JP2002206035A - 重荷重タイヤトレッド用ゴム組成物 - Google Patents

重荷重タイヤトレッド用ゴム組成物

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好彦 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゴムの老化後の破断伸び保持率を改善し、発
熱の上昇を抑制するとともに、高温時の破断伸びの低下
を抑制した重荷重タイヤトレッド用ゴム組成物を提供す
る。 【解決手段】 天然ゴムを50重量%以上含むジエン系
ゴムに、硫黄(a)、スルフェンアミド系加硫促進剤
(b)、および、テトラベンジルチウラムジスルフィド
および/または亜鉛ジベンジルジチオカルバメート
(c)を含み、(a)、(b)、および、(c)の各配
合重量部が式1(c/(b+c))および式2((b+
c)/a)が以下の関係を満たすとともに、(c)の配
合量がジエン系ゴム100重量部に対し0.1重量部超
〜0.8重量部未満である重荷重タイヤトレッド用ゴム
組成物。 0.15≦(式1)=c/(b+c)≦0.50 0.85≦(式2)=(b+c)/a≦1.10

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重荷重タイヤトレ
ッド用ゴム組成物に関し、さらに詳しくは、ゴムの老化
後の破断伸び保持率を改善し、発熱の上昇を抑制すると
ともに、高温時の破断伸びの低下を抑制した重荷重タイ
ヤトレッド用ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】悪路、重荷重条件での走行を伴うトラッ
ク、バス、建設車輌等に用いる重荷重タイヤにおいて
は、耐チッピング性能、低発熱性が要求されている。そ
こで、重荷重タイヤトレッド用ゴム組成物に、加硫促進
剤としてテトラベンジルチウラムジスルフィドやその類
似物である亜鉛ジベンジルジチオカルバメートを配合し
て、トレッドゴム組成物の老化後の破断伸びの低下を防
止し、タイヤの長期走行後の物性の大幅な低下を防ぎ、
さらには、発熱を抑制することが提案されている。これ
は、この加硫促進剤が、ゴムポリマー同士をより強固に
結合するモノスルフィド結合を形成することによるもの
である。
【0003】しかし、このテトラベンジルチウラムジス
ルフィドや亜鉛ジベンジルジチオカルバメートをゴムに
配合すると、耐老化性や低発熱性を改善することができ
るが、ゴムの機械的物性が劣ってしまい、特に、タイヤ
走行の際の高温時の破断伸びが低下してしまうという問
題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、ゴムの老化後の破断伸び保持率を改善し、発熱の上
昇を抑制するとともに、高温時の破断伸びの低下を抑制
した重荷重タイヤトレッド用ゴム組成物を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、天然ゴ
ムを50重量%以上含むジエン系ゴムに、硫黄(a)、
スルフェンアミド系加硫促進剤(b)、および、テトラ
ベンジルチウラムジスルフィドおよび/または亜鉛ジベ
ンジルジチオカルバメート(c)を含み、(a)、
(b)、および、(c)の各配合重量部が式1(c/
(b+c))および式2((b+c)/a)が下記の関
係を満たすとともに、(c)の配合量がジエン系ゴム1
00重量部に対し0.1重量部超〜0.8重量部未満で
ある重荷重タイヤトレッド用ゴム組成物が提供される。 0.15≦(式1)=c/(b+c)≦0.50 0.85≦(式2)=(b+c)/a≦1.10
【0006】このように構成することにより、ゴムの老
化後の破断伸び保持率、低発熱性、および、高温時の破
断伸びがともにバランスよく良好である重荷重タイヤト
レッド用ゴム組成物を得ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の原料ゴムは、天然ゴムを
50重量%以上含むジエン系ゴムである。このようなジ
エン系ゴムとしては、例えば天然ゴム(NR)、ポリイ
ソプレンゴム(IR)、各種スチレン−ブタジエン共重
合体ゴム(SBR)、各種ポリブタジエンゴム(B
R)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(N
BR)、ブチルゴム(IIR)等を挙げることができ、
これらのジエン系ゴムは単独又は任意のブレンドとして
使用することができる。
【0008】本発明では、上記ゴムに、硫黄(a)、ス
ルフェンアミド系加硫促進剤(b)、および、テトラベ
ンジルチウラムジスルフィドおよび/または亜鉛ジベン
ジルジチオカルバメート(c)を配合する。(a)〜
(c)の配合量は、式1(c/(b+c))および式2
((b+c)/a)が以下の関係をそれぞれ満たすよう
に設定される。 0.15≦(式1)=c/(b+c)≦0.50 0.85≦(式2)=(b+c)/a≦1.10
【0009】ここで、c/(b+c)<0.15である
と、耐老化性と低発熱性が劣り、c/(b+c)>0.
50であると、高温時の破断伸びが低下してしまう。ま
た、(b+c)/a<0.85であると、耐老化性と破
断伸びが劣り、(b+c)/a>1.10であると、高
温時の破断伸びが低下してしまう。
【0010】また、テトラベンジルチウラムジスルフィ
ドおよび/または亜鉛ジベンジルジチオカルバメート
(c)の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対し
0.1重量部超〜0.8重量部未満、好ましくは、0.
2〜0.6重量部である。式1および式2が上記関係を
満たしたうえで、この配合量が、0.1重量部以下であ
ると、低発熱性が悪化してしまい、0.8重量部以上で
あると、高温時の破断伸びが低下してしまう。
【0011】本発明のスルフェンアミド系加硫促進剤と
しては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチア
ゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾ
チアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2
−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイ
ソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、
N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールス
ルフェンアミド等を挙げることができる。
【0012】本発明のゴム組成物は、タイヤに通常使用
される配合剤を必要に応じて配合することができる。配
合剤としては、例えば、補強充填剤、プロセスオイル、
加硫剤、上記以外の加硫促進剤、加硫活性化剤、老化防
止剤、活性剤、可塑剤等が挙げられる。
【0013】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに説明す
るが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するもので
ないことは言うまでもない。
【0014】下記表1に示す配合(重量部)において、
加硫促進剤および硫黄を除く各成分を1.8リットルの
密閉型ミキサーで3〜5分間混練し、165±5℃に達
したときに放出してマスターバッチを得た。このマスタ
ーバッチに加硫促進剤および硫黄を8インチのオープン
ロールで混練し、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成
物を15×15×0.2cmの金型で160℃×20分
間プレス加硫して試験片を作製し、以下の方法で物性を
測定し、結果を表1に示した。また、(a)〜(c)の
配合量の式1(c/(b+c))および式2((b+
c)/a)の計算結果についても、表1に併記した。
【0015】老化EB保持率(指数) JIS K6251に準じて、老化前と老化後(100
℃×96時間)の破断伸びを測定し、(老化後の破断伸
び)/(老化前の破断伸び)の保持率を算出し標準例を
100としたときの指数で示した。値が大きいほど耐老
化性が良好である。高温破断伸び(指数) JIS K6251に準じて100℃で測定した破断伸
びを標準例を100としたときの指数で示した。指数が
大きいほど高温での破断伸びが優れることを示す。tanδ(指数) (株)東洋精機製作所製、粘弾性スペクトロメーターを
用いて、初期歪10%、振幅±2%、周波数20Hz、
温度100℃の条件で測定した値の逆数をとり、標準例
を100としたときの指数で示した。指数が大きいほど
低発熱性で、発熱耐久性が優れることを示す。
【0016】
【表1】
【0017】上記表1に使用した各成分は、以下のもの
を使用した。 天然ゴム:RSS 3号 カーボンブラック:シースト9、東海カーボン社 亜鉛華:JIS 3号 老化防止剤6PPD:N−フェニル−N’−(1,3−
ジメチルブチル)−P−フェニレンジアミン 加硫促進剤TBBS:N−t−ブチル−2−ベンゾチア
ゾールスルフェンアミド (スルフェンアミド系加硫促進剤) 加硫促進剤TBzTD:テトラベンジルチウラムジスル
フィド 加硫促進剤ZBEC:亜鉛ジベンジルジチオカルバメー
【0018】上記表1に示すように、テトラベンジルチ
ウラムジスルフィド(c)を配合し本発明の要件を満た
す実施例1〜4は、高温破断伸びを維持(≧100)し
ながら、老化EB保持率が向上し(≧110)、低発熱
性が改善され(tanδ≧105)、極めて良好な結果
が得られた。また、亜鉛ジベンジルジチオカルバメート
(c)を配合し、本発明の要件を満たす実施例5も同様
に良好な結果を示した。
【0019】それに対して、(c)を配合しなかった比
較例1は、標準例に比べスルフェンアミド促進剤を増や
し、硫黄量を減少させたが、老化EB保持率向上と発熱
低減の効果は小さく、高温破断伸びが低下してしまっ
た。式2の値が0.85未満である比較例2は、老化E
B保持率の改善は小さく、高温破断伸びも低下傾向とな
った。式2の値が1.10超の比較例3の場合、老化E
B保持率改善および発熱低減効果が得られるが、高温破
断伸びが低下してしまった。式1が0.15未満で、式
2が1.10超の比較例4は、老化EB保持率改善効果
が小さく、高温破断伸びが低下してしまった。式1が
0.15未満の比較例5は、老化EB保持率の改善効果
と発熱低減効果が小さい。式2の値が1.10超である
比較例6は、老化EB保持率改善効果および発熱低減効
果が得られるが、高温破断伸びが低下した。テトラベン
ジルチウラムジスルフィド(c)の配合量が0.1重量
部である比較例7は、式1および式2を満足させるため
に硫黄量と加硫促進剤量を大幅に減少させたので、低発
熱性が悪化してしまった。テトラベンジルチウラムジス
ルフィド(c)の配合量が0.8重量部である比較例8
は、式1および式2を満足させても、高温破断伸びが低
下してしまった。
【0020】
【発明の効果】本発明に従って、天然ゴムを50重量%
以上含むジエン系ゴムに、硫黄(a)、スルフェンアミ
ド系加硫促進剤(b)、および、テトラベンジルチウラ
ムジスルフィドおよび/または亜鉛ジベンジルジチオカ
ルバメート(c)を所定の配合量で配合することによっ
て、ゴムの老化後の破断伸び保持率を改善し、発熱の上
昇を抑制するとともに、高温時の破断伸びの低下を抑制
した重荷重タイヤトレッド用ゴム組成物を得ることがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/44 C08K 5/44 //(C08L 7/00 (C08L 7/00 9:00) 9:00)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然ゴムを50重量%以上含むジエン系
    ゴムに、硫黄(a)、スルフェンアミド系加硫促進剤
    (b)、および、テトラベンジルチウラムジスルフィド
    および/または亜鉛ジベンジルジチオカルバメート
    (c)を含み、(a)、(b)、および、(c)の各配
    合重量部が式1(c/(b+c))および式2((b+
    c)/a)が以下の関係を満たすとともに、(c)の配
    合量がジエン系ゴム100重量部に対し0.1重量部超
    〜0.8重量部未満である重荷重タイヤトレッド用ゴム
    組成物。 0.15≦(式1)=c/(b+c)≦0.50 0.85≦(式2)=(b+c)/a≦1.10
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