JP3972080B2 - 自動車及びその塗装方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車体の表面を高度の親水性になし、かつ、維持することによって、汚れにくく、清掃しやすい自動車を提供する。また、自動車の車体の表面を高度の親水性になし、かつ、維持することのできる自動車用の塗装方法を提供する。
【0002】
【従来技術】
自動車の塗装の目的は、金属製のボディを錆や腐食から保護すること、及び美観とデザイン的要素を高めることにある。しかしながら、自然環境下を走る自動車の塗装は、新車時と同じ性能や美観を常に保持できず、徐々に劣化が進み、変退色、つやびけ、白亜化、ふくれ、割れ等の現象を示すようになる。これらの劣化現象は、化学的に、塗膜を形成する鎖状や網状の巨大分子構造が崩壊して小さくなったり、また、これらの分子が更に巨大な分子となって硬く脆くなって、塗膜としての粘着性が消失していく過程である。具体的にこの劣化現象の原因となっているものとしては、酸素、太陽光線、太陽熱、水分、塵埃、アスファルトピッチ、動植物の体液等が挙げられる。
そこで、これら劣化を引き起こす要因に対して、付着している汚れをよく落とし、また、塗膜の表面に薄い被膜を形成し保護する目的で、従来よりカ−ワックスの使用が一般的であった(洗浄設計、25巻、p,63−80(1985))。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カ−ワックスの使用に関しては、▲1▼使用前に充分に水洗・乾燥する必要がある▲2▼均一な薄膜とするのが難しく、また手間や時間がかかる▲3▼効果の持続が永久的でなくたびたび使用する必要がある▲4▼塗膜の種類、色、使用条件等によって種類を正しく選択する必要がある▲5▼使用時に使用者の手などが汚れる▲6▼使用時に用いた道具の洗浄・投棄によって環境汚染を引き起こす、等様々な問題があり、結果として塗膜を保護するには充分ではなかった。
【0004】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、自動車の車体の塗膜を保護し、劣化を防ぐことを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために種々検討し、自動車の塗装表面を親水化することによって、汚れがつきにくく、かつ浄化が容易となることを知見し、本発明に想達した。
【0006】
本発明は、光半導体による金属基材表面の親水化現象に基づくものである。即ち、上記の課題を解決するための自動車は、自動車の車体を構成する金属基材表面に、自動車塗装の塗膜である意匠性ベ−スコ−ト層を介して、金属酸化物からなる光半導体およびシリコーン樹脂とを含んだトップコート層を備え、前記トップコート層の表面は、該光半導体酸化物の励起波長以下の照度が0.0001〜1mW/cm 2 の光の照射による光励起に応じて表面の水濡れ性が水との接触角に換算して10°以下になり、もって水洗浄または降雨により付着した汚れが容易に洗い流されることを特徴とする。
【0007】
また、自動車の車体を構成する金属基材表面に、自動車塗装の塗膜である意匠性ベ−スコ−ト層を介して、金属酸化物からなる光半導体および光半導体の光酸化還元反応を阻害する物質とを含んだトップコート層を備え、該光半導体の光酸化還元反応を阻害する物質は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミナ、ジルコニア、シリカ、酸化アンチモン、無定型酸化チタン、アルミニウム、マンガンから選ばれる1種以上の物質であり、前記トップコート層の表面は、該光半導体酸化物の励起波長以下の照度が0.0001〜1mW/cm 2 の光の照射による光励起に応じて表面の水濡れ性が水との接触角に換算して10°以下になり、もって水洗浄または降雨により付着した汚れが容易に洗い流されることを特徴とする。
【0009】
また、意匠性ベースコート層とトップコート層の間に、シリカ、シリコーン樹脂、フッ素樹脂から選ばれる1種以上の物質である難分解性物質からなる層を介在させた。
【0010】
また、前記光半導体は、アナタ−ゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸ストロンチウム、三酸化タングステン、三酸化二ビスマス、酸化第二鉄より選択される、少なくとも1種である。
【0011】
また、前記光半導体は、酸化錫、三酸化タングステン、三酸化二ビスマス、酸化第二鉄、ルチル型酸化チタンより選択される、少なくとも1種である。
【0018】
【発明の実施の形態】
【0019】
本発明の第一構成は、自動車の塗装面のトップコ−ト層として光半導体の層又は光半導体を含む層を形成して前記光半導体の励起波長以下の光を照射し、光励起に応じて表面を親水化するものである。
【0020】
ここで親水化とは、外的要因により表面の水濡れ性が増加し、水との接触角が低下する現象をいう。
光親水化とは、上記において外的要因が光である場合である。
高度に親水化、超親水化とは、水との接触角で10°以下、好ましくは5°以下になる程度まで親水化することをいう。
このように高度に親水化された表面には、カ−ボン等の疎水性物質はもちろん、親水性物質も付着しにくく、また、付着した場合でも、水洗浄(降雨も含む)により容易に洗い流され、表面が清浄に保たれると考えられる。
さらに塗装の他の機能的側面である意匠性はベースコート層が担う。本発明の第2構成ではさらにベースコート層とトップコート層の間にシリカ、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の難分解性物質からなる層を介在させることができる。この方法によればすでに塗装済みの自動車に対して意匠性を損なうことなく、親水性トップコートを付与することができる。
【0021】
本発明の第三構成は、光半導体とシリコ−ン樹脂との組み合わせを前記トップコ−ト層とするものである。
【0022】
シリコ−ン樹脂は入手が容易であり、安全性も高く扱いやすい。加えて、透明性を有するのでベ−スコ−ト層の色調を損ねることなくトップコ−ト層を形成することができる。
【0023】
また、トップコ−ト層を形成する手段としては低時間低コストの方法が望ましいが、その一手法としてカチオン電着塗装が挙げられる。この場合には、シリコ−ン樹脂の側鎖にアミノ基(−NH+)を有する構造とすることによって、対応が可能となる。
【0024】
本発明の第四構成は、前記光半導体の伝導帯のエネルギ−準位を、水素生成準位を0eVとした場合に、正の値に位置するようにするものである。
光酸化還元反応に関する従来の定説は、光励起により伝導電子−正孔対が生成し、次いで生成した伝導電子による還元反応と正孔による酸化反応が同時に促進されて進行するというものであった。
従って、光半導体の伝導帯のエネルギ−準位が負側に充分高くない酸化錫やルチルは、伝導電子による還元反応が進行しにくく、正孔による酸化反応のみが促進されやすい構造であるが、このような構造では伝導電子が過剰となり、光励起により生成した電子−正孔対が酸化還元反応に関与することなく再結合するため、実際には酸化反応も還元反応も殆ど生じない。しかしながら、後述するように光励起による親水化現象は進行するのである。
【0025】
光半導体の光酸化還元反応が有機物の分解に利用される場合、その分解反応は環境中の水や酸素を利用して行われる。すなわち、光励起により生成した伝導電子は酸素を還元してス−パ−オキサイドイオン(O2 -)を生成し、正孔は水酸基を酸化して水酸ラジカル(・OH)を生成し、これらの高度に反応性の活性酸素種(O2 -や・OH)の酸化還元反応により有機物が分解される。
従って、有機物を有効に光酸化還元分解するためには、正孔を生成する価電子帯上域のエネルギ−準位が水酸基が電子を放出する酸素生成準位(+0.82eV)より正側に位置し、かつ伝導電子が生成する伝導帯下端のエネルギ−準位が水素が電子を放出して酸素側に供与する水素生成準位(0eV)より負側に位置させればよいことになる。
故に、逆に、有機物を有効に光酸化還元分解させないためには、▲1▼価電子帯上域のエネルギ−準位を酸素生成準位(+0.82eV)より負側に位置させるか、或いは▲2▼伝導帯下端のエネルギ−準位を水素生成準位(0eV)より正側に位置させればよいことになる。
【0026】
光半導体の光酸化還元反応が水中の金属イオンの析出に利用される場合には、光励起により生成した伝導電子により金属イオンが還元析出される。(同時に正孔は水中の水酸基を酸化して水酸ラジカル(・OH)を生成すると考えられる。)
従って、例えば鉄イオンを水中から有効に析出除去するためには、伝導電子が生成する伝導帯下端のエネルギ−準位が鉄生成準位(−0.44eV)より負側に位置する必要がある。
故に、逆に、金属イオンを水中から析出させないためには、伝導帯下端のエネルギ−準位を金属生成準位より正側に位置させればよいことになる。貴金属を除外すれば金属の生成準位は水素生成準位より負側にあるので、結局、伝導帯下端のエネルギ−準位を水素生成準位(0eV)より正側に位置させればよいことになる。
【0027】
以上のことから、樹脂の分解(ベ−スコ−ト層の塗膜の劣化、変色等)、水中溶存金属イオンの析出(有色金属の析出付着、発錆等)を抑えつつ、光親水化させる1つの方法として、光半導体の伝導帯のエネルギ−準位を、水素生成準位を0eVとした場合に、正の値に位置する方法があることがわかる。
【0028】
さらに、本発明の第五構成は、自動車の塗膜のトップコ−ト層として、光半導体粒子と光半導体の光酸化還元反応を阻害する物質を含む薄膜を形成するものである。そして前記光半導体の励起波長以下の光の照度が1mW/cm2以下の光の照射による光励起に応じて親水化されるが、光酸化還元反応は殆ど生じない程度の光触媒活性しか有しないことによって、前項同様に樹脂の分解や水中溶存金属イオンの析出が抑制される。
【0029】
本発明で好適に使用可能な光半導体としては、アナタ−ゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸ストロンチウム、三酸化タングステン、三酸化二ビスマス、酸化第二鉄等の金属酸化物が挙げられる。
【0030】
本発明で好適に使用可能な伝導帯のエネルギ−準位が水素生成準位を0eVとした場合に正の値に位置する光半導体としては、酸化錫、三酸化タングステン、三酸化二ビスマス、酸化第二鉄、ルチル型酸化チタン等の金属酸化物が挙げられる。
【0031】
光半導体の光酸化還元反応を阻害する物質には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミナ、ジルコニア、シリカ、酸化アンチモン、無定型酸化チタン、アルミニウム、マンガン等が知られている。
【0032】
本発明の第五構成では、上記トップコ−ト層の膜厚をできるだけ薄くする方がよい。1μm以下、より好ましくは0.2μm以下がよい。そうすれば、基材に固定される光半導体の絶対量を低減することができ、より光酸化還元性を低めることができる。また耐摩耗性も向上する。
特に0.2μm以下では、光半導体を含有する薄膜の透明性を確保しやすく、下地の意匠性や透明性を維持できる。また、トップコート層の屈折率は2以下であるのが好ましい。下地の意匠性がトップコート層による反射で損なわれ難くなるためである。酸化チタンは屈折率2.5〜2.7なので、酸化チタンを光半導体にする場合、屈折率が2より低い物質を添加すると良い。屈折率が2より低い物質には、シリカ(1.48)、アルミナ(1.63)、シリコーン(1.4〜1.6)、酸化錫(1.9)、フッ化マグネシウムが挙げられ、好適に使用できる。
【0033】
本発明では、上記トップコ−ト層中の光半導体含有量は、光半導体含有層に対して好ましくは5〜80重量%、より好ましくは10〜50重量%程度にするのがよい。光半導体含有量が少ない程光酸化還元性を低めることができるからである。但し、光親水化現象も光半導体の光励起現象に基づいた現象なので約5%以上は含有されている必要はある。
【0034】
本発明では、励起波長以下の波長光の照度は、好ましくは0.0001〜1mW/cm2、より好ましくは0.001〜1mW/cm2程度がよい。励起波長以下の波長光の照度が低い程、生成する電子−正孔対の量が現象するので光酸化還元性を低めることができるからである。但し、光親水化現象も光半導体の光励起現象に基づいた現象なので約0.0001mW/cm2以上の励起光照度を要する。
【0035】
本発明において光半導体を励起するための光源は、上記励起波長以下の波長光の照度を発光しうるものであればよく、太陽光や、蛍光灯、白熱電灯、メタルハイドランプ、水銀ランプのような室内照明灯を使用することができる。
【0036】
本発明の第四構成である、自動車の塗装面に、エネルギ−準位が、水素発生準位を0eVとした場合に、正の値に位置する光半導体粒子を含む薄膜のトップコ−ト層を形成する方法には例えば以下の方法がある。
(1)ベ−スコ−ト層表面に、上記光半導体粒子を塗布し、焼成する。
(2)ベ−スコ−ト層表面に、上記光半導体金属酸化物の構成元素金属種を含む有機塩化合物(アルコキシド、キレ−ト、アセテ−トなど)又は酸化物でない無機化合物(塩化物、硫酸化物など)を加水分解し、基材に塗布し、加熱等の方法で脱水反応させる。この過程までで酸化チタンのように金属酸化物が結晶化されない場合には、さらに加熱して金属酸化物を結晶させる。
(3)ベ−スコ−ト層表面に、半導体金属酸化物の構成元素金属をスパッタ等で固定後、加熱、電極反応等の方法で酸化する。この過程までで酸化チタンのように金属酸化物が結晶化されない場合には、さらに加熱して金属酸化物を結晶させる。
【0037】
本発明の第五構成である、自動車の塗装面に光半導体粒子と、光半導体の光酸化還元反応を阻害する物質を含む薄膜のトップコ−ト層を形成する方法には、例えば以下の方法がある。
(1)ベ−スコ−ト層表面に、光半導体粒子と上記阻害する物質中の構成金属種を含む化合物を塗布し、焼成する。
(2)ベ−スコ−ト層表面に、阻害する物質中の構成元素金属種を含む化合物と、光半導体粒子の構成元素金属種を含む有機化合物(アルコキシド、キレ−ト、アセテ−トなど)又は酸化物でない無機化合物(塩化物、硫酸化物など)の加水分解物を、金属基材に塗布し、加熱等の方法で脱水反応させる。この過程までで酸化チタンのように金属酸化物が結晶化されない場合には、さらに加熱して金属酸化物を結晶させる。
【0038】
【実施例】
(実施例1)
まず10cm角の鉄基板に塗装した試料を用意してこれを洗浄し、基板表面を平滑化するため、予めシリコ−ン層で被覆した。このため、日本合成ゴム製の塗料組成物“グラスカ”のA液(シリカゾル)とB液(トリメトキシメチルシラン)を重量比で3になるように混合し、この混合液を鉄基板に塗布し、150℃の温度で硬化させ、膜厚3μmのシリコ−ンで被覆された試料を得た。
次に、上記鉄板表面に、光半導体(一重量部)とシリコ−ン樹脂(一重量部)とよりなる薄膜のトップコ−ト層を形成し、試料No.1を得た。
より詳しくは、アナタ−ゼ型チタニアゾル(日産化学製、TA−15)と前記“グラスカ”のA液を混合し、エタノ−ルで希釈後、更に“グラスカ”のB液を添加し、酸化チタン含有シリコ−ン塗料用組成物を調整した。ここで“グラスカ”のA液とB液は、重量比で3になるようにした。この塗料用組成物を上記鉄板の表面に塗布し、150℃の温度で硬化させ、アナタ−ゼ型チタニア粒子とシリコ−ン樹脂からなる膜厚5μmのトップコ−ト層を形成して試料No.1を得た。
この試料No.1に20WのBLB蛍光灯(三共電気製)を用いて0.5mW/cm2の紫外線照度で紫外線を照射した後、接触角測定器(ERMA社製、型式G−I−1000)を用いて試料と水との接触角を測定した。接触角は、マイクロシリンジから試料表面に水滴を滴下した後30秒後に測定した。このときの測定結果は、2°であり、トップコ−ト層表面は高度の親水性を示した。
【0039】
(実施例2)
10cm角の塗装された鉄基板を洗浄し、実施例1と同様の手法により、膜厚3μmのシリコ−ンで被覆された試料を得た。
次に、上記ベ−スコ−ト層表面上に、光半導体、シリコ−ン樹脂、および光酸化還元反応を阻害する物質をふくむ0.2μmのトップコ−ト層を形成して試料No.2を得た。より詳しくは、実施例1で調整した塗料生成物にさらに光酸化還元反応を阻害する物質である硝酸ナトリウムを加えた新たな塗料生成物を前記ベ−スコ−ト層表面に塗布した後に硬化させ、紫外線を照射した。その後、実施例1と同様に表面の接触角を測定した。その結果、接触角は3°で、この場合にもトップコ−ト層表面は高度の親水性を示した。
【0040】
(実施例3)
実施例1及び実施例2の比較例として以下の試料を調整した。
10cm角の塗装された鉄基板2枚を洗浄し、実施例1と同様の手法により、膜厚3μmのシリコ−ンで被覆された試料を得た。
その一方には10μmのアクリル樹脂をトップコ−トとして形成して試料No.3を得、もう一方には1μmの自動車用ワックスをトップコ−トとして形成して試料No.4を得た。
この2つの試料それぞれについて実施例1と同様の手法で表面の接触角を測定した。その結果、試料No.3は70°、試料No.4は100°であり、どちらも親水性に乏しいことがわかった。
【0041】
(実施例4)
茅ヶ崎市所在の建物の屋上に図1及び図2に示す屋外汚れ加速装置を設置した。図1及び図2を参照するに、この装置は、フレ−ム1に支持された傾斜した試料支持面2を備え、試料3を取り付けるようになっている。フレ−ムの頂部には前方に傾斜した屋根4が固定してある。この屋根は波形プラスチック板からなり、集まった雨が試料支持面2に取り付けた試料3の表面に筋を成して流下するようになっている。この装置の試料支持面2にNo.1からNo.4の試料を各々取り付け、約1ヶ月間屋外に暴露した。
【0042】
その後外観を観察したところ、光半導体被膜のあるNo.1及びNo.2の試料は、いずれも外観が美しかった。一方、No.3及びNo.4の試料はいずれも表面が汚れていた。したがって、光半導体被膜のある試料は耐汚染性に優れていることがわかった。
【0043】
(実施例5)
No.2からNo.4の試料をそれぞれサンシャインウェザ−メ−タ−(スガ試験機製、WEL−SUN−HC)に取り付けて、カ−ボンア−ク灯による光照射をしながら、60分中12分雨噴霧、温度40℃の条件で240時間の促進耐候性試験を行い、その後色差測定及び外観観察を行った。色差測定は、色差計(東京電色)を用いて行った。
【0044】
【表1】
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【0045】
【発明の効果】
本発明では、自動車の塗装面上に、光半導体を含有する層を形成し、かつ(1)光半導体として、水素生成準位を0eVとした場合に、伝導帯のエネルギ−準位の下端が正の値に位置するようなものにする、または(2)表面にさらに光半導体の光酸化還元反応を阻害する物質を含有させることにより、光半導体の励起波長以下の光の照射による光励起に応じて親水化されるが、光酸化還元反応はほとんど生じない程度の光触媒活性しか有しない自動車塗料及び塗料表面の浄化方法が得られる。
このような技術によれば,光酸化劣化されずに、超親水化されて防汚、防曇、水や降雨のみの簡単な清掃性、生体適合性等に優れた、環境に対する劣化の少ない自動車外板、タイヤホイ−ル、電着塗装品等が得られる。
さらに、水環境使用時に有色金属イオンの光還元析出されずに、超親水化されて防汚、防曇、防錆、水や降雨のみの簡単な清掃性、生体適合性等に優れた、環境に対する劣化の少ない自動車外板、タイヤホイ−ル、電着塗装品等が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】屋外汚れ加速試験装置の正面図
【図2】屋外汚れ加速試験装置の側面図
【符号の説明】
1−フレ−ム
2−試料支持面
3−試料
4−屋根

Claims (5)

  1. 自動車の車体を構成する金属基材表面に、自動車塗装の塗膜である意匠性ベ−スコ−ト層を介して、金属酸化物からなる光半導体およびシリコーン樹脂とを含んだトップコート層を備え、前記トップコート層の表面は、該光半導体酸化物の励起波長以下の照度が0.0001〜1mW/cm 2 の光の照射による光励起に応じて表面の水濡れ性が水との接触角に換算して10°以下になり、もって水洗浄または降雨により付着した汚れが容易に洗い流されることを特徴とする自動車。
  2. 自動車の車体を構成する金属基材表面に、自動車塗装の塗膜である意匠性ベ−スコ−ト層を介して、金属酸化物からなる光半導体および光半導体の光酸化還元反応を阻害する物質とを含んだトップコート層を備え、該光半導体の光酸化還元反応を阻害する物質は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミナ、ジルコニア、シリカ、酸化アンチモン、無定型酸化チタン、アルミニウム、マンガンから選ばれる1種以上の物質であり、前記トップコート層の表面は、該光半導体酸化物の励起波長以下の照度が0.0001〜1mW/cm 2 の光の照射による光励起に応じて表面の水濡れ性が水との接触角に換算して10°以下になり、もって水洗浄または降雨により付着した汚れが容易に洗い流されることを特徴とする自動車。
  3. 意匠性ベースコート層とトップコート層の間に、シリカ、シリコーン樹脂、フッ素樹脂から選ばれる1種以上の物質である難分解性物質からなる層を介在させた請求項1又は請求項2に記載の自動車。
  4. 前記光半導体は、アナタ−ゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸ストロンチウム、三酸化タングステン、三酸化二ビスマス、酸化第二鉄より選択される、少なくとも1種である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の自動車。
  5. 前記光半導体は、酸化錫、三酸化タングステン、三酸化二ビスマス、酸化第二鉄、ルチル型酸化チタンより選択される、少なくとも1種である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の自動車。
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