JP2002206146A - 高Crフェライト系耐熱鋼とその製造方法 - Google Patents

高Crフェライト系耐熱鋼とその製造方法

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JP2002206146A
JP2002206146A JP2000401643A JP2000401643A JP2002206146A JP 2002206146 A JP2002206146 A JP 2002206146A JP 2000401643 A JP2000401643 A JP 2000401643A JP 2000401643 A JP2000401643 A JP 2000401643A JP 2002206146 A JP2002206146 A JP 2002206146A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐酸化特性を高温強度及び室温靱性の
向上と両立させて発現させる高Crフェライト系鋼を提
供する。 【解決手段】 フェライト系耐熱鋼であって、Crを1
2重量%以上19重量%以下含有し、マルテンサイト単
相である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、高Crフ
ェライト系耐熱鋼とその製造方法に関するものである。
さらに詳しくは、この出願の発明は、優れた耐酸化特性
を高温強度及び室温靱性の向上と両立させて発現させる
ことができる高Crフェライト系耐熱鋼とこれを製造す
るための製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】既存のフェライト系耐熱鋼には、耐酸化
特性の向上に実用上有用かつ重要な合金元素としてCr
が含有されている。このCrの含有量は、通常12重量
%未満に抑えられている。その理由は、Crを12重量
%以上含有すると、高温強度(たとえばクリープ強度な
ど)の低いδフェライト相が生成し、室温靱性が低下す
ることによる。
【0003】一方、耐酸化特性の向上を図り、Crの添
加量を増加させ、かつδフェライト相の量を低減させて
室温靱性を高めるには、Fe−Cr二元系合金のオース
テナイト領域を拡大させ、このオーステナイト相内のC
rの固溶量を増加させることの重要性が指摘されてい
る。
【0004】従来、オーステナイト領域の拡大のため
に、オーステナイト相を安定化させるNiやCuなどの
元素添加が行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Feに
NiやCuなどの元素を添加すると、オーステナイトと
フェライトの変態温度の低下をきたし、フェライト系耐
熱鋼の焼戻し温度を低くしなければならないという不都
合が生じる。フェライト系耐熱鋼における高温強度の長
時間安定性を高めるには、焼きならし熱処理後の焼戻し
温度を高く設定することが有利である。したがって、そ
れらNiやCuなどの元素の多量添加は避けなければな
らない。
【0006】この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑
みてなされたものであり、NiやCuなどの元素添加を
することなく、優れた耐酸化特性を高温強度及び室温靱
性の向上と両立させて発現させることができる高Crフ
ェライト系耐熱鋼とその製造方法を提供することを目的
としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この出願の発明の発明者
らは、以上の課題を解決すべく鋭意検討したところ、高
圧下では、Fe−Cr2元系合金のオーステナイト領域
が高Cr側へ拡大することに着目し、1千気圧以上4万
気圧以下の高圧下で焼きならし熱処理を行うことによ
り、Crを、これまで上限とされていた12重量%未満
を超える、すなわち12重量%以上19重量%以下含有
させ、これにより耐酸化特性を改善するとともに、高温
強度を低下させ、室温靱性をも低下させるδフェライト
相量が低減し、このような高Crフェライト系耐熱鋼に
おいてマルテンサイト単相のミクロ組織を形成させるこ
とにより、上記高温強度の向上ばかりでなく、室温靱性
の向上をも両立させることのできる高Crフェライト系
耐熱鋼が得られることを見出し、この知見に基づき、こ
の出願の発明を完成させた。
【0008】すなわち、この出願の発明は、前述の課題
を解決するものとして、フェライト系耐熱鋼であって、
Crを12重量%以上19重量%以下含有し、マルテン
サイト単相からなることを特徴とする高Crフェライト
系耐熱鋼(請求項1)を提供する。
【0009】またこの出願の発明は、前記請求項1記載
の高Crフェライト系耐熱鋼を製造する方法として、1
千気圧以上4万気圧以下の高圧下で焼きならし熱処理を
行い、フェライト系耐熱鋼にCrを、12重量%以上1
9重量%以下含有させるとともに、マルテンサイト単相
とすることを特徴とする高Crフェライト系耐熱鋼の製
造方法(請求項2)を提供する。
【0010】高圧下での焼きならし熱処理により得られ
るマルテンサイト単相材料を大気圧で焼戻し熱処理する
と、オーステナイト及びフェライトの変態温度が充分に
高いか、若しくはオーステナイト及びフェライトの変態
そのものが生じなくなる。したがって、焼戻し温度条件
が広い範囲で選択可能となり、従来のフェライト系耐熱
鋼に比べ、ミクロ組織の高温安定性に優れ、長時間にわ
たって高温強度が維持可能となる。したがって、高温長
時間クリープ強度の向上も望める。
【0011】
【発明の実施の形態】1千気圧の圧力を負荷することに
より、Fe−Cr二元系合金におけるオーステナイト相
へのCrの最大固溶量はおよそ0.3重量%増加する。こ
のおよそ0.3重量%のCr固溶量の増加は、耐酸化特性
及び高温強度の向上に十分に、そして室温靱性の向上に
も寄与する。1千気圧未満では、Crの含有量の増加は
0.3重量%未満と微量であり、耐酸化特性、高温強度及
び室温靱性の実質的な改善は見られない。一方、現状の
技術では、4万気圧を超える高圧を発生させることは困
難をきわめる。このことから、この出願の発明の高Cr
フェライト系耐熱鋼の製造方法では、焼きならし熱処理
の際の圧力を、オーステナイト相へのCrの固溶に有効
な1千気圧以上から技術的に可能である4万気圧以下の
範囲に限定している。
【0012】以上の高圧下での焼きならし熱処理によ
り、この出願の発明の高Crフェライト系耐熱鋼におけ
るCrの含有量は、既存のフェライト系耐熱鋼のCrの
最大含有量の12重量%未満を超える。そして、Fe−
Cr二元系合金におけるオーステナイト相へのCrの最
大固溶量は、たとえば4万気圧下での焼きならし熱処理
により約20重量%にまで増加する。また、このような
高圧下での焼きならし熱処理によりフェライト系耐熱鋼
はマルテンサイト単相となる。
【0013】ところで、統合型熱力学計算ソフトウェア
であるThermo-Calc(サーモカルク)によれば、Fe−
Cr二元系合金のオーステナイト相におけるCrの最大
固溶量は、4万気圧で約19.1重量%と計算される。そこ
で、この出願の発明の高Crフェライト系耐熱鋼におけ
るCrの含有量の上限は19重量%としている。Thermo
-Calcとは、スウェーデンで開発された熱力学計算ソフ
トウェアであり、世界的に広く使用されており、熱力学
的に安定に存在する相を計算することができる。
【0014】この出願の発明の高Crフェライト系耐熱
鋼は、前述の通り、耐酸化特性に優れるとともに、高温
強度と室温靱性にも優れ、しかも長時間高温クリープ強
度(具体的には、600℃を超える高温における長時間ク
リープ強度)の向上をも望めるため、ボイラ、原子力発
電設備、化学工業装置などの高温、高圧下で使用される
装置用材料(たとえば、構造部材など)の安全性及び信
頼性を向上させると考えられ、適していると考えられ
る。しかも、それら高温プラントの総合性能を高めるの
にも有効であり、発電プラントのエネルギー効率の向上
や化学工業装置の反応効率向上などが期待され、経済的
波及効果は絶大であると考えられる。
【0015】なお、この出願の発明の高Crフェライト
系耐熱鋼は、高温強度を高めるために有用なMo、Wな
どの合金元素を添加若しくは多量添加したものまで包含
される。
【0016】以下、実施例を示し、この出願の発明の高
Crフェライト系耐熱鋼とその製造方法についてさらに
詳しく説明する。
【0017】
【実施例】供試材を作製し、100kPa(大気圧)及び4GPa
(4万気圧)で焼きならし熱処理を行い、金属組織及び
クリープ強度に及ぼす影響を調べた。
【0018】その結果、大気圧ではマルテンサイト単相
とはならないが、4万気圧ではマルテンサイト単相とな
り、クリープ強度が著しく向上することが確認された。
【0019】図1は、Fe−Cr二元系合金の状態図で
ある。
【0020】試料全体をマルテンサイト組織にするため
には、焼きならし熱処理時に試料をオーステナイト
(γ)単相にする必要があるが、図1に示した状態図か
らは、オーステナイト単相領域であるγループの存在が
確認され、γループの最大Cr量は11.2重量%であるこ
とが確認される。
【0021】図2は、大気圧と4万気圧におけるFe−
Cr二元合金のγループを示した状態図である。
【0022】この図2に示した状態図から、γループ
は、4万気圧では高Cr側へ拡大し、γループの最大C
r量は、約20重量%にまで増大することが確認され
る。
【0023】図3は、統合型熱力学計算ソフトウェア
(Thermo-Calc)により求めた大気圧におけるFe−C
r二元系合金のγループを示した状態図である。この図
3に示した状態図は、図1に示した状態図とよく対応し
ており、γループの最大Cr量は、約11重量%と計算
されている。
【0024】図4は、統合型熱力学計算ソフトウェア
(Thermo-Calc)により求めた1千気圧におけるFe−
Cr二元系合金のγループを示した状態図である。この
図4に示した状態図を図3に示した状態図と比較する
と、1千気圧におけるFe−Cr二元系合金のγループ
における最大Cr量は、0.3重量%程度とごくわずかで
あるが増加していることが確認される。
【0025】さらに図5は、統合型熱力学計算ソフトウ
ェア(Thermo-Calc)により求めた4万気圧におけるF
e−Cr二元系合金のγループを示した状態図である。
γループの最大Cr量は、約19重量%であり、図2に
示した実施結果とほぼ一致が見られる。
【0026】これら図3〜5に示した計算結果の対比か
らも、Fe−Cr二元系合金のγループが高圧下におい
て高Cr側へ大きく拡大することが確認される。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】表1に示した化学組成を有する供試鋼を表
2に示した熱処理条件において作製した。
【0030】表1に示したように、供試材は、Crを約
15重量%含有し、他の合金元素量は、既存のフェライ
ト系耐熱鋼と同程度とした。焼きならし熱処理は、表2
に示した3条件において行った。
【0031】いずれの供試鋼(A鋼、B鋼、及びC鋼)
も焼きならし熱処理後、1気圧、780℃で1時間の焼戻
し熱処理を行った。これら供試鋼の焼戻し熱処理後のビ
ッカース硬度は表3に示した通りである。
【0032】
【表3】
【0033】この表3から明らかなように、1気圧で焼
きならし熱処理を行ったA鋼の硬さはHV182であるの
に対し、4万気圧で焼きならし熱処理を行ったB鋼、C
鋼の硬さは、それぞれHV290、HV289であり、いずれ
の硬さもA鋼に比べ、110程度大きな値を示した。
【0034】また、これらA鋼、B鋼、及びC鋼の焼戻
し熱処理後の金属組織の図面に代る透過電子顕微鏡像を
示したのが、図6、図7、及び図8である。なお、図中
のN.は焼きならし熱処理(normalizing)の略記であ
り、T.は焼戻し熱処理(tempering)の略記である。
【0035】これら図6〜図8から、A鋼の母相はフェ
ライトであり、粒界及び粒内に析出相と転位がまばらに
確認される。一方、B鋼及びC鋼の組織は、A鋼の組織
と大きく異なり、試料全面が焼戻しマルテンサイト組織
であることが確認される。
【0036】図9は、650℃(923K)−150MPaでの圧縮ク
リープ試験により求めた供試鋼(A鋼、B鋼、及びC
鋼)のクリープ歪み−時間曲線である。
【0037】この図9から、1気圧で焼きならし熱処理
を行ったフェライト組織のA鋼は、クリープ試験開始直
後から大きなクリープ歪みを生じるが、4万気圧で焼き
ならし熱処理を行った試料全面が焼戻しマルテンサイト
組織を有するB鋼及びC鋼は、いずれも、クリープ歪み
量が少なく、A鋼に比べ、クリープ強度が著しく大きく
なっていることが確認される。
【0038】以上の実験結果から、4万気圧の高圧で焼
きならし熱処理を行うことにより、通常の大気圧下での
焼きならし熱処理ではマルテンサイト組織を得ることの
できないCrを15重量%含む高Crフェライト系耐熱
鋼であっても、組織をマルテンサイト単相とすることが
可能であり、クリープ強度の著しい改善が実現されるこ
とが確認される。
【0039】また、マルテンサイト単相組織であること
から室温靱性の向上が実現されると合理的に考えられ
る。
【0040】もちろん、この出願の発明は、以上の実施
形態及び実施例によって限定されるものではない。細部
については様々な態様が可能であることは言うまでもな
い。
【0041】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この出願の発
明によって、優れた耐酸化特性を高温強度及び室温靱性
の向上と両立させて発現させることができ、しかも高温
長時間クリープ強度の向上をも望める高Crフェライト
系耐熱鋼が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】Fe−Cr二元系合金の状態図である。
【図2】大気圧と4万気圧におけるFe−Cr二元系合
金のγループを示した状態図である。
【図3】統合型熱力学計算ソフトウェア(Thermo-Cal
c)により求めた大気圧におけるFe−Cr二元系合金
のγループを示した状態図である。
【図4】統合型熱力学計算ソフトウェア(Thermo-Cal
c)により求めた1千気圧におけるFe−Cr二元系合
金のγループを示した状態図である。
【図5】統合型熱力学計算ソフトウェア(Thermo-Cal
c)により求めた4万気圧におけるFe−Cr二元系合
金のγループを示した状態図である。
【図6】表2に示したA鋼の焼戻し熱処理後の金属組織
の図面に代る透過電子顕微鏡像である。
【図7】表2に示したB鋼の焼戻し熱処理後の金属組織
の図面に代る透過電子顕微鏡像である。
【図8】表2に示したC鋼の焼戻し熱処理後の金属組織
の図面に代る透過電子顕微鏡像である。
【図9】以上の供試鋼(A鋼、B鋼、及びC鋼)のクリ
ープ歪み−時間曲線である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェライト系耐熱鋼であって、Crを1
    2重量%以上19重量%以下含有し、マルテンサイト単
    相からなることを特徴とする高Crフェライト系耐熱
    鋼。
  2. 【請求項2】 1千気圧以上4万気圧以下の高圧下で焼
    きならし熱処理を行い、フェライト系耐熱鋼にCrを、
    12重量%以上19重量%以下含有させるとともに、マ
    ルテンサイト単相とすることを特徴とする高Crフェラ
    イト系耐熱鋼の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111057825A (zh) * 2020-01-16 2020-04-24 燕山大学 一种兼备高硬度和高抗氧化性铁铬合金的制备方法

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