JP2002194554A - 機能性溶融亜鉛めっき皮膜及びその製造方法 - Google Patents

機能性溶融亜鉛めっき皮膜及びその製造方法

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JP2002194554A
JP2002194554A JP2000388157A JP2000388157A JP2002194554A JP 2002194554 A JP2002194554 A JP 2002194554A JP 2000388157 A JP2000388157 A JP 2000388157A JP 2000388157 A JP2000388157 A JP 2000388157A JP 2002194554 A JP2002194554 A JP 2002194554A
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titanium oxide
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hot
dip galvanized
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JP2000388157A
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Yoshihiko Takano
嘉彦 高野
Tetsuya Yoneda
哲也 米田
Kazuki Sakai
一樹 坂井
Toshimi Fukui
俊巳 福井
Motoyuki Toki
元幸 土岐
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Tanaka Galvanizing Co Ltd
Kansai Research Institute KRI Inc
Original Assignee
Tanaka Galvanizing Co Ltd
Kansai Research Institute KRI Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融亜鉛めっき皮膜が本来備えている耐食性
を更に向上させることができるとともに、金属光沢を大
幅に少なくして外観性、意匠性の向上を図り、更に表面
が汚れ難い機能性溶融亜鉛めっき皮膜及びその製造方法
を提供する。 【解決手段】 亜鉛めっき皮膜2上に主にアナターゼ型
の酸化チタンを主成分とする皮膜3が形成され、塩水噴
霧試験で60時間以上の耐食性を備えるとともに、5〜
8の明度、10〜150の輝度を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機能性溶融亜鉛め
っき皮膜及びその製造方法に係わり、更に詳しくは溶融
亜鉛めっき皮膜上に該皮膜と複合化して耐食性と意匠性
等に優れた皮膜を形成してなる機能性溶融亜鉛めっき皮
膜及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ますます設備の拡充がなされてい
る送電鉄塔やパラボラアンテナなどの電力、通信設備を
はじめ鉄骨組み構造の屋外建築構造物が増加傾向にある
が、これらの屋外建築構造物が亜硫酸ガスや窒素酸化物
を成分とする酸性雨に曝され、腐食の度合いが大きくな
っていくことが予測される。また、平野部の少ない我が
国においては、交通量の増大、輸送力の向上のために建
設される新設の高速道路は、山間部や海岸部に設けざる
を得ず、そのため山間部では冬季の凍結対策として路面
に散布した融雪剤(塩化ナトリウム、塩化カルシウムな
ど)、海岸部では海水による道路施設関係の腐食が激し
くなり、従来の溶融亜鉛めっきでは十分に対応できない
状態にある。尚、溶融亜鉛めっきの白化を防止するため
に、その表面をクロメート処理することも一般的に行わ
れているが、Crが公害の原因となるので最近ではクロ
メート処理は敬遠されるようになってきた。
【0003】従来、送電鉄塔や道路施設関係の鋼材、更
には建築構造物の鋼材に耐食性を付与する方法として、
溶融亜鉛めっき処理が良く知られている。この溶融亜鉛
めっきは、簡便な方法であり、鋼材の耐食性を高めるの
に優れた処理ではあるが、溶融亜鉛めっきよりも更に耐
食性の高い皮膜が要求されようになってきた。そこで、
亜鉛めっき皮膜よりも耐食性に優れている亜鉛−アルミ
ニウム合金めっき皮膜を鋼材表面に形成する処理方法が
提案され、一部では実用化されている。
【0004】また、金属材料の高温酸化性と水溶液防食
性を改善する方法の一つとして、ゾルゲル法によってセ
ラミックスコーティング層を形成することが知られてい
る。このゾルゲル法は、1960年代にドイツでレンズ
やガラスに反射防止コーティングを施すことに利用さ
れ、実用化された技術である。そして、1970年代に
バルク状のガラスあるいはセラミックスの合成に利用す
る研究が活発に行われたが、コストと生産性の問題から
実用化には至らなかった。その後、長い低迷期を経て、
1990年代には薄膜への応用として見直され、再び注
目される技術となってきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のゾルゲ
ル法による防食研究の大半は、ステンレス鋼のより一層
の耐食性の改善に関するものであり、またその他の金属
材料についても金属材料表面に直接セラミックスコーテ
ィングを施すものであった。このようにゾルゲル法は特
殊な分野でしか実用化されてなく、表面処理技術の分野
でも一般には馴染みが薄く、汎用の表面処理とは言い難
いものであった。
【0006】一方、溶融亜鉛めっき皮膜は、当初は金属
特有の銀白色を呈し、輝度(光沢度)が高いため、光を
反射してギラギラと光り、その後、表面が酸化されて皮
膜ができるため、徐々に金属光沢を失って鉛色に変化す
る。この溶融亜鉛めっき皮膜は、ガードレールやブラン
チング等の道路施設関係の鋼材、鉄塔、橋梁その他の鋼
製構造物の表面処理として用いられる場合、一般的に露
出した状態に置かれることが多く、そのため景観に与え
る影響も大きい。また、長期間、車の排気ガスや砂塵に
曝されていると表面に汚染物質が付着して黒化してく
る。特に、外観性を損なうことになると、表面の洗浄が
必要になる。このように、従来の溶融亜鉛めっき皮膜
は、鋼材の耐食性の向上のみに重点が置かれ、外観性、
意匠性は置き去りにされていた。更に、耐食性について
も酸性雨や塩分の多い環境下では十分とは言えないもの
であった。
【0007】そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決
しようとするところは、溶融亜鉛めっき皮膜が本来備え
ている耐食性を更に向上させることができるとともに、
金属光沢を大幅に少なくして外観性、意匠性の向上を図
り、更に表面が汚れ難い機能性溶融亜鉛めっき皮膜及び
その製造方法を提供する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題解
決のために、亜鉛めっき皮膜上に主にアナターゼ型の酸
化チタンを主成分とする皮膜が形成され、塩水噴霧試験
で60時間以上の耐食性を備えるとともに、5〜8の明
度、10〜150の輝度を有する機能性溶融亜鉛めっき
皮膜を構成した。ここで、酸化チタンを主成分とする皮
膜中に着色顔料又は染料が含まれていることも好まし
い。
【0009】また、本発明は、亜鉛めっき皮膜上に結晶
性酸化チタン粒子及び/又は加熱処理により結晶性酸化
チタンになる前駆体を含有する塗布液を用いて成膜し、
加熱処理して結晶性酸化チタン皮膜を形成し、塩水噴霧
試験で60時間以上の耐食性を備えるとともに、5〜8
の明度、10〜150の輝度を有する機能性溶融亜鉛め
っき皮膜の製造方法を確立した。
【0010】更に具体的には、本発明の機能性溶融亜鉛
めっき皮膜の製造方法は、亜鉛めっき皮膜上に(1)結
晶性酸化チタン粒子及び/又は加熱処理により結晶性酸
化チタンになる前駆体を含有する塗布液を用い成膜する
工程、(2)420℃以下の温度で加熱処理する工程、
(3)非晶質酸化チタンを含む塗布液を用い成膜する工
程、(4)250℃以下の温度で加熱処理する工程によ
り機能性溶融亜鉛めっき皮膜を形成する方法である。
【0011】更に、予め着色顔料又は染料が分散した塗
布液を用いて成膜すること、あるいは結晶性酸化チタン
粒子及び/又は加熱処理により結晶性酸化チタンになる
前駆体がチタンアルコキシドの加水分解により製造され
てなることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を説明す
る。本発明に係る機能性溶融亜鉛めっき皮膜は、亜鉛め
っき皮膜上に酸化チタンを主成分とする皮膜が形成さ
れ、塩水噴霧試験で60時間以上の耐食性を備えるとと
もに、5〜8の明度、10〜150の輝度を有するもの
である。
【0013】本発明では酸化チタンを主成分とする皮膜
を形成することで、皮膜に光触媒機能が付与される。そ
れにより、この皮膜をガードレール、遮音壁、高欄等の
道路施設鋼材の表面に形成することにより、車から放出
される窒素酸化物(NOX)、硫黄酸化物(SOX)を分
解し、大気浄化を行うことが期待できる。また、光触媒
酸化チタンは、有機物の酸化分解能力と親水化能力とを
備えているので、皮膜に付着した油成分を含む汚れを分
解、除去する作用(耐汚れ性)も有し、更に抗菌性をも
備えている。酸化チタンの光活性については古くから知
られており、ルチル型とアナターゼ型に大別されるが、
工業用途で主流となっているのはルチル型である。本発
明では、主にアナターゼ型の酸化チタンの光活性を利用
できるようにしている。また、酸化チタンは、紫外線照
射によって光活性を有するようになるが、酸化タングス
テンと併用することで微弱な紫外線にも感度が高くなる
ことが知られており、更に酸化チタンにバナジウムやク
ロム等を極微量イオン注入したり、結晶構造を変えるこ
とによって可視光に対する感度を高めることも可能であ
る。
【0014】(皮膜の構成)本発明の皮膜の基本構成
は、図1に示すような断面構造となっている。つまり、
基板1となる金属材料、例えば鋼材の表面に従来公知の
方法によって溶融亜鉛めっき皮膜2を形成し、その上に
酸化チタンを主成分とする機能性皮膜3が形成された構
造となっているものである。ここで、本発明において、
「機能性」とは、環境に対する耐食性、明度と輝度が調
整された表面による外観性・意匠性、酸化チタンの有機
物の酸化分解能力と親水化能力とによる耐汚れ性及びN
X、SOX分解能力による大気浄化能、その他光触媒作
用による諸機能を総合した意味である。
【0015】ここで、溶融亜鉛めっき皮膜2上に形成さ
れる機能性皮膜3の膜厚は、0.1〜10μmが好まし
い。薄すぎると耐食性、光触媒能、明度、輝度を目的の
値に調整することが出来ない。10μmを越える厚みで
特性の向上は見られないので10μm以下で十分であ
る。また、厚くしすぎると機能性皮膜3が脆くなるので
好ましくない。
【0016】図1中の機能性皮膜3は、アナターゼ、ル
チル、ブルッカイトの結晶相、及び非晶質酸化チタンよ
り形成される。各相の構成比率は問わないが、光触媒活
性を高くするためには、アナターゼ相の比率が20重量
%以上であることが好ましい。更に好ましくはアナター
ゼ相の比率が40重量%以上である。
【0017】また、耐食性を更に向上させるためには、
図2に示した皮膜表面部でより緻密な膜構成が好まし
い。つまり、溶融亜鉛めっき皮膜2上に形成される機能
性皮膜3を、420℃以下で熱処理された第1酸化チタ
ン皮膜3Aと、250℃以下で熱処理させた第2酸化チ
タン皮膜3Bの2層構造とし、光触媒機能は主にポーラ
スな第1酸化チタン皮膜3Aで担い、耐食性は緻密な第
2酸化チタン皮膜3Bで担うようにしている。
【0018】更に、機能性皮膜3の膜中に、顔料もしく
は染料を分散させることで着色皮膜とすることが可能で
ある。図1の膜構造では機能性皮膜3を構成する酸化チ
タン層に、また図2の膜構造では、第1酸化チタン皮膜
3A及び/又は第2酸化チタン皮膜3Bに、顔料もしく
は染料を分散させる。顔料の添加量は、酸化チタンに対
して1〜40重量%が好ましい。1%未満であると着色
の効果が少ない。40%より多く添加すると酸化チタン
の効果による皮膜の光触媒活性が低下するので好ましく
ない。より好ましくは、5〜20重量%である。使用さ
れる無機顔料は、一般に使用させる物であれば特に限定
されない。尚、各皮膜間あるいは表層に着色層を形成す
ることも可能であるが、酸化チタンによる光触媒機能を
損なわないようにするためには、酸化チタン皮膜中に顔
料もしくは染料を適量分散させることが好ましい。
【0019】(製造方法)溶融亜鉛めっき皮膜2上に酸
化チタンを主成分とする機能性皮膜3を形成するには、
結晶性酸化チタン粒子及び/又は加熱処理により結晶性
酸化チタンになる前駆体を含有する塗布液を、溶融亜鉛
めっき皮膜2上に、ディップ法、スピン法、フローコー
ト法、バーコート法、印刷法など従来より既知の方法で
付着させ、それを熱処理して成膜する。
【0020】ここで、結晶性酸化チタン粒子は、アナタ
ーゼ、ルチル、ブルッカイトである。光触媒活性を高く
するためには、アナターゼ粒子の比率が50重量%以上
であることが好ましい。より好ましくは80重量%以上
である。この結晶性酸化チタン粒子は、チタンアルコキ
シド或いは塩化チタンなどのチタン塩の加水分解物の加
熱処理により製造された物が用いられる。
【0021】加熱処理により結晶性酸化チタンになる前
駆体は、チタンアルコキシド或いは塩化チタンなどのチ
タン塩、又はそれらの加水分解物であり、溶液状態や非
晶質粒子などの状態で含有される。製造方法は、特に限
定されないが、代表的な製造法として、チタンアルコキ
シドの有機溶液に触媒とともに水を添加することで得ら
れる。
【0022】結晶性酸化チタン粒子又は加熱処理により
結晶性酸化チタンになる前駆体単独、結晶性酸化チタン
粒子と加熱処理により結晶性酸化チタンになる前駆体の
混合物など、比率は特に問わないが、酸化チタン皮膜の
成膜性を向上するためには混合物であることが好まし
い。また、成膜性と光触媒活性を高くするためには、結
晶性酸化チタン粒子比率が40重量%以上であることが
好ましい。
【0023】成膜に用いる塗布液は、溶剤として水もし
くは有機溶剤が使用される。有機溶剤としては、結晶性
酸化チタン粒子が分散可能な物であれば限定されない
が、アルコールやアルコキシアルコールを使用すること
が好ましい。
【0024】塗布液中の酸化チタン濃度は、1〜30重
量%が好ましい。1重量%未満では、1回に成膜される
膜厚が薄くなりすぎるため、生産性が大幅に低下するた
め好ましくない。30重量%以上では、1回に成膜され
る膜厚が厚くなりすぎ、成膜時の割れを抑えることが出
来ないので好ましくない。
【0025】溶融亜鉛めっき皮膜2上に形成された皮膜
は、420℃以下で加熱処理し、亜鉛めっき皮膜2上へ
固化される。420℃を越えると亜鉛の融点を超え作成
不可能である。
【0026】上記の塗布液の成膜、加熱処理を1回又は
2回以上繰り返すことで目的の膜厚の酸化チタン皮膜
(図1の機能性皮膜3又は図2の第1酸化チタン皮膜3
A)が形成される。
【0027】更に、耐食性を向上させるためには、最上
部層を結晶性酸化チタン粒子と加熱処理により結晶性酸
化チタンになる前駆体の混合物を用い250℃以下で加
熱処理して第2酸化チタン皮膜3Bを形成することが好
ましい(図2参照)。結晶性酸化チタン粒子と加熱処理
により結晶性酸化チタンになる前駆体の混合物を250
℃以下で加熱処理することで、緻密な非晶質層が最表面
に形成されるため、腐食性液の侵入が抑制され溶融亜鉛
めっき皮膜2の酸化が抑制される。
【0028】
【実施例】<酸化チタン皮膜形成>
【0029】(実施例1)テトライソプロポキシチタン
の1−メトキシ−2−プロバノール溶液に10%水−1
−メトキシ−2−プロパノール溶液(H2O/Ti=
4、HNO3/Ti=0.4)で加水分解し、酸化物濃
度2.5重量%の酸化チタン前駆体液を作製した。更
に、テトライソプロポキシチタンと当モルのアナターゼ
微粉末(石原産業製、ST−01)を加えて、酸化物濃
度5重量%の塗布液を作製した。ここで、前記アナター
ゼ微粉末は、結晶性酸化チタン粒子である。得られた塗
布液を溶融亜鉛めっき処理した鋼鈑上にディップ法(引
き上げ速度:10mm/分)により成膜した。それか
ら、120℃で10分乾燥、400℃で30分加熱処理
を4回繰り返し膜厚約2μmのアナターゼ皮膜を形成し
た。
【0030】(実施例2〜5)実施例1の加熱処理温度
を、室温(実施例2)、100℃(実施例3)、200
℃(実施例4)、300℃(実施例5)とした。それ以
外は、実施例1と同様である。
【0031】(実施例6)実施例1の塗布液を用い、1
20℃で10分乾燥、400℃で30分加熱処理を3回
繰り返し、図2に示す第1酸化チタン皮膜3Aを形成し
た。更に、1回成膜した後、100℃で乾燥して図2に
示す第2酸化チタン皮膜3Bを形成し、全膜厚約2μm
のアナターゼ皮膜(機能性皮膜3)を形成した。
【0032】(実施例7、8)実施例6と同様の方法
で、下地層の第1酸化チタン皮膜3Aの形成における加
熱処理温度を200℃(実施例7)、300℃(実施例
8)として全膜厚約2μmのアナターゼ皮膜を形成し
た。
【0033】(実施例9)テトライソプロポキシチタン
の1−メトキシ−2−プロバノール溶液に10%水−1
−メトキシ−2−プロパノール溶液(H2O/Ti=
4、HNO3/Ti=0.4)で加水分解し、酸化物濃
度2.5重量%の酸化チタン前駆体液を作製した。更
に、テトライソプロポキシチタンと当モルのアナターゼ
微粉末(石原産業製、ST−01)、総酸化チタン量に
対して15重量%の無機顔料微粒子(バイフエロックス
110M、バイエル製)を加えて酸化物濃度5重量%の
塗布液を作製した。得られた塗布液を溶融亜鉛めっき処
理した鋼鈑上にディップ法(引き上げ速度:10mm/
分)により成膜した。それから、120℃で10分乾
燥、200℃で30分加熱処理を3回繰り返し、図2に
示す第1酸化チタン皮膜3Aを形成した。更に、1回成
膜した後、100℃で乾燥して図2に示す第2酸化チタ
ン皮膜3Bを形成し、全膜厚約2μmのアナターゼ皮膜
(機能性皮膜3)を形成した。
【0034】<酸化チタン皮膜の評価>
【0035】(光触媒活性評価)容積3Lの反応容器中
に、酸化チタン皮膜を形成したサンプル(実施例1〜
9)と、溶融亜鉛めっき皮膜のみを形成したサンプル
(比較例1)を置き、容器中のアルデヒドの濃度変化に
より、光触媒活性を評価した。尚、比較例1の溶融亜鉛
めっき皮膜は、各実施例の下地層として形成した溶融亜
鉛めっき皮膜2と同一条件で形成したものである。
【0036】光源として300〜400nmの波長を有
するブラックライトを用いた。酸化チタン皮膜からなる
機能性皮膜3の表面における波長365nmでの照射強
度を0.5mW/cm2、照射面積を25cm2とした。
【0037】反応容器中のアセトアルデヒドの初期濃度
を100ppmとし、光照射時間の経過によるアセトア
ルデヒド量の変化を測定した。表1に各サンプルの1時
間光照射後のアセトアルデヒド濃度を示す。
【0038】(耐食性評価)JIS Z 2371に準
拠した塩水噴霧試験を行い,アナターゼ皮膜が存在する
部分に白錆が面積比で20%発生した時間で評価した。
【0039】(明度・輝度評価)明度は色彩色差計(ミ
ノルタ製、CR−300)、輝度は光沢度計(日本電色
製、PG−3D)を使い、アナターゼ皮膜が存在する部
分を6点測定し,その平均値を算出した。
【0040】
【表1】
【0041】この結果より、本発明に係る機能性溶融亜
鉛めっき皮膜(実施例1〜9)は、溶融亜鉛めっき皮膜
のみ(比較例1)と比べて塩水噴霧試験による耐食性が
大幅に向上していることが確認でき、最低でも60時間
を確保できた。また、比較的低温で加熱処理する方が、
耐食性は高くなる傾向があることも確認できた。尚、第
1酸化チタン皮膜3Aと第2酸化チタン皮膜3Bからな
る機能性皮膜3(実施例6〜8)の耐食性が期待より悪
いのは、第1酸化チタン皮膜3Aを形成した後に、室温
で十分に冷却せずに塗布液に浸漬して第2酸化チタン皮
膜3Bを成膜したため、第1酸化チタン皮膜3Aにクラ
ックが生じたのではないかと推測される。この点を改善
すれば、実施例6〜8では更に耐食性が向上すると思わ
れる。
【0042】また、明度と輝度については、実施例1〜
9のものは、比較例1と比べて有意に減少していること
が分かり、特に輝度に関しては大幅に低下し、金属光沢
が少なくなった。それにより、本発明に係る機能性溶融
亜鉛めっき皮膜を形成した鋼材を用いれば、金属光沢に
よるギラギラ感が少なくなって、外観性、意匠性が改善
され、環境に適合したものとなる。
【0043】最後に、耐汚れ性については、実施例1〜
9のものは、比較例1と比べてホルムアルデヒド量が大
幅に減少していることが確認でき、光触媒作用によって
ホルムアルデヒドが効果的に分解されたことを示してい
る。つまり、本発明に係る機能性溶融亜鉛めっき皮膜
は、耐汚れ性に優れたものとなっている。
【0044】
【発明の効果】以上にしてなる本発明の機能性溶融亜鉛
めっき皮膜は、溶融亜鉛めっき皮膜が本来備えている耐
食性を更に向上させることができるとともに、金属光沢
を大幅に少なくして外観性、意匠性の向上を図ることが
でき、更に表面が汚れ難くなり、汚れても有機物を分解
し、また抗菌性を備えているので雨水により容易に洗い
流されるのである。
【0045】また、本発明の機能性溶融亜鉛めっき皮膜
の製造方法は、亜鉛めっき皮膜上に結晶性酸化チタン粒
子及び/又は加熱処理により結晶性酸化チタンになる前
駆体を含有する塗布液を用いて成膜し、加熱処理して結
晶性酸化チタン皮膜を形成することにより、塩水噴霧試
験で60時間以上の耐食性を備えるとともに、5〜8の
明度、10〜150の輝度を有する機能性溶融亜鉛めっ
き皮膜を形成できる。この酸化チタン皮膜は、加熱処理
によって結晶化して溶融亜鉛めっき皮膜に強固に密着す
るので、皮膜構造が非常に安定であり、化学的にも安定
した皮膜となる。
【0046】更に、溶融亜鉛めっき皮膜上に、結晶性酸
化チタン粒子及び/又は加熱処理により結晶性酸化チタ
ンになる前駆体を含有する塗布液を用い成膜し、それを
420℃以下の温度で加熱処理して第1酸化チタン皮膜
を形成し、その上に、非晶質酸化チタンを含む塗布液を
用い成膜し、それを250℃以下の温度で加熱処理して
第2酸化チタン皮膜を形成することにより、更に光触媒
機能を損なうことなく耐食性を更に向上させることがで
きる。
【0047】また、機能性溶融亜鉛めっき皮膜の製造方
法において、結晶性酸化チタン粒子及び/又は加熱処理
により結晶性酸化チタンになる前駆体がチタンアルコキ
シドの加水分解により製造されてなる、即ちゾルゲル法
を用いることにより、結晶性酸化チタン粒子と結晶性酸
化チタン皮膜を比較的簡単に形成することができ、また
溶液のpHや濃度を調整することで、皮膜の結晶構造も
制御できるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】基板表面に形成した溶融亜鉛めっき皮膜上に、
酸化チタンを主成分とする機能性皮膜を形成した本発明
の皮膜構造を示す簡略断面図である。
【図2】基板表面に形成した溶融亜鉛めっき皮膜上に、
高温で加熱処理した第1酸化チタン皮膜と低温で加熱処
理した第2酸化チタン皮膜とからなる機能性皮膜を形成
した本発明の皮膜構造を示す簡略断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 溶融亜鉛めっき皮膜 3 機能性皮膜 3A 第1酸化チタン皮膜 3B 第2酸化チタン皮膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 2/40 C23C 2/40 24/08 24/08 C 28/00 28/00 B (72)発明者 坂井 一樹 兵庫県神戸市北区小倉台2丁目12−7 (72)発明者 福井 俊巳 京都市下京区中堂寺南町17 株式会社関西 新技術研究所内 (72)発明者 土岐 元幸 京都市下京区中堂寺南町17 株式会社関西 新技術研究所内 Fターム(参考) 4F100 AA21C AA21D AB03 AB18B AH02 AH08 AT00A BA03 BA04 BA07 BA10A BA10D CA13C DE01C EH46 EJ42 GB07 GB31 GB41 JA11C JA12D JB02 JL06 JL10C JN21 JN30 4K022 AA02 BA15 BA22 DA06 DB01 DB24 4K027 AA02 AA22 AB01 AB05 AB14 AB15 AB42 AC72 AC82 AE21 4K044 AA06 AB02 BA10 BA12 BB03 BB04 BB16 BC02 BC09 CA11 CA15 CA53 CA62

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛めっき皮膜上に主にアナターゼ型の
    酸化チタンを主成分とする皮膜が形成され、塩水噴霧試
    験で60時間以上の耐食性を備えるとともに、5〜8の
    明度、10〜150の輝度を有することを特徴とする機
    能性溶融亜鉛めっき皮膜。
  2. 【請求項2】 酸化チタンを主成分とする皮膜中に着色
    顔料又は染料が含まれる請求項1記載の機能性溶融亜鉛
    めっき皮膜。
  3. 【請求項3】 亜鉛めっき皮膜上に結晶性酸化チタン粒
    子及び/又は加熱処理により結晶性酸化チタンになる前
    駆体を含有する塗布液を用いて成膜し、加熱処理して結
    晶性酸化チタン皮膜を形成し、塩水噴霧試験で60時間
    以上の耐食性を備えるとともに、5〜8の明度、10〜
    150の輝度を有することを特徴とする機能性溶融亜鉛
    めっき皮膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 亜鉛めっき皮膜上に(1)結晶性酸化チ
    タン粒子及び/又は加熱処理により結晶性酸化チタンに
    なる前駆体を含有する塗布液を用い成膜する工程、
    (2)420℃以下の温度で加熱処理する工程、(3)
    非晶質酸化チタンを含む塗布液を用い成膜する工程、
    (4)250℃以下の温度で加熱処理する工程により機
    能性溶融亜鉛めっき皮膜を形成することを特徴とする請
    求項3記載の機能性溶融亜鉛めっき皮膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 予め着色顔料又は染料が分散した塗布液
    を用いて成膜することを特徴とする請求項3又は4記載
    の機能性溶融亜鉛めっき皮膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 結晶性酸化チタン粒子及び/又は加熱処
    理により結晶性酸化チタンになる前駆体がチタンアルコ
    キシドの加水分解により製造されてなる請求項3〜5何
    れかに記載の機能性溶融亜鉛めっき皮膜の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016176103A (ja) * 2015-03-19 2016-10-06 大日製罐株式会社 表面処理鋼板、金属容器、表面処理鋼板の製造方法、難錆性付与方法、すべり性改善方法、アブレーション防止方法、傷入り性改善方法、及び耐薬品性付与方法

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