JP2002205982A - 芳香族ジカルボン酸ジアリールアミドスルホン酸塩およびその製造方法 - Google Patents

芳香族ジカルボン酸ジアリールアミドスルホン酸塩およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】式Bの芳香族ジカルボン酸ジアリールアミドス
ルホン酸の塩及びその製造方法の提供。 (式中、Ar、Arは芳香族基) 【解決手段】式Dの芳香族ジカルボン酸ジアリールエス
テルスルホン酸の塩1当量に対し、芳香族ジアミン2モ
ル以上を仕込み、反応を行う。 (式中、Rは炭素数6〜15の芳香族基)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は芳香族ジカルボン酸
ジアリールアミドスルホン酸塩及びその製造法に関す
る。さらに詳しくは、染料、高分子重合体等の製造中間
体あるいは高分子重合体の改質剤として有用である新規
な芳香族ジカルボン酸ジアリールアミドスルホン酸塩及
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記式(A)であらわされる芳香族ジカ
ルボン酸ジアリールアミドスルホン酸塩は染料、高分子
重合体等の製造中間体及び高分子重合体改質剤として有
用であるにもかかわらずこれまでにその合成が報告され
ていなかった。
【0003】一般に、芳香族ジカルボン酸ジアリールア
ミドスルホン酸塩の製造方法としては次のような方法が
考えられる。すなわち、1)芳香族ジカルボン酸スルホ
ン酸塩とジアミン類を直接アミド化する方法、2)芳香
族ジカルボン酸クロライドスルホン酸塩とジアミン類を
塩基性化合物および溶媒の存在下で反応させる方法、
3)芳香族ジカルボン酸ジアルキルエステルスルホン酸
塩とアミンのエステル交換反応による方法、4)芳香族
ジカルボン酸ジアリールアミドをスルホン酸塩化する方
法等がある。
【0004】以上の方法の中で、1)の方法は安価な原
料で芳香族ジカルボン酸ジアリールアミドスルホン酸塩
を製造できる可能性があるが、原料となる芳香族ジカル
ボン酸スルホン酸塩は、反応性、溶解性が対応する芳香
族ジカルボン酸より低いために反応温度を290℃以上
にする必要があり、ジアミン類の常圧下での沸点を超え
てしまう。従って高圧に耐える反応容器が必要となり、
工業的に連続的に大量に製造するには困難であった。ま
た高温で反応させると分解反応などの副反応を起こしや
すい。
【0005】2)の方法では芳香族ジカルボン酸クロラ
イドスルホン酸塩を使用するので、原料となる芳香族ジ
カルボン酸クロライドスルホン酸塩の製造が困難であ
る。該芳香族ジカルボン酸クロライドスルホン酸塩が得
られたとしても、それに続く反応で反応溶媒を用いるこ
とからコスト的にも不利となる。
【0006】3)の方法では該ジアルキルエステルスル
ホン酸塩は比較的安価で使用可能であるが、アミンとの
反応が遅いため1)の方法と同様に目的物を高収率、高
純度で得ることはできない。
【0007】さらに4)の方法では、ジカルボン酸基を
有する芳香族基よりもアミノ基のほうがスルホン酸基と
反応しやすく目的とする生成物は得られない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる現状に
挑み、芳香族ジカルボン酸ジアリールアミドスルホン酸
塩の製造方法について鋭意検討した結果、特定の前駆体
とジアミンとの反応により、目的とする化合物を高収率
で製造できることを見出し本発明に到達した。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、上記
課題を解決するものであり、以下のとおりである。 1.下記式(A) M(n)n (A) [上記式においてM(n)はn価の金属イオン、4級アンモ
ニウムイオンまたは4級ホスホニウムイオンからなる群
より選ばれる1種のイオン種をあらわし、Xは下記式
(B)
【0010】
【化4】
【0011】[上記式においてAr1は炭素数6〜20の
3官能性芳香族基を、Ar2は炭素数6〜20の2官能
性芳香族基をあらわす。]をあらわす。]で示される芳香
族ジカルボン酸ジアリールアミドスルホン酸塩。 2.該M(n)が1価の金属イオン、4級アンモニウムイ
オンまたは4級ホスホニウムイオンである1.記載の芳
香族ジカルボン酸ジアリールアミドスルホン酸塩。 3.該M(n)がアルカリ金属イオンである2.記載の芳
香族ジカルボン酸ジアリールアミドスルホン酸塩。 4.下記式(C) M(n)n (C) [上記式においてM(n)は上記式(A)の定義と同じであ
り、Yは下記式(D)
【0012】
【化5】
【0013】[上記式においてAr1は上記式(B)の定
義と同じであり、R1は炭素数6〜15の芳香族基をあ
らわす。]をあらわす。]であらわされる芳香族ジカルボ
ン酸ジアリールエステルスルホン酸塩1当量に対し下記
式(E)
【0014】
【化6】
【0015】[上記式においてAr2は上記式(B)の定
義と同じである。]であらわされる芳香族ジアミン2モ
ル以上を仕込み、反応を行うことを特徴とする上記一般
式(A)で示されるジカルボン酸ジアリールアミドスル
ホン酸塩の製造法。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は1.下記式(A) M(n)n (A) [上記式においてM(n)はn価の金属イオン、4級アンモ
ニウムイオンまたは4級ホスホニウムイオンからなる群
より選ばれる1種のイオン種をあらわし、Xは下記式
(B)
【0017】
【化7】
【0018】[上記式においてAr1は炭素数6〜20の
3官能性芳香族基を、Ar2は炭素数6〜20の2官能
性芳香族基をあらわす。]をあらわす。]であらわされる
芳香族ジカルボン酸ジアリールアミドスルホン酸塩およ
びその製造方法である。
【0019】上記式(B)中のAr1は炭素数6〜20
の3官能性芳香族であり具体的にはフェニル基、ナフタ
レン基、ビフェニレン基、ジフェニルエーテル基、ジフ
ェニルスルフィド基、ジフェニルスルホン基、ジフェニ
ルケトン基或いはこれらの水素原子のうち1つ又は複数
がそれぞれ独立にフッ素、塩素、臭素などのハロゲン
基;メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等の
炭素数1〜6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロ
ヘキシル基等の炭素数5〜10のシクロアルキル基等で
置換されていても良い。これらの中でも好ましくはフェ
ニル基、ナフタレン基、ビフェニレン基である。またA
2は炭素数6〜20の2官能性芳香族基であり具体的
にはフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基或い
はこれらの水素原子のうち1つ又は複数がそれぞれ独立
にフッ素、塩素、臭素などのハロゲン基;メチル基、エ
チル基、プロピル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のア
ルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭
素数5〜10のシクロアルキル基等で置換されていても
良い。これらの中でもフェニレン基好ましく挙げられ
る。
【0020】またM(n)はn価の金属イオン、アンモニ
ウムイオン、またはホスホニウムイオンをあらわす。具
体的にはリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウ
ム、アルミニウム、亜鉛、ジルコニウム、鉄、ニッケ
ル、クロム、銅等の金属イオン、テトラメチルアンモニ
ウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラ
ブチルアンモニウムイオン等の4級アンモニウムイオ
ン、テトラメチルホスホニウムイオン、テトラエチルホ
スホニウムイオン、テトラブチルホスホニウムイオン等
の4級ホスホニウムイオンを例示することが出来る。M
(n)が2価の金属イオンの時には、金属イオン1分子に
対して上記式(B)であらわされるアニオン種が2分子
結合している。この場合には該芳香族ジカルボン酸ジア
リールアミドスルホン酸塩1モルが1/2当量に相当す
る。n>3の時も同様である。これらのなかで、M(n)
は好ましくは1価の金属イオン、アンモニウムイオン、
またはホスホニウムイオンであり、より好ましくはアル
カリ金属イオンが挙げられる。これらのうちリチウム、
ナトリウム、カリウムのイオンがもっとも好ましい。式
(A)に示される芳香族ジカルボン酸ジアリールエステ
ルスルホン酸塩の具体例として5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸ジフェニル、5−カリウムスルホイソフタル
酸ジフェニル等を挙げることが出来る。
【0021】本発明で使用する下記式(C) M(n)n (C) [上記式においてM(n)は上記式(A)の定義と同じであ
り、Yは下記式(D)
【0022】
【化8】
【0023】[上記式においてAr1は上記式(B)の定
義と同じであり、R1は炭素数6〜15の芳香族基をあ
らわす。]をあらわす。]で示される芳香族ジカルボン酸
ジアリールエステルスルホン酸塩のAr1とM(n)につい
ては上記式(A)および(B)と同じものをあらわして
いる。置換基R1は炭素数6〜15の芳香族基であり、
具体的にはフェニル、ナフチル基が望ましい。
【0024】これらの芳香族ジカルボン酸ジアリールエ
ステルスルホン酸塩の製造法は特に制限はないが例えば
特開平7−89928号公報に記載される、エステル交
換触媒の存在下、芳香族ジカルボン酸ジアルキルエステ
ルスルホン酸塩1当量と、それに対し2から3倍当量の
ジアリールカーボネートとを250〜320℃で加熱溶
融させるという製造方法が最も好ましく利用できる。
【0025】また下記式(E)
【0026】
【化9】
【0027】[上記式においてAr2は上記式(B)の定
義と同じである。]で示される芳香族ジアミンの置換基
Ar2は上記式(B)と同じものをあらわしている。具
体的には炭素数6から20の2官能性芳香族基でありフ
ェニレン、ナフチレン、ビフェニレン基等が挙げられ
る。芳香族ジアミン(E)は具体的にはm-フェニレンジ
アミン,p-フェニレンジアミン,4,4'-ジアミノジフェニ
ルエーテル、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、4,
4'-ジアミノジフェニルスルホン、4,4'-ジアミノ-2,2'-
ジメチルジフェニル、4,4'-ジアミノジフェニルメタ
ン、4,4'-ジアミノジフェニルエタン、4,4'-ジアミノベ
ンゾフェノン、1,5-ジアミノナフタリン等が挙げられ
る。これらのうちm-フェニレンジアミンが望ましいがこ
れに限定されるものではない。
【0028】本発明において上記式(C)で示される芳
香族ジカルボン酸ジアリールエステルスルホン酸塩1当
量に対し上記式(E)で示されるジアミンは2モル以上
の過剰量を仕込むのが好ましい。
【0029】本発明では、上記式(C)で示される芳香
族ジカルボン酸ジアリールエステルスルホン酸塩と上記
式(E)で示される芳香族ジアミンとを反応させるので
あるが、両方の化合物を加熱溶融させて反応させること
が好ましい。反応の際、必要に応じて反応条件で1-メチ
ル2-ピロリドン、1-シクロヘキシル2-ピロリドン、ジメ
チルアセトアミド、ジフェニルスルホン等の安定な溶媒
を用いても良い。芳香族ジカルボン酸ジアリールエステ
ルスルホン酸塩は、反応に先立って、乾燥しておくこと
が望ましい。これは、スルホン酸塩が吸湿しやすいた
め、吸湿した水分によってフェニルエステルの分解を防
ぐためである。また、反応時には酸化防止剤等の各種添
加剤を併用することも好ましい。
【0030】これらの化合物を加熱溶融する温度として
は、200℃から300℃が好ましく、240℃から2
80℃がさらに好ましい。200℃より温度が低いと反
応が進まず、300℃より温度が高いと反応させるジア
ミンの沸点以上になる、あるいは分解などの副反応が起
こりやすくなるためである。反応時間は温度条件にもよ
るが、通常は1時間から数十時間である。
【0031】反応は加圧下、常圧下、減圧下いずれでも
行うことが出来るが、通常は常圧下または減圧下で行
う。好ましくは、精製するモノヒドロキシ化合物を留去
しつつ、常圧下で反応を行い、ほぼ反応が終了した時点
で減圧下とし、未反応のジアミンを留去するのが好まし
い。
【0032】得られた生成物はそのままでも使用できる
が、精製することがより好ましい。精製方法としては、
特に制限はなく従来の方法が使用できるが、再沈殿か再
結晶が好ましい。再沈殿溶媒としてジクロロメタン、ク
ロロホルム等が有効であるがこれに限定されるものでは
ない。再沈殿の方法の一例としては得られた粗生成物を
メタノール,NMP等に溶解させその溶液をジクロロメ
タン、クロロホルム等の貧溶媒に加えるというものであ
る。
【0033】
【発明の効果】本発明の芳香族ジカルボン酸ジアリール
アミドスルホン酸塩は縮合系高分子の単量体、添加剤と
して、また合成中間体として有用である。例えば縮合系
高分子成型物の染色性改善などに有効である。本発明に
より、これまでにその有効性が明らかでありながら報告
例のなかった芳香族ジカルボン酸ジアリールジアミドス
ルホン酸塩を、安価な原料を使用し、通常のエステル交
換反応装置による製造を可能にしたことからその工業的
意義はきわめて大きい。
【0034】
【実施例】以下実施例をあげて本発明を詳述するが、本
発明は実施例のみに限定されるものではない。
【0035】[実施例1]5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸ジフェニル2.1重量部、m-フェニレンジアミン
2.16重量部を攪拌装置及び流出系を有する反応器に
仕込み、容器内を窒素置換した後常圧下280℃まで加
熱し、4時間反応させた。その後6.67kPa(50
mmHg)まで減圧し未反応のm-フェニレンジアミン及
びフェノールを留去させ2.19重量部の粗生成物を得
た。得られた生成物を200重量部のメタノールに溶解
させ2000重量部のクロロホルムにて再沈殿させ精製
した。得られた化合物の収量は1.65重量部、収率7
4%、融点は366〜368℃であり、1H−NMR、
IRスペクトルをそれぞれ図に示す。
【0036】以上より、本発明が芳香族ジカルボン酸ジ
アリールアミドスルホン酸塩の製造には有効な方法であ
ることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の生成物の1H−NMRスペクトルで
ある。
【図2】実施例1の生成物のIRスペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 城戸 伸明 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 Fターム(参考) 4H006 AA01 AA02 AB84 AC61 BC31

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(A) M(n)n (A) [上記式においてM(n)はn価の金属イオン、4級アンモ
    ニウムイオンまたは4級ホスホニウムイオンからなる群
    より選ばれる1種のイオン種をあらわし、Xは下記式
    (B) 【化1】 [上記式においてAr1は炭素数6〜20の3官能性芳香
    族基を、Ar2は炭素数6〜20の2官能性芳香族基を
    あらわす。]をあらわす。]で示される芳香族ジカルボン
    酸ジアリールアミドスルホン酸塩。
  2. 【請求項2】 該M(n)が1価の金属イオン、4級アン
    モニウムイオンまたは4級ホスホニウムイオンである請
    求項1記載の芳香族ジカルボン酸ジアリールアミドスル
    ホン酸塩。
  3. 【請求項3】 該M(n)がアルカリ金属イオンである請
    求項2記載の芳香族ジカルボン酸ジアリールアミドスル
    ホン酸塩。
  4. 【請求項4】 下記式(C) M(n)n (C) [上記式においてM(n)は上記式(A)の定義と同じであ
    り、Yは下記式(D) 【化2】 [上記式においてAr1は上記式(B)の定義と同じであ
    り、R1は炭素数6〜15の芳香族基をあらわす。]をあ
    らわす。]であらわされる芳香族ジカルボン酸ジアリー
    ルエステルスルホン酸塩1当量に対し下記式(E) 【化3】 [上記式においてAr2は上記式(B)の定義と同じであ
    る。]であらわされる芳香族ジアミン2モル以上を仕込
    み、反応を行うことを特徴とする上記一般式(A)で示
    されるジカルボン酸ジアリールアミドスルホン酸塩の製
    造法。
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