JP2004067601A - Cvd原料用の有機化合物及び該有機化合物を用いた金属又は金属化合物薄膜の製造方法 - Google Patents

Cvd原料用の有機化合物及び該有機化合物を用いた金属又は金属化合物薄膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【解決課題】CVD法により金属薄膜又は金属化合物薄膜を製造するための原料について、複数の要求特性を満足させる手法及びそれによる原料を提示することを目的とする。
【解決手段】本発明は、金属原子に配位子が配位する第一の有機金属化合物に、前記第一の有機金属化合物と同一の中心金属に、異なる配位子が配位し、かつ、第一の有機金属化合物と分解挙動が異なる第二の有機化合物を少なくとも一つ混合してなるCVD原料用の有機化合物。特に、第一の有機金属化合物としてシクロペンタジエン錯体又はその誘導体を、第二の有機金属化合物としてβ−ジケトナト化合物を選択し、これらを混合すると、取り扱い性及び薄膜の密着性のこれまで両立が困難であった特性を具備するCVD用原料を得ることができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学気相蒸着法により金属薄膜又は金属化合物薄膜を形成させるための原料に関する。
【0002】
【従来の技術】
化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition法:以下CVD法という。)は、各種の金属又は金属化合物薄膜を形成する技術として広く用いられている成膜プロセスである。これは、CVD法によれば均一な薄膜を製造し易いからであり、また、ステップカバレッジ(段差被覆能)がスパッタリング法に比べて優れているからである。特に最近では、DRAM、FERAM等の半導体デバイスの薄膜電極材料としてルテニウム、イリジウムといった貴金属薄膜の製造プロセスへの適用が検討されているが、CVD法はこれら貴金属薄膜の製造方法として好適である。
【0003】
ここで、CVD法では気化した原料化合物を基板上に輸送し、基板上で原料化合物を分解、酸化等させて目的の薄膜構成物質を析出・堆積させて薄膜とする方法である。そのため、CVD法用の原料化合物は低融点で気化させ易く、基板上での反応が速やかに生じ得る化合物が好ましい。そこで、このような特性を有する化合物として有機金属化合物がCVD法では一般に用いられている。ここでの有機金属化合物とは、製造目的の金属元素を中心金属とし、この中心金属に各種の置換基が配位する錯体化合物を示す。
【0004】
上記した貴金属薄膜のCVD用原料についても各種の有機貴金属化合物が知られている。ルテニウムを例に取ると、現在、利用が検討されている有機ルテニウム化合物として、次式で示されるビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムがある。この有機ルテニウム化合物は、ルテニウムを中心金属とし2つのシクロペンタジエニル基が配位したシクロペンタジエン錯体の1種であるルテノセン(ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム)の誘導体の1つである。
【0005】
【化3】
Figure 2004067601
【0006】
このビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは、低融点で常温において液体であることから取り扱いが容易であり、また、蒸気圧が高いため薄膜の製造効率に優れることからCVD原料として適格であるとされている。
【0007】
また、最近では薄膜製造コストの削減、資源の有効利用の観点から、CVD原料についてもリサイクル技術の導入が検討されており、その際には使用済みの原料から効率的に未反応の化合物を分離、精製することが必要となる。ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは蒸気圧が高く、熱的にも安定性が良好であることから、この未反応の化合物を分離、精製が比較的容易で蒸留等の適宜の手段により効率的なリサイクルが可能である。
【0008】
これに対しCVD原料用有機ルテニウム化合物の他の例として、次式で示されるトリス(β―ジケトナト)ルテニウムも知られている。この有機ルテニウム化合物は、中心金属であるルテニウムに3つのβ―ジケトン類が配位されたものである。
【0009】
【化4】
Figure 2004067601
【0010】
トリス(β―ジケトナト)ルテニウムは、SiOに対する密着性が高い薄膜を製造可能である点に特徴があり、SiO又はSiO膜が適用されていることの多い半導体デバイスの基板に対して密着性に優れた薄膜を製造することができるという利点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このルテニウム薄膜製造用原料の例では、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムは、高純度で形態(モホロジー)の良い皮膜を効率的に製造でき、更にリサイクルに対応可能であるという利点がある反面、SiOに対する密着性が比較的弱いという問題がある。対してトリス(β―ジケトナト)ルテニウムは、基板への密着性は良好であるが、置換基によっては常温で固体のものが多く取り扱い性に劣る上に、蒸気圧が低いものが多く、良好な性状の薄膜を製造するためには成膜条件を厳密に制御しなければならない。また、蒸気圧が低いということは、使用済み原料からの未反応化合物の分離精製が困難であることを示し、リサイクルしにくいという問題がある。つまり、CVD用の有機ルテニウム化合物は有望なものは複数存在するものの、求められる特性全てを満足するものはない。
【0012】
そして、かかる問題は、ルテニウム薄膜製造用原料に限らず多くの金属薄膜製造用のCVD原料でも共通している。例えば、CVD原料には、取り扱い性や密着性の他にも、薄膜成長速度や薄膜の純度、形態等様々な特性が要求されるが、これまで知られている各種金属薄膜用の原料化合物には一長一短があり、全ての要求を満たす完全なものはないというのが現状である。
【0013】
本発明は以上のような背景のもとになされたものであり、CVD法により金属薄膜又は金属化合物薄膜を製造するための原料について、複数の要求特性を満足させる手法及びそれによる原料を提示することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決すべく、本発明者等は、CVD法における薄膜形成工程の解析から行ない、好ましい化合物の構成を推察した。CVD法における薄膜形成工程は、大別すると2つの工程からなる。第1の段階は、潜伏期間又はインキュベーションタイムともいわれるが、基板上の結晶核の生成工程である。この工程においては薄膜という状態のものは存在せず、基板上に無数の金属の結晶核が点在し、基板上で平面的な成長するものである(以下、この段階を第1段階又は潜伏期間と称する。)。
【0015】
実際に薄膜としての成長が生じるのは、第1段階の次の段階である。この段階では第1段階で発生した結晶核の触媒作用により原料ガスの薄膜形成反応を促進し、これにより薄膜の急激な成長が生じる(以下、この段階を薄膜成長段階とも称する。)。
【0016】
CVD法における薄膜形成工程は、上記のように複数の段階からなるものである。そして、同じ金属の薄膜を製造可能な有機金属化合物(同一の金属を中心金属とする有機金属化合物)であっても、その分解挙動は異なると考えられ、化合物毎に異なる長所を有するのは、その長所(特徴)を発揮すべき段階が異なることに起因すると考えられる。例えば、製造される薄膜の基板への密着性は、第1段階における挙動(生成結晶核の数、結晶核の平面的成長の速度等)に依存すると考えられ、製造される薄膜の密着性が良好な有機金属化合物はこの段階での分解挙動に特徴がある。また、薄膜の形態や純度は薄膜成長段階における挙動(原料化合物の薄膜形成反応の速度等)に依存するというのである。
【0017】
本発明者等は、以上の考察を行い、複数の長所を有するCVD原料とする手法として、上記各段階における分解挙動を良好なものとすることを考えた。そして、その具体的手段として目的とする特徴を有する有機金属化合物を複数混合し、これをCVD原料とすることに想到した。
【0018】
即ち、本発明は、金属原子に配位子が配位する第一の有機金属化合物に、前記第一の有機金属化合物と同一の中心金属に、異なる配位子が配位し、かつ、第一の有機金属化合物と分解挙動が異なる第二の有機化合物を少なくとも一つ混合してなるCVD原料用の有機化合物である。
【0019】
本発明に基づいて薄膜製造の対象となる金属は、特に限定されることはなく、主成分となる有機金属化合物及び副成分となる有機金属化合物の中心金属を目的の金属のものを用いることでその目的を達成できる。尚、本発明は、特にルテニウム、イリジウム、白金、金、銀、ロジウム、パラジウム、オスミウムといった貴金属薄膜の製造に有用であり、これらを中心金属とした有機金属化合物を用いることにより、貴金属薄膜の製造を効率的に行うことができる。
【0020】
本発明に係るCVD原料の製造については、第一の有機金属化合物と第二の有機金属化合物を製造し、それぞれを混合すれば良い。ここで、各有機金属化合物の製造方法としては公知の方法が適用可能である。
【0021】
そして、本発明の手法により改善されるCVD原料としては、例えば、薄膜の密着性と原料としての取り扱い性との両立がある。ここで、薄膜の密着性と取り扱い性とを両立させる有機金属化合物の組合せとして、本発明者等は以下のように考察し、その具体的な組合せを検討した。
【0022】
まず、薄膜の密着性については、薄膜形成の第1段階における分解挙動が好ましい有機金属化合物を用いるのが好ましいといえる。そこで、本発明者等はSiO等の酸化物が適用されることの多い基板への密着性を考慮し、分子内に酸素を含有し、金属−酸素(M−O結合)を有する有機化合物が好ましいと考えた。これは、分子内にM−O結合が存在する場合、第1段階で生成する結晶核が酸素含有量の高い金属酸化物に近い形態で析出し、この酸化物類似の結晶核が酸化物基板に対する密着性が高いと考えられることから薄膜の密着性をも向上させると思われるからである。そこで、本発明者らは、M−O結合を有しCVD原料として機能し得る化合物としては、次式で示される、β―ジケトン類が配位した有機金属化合物が好ましいと考えた。
【0023】
【化5】
Figure 2004067601
(式中、β−ジケトナト化合物を構成するR、Rは、水素、アルキル基、アルコキシル基を示す。Rは、アルキル基、アルケン基、シクロペンタジエン類、シクロオクタジエン類、ノルボルナジエン類、カルボニル基のいずれか、又は、上記と同じ構成のβ−ジケトン類を示す。また、Mは中心金属元素を示し、nは1〜3の整数であり、mは0〜2の整数である。)
【0024】
一方、CVD原料の取り扱い性を確保するための有機金属化合物としては、この化合物がCVD原料の全体的な取り扱い性、薄膜成長期における成長速度を左右するものであることから、蒸気圧が高いことや常温で液体であるものが望ましいと考えた。より詳細には、蒸気圧については、100℃における蒸気圧が0.1torr以上であることが、また、60℃以下で液体であることが好ましい。
【0025】
そして、このような特性を有する有機金属化合物として具体的なものを検討するに、次式で示されるシクロペンタジエニル基が配位するシクロペンタジエン錯体及びその誘導体が好ましい化合物であるとした。
【0026】
【化6】
Figure 2004067601
(式中、Rは、水素、アルキル基、アルケン基、アルコキシル基、アセチル基のいずれかを示し、Rは、アルキル基、アルケン基、アルコキシル基、アセチル基のいずれかを示す。また、Mは中心金属元素を示し、nは1〜2の整数であり、mは0〜2の整数である。)
【0027】
このシクロペンタジエン錯体は、蒸気圧が高く、また、低融点であり常温で液体状態のものが多いことから、CVD原料の主成分として好適である。また、常温で固体のシクロペンタジエン錯体であっても、誘導体とすることで低融点化し液体状態とすることが可能である。ここで、シクロペンタジエン錯体の誘導体とは、シクロペンタジエン基の水素を他の置換基で置換したものをいう。この置換基としては、メチル基、アルキル基、プロピル基等のアルキル基が好ましい。
【0028】
また、シクロペンタジエン錯体及びその誘導体は蒸気圧が高いことから、薄膜製造後の使用済み原料からの未反応のシクロペンタジエン錯体及びその誘導体をリサイクルすることが可能である。
【0029】
そして、本発明者らによると、シクロペンタジエン錯体とβ−ジケトナト化合物とを混合したものをCVD原料とした場合、薄膜の成長速度はシクロペンタジエン錯体単独の場合とほとんど変らないが、潜伏期間の短縮がみられることが確認されている。これは、混合したβ−ジケトナト化合物が潜伏期間で生じる核生成に作用し高密度の結晶核を生じさせたことによるものと考えられる。
【0030】
ここで、β−ジケトナト化合物(薄膜形成の第1段階の進行を担い密着性を確保するための有機金属化合物)の含有量は、シクロペンタジエン錯体(薄膜成長段階の進行に寄与する有機金属化合物)より少量とするのが適切である。薄膜形成の第1段階において重要なのは結晶核の形成速度であり、結晶核の形成量には重要性はない。上記のように、第1段階で形成される結晶核は薄膜状態のものではなく、その後の薄膜成長のための触媒的なものであり、その量はある程度存在すれば足りるからである。従って、β−ジケトナト化合物のように結晶核形成に好適な化合物はある程度含まれていれば良いと考えられるからである。また、β−ジケトナト化合物の含有量を必要以上に多くしても薄膜成長段階において効果を発揮しないばかりか、シクロペンタジエン錯体の含有量が減るために薄膜成長に悪影響を及ぼす可能性があるからである。更に、β−ジケトナト化合物はリサイクルが困難であることが多いため、β−ジケトナト化合物が増加することで、リサイクル率が低下し、デバイスコストの上昇を招くこととなる。
【0031】
そこで、β−ジケトナト化合物の含有量は、具体的には、0.2〜20重量%とするのが好ましい。0.2%未満では第1段階での効果がなく、20%を超えると薄膜成長を阻害することがあるからである。
【0032】
特に、ルテニウム薄膜の製造に際しては、シクロペンタジエン錯体としてビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを、β−ジケトナト化合物としてトリス(β―ジケトナト)ルテニウムを混合した原料は、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムが有する取り扱い性及びリサイクル可能性に、トリス(β―ジケトナト)ルテニウムが有する薄膜の密着性の両者を具備する好適な原料となる。そして、このシクロペンタジエン錯体とβ−ジケトナト化合物との混合原料の例のように、本発明に係るCVD原料によれば、CVD原料として求められる複数の特性を確保することができる。そして、本発明に係るCVD原料を用いる薄膜製造方法は、良好な品質の薄膜を効率的に製造可能なものとなる。
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
【0033】
本実施形態では、副成分として、トリス(2,4−ペンタンジオナト)ルテニウムを、主成分としてビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを製造し、両者を混合してCVD原料を製造し、この原料を用いてルテニウム薄膜の製造を行った。
【0034】
トリス(2,4−ペンタンジオナト)ルテニウムの製造
3塩化ルテニウム水和物をルテニウム量が80.15gとなるように容量5Lのセパラブルフラスコに入れ、更に水3500mL、2,4−ペンタンジオン297.5gを加え、大気中で2時間還流した。そして、これに炭酸水素ナトリウム330gを加え更に2時間還流した。得られた反応液を抽出し、有機相を蒸発乾固してトリス(2,4−ペンタンジオナト)ルテニウムの赤色結晶285.3gを得た。
【0035】
ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムの製造
窒素置換したフラスコ中に、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(濃度2.6mol/L)を5.0mL入れ、これを−78℃としてビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム1.74gを添加した後、テトラヒドロフラン50mLを1時間かけて滴下して反応させた。この反応液を2時間放置し室温に戻した後、24時間反応させた。そして、反応液を再び−78℃としてエチルブロマイド9.81gを1時間かけて滴下して反応させて2時間放置し室温として24時間反応させた。反応終了後、100mLの水を加え、ヘキサンでビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを溶媒抽出し、更にこの抽出溶媒からヘキサンを留去してビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム2.0gを得た。
【0036】
CVD原料の製造
以上の工程により製造したトリス(2,4−ペンタンジオナト)ルテニウムとビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムとを混合してCVD原料を製造した。このときの混合比は、トリス(2,4−ペンタンジオナト)ルテニウムの混合量を20重量%とした。この混合物は室温で液体である。
【0037】
ルテニウム薄膜の製造
製造されたCVD原料を用いてCVD法によりルテニウム薄膜を製造した。ここでは、CVD原料溶液を気化器で気化させて基板上に原料ガスを供給する方式により薄膜を製造した。薄膜製造条件は以下のようにした。
【0038】
原料供給速度:0.05g/min
気化温度:190℃
キャリアガス:アルゴン(200sccm)
反応ガス:酸素(200sccm)
チャンバー圧力:665Pa(5torr)
基板:SiOウエハ
基板温度:250℃
成膜時間:20分
【0039】
この際の薄膜製造においては、支障なくルテニウム薄膜の製造ができた。製造されたルテニウム薄膜の膜厚は、120nmであった。
【0040】
比較例
本実施形態に対する比較例として、上記したビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを単独でCVD原料としてルテニウム薄膜製造を行なった。ここでの薄膜製造条件は上記と同様にした。このときの薄膜製造においても、特に支障なくルテニウム薄膜の製造ができた。製造されたルテニウム薄膜の膜厚は、90nmであった。
【0041】
次に、製造された薄膜の基板への密着性を検討するための試験を行なった(以下、この試験をピール試験と称する)。ピール試験は、薄膜形成後のウエハの2cm×2cmの範囲にカッターで5mm×5mmのグリッドを形成し(合計16グリッド)、そこに市販のセロハンテープを貼り付けた後にテープを剥がし、その際のルテニウム薄膜が剥離したグリッドの数を計測することにより行なった。このピール試験は10枚の基板に対して行った。
【0042】
このピール試験の結果、本実施形態で製造した薄膜で剥離が生じたグリッド数(10回のピール試験のグリッド数の合計)は、0であった。これに対し、比較例で剥離が生じたグリッド数は35であった。従って、本実施形態で製造したCVD原料により製造された薄膜はいずれも基板との密着性が良好であることが確認された。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るCVD用原料化合物は、複数の好ましい特性を具備することができる。特に、本発明によれば、取り扱い性が良好であり、更に基板に対する密着性が高い薄膜を得ることができる。従って、高い製造効率で良好な性状のルテニウム又はルテニウム化合物の薄膜が製造できる。また、リサイクルにも対応可能であり、薄膜の製造コスト、ひいてはデバイスの製造コストの低減にも寄与することができる。

Claims (6)

  1. 金属原子に配位子が配位する第一の有機金属化合物に、前記第一の有機金属化合物と同一の中心金属に、異なる配位子が配位し、かつ、第一の有機金属化合物と分解挙動が異なる第二の有機化合物を少なくとも一つ混合してなるCVD原料用の有機化合物。
  2. 中心金属は、ルテニウム、イリジウム、白金、金、銀、ロジウム、パラジウム、オスミウムのいずれかである請求項1〜請求項6記載のCVD原料用の有機化合物。
  3. 第二の有機金属化合物は、次式で示される、β−ジケトナト化合物である請求項1又は請求項2記載のCVD原料用の有機化合物。
    Figure 2004067601
    (式中、β−ジケトナト化合物を構成するR、Rは、水素、アルキル基、アルコキシル基を示す。Rは、アルキル基、アルケン基、シクロペンタジエン類、シクロオクタジエン類、ノルボルナジエン類、カルボニル基のいずれか、又は、上記と同じ構成のβ−ジケトン類を示す。また、Mは中心金属元素を示し、nは1〜3の整数であり、mは0〜2の整数である。)
  4. 第一の有機金属化合物は、次式で示されるシクロペンタジエン錯体又はその誘導体である請求項1〜請求項3記載のCVD原料用の有機化合物。
    Figure 2004067601
    (式中、Rは、水素、アルキル基、アルケン基、アルコキシル基、アセチル基のいずれかを示し、Rは、アルキル基、アルケン基、アルコキシル基、アセチル基のいずれかを示す。また、Mは中心金属元素を示し、nは1〜2の整数であり、mは0〜2の整数である。)
  5. 第二の有機金属化合物の含有量は0.2〜20重量%である請求項1記載のCVD原料用の有機化合物。
  6. 請求項1〜請求項5記載のCVD原料用の有機化合物を気化して基板上へ輸送する工程を含む金属又は金属化合物薄膜の製造方法。
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