JP2002212112A - 化学気相蒸着用のルテニウム化合物並びにルテニウム薄膜及びルテニウム化合物薄膜の化学気相蒸着方法。 - Google Patents
化学気相蒸着用のルテニウム化合物並びにルテニウム薄膜及びルテニウム化合物薄膜の化学気相蒸着方法。Info
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Abstract
ム又はルテニウム化合物薄膜の原料について、CVD反
応系への酸素ガス導入がなくとも不活性ガス中での加熱
のみで分解可能であり、薄膜の電気・電子部材の特性に
悪影響を及ぼす下地基板への酸素のドーピングを防止
し、良好な性状の薄膜を製造可能な原料化合物を提供す
る。 【解決手段】CVD法ルテニウム薄膜又はルテニウム化
合物薄膜製造用のルテニウム化合物であって、一般式1
〜3のジカルボニルトリメチルシリルルテニウム化合
物、トリカルボニルルテニウム化合物又はテトラカルボ
ニルビス(トリメチルシリル)ルテニウム化合物。 (Xは1〜4個の2重結合を有する直鎖/分枝状のアル
ケニル基又はシクロアルケニル基、直鎖/分枝状のアル
カジエニル基又はシクロアルカジエニル基、シクロアル
カトリエニル基又はシクロアルカテトラエニル基を示
す。)
Description
によりルテニウム薄膜及びルテニウム化合物薄膜を製造
するための有機ルテニウム化合物に関する。また、この
有機ルテニウム化合物を用いたルテニウム薄膜及びルテ
ニウム化合物薄膜の化学気相蒸着法に関する。
して貴金属薄膜又は貴金属酸化物薄膜が用いられるよう
になっている。特に、ルテニウム及びルテニウム化合物
は、薄膜電極としたときに優れた電極特性を有すること
から、今後の薄膜電極の中心材料になるものと注目され
ている。
の製造方法としては、一般に化学気相蒸着法(Chem
ical Vapor Deposition法:以下
CVD法という。)が用いられている。CVD法によれ
ば、均一な薄膜を製造し易い上に、ステップカバレッジ
(段差被覆能)に優れているからである。そして、CV
D法は、近年の回路、電子部材に対するより一層の高密
度化に対応できる、今後の薄膜電極製造プロセスの主流
になるものと考えられている。
は、金属化合物の中でも融点が低く取り扱い性が容易で
ある有機金属化合物が用いられている。そして、ルテニ
ウム又はルテニウム化合物薄膜を析出させるための有機
金属化合物としては、従来、化4の一般構造式で表され
るルテノセン(ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウ
ム)又はその誘導体(以下、ルテノセン等という。)が
用いられている。これらのルテノセン等は、1のルテニ
ウムが2つのシクロペンタジエン又はシクロペンタジエ
ンの誘導体に挟まれるサンドイッチ構造を有する。この
ルテノセンは安定性が高く、毒性もないことからCVD
原料としての適性を有するものと考えられている。
であるか、又は、少なくともいずれかが炭化水素基、ア
ミノ基、カルボキシル基、エーテル基である。)
は、気化した原料物質を基板上に輸送するため、アルゴ
ン等の不活性ガスをキャリアガスとして、原料蒸気に混
合して反応器内に導入している。そして、ルテノセン等
を原料としたCVD法の場合には、更に酸素ガスを反応
ガスとしてキャリアガスに混合して反応器内に導入して
いる。これは、ルテノセン等による薄膜形成機構がその
分解反応によるものである一方で、基板の加熱のみでは
ルテノセン等を分解させることができないことによるも
のである。
うに酸素を反応ガスとして成膜を行った場合、未反応の
酸素が下地基板中にドープされ、基板の特性が変化し電
気・電子部材に対して悪影響を及ぼすこととがある。こ
の現象によりドープされる酸素原子はごく微量ではある
が、今後その特性がより厳密に管理される半導体素子に
ついては無視できないものである。
グを回避する為、水素のような他の反応ガスを使用する
ことも考えられるが、ルテノセン等は基本的に安定な化
合物であり、水素ではルテノセン等の分解反応を生じさ
せることができない。従って、かかる酸素のドーピング
現象を回避する為には、ルテノセン等に替えて新たな有
機化合物を適用することが望ましいと考えられる。
たものであり、従来のルテノセン等に代替可能であり、
酸素ガスを併用することなく分解可能であり、且つ、良
好な性状のルテニウム又はルテニウム化合物薄膜を製造
可能な原料化合物を提供することを目的とする。
を解決すべく、まずルテノセン等が有する安定性の要因
を検討した。その結果、その理由として、ルテノセン等
はルテニウム原子と2つのシクロペンタジエン(又はそ
の誘導体)との結合において2つのRu−C結合を有
し、このRu−C結合の結合力が強い点にあるとの考え
に至った。そこで、酸素ガスを併用することなく容易に
分解可能なルテニウム化合物としては、まず、ルテノセ
ン等より安定性が低い化合物が適当であるとした。
原料として不適当であるからといって、逆に単に安定性
の低い化合物を適用することも好ましいとはいえない。
何故ならば、CVD原料は気化された後ある程度の時間
的間隔をもって基板表面に輸送されるものであるが、単
に安定性の低い原料はこの輸送過程で分解してしまうた
め基板表面での成膜効率が低下することとなるからであ
る。即ち、CVD原料には、基板上での加熱雰囲気では
分解しても、原料槽から基板までの輸送過程においては
分解しないという適度の安定性を有することが求められ
るのである。
VD原料として適当な安定性を有する化合物について、
鋭意検討を行った結果、金属カルボニル化合物(ルテニ
ウムカルボニル)は、そのRu−CO結合の結合力が比
較的弱いことから、酸素ガスのような反応ガスを混合し
なくとも加熱のみで分解可能であることに着目した。そ
して更に、単なるルテニウムカルボニルでは安定性が低
すぎるとして、これに適当な官能基を導入することで、
CVD原料として適当な範囲の安定性を有する化合物と
なることを見出し、本発明を完成させるに至った。
相蒸着法によりルテニウム薄膜又はルテニウム化合物薄
膜を製造するためのルテニウム化合物であって、下記の
化5〜化7のいずれかで示される、ジカルボニルトリメ
チルシリルルテニウム化合物、トリカルボニルルテニウ
ム化合物、テトラカルボニルビス(トリメチルシリル)
ルテニウム化合物のいずれかよりなる化学気相蒸着用の
ルテニウム化合物である。
ニル化合物に導入される官能基としては、1〜4個の2
重結合を有する、直鎖状、分枝状のアルケニル基又はシ
クロアルケニル基、若しくは、直鎖状、分枝状のアルカ
ジエニル基又はシクロアルカジエニル基、若しくは、シ
クロアルカトリエニル基、若しくは、シクロアルカテト
ラエニル基、のいずれかである。これは本発明者の検討
の結果、かかる1〜4の二重結合を含む鎖状又は環状の
炭化水素基が化学気相蒸着用の原料物質として適当な安
定性を有するとの知見が得られたことによるものであ
る。
アルケニル基としては、炭素数2〜8の直鎖状又は分枝
状のアルケニル基が好ましく、より好ましくは炭素数2
〜6低級アルケニル基が好ましい。また、シクロアルケ
ニル基としては、炭素数4〜8のシクロアルケニル基が
好ましく、より好ましくは炭素数5〜6のシクロアルケ
ニル基が好ましい。具体的には、シクロペンテニル基、
シクロヘキセニル基が挙げられる。
ル基としては、炭素数4〜6の直鎖状又は分枝状のアル
カジエニル基が好ましく、例えば、1,3−ブタジエニ
ル基、2,4−ブタジエニル基、2,3−ジメチル−
1,3ブタジエニル基などが挙げられる。更に、シクロ
アルカジエニル基としては、炭素数4〜8シクロアルカ
ジエニル基が好ましく、より好ましくは炭素数5〜6の
シクロアルカジエニル基が好ましい。具体的には、1,
3−シクロヘキサジエニル基、1,3−シクロヘプタジ
エニル基、1,3−シクロペンタジエニル基、1,5−
シクロオクタジエニル基、ビシクロオクタジエニル基が
挙げられる。
数6〜8シクロアルカトリエニル基が好ましく、より好
ましくは炭素数6〜7のシクロアルカトリエニル基が好
ましい。具体的には、1,3,5−シクロヘプタトリエ
ニル基がある。シクロアルカテトラエニル基としては、
例えば、炭素数8の1,3,5,7−シクロオクタテト
ラエニル基がある。
トリメチルシリルルテニウム化合物、トリカルボニルル
テニウム化合物について、更に具体例を挙げると、表1
及び表2のような化合物が該当する。
もCVD反応系への酸素ガスの導入がなくとも、不活性
ガス中で100℃程度に加熱するだけで分解反応を生じ
させることができる。従って、本発明によれば、電気・
電子部材の特性に悪影響を及ぼす下地基板への酸素のド
ーピングの問題が生じることはない。また、この分解温
度はルテノセン等の分解温度よりも低いことから、CV
D工程における基板温度の低温化に寄与することができ
る。一方、このルテニウム化合物は、常温、不活性ガス
中では安定であることから、基板への輸送過程で分解す
ることはないので適度な安定性を有する化合物であると
いえる。
その表面粗さ(モルホロジー)や、比抵抗等の電気的特
性が良好であることが要求される。本発明に係るルテニ
ウム化合物により製造されるルテニウム薄膜又はルテニ
ウム化合物薄膜は、そのモルホロジーも良好であり、電
気的特性もルテノセン等を用いた場合と同様の特性を有
することから、本発明に係るルテニウム化合物は、従来
使用されているルテノセンの代替材料としての可能性を
十分有するものといえる。
方法としては、化1のジカルボニルトリメチルシリルル
テニウム化合物は、トリカルボニルクロロ(シクロペン
タジエニル)ルテニウム等のルテニウムカルボニルとト
リメチルシランと、更に、官能基に対応する炭化水素基
(アルケン、シクロアルケン、アルカジエン、シクロア
ルカジエン、シクロアルカトリエン、シクロアルカテト
ラエン)とをテトラヒドロフラン(THF)等の有機溶
媒中で反応させることにより製造可能である。また、化
2のトリカルボニルルテニウム化合物は、ドデカカルボ
ニルトリルテニウム等のルテニウムカルボニルと官能基
に対応する炭化水素基とをベンゼン等の有機溶媒中で反
応させることにより製造可能である。更に、化3のテト
ラカルボニルビス(トリメチルシリル)ルテニウム化合
物については、ドデカカルボニルトリルテニウム等のル
テニウムカルボニルとジメチルアミノメチルトリメチル
シリルとをトルエン等の有機溶媒中で反応させることに
より製造可能である。
物は、CVD法によるルテニウム薄膜の原料として好適
な物質であるといえる。そして、このルテニウム化合物
は、通常のCVDプロセスへ適用することで、下地基板
の清浄度を考慮しつつ、良好なルテニウム薄膜を製造す
ることができる。そこで、請求項2記載の発明は、この
ルテニウム化合物を気化して基板上に輸送し、該基板を
加熱することにより、該ルテニウム化合物を分解してル
テニウムを積層させるルテニウム及びルテニウム化合物
薄膜の化学気相蒸着方法とした。
3記載のように、100℃〜800℃としてルテニウム
化合物を分解させるのが好ましい。本発明に係るルテニ
ウム化合物は、100℃程度の比較的低温で分解反応が
生じるが、反応温度が低い場合、原料となる有機化合物
から薄膜中に混入する炭素が残留し薄膜の比抵抗を低下
させることとなるからである。そして、残留炭素の存在
を考慮するならば、300℃〜500℃の範囲が特に好
ましい。
装置の型式により異なるが、コールドウオール型CVD
装置では、基板のみをヒーター加熱するか、反応器を高
周波コイルで巻回し基板を載置するサセプタを誘導加熱
することで基板を加熱することで基板周辺で原料ガスの
分解反応を生じさせることとしている。一方、ホットウ
オール型CVD装置では、反応器をヒータ加熱して反応
器全体を加熱する。本発明においてはいずれの型式のC
VD装置にも適用可能であり、その加熱方法は限定され
ることはないが、本発明に適用されるルテニウム化合物
は分解温度が比較的低温であることから、ホットウオー
ル型装置を使用する場合、反応器内壁にまでルテニウム
が析出し原料の無駄となる。従って、コールドウオール
型装置により基板のみを加熱するようにし、その温度を
制御して原料ガスを加熱するのがより好ましいといえ
る。
物の特徴として、酸素の存在がなくとも分解可能である
ことから、ルテニウム薄膜を製造する際は、請求項4記
載のように、不活性ガス中で気化したルテニウム化合物
を加熱分解するのが好ましい。ここでの不活性ガスとし
てはアルゴンが一般に使用され、キャリアガスとして導
入される。
内を減圧雰囲気とするのが好ましい。反応機内を減圧す
ることで膜厚分布の均一性、ステップカバリッジ(段差
被覆能)を良好なものとすることができるからである。
この反応器内の圧力の好ましい範囲としては、250〜
1000Paである。
いた薄膜形成法により製造されたルテニウム及びルテニ
ウム化合物薄膜は、形成後再加熱して熱処理をすること
により残留炭素を更に減少させ、比抵抗を低減すること
ができる。製造された薄膜中には極微量ではあるがルテ
ニウム化合物が混入することがあるが、本発明に係るル
テニウム化合物はいずれも加熱のみで分解可能であるた
め、このように熱処理を行なうことで混入したルテニウ
ム化合物を分解させ薄膜のルテニウム純度が更に向上す
ることとなるからである。この熱処理の温度は100℃
〜800℃とするのが好ましく、また、アルゴン等の不
活性ガス中で行なうのが好ましい。尚、このような熱処
理による薄膜の比抵抗値の低下現象は、ルテノセン等の
他のルテニウム化合物により製造されたルテニウム及び
ルテニウム化合物薄膜ではみられない。これら他のルテ
ニウム化合物は、単なる加熱では分解することはないた
め、これらのルテニウム化合物が混入した薄膜中を熱処
理しても薄膜中の化合物の分解は生じないからである。
図面と共に説明する。ここでは、化8の一般構造式で示
されるトリカルボニル(1,3−シクロヘキサジエニ
ル)ルテニウムを製造し、その分解特性を検討した後、
このトリカルボニル(1,3−シクロヘキサジエニル)
ルテニウムを用いてルテニウム薄膜を製造して、その性
状を検討した。
シクロヘキサジエニル)ルテニウムの製造>:ドデカカ
ルボニルトリルテニウム(Ru3(CO)12)14.
52gに1,3−シクロヘキサジエン30.9gとベン
ゼン730mLを加え、この混合溶液を窒素雰囲気中で
42時間還流して反応させた。反応後、ベンゼン及び未
反応の1,3−シクロヘキサジエンを減圧留去し、更に
53.2Pa、75℃で減圧蒸留したところ、トリカル
ボニル(1,3−シクロヘキサジエニル)ルテニウムが
16.02g得られた。このときの収率は87.3%で
あった。
ジエニル)ルテニウムの分解特性の検討>:このように
して製造したトリカルボニル(1,3−シクロヘキサジ
エニル)ルテニウムについて、不活性ガス中での分解特
性を検討した。この検討は熱質量―示差熱分析(TG−
DTA法)により行ない、示差熱曲線(DTA曲線)の
測定により行った。DTA曲線の測定は、最終加熱温度
を500℃とし、加熱開始から500℃までの所定時間
におけるトリカルボニル(1,3−シクロヘキサジエニ
ル)ルテニウムの質量変化を追跡すると共に、発生する
熱流束を測定した。また、測定条件としては、200m
L/minのアルゴン気流中、昇温速度10℃/min
で行なった。
ニル(1,3−シクロヘキサジエニル)ルテニウムのT
G−DTA曲線を示す。この図から、トリカルボニル
(1,3−シクロヘキサジエニル)ルテニウムは、その
質量曲線(図1中のTG曲線)より、50℃付近から気
化し始め、163.5℃でその約91%が気化してい
る。そして、その後169.6℃以降で分解反応に起因
する発熱曲線が観察された。従って、本実施形態で製造
したトリカルボニル(1,3−シクロヘキサジエニル)
ルテニウムはアルゴンガス中でも加熱するだけで分解可
能であることが確認された。
ボニル(1,3−シクロヘキサジエニル)ルテニウムに
対する比較例として、まず、化9で示される、ルテノセ
ンの誘導体であるビス(エチルシクロペンタジエニル)
ルテニウムについてその特性を調査した。
中にエタノール200mlを入れ、これに塩化ルテニウ
ム3水和物25.0gを溶解させ−30℃に冷却した。
そして、この溶液にエチルシクロペンタジエン40gを
入れ、亜鉛粉(純度99.999%、200メッシュ)
9.55gを10分間隔で7分割して添加した。反応後
の液相を回収し、この液相からヘキサンにてビス(エチ
ルシクロペンタジエニル)ルテニウムを抽出した。
エニル)ルテニウムについて、第1実施形態と同様にア
ルゴンガス中におけるTG−DTA曲線を測定しアルゴ
ン中での分解の可否について調査した。このときの測定
条件は第1実施形態と同様である。
ル)ルテニウムのアルゴン中でのTG−DTA曲線を示
す。この図から、ビス(エチルシクロペンタジエニル)
ルテニウムのアルゴン中でのDTA曲線には、225.
6℃に吸熱曲線がみられるが、これは気化に起因するも
のである。そして、この気化の後には加熱を継続しても
発熱曲線はみられなかった。このDTA曲線の測定結果
から、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム
は、アルゴン中ではいくら加熱しても分解することがな
いことが確認された。
ル)ルテニウムについて、空気中でのTG−DTA曲線
を測定した。測定条件は同様である。
ル)ルテニウムの空気中でのTG−DTA曲線を示す。
この図から、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテ
ニウムのDTA曲線には、206.2℃で気化に起因す
る吸熱曲線がみられた後、283.7℃で分解反応に起
因する発熱曲線が確認された。この結果、ビス(エチル
シクロペンタジエニル)ルテニウムは、空気中(酸素の
存在下)では分解し得るが、アルゴンのような不活性ガ
ス中では分解することができず、この化合物を適用した
CVDプロセスには反応ガスとして酸素が必要となるこ
とが確認された。
次に、第1実施形態で製造したトリカルボニル(1,3
−シクロヘキサジエニル)ルテニウムを用いてCVD法
によりルテニウム薄膜を製造した。CVD法により薄膜
形成工程は、図4に示すCVD装置を用いた。この際の
キャリアガスはアルゴンガスのみとし、その他の析出条
件は下記の通りとした。
ム薄膜をSEMにて観察したところ、良好なモルホロジ
ーの薄膜であることが確認された。図5は、この際のS
EM像を示す。また、この際得られたルテニウム薄膜の
比抵抗を測定したところ、80μΩ/cmであった。
中で500℃で40分間加熱して熱処理を行ったとこ
ろ、その比抵抗は24μΩ/cmにまで低下した。
ルシクロペンタジエニル)ルテニウムを用いてCVD法
にてルテニウム薄膜を製造した。使用したCVD装置は
第2実施形態と同じ装置を使用した。また、成膜条件は
基板温度等基本的な条件は第2実施形態と同様とした
が、アルゴンガス中(400Pa)での蒸着とし、この
化合物で本来必要とされる酸素は混合しなかった。
中ではビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム
の分解反応が殆ど生じないためか、成膜速度が極めて遅
かった。そこで、成膜時間を1時間としたところ、よう
やくルテニウム薄膜を製造することができた。しかし、
この薄膜は膜厚が一定せず、薄膜電極としては使用不可
能なモルホロジーであった。また、抵抗値も測定したが
膜厚が不安定あるがために抵抗値も一定ではなかったが
平均85μΩ/cmであった。そして、熱処理を行って
も比抵抗値の低下はみられなかった。
よりルテニウム薄膜を製造した。ターゲットにはルテニ
ウム板(純度:99.99%)を使用した。このときの
成膜条件は以下の通りである。この結果、比抵抗69μ
Ω/cmのルテニウム薄膜が製造された。
び3により製造されたルテニウム薄膜の特性を比較した
ものである。表3から、薄膜の比抵抗を比較すると、第
1実施形態と第2実施形態とはほぼ同様の値を示した。
一方、比較例3(スパッタ法)の薄膜の比抵抗は、最も
良好な値を示した。しかし、比較例3(スパッタ法)
は、ステップカバリッジにおいて第1実施形態(CVD
法)に劣ることが確認された。従って、第2実施形態に
より製造された薄膜が総合的観点から最も優れていると
いえる。
ウム化合物は、酸素ガスがなくとも、不活性ガス中で1
00℃程度に加熱するだけで分解反応を生じさせること
ができる。また、常温、不活性ガス中では安定であるこ
とから、基板への輸送過程で分解することのない適度な
安定性を有する化合物であるといえる。従って、本発明
によれば、電気・電子部材の特性に悪影響を及ぼす下地
基板への酸素のドーピングの問題が生じることはない。
適用した化学気相蒸着法によれば、良好なモルホロジー
及び電気的特性を有するルテニウム薄膜及びルテニウム
化合物薄膜を製造することができる。特に、この製造後
の薄膜を熱処理を行うことにより薄膜の比抵抗は低下
し、より良好な特性の薄膜とすることができる。
3−シクロヘキサジエニル)ルテニウムのTG−DTA
曲線を示す図。
ムのアルゴン中でのTG−DTA曲線を示す図。
ムの大気中でのTG−DTA曲線を示す図。
3−シクロヘキサジエニル)ルテニウムを用いてCVD
法により製造したルテニウム薄膜のSEM像を示す図。
Claims (5)
- 【請求項1】 化学気相蒸着法によりルテニウム薄膜又
はルテニウム化合物薄膜を製造するためのルテニウム化
合物であって、 下記の化1〜化3の一般構造式で示される、ジカルボニ
ルトリメチルシリルルテニウム化合物、トリカルボニル
ルテニウム化合物、テトラカルボニルビス(トリメチル
シリル)ルテニウム化合物のいずれかよりなる化学気相
蒸着用のルテニウム化合物 【化1】 (式中、置換基であるXは1〜4個の2重結合を有す
る、直鎖状、分枝状のアルケニル基又はシクロアルケニ
ル基、若しくは、直鎖状、分枝状のアルカジエニル基又
はシクロアルカジエニル基、若しくは、シクロアルカト
リエニル基、若しくは、シクロアルカテトラエニル基、
のいずれかを示す。) 【化2】 (式中のXの意義は上記と同様である。) 【化3】 - 【請求項2】請求項1記載のルテニウム化合物を気化し
て基板上に輸送し、該ルテニウム化合物を加熱分解する
ルテニウム薄膜及びルテニウム化合物薄膜の化学気相蒸
着方法。 - 【請求項3】気化したルテニウム化合物を100℃〜8
00℃に加熱して分解する請求項2記載のルテニウム及
びルテニウム化合物薄膜の化学気相蒸着方法。 - 【請求項4】不活性ガス中で気化したルテニウム化合物
を分解させる請求項2又は請求項3記載のルテニウム薄
膜及びルテニウム化合物薄膜の化学気相蒸着方法。 - 【請求項5】生成した薄膜を更に100℃〜800℃で
熱処理する請求項2〜請求項4記載のルテニウム薄膜及
びルテニウム化合物薄膜の化学気相蒸着方法。
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