JP2002211957A - 機能性膜で被覆された物品の製造方法、およびその方法で製造された機能性膜被覆物品 - Google Patents

機能性膜で被覆された物品の製造方法、およびその方法で製造された機能性膜被覆物品

Info

Publication number
JP2002211957A
JP2002211957A JP2001001956A JP2001001956A JP2002211957A JP 2002211957 A JP2002211957 A JP 2002211957A JP 2001001956 A JP2001001956 A JP 2001001956A JP 2001001956 A JP2001001956 A JP 2001001956A JP 2002211957 A JP2002211957 A JP 2002211957A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
functional film
producing
functional
article
coated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001001956A
Other languages
English (en)
Inventor
Toyoyuki Teranishi
豊幸 寺西
Nagafumi Ogawa
永史 小川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Sheet Glass Co Ltd filed Critical Nippon Sheet Glass Co Ltd
Priority to JP2001001956A priority Critical patent/JP2002211957A/ja
Publication of JP2002211957A publication Critical patent/JP2002211957A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来示されている撥水性膜を形成する処理剤
において、その寿命が短いという改良すべき点があっ
た。そこで本発明は、撥水性膜、防汚性膜、低摩擦膜な
どの、ガラスその他の基材の表面に形成された機能性膜
の製造方法において、その液中には触媒を含まない機能
性膜形成用組成物を用いた機能性膜で被覆された物品の
製造方法の提供を目的とする。 【解決手段】 機能性膜形成用組成物を基材に塗布、乾
燥してなる機能性膜で被覆された物品の製造方法におい
て、前記機能性膜組成物を塗布した基材を、酸またはア
ルカリ雰囲気に接触させる工程を含むことを特徴とする
機能性膜で被覆された物品の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機能性膜で被覆さ
れた物品の製造方法に関し、さらにこの製造方法によっ
て製造された機能性膜被覆物品に関する。
【0002】
【従来の技術】まず従来技術としては、ガラスその他の
基材の表面に機能性膜を形成させることが知られてい
る。この機能性膜としては、撥水性膜、防汚性膜、摩擦
低減膜などが挙げられる。
【0003】例えば、撥水性膜を形成する方法として
は、(1)特開平5−311156号公報が知られてい
る。この公報では、フルオロアルキルシランを1.0〜
10重量%、酸触媒を0.11〜5重量%、水を0.0
1〜40重量%含有するアルコール溶液からなる撥水処
理剤が開示されている。
【0004】さらに、(2)特開平8−209118号公
報には、フルオロアルキルシランと、加水分解性基含有
メチルポリシロキサンとの親水性溶媒中での共加水分解
物と、オルガノポリシロキサンと、強酸を配合してなる
撥水処理剤が開示されている。
【0005】また、(3)特開平10−226536号公
報には、防汚性膜を形成させる処理剤として、ポリアル
キレンオキシド基含有シランと、水と、酸触媒をアルコ
ールに添加してなる処理剤が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したいずれの処理
剤においても、その寿命が短いという改良すべき点があ
った。これは、処理剤中に触媒を含んでいるため、機能
性を発揮する基の加水分解や縮重合反応が進むためであ
る。
【0007】そこで本発明は、撥水性膜、防汚性膜、低
摩擦膜などの、ガラスその他の基材の表面に形成された
機能性膜の製造方法において、その液中には触媒を含ま
ない機能性膜形成用組成物を用いた機能性膜で被覆され
た物品の製造方法の提供を目的とする。
【0008】さらにそれによって得られる機能性膜被覆
物品の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明は、請求項1の発明として、機能性膜形
成用組成物を基材に塗布、乾燥してなる機能性膜で被覆
された物品の製造方法において、前記機能性膜組成物を
塗布した基材を、酸またはアルカリ雰囲気に接触させる
工程を含むことを特徴とする機能性膜で被覆された物品
の製造方法である。
【0010】請求項2の発明として、前記酸またはアル
カリ雰囲気に接触させる工程を、前記塗布および/また
は乾燥工程に含まれるようにした請求項1に記載の機能
性膜で被覆された物品の製造方法である。
【0011】請求項3の発明として、前記機能性膜形成
用組成物は、加水分解可能な官能基および機能性官能基
を有するオルガノシランならびにその加水分解物(部分
加水分解物を含む)の少なくともいずれか1つを含む請
求項1または2記載の機能性膜で被覆された物品の製造
方法である。
【0012】請求項4の発明として、前記加水分解可能
な官能基は、アルコキシル基である請求項3に記載の機
能性膜で被覆された物品の製造方法である。
【0013】請求項5の発明として、前記機能性官能基
は、フルオロアルキル基またはアルキル基、ポリアルキ
レンオキシド基の少なくともいずれか1つを含む請求項
3に記載の機能性膜で被覆された物品の製造方法であ
る。
【0014】請求項6の発明として、前記機能性膜形成
用組成物は、アルコキシル基およびフルオロアルキル基
を分子内に含むオルガノシランならびにその加水分解物
(部分加水分解物を含む)の少なくともいずれか1つを
含む請求項3に記載の機能性膜で被覆された物品の製造
方法である。
【0015】請求項7の発明として、前記機能性膜形成
用組成物は、アルコキシル基およびアルキル基を分子内
に含むオルガノシランならびにその加水分解物(部分加
水分解物を含む)の少なくともいずれか1つを含む請求
項3に記載の機能性膜で被覆された物品の製造方法であ
る。
【0016】請求項8の発明として、前記機能性膜形成
用組成物は、アルコキシル基およびポリアルキレンオキ
シド基を分子内に含むオルガノシランならびにその加水
分解物(部分加水分解物を含む)の少なくともいずれか
1つを含む請求項3に記載の機能性膜で被覆された物品
の製造方法である。
【0017】請求項9の発明として、前記機能性膜は、
撥水機能を有する膜である請求項1〜8記載の機能性膜
で被覆された物品の製造方法である。
【0018】請求項10の発明として、前記機能性膜
は、摩擦低減機能を有する膜である請求項1〜8記載の
機能性膜で被覆された物品の製造方法である。
【0019】請求項11の発明として、前記機能性膜
は、その表面についた水滴を転落させる機能を有する膜
である請求項1〜8記載の機能性膜で被覆された物品の
製造方法である。
【0020】請求項12の発明として、前記機能性膜
は、防汚機能を有する膜である請求項1〜8記載の機能
性膜被覆物品の製造方法である。
【0021】請求項13の発明として、前記塗布または
/および乾燥する環境は、塩酸ガスの雰囲気である請求
項1〜12のいずれか1項に記載の機能性膜で被覆され
た物品の製造方法である。
【0022】請求項14の発明として、前記基材は、透
明なガラス板である請求項1〜13のいずれかに記載の
機能性膜で被覆された物品の製造方法である。
【0023】請求項15の発明として、請求項1〜14
のいずれか1項に記載の方法で得られる機能性膜被覆物
品である。
【0024】本発明の特徴は、触媒を含まない機能性膜
形成用組成物を用い、この組成物を触媒として作用する
酸またはアルカリ雰囲気に接触させることを特徴として
いる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に示す実施例を用いて、本発
明を詳細に説明する。
【0026】
【発明の実施の形態】[実施例1]まず、CF3(C
27(CH22Si(OCH33(ヘプタデカフルオ
ロデシルトリメトキシシラン、信越シリコーン製)1g
をエタノール 99gに溶解し、1時間撹拌し、撥水処
理組成物を得た。
【0027】次に、密閉された容器の底に濃塩酸(関東
化学製:濃度35重量%)を入れ、常温下で1時間放置
して、自然に揮発した塩酸ガスを、密閉された容器内に
充満させた。
【0028】塩酸ガスを充満させた容器内において、以
下の処理を行った。洗浄したガラス基板の表面上に、綿
布に3mLの上記撥水処理組成物をつけて塗り込んだ
後、過剰に付着した撥水処理組成物を新しい綿布で拭き
取り、撥水処理ガラス板を得た。
【0029】得られた撥水処理ガラス板について、まず
その撥水性を水の接触角で評価した。接触角計(「CA
−DT」、協和界面科学(株)製)を用い、2mgの質
量の水滴をガラス板表面に滴下して、静的接触角を測定
した。なおこの接触角の値が大きいほど、静的な撥水性
が優れていることを表している。
【0030】また、撥水処理ガラス板がその表面の水滴
を転落させる性能は、傾斜角度を用いて評価した。この
傾斜角度は、水平に配置した撥水処理ガラス板表面に直
径5mmの水滴を置き、撥水処理ガラス板を徐々に傾斜
させて、その表面に置かれた水滴が転がり始めるとき
の、ガラス板の角度(=臨界傾斜角)として測定され
る。
【0031】この臨界傾斜角が小さいほど、動的な撥水
性が優れていると評価できる。例えば、この臨界傾斜角
が小さいと、走行中の自動車のフロントガラス窓に付着
した雨滴が飛散しやすく、運転者の視界が妨げられにく
いことを表している。
【0032】次に、得られた撥水処理ガラス板につい
て、その膜の耐摩耗性を評価した。耐摩耗性試験は、往
復摩耗試験機(新東科学(株)製)に乾布を取り付け
て、荷重0.3kg/cm2 の条件で、撥水膜被覆表面
を2000回往復摺動させた。
【0033】[実施例2]エタノール 100gに、ヘ
プタデカフルオロデシルトリメトキシシラン 0.5
g、およびポリジメチルシロキサン 3.0gを溶解
し、30分撹拌して撥水処理組成物を得た。この撥水処
理組成物を用いて、実施例1と同様の方法にて撥水処理
ガラス板を得た。
【0034】[実施例3]エタノール 100gに、ポ
リジメチルシロキサン 3.0gを溶解し、30分撹拌
して撥水処理組成物を得た。この撥水処理組成物を用い
て、実施例1と同様の方法にて撥水性ガラス板を得た。
【0035】実施例1〜3で得られた撥水処理ガラス板
は、103度以上の初期接触角および17度以下の初期
臨界傾斜角を示し、優れた撥水性能を有することがわか
った。また、耐摩耗性試験後の接触角および臨界傾斜角
は、それぞれ90度以上および24度以下であり、優れ
た耐摩耗性を有することがわかった。
【0036】また、実施例1〜3で得た撥水処理組成物
を室温で6ヶ月間保管した後、溶液の外観を観察したと
ころ、特に変化は見られず透明であった。この撥水処理
組成物を用いて各実施例と同様に撥水処理ガラス板を作
製し、同様の評価を行ったところ、ほぼ同じ結果が得ら
れた。この結果から、これらの撥水処理組成物は長寿命
であることが確認された。
【0037】[比較例1]エタノール 100gに、ヘ
プタデカフルオロデシルトリメトキシシラン 1gを溶
解した後、濃塩酸 0.2g、水 0.2gを添加し、
30分撹拌して撥水処理組成物を得た。洗浄したガラス
基板の表面上に、湿度30%、室温下でこの撥水処理組
成物を綿布に2gつけて、円を描くように約30秒間塗
り込んだ後、過剰に付着した撥水処理組成物を新しい綿
布で拭き取り、撥水処理ガラス板を得た。
【0038】このガラス板の水の接触角は107度であ
り、臨界傾斜角は19度であった。また、耐摩耗性試験
後の接触角および臨界傾斜角は、それぞれ85度および
29度であり、耐摩耗性が劣ることがわかった。
【0039】さらに、この撥水処理組成物を室温で6ヶ
月間保管した後、溶液の外観を観察したところ、溶液が
白濁していることが確認された。この結果から、この撥
水処理組成物は、溶液中でヘプタデカフルオロデシルト
リメトキシシランの重合反応が進んでいるものと推測で
き、溶液の寿命が短いことがわかった。
【0040】[比較例2]トリクロロトリフロロエタン
(デュポン製、「フレオンTF」) 49.4gと、ヘ
キサデカン 49.4gを混合撹拌後、ヘプタデカフル
オロデシルトリクロロシラン 1.2gを湿度30%R
Hの下で30分撹拌し、撥水処理組成物を得た。洗浄し
たガラス基板の表面上に、湿度30%、室温下でこの撥
水処理組成物を綿布に2gつけて、円を描くように約3
0秒間塗り込んだ後、過剰に付着した撥水処理組成物を
新しい綿布で拭き取り、撥水処理ガラス板を得た。
【0041】このガラス板の水の接触角は107度であ
り、臨界傾斜角は18度であった。また、耐摩耗性試験
後の接触角および臨界傾斜角は、それぞれ87度および
28度であり、耐摩耗性が劣ることがわかった。
【0042】さらに、この撥水処理組成物を室温で6ヶ
月間保管した後、溶液の外観を観察したところ、溶液の
底に沈殿物が確認された。この結果から、この撥水処理
組成物は、溶液中でヘプタデカフルオロデシルトリクロ
ロシランの重合反応が進んでいるものと推測でき、溶液
の寿命が短いことがわかった。
【0043】[比較例3]エタノール 100gに、ヘ
プタデカフルオロデシルトリメトキシシラン 1gを添
加し、30分撹拌して撥水処理組成物を得た。洗浄した
ガラス基板の表面上に、湿度30%、室温下でこの撥水
処理組成物を綿布に2gつけて、円を描くように約30
秒間塗り込んだ後、過剰に付着した撥水処理組成物を新
しい綿布で拭き取り、撥水処理ガラス板を得た。
【0044】このガラス板の水の接触角は76度であ
り、臨界傾斜角は31度であり、撥水性能が悪かった。
これは、撥水処理組成物中に触媒が含有されていないた
め、ガラス表面との反応性が悪いためと推測できた。
【0045】
【表1】 ─────────────────────────────────── 初期 耐摩耗試験後 撥水処理組成物の外観 初期 臨界 接触角/ サンプル 接触角 傾斜角 臨界傾斜角 調合 調合 (度) (度) (度)/(度) 直後 6ヶ月後 ─────────────────────────────────── 実施例1 108 17 100/19 透明 透明 実施例2 106 14 97/18 透明 透明 実施例3 103 8 90/24 透明 透明 ─────────────────────────────────── 比較例1 107 19 85/29 透明 白濁 比較例2 107 18 87/28 透明 沈殿物 比較例3 76 31 − 透明 透明 ───────────────────────────────────
【0046】[実施例4〜8]実施例1での撥水処理組
成物の調合に用いたヘプタデカフルオロデシルトリメト
キシシランに代えて、アルキルシランを用いた以外は、
実施例1と同様にして低摩擦ガラス板を得た。この低摩
擦処理組成物の組成を表2に示す。
【0047】
【表2】 ─────────────────────────────────── アルキルシラン エタノール (g) (g) ─────────────────────────────────── 実施例4 n-オクタテ゛シルトリメトキシシラン 1 99 実施例5 n-ト゛テ゛シルトリメトキシシラン 1 99 実施例6 n-オクチルトリエトキシシラン 1 99 実施例7 n-ヘ゜ンチルトリエトキシシラン 1 99 実施例8 トリメチルエトキシシラン 1 99 ───────────────────────────────────
【0048】これらの低摩擦ガラス板について、初期お
よび摩耗試験後の接触角を測定した。また、摩擦係数測
定器(新東科学(株)製)に乾布を取り付けて、膜表面
と乾布との間の摩擦係数を測定した。これらの測定結果
を表3に示す。
【0049】表3に示すように、低摩擦処理後の初期接
触角と摩耗試験後の接触角の差が非常に小さく、ほとん
ど接触角の劣化が見られなかった。また、乾布との摩擦
係数は、0.23〜0.26であり、実施例1のよう
に、フルオロアルキル基を有するオルガノシランで処理
した場合の0.36、無処理の通常ガラス板の0.42
に比較して、摩擦係数の小さいガラス板が得られた。
【0050】また、実施例4〜8で得られた低摩擦処理
組成物を室温で6ヶ月間保管した後、溶液の外観を観察
したところ、特に変化は見られず透明であった。この低
摩擦処理組成物を用いて各実施例と同様に低摩擦処理ガ
ラス板を作製し、同様の評価を行ったところ、ほぼ同じ
結果が得られた。この結果から、これらの低摩擦処理組
成物は長寿命であることが確認された。
【0051】[比較例4]n−オクタデシルトリメトキ
シシラン 1gと0.1N−塩酸 1gを、エタノール
98gに溶解し、1時間撹拌し、低摩擦処理組成物を
得た。この低摩擦処理組成物を用いて、比較例1と同様
の方法にて低摩擦処理ガラス板を得た。各種接触角等を
表3にそれぞれ示す。
【0052】表3に示すように、低摩擦処理後の初期接
触角は93度であり、実施例4のガラス板についての値
と等しかったが、摩耗試験後の接触角は54度であり、
実施例4のガラス板についての値(88度)に比して著
しく低く、耐摩耗性能に劣る膜であった。
【0053】さらに、この低摩擦処理組成物を室温で6
ヶ月間保管した後、溶液の外観を観察したところ、溶液
が白濁していることが確認された。この結果から、この
低摩擦処理組成物は、溶液中でn−オクタデシルトリメ
トキシシランの重合反応が進んでいるものと推測でき、
溶液の寿命が短いことがわかった。
【0054】
【表3】 ─────────────────────────────────── 初期接触角 初期摩擦係数 摩耗試験後 撥水処理組成物の外観 接触角 調合 調合 (度) (度) 直後 6ヶ月後 ─────────────────────────────────── 実施例4 93 0.24 88 透明 透明 実施例5 89 0.23 85 透明 透明 実施例6 86 0.25 81 透明 透明 実施例7 78 0.26 74 透明 透明 実施例8 59 0.26 55 透明 透明 ─────────────────────────────────── 比較例4 93 0.24 54 透明 白濁 ───────────────────────────────────
【0055】[実施例9]実施例1での撥水処理液の調
合に用いたヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラ
ンを、[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]ト
リメトキシシラン(チッソ(株)製、含有率90%、分
子量460〜590、エチレンオキシド単位数6〜9)
に代えた以外は、実施例1と同様にして、防汚機能性ガ
ラス板を得た。このガラス板は、水滴の転がり始める臨
界傾斜角が小さいという特徴も持っている。
【0056】この防汚機能性ガラス板の接触角は、38
度であった。また臨界傾斜角は4度であり、非常に水滴
が転がりやすい表面が得られた。さらに、摩耗試験後の
接触角は36度であり、摩擦試験後の臨界傾斜角は7度
であって、摩擦試験前とほとんど同じ性能を維持してい
た(表4)。
【0057】つぎに防汚性能として、タバコの煙試験を
実施した。上記防汚機能性ガラス板サンプルを24cm
角の立方体型箱の底に置き、市販のタバコ1本分の煙を
箱内に導入し、30分間保持した後、サンプルを取り出
した。このサンプルについてタバコの煙に曝した後の接
触角を測定したところ、表4にも示したように38度の
ままであり、変化が認められなかった。また、臨界傾斜
角を測定したところ、4度であり変化が認められなかっ
た。このことから、上記防汚機能性ガラス板は汚れ成分
を吸着しにくく、汚れにくいことが確認された。
【0058】比較として、洗浄したガラス板について上
記と同じタバコの煙試験を行ったところ、初期接触角8
度、初期臨界傾斜角15度であったものが、試験後に接
触角55度、臨界傾斜角30度に上昇した。このことか
ら、通常のガラス板はタバコ煙の汚れ成分を吸着しやす
いことが確認された。
【0059】また、実施例9で得られた防汚機能性処理
組成物を室温で6ヶ月間保管した後、溶液の外観を観察
したところ、特に変化は見られず透明であった。この防
汚機能性処理組成物を用いて実施例と同様に防汚機能性
ガラス板を作製し、同様の評価を行ったところ、ほぼ同
じ結果が得られた。この結果から、これらの防汚機能性
処理組成物は長寿命であることが確認された。
【0060】[比較例5][メトキシ(ポリエチレンオ
キシ)プロピル]トリメトキシシラン 1gと、0.1
N−塩酸 1gを、エタノール 98gに溶解し、1時
間撹拌し、防汚機能性処理組成物を得た。この防汚機能
性処理組成物を用いて、比較例1と同様の方法にて防汚
機能性処理ガラス板を得た。各種接触角等を表4にそれ
ぞれ示す。
【0061】この防汚機能性ガラス板の接触角は、38
度であった。また臨界傾斜角は4度であり、非常に水滴
が転がりやすい表面が得られた。また、タバコの煙試験
後の接触角と臨界傾斜角もそれぞれ38度と4度であ
り、防汚機能も確認された。しかし、摩耗試験後の接触
角は25度であり、摩擦試験後の臨界傾斜角は23度で
あって、耐摩耗性能に劣る膜であった。
【0062】さらに、この防汚機能性処理組成物を室温
で6ヶ月間保管した後、溶液の外観を観察したところ、
溶液が白濁していることが確認された。この結果から、
この防汚機能性処理組成物は、溶液中で[メトキシ(ポ
リエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシランの重
合反応が進んでいるものと推測でき、溶液の寿命が短い
ことがわかった。
【0063】
【表4】 ─────────────────────────────────── 初期 タハ゛コ煙試験後 耐摩耗試験後 撥水処理組成物の外観 接触角/ 接触角/ 接触角/ サンプル 臨界傾斜角 臨界傾斜角 臨界傾斜角 調合 調合 (度)/(度) (度)/(度) (度)/(度) 直後 6ヶ月後 ─────────────────────────────────── 実施例9 38/ 4 38/ 4 36/ 7 透明 透明 ─────────────────────────────────── 比較例5 38/ 4 38/ 4 25/23 透明 白濁 ───────────────────────────────────
【0064】以上より、本発明による機能性膜被覆物品
における機能は、以下のように評価することができる。
まず、撥水機能は接触角で評価することができる。接触
角が90度以上の膜が、撥水性機能膜として特に好まし
い。
【0065】また、摩擦低減機能は摩擦係数で評価する
ことができる。摩擦係数が0.3以下の膜が、低摩擦機
能膜として特に好ましい。
【0066】さらに、水滴の転がり性は臨界傾斜角で評
価することができる。臨界傾斜角が10度以下の膜が、
水滴を転落させる機能性膜として特に好ましい。
【0067】また、防汚機能は、タバコの煙試験前後の
接触角と臨界傾斜角の変化量で評価できる。タバコの煙
試験前後の接触角と臨界傾斜角の変化量が5度以下の膜
が、防汚機能性膜として特に好ましい。
【0068】
【発明の効果】以上の説明から把握できるように、本発
明の特徴は、触媒を含まない機能性膜形成用組成物を用
い、この組成物を触媒として作用する酸またはアルカリ
雰囲気に接触させている。このため、機能性膜形成用組
成物の寿命を長くすることが可能となる。
【0069】さらに機能性官能基に、フルオロアルキル
基またはアルキル基、ポリアルキレンオキシド基を用い
ると、撥水性、防汚性、摩擦低減、水滴を転落させるな
どの機能を機能性膜に付与することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 183/08 C09D 183/08 C09K 3/00 112 C09K 3/00 112F 3/18 104 3/18 104 Fターム(参考) 4D075 AC47 BB65X CA06 CA34 CA36 DB13 DC50 EA07 EB16 EB42 4F100 AG00A AK17B AK52B AT00A BA02 CC00B EH46 JB06 JB06B JK16 JK16B JL06 JL06B 4G059 AA01 AB09 AC22 AC30 FA22 FB05 4H020 BA32 BA36 4J038 DL031 DL071 NA05 NA07 PA15 PA19 PA21 PC03

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機能性膜形成用組成物を基材に塗布、乾
    燥してなる機能性膜で被覆された物品の製造方法におい
    て、 前記機能性膜組成物を塗布した基材を、酸またはアルカ
    リ雰囲気に接触させる工程を含むことを特徴とする機能
    性膜で被覆された物品の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記酸またはアルカリ雰囲気に接触させ
    る工程を、前記塗布および/または乾燥工程に含まれる
    ようにした請求項1に記載の機能性膜で被覆された物品
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記機能性膜形成用組成物は、加水分解
    可能な官能基および機能性官能基を有するオルガノシラ
    ンならびにその加水分解物(部分加水分解物を含む)の
    少なくともいずれか1つを含む請求項1または2記載の
    機能性膜で被覆された物品の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記加水分解可能な官能基は、アルコキ
    シル基である請求項3に記載の機能性膜で被覆された物
    品の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記機能性官能基は、フルオロアルキル
    基またはアルキル基、ポリアルキレンオキシド基の少な
    くともいずれか1つを含む請求項3に記載の機能性膜で
    被覆された物品の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記機能性膜形成用組成物は、アルコキ
    シル基およびフルオロアルキル基を分子内に含むオルガ
    ノシランならびにその加水分解物(部分加水分解物を含
    む)の少なくともいずれか1つを含む請求項3に記載の
    機能性膜で被覆された物品の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記機能性膜形成用組成物は、アルコキ
    シル基およびアルキル基を分子内に含むオルガノシラン
    ならびにその加水分解物(部分加水分解物を含む)の少
    なくともいずれか1つを含む請求項3に記載の機能性膜
    で被覆された物品の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記機能性膜形成用組成物は、アルコキ
    シル基およびポリアルキレンオキシド基を分子内に含む
    オルガノシランならびにその加水分解物(部分加水分解
    物を含む)の少なくともいずれか1つを含む請求項3に
    記載の機能性膜で被覆された物品の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記機能性膜は、撥水機能を有する膜で
    ある請求項1〜8記載の機能性膜で被覆された物品の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 前記機能性膜は、摩擦低減機能を有す
    る膜である請求項1〜8記載の機能性膜で被覆された物
    品の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記機能性膜は、その表面についた水
    滴を転落させる機能を有する膜である請求項1〜8記載
    の機能性膜で被覆された物品の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記機能性膜は、防汚機能を有する膜
    である請求項1〜8記載の機能性膜被覆物品の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 前記塗布または/および乾燥する環境
    は、塩酸ガスの雰囲気である請求項1〜12のいずれか
    1項に記載の機能性膜で被覆された物品の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記基材は、透明なガラス板である請
    求項1〜13のいずれかに記載の機能性膜で被覆された
    物品の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれか1項に記載
    の方法で得られる機能性膜被覆物品。
JP2001001956A 2001-01-09 2001-01-09 機能性膜で被覆された物品の製造方法、およびその方法で製造された機能性膜被覆物品 Pending JP2002211957A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001001956A JP2002211957A (ja) 2001-01-09 2001-01-09 機能性膜で被覆された物品の製造方法、およびその方法で製造された機能性膜被覆物品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001001956A JP2002211957A (ja) 2001-01-09 2001-01-09 機能性膜で被覆された物品の製造方法、およびその方法で製造された機能性膜被覆物品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002211957A true JP2002211957A (ja) 2002-07-31

Family

ID=18870531

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001001956A Pending JP2002211957A (ja) 2001-01-09 2001-01-09 機能性膜で被覆された物品の製造方法、およびその方法で製造された機能性膜被覆物品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002211957A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004067142A (ja) * 2002-08-05 2004-03-04 Toyo Seikan Kaisha Ltd 注出機能付き袋状容器

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004067142A (ja) * 2002-08-05 2004-03-04 Toyo Seikan Kaisha Ltd 注出機能付き袋状容器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100894079B1 (ko) 활수성 피막을 얻기 위한 처리제 및 활수성 피막의 제조방법
EP0759413B1 (en) Surface-treated substrate
EP0703282B1 (en) Composition for surface treatment
EP0966410B1 (en) A substrate having a treatment surface
PL200431B1 (pl) Podłoże mające hydrofobową powłokę powierzchniową
JP2003160361A (ja) ガラス面の二液型撥水剤
KR20120038991A (ko) 발수막 형성용 조성물, 발수막 부착 기체 및 그 제조 방법 그리고 수송 기기용 물품
JP5631640B2 (ja) 防曇剤組成物
JP2021525169A (ja) 指紋非視認性コーティングおよびそれを形成する方法
JP2014024288A (ja) 撥水膜付き基板
JP3427755B2 (ja) シリカ系膜被覆物品を製造する方法
JP2004137137A (ja) 皮膜被覆物品、その製造方法、およびそれに用いる塗布溶液
EP1197526B1 (en) Fluorine-containing organic silicon compound, water repellent composition containing it, and surface-treated substrate and process for its production
JP4826226B2 (ja) 滑水性被膜を得るための処理剤及び滑水性被膜の作製法
JP4522357B2 (ja) 滑水性ガラス物品の製法
JP3232525B2 (ja) 撥水処理剤
US5853896A (en) Water repellent agent for glass
JPH08209118A (ja) 撥水処理剤
JP4876424B2 (ja) 滑水性物品の製法
EP1555249A1 (en) Hydrophobic and/or oleophobic coating on microstructured glass surfaces providing an anti-fingerprint effect
JP2002211957A (ja) 機能性膜で被覆された物品の製造方法、およびその方法で製造された機能性膜被覆物品
JP2014074118A (ja) 撥水膜付き基体および輸送機器用物品
JP2001205747A (ja) 表面処理層を有する基材およびその製造方法
JP2004530776A (ja) 表面処理組成物およびその方法
JPH0940910A (ja) 撥水処理剤