JP2002212047A - 保湿用のジェル状組成物 - Google Patents

保湿用のジェル状組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粘膜の保湿用の組成物を提供する。 【解決手段】 アクリロイルジメチルタウレート・ビニ
ルピロリドン共重合物及び/又はその塩を保湿用の組成
物に含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は保湿用の組成物に関
し、更に詳細には更年期に起こりやすい、膣の保湿に有
用な保湿用の組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】人体の重量の80〜90%は水で構成さ
れていると言われ、人体に於ける水分の維持は、生理的
な面に於いても、又、物理的な面に於いても重要であ
り、その為の組成物が種々出回っている。この様な保湿
の対象として近年注目を浴びているのが、膣の保湿であ
る。これは、近年平均寿命が延びてきたことと関連し
て、更年期の人口が増え、この様な、従来問題になりに
くかった場所の保湿が問題となってきている。又、膣内
のpHが酸性であることから、膣内に於いては、従来使
用していたカルボキシビニルポリマーの塩等の水分保持
ゲル化剤が、ゲル構造を保てなくなり、水分保持ゲル化
剤としての働きを損なうので、膣内の保湿用の組成物と
して適切な剤形が存在しないのも事実であった。即ち、
感染防護のためにpHが低く保たれている粘膜に対する
保湿用の組成物は知られておらず、その開発が望まれて
いた。言い換えるならば、1)酸性域に於いて安定なゲ
ルであって、2)保湿能を有し、3)粘膜に対して刺激
を発現しないことがこの様な保湿用の組成物の条件とな
っている。
【0003】一方、アンモニウムアクリロイルジメチル
タウレート・ビニルピロリドン共重合物は、最近ゲル化
剤として開発された化学物質であるが、これを保湿用の
素材として使用された例はない。又、膣用の保湿剤の素
材としても全く知られていない。
【0004】
【発明が開発しようとする課題】本発明はこの様な状況
下為されたものであり、粘膜の保湿用の組成物を提供す
ることを課題とする。
【0005】
【課題の解決手段】この様な状況に鑑みて、粘膜の保湿
用の組成物を求めて、鋭意研究を重ねた結果、アンモニ
ウムアクリロイルジメチルタウレート・ビニルピロリド
ン共重合物を含有することを特徴とする組成物に酸性域
の粘膜に対して優れた保湿作用を有することを見出し、
発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示す
技術に関するものである。 (1)アクリロイルジメチルタウレート・ビニルピロリ
ドン共重合物及び/又はその塩を含有することを特徴と
する、保湿用の組成物。 (2)ジェル状であることを特徴とする、(1)に記載
の保湿用の組成物。 (3)更に、デンプン・アクリル酸塩グラフト重合物を
含有することを特徴とする、(1)又は(2)に記載の
保湿用の組成物。 (4)粘膜の保湿用であることを特徴とする、(1)〜
(3)何れか1項に記載の保湿用の組成物。 (5)粘膜が膣粘膜であることを特徴とする、(4)に
記載の保湿用の組成物。 (6)更年期に使用されることを特徴とする、(1)〜
(5)何れか1項に記載の保湿用の組成物。 以下、本発明について、実施の形態を中心に更に詳細に
説明を加える。
【0006】
【発明の実施の形態】(1)本発明の保湿用の組成物の
必須成分であるアクリロイルジメチルタウレート・ビニ
ルピロリドン共重合物及び/又はその塩 本発明の保湿用の組成物は、アクリロイルジメチルタウ
レート・ビニルピロリドン共重合物及び/又はその塩を
必須成分として含有することを特徴とする。アクリロイ
ルジメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合物及び
/又はその塩は下記に示す一般式(I)に表される構造
を有した新規の増粘剤であり、化粧料などの皮膚外用剤
での分野での応用が検討されている素材である。このも
のはアクリル酸とジメチルタウリンをDCC等のペプチ
ド合成試薬を用いて縮合させて得られるアクリロイルジ
メチルタウレートとビニルピロリドンとをアゾビスイソ
ブチロニトリルなどの重合開始剤の存在下重合させるこ
とにより得ることができる。このものの塩としては、通
常知られている塩であれば特段の限定無く使用すること
ができ、例えばナトリウム、カリウムなどのアルカリ金
属塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金
属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩やもの
エタノールアミン塩等の有機アミン塩等が例示できる。
これらの内、特に好ましいものはアンモニウム塩であ
る。これは粘度と粘膜に対する刺激の低さによる。この
様なアクリロイルジメチルタウレート・ビニルピロリド
ン共重合物及び/又はその塩は上記のごとく製造して使
用しても良いが、既に市販されているものが存在し、こ
のものを購入して用いることもできる。かかる市販品の
内、特に好ましいものは、クラリアントジャパン株式会
社より販売されている「アリストフレックスAVC(Ari
stoflex AVC)」が挙げられる。本発明の保湿用の組成物
に於ける、かかるアクリロイルジメチルタウレート・ビ
ニルピロリドン共重合物及び/又はその塩の好ましい含
有量は、組成物全量に対して、総量で0.1〜10重量
%であり、更に好ましくは0.5〜5重量%である。こ
れは少なすぎるとゲルを形成しない場合があり、多すぎ
てもゲル構造にムラができ品質の維持が困難になる場合
があるからである。
【0007】(2)本発明の保湿用の組成物 本発明の保湿用の組成物は、上記アクリロイルジメチル
タウレート・ビニルピロリドン共重合物及び/又はその
塩を含有することを特徴とする。本発明の保湿用の組成
物は、粘膜に対して安全性が極めて高く、その為、粘膜
の保湿用として大変有用である。粘膜としては、例え
ば、直腸や肛門などに於ける腸粘膜、鼻腔等に於ける鼻
粘膜、目に於ける眼粘膜、膣乃至は子宮における粘膜な
どが例示できる。この内、本発明の保湿用の組成物が酸
性域でも安定な構造を形成することから、領域内が酸性
である、膣に適用することが好ましい。本発明の保湿用
の組成物に於いては、通常皮膚外用剤や粘膜適用剤で使
用される任意の成分を含有することができる。かかる任
意の成分としては、例えば、スクワラン、ワセリン、マ
イクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、ジメチコ
ンやフェメチコン、架橋型メチルポリシロキサンなどの
シリコーン類、ホホバ油、ビーゼルワックス、カルナウ
バワックス,オレイン酸オクチルドデシル等のエステル
類、オリーブ油、牛脂、椰子油等のトリグリセライド
類、ステアリン酸、オレイン酸、リチノレイン酸等の脂
肪酸、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オ
クチルドデカノール等の高級アルコール、ポリエチレン
グリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、ソ
ルビトール、マルチトール等のポリオキシエチレンポリ
オキシプロピレングリセリルエーテル以外の多価アルコ
ール類、脂肪酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エス
テル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテルなどの非イオン界面活性剤類、コン
ニャクマンナン、寒天、ジェランガム、デンプン・アク
リル酸塩グラフト共重合体などの増粘・ゲル化剤、酸化
防止剤、紫外線吸収剤、有機色素などの色剤、防腐剤、
二酸化チタン、酸化鉄、チタンマイカ、着色チタンマイ
カ、虹彩箔等の粉体、ヒアルロン酸及び/又はその塩、
トレハロース、硫酸化トレハロース及び/又はその塩等
の保湿成分等を例示することができる。これらの内、特
に好ましいものは本発明の組成物のレオロジカルな特性
を好ましく調整できるコンニャクマンナン、寒天、ジェ
ランガム、デンプン・アクリル酸塩グラフト共重合体な
どの増粘・ゲル化剤であり、かかる増粘・ゲル化剤とし
ては、著しい保湿作用を有することから、デンプン・ア
クリル酸塩グラフト重合体が特に好ましく例示できる。
この様なものの市販品としては、三洋化成工業株式会社
製のサンフレッシュST−100SPが特に好ましく例
示できる。これらの増粘・ゲル化剤は唯1種を含有する
こともできるし、2種以上を組み合わせて含有すること
もできる。好ましい含有量は、0.01〜1重量%であ
り、更に好ましくは0.05〜0.5重量%である。
又、一方、本発明の保湿用の組成物に於いては、ヒアル
ロン酸とその塩、トレハロース、硫酸化トレハロースと
その塩等の保湿成分を含有することも有利である。これ
ら保湿成分の好ましい含有量は、0.01〜5重量%で
あり、更に好ましくは0.05〜1重量%である。更に
加えて、膣に対する保湿用の組成物として用いる場合に
は、クエン酸、乳酸、燐酸或いは蓚酸などの酸性成分で
pHを4〜5程度の酸性にしておき、膣内とpH差が無
いように調整しておくことが好ましい。又、これらの成
分による効果を更に高めるためには、グリセリンや1,
3−ブタンジオールなどの多価アルコールを総量で10
〜30重量%、更に好ましくは15〜25重量%含有さ
せることが好ましく、かかる多価アルコールの内、グリ
セリンの構成比を90%以上にしておくことが好まし
い。本発明の保湿用の組成物は、これらの成分を常法に
従って処理することにより、製造することができる。
【0008】
【実施例】以下に、実施例を挙げて、本発明について更
に詳細に説明を加えるが、本発明がこれら実施例にのみ
限定されないことは言うまでもない。
【0009】<実施例1>下記に示す処方に従って、本
発明のジェル状の保湿用の組成物を作製した。即ち、処
方成分を攪拌、均一化して本発明の保湿用の組成物をジ
ェルとして得た。 メチルパラベン 0.1重量部 サンフレッシュST−100SP 0.1重量部 アリストフレックスAVC 1 重量部 1,3−ブタンジオール 1 重量部 グリセリン 15 重量部 ヒアルロン酸ナトリウム 0.5重量部 クエン酸 0.1重量部 水 82.2重量部
【0010】<実施例2>下記に示す処方に従って、本
発明のジェル状の保湿用の組成物を作製した。即ち、処
方成分を攪拌、均一化して本発明の保湿用の組成物をジ
ェルとして得た。 メチルパラベン 0.1重量部 アリストフレックスAVC 1 重量部 1,3−ブタンジオール 1 重量部 グリセリン 15 重量部 ヒアルロン酸ナトリウム 0.5重量部 クエン酸 0.1重量部 水 82.3重量部
【0011】<実施例3>下記に示す処方に従って、本
発明のジェル状の保湿用の組成物を作製した。即ち、処
方成分を攪拌、均一化して本発明の保湿用の組成物をジ
ェルとして得た。 メチルパラベン 0.1重量部 サンフレッシュST−100SP 0.1重量部 アリストフレックスAVC 1 重量部 1,3−ブタンジオール 1 重量部 グリセリン 15 重量部 クエン酸 0.1重量部 水 82.7重量部
【0012】<比較試験1>濾紙にpH4.02の緩衝
液を含漬させ、この上に上記本発明の保湿用の組成物を
0.1g置き、30分後にその状態を観察した。そのま
まの形態を維持していたものを評点5とし、濾紙と同一
平面になったものを評点0とした。比較例1として、ア
リストフレックスAVCをカルボキシビニルポリマーの
ナトリウム塩に置換したものを用いた。結果を表1に示
す。これより、本発明の組成物は酸性域で安定にゲル構
造を維持していることがわかる。
【0013】
【表1】
【0014】<比較試験2>本発明の保湿用の組成物の
保湿能を、人の上腕内側部に於ける水分散逸の抑制とし
て測定した。皮膚を処理しない場合を100として、こ
れをどの程度抑制しているかを(皮膚を処理しない場合
の散逸水分量−処理後の散逸水分量)/(皮膚を処理し
ない場合の散逸水分量)×100の式より求めた。結果
を表2に示す。これより、本発明の保湿用の組成物は、
水分散逸を防止する作用が著しいことがわかる。
【0015】
【表2】
【0016】<比較試験3>ICRマウス(雌、1群3
匹)の膣を直径1.5mmのポリエチレンの棒を用い、
組成物を10μl塗布して5回擦過し、その5時間後に
膣から病理標本を作製し、ヘマトキシリン−エオジン染
色し、病理観察を行った。対照例として組成物を塗布し
ないものをとり、これに比べ炎症性細胞の出現がどの程
度抑えられているかを指標に、病理判定を行った。対照
例に比較して明らかに抑制されていて、殆ど炎症性細胞
を観察しないものを評点5とし、対照例と差がないもの
を評点0とした。表3に平均評点を示す、これより、本
発明の組成物は保湿作用ばかりか、摩擦軽減作用を有す
ることもわかる。更に、この摩擦軽減作用は、酸性域に
於けるゲル構造の安定性によるものであることもわか
る。
【0017】
【表3】
【0018】<比較試験4>上記のサンプルについて、
モルモット眼粘膜を用いた眼粘膜刺激試験を行った。方
法はドレーズの方法に従った。実施例1〜3は無刺激で
あり、比較例1は弱刺激であった。これより、本発明の
保湿用の組成物は極めて粘膜に対して極めて刺激が低い
ことがわかる。
【0019】<評価試験>膣の乾燥感に悩む閉経直後の
更年期の女性2名に実施例1のサンプルを使用してもら
ったところ、乾燥感は著しく改善した。
【0020】<実施例4>下記に示す処方に従って、本
発明のジェル状の保湿用の組成物を作製した。即ち、処
方成分を攪拌、均一化して本発明の保湿用の組成物をジ
ェルとして得た。このものは優れた膣保湿作用を有して
いた。 メチルパラベン 0.1重量部 寒天 0.1重量部 アリストフレックスAVC 1 重量部 1,3−ブタンジオール 1 重量部 グリセリン 20 重量部 ヒアルロン酸ナトリウム 0.5重量部 乳酸 0.1重量部 水 77.2重量部
【0021】<実施例5>下記に示す処方に従って、本
発明のジェル状の保湿用の組成物を作製した。即ち、処
方成分を攪拌、均一化して本発明の保湿用の組成物をジ
ェルとして得た。このものは優れた膣粘膜保湿作用を有
していた。 メチルパラベン 0.1重量部 グルコマンナン 0.1重量部 アリストフレックスAVC 1 重量部 1,3−ブタンジオール 1 重量部 グリセリン 20 重量部 硫酸化トレハロースナトリウム 0.5重量部 クエン酸 0.1重量部 水 77.2重量部
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、粘膜の保湿用の組成物
を提供することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリロイルジメチルタウレート・ビニ
    ルピロリドン共重合物及び/又はその塩を含有すること
    を特徴とする、保湿用の組成物。
  2. 【請求項2】 ジェル状であることを特徴とする、請求
    項1に記載の保湿用の組成物。
  3. 【請求項3】 更に、デンプン・アクリル酸塩グラフト
    重合物を含有することを特徴とする、請求項1又は2に
    記載の保湿用の組成物。
  4. 【請求項4】 粘膜の保湿用であることを特徴とする、
    請求項1〜3何れか1項に記載の保湿用の組成物。
  5. 【請求項5】 粘膜が膣粘膜であることを特徴とする、
    請求項4に記載の保湿用の組成物。
  6. 【請求項6】 更年期に使用されることを特徴とする、
    請求項1〜5何れか1項に記載の保湿用の組成物。
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