理後または処理中に、表面処
理無機粒子を加熱乾燥させることにより疎水性表面がよ
り強固なものとなるため、水分吸着等による含水量が大
きく低減する。このようにして得られた低含水量の表面
処理無機粒子は樹脂へ混練分散の際、樹脂劣化が抑えら
れるため、分散力や分散時間を上げられる等様々な利点
がある。
【0022】以上のようにして得られた表面処理無機粒
子は、生分解性樹脂への添加剤として用いることができ
るが、好ましくはフィルム用、なかでも延伸フィルム用
アンチブロッキング剤として用いるのが好適である。
【0023】本発明では生分解性樹脂を用いるが、通常
の樹脂と比較した生分解性樹脂の特徴を説明する。生分
解性樹脂は、従来のプラスチックの機能を有し、使用後
はコンポスト化(堆肥化)、農地への還元などにより再
利用され、最終的には紙と同様に炭酸ガスと水に分解さ
れ、自然界の炭素サイクルに組み込まれる樹脂である。
また生分解性材料は「特定の標準試験法の下で、所定時
間内にバクテリア、菌、藻類など微生物の作用によっ
て、指定された程度に分解を受ける材料」と定義されて
いる。この標準試験法としてはISO−14851、I
SO−14852、ISO−14855などで規格化さ
れており、生物化学的酸素消費量、理論的二酸化炭素発
生量(プラスチック構成元素がすべて二酸化炭素と水に
分解したときの量)に対する発生二酸化炭素量の比率な
どから評価されている。生分解度60%以上のプラスチ
ックが生分解性プラスチックと判定され、ブレンド物の
場合は90%という基準が設けられている。
【0024】本発明で使用する生分解性樹脂は、それぞ
れ従来公知の生分解性樹脂である。例えば、ポリヒドロ
キシブチレートやポリヒドロキシバリレートなどのポリ
ヒドロキシアルカノエート系生分解性樹脂、マルトトリ
オース系生分解性樹脂、ポリカプロラクトン系生分解性
樹脂、ポリブチレンサクシネート系生分解性樹脂、ポリ
ブチレンアジペート系生分解性樹脂、ポリエチレンサク
シネート系生分解性樹脂、ポリエチレンアジペート系生
分解性樹脂、酢酸セルロース系生分解性樹脂、ポリエス
テルアミド系生分解性樹脂、酢酸ビニル系生分解性樹
脂、ポリ乳酸系生分解性樹脂、デンプン系生分解性樹
脂、ポリグルタミン酸やポリカプロラクタム等のポリア
ミド系生分解性樹脂などが挙げられる。またこれらの生
分解性樹脂の出発物質であるモノマーの幾つかを用いた
共重合体及び共重縮合体等であっても良い。またこれら
の生分解性樹脂は単独で用いてもよく2種類以上のブレ
ンド物であっても良い。
【0025】本発明で使用する市販の生分解性樹脂で
は、例えば、バイオポール(日本モンサント社製)、ビ
オグリーン(三菱ガス化学社製)、プルラン(林原社
製)、セルグリーン(ダイセル化学工業社製)、トーン
ポリマー(ユニオンカーバイド社製)、カパ(日本ソル
ベイ社製)、ビオノーレ(昭和高分子社製)、スカイグ
リーン(SKインダストリー社製(韓国))、ルナーレ
SE(日本触媒社製)、ビオステラゾル(積水化成品工
業社製)、BAK(バイエル社製)、ポバール(クラレ
社製)、Ecoflex(BASF社製)、ラクテイ
(島津製作所社製)、レイシア(三井化学社製)、エコ
プラ(カーギルダウポリマー社製)、マタービー(ノバ
モント社製)、デキソン(American Cyan
amid社製)、カリロン(Shell Chemic
al社製)、ユーペック(三菱ガス化学社製)などが挙
げられる。またこれらの生分解性樹脂は単独で用いても
よく2種類以上のブレンド物であっても良い。
【0026】上記生分解性樹脂の中でもポリ乳酸系生分
解性樹脂は結晶化度が高く疎水性であるため、高透明性
で耐湿性があり堅く、つやがあるのに加えポリエチレン
テレフタレート樹脂のようににおいを遮断する能力にも
優れている。また、ポリエチレンやポリプロピレンに比
べ、引っ張り、曲げともに強度、弾性率が高く、伸びの
小さな材料であるため、二軸延伸フィルム、容器やコー
ティング等の用途において優れており本発明に使用すれ
ば特に好適な効果を得ることができる。またポリ乳酸の
安全性については、食品中や体内に存在する乳酸を構成
モノマーとしており極めて安全性に優れる。中間産物で
あるオリゴ乳酸についても変異原生は認められず、静菌
・防黴作用があり安全性も高い。
【0027】本発明の樹脂組成物は、表面処理無機粒子
を高濃度に含有し、成形時に希釈樹脂(熱可塑性樹脂)
で希釈して成形に供されるペレット状の樹脂組成物(以
下マスターバッチという)であっても良いし、あるいは
また、表面処理無機粒子の濃度が比較的小さく、希釈樹
脂で希釈せずにそのまま成形に供されるペレット状の樹
脂組成物(以下コンパウンドという)であっても良い。
マスターバッチとコンパウンドとを比較すると、これら
を得る加工工程に大差はない。しかし、マスターバッチ
の方が表面処理無機粒子を高濃度に含有する分、コンパ
ウンドよりややコスト高である。しかしながらマスター
バッチの場合は、マスターバッチを安価な希釈樹脂で希
釈して成形品を得ることができるため、コンパウンドか
ら製造した成形品よりもマスターバッチから製造した成
形品の方が安価であり、好ましい。
【0028】表面処理無機粒子と生分解性樹脂の配合比
についてより具体的には、本発明の樹脂組成物は、表面
処理無機粒子と生分解性樹脂とを重量比で0.01/9
9.99〜80/20の割合で配合すれば良く、種々の
混合機や分散機や混練機を用いて表面処理無機粒子と生
分解性樹脂とを加熱混練すれば良い。また、本発明の樹
脂組成物は、ペレット状やフレーク状のマスターバッチ
であることが好ましい。
【0029】本発明の樹脂組成物中の生分解性樹脂の極
限粘度は、該生分解性樹脂の劣化(加水分解や熱分解な
ど)の状態を示すものである。無機粒子と生分解性樹脂
とを含有し、加熱混練して成る樹脂組成物を適当な溶媒
を用いて、樹脂組成物中の生分解性樹脂を溶解せしめ、
無機粒子を分離してなる、濃度の異なる生分解性樹脂溶
液を複数用いて、各樹脂溶液の粘度を求め、定法に従
い、粘度/濃度の値を濃度に対してプロットし、濃度0
に補外して求めた値である。極限粘度保持率とは、該樹
脂組成物中の生分解性樹脂の極限粘度の、該樹脂組成物
に用いられる生分解性樹脂(ブランク)の極限粘度に対
する比であって、係る値が大きいほど、つまり該樹脂組
成物中の生分解性樹脂の極限粘度がブランクの極限粘度
に近いほど、該樹脂組成物中の生分解性樹脂は劣化して
いない。
【0030】本発明の樹脂組成物中の生分解性樹脂の極
限粘度は、0.3から2.7dl/gであることが重要
である。樹脂組成物の製造に供される生分解性樹脂自体
の極限粘度は大きくても3.0dl/g程度であるが、
マスターバッチを製造する際の加熱混練によって程度の
差こそあれ劣化(加水分解や熱分解など)し、極限粘度
が低下する傾向にある。生分解性樹脂自体の極限粘度は
かなり大きくても、適度に劣化(加水分解や熱分解な
ど)したり、あるいは生分解性樹脂自体の極限粘度は比
較的小さくても、極限粘度が低下し難く、樹脂組成物中
の生分解性樹脂の極限粘度が上記範囲にあれば良い。即
ち、樹脂組成物中の生分解性樹脂の極限粘度が0.3d
l/g未満であるような樹脂組成物をフィルム等の成型
品に用いるとフィルム等の成型品の強度低下を引き起こ
す原因となる。一方、樹脂組成物中の生分解性樹脂の極
限粘度が2.7dl/gを越えるような樹脂組成物をフ
ィルム等の成型品に用いると樹脂組成物が、希釈樹脂中
に簡単には分散・分配し難くなり、その結果、表面処理
無機粒子を生分解性樹脂中に均一かつ速やかに分散する
ことが困難となり、フィルム等成型品の高温加工性を損
なう。従って、樹脂組成物中の生分解性樹脂は上記範囲
にあることが重要である。
【0031】本発明の樹脂組成物のΔPは、該樹脂組成
物中の生分解性樹脂への無機粒子の分散性の度合いを示
すものである。具体的には、ラボプラストミル単軸押出
機20mm(東洋精機社製)の出口の40/80/12
0/500と順次メッシュの細かくなるスクリーンを装
着し、50rpm、押出温度250℃にて、マスターバ
ッチを通過させ、通し始めた時の初期圧力(P1)を求
め、前記マスターバッチを所定量( 該マスターバッチ中
に無機粒子を100g含有する量) を通過させた時の終
了圧力(P2)を求める。分散性が不良な無機粒子は凝
集状態として生分解性樹脂中に存在し、その凝集度によ
ってはメッシュを通過することなく、メッシュに目詰ま
りを起こさせるため、圧力増加を招く。従って、この圧
力差ΔP=P2−P1が小さい程無機粒子の分散性が良
好であることを示す。なお、圧力の単位はPaである。
【0032】本発明の樹脂組成物のΔPは7000KP
a以下であることが好ましい。分散性の指標であるΔP
が7000KPa以下であれば、フィルム等成型時の樹
脂圧上昇が低いため、生産作業上のロングラン性がよ
く、またフィルム等成型品のブツ、透明性などの諸物性
が良好となるが、ΔPが7000KPaを越えるようで
は生産作業性への悪影響、成型品に外観不良等の物性不
良が起こる。
【0033】本発明の樹脂組成物はどのような成型品と
しても使用できるが、好ましくはフィルムとして使用さ
れ、中でも延伸フィルムとして好適である。延伸フィル
ムは、一軸延伸されたものでも二軸延伸されたものであ
っても良いが、アンチブロッキング剤の脱落等の問題が
より顕著に生じることから、二軸延伸フィルムにおいて
特に効果的である。
【0034】このような延伸生分解性フィルムは、上記
方法で得られる生分解性樹脂組成物(コンパウンド)、
あるいは生分解性樹脂組成物(マスターバッチ)をさら
に希釈用樹脂で希釈して得られる樹脂組成物をシート状
に成形し一軸または二軸に延伸する方法により製造され
る。
【0035】生分解性フィルム中のアンチブロッキング
剤(表面処理された無機粒子)の含有量は、0.01〜
3重量%、好ましくは0.05〜2重量%が好適であ
る。アンチブロッキング剤の含有量が0.01重量%よ
り少ない場合は、アンチブロッキング効果が得られず、
また、3重量%より多い場合はフィルムにフィッシュア
イ等が多発し、外観が不良となる。
【0036】フィルムの厚みは、一般的に10〜100
μmである。また、フィルムには、必要に応じて、酸化
防止剤、滑剤等、界面活性剤からなる帯電防止剤や防曇
剤を配合しても良い。さらに、フィルムにはコロナ処理
等を施しても良い。
【0037】
【実施例】本発明を実施例により具体的に説明するが、
本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例について説明する。
【0038】[無機粒子の表面処理法] 実施例1〜9、比較例1〜9 無機粒子をジェットミルにより粉砕(使用流体:圧縮空
気、0.3MPa)しながらトリメチロールエタンまた
はトリメチロールプロパンのアルコール溶液を添加し表
面処理無機粒子を得た。多価アルコールの無機粒子への
被覆量は表1に基づき、所定の被覆量となるように、無
機粒子の処理重量と処理剤の供給濃度または供給流量を
変化させることにより被覆量を調整した。
【0039】[マスターバッチの作成法]ポリ乳酸樹脂
50重量%、表面処理無機粒子50重量%を溶融混練機
にて、溶融混練し、ペレット状の樹脂組成物(マスター
バッチ)を得た。
【0040】得られたマスターバッチ中の生分解性樹脂
の極限粘度保持率を下記の方法に従って求めた。また、
得られたマスターバッチの分散性を評価すると共に、得
られたマスターバッチを用いて下記の方法に従いフィル
ムを作成し、その物性等を評価した。結果を表1 に示
す。
【0041】[極限粘度(η)]および[極限粘度
(η)保持率] 極限粘度(η)は、生分解性樹脂をそれぞれ0.1g、
0.3g、0.5gを含有するマスターバッチを、フェ
ノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の
混合溶媒100mlを用いて、マスターバッチ中の生分
解性樹脂を溶解し、表面処理無機粒子を遠心分離によっ
て除去した後の各生分解性樹脂溶液の30℃における粘
度を測定し、定法に従い求めた。なお、ブランクの場合
は、マスターバッチの代わりに、生分解性樹脂そのもの
を用い、遠心分離による表面処理無機粒子の除去を経な
い以外は、上記と同様にして極限粘度を求めた。極限粘
度保持率は、マスターバッチ中の生分解性樹脂の極限粘
度/ブランクの極限粘度である。
【0042】[分散性評価方法]ラボプラストミル単軸
押出機20mm(東洋精機社製)の出口の40/80/
120/500と順次メッシュの細かくなるスクリーン
を装着し、50rpm、押出温度250 ℃にて、マス
ターバッチを通過させ、通し始めた時の初期圧力(P
1)を求め、前記マスターバッチを所定量( 該マスター
バッチ中に無機粒子を100g含有する量) を通過させ
た時の終了圧力(P2)を求める。分散性が不良な無機
粒子は凝集状態として生分解性樹脂中に存在し、その凝
集度によってはメッシュを通過することなく、メッシュ
に目詰まりを起こさせるため、圧力増加を招く。従っ
て、この圧力差ΔP=P2−P1が小さい程、表面処理
無機粒子の分散性が良好であることを示す。なお圧力の
単位はPaである。
【0043】[フィルム製膜方法]得られたマスターバ
ッチ40重量部、ポリ乳酸樹脂60重量を混合し、18
0〜240℃で溶融押出し、200μmのシートを得
た。該シートを90℃で同時二軸延伸し、20μmのフ
ィルムを作成した。フィルムの製膜状態と、得られたフ
ィルムの平滑性を評価した。
【0044】[フィルムの製膜状態] ◎:全く破断なし。 ○:ほとんど破断なし。 △:ときどき破断する。 ×:頻繁に破断する。
【0045】[フィルムのブツ発生]:目視評価。 ◎:全くブツが無い。 ○:ほとんどブツが無い。 △:若干ブツが生じる。 ×:著しくブツが生じる。
【0046】
【表1】
【0047】シリカ1:球状(アスペクト比0.8
0)、平均粒径1.6μm、沈降法合成シリカ シリカ2:平均粒径2.7μm、ゲル法合成シリカ ゼオライト1:球状(アスペクト比0.94)平均粒径
5μm ゼオライト2:平均粒径4.2μm TME:トリメチロールエタン TMP:トリメチロールプロパン
【0048】
【発明の効果】 本発明により、無機粒子を多価アルコ
ールで処理することにより、無機粒子の生分解性樹脂へ
の分散性や濡れ性が向上するため、加工成型時に気泡の
ような空隙、特にフィルム成型時に発泡やブツ凝集やボ
イド、粒子脱落等の発生が抑制され、また、生分解性樹
脂の混練時に起こりやすい樹脂劣化が改善された樹脂組
成物を提供することが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA43 AA44 AB18 AB26 AD02 AE17 BA01 BB06 BB08 BC01 4J002 CF03W CF18W DE116 DE146 DJ006 DJ016 FA086 FB086 FD016

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリカ、ゼオライト、アルミナまたは酸
    化鉄から選ばれる無機粒子の表面を多価アルコールで被
    覆してなる表面処理無機粒子と生分解性樹脂とを含有す
    ることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 多価アルコールがトリメチロールプロパ
    ンまたはトリメチロールエタンから選ばれる1種以上の
    多価アルコールである請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 多価アルコールの被覆量が無機粒子重量
    の0.01〜10重量%である請求項1または2記載の
    樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 無機粒子の形状がアスペクト比0.5〜
    1の球状粒子である請求項1ないし3いずれか記載の樹
    脂組成物。
  5. 【請求項5】 生分解性樹脂が、ポリ乳酸系樹脂、ポリ
    ブチレンサクシネート系樹脂およびポリブチレンアジペ
    ート系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であ
    る請求項1ないし4いずれか記載の樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 生分解性樹脂の極限粘度が0.3〜2.
    7dl/gである請求項1ないし5いずれか記載の樹脂
    組成物。
  7. 【請求項7】 生分解性樹脂の極限粘度保持率が40%
    以上である請求項1ないし6いずれか記載の樹脂組成
    物。
  8. 【請求項8】 無機粒子の樹脂への分散性の指標である
    樹脂組成物のΔPが7000KPa以下である請求項1
    ないし7いずれか記載の樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8いずれか記載の樹脂組
    成物から得られる成型物。
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WO2013141126A1 (ja) * 2012-03-19 2013-09-26 ユニチカ株式会社 ポリ乳酸系樹脂組成物およびそれを成形してなるポリ乳酸系フィルム

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