JP2003301242A - 高Cr−Ni系耐熱鋼および耐クリープ特性に優れた高温用部材の製造方法 - Google Patents
高Cr−Ni系耐熱鋼および耐クリープ特性に優れた高温用部材の製造方法Info
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- JP2003301242A JP2003301242A JP2002109552A JP2002109552A JP2003301242A JP 2003301242 A JP2003301242 A JP 2003301242A JP 2002109552 A JP2002109552 A JP 2002109552A JP 2002109552 A JP2002109552 A JP 2002109552A JP 2003301242 A JP2003301242 A JP 2003301242A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は600〜750℃でのクリープ特性
に優れた高Cr系耐熱鋼およびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 質量%で、Cr:7〜15%、Ni:3
〜8%を含有するマルテンサイト組織鋼、好ましくは質
量%で、C:0.001〜0.1%、Si:0.01〜
0.4%、Mn:1.5%以下、S:0.015%以
下、Cr:7〜15%、Cu:5%以下、Ni:3〜8
%、Mo:2.5%以下、W:5%以下、Al:0.0
03〜0.04%、N:0.005〜0.1%、必要に
応じてNb:0.01〜0.1%、V:0.1〜0.5
%、Ti:0.2%以下、B:0.005%以下の一種
または二種以上、残部Feおよび不可避的不純物のマル
テンサイト組織鋼であって、更に好ましくは残留オース
テナイトを含有する鋼であって、熱間圧延後、850〜
1250℃で焼準し、好ましくは焼準後二相域再加熱を
行う。
に優れた高Cr系耐熱鋼およびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 質量%で、Cr:7〜15%、Ni:3
〜8%を含有するマルテンサイト組織鋼、好ましくは質
量%で、C:0.001〜0.1%、Si:0.01〜
0.4%、Mn:1.5%以下、S:0.015%以
下、Cr:7〜15%、Cu:5%以下、Ni:3〜8
%、Mo:2.5%以下、W:5%以下、Al:0.0
03〜0.04%、N:0.005〜0.1%、必要に
応じてNb:0.01〜0.1%、V:0.1〜0.5
%、Ti:0.2%以下、B:0.005%以下の一種
または二種以上、残部Feおよび不可避的不純物のマル
テンサイト組織鋼であって、更に好ましくは残留オース
テナイトを含有する鋼であって、熱間圧延後、850〜
1250℃で焼準し、好ましくは焼準後二相域再加熱を
行う。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は火力発電設備や原子
力発電設備のボイラなどに用いられる高Cr系耐熱鋼に
関し、特に600℃以上の高温におけるクリープ特性と
耐水蒸気酸化性に優れたものに関する。
力発電設備のボイラなどに用いられる高Cr系耐熱鋼に
関し、特に600℃以上の高温におけるクリープ特性と
耐水蒸気酸化性に優れたものに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、火力発電プラント等のボイラの蒸
気条件は高効率化を目的に高温、高圧化する傾向にあ
り、650℃、35MPaの超超臨界条件での運転も計
画されている。
気条件は高効率化を目的に高温、高圧化する傾向にあ
り、650℃、35MPaの超超臨界条件での運転も計
画されている。
【0003】従来の蒸気条件に適合するボイラ用鋼とし
て従来から用いられている2.25Cr−1Mo鋼など
の低合金鋼、9〜12Cr系の高Cr系フェライト鋼、
オーステナイト系耐熱鋼のうち、低合金耐熱鋼やオース
テナイト系耐熱鋼は上記の超超臨界条件ではいずれも十
分な特性が得られず、超超臨界圧ボイラ用として9〜1
2Cr系の高Cr系フェライト鋼について開発が進めら
れている。
て従来から用いられている2.25Cr−1Mo鋼など
の低合金鋼、9〜12Cr系の高Cr系フェライト鋼、
オーステナイト系耐熱鋼のうち、低合金耐熱鋼やオース
テナイト系耐熱鋼は上記の超超臨界条件ではいずれも十
分な特性が得られず、超超臨界圧ボイラ用として9〜1
2Cr系の高Cr系フェライト鋼について開発が進めら
れている。
【0004】例えば、2.25Cr−1Mo鋼は、高温
強度、クリープ破断強度が9〜12Cr系の高Cr系フ
ェライト鋼やオーステナイト系耐熱鋼に対し低く、耐水
蒸気酸化特性の観点から実質的に550℃が上限とされ
ている。
強度、クリープ破断強度が9〜12Cr系の高Cr系フ
ェライト鋼やオーステナイト系耐熱鋼に対し低く、耐水
蒸気酸化特性の観点から実質的に550℃が上限とされ
ている。
【0005】オーステナイト系耐熱鋼は600℃以上の
高温においても優れた高温強度、クリープ破断強度強度
を有し、耐水蒸気酸化性も良好であるものの、熱膨張率
が高いため、起動停止の温度変化による酸化スケ−ル剥
離、耐熱疲労特性の低下、応力腐食割れの発生が懸念さ
れ、また高価であるため其の用途が制限されることも多
い。
高温においても優れた高温強度、クリープ破断強度強度
を有し、耐水蒸気酸化性も良好であるものの、熱膨張率
が高いため、起動停止の温度変化による酸化スケ−ル剥
離、耐熱疲労特性の低下、応力腐食割れの発生が懸念さ
れ、また高価であるため其の用途が制限されることも多
い。
【0006】高Cr系フェライト鋼は固溶強化や析出強
化を利用し、高温特性を向上させるもので、9Cr−1
Mo鋼、改良9Cr−1Mo鋼、12Cr鋼が600℃
以上においてオーステナイト系耐熱鋼に匹敵する高温強
度、クリープ破断強度を有し、各種規格材として蒸気条
件が600℃前後の超超臨界圧ボイラに用いられてい
る。
化を利用し、高温特性を向上させるもので、9Cr−1
Mo鋼、改良9Cr−1Mo鋼、12Cr鋼が600℃
以上においてオーステナイト系耐熱鋼に匹敵する高温強
度、クリープ破断強度を有し、各種規格材として蒸気条
件が600℃前後の超超臨界圧ボイラに用いられてい
る。
【0007】特開平3−97832号公報、特開平5−
311342号公報には、高Cr系フェライト鋼におい
て微細炭化物の析出強化とWの固溶強化によりクリープ
破断強度を向上させることが記載され、特開平5−31
1345号公報には、Co添加により微細析出物を安定
化させることが記載されている。
311342号公報には、高Cr系フェライト鋼におい
て微細炭化物の析出強化とWの固溶強化によりクリープ
破断強度を向上させることが記載され、特開平5−31
1345号公報には、Co添加により微細析出物を安定
化させることが記載されている。
【0008】特開2000−26940号公報にはNd
(ネオジウム)添加により微細析出物を安定化させ、更
にTaを添加し粒界強度を強化し、クリープ破断強度を
向上させることが記載されている。
(ネオジウム)添加により微細析出物を安定化させ、更
にTaを添加し粒界強度を強化し、クリープ破断強度を
向上させることが記載されている。
【0009】また、特開平7−62497号公報、特開
2001−158945号公報には金属間化合物の析出
を利用し、高温特性を向上させる技術が開示されてい
る。
2001−158945号公報には金属間化合物の析出
を利用し、高温特性を向上させる技術が開示されてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述したように従来技
術による高Cr系耐熱鋼の高温強度向上は炭化物や金属
間化合物の分散析出によるもののため、600℃では優
れたクリープ破断強度強度が得られるもの、650℃の
長時間側においては炭化物の凝集、粗大化や組織の回復
によるクリープ破断強度の低下が懸念されてきた。
術による高Cr系耐熱鋼の高温強度向上は炭化物や金属
間化合物の分散析出によるもののため、600℃では優
れたクリープ破断強度強度が得られるもの、650℃の
長時間側においては炭化物の凝集、粗大化や組織の回復
によるクリープ破断強度の低下が懸念されてきた。
【0011】そこで、本発明は、600〜750℃での
長時間クリープ特性および耐水蒸気酸化特性に優れた9
〜12Cr系の高Cr系耐熱鋼およびその製造方法を提
供することを目的とする。
長時間クリープ特性および耐水蒸気酸化特性に優れた9
〜12Cr系の高Cr系耐熱鋼およびその製造方法を提
供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、高Cr鋼
を対象にクリープ特性に及ぼす成分組成とミクロ組織の
影響について鋭意検討を行い、7〜15%のCr系組成
において3〜8%のNiを含有し、ミクロ組織を焼準組
織とした場合、600〜750℃において優れた高温ク
リープ特性の得られることを知見した。
を対象にクリープ特性に及ぼす成分組成とミクロ組織の
影響について鋭意検討を行い、7〜15%のCr系組成
において3〜8%のNiを含有し、ミクロ組織を焼準組
織とした場合、600〜750℃において優れた高温ク
リープ特性の得られることを知見した。
【0013】また、従来の炭化物あるいは炭窒化物に替
わる強化方法として、熱的に安定であると考えられるN
iが濃化したオーステナイト相に着目し、高Cr系耐熱
鋼を焼準後、二相域に再加熱することでマルテンサイト
組織中にオーステナイトの逆変態を生じさせ、常温にお
いてオーステナイト相(残留オーステナイト)を微細に
分散させた組織とすることでクリープ特性を向上させる
ことを着想した。上述した鋼においてはオーステナイト
量を1〜30%とした場合、高温クリープ特性が顕著に
向上することを見出した。
わる強化方法として、熱的に安定であると考えられるN
iが濃化したオーステナイト相に着目し、高Cr系耐熱
鋼を焼準後、二相域に再加熱することでマルテンサイト
組織中にオーステナイトの逆変態を生じさせ、常温にお
いてオーステナイト相(残留オーステナイト)を微細に
分散させた組織とすることでクリープ特性を向上させる
ことを着想した。上述した鋼においてはオーステナイト
量を1〜30%とした場合、高温クリープ特性が顕著に
向上することを見出した。
【0014】本発明はこれらの知見に更に検討を加えて
なされたものであり、すなわち、本発明は、 1.質量%で、Cr:7〜15%、Ni:3〜8%を含
有し、マルテンサイト組織を有する高Cr−Ni系耐熱
鋼。
なされたものであり、すなわち、本発明は、 1.質量%で、Cr:7〜15%、Ni:3〜8%を含
有し、マルテンサイト組織を有する高Cr−Ni系耐熱
鋼。
【0015】2.質量%で、C:0.001〜0.1
%、Si:0.01〜0.4%、Mn:1.5%以下、
S:0.015%以下、Cr:7〜15%、Cu:5%
以下、Ni:3〜8%、Mo:2.5%以下、W:5%
以下、Al:0.003〜0.04%、N:0.005
〜0.1%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物で
マルテンサイト組織を有する高Cr−Ni系耐熱鋼。
%、Si:0.01〜0.4%、Mn:1.5%以下、
S:0.015%以下、Cr:7〜15%、Cu:5%
以下、Ni:3〜8%、Mo:2.5%以下、W:5%
以下、Al:0.003〜0.04%、N:0.005
〜0.1%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物で
マルテンサイト組織を有する高Cr−Ni系耐熱鋼。
【0016】3.2記載の鋼成分に更に、Nb:0.0
1〜0.1%、V:0.1〜0.5%、Ti:0.2%
以下、B:0.005%以下の一種または二種以上を含
有し、マルテンサイト組織を有する高Cr−Ni系耐熱
鋼。
1〜0.1%、V:0.1〜0.5%、Ti:0.2%
以下、B:0.005%以下の一種または二種以上を含
有し、マルテンサイト組織を有する高Cr−Ni系耐熱
鋼。
【0017】4.常温において、更に体積率1〜30%
のオーステナイト相を有する1乃至3のいずれか一つに
記載の高Cr−Ni系耐熱鋼。
のオーステナイト相を有する1乃至3のいずれか一つに
記載の高Cr−Ni系耐熱鋼。
【0018】5.1乃至3のいずれか一つに記載の成分
組成を有する鋼を熱間圧延後、850〜1250℃で焼
準することを特徴とする高Cr−Ni系耐熱鋼の製造方
法。
組成を有する鋼を熱間圧延後、850〜1250℃で焼
準することを特徴とする高Cr−Ni系耐熱鋼の製造方
法。
【0019】6.1乃至3のいずれか一つに記載の成分
組成を有する鋼を熱間圧延後、850〜1250℃で焼
準し、Ac1〜Ac3に加熱後室温まで冷却することを
特徴とする高Cr−Ni系耐熱鋼の製造方法。
組成を有する鋼を熱間圧延後、850〜1250℃で焼
準し、Ac1〜Ac3に加熱後室温まで冷却することを
特徴とする高Cr−Ni系耐熱鋼の製造方法。
【0020】7.部材に用いる鋼材として、該鋼材のA
c1〜Ac3の二相域が部材の使用温度となるものを選
定することを特徴とする高温用部材の製造方法。
c1〜Ac3の二相域が部材の使用温度となるものを選
定することを特徴とする高温用部材の製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明鋼の成分組成、ミクロ組織
の限定理由について詳細に説明する。 1.成分組成 Cr Crは、高温での耐食性、耐水蒸気酸化特性を向上させ
るため添加する。7%未満ではこれらの効果が十分得ら
れず、一方、15%を超えて添加するとδフェライトが
生成し、強度、靭性および加工性などの機械的性質が劣
化するため、7〜15%(7%以上15%以下)とす
る。650℃を超える蒸気条件で使用する場合、10%
以上添加するのが好ましい。
の限定理由について詳細に説明する。 1.成分組成 Cr Crは、高温での耐食性、耐水蒸気酸化特性を向上させ
るため添加する。7%未満ではこれらの効果が十分得ら
れず、一方、15%を超えて添加するとδフェライトが
生成し、強度、靭性および加工性などの機械的性質が劣
化するため、7〜15%(7%以上15%以下)とす
る。650℃を超える蒸気条件で使用する場合、10%
以上添加するのが好ましい。
【0022】Ni
Niは本発明では重要な元素であり、600〜750℃
で優れた高温クリープ特性が得られるように3〜8%、
好ましくは4〜8%を添加する。
で優れた高温クリープ特性が得られるように3〜8%、
好ましくは4〜8%を添加する。
【0023】高Cr系耐熱鋼においてCr,Ni添加量
を以上のように規定した場合、蒸気温度が600〜75
0℃と高温であっても優れたクリープ破断強度が得られ
るが、ボイラなどを用途とする場合に機械的特性を満足
させるため、その他の元素を以下のようにすることが好
ましい。
を以上のように規定した場合、蒸気温度が600〜75
0℃と高温であっても優れたクリープ破断強度が得られ
るが、ボイラなどを用途とする場合に機械的特性を満足
させるため、その他の元素を以下のようにすることが好
ましい。
【0024】C
CはCr,V,Nb,Ti等と炭窒化物を形成し、常温
強度、高温強度を向上させるため、0.001〜0.1
%とする。
強度、高温強度を向上させるため、0.001〜0.1
%とする。
【0025】N
NはCr,V,Nb,Ti等と炭窒化物を形成し、常温
強度、高温強度を向上させるため、0.0005〜0.
1%とする。
強度、高温強度を向上させるため、0.0005〜0.
1%とする。
【0026】Si
Siは溶鋼の脱酸剤として、また耐水蒸気酸化特性を向
上させるため、0.01〜0.4%とする。
上させるため、0.01〜0.4%とする。
【0027】Mn
Mnは鋼の熱間加工性を向上させ、強度を上昇させる
が、過剰に添加すると高温強度、および靭性が低下する
ため1.5%を上限に添加する。
が、過剰に添加すると高温強度、および靭性が低下する
ため1.5%を上限に添加する。
【0028】Mo
Moは固溶強化および炭化物(M23C6)を安定化させ
高温強度を向上させるが、過剰に添加するとδフェライ
トの生成を促進させ粗大なLaves相の生成により高
温強度、靭性を低下させるため2.5%以下とする。
高温強度を向上させるが、過剰に添加するとδフェライ
トの生成を促進させ粗大なLaves相の生成により高
温強度、靭性を低下させるため2.5%以下とする。
【0029】W
Wは固溶強化および炭化物(M23C6)を安定化させ高
温強度を向上させるが、過剰に添加すると高温強度、靭
性を低下させるため5%以下とする。
温強度を向上させるが、過剰に添加すると高温強度、靭
性を低下させるため5%以下とする。
【0030】Cu
Cuはオーステナイト相を安定とし、δフェライトの生
成を抑制するが、過剰に添加すると脆化し、また生産コ
ストが上昇するため5%以下とする。
成を抑制するが、過剰に添加すると脆化し、また生産コ
ストが上昇するため5%以下とする。
【0031】P,S
P,Sは本発明では不可避的不純物であり、含有量は低
いほど望ましく0.015%以下とする。
いほど望ましく0.015%以下とする。
【0032】Al
Alは溶鋼の脱酸剤として、また溶接性、熱間加工性お
よび高温強度を向上させるため、0.003〜0.04
%とする。
よび高温強度を向上させるため、0.003〜0.04
%とする。
【0033】以上が、耐熱鋼として必要とされる機械的
特性を満足する好ましい基本成分組成であるが、更に強
度、靭性を向上させるためNb,V,Ti,Bの一種ま
たは二種以上を添加することができる。
特性を満足する好ましい基本成分組成であるが、更に強
度、靭性を向上させるためNb,V,Ti,Bの一種ま
たは二種以上を添加することができる。
【0034】Nb
Nbは炭化物、炭窒化物を形成し、常温強度、高温強度
を向上させるため、添加する場合、0.01〜0.1%
を添加する。
を向上させるため、添加する場合、0.01〜0.1%
を添加する。
【0035】V
Vは炭化物、炭窒化物を形成し、常温強度、高温強度を
向上させるため、添加する場合、0.1〜0.5%を添
加する。
向上させるため、添加する場合、0.1〜0.5%を添
加する。
【0036】Ti
TiはNとの親和力が強く安定な窒化物を形成し、圧延
時や再加熱時のオーステナイト粒の成長を抑制し、組織
を微細化し靭性を向上させる。また、炭化物、炭窒化物
の形成により常温、高温強度を向上させるためそのよう
な効果を期待する場合は0.2%を上限として添加す
る。
時や再加熱時のオーステナイト粒の成長を抑制し、組織
を微細化し靭性を向上させる。また、炭化物、炭窒化物
の形成により常温、高温強度を向上させるためそのよう
な効果を期待する場合は0.2%を上限として添加す
る。
【0037】B
Bは炭窒化物を微細分散させ、凝集、粗大化を抑制し、
高温長時間強度を向上させる。過剰な添加は粗大な析出
物を生じ脆化を引き起こす場合があるため、0.005
%以下とする。
高温長時間強度を向上させる。過剰な添加は粗大な析出
物を生じ脆化を引き起こす場合があるため、0.005
%以下とする。
【0038】2.ミクロ組織
本発明に係る耐熱鋼のミクロ組織はマルテンサイト組織
とする。マルテンサイト組織とした場合、本発明鋼の二
相域に相当する使用温度である600〜750℃におい
て、マルテンサイト組織中に逆変態オーステナイトが微
細に析出し、クリープ特性が向上する。
とする。マルテンサイト組織とした場合、本発明鋼の二
相域に相当する使用温度である600〜750℃におい
て、マルテンサイト組織中に逆変態オーステナイトが微
細に析出し、クリープ特性が向上する。
【0039】更に高温クリープ特性を向上させる場合、
常温においてマルテンサイト組織中にオーステナイトが
析出した組織とし、その析出量は体積率で1〜30%と
する。
常温においてマルテンサイト組織中にオーステナイトが
析出した組織とし、その析出量は体積率で1〜30%と
する。
【0040】オーステナイト量は1%未満では高温クリ
ープ破断強度が向上せず、30%を超えると常温強度、
高温強度が低下するようになり高温クリープ強度も飽和
するようになるため、1〜30%とする。
ープ破断強度が向上せず、30%を超えると常温強度、
高温強度が低下するようになり高温クリープ強度も飽和
するようになるため、1〜30%とする。
【0041】Niを3〜8%含有した鋼において、マル
テンサイト組織中に体積率1〜30%でオーステナイト
を析出させた場合、該オーステナイト中にNiが濃化
し、使用温度である600〜750℃において熱的に安
定となるため鋼の高温クリープ強度が著しく向上するも
のと思われる。
テンサイト組織中に体積率1〜30%でオーステナイト
を析出させた場合、該オーステナイト中にNiが濃化
し、使用温度である600〜750℃において熱的に安
定となるため鋼の高温クリープ強度が著しく向上するも
のと思われる。
【0042】本発明鋼の製造方法としては、熱間圧延
後、850〜1250℃で加熱後放冷する焼準が望まし
く、常温においてオーステナイトを含む組織とする場合
は、上記焼準後、Ac1〜Ac3に再加熱し室温まで放
冷し、残留オーステナイトを形成することが望ましい。
後、850〜1250℃で加熱後放冷する焼準が望まし
く、常温においてオーステナイトを含む組織とする場合
は、上記焼準後、Ac1〜Ac3に再加熱し室温まで放
冷し、残留オーステナイトを形成することが望ましい。
【0043】
【実施例】表1に供試鋼の化学成分を示す。鋼A〜Fは
本発明範囲内の化学成分であるが、鋼G,Hはそれぞれ
T91(改良9Cr−1Mo鋼)、T122(12Cr
鋼)相当鋼の従来例で、鋼IはNi量が本発明範囲外の
比較鋼である。
本発明範囲内の化学成分であるが、鋼G,Hはそれぞれ
T91(改良9Cr−1Mo鋼)、T122(12Cr
鋼)相当鋼の従来例で、鋼IはNi量が本発明範囲外の
比較鋼である。
【0044】これらの成分組成の鋼を溶解後、熱間圧延
で板厚20mmとし、その後、焼準(加熱温度:105
0〜1080℃、空冷)、再加熱後室温まで冷却(再加
熱温度:550〜780℃)を行った。鋼Bについては
焼準ままの鋼鈑も準備した。
で板厚20mmとし、その後、焼準(加熱温度:105
0〜1080℃、空冷)、再加熱後室温まで冷却(再加
熱温度:550〜780℃)を行った。鋼Bについては
焼準ままの鋼鈑も準備した。
【0045】得られた鋼鈑について常温引張試験、シャ
ルピー衝撃試験、クリープ破断試験(試験条件:600
℃−139MPa,650℃−104MPa、700℃
−52MPa,750℃−34MPa)を実施した。
ルピー衝撃試験、クリープ破断試験(試験条件:600
℃−139MPa,650℃−104MPa、700℃
−52MPa,750℃−34MPa)を実施した。
【0046】表2にこれらの試験結果を示す。表中オー
ステナイト相の体積率は常温におけるものを示す。鋼N
o.1〜9は本発明鋼で、鋼No.3を除いて二相域再
加熱によるオーステナイト(残留オーステナイト)を含
有している。
ステナイト相の体積率は常温におけるものを示す。鋼N
o.1〜9は本発明鋼で、鋼No.3を除いて二相域再
加熱によるオーステナイト(残留オーステナイト)を含
有している。
【0047】本発明に係る鋼の組織は、焼準ままのマル
テンサイト組織と、更にクリープ特性を向上させるため
二相域再加熱によるオーステナイト(残留オーステナイ
ト)を含む組織があり、後者においては常温強度は構成
する相の組織分率で決定される。
テンサイト組織と、更にクリープ特性を向上させるため
二相域再加熱によるオーステナイト(残留オーステナイ
ト)を含む組織があり、後者においては常温強度は構成
する相の組織分率で決定される。
【0048】鋼No.3は焼準ままのマルテンサイト主
体の組織であるため比較的常温強度が高いが(987N
/mm2)、その他の発明鋼はオーステナイト(残留オ
ーステナイト)を含む組織で常温強度は797〜843
N/mm2であった。
体の組織であるため比較的常温強度が高いが(987N
/mm2)、その他の発明鋼はオーステナイト(残留オ
ーステナイト)を含む組織で常温強度は797〜843
N/mm2であった。
【0049】鋼No.10〜12は比較鋼でNi含有量
が本発明範囲外で少なく、常温においてオーステナイト
(残留オーステナイト)は観察されなかった。
が本発明範囲外で少なく、常温においてオーステナイト
(残留オーステナイト)は観察されなかった。
【0050】表より明らかなように鋼No.1〜9の本
発明鋼ではクリープ条件600℃、139MPaでクリ
ープ破断時間は30000時間以上、650℃、104
MPaにおいても6000時間以上が得られている。
発明鋼ではクリープ条件600℃、139MPaでクリ
ープ破断時間は30000時間以上、650℃、104
MPaにおいても6000時間以上が得られている。
【0051】更に鋼9の場合、700℃、52MPaで
20000時間以上、750℃、34MPaで1000
0時間以上である。
20000時間以上、750℃、34MPaで1000
0時間以上である。
【0052】一方、鋼No.10〜12の比較鋼におい
ては最も優れたクリープ特性の鋼No.11(鋼種H)
であっても600℃、139MPaでクリープ破断時間
は22103時間、650℃、104MPaにおいても
4860時間に過ぎない。
ては最も優れたクリープ特性の鋼No.11(鋼種H)
であっても600℃、139MPaでクリープ破断時間
は22103時間、650℃、104MPaにおいても
4860時間に過ぎない。
【0053】鋼No.10〜12の比較鋼はNi含有量
が少ないため、常温においてNiが濃化した残留オース
テナイトが得られず、また、Ac1変態点が高く、クリ
ープ試験温度においてNiが濃化した逆変態オーステナ
イトが十分生成しなかったため本発明鋼に対しクリープ
特性が劣ると思われる。
が少ないため、常温においてNiが濃化した残留オース
テナイトが得られず、また、Ac1変態点が高く、クリ
ープ試験温度においてNiが濃化した逆変態オーステナ
イトが十分生成しなかったため本発明鋼に対しクリープ
特性が劣ると思われる。
【0054】尚、本発明鋼のシャルピー衝撃エネルギー
は実用上問題ないとされている0℃において100J以
上が得られている。
は実用上問題ないとされている0℃において100J以
上が得られている。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、高価な元素や特殊な熱
処理を用いずに600〜750℃でのクリープ特性に優
れた高Cr系耐熱鋼およびその製造方法が得られ産業上
極めて有用である。
処理を用いずに600〜750℃でのクリープ特性に優
れた高Cr系耐熱鋼およびその製造方法が得られ産業上
極めて有用である。
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フロントページの続き
(72)発明者 林 謙次
東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日
本鋼管株式会社内
(72)発明者 高橋 和秀
東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日
本鋼管株式会社内
(72)発明者 阿部 隆
東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日
本鋼管株式会社内
Fターム(参考) 4K032 AA01 AA02 AA04 AA05 AA12
AA13 AA14 AA15 AA16 AA19
AA20 AA21 AA22 AA24 AA29
AA31 AA35 AA36 AA37 CF03
Claims (7)
- 【請求項1】 質量%で、Cr:7〜15%、Ni:3
〜8%を含有し、マルテンサイト組織を有する高Cr−
Ni系耐熱鋼。 - 【請求項2】 質量%で、C:0.001〜0.1%、
Si:0.01〜0.4%、Mn:1.5%以下、S:
0.015%以下、Cr:7〜15%、Cu:5%以
下、Ni:3〜8%、Mo:2.5%以下、W:5%以
下、Al:0.003〜0.04%、N:0.005〜
0.1%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物でマ
ルテンサイト組織を有する高Cr−Ni系耐熱鋼。 - 【請求項3】 請求項2記載の鋼成分に更に、Nb:
0.01〜0.1%、V:0.1〜0.5%、Ti:
0.2%以下、B:0.005%以下の一種または二種
以上を含有し、マルテンサイト組織を有する高Cr−N
i系耐熱鋼。 - 【請求項4】 常温において、更に体積率1〜30%の
オーステナイト相を有する請求項1乃至3のいずれか一
つに記載の高Cr−Ni系耐熱鋼。 - 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれか一つに記載の
成分組成を有する鋼を熱間圧延後、850〜1250℃
で焼準することを特徴とする高Cr−Ni系耐熱鋼の製
造方法。 - 【請求項6】 請求項1乃至3のいずれか一つに記載の
成分組成を有する鋼を熱間圧延後、850〜1250℃
で焼準し、Ac1〜Ac3に再加熱後室温まで冷却する
ことを特徴とする高Cr−Ni系耐熱鋼の製造方法。 - 【請求項7】 部材に用いる鋼材として、該鋼材のAc
1〜Ac3の二相域が部材の使用温度となるものを選定
することを特徴とする高温用部材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002109552A JP2003301242A (ja) | 2002-04-11 | 2002-04-11 | 高Cr−Ni系耐熱鋼および耐クリープ特性に優れた高温用部材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002109552A JP2003301242A (ja) | 2002-04-11 | 2002-04-11 | 高Cr−Ni系耐熱鋼および耐クリープ特性に優れた高温用部材の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003301242A true JP2003301242A (ja) | 2003-10-24 |
Family
ID=29392984
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002109552A Pending JP2003301242A (ja) | 2002-04-11 | 2002-04-11 | 高Cr−Ni系耐熱鋼および耐クリープ特性に優れた高温用部材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003301242A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102002643A (zh) * | 2010-12-18 | 2011-04-06 | 莘县荣盛精密铸造有限公司 | 耐高温、耐腐蚀的热电偶保护管及其生产方法 |
CN104818431A (zh) * | 2015-04-23 | 2015-08-05 | 苏州劲元油压机械有限公司 | 一种耐650℃高温节流阀的铸造工艺 |
CN105861953A (zh) * | 2016-05-07 | 2016-08-17 | 惠安县泰达商贸有限责任公司 | 一种飞机起落架合金材料 |
CN106062230A (zh) * | 2014-03-05 | 2016-10-26 | 株式会社神户制钢所 | 奥氏体系耐热钢 |
CN111057827A (zh) * | 2019-11-27 | 2020-04-24 | 中国科学院金属研究所 | 调控超超临界机组用9Cr3W3CoB耐热钢中硼元素分布状态的方法 |
-
2002
- 2002-04-11 JP JP2002109552A patent/JP2003301242A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN111057827B (zh) * | 2019-11-27 | 2022-04-05 | 中国科学院金属研究所 | 调控超超临界机组用9Cr3W3CoB耐热钢中硼元素分布状态的方法 |
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