JP2006347364A - 鉄道車両用コーティング剤とその塗布方法、鉄道車両用コーティングの製造方法及び鉄道車両 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 コーティング膜1は、コーティング剤を車両表面T1に塗布することによって形成される。コーティング剤は、車両Tの汚れの付着量を低減するための鉄道車両用コーティング剤であり、有機溶媒中にシリコンが分散されている。このようなコーティングとしては、例えば、キシレンなどの有機溶媒中にシリコンを反応含浸させたシリコン溶液に、フッ素溶液を混合した混合溶液である。有機溶媒とシリコンとを加熱撹拌法又はゾルゲル法によって混合してシリコン溶液を製造し、水酸化ナトリウム又は酸化チタンを親和剤としてフッ素溶液とシリコン溶液とを撹拌して混合溶液を製造する。
【選択図】 図1
Description
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、鉄道車両(T)の汚れの付着量を低減し、車両表面(T1)を強化保護する鉄道車両用コーティング剤であって、有機溶媒中にシリコンが分散されていることを特徴とする鉄道車両用コーティング剤(1a:3a)である。
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る鉄道車両用コーティング剤を車両表面に塗布した状態を模式的に示す断面図である。図2は、図1のII部分の拡大断面図である。
図3は、この発明の第1実施形態に係る鉄道車両用コーティング剤の製造方法を説明するための工程図である。
図3に示すコーティング剤1aの製造方法#100は、シリコン溶液製造工程#110とフッ素溶液混合工程#120とを含む。シリコン溶液製造工程#110は、有機溶媒とシリコンとを混合してシリコン溶液を製造する工程であり、キシレンなどの有機溶媒中にシリコンを分散させる。シリコン溶液製造工程#110では、有機溶媒とシリコンとを加熱撹拌法又はゾルゲル法によって混合する。例えば、加熱撹拌法の場合には、温度30〜40°Cで加熱したキシレン溶媒中にシリコン2〜20mass%を混合することによって強制的に凝着させて、キシレン溶媒中にシリコンを分散させシリコン溶液を製造する。また、ゾルゲル法の場合には、シリコン溶媒中にシリコンを混合したゾルを加水分解・重縮合反応により流動性を失ったゲルにし、このゲルを加熱することによってキシレン溶媒中にシリコンを分散させてシリコン溶液を製造する。
図4は、この発明の第1実施形態に係る鉄道車両用コーティング剤の塗布方法を説明するための工程図である。
図4に示すコーティング剤1aの塗布方法#200は、下地処理工程#210とコーティング剤塗布工程#220とを含む。下地処理工程#210は、車両表面T1を所定の下地処理する工程であり、アルコールなどで車両表面T1を洗浄し脱脂する。コーティング剤塗布工程#220は、コーティング剤1aを車両表面T1に塗布する工程である。このコーティング剤塗布工程#220では図2に示すように有機溶媒中にシリコンが分散されたシリコン溶液とフッ素溶液との混合溶液をスプレー装置又は刷毛によって車両表面T1に塗布する。
(1) この第1実施形態では、有機溶媒中にシリコンが分散されている。このため、走行中に付着する車両表面T1への汚れの付着量を低減することができるとともに、汚れの付着を抑制することで車両Tの空気抵抗を低減し騒音の発生を低減することが期待できる。また、車両ドア部などを含む車両表面T1の防汚性を向上させることができ、洗浄水、スプリンクラーの水、降雪などからの腐食を防止することができるとともに、車両表面T1の素地塗料に対する攻撃性がなく、この素地塗料との密着性を図り、車両塗装膜を強化保護することができる。さらに、コーティング膜1に発生する亀裂を抑制してコーティング膜1の強度を維持するとともに車両表面T1の黄変を抑制し、車両Tを保全する全般検査周期間(二年間)内で性能を維持し耐久性を保証することができる。
図5は、この発明の第2実施形態に係る鉄道車両用コーティング剤を車両表面に塗布した状態を模式的に示す断面図である。図6は、図5のVI部分の拡大断面図である。以下では、図1及び図2に示す部分と同一の部分については同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図7は、この発明の第2実施形態に係る鉄道車両用コーティング剤の塗布方法を説明するための工程図である。以下では、図4に示す工程と同一の工程については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図7に示すコーティング剤の塗布方法#200は、下地処理工程#210と、フッ素コーティング剤塗布工程#230と、シリコンコーティング剤塗布工程#240とを含む。フッ素コーティング剤塗布工程#230は、フッ素コーティング剤2aを車両表面T1に塗布する工程である。このフッ素コーティング剤塗布工程#230では、図6に示すように、フッ素溶液をスプレー装置又は刷毛によって車両表面T1に塗布する。シリコンコーティング剤塗布工程#240は、シリコンコーティング剤3aをフッ素コーティング膜2の表面に塗布する工程である。このシリコンコーティング剤塗布工程#240では、車両表面T1にフッ素溶液を塗布した後に、フッ素コーティング膜2の表面にシリコン溶液をスプレー装置又は刷毛によって塗布する。
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
この実施形態では、新幹線などの鉄道車両を例に挙げて説明したが、磁気浮上式鉄道などについてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、車両表面T1にコーティング膜1を形成する場合を例に挙げて説明したが、車両Tの車軸と軸受のころとの接触部分にコーティング膜1を形成して摩擦抵抗を緩和することもできる。
1a コーティング剤
2 フッ素コーティング膜
2a フッ素コーティング剤
3 シリコンコーティング膜
3a シリコンコーティング剤
T 車両(鉄道車両)
T1 車両表面
T2,T3 段差部
Claims (10)
- 鉄道車両の汚れの付着量を低減し、車両表面を強化保護する鉄道車両用コーティング剤であって、
有機溶媒中にシリコンが分散されていること、
を特徴とする鉄道車両用コーティング剤。 - 請求項1に記載の鉄道車両用コーティング剤において、
フッ素溶液が混合されていること、
を特徴とする鉄道車両用コーティング剤。 - 請求項2に記載の鉄道車両用コーティング剤において、
水酸化ナトリウム又は酸化チタンが混合されていること、
を特徴とする鉄道車両用コーティング剤。 - 鉄道車両の汚れの付着量を低減し、車両表面を強化保護する鉄道車両用コーティング剤の塗布方法であって、
有機溶媒中にシリコンが分散されたシリコン溶液とフッ素溶液との混合溶液を前記鉄道車両に塗布すること、
を特徴とする鉄道車両用コーティング剤の塗布方法。 - 鉄道車両の汚れの付着量を低減し、車両表面を強化保護する鉄道車両用コーティング剤の塗布方法であって、
前記鉄道車両にフッ素溶液を塗布した後に、有機溶媒中にシリコンが分散されたシリコン溶液を塗布すること、
を特徴とする鉄道車両用コーティング剤の塗布方法。 - 鉄道車両の汚れの付着量を低減し、車両表面を強化保護する鉄道車両用コーティング剤の製造方法であって、
有機溶媒中にシリコンを分散させること、
を特徴とする鉄道車両用コーティング剤の製造方法。 - 請求項6に記載の鉄道車両用コーティング剤の製造方法において、
前記有機溶媒と前記シリコンとを加熱撹拌法又はゾルゲル法によって混合すること、
を特徴とする鉄道車両用コーティング剤の製造方法。 - 請求項6又は請求項7に記載の鉄道車両用コーティング剤の製造方法において、
前記有機溶媒中に前記シリコンが分散されたシリコン溶液とフッ素溶液とを混合すること、
を特徴とする鉄道車両用コーティング剤の製造方法。 - 請求項8に記載の鉄道車両用コーティング剤の製造方法において、
水酸化ナトリウム又は酸化チタンを混合すること、
を特徴とする鉄道車両用コーティング剤の製造方法。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の鉄道車両用コーティング剤が塗布されていること、
を特徴とする鉄道車両。
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