JP2002219883A - 感熱孔版印刷原紙用フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

感熱孔版印刷原紙用フィルムおよびその製造方法

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JP2002219883A
JP2002219883A JP2001016795A JP2001016795A JP2002219883A JP 2002219883 A JP2002219883 A JP 2002219883A JP 2001016795 A JP2001016795 A JP 2001016795A JP 2001016795 A JP2001016795 A JP 2001016795A JP 2002219883 A JP2002219883 A JP 2002219883A
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film
temperature
heat
tcd
polyester
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Eiji Kinoshita
英司 木下
Shinichiro Okada
真一郎 岡田
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 文字の印刷やベタ印刷がともに鮮明であり、
印刷の太さ斑がなく、濃淡斑が出ず、皺が発生し難い、
耐久性や保存性に優れた感熱孔版印刷原紙用フィルムと
その製造方法を提供する。 【解決手段】 厚み0.2〜7μmの二軸延伸ポリエス
テルフィルムであって、融解ピーク温度(Tm)が18
0℃以上230℃以下、降温結晶化温度(Tcd)が1
20℃以上160℃以下、かつ融解ピーク温度(Tm)
と降温結晶化温度(Tcd)が下記式(1)を満足する
ことを特徴とする感熱孔版印刷原紙用フィルム。 50≦Tm−Tcd≦100 ・・・(1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は感熱孔版印刷原紙用
フィルムおよびその製造方法に関し、さらに詳しくは印
刷感度が高く、鮮明な印刷が可能で、耐久性や保存性に
優れた感熱孔版印刷原紙用フィルムおよびその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、キセノンフラッシュランプ、サー
マルヘッド、あるいはレーザー光線等のパルス照射など
による熱を受けることにより、穿孔製版される原紙を用
いた感熱孔版印刷が注目されている。この製版方法の原
理は、例えば特公昭41−7623号公報、特開昭55
−103957号公報、特開昭59−143679号公
報などに開示されている。
【0003】従来、かかる感熱孔版印刷に用いる原紙と
してフィルムと多孔性支持体とを接着剤または熱により
ラミネートしたものが使用されている。前記フィルムと
しては塩化ビニル、塩化ビニリデン共重合体フィルムや
ポリプロピレンフィルム、高結晶化ポリエチレンテレフ
タレートフィルムが使用され、多孔性支持体としては薄
葉紙やポリエステル紗などが使用されてきた。しかし、
これらには次のような欠点があった。 1)塩化ビニルや塩化ビニリデン共重合体フィルムを用
いた場合、印刷後の文字が鮮明に出ない。 2)ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムを用いた場合、文字の鮮明なものが得られるが、ベ
タ印刷(記号または図形でインキの付着面積の大きいも
の)は鮮明なものが得られない。 3)印刷部分に濃淡が出る。 4)部分的に文字の太さのムラを生じる。 5)感度が悪く、黒色のうすい文字等が出ない。 6)PET−Gのような非晶性ポリマーを単体で使用し
た場合、穿孔径が大きくなりすぎて消費されるインキ量
が多く、印刷時に本来インキののらない白地部分にまで
インキがつくことがある。
【0004】これらの欠点を解消するため、特開昭62
−149496号公報では結晶融解エネルギーの小さい
フィルムの使用が提案されている。しかし、フィルムを
製造する工程中において、ポリマーチップ乾燥時のブロ
ッキング、テンター式横延伸機のクリップヘのフィルム
エッジの粘着等の製造上の問題点があり、また穿孔時軟
化したポリマーがサーマルヘッドに付着しやすく、連続
製版した際、ポリマー付着物に起因した筋状の白抜け斑
が発生する等の印刷品質上の問題がある。これらの問題
を解決するため、例えば特許第2507612号公報に
はDSC昇温測定において二つ以上の融解ピークを示す
フィルムが提案され、実用に供されているが、高速印刷
向けのハード機器においては感熱孔版印刷原紙としての
感度が不足する場合がある。また、感熱孔版印刷原紙と
して皺が発生し易い場合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
欠点を解消し、文字の印刷やベタ印刷がともに鮮明であ
り、印刷の太さ斑がなく、濃淡斑が出ず、皺が発生し難
い、耐久性や保存性に優れた感熱孔版印刷原紙用フィル
ムとその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、厚み0.2〜7μmの二軸延伸ポリエステル
フィルムであって、融解ピーク温度(Tm)が180℃
以上230℃以下、降温結晶化温度(Tcd)が120
℃以上160℃以下、かつ融解ピーク温度(Tm)と降
温結晶化温度(Tcd)が下記式(1)を満足すること
を特徴とする感熱孔版印刷原紙用フィルムによって達成
される。 50≦Tm−Tcd≦100 ・・・(1)
【0007】また、上記フィルムは、フィルムを構成す
るポリエステル組成物を溶融押出しして未延伸シートを
成形し、引き続き連続して該未延伸シートを40〜11
0℃の温度でシート走行方向に3.0〜5.0倍かつシ
ート走行方向と垂直方向に3.0〜5.5倍同時に延伸
し、そして70〜150℃の温度で熱固定処理すること
を特徴とする製造方法で製造することにより得られる。
【0008】なお、本発明のフィルムを構成するポリエ
ステルは、融解ピーク温度が180℃以上230℃以下
のブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポ
リエステルを含むことが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明における感熱孔版印刷原紙
とは、前述したように、キセノンフラッシュランプ、サ
ーマルヘッド、レーザー光線などによる熱を受けること
により穿孔製版されるもので、感熱孔版印刷原紙用フィ
ルムと多孔性支持体を貼り合せたものである。そして、
この感熱孔版印刷原紙用フィルム(以下、単に感熱フィ
ルムということがある)は、閃光照射を受けた時やサー
マルヘッドと接触された時、印刷原紙の文字や画像等の
部分が穿孔される。感熱フィルムの穿孔の過程は、下記
の三段階に分けることができる。 (1)サーマルヘッドとの接触、または電磁波(キセノ
ンフラッシュランプ光、レーザーパルス等)照射により
熱エネルギーが印加された部分が軟化・溶融し、孔のき
っかけが出来る。 (2)熱エネルギーが印加され、軟化した孔のきつかけ
の周囲のポリマーが拡散された熱エネルギーによって熱
収縮し、孔を広げる。 (3)軟化したポリマーが熱収縮力により孔の周辺に引
き寄せられ、自然冷却・放熱により固化し、孔端部が形
成されることにより孔の形が維持される。
【0010】本発明のフィルムは、構成ポリエステルの
融解ピーク温度範囲、溶融粘度と面配向係数を特定する
ことにより、独立穿孔性の高い、高感度で耐久性のある
感熱孔版印刷用原紙が得られることを特徴とする。
【0011】ポリエステル 本発明のフィルムを構成するポリエステルとは、ジカル
ボン酸成分とジオール成分を重縮合して得られる熱可塑
性ポリエステルである。ジカルボン酸成分としては、例
えばフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸、テレフタル酸、2−カリウムスルホテレフ
タル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、フェニルイ
ンダンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン
酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セ
バシン酸、ドデカンジオン酸、エイコサンジオン酸、ダ
イマー酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、デカ
リンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、または
それらのエステル形成性誘導体(低級アルキルエステル
など)が挙げられる。また、p−ヒドロキシエトキシ安
息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸等の如きヒドロキシカ
ルボン酸およびその低級アルキルエステルも含まれる。
グリコール成分としては、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−
ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペ
ンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−
シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサン
ジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、
p−キシリレングリコール、ビスフェノールAのエチレ
ンオキサイド付加物、ビスフェノールスルホンのエチレ
ンオキサイド付加物、トリエチレングリコール、ポリエ
チレンオキシドグリコール、ポリテトラメチレンオキシ
ドグリコール、ネオペンチルグリコールまたはそれらの
エステル形成性誘導体を挙げることができる。
【0012】本発明におけるポリエステルは、例えば安
息香酸、メトキシポリアルキレングリコール等の1官能
性化合物によって、末端の水酸基および/またはカルボ
キシル基の一部または全部を封鎖したものであってもよ
く、あるいは例えば極少量のグリセリン、ペンタエリス
リトールなどの如き3官能以上のエステル形成化合物で
実質的に線状のポリマーが得られる範囲内で変性された
ものであってもよい。
【0013】これらの中、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリ
エチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレン−
2,6−ナフタレート、ポリブチレン−2,6−ナフタ
レート、あるいはそれらの共重合体が好ましい。特に本
発明においては、ポリブチレンテレフタレート、2,6
−ナフタレンジカルボン酸共重合ポリブチレンテレフタ
レート、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレン−2,6−ナフタレートおよびポリ
ヘキサメチレンテレフタレート共重合体から選ばれる1
種のポリエステル、または2種以上のポリエステルから
なるポリエステル混合物を用いることが好ましい。
【0014】また、かかるポリエステルには、本発明の
趣旨を逸脱しない範囲内でポリエステル以外の樹脂を含
んでもよい。
【0015】フィルムの融解ピーク温度 本発明のフィルムの融解ピーク温度(Tm)は、180
℃以上230℃以下であることが必要である。フィルム
融解ピーク温度(Tm)が、180℃未満であると、穿
孔時に軟化したポリマーがサーマルヘッドに付着し易
く、連続製版した際ポリマー付着物に起因した筋状の白
抜け斑が発生する等の印刷品質上の問題が生じる。ま
た、諧調の出ない画像となり易く、耐刷性が低下するの
で好ましくない。一方、フィルム融解ピーク温度(T
m)が、230℃を超えると、穿孔感度が低下するので
好ましくない。なお、本発明のフィルムが融解ピークを
2つ以上有する場合、融解ピークのうち、最も低温の融
解ピークの温度と定義する。
【0016】本発明において、フィルム融解ピーク温度
を180℃以上230℃以下とするには、ポリエステル
組成物の成分の種類、割合、あるいは溶融押出条件を調
節する。
【0017】フィルムの降温結晶化温度 本発明のフィルムの降温結晶化温度(Tcd)は、12
0℃以上160℃以下であることが必要である。フィル
ムの降温結晶化温度(Tcd)が120℃未満である
と、穿孔径が大きくなりすぎ、連孔するので好ましくな
い。160℃を超えると開孔部周辺の収縮が不充分で、
穿孔感度が低くなり好ましくない。なお、降温結晶化温
度を120℃以上160℃以下とするには、ポリエステ
ル組成物の成分の種類、割合、あるいは溶融押出条件を
調節する。
【0018】また、本発明のフィルムの融解ピーク温度
(Tm)と降温結晶化温度(Tcd)の差(Tm−Tc
d)は50℃以上100℃未満である必要がある。温度
差が50℃未満であると、製版時に孔が広がらず印刷感
度が低下するため好ましくなく、他方100℃を超える
と製版時に連孔し、画像の諧調性が低下するので好まし
くない。
【0019】フィルム 本発明のフィルムには、閃光照射する波長域に吸収ピー
クをもつ添加剤等を添加しても良い。また、本発明のフ
ィルムに、潤滑剤、界面活性剤を塗布または練り込んだ
場合、原紙との離型性が改善されるため、好適である。
【0020】さらに、フィルムの滑り性を改良するた
め、有機、無機の添加剤を含有させてもよい。本発明に
おいては、延伸倍率を比較的大きくするため、添加粒子
の平均粒径が大きいと製膜時に破断が発生しやすい。添
加粒子の平均粒径は3μm以下、さらには2μm以下が
好ましい。特に、球状シリカ粒子のような球状滑剤を2
種添加することが好ましく、平均粒径のうち一種類は
1.5±0.5μm程度、他の一種類は0.3±0.2
μm程度であることがより一層好ましい。
【0021】また、多孔性支持体との接着性を向上させ
るため、フィルム表面を、空気、炭酸ガスまたは窒素ガ
ス中で、コロナ放電処理をしてもよい。
【0022】固有粘度 本発明のフィルムの固有粘度は、0.48以上0.85
未満であることが好ましい。さらに好ましくは0.58
以上0.80未満である。0.85を超えるとフィルム
の粘度が高いため結晶化し難くなり穿孔形状の維持が悪
くなる方向になる。また逆に、0.48未満では著しく
製膜性が難しくなる。
【0023】フィルム厚み 本発明のフィルムの厚みは、0.2〜7μmであること
が必要であり、好ましくは0.5〜5μm、さらに好ま
しくは0.8〜3.5μmである。厚みが0.2μm未
満のものでは多孔性支持体との貼り合わせが困難にな
り、印刷が不鮮明で濃淡斑が出やすく、耐刷性も低下す
る。一方、厚みが7μmを超えるものでは感度が低く、
印刷に欠落部を生じたり、太さの斑となるため、好まし
くない。
【0024】熱収縮率 本発明のフィルムは、100℃、10分における熱収縮
率が縦方向(SMD)と熱収縮率(STD)それぞれ10〜
25%であることが好ましい。さらに好ましくはそれぞ
れ12〜23%である。熱収縮率が10%未満ではフィ
ルムの製版感度が悪くなるため実用上問題を生じること
がある。逆に25%を超えると孔の形状の維持が困難と
なり、過大なインクの消費量となり好ましくない。ま
た、感熱孔版原紙の保存時の予期しない高温(50℃以
上)による皺やカールの発生または顕在化を防止するた
めに、50℃、120分の熱収縮を2%以下にすること
が好ましい。
【0025】フィルムの製造方法 本発明のフィルムは、二軸延伸フィルムであって、ポリ
エステルを十分乾燥した後、押出機に供給し、スリット
状ダイ(例えばT−ダイ)からシート状に押出し、これ
を冷却固化したものを二軸方向に延伸することにより製
造できる。
【0026】二軸延伸方法は、逐次二軸延伸法や同時二
軸延伸法(ステンター法、チューブ法)を用いることが
できる。
【0027】同時二軸延伸法の場合、以下の製造条件範
囲をとることが好ましい。すなわち、未延伸シートを4
0〜110℃の温度でシート走行方向に3.0〜5.0
倍かつシート走行方向と垂直方向に3.0〜5.5倍同
時に延伸し、そして70〜150℃の温度で熱固定処理
する。また、得られたフィルムを80〜200℃で弛緩
率20%以下の範囲で処理してもよい。
【0028】また、逐次二軸延伸法を用い、縦延伸を3
0〜100℃で3.0〜5.0倍、横延伸を40〜11
0℃で3.0〜5.5倍行い、そして70〜150℃の
温度で熱固定処理して製造することもできる。
【0029】両者の二軸延伸法のうち、同時二軸延伸法
は、フィルムの配向がバランスされることにより穿孔し
た孔が等方的になり、かつボイドが形成しにくく熱伝導
が優れることにより穿孔感度が向上する点で有利であ
る。
【0030】多孔質支持体 本発明のフィルムと貼り合せる多孔質支持体としては、
特に限定されないが、和紙、天具帖、合成繊維抄造紙、
各種織布、不織布などをその代表例として挙げることが
できる。また、使用する多孔質支持体の坪量は、特に限
定されないが、通常は2〜20g/m2、好ましくは5
〜15g/m2程度のものが使用される。また、メッシ
ュ状シートを用いる場合は、20〜60μmの太さの繊
維を織ったものを使用するのが、また格子間隔としては
20〜250μmのものを使用するのが好ましい。
【0031】本発明のフィルムと多孔質支持体を貼り合
せるのに使用される接着剤としては、特に限定されない
が、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹
脂、ポリエステル系樹脂をその代表例として挙げること
ができる。
【0032】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。なお、本発明におけ
る種々の物性値および特性は以下の如く測定されたもの
であり、また定義される。 (1)フィルムの融解ピーク温度(Tm) TA Instruments Thermal Analyst2100型を用い、サンプ
ル20mgでN2気流中にて20℃/minの昇温速度で加熱
し、フィルムの融解にともなう吸熱挙動を1次微分で解
析し、1次微分の値が0になるところを融解ピーク温度
として決定した。また主融解ピークの範囲の中にショル
ダーピークを持つ場合には、DSC曲線の傾きが正領域
にある1次微分曲線の谷となるところをショルダー温度
として決定した。また、融解ピークが2つ以上存在する
場合、最も低温側のピークの温度を融解ピーク温度とし
た。
【0033】(2)フィルムの降温結晶化温度(Tc
d) TA Instruments Thermal Analyst2100型を用い、サンプ
ル20mgでN2気流中にて20℃/minの昇温速度で加熱
し、280℃に到達したところで、3分間その温度にて
保持し、30℃/minの割合で降温した。そのときの発熱
挙動を1次微分で解析し、1次微分の値が0になるとこ
ろを降温結晶化温度とした。
【0034】(3)フィルム厚み フィルムの厚みt(μm)は、幅W(cm)、長さl
(cm)のフィルムの重さをG(g)、密度をd(g/
cm3)としたとき、次式で計算した。 t=10000G/Wld
【0035】(4)文字印刷の評価 (4−1)文宇の鮮明さの評価 JIS第1水準の文字を、文字サイズ2.0mm□の原
稿とし、ポリエステル紗でできた多孔性支持体と感熱フ
ィルム(実施例、比較例も同様にして)とを貼り合せた
ものを、閃光照射方式として“RISO名刺ごっこ”製
版・印刷機(理想科学工業(株)製)を用いて、サーマ
ルヘッド穿孔方式としてデジタル印刷機PRIPORT
VT−3950(リコー(株)製)を用いて製版し、
印刷したものを、次のようにして評価した。なお、最終
的評価は、各実施例・比較例とも、閃光照射穿孔方式と
サーマルヘッド穿孔方式のうちの評価結果の悪い方を示
した。
【0036】評価は肉眼判定でA,B,Cの3段階と
し、Aは原稿と同様に見えるもの、Bは原稿と異なり線
が部分的に切れたりくっついたりしているが判読は可能
なもの、Cはほとんど判読が出来ない状態まで切れた
り、ついたりしているものである。 (4−2)文字の欠落の評価 (4−1)と同様の製版、印刷を行い、文宇の欠け方を
評価した。
【0037】文字の欠けがないものを○、明らかに欠け
た部分のあるものを使用不能とし×印で示した。また、
完全な欠落状態ではないが、わずかに(判読可能な範囲
で)欠落が認められるものを△印で示した。 (4−3)文字の太さ斑の評価 (4−1)と同様の製版、印刷機を用いて、文字サイズ
5.0mm□の文字を印刷し、その印刷状態を内眼で評
価した。
【0038】原稿の文宇に比べ、明らかに文字の太さ斑
のあるものを外観が悪く使えないものとして×印、太さ
斑のないものを外観が良く、使用可能として○印で示し
た。 (4−4)文宇の太さの評価 (4−3)と同じように製版、印刷し、文字の太さの変
化について、肉眼で評価した。
【0039】原稿の文字の太さと比較し、明らかに太く
なったり、細くなったりしているものを使用できないも
のとして×印で示し、太さの変化のないものを○印で示
した。また、わずかに太くなったり、細くなったりして
いるが使用可能なものを△印で示した。
【0040】(5)ベタ印刷の評価 (5−1)ベタ印刷の鮮明さの評価 1〜5mm径の黒丸(丸で中が黒くぬりつぶされたも
の)を原稿として用いて、前述と同様の製版、印刷した
ものを次のように評価した。
【0041】原稿のサイズを基準として、その輪郭の凹
凸(部分的な)で判定した。原稿のサイズより200μ
m以上凹凸のできたものを外観悪く不鮮明とし×印で、
50μm以下の凹凸のものを鮮明なものとし○印で示し
た。この中間のものを△印で示した。使い方によっては
△でも使用可能である。 (5−2)ベタ印刷の原稿サイズとの対応性 (5−1)と同様に印刷し、全方向(0°と180°、
45°と225°、90°と270°、135°と31
5°の位置で)のサイズを評価し、原稿のサイズとの大
きさの対応性を評価した。原稿サイズに比べ500μm
以上異なるもの(大きい時も小きい時もある)を対応性
が悪いものとして×印で示し、50μm以下のもを対応
性が良いものとして○印で示した。その中間のものを△
印で示したが、用途によっては使用可能なものである。 (5−3)ベタ印刷の濃淡斑の評価 (5−1)と同様に印刷し、ベタ印刷の濃淡の斑がある
か、ないかを肉眼で評価した。濃淡斑のあるものを×印
で示し、ないものを○で示した。
【0042】(6)模様印刷の評価 図1のような各1cm角が6×6個集まった市松模様を原
稿として用いて、前述と同様の製版、印刷したものを次
のように評価した。印刷された市松模様の中央の4×4
個の升目の個々の升目のサイズを評価し、原稿のサイズ
との大きさの対応性を評価した。原稿サイズに比べ50
0μm以上異なるもの(大きい時も小きい時もある)が
ひとつでもある場合、対応性が悪いものとして×印で示
し、50μm以下のものを対応性が良いものとして○印
で示した。その中間のものを△印で示したが、用途によ
っては使用可能なものである。また、市松模様の白地部
分がインキのかすれにより汚れている場合にも×印で表
した。
【0043】(7)感度の評価 鉛筆硬度5H、4H、3H、2HおよびHの5種類を用
意し、押付け圧130gで文字を書いたものを原稿と
し、この原稿を用いて、その文字が判読できるか否かで
評価した。5Hで書いた最も淡色の字が判読できるもの
が最も高感度であり、より濃色の鉛筆で書いた文字しか
判読できないもの程低感度であると判定する。
【0044】(8)耐久性の評価 前述した印刷機で感熱フィルムが破損するまでに刷れる
枚数(以下、耐刷枚数という。)で表した。
【0045】(9)皺の評価 試料を二つに分け、一つは通常の方法でポリエステル紗
と貼り合せる。他の一つはA4版が採れる程度の狭幅に
スリットし、両端を幅出しローラーでニップするなどし
て皺を極力入らないように入念にポリエステル紗と貼り
合せる。両者の感度評価を比較し、差があるものは皺の
程度が不良と判定する。 ◎:差が無いもの ○:差が1H以下 △:差が2H ×:差が3H以上
【0046】(10)保存性の評価 貼り合わせ加工済みの原紙を60℃のギヤーオーブン中
に2時間放置した後に皺とカールを目視評価し、次の基
準で判定した。 ○:放置前後で実用上支障のある変化が生じなかったも
の。 ×:放置前後で実用上支障のある変化が生じたもの。
【0047】[実施例1〜4、比較例1〜4]表1に示
す組成となる割合で混合したポリエステル混合物を十分
乾燥した後、押出機に供給し、表1に示す温度にて溶融
押出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度20℃の
キャスティングドラムにて冷却固化し、未延伸フィルム
を作った。この未延伸フィルムを、表1に示す条件にて
延伸し、2%弛緩しながら熱固定処理を5秒間施して、
表1に示す厚みのフィルムを得た。このようにして得ら
れた二軸延伸フィルムをポリエステル紗(ポリエチレン
テレフタレート繊維よりなる)と貼り合わせ、製版・印
刷機にて評価した。結果を表2に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】本発明の感熱孔版印刷原紙用フィルム
は、次のような優れた作用効果を発現する。すなわち、
該フィルムを用いた原紙は、 (1)文字およびベタ印刷のいずれにも鮮明な製版、印
刷が可能である。 (2)文字およびベタ印刷で太さ斑、濃淡斑のない製
版、印刷が可能である。 (3)感度が著るしく高い。しかも適切な文字濃度で、
耐刷性に優れており、適切なインキの消費量である。 (4)皺が無く、安定して高感度を得られる。 (5)カールが少なく、保存性が優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は模様印刷の評価に用いる市松模様の原稿
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H114 AB23 BA06 DA56 DA73 DA76 EA03 EA05 GA11 GA32 GA38 4F210 AA25 AG01 AR06 QC05 QC07 QD13 QD25 QG01 QG18

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚み0.2〜7μmの二軸延伸ポリエス
    テルフィルムであって、融解ピーク温度(Tm)が18
    0℃以上230℃以下、降温結晶化温度(Tcd)が1
    20℃以上160℃以下、かつ融解ピーク温度(Tm)
    と降温結晶化温度(Tcd)が下記式(1)を満足する
    ことを特徴とする感熱孔版印刷原紙用フィルム。 50≦Tm−Tcd≦100 ・・・(1)
  2. 【請求項2】 フィルムを構成するポリエステルは、融
    解ピーク温度が180℃以上230℃以下のブチレンテ
    レフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルを
    含む請求項1記載の感熱孔版印刷原紙用フィルム。
  3. 【請求項3】 厚み0.2〜7μmの二軸延伸ポリエス
    テルフィルムであって、融解ピーク温度(Tm)が18
    0℃以上230℃以下、降温結晶化温度(Tcd)が1
    20℃以上160℃以下、かつ融解ピーク温度(Tm)
    と降温結晶化温度(Tcd)が下記式(2)を満足する
    感熱孔版印刷原紙用フィルムの製造方法において、該フ
    ィルムを構成するポリエステル組成物を溶融押出しして
    未延伸シートを成形し、引き続き連続して該未延伸シー
    トを40〜110℃の温度でシート走行方向に3.0〜
    5.0倍かつシート走行方向と垂直方向に3.0〜5.
    5倍同時に延伸し、そして70〜150℃の温度で熱固
    定処理することを特徴とする製造方法。 50≦Tm−Tcd≦100 ・・・(2)
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