JP2002212246A - ブロックポリマー、重合体の製造方法及びブロックポリマーを含む液状組成物 - Google Patents

ブロックポリマー、重合体の製造方法及びブロックポリマーを含む液状組成物

Info

Publication number
JP2002212246A
JP2002212246A JP2001037549A JP2001037549A JP2002212246A JP 2002212246 A JP2002212246 A JP 2002212246A JP 2001037549 A JP2001037549 A JP 2001037549A JP 2001037549 A JP2001037549 A JP 2001037549A JP 2002212246 A JP2002212246 A JP 2002212246A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
segment
polymer
monomer
perfluoro
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001037549A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4792640B2 (ja
Inventor
Takeshi Eriguchi
武 江里口
Atsushi Watakabe
淳 渡壁
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2001037549A priority Critical patent/JP4792640B2/ja
Publication of JP2002212246A publication Critical patent/JP2002212246A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4792640B2 publication Critical patent/JP4792640B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polymerization Catalysts (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】含水率が高く、撥水性を有し、かつ酸素ガス透
過性に優れており、固体高分子型燃料電池の電極用樹脂
として有用なポリマーの提供。 【解決手段】スルホン酸基を有するペルフルオロポリマ
ーからなるセグメントと、実質的にイオン交換基を有さ
ず主鎖に脂肪族環構造を有するペルフルオロポリマー又
は実質的にイオン交換基を有さずペルフルオロビニルエ
ーテルに基づく繰り返し単位を含むポリマーからなるセ
グメントと、を含むブロックポリマー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブロックポリマ
ー、その製造方法及びブロックポリマーを含む液状組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】水素・酸素燃料電池は、その反応生成物
が原理的に水のみであり地球環境への悪影響がほとんど
ない発電システムとして注目されている。固体高分子型
燃料電池は、かつてジェミニ計画及びバイオサテライト
計画で宇宙船に搭載されたが、当時の電池出力密度は低
かった。その後、より高性能のアルカリ型燃料電池が開
発され、現在のスペースシャトルに至るまで宇宙用には
アルカリ型燃料電池が採用されている。
【0003】ところが、近年技術の進歩により固体高分
子型燃料電池が再び注目されている。その理由として次
の2点が挙げられる。(1)固体高分子電解質として高
導電性の膜が開発された。(2)ガス拡散電極層に用い
られる触媒をカーボンに担持し、さらにこれをイオン交
換樹脂で被覆することにより、きわめて大きな活性が得
られるようになった。そして、固体高分子型燃料電池の
電極・固体高分子電解質膜接合体(以下、単に接合体と
いう)の製造方法に関して多くの検討がなされている。
【0004】現在検討されている固体高分子型燃料電池
は、作動温度が50〜120℃と低いため、排熱が燃料
電池の補機動力等に有効利用しがたい欠点がある。これ
を補う意味でも固体高分子型燃料電池は、特に高い出力
密度が要求されている。また実用化への課題として、燃
料及び空気利用率の高い運転条件下でも高エネルギ効
率、高出力密度が得られる接合体の開発が要求されてい
る。
【0005】低作動温度かつ高ガス利用率の運転条件で
は、特に電池反応により水が生成する酸化剤極におい
て、水蒸気の凝縮による電極多孔体の閉塞(フラッディ
ング)が起こりやすい。したがって長期にわたり安定な
特性を得るためには、フラッディングが起こらないよう
に電極の撥水性を確保する必要がある。低温で高出力密
度が得られる固体高分子型燃料電池では特に重要であ
る。
【0006】電極の撥水性を確保するには、電極中で触
媒を被覆するイオン交換樹脂のイオン交換容量を小さく
する、すなわちイオン交換基の含有率が低いイオン交換
樹脂の使用が有効である。しかし、この場合にはイオン
交換樹脂は含水率が低いため導電性が低くなり、電池性
能が低下する。さらに、イオン交換樹脂のガス透過性が
低下するため、被覆したイオン交換樹脂を通して触媒表
面に供給されるガスの供給が遅くなる。そのため、反応
サイトにおけるガス濃度が低下して電圧損失が大きくな
る、すなわち濃度過電圧が高くなって出力が低下する。
【0007】このため、触媒を被覆するイオン交換樹脂
にはイオン交換容量の高い樹脂を用い、これに加えて、
例えば、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFE
という。)、テトラフルオロエチレン(以下、TFEと
いう。)/ヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPと
いう。)共重合体、TFE/ペルフルオロ(アルキルビ
ニルエーテル)共重合体等のフッ素樹脂等を撥水化剤と
して電極、特に空気極中に含有させ、フラッディングを
抑制する試みがなされている(特開平5−3641
8)。なお、本明細書でA/B共重合体とは、Aに基づ
く繰り返し単位とBに基づく繰り返し単位とからなる共
重合体を示す。
【0008】しかし、充分に撥水化するために電極中の
上記撥水化剤の量を多くすると、上記撥水化剤は絶縁体
のため電極の電気抵抗が増大する。また、電極の厚さが
厚くなるためガス透過性が低下し、逆に出力が低下する
問題がある。電極の導電性の低下を補うためには、例え
ば触媒の担体であるカーボン材料の導電性や触媒を被覆
するイオン交換樹脂のイオン導電性を高めることが必要
である。しかし、充分な導電性と充分な撥水性を同時に
満足する電極を得るのは困難であり、高出力かつ長期的
に安定な固体高分子型燃料電池を得ることは容易ではな
かった。
【0009】また、フッ化ピッチを混合する方法(特開
平7−211324)、触媒担体をフッ素化処理する方
法(特開平7−192738)も提案されているが、触
媒表面をイオン交換樹脂により均一に被覆できない問題
がある。また、電極の厚さ方向に対して撥水性に勾配を
持たせる方法(特開平5−251086、特開平7−1
34993)も提案されているが、製造方法が煩雑であ
る。
【0010】本発明者らは、上記問題点を解決するため
に、スルホン酸基含有セグメントと実質的にイオン交換
基を有しない含フッ素セグメントとからなるイオン交換
樹脂を電極に用いることを検討した。このようなポリマ
ーの一つとしてブロックポリマーが挙げられ、その製造
方法としては、ヨウ素移動重合を用いる方法が特公昭5
8−4728に記載されている。すなわち、ヨウ素原子
を有するヨード化合物の存在下でラジカル重合性の不飽
和結合を有する2種以上のモノマーをラジカル重合する
方法であって、前記ヨード化合物の炭素−ヨウ素結合間
に2種以上のポリマー鎖セグメントを形成させるよう
に、前記の各ポリマー鎖セグメントを構成するためのモ
ノマーを逐次重合させて多元セグメント化ポリマーを得
る方法が記載されている。
【0011】そして、セグメントを構成するためのモノ
マーとして、TFE及びCF2=CFY’(Y’は、−
(OCF2α−(OCF2CF2β−(OCF2CF
(CF 3γ−Zで表され、ZはSO2F又はSO3M’
であり、M’は水素原子、ナトリウム原子又はカリウム
原子であり、α、β及びγはそれぞれ0〜3の整数であ
るが、α+β+γ>0である。)で表されるモノマーが
記載され、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2
2SO2Fも例示されている。また、WO98/439
52には、I(CF24Iの存在下でCF2=CF2/C
2=CFOCF2CF2SO3Na共重合体セグメント
(モル比で59/41)を重合し、次いでCF2=CF2
/CF2=CFOC37セグメントを重合することによ
り、示差走査熱量計(DSC)で275℃に吸熱ピーク
(結晶の融点)を有するABA型のブロックポリマーが
得られることが記載されている。
【0012】これらのポリマーは、電気抵抗や耐水性等
の点で優れていると記載されているが、具体的に合成さ
れているブロックポリマーは結晶性を有するものであ
り、重合が制御しにくく、溶媒に溶解又は分散しにく
い。そのため、燃料電池の電極用材料として適用しよう
とすると、電極を成形しにくい等の問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】燃料電池の出力を高め
るには、電極中のイオン交換樹脂が高ガス透過性かつ高
導電性であることが必要であり、イオン交換基濃度が高
く含水率の大きいイオン交換樹脂が好ましい。しかし、
イオン交換基濃度の高いイオン交換樹脂を用いた場合、
燃料ガスの透過性及び導電性が高く燃料電池の初期の出
力は高くなるが、フラッディングが起こりやすく、長期
間使用すると出力の低下が起こりやすい。そこで本発明
は、燃料電池の電極材料として好適に使用できる、含水
率が高くかつ撥水性を有するブロックポリマー、その製
造方法及び当該ブロックポリマーを含む液状組成物を提
供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記セグメン
トAと下記セグメントBとからなり、かつ分子量が5×
103〜5×106であることを特徴とするブロックポリ
マーを提供する。また本発明は、下記セグメントAと下
記セグメントCとからなり、かつ分子量が5×103
5×106であることを特徴とするブロックポリマーを
提供する。
【0015】セグメントA:−SO2X基(ただし、X
はフッ素原子又はOMであり、Mは水素原子、アルカリ
金属原子又はNR1234であり、R1、R2、R3
4はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基であ
る。)を有するペルフルオロビニルエーテルに基づく繰
り返し単位とTFEに基づく繰り返し単位とを含む共重
合体であって、前記ペルフルオロビニルエーテルに基づ
く繰り返し単位が20モル%以上含まれる共重合体から
なるセグメント。 セグメントB:イオン交換基を有さず、主鎖に脂肪族環
構造を有する非晶質のペルフルオロポリマーからなるセ
グメント。 セグメントC:イオン交換基を有さず、ペルフルオロ
(アルキルビニルエーテル)に基づく繰り返し単位とT
FEに基づく繰り返し単位とからなる共重合体であっ
て、前記ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基
づく繰り返し単位が20モル%以上含まれる非晶質の共
重合体からなるセグメント。
【0016】また、本発明は、上記セグメントAと上記
セグメントBとからなるブロックポリマー又は上記セグ
メントAと上記セグメントCとからなるブロックポリマ
ーを、アルコール性水酸基を有する有機溶媒に溶解又は
分散させた液状組成物を提供する。
【0017】さらに本発明は、第1のラジカル開始剤と
ヨウ素含有含フッ素化合物との存在下で、非水系媒体中
又は溶媒の存在しない条件下で、1種又は2種以上の含
フッ素モノマーからなる第1のモノマー群を重合し、実
質的に非晶質の重合体を合成した後、前記重合体と第2
のラジカル開始剤との存在下で、1種又は2種以上のモ
ノマーからなり前記第1のモノマー群と異なる第2のモ
ノマー群を非水系媒体中又は溶媒の存在しない条件下で
重合することを特徴とする重合体の製造方法を提供す
る。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明のブロックポリマーは、フ
ルオロスルホニル基(−SO2F基)を有するポリマー
からなる非晶質のセグメント(以下、セグメントA’と
いう。)と非晶質のセグメントB(又はC)とからなる
ブロックポリマー、当該ブロックポリマーを加水分解し
たもの、又は加水分解した後に酸型化したものであるこ
とが好ましい。ここでセグメントA’、セグメントB
(又はC)がともに非晶質であると、ヨウ素移動重合に
よる多元セグメント化が容易である。結晶性を有する
と、生長ラジカルの反応性が低下したり、溶液からのポ
リマー析出等の理由によりヨウ素移動重合が進行しにく
くなる。特に最初に重合するセグメントが結晶性を有す
ると次に重合するセグメントの導入が困難となりやす
い。
【0019】また、例えば、触媒とイオン交換樹脂とか
らなる固体高分子型燃料電池の電極は、通常、イオン交
換樹脂を溶媒に溶解又は分散させた液に触媒を分散させ
て塗工液とし、該塗工液を用いて塗工することにより形
成する。本発明のブロックポリマーであってスルホン酸
基を有するブロックポリマーを上記イオン交換樹脂とし
て使用する場合、セグメントA’又はセグメントB(又
はC)が結晶性を有していると溶媒への溶解性又は分散
性が低下する。そのため、イオン交換樹脂が均一性よく
分布した電極が得にくく、電極の反応性が低くなるおそ
れがある。なお、本明細書において非晶質のポリマーと
は、結晶融点Tmを有しないか、又はTmが重合温度より
低いポリマーをいう。
【0020】セグメントA’が実質的に非晶質であるた
めには、−SO2F基を有するペルフルオロビニルエー
テルに基づく繰り返し単位がセグメントA’を構成する
共重合体中に20モル%以上含まれることが必要であ
り、25モル%以上含まれていると特に好ましい。ま
た、−SO2F基を有しないペルフルオロ(アルキルビ
ニルエーテル)に基づく繰り返し単位が含まれる場合
は、−SO2F基を有するペルフルオロビニルエーテル
に基づく繰り返し単位と−SO2F基を有しないペルフ
ルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく繰り返し単
位との合量が20モル%以上、特に25モル%以上であ
ることが好ましい。
【0021】本発明のブロックポリマーは、セグメント
AとセグメントBとからなるか又はセグメントAとセグ
メントCとからなる。セグメントA、セグメントB及び
セグメントCは、いずれも水素原子が全てフッ素原子に
置換された(ただし、−SO 2X基を除く。)モノマー
(本明細書ではペルフルオロモノマーという。)からな
っているため、例えば固体高分子型燃料電池の材料とし
て使用する場合は実用耐久性の観点から好ましい。
【0022】セグメントAは、イオン交換容量が0.5
ミリ当量/g乾燥樹脂以上であることが好ましい。例え
ば燃料電池の電極に使用する場合、電極中のイオン交換
樹脂は高ガス透過性かつ高導電性であることが好まし
く、そのためにはイオン交換基濃度が高くて含水率が高
いことが好ましいからである。セグメントAは−SO2
X基を有するペルフルオロビニルエーテル/TFE共重
合体からなるので、イオン交換容量の上限は、−SO2
X基を有するペルフルオロビニルエーテルの単独重合体
のイオン交換容量で決まり、該モノマーの分子量に依存
し、1.5〜4ミリ当量/g乾燥樹脂程度である。
【0023】上記−SO2X基を有するペルフルオロビ
ニルエーテルとしては、具体的に重合に用いるモノマー
として、CF2=CF−(OCF2CFY)m−Op−(C
2n−SO2Fで表されるペルフルオロビニルエーテ
ル化合物(式中、Yはフッ素原子又はトリフルオロメチ
ル基であり、mは0〜3の整数であり、nは1〜12の
整数であり、pは0又は1である。)を用いることが好
ましい。上記ペルフルオロビニルエーテル化合物のなか
でも、式1〜3のいずれかで表される化合物が好まし
い。ただし、下記式中、qは1〜8の整数であり、rは
1〜8の整数であり、sは2又は3である。
【0024】
【化1】
【0025】−SO2F基を有するペルフルオロビニル
エーテルは、単独重合も可能であるが、ラジカル重合反
応性が小さいため、通常はオレフィン類等のコモノマー
と共重合して用いられる。本発明では該コモノマーとし
てTFEを使用するが、TFEに加え、さらに下記のモ
ノマー等が共重合されているものも使用できる。ここで
下記のモノマー等は、得られるセグメントが広角X線散
乱等の測定において実質的に結晶を有しない範囲の量な
ら添加でき、添加する場合は、得られるセグメントの結
晶化度が10%以下、特に5%以下、さらには2%以下
となるように添加することが好ましい。その量の好まし
い範囲は添加するモノマーによって異なるが、通常TF
Eに対して20モル%以下である。また、添加するモノ
マーとしては、ペルフルオロモノマー以外も使用できる
が、耐久性の点ではペルフルオロモノマーの使用が好ま
しい。
【0026】クロロトリフルオロエチレン、トリフルオ
ロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、エチレ
ン、ペルフルオロ(3−ブテニルビニルエーテル)(以
下、BVEという。)、ペルフルオロ(アリルビニルエ
ーテル)、ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−
ジオキソール)(以下、PDDという。)、ペルフルオ
ロ(1,3−ジオキソール)、ペルフルオロ(2−メチ
レン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)、ペルフル
オロ(3,5−ジオキサ−1,6−ヘプタジエン)、ペ
ルフルオロ(4−メトキシ−1,3−ジオキソール)、
プロピレン、HFP等のペルフルオロ(α−オレフィ
ン)類、(ペルフルオロブチル)エチレン等の(ペルフ
ルオロアルキル)エチレン類、3−ペルフルオロクチル
−1−プロペン等の(ペルフルオロアルキル)プロペン
類、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(ただ
し、アルキル基は分枝構造を有してもよく、またエーテ
ル結合性の酸素原子を含有していてもよい。以下、同様
の意味で「アルキル基」と記載する。)類等。
【0027】上記ペルフルオロ(アルキルビニルエーテ
ル)類としては、CF2=CF−(OCF2CFZ)t
O−Rfで表されるペルフルオロビニルエーテル化合物
が好ましい。ただし、式中、tは0〜3の整数であり、
Zはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、Rf
は直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜12のペルフルオロアル
キル基(以下、本明細書において、Rfは同じ意味で用
いる。)である。
【0028】CF2=CF−(OCF2CFZ)t−O−
fで表されるペルフルオロビニルエーテル化合物とし
ては、式4〜6のいずれかで表される化合物が好ましく
挙げられる。ただし、式4〜6中、vは1〜8の整数で
あり、wは1〜8の整数であり、xは2又は3である。
【0029】
【化2】
【0030】セグメントAにおける−SO2F基は、重
合後加水分解等の処理によりSO3M基に置換できる。
ここでMは水素原子、アルカリ金属原子又はNR12
34であり、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素
原子又は1価の有機基である。NR1234としては
具体的にはNH4が挙げられる。また、上記1価の有機
基としては例えば炭素数1〜5のアルキル基が挙げられ
る。
【0031】セグメントBを構成するポリマーは、原料
を環化重合することにより得られるポリマー又は環状モ
ノマーを重合して得られるポリマー等の、イオン交換基
を有さず主鎖に脂肪族環構造を有する非晶質のペルフル
オロポリマーであり、セグメントBを有すると、溶媒へ
の溶解性が良好となる。ここで、「主鎖に脂肪族環構造
を有する」とは、繰り返し単位中の脂肪族環構造の炭素
原子の少なくとも1つがポリマーの主鎖に共有されてい
ることをいう。また、本明細書において「イオン交換基
を有しないポリマー(モノマー)」は、加水分解等をす
ることによりイオン交換基に変換される「イオン交換基
の前駆体」も有していないものとする。セグメントBを
構成するポリマーの具体的な好ましい例としては、下記
のポリマーが挙げられる。
【0032】BVE単独重合体(以下、PBVEとい
う。)、ポリ(ペルフルオロ(アリルビニルエーテ
ル))、ポリ(ペルフルオロ(3,5−ジオキサ−1,
6−ヘプタジエン))等の、原料となるモノマーを環化
重合することにより得られるポリマー、及び上記環化重
合しうるモノマーと他の1種以上のイオン交換基を有し
ないペルフルオロモノマーとの共重合により得られるポ
リマー。
【0033】PDD単独重合体(以下、PPDDとい
う。)、ポリ(ペルフルオロ(1,3−ジオキソー
ル))、TFE/PDD共重合体、ポリ(ペルフルオロ
(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラ
ン))、ポリ(2,2,4−トリフルオロ−5−トリフ
ルオロメトキシ−1,3−ジオキソール)等の、環状モ
ノマーを重合することにより得られるポリマー、及び上
記環状モノマーと他の1種以上のイオン交換基を有しな
いペルフルオロモノマーとの共重合により得られるポリ
マー。
【0034】ここで、上記環状モノマーと上記環化重合
するモノマーは、いずれも非晶質のセグメントを与える
ので、任意の比率で共重合させてもよい。他の1種以上
のイオン交換基を有しないペルフルオロモノマーとして
は、TFE、HFP等のペルフルオロ(α−オレフィ
ン)類、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)類等
が挙げられる。上記ペルフルオロ(アルキルビニルエー
テル)類としては、セグメントAに含ませることができ
るペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)類と同様
に、CF2=CF−(OCF2CFZ)t−O−Rfで表さ
れるペルフルオロビニルエーテル化合物が好ましく、な
かでも式4〜6のいずれかで表される化合物が好まし
い。
【0035】これらのモノマーは、セグメントBに結晶
性を付与しない範囲の量であれば共重合させられる。具
体的にはTFEの場合は、セグメントB中に50質量%
以下であることが好ましい。他のペルフルオロ(α−オ
レフィン)類、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテ
ル)類は結晶性を与えないが重合反応性が低いので、セ
グメントBの分子量をある程度大きくするためにはセグ
メントB中に50質量%以下であることが好ましい。
【0036】また、本発明におけるセグメントCは、T
FE/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合
体である。ここで、ペルフルオロ(アルキルビニルエー
テル)としては、CF2=CF−(OCF2CFY)t
O−Rfで表される化合物が好ましい。ただし、式中、
Yはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、tは
0〜3の整数である。CF2=CF−(OCF2CFY)
t−O−Rfで表されるペルフルオロビニルエーテル化合
物の好ましい例としては、上述の式4〜6のいずれかで
表される化合物が挙げられる。
【0037】TFE/ペルフルオロ(アルキルビニルエ
ーテル)共重合体は、結晶性のものと非晶質のものがあ
るが、非晶質のものを得るためには、ペルフルオロ(ア
ルキルビニルエーテル)に基づく繰り返し単位が該共重
合体中に20モル%以上含まれることが必要であり、特
に25モル%以上含まれていることが好ましい。セグメ
ントCを有するブロックポリマーは、セグメントCが非
晶質であるため溶媒への溶解性が良好であり、また当該
ブロックポリマーをカソード樹脂として有する燃料電池
のカソードは、ガス透過性に優れる。ペルフルオロ(ア
ルキルビニルエーテル)は重合反応性が低いので、セグ
メントCの分子量をある程度大きくするためには50モ
ル%以下であることが好ましい。
【0038】本発明のブロックポリマーは、少なくとも
1つのセグメントAと少なくとも1つのセグメントB
(又はC)を含んでいればよく、AB型、ABA型、A
BAB型・・・いずれであってもよい。また、本発明の
ブロックポリマーの分子量は5×103〜5×106であ
るが、特に1×104〜3×106であることが好まし
い。ブロックポリマーにおいて、セグメントAとセグメ
ントB又はセグメントCとの割合は、質量比で95/5
〜5/95、特に80/20〜40/60であることが
好ましい。また、セグメントA、セグメントB、セグメ
ントCそれぞれの分子量は、いずれも1×103〜5×
106、特に2×103〜2×106が好ましい。なお、
ここで例えばABA型のブロックポリマーの場合、セグ
メントAの分子量はセグメントA全体の分子量であり、
ブロックポリマー全体の分子量からセグメントBの分子
量を差し引いた分子量である。
【0039】上記のような組成、分子量に制御された場
合に、セグメントAとセグメントB又はセグメントCと
の相分離が起こりやすく、良好なガス透過性、プロトン
伝導性及び撥水性を確保できる。また、本発明のブロッ
クポリマーを溶媒に溶解又は分散させる場合、分子量が
大きすぎると、溶媒への溶解又は分散が困難になりやす
い。
【0040】本発明の重合体の製造方法では、第1のモ
ノマー群を第1のラジカル開始剤とヨウ素含有含フッ素
化合物との存在下で、非水系媒体中又は溶媒の存在しな
い条件下で重合し、次いで得られた重合体と第2のラジ
カル開始剤との存在下で上記同様の条件下で第2のモノ
マー群を重合する。ここで、第1のラジカル開始剤と第
2のラジカル開始剤は同じでも異なっていてもよい。ま
た、第1のモノマー群と第2のモノマー群はそれぞれ1
種又は2種以上のモノマーからなり、互いに同じではな
い。
【0041】本発明のブロックポリマーは、上記製造方
法により得られる。すなわち、第1のモノマー群を下記
モノマー群aとし、第2のモノマー群を下記モノマー群
b、b’又はcとするか、第1のモノマー群を下記モノ
マー群b、b’又はcとし、第2のモノマー群を下記モ
ノマー群aとすることにより得られる。
【0042】モノマー群a:−SO2X’基を有するペ
ルフルオロビニルエーテル(ただし、X’はフッ素原子
又は塩素原子である。)とテトラフルオロエチレン。 モノマー群b:イオン交換基を有さず脂肪族環構造を有
するペルフルオロモノマー、又はイオン交換基を有さず
脂肪族環構造を有するペルフルオロモノマーと他の1種
以上のイオン交換基を有しないペルフルオロモノマー。 モノマー群b’:イオン交換基を有さず2つの二重結合
を有して環化重合しうるペルフルオロモノマー、又はイ
オン交換基を有さず2つの二重結合を有して環化重合し
うるペルフルオロモノマーと他の1種以上のイオン交換
基を有しないペルフルオロモノマー。 モノマー群c:イオン交換基を有さないペルフルオロ
(アルキルビニルエーテル)とテトラフルオロエチレ
ン。
【0043】すなわち、本発明のブロックポリマーは、
ヨウ素移動重合によるブロックポリマー合成の方法によ
ってセグメントAとセグメントB又はセグメントCとを
導入することにより得る。すなわち、ヨウ素含有含フッ
素化合物の存在下でセグメントA又はセグメントB(又
はC)を構成するポリマーの原料となるモノマーを重合
した後、得られた重合体の存在下でもう一方のセグメン
トを構成するポリマーの原料となるモノマーを重合す
る。このとき、セグメントAの合成に使用するモノマー
は、−SO2F基又は−SO2Cl基を有するモノマーを
使用し、重合後に−SO2F基又は−SO2Cl基をスル
ホン酸基に変換することが好ましい。
【0044】ヨウ素移動重合の場合、用いられるヨウ素
含有含フッ素化合物としては、下記のものが例示され
る。モノヨードペルフルオロメタン、モノヨードペルフ
ルオロエタン、1−ヨードペルフルオロプロパン、2−
ヨードペルフルオロプロパン、1−ヨードペルフルオロ
ブタン、2−ヨードペルフルオロブタン、2−ヨードペ
ルフルオロイソブタン、1−ヨードペルフルオロペンタ
ン、1−ヨードペルフルオロヘキサン、1−ヨードペル
フルオロオクタン、1−ヨードペルフルオロノナン、モ
ノヨードペルフルオロシクロブタン、2−ヨードペルフ
ルオロ(1−シクロブチル)エタン、モノヨードペルフ
ルオロシクロヘキサン、モノヨードジフルオロメタン、
モノヨードモノフルオロメタン、2−ヨード−1−ヒド
ロペルフルオロエタン、3−ヨード−1−ヒドロペルフ
ルオロプロパン、モノヨードモノクロロジフルオロメタ
ン、モノヨードジクロロモノフルオロメタン、2−ヨー
ド−1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフルオロエタ
ン、4−ヨード−1,2−ジクロロペルフルオロブタ
ン、6−ヨード−1,2−ジクロロペルフルオロヘキサ
ン、4−ヨード−1,2,4−トリクロロペルフルオロ
ブタン、1−ヨード−2,2−ジヒドロペルフルオロプ
ロパン、1−ヨード−2−ヒドロペルフルオロプロパ
ン、モノヨードトリフルオロエチレン、3−ヨードペル
フルオロプロペン、4−ヨードペルフルオロ(1−ペン
テン)、4−ヨード−5−クロロペルフルオロ(1−ペ
ンテン)。
【0045】1,3−ジヨードペルフルオロプロパン、
1,4−ジヨードペルフルオロブタン、1,3−ジヨー
ド−2−クロロペルフルオロプロパン、1,5−ジヨー
ド−2,4−ジクロロペルフルオロペンタン、1,8−
ジヨードペルフルオロオクタン、1−ヨードペルフルオ
ロデカン、1,12−ジヨードペルフルオロドデカン、
1,16−ジヨードペルフルオロヘキサデカン、1,2
−ビス(ヨードジフルオロメチル)ペルフルオロシクロ
ブタン。
【0046】2−ヨード−1,1,1−トリフルオロエ
タン、1−ヨード−1−ヒドロペルフルオロプロパン、
2−ヨード−2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフル
オロエタン、2−ヨード−2−クロロ−1,1,1−ト
リフルオロエタン、2−ヨードペルフルオロエチル=ペ
ルフルオロビニル=エーテル、2−ヨードペルフルオロ
エチル=ペルフルオロイソプロピル=エーテル、3−ヨ
ード−2−クロロペルフルオロブチル=ペルフルオロメ
チル=チオエーテル、3−ヨード−4−クロロペルフル
オロ酪酸等。
【0047】上記のようなヨウ素含有含フッ素化合物の
存在下でセグメントAの原料となるモノマーを重合し、
次いで重合系内に残存するモノマーを系外へ除去し、セ
グメントB又はCの原料となるモノマーを系内に導入し
た後、さらに重合することで2元ブロックポリマーが得
られる。また、セグメントB又はCを重合した後にセグ
メントAの原料となるモノマーを重合する方法も好適に
採用できる。式1〜3に例示したような−SO2F基を
有するペルフルオロビニルエーテル化合物は、重合反応
性が低いため、ポリマーへの転化率を高めることが困難
で重合後も多量のモノマーが系内に存在する。また、沸
点の低くないモノマーは、重合系からの抜き出しが容易
でない。
【0048】したがって、最初に重合したセグメントを
重合系内から抜き出すことなく次のセグメントを重合す
るためには、最初に重合反応性の高いBVE、ペルフル
オロ(アリルビニルエーテル)、ペルフルオロ(3,5
−ジオキサ−1,6−ヘプタジエン)等の環化重合する
モノマーやPDD、ペルフルオロ(1,3−ジオキソー
ル)、ペルフルオロ(2−メチレン−4−メチル−1,
3−ジオキソラン)、ペルフルオロ(4−メトキシ−
1,3−ジオキソール)等の環状モノマーを重合してセ
グメントBを形成し、後段で−SO2F基を有するペル
フルオロビニルエーテル化合物を重合してセグメントA
を形成すると容易にブロックポリマーが得られる。
【0049】また、ヨウ素移動重合におけるヨウ素化合
物として好ましくはペルフルオロモノヨージド(1つの
ヨウ素原子を含み、ヨウ素原子、酸素原子を除いて、炭
素原子と結合しているのが全てフッ素原子であるも
の)、より好ましくはペルフルオロアルキルモノヨージ
ドを用いて先にセグメントBを重合し、次いでセグメン
トAの部位を重合すると、イオン交換基を有しないセグ
メントBの末端にペルフルオロアルキル基を導入できる
ので、撥水性の高いポリマーとなる。
【0050】重合系内に残存するモノマーとさらに重合
しようとするモノマーとの置換と重合とを繰り返し行う
ことにより、多元セグメント化ポリマーが得られる。上
記モノマーの置換に際しては、ヨウ素原子を末端に有す
るポリマーを一旦単離して再度重合の仕込みを行っても
よく、また、ポリマーを単離せずにモノマーを反応系外
へ抜き出して次に重合するモノマーを添加してもよい。
残存するモノマーがガス状モノマー又は沸点の低いモノ
マーである場合、後者の残存モノマーを抜き出す方法が
好適である。
【0051】また、環化重合モノマーや環状モノマーな
ど高い重合反応性を有するモノマーを前段で重合してい
てモノマーからポリマーへの転化率が高い場合は、重合
後に該モノマーを抜き出す操作をせず次に重合しようと
するモノマーを系内に添加しても、前段のモノマーを抜
き出した場合と実質的に同様の重合体を得られる。
【0052】重合は、ラジカルが生起する条件で行われ
る。本発明の製造方法では、非水系媒体中での重合又は
溶媒の存在しない条件下で重合を行う。紫外線、γ線、
電子線等の放射線を照射する方法、通常のラジカル重合
で用いられるラジカル開始剤を添加する方法が一般的で
あり、本発明の実施例では後者の方法を採用している。
重合温度は通常は20〜150℃程度である。ラジカル
開始剤としては、例えばビス(フルオロアシル)ペルオ
キシド類、ビス(クロロフルオロアシル)ペルオキシド
類、ジアルキルペルオキシジカーボネート類、ジアシル
ペルオキシド類、ペルオキシエステル類、アゾ化合物類
等が挙げられる。
【0053】非水系媒体中で重合する場合、使用する溶
媒の沸点は、取り扱い性の観点から、通常は20〜35
0℃、好ましくは40〜150℃である。使用できる溶
媒としては、例えば以下のものが挙げられる。ペルフル
オロトリブチルアミン、ペルフルオロトリプロピルアミ
ン等のポリフルオロトリアルキルアミン化合物。
【0054】ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロオク
タン、ペルフルオロデカン、ペルフルオロドデカン、ペ
ルフルオロ(2,7−ジメチルオクタン)、2H,3H
−ペルフルオロペンタン、1H−ペルフルオロヘキサ
ン、1H−ペルフルオロオクタン、1H−ペルフルオロ
デカン、1H,4H−ペルフルオロブタン、1H,1
H,1H,2H,2H−ペルフルオロヘキサン、1H,
1H,1H,2H,2H−ペルフルオロオクタン、1
H,1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデカン、3
H,4H−ペルフルオロ(2−メチルペンタン)、2
H,3H−ペルフルオロ(2−メチルペンタン)等のフ
ルオロアルカン。
【0055】3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−
ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,
2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロ
ロ−1−フルオロエタン等のクロロフルオロアルカン。
ヘキサフルオロプロペンの2量体、ヘキサフルオロプロ
ペンの3量体等の分子鎖末端に二重結合を有しないフル
オロオレフィン。
【0056】ペルフルオロデカリン、ペルフルオロシク
ロヘキサン、ペルフルオロ(1,2−ジメチルシクロヘ
キサン)、ペルフルオロ(1,3−ジメチルシクロヘキ
サン)、ペルフルオロ(1,3,5−トリメチルシクロ
ヘキサン)、ペルフルオロ(ジメチルシクロブタン)
(構造異性は限定しない)等のポリフルオロシクロアル
カン。ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)
等のポリフルオロ環状エーテル化合物。
【0057】n−C37OCH3、n−C37OCH2
3、n−C37OCHFCF3、n−C37OC25
n−C49OCH3、iso−C49OCH3、n−C4
9OC25、iso−C49OC25、n−C49
CH2CF3、n−C511OCH3、n−C613OC
3、n−C511OC25、CF3OCF(CF3)CF
2OCH3、CF3OCHFCH2OCH3、CF3OCHF
CH2OC25、n−C37OCF(CF3)CF2OC
HFCF3等のヒドロフルオロエーテル類、フッ素含有
低分子量ポリエーテル、t−ブタノール等。これらは、
単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよ
い。
【0058】これらの他にも広範な化合物を溶媒として
使用できる。1,1,2−トリクロロ−1,2,2−ト
リフルオロエタン、1,1,1−トリクロロ−2,2,
2−トリフルオロエタン、1,1,1,3−テトラクロ
ロ−2,2,3,3−テトラフルオロプロパン、1,
1,3,4−テトラクロロ−1,2,2,3,4,4−
ヘキサフルオロブタン等のクロロフルオロカーボン類
は、技術的には使用できるが、地球環境保護の観点から
好ましくない。この他にも液体又は超臨界の二酸化炭素
を用いて重合することもできる。
【0059】懸濁重合や乳化重合の場合は、水中又は水
と上述の溶媒との混合系中で重合できるが、本発明の製
造方法では上述した非水系媒体中での重合や、バルク重
合(溶媒の存在しない条件下での重合)でポリマーを得
る。本発明でこれらの重合法を採用する理由は以下のと
おりである。
【0060】懸濁重合においては、重合時にモノマーで
膨潤したポリマー粒子同士が結合して大きな固まりを生
成しやすいため、円滑なプロセスの実現が困難である。
一方、乳化重合においては、物性の制御が難しい。例え
ば、セグメントAがTFE/CF2=CFOCF2CF
(CF3)OCF2CF2SO3H共重合体からなる場合、
含フッ素ポリマーの乳化重合で通常使用されるC715
CO2NH4やC817CO 2NH4(構造異性は限定しな
い)等の乳化剤を用いた通常の乳化重合方法では、イオ
ン交換容量の高いセグメントAを得るのは容易ではな
い。
【0061】例えば、水100質量部に対してCF2
CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2Fを20
質量部及び乳化剤としてn−C817CO2NH4を0.
2質量部加えて57℃で重合した場合、TFEの重合圧
がゲージ圧力で0.2MPaという低圧においては、イ
オン交換容量が0.2ミリ当量/グラム乾燥樹脂以下の
ポリマーのみが得られる。これは上記の−SO2F基を
有するビニルエーテルモノマーの乳化が困難で、モノマ
ー滴から重合場のミセルに円滑に上記ビニルエーテルモ
ノマーを供給できないためと考えられる。したがって、
通常の方法でイオン交換容量が高いポリマーを得るに
は、さらに重合圧力を下げて重合系内のTFEの濃度を
下げる必要があるが、生成ポリマーのイオン交換容量の
重合圧力依存性が大きくなりすぎて、小さな圧力変動で
イオン交換容量や分子量等のポリマー物性が大きく変動
することになり好ましくない。
【0062】このような課題の対策として、超音波や乳
化器等を用いて前乳化する方法(特開昭60−2500
09、特開昭62−288617)や長いアルキル鎖を
有する乳化剤、エーテル鎖を有する乳化剤、スルホン酸
型官能基を有する乳化剤など特殊な乳化剤を用いる方法
が提案されている(特開昭62−288614、特開昭
62−288615、特開昭62−288616)。し
かし、前乳化する方法は、ポリマー物性が前乳化の条件
に敏感で再現性に課題がある。特殊な乳化剤を用いる方
法は、入手が困難であったり、コストが高くなるなどの
課題がある。重合系にt−ブタノールなどの水溶性有機
溶剤を添加する方法も提案されている(特開平6−18
4244)が、廃水処理に課題がある。
【0063】また、再現性よく乳化重合して高いイオン
交換容量のポリマーを得るためには、重合後期において
も−SO2F基を有するビニルエーテルモノマーが多量
に存在している必要があり、該ビニルエーテルモノマー
の転化率を高めることができない。したがって、重合
後、モノマーを回収するプロセスが必要となる。
【0064】非水系媒体中での重合又はバルク重合にお
いては、次のようにしてモノマーを容易に回収できる。
すなわち、ポリマーの凝集、洗浄後濾過又は遠心分離し
て得られた液を蒸留する方法や、重合後の溶液又はスラ
リーを加熱、減圧下でモノマー・溶媒を留去して回収す
る方法が採用できる。一方、乳化重合して得られたラテ
ックスからモノマーを回収する場合、ポリマーを凝集し
てモノマーを回収しようとすると、凝集したポリマーが
モノマーで膨潤しているため水飴状になりやすく取り扱
いが困難である。
【0065】また、水、含フッ素モノマー又は含フッ素
溶媒、含フッ素ポリマーの三者が混在する状態で撹拌す
ると、懸濁状の液状物が生成しやすく、分離が困難であ
る。さらに、水とモノマーの共存下ではフッ酸が副生
し、装置が腐蝕しやすくなる等の問題も生じる。減圧下
でモノマーを回収する方法、溶剤洗浄によりモノマーを
回収する方法においても同様の問題が生じる。ラテック
スに特定の含フッ素溶媒を添加してモノマーを抽出し回
収する方法もあるが、抽出時のラテックスの破壊や、抽
出溶剤がラテックスに吸収される等の問題が生じる。
【0066】また、乳化重合においては、ポリマーが生
成したミセル以外にもミセルが存在する。そのため、最
初に重合したセグメントを含まないミセルで後段の重合
が始まると、ブロックポリマーではなく、ブレンドポリ
マー(セグメントA又はその前駆体を構成するポリマー
とセグメントBを構成するポリマーとの混合物)となる
おそれがある。
【0067】一方、ポリマーと親和性の高い非水系媒体
中での重合やバルク重合ではポリマー成長末端の重合反
応性が維持されるので、上述の問題は起こらない。最初
に重合したセグメントに結晶性がない場合、次段の重合
において、最初に重合したセグメントを上記非水系媒体
やモノマーに均一に溶解させることができるので、円滑
にブロック化の重合反応を進行させることができる。ま
た、完全には溶解しない場合でも、最初に重合したセグ
メントは充分に膨潤するので、重合成長末端の反応性を
確保でき、ブロック化の重合反応を進行させられる。こ
こで最初に結晶性のセグメントを重合すると、次段の重
合でブロック化の重合反応が円滑に進行しにくくなるの
で好ましくない。
【0068】合成したポリマーの−SO2F基は、例え
ばNaOHやKOH等のアルカリが水中、又はメタノー
ルやエタノール等のアルコール類やジメチルスルホキシ
ド等の極性溶媒と水との混合溶媒中に溶解した溶液中で
加水分解されると、−SO3Na基や−SO3K基に変換
される。さらに、塩酸や硫酸や硝酸等の水溶液で処理す
ると酸型化され、NaイオンやKイオンがプロトンに置
換され、スルホン酸基(−SO3H基)に変換される。
加水分解及び酸型化は通常0〜120℃の間で行われ
る。
【0069】ここでは−SO2F基を有するモノマーか
ら合成するセグメントAを例に本発明のブロックポリマ
ーの合成方法を例示したが、−SO2Cl基を有するモ
ノマーから合成する場合も同様に合成でき、例えば固体
高分子型燃料電池の用途に使用する場合にはスルホン酸
基に変換してから使用する。
【0070】本発明のブロックポリマーは、イオン交換
基を有しない非晶質のセグメントB又はセグメントCを
有しており、結晶性を有していないので、−SO2X基
のXが−OMで表され、Mが水素原子、アルカリ金属原
子又はNH4である場合は、−OH基を有する有機溶
媒、特にアルコール性水酸基を有する有機溶媒に溶解又
は良好に分散できる。また、−SO2X基が−SO3NR
1234基(R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水
素原子又は1価の有機基であって、R1〜R4の少なくと
も1つは水素原子ではない。)であるブロックポリマー
も−OH基を有する有機溶媒に溶解又は良好に分散でき
る。上記1価の有機基としては、例えば炭素数1〜5の
アルキル基が挙げられる。
【0071】前記溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、1−プロパノール、2−プロパノール、2,2,2
−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペン
タフルオロ−1−プロパノール、2,2,3,3−テト
ラフルオロ−1−プロパノール、4,4,5,5,5−
ペンタフルオロ−1−ペンタノール、1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、3,3,
3−トリフルオロ−1−プロパノール、3,3,4,
4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキサノ
ール、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,
8,8−トリデカフルオロ−1−オクタノール等が例示
される。またアルコール以外に酢酸等のカルボン酸基を
有する有機溶媒も使用できるが、これらに限定されな
い。
【0072】−OH基を有する有機溶媒は、混合して用
いてもよく、水又は他の含フッ素溶媒と混合して用いて
もよい。他の含フッ素溶媒としては、上述の非水系媒体
中での重合に好ましい含フッ素溶媒として例示した含フ
ッ素溶媒が例示される。混合溶媒を使用する場合、−O
H基を有する有機溶媒は、溶媒全質量の10%以上、特
に20%以上含まれることが好ましい。混合溶媒を用い
る場合、最初からブロックポリマーを混合溶媒中に溶解
又は分散させてもよいが、−OH基を有する有機溶媒に
溶解した後、他の溶媒を混合してもよい。
【0073】また、本発明のブロックポリマーは水に溶
解させることは容易でないが、−OH基を有する有機溶
媒に溶解させれば、得られた溶液に水を添加してもポリ
マーは析出しない。イオン交換基が溶媒と相互作用し、
ポリマーは安定化して液中に存在できると考えられる。
さらに、−OH基を有する有機溶媒の加熱留去と水添加
の操作により、又は遠心分離機によるポリマー濃縮と水
添加を繰り返す等の操作により、実質的に有機溶媒を含
有しないポリマーの水分散液を調製することもできる。
本発明のブロックポリマーの溶解は、通常室温から15
0℃までの間で行われる。
【0074】上記のような−OH基を有する有機溶媒を
含む溶媒又は水にブロックポリマーを溶解又は分散させ
て得られる液状組成物を使用して、固体高分子型燃料電
池の電極を作製すると、ガス拡散性に優れるガス拡散電
極が得られる。特に得られた電極をカソードに使用する
と、酸素ガス透過性に優れ好ましい。前記液状組成物中
のブロックポリマーの濃度は、液状組成物全質量の1〜
50%、特に3〜30%であることが好ましい。濃度が
低すぎると電極作製時に多量の有機溶媒が必要とされ、
濃度が高すぎると液の粘度が高すぎて取り扱い性が悪く
なる。
【0075】上記液状組成物を用いて固体高分子型燃料
電池の電極を作製する場合、通常の手法に従って、液状
組成物に白金触媒微粒子を担持させた導電性のカーボン
ブラック粉末を混合して分散させ、得られた均一の分散
液を用いて、以下の2つのいずれかの方法で膜−電極接
合体を得ることが好ましい。第1の方法は、カチオン交
換膜両面に前記分散液を塗布乾燥後、カーボンクロス又
はカーボンペーパーで密着する方法である。第2の方法
は前記分散液をカーボンクロス又はカーボンペーパー上
に塗布乾燥後、カチオン交換膜に密着させる方法であ
る。
【0076】得られた膜−電極接合体は、例えば燃料ガ
ス又は酸素を含む酸化剤ガス(空気、酸素等)の通路と
なる溝が形成され導電性カーボン板等からなるセパレー
タの間に挟まれ、セルに組み込まれることにより固体高
分子型燃料電池が得られる。
【0077】また、本発明のブロックポリマーは押出し
成形等の溶融成形により成形体を得ることもできる。例
えば、−SO2F基を有するブロックポリマーを例にと
ると、−SO2F基を熱分解させることなく溶融成形す
るためには、各セグメントのガラス転移温度Tgが27
0℃以下であることが好ましく、また結晶融点Tmが存
在する場合はTmが270℃以下であることが好まし
い。−SO2F基は350℃以上では熱分解が顕著にな
るが、成形機内での滞留時間が長い場合には、それより
低い温度から分解が起こる。一方、溶融流動性を確保す
るには、少なくともT g又はTmよりも30〜40℃以上
高い温度で成形する必要がある。したがって、安定して
溶融成形できる温度を確保するために、Tg又はTmは2
70℃以下とすることが好ましい。ここでTg又はTm
複数存在する場合は、全てのTg又はTmを270℃以下
とすることが好ましい。
【0078】一般に、ブロックポリマーは、各セグメン
トが互いに不溶の場合は各セグメントに基づく複数のT
gを有し、各セグメントの相溶性が良い場合には各セグ
メントのTgの間の温度に1つのTgを有する(「高分子
と複合材料の力学的性質」L.E.Nielsen著、
小野木重治訳、第1版、第7刷、pp129−133、
(株)化学同人(1976))。そして、本発明のブロ
ックポリマーの各セグメントを構成する好ましいポリマ
ーの具体的なTgは以下のとおりである。
【0079】CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2
CF2SO2F(以下、PSVEという。)に基づく繰り
返し単位を20モル%以上含有する共重合体のTg:1
00℃未満、PBVEのTg:108℃、ポリ(ペルフ
ルオロ(アリルビニルエーテル))のTg:69℃、ポ
リ(パーフルオロ(3,5−ジオキサ−1,6−ヘプタ
ジエン))のTg:78℃、ポリ(ペルフルオロ(2−
メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン))のT
g:130℃、ポリ(ペルフルオロ(1,3−ジオキソ
ール))のTg:180℃、ポリ(ペルフルオロ(4−
メトキシ−1,3−ジオキソール))のTg:162
℃、TFE/PDD共重合体(モル比35:65)のT
g:160℃、TFE/PDD共重合体(モル比13:
87)のTg:240℃。
【0080】したがって、上に挙げたようなTgが27
0℃以下のポリマーからなるセグメントのみで構成され
るブロックポリマーは、各セグメントの相溶性にかかわ
らず270℃を超えるTgを有しない。そのため、容易
に溶融成形できる。
【0081】また、例えばPPDDのTgは335℃で
あるが、TFE/PSVE共重合体とは相溶性が良いた
め、PPDDからなるセグメントとTFE/PSVE共
重合体からなるセグメントとからなるブロックポリマー
は、Tgを270℃以下となるように制御することもで
きる。ただし、このブロックポリマーの場合、加水分解
すると各セグメントは互いに不溶となる。
【0082】
【実施例】以下に、本発明を実施例(例1〜5)及び比
較例(例6)により具体的に説明するが、本発明はこれ
らに限定されない。なお、以下の例において、下記の略
号を用いる。 PPVE:CF2=CFOCF2CF2CF3、 IPP:(CH32CHOC(=O)OOC(=O)O
CH(CH32、 HCFC141b:CH3CCl2F(旭硝子社製)、 HCFC225cb:CClF2CF2CHClF(旭硝
子社製)。
【0083】また、以下の各例において合成されるAB
型、ABA型又はBAB型のブロックポリマー(A及び
BはそれぞれセグメントA及びセグメントBを表す。)
において、各セグメント及びポリマー全体の分子量とイ
オン交換容量は以下のようにして求めた。この方法によ
り求めた各例のポリマーの物性は、表1に示す。なお、
ABA型ブロックポリマーのセグメントAの分子量は、
ポリマー鎖に導入されたセグメントA合計の分子量(ブ
ロックポリマー全体の分子量からセグメントBの分子量
を差し引いた分子量)を示し、BAB型も同様である。
【0084】なお、表1及び表2において、イオン交換
容量の単位は、ミリ当量/g乾燥樹脂である。また、表
1におけるA及びBは、それぞれセグメントA及びセグ
メントBを示す。 [先にセグメントAを合成する場合]最初に合成したセ
グメントAについて、滴定によりイオン交換容量を求
め、サイズ排除クロマトグラフィー(以下、GPCとい
う。)によりポリメタクリル酸メチル換算の数平均分子
量を求めた(装置:東ソー社製、SEC HLC−80
20、移動相:HCFC225cb/1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(99/1
体積比)、カラム:ポリマー ラボラトリー社製、Pl
gel 5μ MIXED−C 2本)。次にセグメン
トBをブロック化共重合して得られたブロックポリマー
全体のイオン交換容量を滴定により求めた。セグメント
Aのイオン交換容量の値とブロックポリマー全体のイオ
ン交換容量の値から、セグメントAとセグメントBの質
量比を求めセグメントBの分子量を算出し、さらに前述
のセグメントAの分子量を用いてブロックポリマー全体
の分子量を算出した。
【0085】[先にセグメントBを合成する場合]セグ
メントBにセグメントAをブロック化共重合して得られ
たブロックポリマー全体のイオン交換容量と、19F−N
MR(溶媒:ペルフルオロベンゼン、基準物質:CFC
3、δ(ppm))で求めたセグメントAのイオン交
換容量から、セグメントAとセグメントBの質量比を求
めた。上述と同様にしてGPCにより求めたセグメント
Bの分子量を用いてセグメントAの分子量及びブロック
ポリマー全体の分子量を算出した。以下にブロックポリ
マーの合成例を示し、得られたポリマーのイオン交換容
量及び分子量は表1に示す。
【0086】[例1] [(TFE/PPVE共重合体)−(TFE/PSVE
共重合体)ブロックポリマーの合成] [TFE/PPVE共重合体セグメントの重合]脱気し
た内容積1Lのオートクレーブに、4.50gの1−ヨ
ードパーフルオロブタン(F(CF24I)と706.
5gのPPVEとを吸入させた後、40℃に加熱した。
88gのTFEを圧入後、5.36gのIPPを78.
2gのHCFC225cbに混合して得られる溶液5m
Lを圧入し、重合を開始した。圧力を一定(ゲージ圧で
0.66MPa)に保ちながら重合を継続した。重合速
度の低下にともない、上記IPPの溶液をさらに添加し
て重合を続けた。添加したIPPの総量は1.6gであ
った。TFEが80g入ったところで加熱を止めてTF
Eをパージし、重合を止めた。得られた溶液を、HCF
C141bに注いで凝集後、洗浄、ろ過、乾燥すること
により、白色のポリマー152gを得た。
【0087】上記ポリマーは、TFEに基づく繰り返し
単位とPPVEに基づく繰り返し単位との比が、モル比
で72:28であるTFE/PPVE共重合体であっ
た。また、上記ポリマーは室温ではエラストマー状であ
った。
【0088】[TFE/PSVE共重合体セグメントの
ブロック共重合]上記TFE/PPVE共重合体80g
を、内容積1Lのオートクレーブに入れ、脱気後、77
8.5gのPSVEを吸入させた後に40℃に加熱し、
30分撹拌して溶解した。TFEを60g圧入後、2.
8gのIPPを78.6gのHCFC225cbに混合
して得られる溶液6mLを圧入し、重合を開始した。圧
力を一定(ゲージ圧で0.49MPa)に保ちながら重
合を継続した。重合速度の低下にともない、上記IPP
の溶液をさらに添加して重合を続けた。添加したIPP
の総量は1.17gであった。TFEが55g入ったと
ころで加熱を止めてTFEをパージし、重合を止めた。
得られた溶液を、HCFC141bに注いで凝集後、洗
浄、ろ過、乾燥することにより、白色のポリマー(以
下、ポリマー1という。)268.5gを得た。TFE
とPSVEのモル比は70.5:29.5であった。
【0089】図1に、初めに得られたTFE/PPVE
共重合体及び上記で得られたポリマー1それぞれのGP
Cチャートを、それぞれ実線及び破線で示す。横軸は抽
出時間、縦軸はピーク強度を示す。ポリマー1のピーク
は、TFE/PPVE共重合体よりも高分子量側に一つ
のピークとして表れていることから、ほとんどブレンド
ポリマーが存在しないと判断できる。また、ペルフルオ
ロベンゼン中におけるTFE/PPVE共重合体及び上
記ポリマー1それぞれの19F−NMRチャートを、それ
ぞれ図2(a)及び図2(b)に示す。横軸は周波数、
縦軸はピーク強度を示しており、図3〜5も同様であ
る。これらより、ポリマー1が(TFE/PPVE共重
合体)−(TFE/PSVE共重合体)ブロックポリマ
ーであると確認した。
【0090】[例2] [(PBVE)−(TFE/PSVE共重合体)ブロッ
クポリマーの合成] [PBVEセグメントの重合]500mLのガラス製の
フラスコにF(CF24Iを2.77g、1H−ペルフ
ルオロヘキサン(以下、C613Hという。)を203
g、及びBVEを200g入れて撹拌し、40℃に加温
した。これに、0.33gのIPPを加え、重合を開始
した。途中、重合速度低下にともない、1.0gのIP
Pを9.0gのC613Hに混合して得られた溶液を追
加して重合を続け、重合開始から97時間後に加熱を止
めた。なお、IPPの総添加量は0.66gであった。
この反応液をHCFC141bに注いで凝集後、洗浄、
ろ過、乾燥することにより、非晶質のポリマー137g
を得た。
【0091】[TFE/PSVE共重合体セグメントの
ブロック共重合]上記で得られたポリマー80gを内容
積1Lのオートクレーブに入れ、脱気し、PSVEを7
78.5g吸入させた後に40℃に加熱し、30分撹拌
した。次いでTFEを58g圧入後、2.63gのIP
Pを78.2gのHCFC225cbに溶解した溶液5
mLを圧入し、重合を開始した。圧力を一定に保ちなが
ら重合を継続し、重合速度が低下すると上記IPPの溶
液を補充して重合を続けた。添加したIPPの総量は
1.05gであった。TFEが55g入ったところで加
熱を止めてTFEをパージし、重合を止めた。得られた
溶液を、HCFC141bに注いで凝集させた後、洗
浄、ろ過、乾燥することにより、白色のポリマー(以
下、ポリマー2という。)217gを得た。TFEとP
SVEのモル比は72.1:27.9であった。ペルフ
ルオロベンゼン中におけるPBVE及び上記ポリマー2
それぞれの19F−NMRチャートを、それぞれ図3
(a)及び図3(b)に示す。
【0092】[例3] [(TFE/PSVE共重合体)−(PBVE)−(T
FE/PSVE共重合体)ブロックポリマーの合成] [PBVEセグメントの重合]500mLのガラス製の
フラスコに5.71gの1,4−ジヨードペルフルオロ
ブタン(I(CF24I)、150gのC613H及び
152gのBVEを入れて撹拌し、40℃に加温した。
これに2.29gのIPPを12.65gのHCFC2
25cbに溶解した溶液3.34gを加え、40℃で1
17時間重合を行った。この反応液をHCFC141b
に注いで凝集後、洗浄、ろ過、乾燥することにより、非
晶質の樹脂153gを得た。
【0093】[TFE/PSVE共重合体セグメントの
ブロック共重合]上記PBVE80gを内容積1Lのオ
ートクレーブに入れ、脱気後、778.5gのPSVE
を吸入させて40℃に加熱し、30分撹拌して溶解し
た。TFEを60g圧入後、2.8gのIPPを78.
2gのHCFC225cbに溶解した溶液7mLを圧入
し、重合を開始した。圧力を一定(ゲージ圧で0.49
MPa)に保ちながら重合を継続した。重合速度の低下
にともない、上記IPPの溶液をさらに添加して重合を
続けた。添加したIPPの総量は1.23gであった。
TFEが53g入ったところで加熱を止めてTFEをパ
ージし、重合を止めた。得られた溶液を、HCFC14
1bに注いで凝集後、洗浄、ろ過、乾燥することによ
り、白色のポリマー(以下、ポリマー3という。)26
5gを得た。TFEとPSVEのモル比は70.1:2
9.9であった。ペルフルオロベンゼン中におけるPB
VE及び上記ポリマー3それぞれの19F−NMRチャー
トを、それぞれ図4(a)及び図4(b)に示す。
【0094】[例4] [(PBVE)−(TFE/PSVE共重合体)−(P
BVE)ブロックポリマーの合成] [TFE/PSVE共重合体セグメントの重合]脱気し
た内容積1Lのオートクレーブに、4.15gのI(C
24Iと778.5gのPSVEを吸入させた後に4
0℃に加熱した。58gのTFEを圧入後、7.53g
のIPPを78.2gのHCFC225cbに溶解した
溶液6mLを圧入し、重合を開始した。圧力を一定(ゲ
ージ圧で0.45MPa)に保ちながら重合を継続し
た。重合速度の低下にともない、上記IPPの溶液をさ
らに添加して重合を続けた。添加したIPPの総量は
1.66gであった。TFEが80g入ったところで加
熱を止めてTFEをパージし、重合を止めた。得られた
溶液を、HCFC141bに注いで凝集後、洗浄、ろ
過、乾燥することにより、室温においてエラストマー状
のポリマー235gを得た。TFEとPSVEのモル比
は72.1:27.9であった。
【0095】[PBVEセグメントのブロック共重合]
500mLのガラス製のフラスコに上記50gのTFE
/PSVE共重合体と250gのC613Hと30gの
BVEを入れて撹拌、溶解し、40℃に加温した。これ
に0.97gのIPPを17.26gのHCFC225
cbに溶解した溶液1.39gを加え、重合を開始し
た。途中重合速度の低下にともない、上記IPPの溶液
をさらに添加して重合を続けた。IPP添加の総量は
0.15gであった。重合開始から366時間後に加熱
を止めた。この反応液をHCFC141bに注いで凝集
後、洗浄、ろ過、乾燥することにより、白色のポリマー
(以下、ポリマー4という。)71.5gを得た。ペル
フルオロベンゼン中におけるTFE/PSVE及び上記
ポリマー4それぞれの19F−NMRチャートを、それぞ
れ図5(a)及び図5(b)に示す。
【0096】[例5] [(PPDD)−(TFE/PSVE共重合体)−(P
PDD)ブロックポリマーの合成] [PPDDセグメントのブロック共重合]500mLの
ガラス製のフラスコに例4において得られたTFE/P
SVE共重合体を50gと、250gのC613Hと2
5gのPDDを入れて撹拌し、TFE/PSVE共重合
体を溶解させた。これに0.082gのIPPを5gの
613Hに溶解した溶液を加え、30℃で65時間重
合した。この反応液をHCFC141bに注いで凝集
後、洗浄、ろ過、乾燥することにより、白色のポリマー
62.9gを得た。
【0097】[ポリマーの酸型化及び溶液化]例1で得
られたポリマー((TFE/PPVE共重合体)−(T
FE/PSVE共重合体)ブロックポリマー)を空気
中、250℃で一晩熱処理した。このポリマーを20.
1g、及び30.2gのジメチルスルホキシドと13.
2gのKOHを59.2gの水に溶解した水溶液をセパ
ラブルフラスコに加え、70℃に加熱し、撹拌した。1
6時間後、ポリマーをろ過、水洗した後、再びセパラブ
ルフラスコに戻し、60gの水を補充して、60℃で3
時間加熱撹拌した。これらの操作を2回繰り返した後、
pHが8以下となっていることを確認した。
【0098】上記で得られた溶液をろ過し、ポリマーを
セパラブルフラスコに戻して、0.5モル/Lの硫酸6
0gを加え、16時間60℃で加熱撹拌した。ポリマー
をろ過後、水洗し、セパラブルフラスコに戻して60g
の水を加えて60℃で3時間、加熱撹拌した。この硫酸
を加えた後の加熱撹拌、水洗、水を加えた後の加熱撹拌
の操作を2回繰り返し、操作終了後のpHが4以上であ
ることを確認した。次いで得られたポリマーを空気中で
60℃にて16時間乾燥し、さらに真空中で60℃にて
16時間乾燥した。
【0099】上記のポリマー10gとエタノール40g
を混合し、70℃で24時間加熱撹拌することにより、
濃度20%(質量比)の青白い半透明の粘稠なポリマー
溶液を得た。このポリマー溶液20gにエタノール20
gを加え、しばらく撹拌して調製した濃度10%の共重
合体溶液(以下、溶液1という。)は白濁していた。ま
た、上記濃度20%のポリマー溶液20gにHCFC2
25cbを20g加えて同様に調製した濃度10%のポ
リマー溶液(以下、溶液2という。)は無色透明であっ
た。このようにして得た溶媒の異なる溶液1及び溶液2
からそれぞれキャストフィルムを作製し、透過型電子顕
微鏡で観察したところ、いずれのキャストフィルムにも
相分離構造が確認された。
【0100】[含水率の測定]例1〜5で合成したブロ
ックポリマーを用い、[ポリマーの酸型化及び溶液化]
の項と同様の操作を行い、酸型化し、溶液2の作製と同
様にしてポリマー溶液(溶媒:エタノールとHCFC2
25cbの混合溶媒)を作製した。この溶液をキャスト
製膜し、160℃で30分加熱することにより例1〜5
のポリマーフィルムをそれぞれ作製した。
【0101】このフィルムを90℃のイオン交換水に1
6時間浸漬後、質量を測定した。次いでフィルムを11
0℃にて16時間真空乾燥して再び質量を測定した。前
者の質量をa(g)、後者の質量をb(g)とし、含水
率を含水率(%)=100×(a−b)/bにより求め
た。結果を表2に示す。
【0102】[燃料電池の作製及び性能の評価] (1)例1で得られたブロックポリマーを用いた燃料電
池 共重合体と白金担持カーボンの質量比が3:7となるよ
うに白金担持カーボンを溶液2に混合して塗工液とし、
該塗工液をカーボンクロス上に塗工し、乾燥して厚さ1
0μm、白金担持量0.5mg/cm2のガス拡散電極
層を形成したガス拡散電極を得た。
【0103】一方、TFE/PSVE共重合体(イオン
交換容量1.1ミリ当量/グラム乾燥樹脂)を押し出し
製膜し、加水分解、酸型化、水洗を行って、膜厚50μ
mのスルホン酸基を有するペルフルオロポリマーからな
る膜を得た。この膜を、上記ガス拡散電極2枚の間に挟
み、平板プレス機を用いてプレスし、さらに加熱プレス
して膜−電極接合体を作製した。
【0104】この膜−電極接合体の外側にチタン製の集
電体、さらにその外側にPTFE製のガス供給室、さら
にその外側にヒーターを配置し、有効膜面積9cm2
燃料電池を組み立てた。
【0105】燃料電池の温度を80℃に保ち、カソード
に酸素、燃料極に水素をそれぞれ0.05MPa加圧で
供給した。電流密度1A/cm2のときの端子電圧を測
定したところ、端子電圧は0.63Vであった。この状
態で1000時間連続運転したところ、1000時間後
の端子電圧は0.62Vであった。
【0106】(2)例5で得られたブロックポリマーを
用いた燃料電池 例5で得られたポリマー((PPDD)−(TFE/P
SVE共重合体)−(PPDD)ブロックポリマー)を
用い、[ポリマーの酸型化及び溶液化]の項と同様の操
作を行い、酸型化し、HCFC225cbのかわりに1
H−ペルフルオロヘキサンを用いた以外は溶液2の作製
と同様にして濃度10%のポリマー溶液(溶液3)を得
た。
【0107】溶液2のかわりに溶液3を用いた以外は
(1)と同様にして燃料電池を作製し、(1)と同様に
して性能の評価を行った。電流密度1A/cm2のとき
の端子電圧は0.65Vであり、この状態で1000時
間連続運転した後の端子電圧は0.64Vであった。
【0108】[例6(比較例)]ガス拡散電極を、例1
で合成したポリマーのかわりにTFE/PSVE共重合
体(イオン交換容量1.1ミリ当量/グラム乾燥樹脂)
を用いて作製したほかは、例1と同様に燃料電池を作製
し、例1と同様に燃料電池性能を評価した。80℃にお
いて、電流密度1A/cm2のときの端子電圧は0.6
0Vであり、1000時間後の端子電圧は0.50Vで
あった。
【0109】また、上記TFE/PSVE共重合体を質
量比で10%の濃度でエタノールに溶解した溶液を用い
て[含水率の測定]の項と同様の方法でキャスト製膜
し、得られたフィルムの含水率を測定した。結果を表2
に示す。表2によれば、本発明のブロックポリマーは、
イオン交換容量が同等以上である比較例の従来のイオン
交換樹脂よりも高い含水率を有している。
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】
【0112】
【発明の効果】本発明のブロックポリマーは、高イオン
交換容量のスルホン酸基を有するペルフルオロポリマー
相(セグメントA)と撥水性を有しイオン交換基を有し
ないペルフルオロポリマー相(セグメントB又はセグメ
ントC)が同時に導入されて各相が分離している構造を
有しているため、含水率が高くかつ撥水性を有してい
る。特に脂肪族環構造を有するポリマーからなるセグメ
ントを含む場合は、酸素ガス透過性にも優れている。し
たがって、本発明のブロックポリマーと触媒とにより構
成される電極を有する固体高分子型燃料電池は、出力密
度が高く、またフラッディングが起こりにくいため長期
的に使用しても高性能を維持できる。
【0113】また、本発明のブロックポリマーは、食塩
電解等の電気化学プロセスにおけるイオン交換膜、選択
透過膜、除湿膜、センサー、化学反応の酸触媒、固体電
解質等の用途にも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】例1で合成したTFE/PPVE共重合体及び
ブロックポリマーのGPCチャート。
【図2】(a)例1で合成したTFE/PPVE共重合
体の19F−NMRチャート。(b)例1で合成したポリ
マー1の19F−NMRチャート。
【図3】(a)例2で合成したPBVEの19F−NMR
チャート。(b)例2で合成したポリマー2の19F−N
MRチャート。
【図4】(a)例3で合成したPBVEの19F−NMR
チャート。(b)例3で合成したポリマー3の19F−N
MRチャート。
【図5】(a)例4で合成したTFE/PSVE共重合
体の19F−NMRチャート。(b)例4で合成したポリ
マー4の19F−NMRチャート。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記セグメントAと下記セグメントBとか
    らなりかつ分子量が5×103〜5×106であることを
    特徴とするブロックポリマー。 セグメントA:−SO2X基(ただし、Xはフッ素原
    子、塩素原子又はOMであり、Mは水素原子、アルカリ
    金属原子又はNR1234であり、R1、R2、R3
    4はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基であ
    る。)を有するペルフルオロビニルエーテルに基づく繰
    り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し
    単位とを含む共重合体であって、前記ペルフルオロビニ
    ルエーテルに基づく繰り返し単位が20モル%以上含ま
    れる共重合体からなるセグメント。 セグメントB:イオン交換基を有さず、主鎖に脂肪族環
    構造を有する非晶質のペルフルオロポリマーからなるセ
    グメント。
  2. 【請求項2】セグメントBが、ポリ(ペルフルオロ(3
    −ブテニルビニルエーテル))、ポリ(ペルフルオロ
    (アリルビニルエーテル))、ポリ(ペルフルオロ
    (3,5−ジオキサ−1,6−ヘプタジエン))、ポリ
    (ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソ
    ール))、ポリ(ペルフルオロ(1,3−ジオキソー
    ル))、ポリ(ペルフルオロ(4−メトキシ−1,3−
    ジオキソール))、テトラフルオロエチレン/ペルフル
    オロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)共重
    合体又はポリ(ペルフルオロ(2−メチレン−4−メチ
    ル−1,3−ジオキソラン))からなる請求項1に記載
    のブロックポリマー。
  3. 【請求項3】セグメントAとセグメントBとの質量比が
    95/5〜5/95である請求項1又は2に記載のブロ
    ックポリマー。
  4. 【請求項4】下記セグメントAと下記セグメントCとか
    らなり、かつ分子量が5×103〜5×106であること
    を特徴とするブロックポリマー。 セグメントA:−SO2X基(ただし、Xはフッ素原
    子、塩素原子又はOMであり、Mは水素原子、アルカリ
    金属原子又はNR1234であり、R1、R2、R3
    4はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基であ
    る。)を有するペルフルオロビニルエーテルに基づく繰
    り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し
    単位とを含む共重合体であって、前記ペルフルオロビニ
    ルエーテルに基づく繰り返し単位が20モル%以上含ま
    れる共重合体からなるセグメント。 セグメントC:イオン交換基を有さず、ペルフルオロ
    (アルキルビニルエーテル)に基づく繰り返し単位とテ
    トラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とからなる
    共重合体であって、前記ペルフルオロ(アルキルビニル
    エーテル)に基づく繰り返し単位が20モル%以上含ま
    れる非晶質の共重合体からなるセグメント。
  5. 【請求項5】前記ペルフルオロ(アルキルビニルエーテ
    ル)が、CF2=CF−(OCF2CFZ)t−O−R
    f(ただし、Zはフッ素原子又はトリフルオロメチル基
    であり、Rfは直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜12のペル
    フルオロアルキル基であり、tは0〜3の整数であ
    る。)で表される化合物である請求項4に記載のブロッ
    クポリマー。
  6. 【請求項6】セグメントAとセグメントCとの質量比が
    95/5〜5/95である請求項4又は5に記載のブロ
    ックポリマー。
  7. 【請求項7】270℃より高いガラス転移温度を有さな
    いペルフルオロポリマーであり、かつ結晶融点を有する
    セグメントが存在しないか又は結晶融点を有するセグメ
    ントが存在する場合には当該結晶融点が270℃以下で
    あり、かつXがフッ素原子又は塩素原子である請求項1
    〜6のいずれかに記載のブロックポリマー。
  8. 【請求項8】第1のラジカル開始剤とヨウ素含有含フッ
    素化合物との存在下で、非水系媒体中又は溶媒の存在し
    ない条件下で、1種又は2種以上の含フッ素モノマーか
    らなる第1のモノマー群を重合し、実質的に非晶質の重
    合体を合成した後、前記重合体と第2のラジカル開始剤
    との存在下で、1種又は2種以上のモノマーからなり前
    記第1のモノマー群とは異なる第2のモノマー群を非水
    系媒体中又は溶媒の存在しない条件下で重合することを
    特徴とする重合体の製造方法。
  9. 【請求項9】前記第2のモノマー群は含フッ素モノマー
    からなり、かつ前記第2のモノマー群の重合後に得られ
    る重合体は実質的に非晶質である請求項8に記載の重合
    体の製造方法。
  10. 【請求項10】前記第1のモノマー群と前記第2のモノ
    マー群とは、いずれか一方が下記モノマー群aであり他
    方が下記モノマー群bである請求項8又は9に記載の重
    合体の製造方法。 モノマー群a:−SO2X’基を有するペルフルオロビ
    ニルエーテル(ただし、X’はフッ素原子又は塩素原子
    である。)とテトラフルオロエチレン。 モノマー群b:イオン交換基を有さず脂肪族環構造を有
    するペルフルオロモノマー、又はイオン交換基を有さず
    脂肪族環構造を有するペルフルオロモノマーと他の1種
    以上のイオン交換基を有しないペルフルオロモノマー。
  11. 【請求項11】前記第1のモノマー群と前記第2のモノ
    マー群とは、いずれか一方が下記モノマー群aであり他
    方が下記モノマー群b’である請求項8又は9に記載の
    重合体の製造方法。 モノマー群a:−SO2X’基を有するペルフルオロビ
    ニルエーテル(ただし、X’はフッ素原子又は塩素原子
    である。)とテトラフルオロエチレン。 モノマー群b’:イオン交換基を有さず2つの二重結合
    を有して環化重合しうるペルフルオロモノマー、又はイ
    オン交換基を有さず2つの二重結合を有して環化重合し
    うるペルフルオロモノマーと他の1種以上のイオン交換
    基を有しないペルフルオロモノマー。
  12. 【請求項12】前記第1のモノマー群と前記第2のモノ
    マー群とは、いずれか一方が下記モノマー群aであり他
    方が下記モノマー群cである請求項8又は9に記載の重
    合体の製造方法。 モノマー群a:−SO2X’基を有するペルフルオロビ
    ニルエーテル(ただし、X’はフッ素原子又は塩素原子
    である。)とテトラフルオロエチレン。 モノマー群c:イオン交換基を有さないペルフルオロ
    (アルキルビニルエーテル)とテトラフルオロエチレ
    ン。
  13. 【請求項13】前記ヨウ素含有フッ素化合物がペルフル
    オロアルキルモノヨージドである請求項8〜12のいず
    れかに記載の重合体の製造方法。
  14. 【請求項14】請求項1〜7のいずれかに記載のブロッ
    クポリマーであって−SO2X基のXがOMで表され、
    Mが水素原子、アルカリ金属原子又はNR1234
    あり、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子又
    は1価の有機基であるブロックポリマーが、アルコール
    性水酸基を有する有機溶媒に溶解又は分散していること
    を特徴とする液状組成物。
JP2001037549A 2000-02-15 2001-02-14 ブロックポリマー、重合体の製造方法及びブロックポリマーを含む液状組成物 Expired - Lifetime JP4792640B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001037549A JP4792640B2 (ja) 2000-02-15 2001-02-14 ブロックポリマー、重合体の製造方法及びブロックポリマーを含む液状組成物

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000-36941 2000-02-15
JP2000036941 2000-02-15
JP2000036941 2000-02-15
JP2000351817 2000-11-17
JP2000-351817 2000-11-17
JP2000351817 2000-11-17
JP2001037549A JP4792640B2 (ja) 2000-02-15 2001-02-14 ブロックポリマー、重合体の製造方法及びブロックポリマーを含む液状組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002212246A true JP2002212246A (ja) 2002-07-31
JP4792640B2 JP4792640B2 (ja) 2011-10-12

Family

ID=27342365

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001037549A Expired - Lifetime JP4792640B2 (ja) 2000-02-15 2001-02-14 ブロックポリマー、重合体の製造方法及びブロックポリマーを含む液状組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4792640B2 (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004231936A (ja) * 2002-12-06 2004-08-19 Asahi Glass Co Ltd テトラフルオロエチレン共重合体、その製造方法およびペースト押し出し成形物
JP2008031464A (ja) * 2006-07-04 2008-02-14 Sumitomo Chemical Co Ltd 高分子電解質エマルションおよびその用途
JP2009256455A (ja) * 2008-04-16 2009-11-05 Daikin Ind Ltd 含フッ素ブロック共重合体
JP2017141153A (ja) * 2016-02-11 2017-08-17 コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ 炭素基材の疎水性処理方法
WO2017170055A1 (ja) * 2016-03-29 2017-10-05 旭硝子株式会社 ペルフルオロブロックポリマー、液状組成物、固体高分子電解質膜、および固体高分子形燃料電池用膜電極接合体
JP2017204449A (ja) * 2016-05-13 2017-11-16 トヨタ自動車株式会社 燃料電池
EP3375798A1 (en) * 2017-03-17 2018-09-19 Solvay Specialty Polymers Italy S.p.A. Method for making fluoropolymers
JP2019021648A (ja) * 2018-11-09 2019-02-07 トヨタ自動車株式会社 燃料電池
JP2020534402A (ja) * 2017-09-14 2020-11-26 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー フルオロポリマー分散体、フルオロポリマー分散体を製造するための方法、触媒インク及びポリマー電解質膜
WO2024009701A1 (ja) * 2022-07-07 2024-01-11 Agc株式会社 含フッ素重合体、組成物、表面処理剤及び物品

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS533495A (en) * 1976-06-30 1978-01-13 Daikin Ind Ltd Preparation of fluorine-containing polymer having plurality of chain segments
JPS63238111A (ja) * 1987-03-27 1988-10-04 Asahi Glass Co Ltd 環状構造を有する含フツ素重合体の製造方法
JPH04270712A (ja) * 1991-02-26 1992-09-28 Asahi Glass Co Ltd 含フッ素セグメント化ポリマー
WO1998043952A1 (fr) * 1997-03-31 1998-10-08 Daikin Industries, Ltd. Procede de production de derives d'acide ethersulfonique de perfluorovinyle et copolymere correspondant
JPH11329062A (ja) * 1998-05-13 1999-11-30 Daikin Ind Ltd 燃料電池に使用するのに適した固体高分子電解質用材料
JP2001176524A (ja) * 1999-12-21 2001-06-29 Asahi Glass Co Ltd 固体高分子電解質型燃料電池

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS533495A (en) * 1976-06-30 1978-01-13 Daikin Ind Ltd Preparation of fluorine-containing polymer having plurality of chain segments
JPS63238111A (ja) * 1987-03-27 1988-10-04 Asahi Glass Co Ltd 環状構造を有する含フツ素重合体の製造方法
JPH04270712A (ja) * 1991-02-26 1992-09-28 Asahi Glass Co Ltd 含フッ素セグメント化ポリマー
WO1998043952A1 (fr) * 1997-03-31 1998-10-08 Daikin Industries, Ltd. Procede de production de derives d'acide ethersulfonique de perfluorovinyle et copolymere correspondant
JPH11329062A (ja) * 1998-05-13 1999-11-30 Daikin Ind Ltd 燃料電池に使用するのに適した固体高分子電解質用材料
JP2001176524A (ja) * 1999-12-21 2001-06-29 Asahi Glass Co Ltd 固体高分子電解質型燃料電池

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004231936A (ja) * 2002-12-06 2004-08-19 Asahi Glass Co Ltd テトラフルオロエチレン共重合体、その製造方法およびペースト押し出し成形物
JP2008031464A (ja) * 2006-07-04 2008-02-14 Sumitomo Chemical Co Ltd 高分子電解質エマルションおよびその用途
JP2009256455A (ja) * 2008-04-16 2009-11-05 Daikin Ind Ltd 含フッ素ブロック共重合体
JP2017141153A (ja) * 2016-02-11 2017-08-17 コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ 炭素基材の疎水性処理方法
JPWO2017170055A1 (ja) * 2016-03-29 2019-02-07 Agc株式会社 ペルフルオロブロックポリマー、液状組成物、固体高分子電解質膜、および固体高分子形燃料電池用膜電極接合体
WO2017170055A1 (ja) * 2016-03-29 2017-10-05 旭硝子株式会社 ペルフルオロブロックポリマー、液状組成物、固体高分子電解質膜、および固体高分子形燃料電池用膜電極接合体
JP2017204449A (ja) * 2016-05-13 2017-11-16 トヨタ自動車株式会社 燃料電池
US10673075B2 (en) 2016-05-13 2020-06-02 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Fuel cell catalyst layer for improving power generation
EP3375798A1 (en) * 2017-03-17 2018-09-19 Solvay Specialty Polymers Italy S.p.A. Method for making fluoropolymers
WO2018167189A1 (en) * 2017-03-17 2018-09-20 Solvay Specialty Polymers Italy S.P.A. Method for making fluoropolymers
JP2020534402A (ja) * 2017-09-14 2020-11-26 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー フルオロポリマー分散体、フルオロポリマー分散体を製造するための方法、触媒インク及びポリマー電解質膜
JP2019021648A (ja) * 2018-11-09 2019-02-07 トヨタ自動車株式会社 燃料電池
WO2024009701A1 (ja) * 2022-07-07 2024-01-11 Agc株式会社 含フッ素重合体、組成物、表面処理剤及び物品

Also Published As

Publication number Publication date
JP4792640B2 (ja) 2011-10-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6610789B2 (en) Block polymer, process for producing a polymer, and polymer electrolyte fuel cell
US7429428B2 (en) Polymer electrolyte material, production method thereof and membrane electrode assembly for polymer electrolyte fuel cell
JP4677898B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用電解質材料の製造方法及び固体高分子型燃料電池用膜電極接合体
EP1914824B1 (en) Electrolyte material for solid polymer fuel cell, electrolyte membrane and membrane-electrode assembly
JP6593346B2 (ja) 電解質材料、液状組成物および固体高分子形燃料電池用膜電極接合体
JPWO2011013578A1 (ja) 電解質材料、液状組成物および固体高分子形燃料電池用膜電極接合体
WO2017221840A1 (ja) 電解質材料、その製造方法およびその使用
JPWO2013157395A1 (ja) 電解質材料、液状組成物および固体高分子形燃料電池用膜電極接合体
US11575140B2 (en) Liquid composition, method for producing it, and method for producing membrane/electrode assembly
JP4792640B2 (ja) ブロックポリマー、重合体の製造方法及びブロックポリマーを含む液状組成物
JP5028711B2 (ja) 固体高分子型燃料電池
JP2001176524A (ja) 固体高分子電解質型燃料電池
JP4848587B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用電解質材料とその製造方法、及び固体高分子型燃料電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080107

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101130

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110127

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20110127

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110128

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110628

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110711

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4792640

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140805

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140805

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term